JP3346753B2 - 射出成形金型 - Google Patents

射出成形金型

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JP3346753B2
JP3346753B2 JP33028999A JP33028999A JP3346753B2 JP 3346753 B2 JP3346753 B2 JP 3346753B2 JP 33028999 A JP33028999 A JP 33028999A JP 33028999 A JP33028999 A JP 33028999A JP 3346753 B2 JP3346753 B2 JP 3346753B2
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真 住田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの接続
端部が埋設されると共にスリーブに対して抜き外し可能
に嵌合される光コネクタのフェルールを射出成形するた
めの金型に関し、特にシングルモード光ファイバの接続
端部を埋設した高精度のプラスチックフェルールに対し
て好適なものである。
【0002】
【従来の技術】光通信技術の進展により、各家庭にまで
光ファイバを導入し、多彩な通信サービスを提供するこ
とが可能となりつつある。こうした光通信加入者系の通
信網の実現のためには、経済的な光コネクタが必要であ
る。
【0003】従来、光通信に使用する光ファイバを接続
するためには、図12に示すような構造の光コネクタ1
00が用いられており、長手方向に延在するスリット2
01が形成されて半径方向に弾性変形可能な円筒状をな
すスリーブ200の長手方向両側から一対のフェルール
300を突き当て状態で差し込み、各フェルール300
に接続端部が埋設された光ケーブル1を一直線上に接続
するようにしている。このような従来のフェルール30
0の断面構造を図13に示す。すなわち、フェルール3
00はスリーブ200に対して抜き外し可能に嵌合され
る嵌合面301と、光ファイバの先端が臨む端面302
と、この端面302に向けて先細りとなって嵌合面30
1の先端側に続くテーパ面303と、嵌合面301の基
端側に配されてこの嵌合面301よりも大径のフランジ
部304とが外側に形成され、内側には端面302に開
口して光ファイバ素線が挿通される素線挿通孔305
と、この素線挿通孔305に連通して光ファイバ心線が
通される心線ガイド孔306とが形成され、前記端面3
02は素線挿通孔305の軸線に対して端面302は垂
直に設定され、嵌合面301は素線挿通孔305に対し
て同心状に形成されている。
【0004】このようなフェルール300においては、
素線挿通孔305の内径や嵌合面301に対するその偏
心量、あるいは嵌合面301の外径およびその真円度な
ど、極めて高い加工精度が要求されるため、従来はセラ
ミックスや金属などの材料を切削および研磨加工によっ
て製造していた。このため、製造効率が悪く、製造コス
トが高くなる問題があった。
【0005】このような問題を解決するため、プラスチ
ックの射出成形によってフェルール300を製造するこ
とが試みられている。プラスチックを用いたフェルール
300の場合、セラミックスや金属などを用いた従来の
フェルール300に対する寸法精度を必ずしも満たす必
要はなく、例えば、嵌合面301の外径の寸法公差とし
て±1μm、嵌合面301の円筒度として2μm以下を実
現すれば、十分であることが実験的に確認されている。
その理由としては、必ずしも明らかではないけれども、
プラスチック材料がセラミックスや金属などと比較する
と、弾性変形量が相対的にかなり大きいことによるもの
と推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図12に示した光コネ
クタ100におけるプラスチック製のフェルール300
に関し、これまで多くの検討がなされてきたが、光ケー
ブル1として現在使用中のコア部の外径が8〜10μm
のいわゆるシングルモード光ファイバには未だ適用でき
るものではなかった。その最大の原因は、嵌合面301
に対する素線挿通孔305の偏心量が目標とする0.7
μm以下にすることが困難なