JP3856109B2 - 光ファイバ用毛細管、光コネクタ用フェルール、及び光ファイバ付毛細管 - Google Patents

光ファイバ用毛細管、光コネクタ用フェルール、及び光ファイバ付毛細管 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光デバイスの製造に用いられる光ファイバ用毛細管、光コネクタ用フェルール、及び内孔に光ファイバを挿着した光ファイバ付毛細管に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信網の急速な発展により、高性能かつ安価な光デバイスが大量に必要となっている。特に光ファイバを内蔵したプラグ型の光デバイスやレセプタクル型の光デバイスには、精密な毛細管に光ファイバを挿入して接着剤で固着した円柱状の光ファイバスタブと呼ばれる光ファイバ付毛細管や光コネクタプラグが使用される。
【0003】
例えば、図12に示すように、光ファイバ付毛細管の一方の端面を凸球面に、他方の端面に斜め研磨面に加工すると光ファイバスタブ6として機能する。この光ファイバスタブ6は、レーザーダイオード1から出射され、レンズ2によって集光された光信号を取り入れ、光コネクタプラグ3の光コネクタ用フェルール4中の光ファイバ5に伝達するために、または光コネクタ用フェルール4の内孔4a内の光ファイバ5から出射した光信号を図示しないフォトダイオード等に集光するために使用されている。
【0004】
この光ファイバスタブ6は、レーザーダイオード1(またはフォトダイオード)側の光ファイバ用毛細管7の端面7bにおいて反射光がレーザーダイオード1に入ってノイズにならないように、光信号の入射軸に対して反射軸が数度の角度を成すように端面7bが研磨加工されている。さらに反対側の端面7cは、光コネクタプラグ3と光ファイバ8を突き合わせてPC(物理的接触の略)接続が可能なように光ファイバ8の端面8aを中心とした凸球面に研磨がされている。
【0005】
光コネクタプラグ3と光ファイバスタブ6との接続は、図12に示すように、光コネクタプラグ3の凸球面に加工された光ファイバ5の端面5aと光ファイバスタブ6の光ファイバ8の端面8aとを割りスリーブ9内で突き合わせるPC接続によって行なわれる。
【0006】
このような光信号の接続としては、一般に、大容量の光ファイバ通信に用いられる光コネクタ同士の接続が代表的である。光コネクタの接続では、図13に示すように、光コネクタプラグ10は、光ファイバ12が挿入可能な内径を有する内孔11aを備えた精密な毛細管を所定の形状に加工した光コネクタ用フェルール11が使用され、その内孔11aに、接着剤で光ファイバ12が挿着され、端面が凸球面に加工されている。これらの光コネクタプラグ10同士の接続は、光ファイバ12の端面12a同士を割りスリーブ13内で突き合わせるPC接続によって行なわれる。このときの接続損失は、主にPC接続部の光ファイバ12同士の軸ずれに起因して生ずる。光ファイバ12同士の軸ずれは、使用される光コネクタ用フェルール11同士の外径差と、端面の内孔11aの真円度と外周面11bの円筒度、光コネクタ用フェルール11の内孔11aと外周面11bの同心度と、端面の内孔11a内での光ファイバ12の偏心量とが累積されたものとして生じる。これらのうち、光コネクタ用フェルール11端面の内孔11aと外周面11bとの同心度と、端面の内孔11a内での光ファイバ12の偏心量が、突き合わせられる光ファイバ同士の軸ずれに最も寄与している。そのため光コネクタ用フェルール11の同心度はシングルモード光ファイバを用いる通信では、1.4μm以下と規定されている。また、内径11aは挿入される光ファイバ12の外径に対して0〜1μm大きいフェルールが使用されている。このような光ファイバ12の軸ずれ量dと接続損失Loss(単位dB)との関係は、光ファイバのコア径をwとした場合、一般に、次の式で表される。
【0007】
【数1】
Figure 0003856109
【0008】
ここで、接続損失の要因を内孔11aと外周面11bとの同心度と、内孔11a内での光ファイバ12の偏心量に限定して考察する。まず、光コネクタ用フェルール11の同心度が1.4μm以下で、かつ、内孔11aの内径が光ファイバ12より1μm大きい光コネクタ用フェルール11を用いて光ファイバが内孔11a内で0.5μm偏心した場合、突き合わせるもう一方のフェルールでの偏心量も同様に考えて、最悪のケースで軸ずれ量は2.4μmとなり、上記の数1では最大1.0dBの接続損失となる。そこで、石英系シングルモード光ファイバを用いた通信用光コネクタの規格(JIS−C−5962)に規定された0.5dB以下の接続損失を達成するためには光ファイバ用フェルール11を回転させる調芯作業が必要となる。実際の調芯作業は、まず、光コネクタ用フェルール11端面の内孔11aと外周面11bとの同心度を測定し、偏心方向をフランジ部材14の側面に90°ピッチ(1/4回転ピッチ)でマーキングし、突き合わせる光コネクタ用フェルール11同士の偏心方向を合わせるようにして組み立てるか、あるいは実際に光を通して光の強度をパワーメータ等でモニターしながら、1/4回転ずつ光コネクタ用フェルール11を回転させ接続損失が最も良くなる位置で組み立てるという、非常に手間がかかり煩わしい作業である。
【0009】
一方、先記の図12に示すような光デバイスにも同様な現象が起こるが、光コネクタプラグ3と光ファイバスタブ6とを接続する場合や、レンズ2で集光された光信号(または出射される光信号)の光軸と光ファイバスタブ6に使用される光ファイバ用毛細管7の内孔7a内にある光ファイバ8の中心との位置決めの際に、光ファイバスタブ6の光ファイバ用毛細管7の端面7bが内孔7a内にある光ファイバ8の偏心方向を考慮せずに数度の角度を成すように研磨加工されて位置が固定されるので、その構造上、調芯作業を行うことができない。そのため、両者間の軸ずれのうち、内孔7a内の光ファイバ8の偏心に起因した軸ずれを軽減することができず、光信号の接続損失が増大する問題がある。
【0010】
また、図13に示すように、同心度の公差が1.4μm以下で、かつ内径の公差が光ファイバ12の直径に対し−0μm/+1.0μmという非常に厳しい寸法精度の光コネクタ用フェルール11を量産するためには、例えば、光コネクタ用フェルール11が最も一般的なジルコニアセラミクス製の場合、材料の焼結体を加工して仕上げるため、少なくとも内外面ともに表面粗さのRa値が0.1μm未満になるように研磨加工する必要がある。
【0011】
このようなジルコニアセラミクス製光コネクタ用フェルール11が具備する表面粗さのRa値が0.1μm未満である内孔11aに光ファイバ12を挿入して接着剤で固着した場合、光ファイバ12は内孔11a側壁に偏って偏心する傾向にあり、内孔11a内の中心に調芯され難いことが知られており、発明者らもこの事実を確認している。従って、従来のジルコニアセラミクス製等の小さい表面粗さを有する光コネクタ用フェルール11では、石英系のシングルモード光ファイバ通信用光コネクタの規格(JIS−C−5962)に記載された接続損失の規定値である0.5dB以内を達成するために上記のような煩わしい調芯作業が必須であった。図12に示す光ファイバスタブ6と光コネクタプラグ3との接続の際にも同様な現象が起こるが、光ファイバスタブ6の構造上、調芯作業ができないため従来のジルコニアセラミクス製の光ファイバ用毛細管7を用いた場合、内孔7a内の光ファイバ8の偏心に起因した軸ずれを軽減することはできず、光信号の損失が増大する問題がある。
【0012】
また、光通信の用途のうち、大容量及び/又は高信頼性が要求されるものには、光コネクタの接続損失の規定値である0.5dBよりもさらに低い接続損失が求められる場合がある。このような要求に対応するためには、図13に示す光コネクタ用フェルール11の内径11aの公差あるいは同心度の公差を標準の公差よりも厳しく設定する以外に手段がなく、数多く作製した光コネクタ用フェルール11の中から寸法精度の良いものを選別するなどして製造するため、非常にコストが高くなる。また、光ファイバ付毛細管を加工した図12に示す光ファイバスタブ6についても、PC接続部が光コネクタ用フェルールと同様の構造であり、同様に低い接続損失が求められる場合には調芯作業ができないため、さらに寸法精度が厳しくなるので、非常に高価なものになるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも容易に低い接続損失が得られ、且つ安価に作製が可能な光ファイバ用毛細管と、それを用いた光コネクタ用フェルール、及び光ファイバ付毛細管を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために発明者らは以下のような発明に到った。即ち、本発明に係る光ファイバ用毛細管は、結晶性ガラスを熱的に処理することにより非晶質ガラス中に結晶粒径制御して析出させた結晶化ガラスからなり、光ファイバが挿入保持可能な内径を有する内孔を備え、該内孔の表面に析出した結晶粒子が内孔の表面に平均線よりも高い凸部を形成しており、該内孔の表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであることを特徴とする。
【0015】
光ファイバ用毛細管の内孔の表面粗さRa値が0.1μm未満であると、挿入された光ファイバが内孔側壁に近づいて偏心する傾向にあるので調芯効果は期待できない。一方、内孔の表面粗さのRa値が0.5μmを超える場合、最大粗さとして定義されているRy値も相当量大きくなることが予想されるので、上記と同様に内孔の表面粗さの平均線によってできる円の中心に対し、内孔の最大内接円筒の中心位置がずれてしまう場合が多くなって内孔の本来の同心度自体が実質上悪くなることや、挿入された光ファイバ表面に傷がついて強度低下を招く虞がある。本発明の光ファイバ用毛細管では、内孔の表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであることが重要である。
【0016】
例えば、ジルコニアセラミクス製の光ファイバ用毛細管を用いて光コネクタプラグや光ファイバスタブを構成する場合、光コネクタで規定された接続損失を満たすために、内孔の表面粗さのRa値を0.1μm未満に精度よく研磨加工することで厳しい寸法精度(内径の公差−0μm/+1.0μm、同心度の公差1.4μm以下)を達成しているが、表面粗さのRa値が0.5μm以上となると、この寸法精度を満足することが困難になり、安定して量産することは殆ど不可能になる。
【0017】
また、延伸成形によって作製される結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管を用いて光コネクタプラグや光ファイバスタブを構成する場合も同様に、表面粗さのRa値が0.5μm以上では、光ファイバスタブに用いる毛細管としての厳しい寸法精度を満足することが困難であり、安価な光ファイバスタブを大量に製造することが難しくなる。
【0018】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、内孔表面粗さのRy値が4.0μm以下であることを特徴とする。
【0019】
光ファイバ用毛細管の内孔の表面粗さRy値が4.0μmを超える場合、内孔の表面粗さの平均線によってできる円の中心に対し、内孔の最大内接円筒の中心位置がずれてしまう虞があり、内孔の本来の同心度自体が実質上悪くなってしまう他、鋭く突き出した凸部先端で挿入された光ファイバ表面に傷をつけてしまう場合もある。本発明の光ファイバ用毛細管では、内孔の高い寸法精度を確保する上で、内孔の表面粗さのRy値としては4.0μm以下であることが重要である。
【0020】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、それに用いられる毛細管内孔の表面粗さの平均線と山頂線との差が2.0μm以下であることを特徴とする。
【0021】
光ファイバ用毛細管の内孔のJIS−B−0601で定義されている表面粗さの平均線と山頂線との差が2.0μmを超える場合、内孔の表面粗さの平均線によってできる円の中心に対し、内孔の最大内接円筒の中心位置がずれてしまう虞があり、内孔の本来の同心度自体が実質上悪くなってしまう他、鋭く突き出した凸部先端で、挿入された光ファイバ表面に傷をつけてしまう場合もある。本発明の光ファイバ用毛細管では、光コネクタプラグや光ファイバスタブ等の光ファイバ付毛細管を構成する光ファイバ用毛細管の場合に内孔内での光ファイバの調芯効果を得る上で、表面粗さの平均線に対し凸部と凹部が非対称な場合でも、表面粗さの平均線と山頂線との差が2.0μm以下であることが重要である。
【0022】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなり、内孔の表面に結晶粒子が析出していることを特徴とする。
【0023】
本発明で非晶質ガラス中に析出させる結晶として、光ファイバ用毛細管内孔の表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmとなるためには、結晶粒径が0.1μm〜1.0μm程度であれば使用可能であり、例えば、β−スポジュメンの結晶等が適している。
【0024】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、内孔の表面に、機械的な加工手段によって所定の表面粗さを設けてなることを特徴とする。
【0025】
本発明の光ファイバ用毛細管で内孔の表面に上記所定の表面粗さを設ける機械的な加工手段とは、例えば、ジルコニアセラミクス製等の光ファイバ用毛細管を作製する際に、良好な寸法精度を出すため、一般的には、ワイヤーや砥粒等を使用する内面研削及び研磨を行うが、仕上げ研磨前の段階で使用される内面研削加工装置等を用いることにより意図的に所定範囲内に制御された表面粗さを設けることなどが考えられる。このような加工手段により、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmである内孔、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ平均線と山頂線との差が2.0μm以下の内孔、および、これら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を形成することが可能となる。
【0026】
また、本発明の光ファイバ用毛細管の内孔が、光ファイバが挿入可能な内径を有しているとは、光ファイバと同じ直径をもつピンゲージが通ることをいい、内径が光ファイバに対して1μm大きいとは、光ファイバよりも直径が1μm大きなピンゲージが通り、それよりも僅かに大きなピンゲージが通らないことをいう。内孔と光ファイバとの間隔が0μmであると光ファイバが挿入できず、一方、内孔と光ファイバとの間隔が2.0μmを超えると、光ファイバの周りに注入されている接着剤が円周方向に移動して偏るので内孔内での光ファイバの偏心量が大きくなる。
【0027】
また、本発明の光コネクタ用フェルールは、上記本発明の光ファイバ用毛細管に、一方の端部にスリーブへの挿入を案内する面取り部と、他方の端部に開口して光ファイバを内孔に案内するフレア部とが形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の光コネクタ用フェルールとしては、他の光コネクタプラグと所定の接続損失で接続が可能な外径、内径、同心度、及び円筒度を備えていれば使用可能である。また、スリーブへの挿入を案内する面取り部としては、既存の光コネクタ用フェルールと同様な寸法形状であると使用に支障がなく、フレア部としては、光ファイバを内孔に容易に挿入が可能な形状であり、光ファイバの固着後に環境の温度変動等に起因する接続損失の変動が大きくない寸法であることが好ましい。さらに、他の光コネクタプラグとPC接続が可能なように、光ファイバが挿着される内孔端面を中心としたPC接続用の予備的な凸球面研磨がされていてもよい。
【0029】
また、本発明の光ファイバ付毛細管は、上記本発明の光ファイバ用毛細管と、該光ファイバ用毛細管の内孔に挿着された光ファイバとを備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明の光ファイバ付毛細管としては、光コネクタプラグ、光ファイバスタブ、及びこれらの作製に使用する長尺の光ファイバ付予備材等があり、光ファイバ用毛細管の中心に光ファイバを正確に位置させるものであれば適用可能である。光コネクタプラグや光ファイバスタブ等を精密スリーブ内で突き合わせ接続する場合、少なくとも光ファイバ用毛細管の一端に面取り部を形成しておくことが好ましく、他の光コネクタプラグとPC接続が可能なように光ファイバの端面を中心とした凸球面研磨がされていてもよい。また、光ファイバ用毛細管の端面に反射光がレーザーダイオードに入ってノイズにならないように光信号の入射軸に対して端面が数度の角度を成すように研磨加工されていてもよい。光ファイバ用毛細管の内孔に光ファイバを挿着する接着剤としては、目的に応じて、実績のあるエポキシ型、作業性に優れた紫外線硬化型等が適している。
【0031】
【作用】
本発明の光ファイバ用毛細管は、結晶性ガラスを熱的に処理することにより非晶質ガラス中に結晶粒径制御して析出させた結晶化ガラスからなり、光ファイバが挿入保持可能な内径を有する内孔を備え、内孔の表面に析出した結晶粒子が内孔の表面に平均線よりも高い凸部を形成しており、内孔の表面粗さのRa値が0.1〜0.5μmであるので、内孔表面に点在する平均線よりも高い凸部が影響し、適度の粘性を有するエポキシ系等の接着剤が円周方向に亘って内孔表面に安定して保持されることで、光ファイバを内孔の中央位置に維持するように作用していると考えられる。
【0032】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、内孔の表面粗さのRy値が4.0μm以下であるので、内孔の表面粗さの平均線によってできる円の中心に対して内孔の最大内接円筒の中心位置がずれず、内孔の高い真円度や外周面との同心度を確保することができるので、所望の調芯効果が得られ、挿入された光ファイバの表面を傷つけることもない。
【0033】
さらに、本発明の光ファイバ用毛細管は、内孔の表面粗さの平均線と山頂線との差が2.0μm以下であるので、表面粗さの平均値に対し凸部と凹部が非対称な場合でも、内孔の表面粗さの平均線によってできる円の中心に対して内孔の最大内接円筒の中心位置がずれず、内孔の高い真円度や外周面との同心度を確保することができ、挿入された光ファイバの表面を傷つけることもないので、所望の調芯効果をもたらす。
【0034】
また、本発明の光ファイバ用毛細管は、非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなり、結晶性ガラスを適切な条件で熱的に処理することにより、内孔の表面に析出した結晶粒子が内孔の表面に凸部を形成することで、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmの内孔、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔を有する毛細管、及び表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ平均線と山頂線との差が2.0μm以下の内孔を有する毛細管、および、これら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差が2.0μm以下の内孔を有する毛細管を容易かつ効率的に作製することができる。
【0035】
さらに、本発明の光ファイバ用毛細管は、内孔の表面に、機械的な加工手段によって所定の表面粗さを設けてなるので、内面研削加工装置等を用いることにより表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmの内孔、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔を有する毛細管、及び表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり、かつ平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管、および、これら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差が2.0μm以下の内孔を有する光ファイバ用毛細管を室温条件下で作製することができる。
【0036】
また、本発明の光コネクタ用フェルールは、上記本発明の光ファイバ用毛細管に、一方の端部にスリーブへの挿入を案内する面取り部と、他方の端部に開口し光ファイバを内孔に案内するフレア部とが形成されているので、上記本発明の光ファイバ用毛細管内孔の表面粗さによる調芯効果により光コネクタ用フェルールの内孔中心に光ファイバが正確に保持されるようになる。
【0037】
また、本発明の光ファイバ付毛細管は、上記本発明の光ファイバ用毛細管と、該光ファイバ用毛細管の内孔に挿着された光ファイバとを備えているので、上記本発明の光ファイバ用毛細管内孔の表面粗さによる調芯効果により光ファイバが内孔の中心に保持された光ファイバ付毛細管が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】
発明者らは、本発明に係る光ファイバ用毛細管の一例として、例えば、表1に示す組成を持つ結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管を使用した。
【0039】
【表1】
Figure 0003856109
【0040】
図1(A)に示すように、内孔20aの表面粗さのRa値が、例えば、約0.3μm、Ryが約2.0μm、平均線と山頂線の差が約1.0μmで内孔20aの内径が光ファイバよりも約1.0μm(0.95〜1.05μm)大きい結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管20を作製した。
【0041】
光ファイバ用毛細管20を使用して、図1(B)に示すような光コネクタ用フェルール21を作製した。即ち、作製した光コネクタ用フェルール21は、他の光コネクタプラグと所定の接続損失で接続が可能な、例えば、外径が1.249mm±0.5μm、上記所定の表面粗さを有して光ファイバが挿着される内孔21aの内径が0.125mm+1/−0μm、同心度が0.7μm以下であり、一方の端部21cに開口し光ファイバを内孔21aに案内するフレア部21eが設けられ、必要な場合にはフランジ部材21fが固着される。また、他方の端部21bには、外周縁部にC面取り部21dが設けてある。また、結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管20を使用した光コネクタ用フェルール21は、研磨製が優れているので、このまま研磨機等を使用して他の光コネクタプラグとのPC接続が可能なように凸球面に研磨することは容易である。さらに研磨時間を短縮したい場合には、図1(B)に示すように、内孔21aの端面を中心とした予備的な凸球面を形成しておいてもよい。
【0042】
また、結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管20を使用して、図1(C)に示すような光ファイバスタブ22を作製した。即ち、本発明の光ファイバスタブ22は、上記所定の表面粗さを有する内孔22aに光ファイバ23を接着剤24により固着しており、端面22cは反射光がレーザーダイオード等に入ってノイズにならないために光信号の入射軸に垂直な平面に対して8°の角度を成すように研磨加工されており、反対側の端面22bは、周縁部にC面取22dが設けられて光ファイバ23の端面23aを中心としたPC接続用の凸球面に研磨されている。
【0043】
実際に、表面粗さ測定器を使用してこの光ファイバ用毛細管20の内孔20aの表面粗さを測定した。光ファイバ用毛細管20の内孔20aの表面粗さを測定した測定チャートの一例を図2に示す。この光ファイバ用毛細管20の場合、表面粗さのRa値は0.27μm、Ry値は2.09μm、平均線と山頂線との差δは1.0μmである。
【0044】
また、光ファイバ用毛細管20を使用して作製した光コネクタ用フェルール21に光ファイバを接着剤により固着し、研磨仕上げした端面を電子顕微鏡で観察を行った。光ファイバの固定に使用する接着剤は、一般的に使用されているエポキシ系接着剤を使用し、接着剤の硬化条件は100℃で60分間保持とした。図3に示すように、内孔のほぼ中央位置にほぼ均等な厚さの接着剤の層を介して光ファイバが0.1μmの軸ずれ量で収まって位置しており、理論的な最大軸ずれ量に比べて0.4μm程度調芯されていることが確認された。
【0045】
また、発明者らは、上記と同様に光ファイバ用毛細管20を使用して、同心度が1.0μm以下であり、内孔21aの内径は光ファイバより約1μm大きい光コネクタ用フェルール21作製し、この光コネクタ用フェルール21に光ファイバを接着剤により固着し、凸球面研磨仕上げして光コネクタプラグとし、先記の図13に示すような状態で、調芯作業をせずに8個のサンプルをランダムに接続したときの接続損失を測定した。実際の接続損失の測定結果を図4に示す。光コネクタ用フェルール21の内孔21a内で光ファイバが調芯されない場合には、理論的な最大軸ずれ量は2.0μmとなり、先記の数1によれば最大0.69dBの接続損失となるが、実測定では無調芯接続で平均接続損失が0.08dB、最大接続損失が0.24dB、標準偏差が0.06dBという結果が得られた。最大値を推測するために平均値に標準偏差σの3倍を加え、99.7%の確率の最大接続損失を求めると0.26dBとなる。接続損失0.26dBのときの数1から計算される軸ずれ量は、1.2μmとなる。従って、内孔21aのRa値が0.27μm、Ry値が2.09μm、平均線と山頂線との差δが1.0μmである表面粗さによって得られた光コネクタ用フェルール21内孔21a内での光ファイバの調芯効果は0.4μm程度であり、内孔21a内での光ファイバ偏心は0.1μmと僅かであったことになる。これは図3の端面電子顕微鏡写真の観察結果と一致する。
【0046】
さらに、上記と同様に内孔20aの表面粗さのRa値が約0.3μm、Ry値が約2.0μm、平均線と山頂線の差が約1.0μmである結晶化ガラス製の光ファイバ用毛細管20を使用して、同心度が0.7μm以下であり、内孔21aの内径は光ファイバより約1μm大きい光コネクタ用フェルール21を作製し、この光コネクタ用フェルール21に光ファイバを接着剤により固着し、凸球面研磨仕上げして光コネクタプラグとし、先記の図13に示すような状態で、調芯作業をせずに14個のサンプルをランダムに接続したときの接続損失を測定した。実際の測定結果を図5に示す。
【0047】
光ファイバが調芯されない場合には、理論的な最大軸ずれ量は1.7μmとなり、数1によれば最大0.5dBの接続損失となるが、実際の測定では無調芯接続で平均接続損失が0.06dB、最大接続損失が0.14dB、標準偏差が0.03dBという結果が得られた。最大値を推測するために平均値に標準偏差σの3倍を加え、99.7%の確率の最大接続損失を求めると0.15dBとなる。このときの数1から計算される最大軸ずれ量は0.9μmとなる。従って、この結果からも表面粗さによって得られたフェルール内孔内での光ファイバの調芯効果は0.4μm程度あることがわかった。ここでも図3の電子顕微鏡の観察結果と一致した。
【0048】
以上のように、本発明に係る光ファイバ用毛細管により、調芯作業をすることなく低損失な光信号の光コネクタ接続を達成することが可能となることが確認された。
【0049】
これに対して、比較例として、同心度が1.0μm以下で内径が光ファイバよりも約1.0μm大きく、Ra値が0.1μm未満であるジルコニアセラミクス製毛細管を準備して、内孔内に接着剤を注入したあと、光ファイバを挿入して100℃で60分間保持する硬化条件で固着して光コネクタプラグを作製した。その後、端面を研磨した上で、電子顕微鏡により端面の様子を観察した。その結果、図6で観察されるように、内孔の一方の接着剤層が明らかに厚くなっており、内孔の他方の側壁に光ファイバが偏っていることが確認された。フェルールの内孔と光ファイバ外周との間の間隙は最も狭いところで0.1μmであり、約0.9μm偏っていた。
【0050】
実際に、ジルコニアセラミクス製毛細管を用いて光コネクタ用フェルールを作製し、8個のサンプルを調芯せずにランダムに接続した。
【0051】
調芯効果がない場合の寸法上の理論的な最大軸ずれ量は2.0μmとなり、数1によれば最大0.69dBの接続損失となるが、実測定の結果は無調芯接続で平均接続損失が0.21dB、最大接続損失が0.50dB、標準偏差が0.11dBであり、光ファイバがほとんど調芯されていなかった。このときの接続損失分布を図7に示す。最大値を推測するために平均値に標準偏差σの3倍を加え、99.7%の確率の最大接続損失を求めると0.54dBとなる。数1により計算すると1.76μmの軸ずれに相当し、この値は上記の調芯効果がない場合の予測値とほぼ一致する。また、この結果は、図6に示す端面の電子顕微鏡写真を観察した結果とも一致する。この結果からも、表面粗さの小さいジルコニアセラミクス製の光ファイバ用毛細管では内孔内で光ファイバの調芯がほとんど起こらないことが確認された。
【0052】
また、延伸成形法によって作製されたホウケイ酸ガラス製の光ファイバ用毛細管の場合も表面粗さはジルコニアセラミクス製の毛細管と同等かあるいはそれ以下のRa値である。上記のジルコニアセラミクス製毛細管の場合と同様にRa値が0.1μm以下、同心度が1.0μm以下で、内径が光ファイバよりも約1.0μm大きいホウケイ酸ガラス製の毛細管を準備し、接着剤を注入したあと、光ファイバを挿入し100℃で60分間保持する硬化条件で固着して光コネクタプラグを作製した。その後、端面を研磨した光コネクタ用フェルール端面の電子顕微鏡観察を行った。その結果、図8に見られるように、ジルコニアセラミクス製の毛細管と同様、内孔の一方の接着剤層が明らかに厚くなっており、内孔の他方の側壁に光ファイバが偏っていることが確認された。フェルール内孔と光ファイバ外周との間の間隙は最も狭いところで0.05μmであった。
【0053】
実際に、上記のホウケイ酸ガラス製の光ファイバ用毛細管を用いて光コネクタ用フェルールを作製し、12個のサンプルを調芯せずにランダムに接続した。
【0054】
調芯効果がない場合の寸法上の理論的な最大軸ずれ量は2.0μmとなり、数1によれば最大0.69dBの接続損失となるが、実測定の結果は無調芯接続で平均接続損失が0.24dB、最大接続損失が0.58dB、標準偏差が0.14dBであった。このときの接続損失分布を図9に示す。最大値を推測するために平均値に標準偏差σの3倍を加え、99.7%の確率の最大接続損失を求めると0.66dBとなる。数1により計算すると1.95μmの軸ずれに相当する。これは上記の調芯効果がない場合の予測値とほぼ一致する。この結果からも、表面粗さが極めて小さいホウケイ酸ガラス製の毛細管を用いた光ファイバスタブでは内孔内で光ファイバの調芯がほとんど起こらないといえる。また、この結果は、図8の電子顕微鏡写真を観察した結果ともほぼ一致している。
【0055】
以上のように、表面粗さのRa値が0.1μm未満では、光コネクタ用フェルール内孔内で光ファイバが偏心してしまうので、光コネクタ用フェルールの内外面同心度に加えて、内孔の内径と光ファイバ直径との差が光コネクタ接続時の軸ずれ量に加算されることになる。
【0056】
次に、本発明の光ファイバ用毛細管と、それを用いた光コネクタ用フェルール、及び光ファイバ付毛細管を作製する方法について説明する。
【0057】
本発明の光ファイバ用毛細管を作製する場合、例えば、ガラス相と結晶相が約50対50の割合で含まれた結晶化ガラスからなる母材を準備し、結晶化ガラスを約1200℃付近の成形温度で光ファイバと同様の製造法である線引き加工によって毛細管を作製する。この母材の結晶析出条件に応じた熱処理を延伸成形の最終段階までの間に行うことで、析出する結晶粒径が0.1μm〜1.0μm程度となるように、例えば、β−スポジュメン等の結晶粒径を制御しながら析出させることで、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmである内孔を有する毛細管を作製する。あるいは、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔や、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔、およびこれら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管を作製することが可能となる。
【0058】
また、成形後や加工後の結晶化ガラスからなる毛細管を熱処理することで、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmである内孔を有する毛細管、あるいは、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔を有する毛細管や、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管、およびこれら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管を作製してもよい。
【0059】
一方、機械的な手段によって毛細管を作製する場合には、材料が結晶化ガラス、ガラス、セラミクスの何れでも使用可能であり、ジルコニアセラミクス製等の毛細管を作製する際に、仕上げ研磨前の段階で使用される内面研削加工装置等を用いて、寸法形状を有する材料の硬度や耐摩耗性に応じて、研削ワイヤーの寸法形状や砥粒の種類及び粒径等を適宜選定使用することにより、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μm内孔に加工して毛細管を作製するか、または、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり表面粗さのRy値が4.0μm以下の内孔を有する毛細管や、表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであり平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管、およびこれら表面粗さのRa値及びRy値を備え、かつ平均線と山頂線との差δが2.0μm以下の内孔を有する毛細管を作製してもよい。
【0060】
このようにして作製された毛細管を使用して、図1(A)に示すような、内孔20aの表面粗さのRa値が、例えば、約0.3μm、Ryが約2.0μm、平均線と山頂線の差が約1.0μmで内孔20aの内径が光ファイバよりも約1.0μm(0.95〜1.05μm)大きい光ファイバ用毛細管20を作製する。
【0061】
次に、本発明の光コネクタ用フェルールを作製する場合の一例を示すと、上記の方法で作製された図1(A)に示すような光ファイバ用毛細管20の中心軸に対して略垂直な端面20bの外周縁部にC面取り加工を施し、必要な場合には内孔20aの端面を中心とした予備的な凸球面研磨加工を施して、光ファイバを内孔20aに案内するフレア部21eが形成された端面21cにはフランジ部材21fを固着することにより、図1(B)に示すような光コネクタ用フェルール21を作製する。
【0062】
次いで、図1(C)に示すような、本発明の光ファイバ付毛細管を作製する場合の一例を示すと、先に記述した方法で作製された結晶化ガラスからなる毛細管、あるいは機械的な手段によって作製された毛細管を準備する。図10に示すように、この毛細管25は、外径が1.249mm±0.5μmの寸法で高い真円度を有しており、内孔25aは、石英系光ファイバの直径125μmに対して126μm+1/−0μmになっており、かつ同心度が1.0μm以内であり、呼び直径Dが1.25mmの略円柱状の光コネクタ用フェルールに対して光ファイバを正確に位置決めして保持できるようになっている。毛細管25の端面には、光ファイバ22を案内して挿入を容易にする略円錐形状のフレア部25eが形成されている。
【0063】
光ファイバ付き毛細管を作製する場合、まず、毛細管25の内孔25aに図10(A)のように、予め接着剤26を毛管現象または真空吸引装置または加圧注入装置を利用して充填した後、図10(B)のように、フレア部25eから被覆が除去された光ファイバ27を挿入する。この際、光ファイバ27を挿入しながら接着剤26を内孔25aと光ファイバ27の間隙に気泡等が生じないように均一に充填する。その後、接着剤26を硬化させて光ファイバ27を毛細管25に固着する。
【0064】
また、接着剤26が熱硬化性の場合は、図10(C)のように、所定の温度スケジュールにプログラムされた加熱オーブン30に入れて毛細管25内の接着剤26を硬化させる。この際、例えば、100℃で1時間以上保持することで硬化する接着剤の場合、20〜70℃にて5時間以上保持すること、および100℃以上で接着剤を硬化し、降温時に70〜20℃にて1時間以上保持することにより、接着剤硬化時に生じる収縮応力、気泡の発生を低減することができる。
【0065】
次いで、光ファイバスタブを作製する場合、図11に示すように、全長Lが約250mmの光ファイバ27付の長尺毛細管25を切断して、全長L1が12.5mm(所定長さ:6mm×2+切断代:0.4mm+研磨代:0.1mm)の光ファイバ27付の毛細管31に分断する。この光ファイバ27付の毛細管31の両端面31b、31cに45゜のC面取31dを加工し、C面取31dと側面とが成すコーナー部分をR加工する。次いで、両端面31b、31cを凸球面にPC研磨加工することにより、光ファイバ付部材32を作製する。
【0066】
次に、図11(D)に示すように、光ファイバ付部材32の中央部分を、中心軸を法線とする面に対して8゜の角度をつけて切断する。次いで、切断された8゜の斜め部分を鏡面に研磨し、光ファイバスタブ22を作製する。
【0067】
あるいは、全長L1が6mmである光ファイバ27付の毛細管31の端面31bに45゜のC面取31dを加工し、C面取31dと側面とが成すコーナー部分をR加工し、端面31aを凸球面にPC研磨加工する。端面31cは8゜の角度がつくまで斜め研磨し、最後に鏡面まで研磨して端面31cを仕上げて光ファイバスタブ22を作製する。
【0068】
なお、光ファイバ用毛細管内孔の表面粗さのRa値は、ダイヤモンド指針をサンプル表面に接触させるセンシング方式の株式会社東京精密製Surfcomを使用し、垂直倍率10000倍、水平倍率50倍の倍率、測定速度0.3mm/秒で測定を行った。また、電子顕微鏡写真は、700倍の倍率で撮影したものである。
【0069】
【発明の効果】
発明によれば、内孔に設けた所定の表面粗さを利用して、光通信技術の発展に伴い要求されている低い接続損失を実現できる光ファイバ用毛細管、光コネクタ用フェルール及び光ファイバ付毛細管を作製することが可能となり、調芯作業を必要とせずに良好な接続損失が得られ、且つ安価に作製が可能な該光ファイバ用毛細管を用いた光コネクタ、光ファイバ付毛細管を使用した光デバイスを提供することができる優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図であって、(A)は実施の形態に係る光ファイバ用毛細管の説明図、(B)は光コネクタ用フェルールの説明図、(C)は光ファイバスタブの説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係る光ファイバ用毛細管内孔の表面粗さの測定チャート。
【図3】研磨後の結晶化ガラス製毛細管を用いた光コネクタ用フェルール端面の電子顕微鏡写真。
【図4】同心度が1.0μm以下である結晶化ガラス製毛細管を用いた光コネクタの無調芯接続での接続損失分布。
【図5】同心度が0.7μm以下である結晶化ガラス製毛細管を用いた光コネクタの無調芯接続での接続損失分布。
【図6】研磨後のジルコニアセラミクス製毛細管を用いた光コネクタ用フェルール端面の電子顕微鏡写真。
【図7】同心度が1.0μm以下であるジルコニアセラミクス製毛細管を用いた光コネクタの無調芯接続での接続損失分布。
【図8】研磨後のホウケイ酸ガラス製毛細管を用いた光コネクタ用フェルール端面の電子顕微鏡写真。
【図9】同心度が1.0μm以下であるホウケイ酸ガラス製毛細管を用いた光コネクタの無調芯接続での接続損失分布。
【図10】光ファイバ付毛細管の作製方法の説明図であって、(A)は光ファイバ用毛細管に接着剤を充填する説明図、(B)は(A)の光ファイバ用毛細管に光ファイバを挿入する説明図、(C)は接着剤を固化する説明図。
【図11】光ファイバスタブの作製方法の説明図であって、(A)は光ファイバ付長尺毛細管から所定長さに切断された短尺の光ファイバ付毛細管の説明図、(B)は端面を面取り加工された短尺の光ファイバ付毛細管の説明図、(C)は光ファイバ付部材の説明図、(D)は光ファイバ付部材を斜めに分断する説明図(E)は光ファイバスタブの説明図。
【図12】光モジュールに使用される光ファイバ付毛細管を加工した光ファイバスタブの説明図。
【図13】PC接続される光コネクタの要部説明図。
【符号の説明】
1 レーザーダイオード
2 レンズ
3、10 光コネクタプラグ
4、11 光コネクタ用フェルール
4a、7a、11a、20a、25a、31a 内孔
7、20、25 光ファイバ用毛細管
5、8、12、23、27 光ファイバ
5a、8a、12a、 光ファイバの端面
7b、7c、12b、20b、21c、22b、22c、31b、31c、25b、25c 端面
9、13 割スリーブ
6、22 光ファイバスタブ
14、21f フランジ部材
21e、25e フレア部
21d、22d C面取り部
24、26 接着剤
25 毛細管
30 加熱オーブン
32 光ファイバ付部材
δ 平均線と山頂線との差

Claims (6)

  1. 結晶性ガラスを熱的に処理することにより非晶質ガラス中に結晶粒径制御して析出させた結晶化ガラスからなり、光ファイバが挿入保持可能な内径を有する内孔を備え、該内孔の表面に析出した結晶粒子が内孔の表面に平均線よりも高い凸部を形成しており、該内孔の表面粗さのRa値が0.1μm〜0.5μmであることを特徴とする光ファイバ用毛細管。
  2. 内孔の表面粗さのRy値が4.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用毛細管。
  3. 内孔の表面粗さの平均線と山頂線との差が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ用毛細管。
  4. 内孔の表面に、機械的な加工手段によって所定の表面粗さを設けてなることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の光ファイバ用毛細管。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の光ファイバ用毛細管に、一方の端部にスリーブへの挿入を案内する面取り部と、他方の端部に開口して光ファイバを内孔に案内するフレア部とが形成されている光コネクタ用フェルール。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の光ファイバ用毛細管と、該光ファイバ用毛細管の内孔に挿着された光ファイバとを備えている光ファイバ付毛細管。
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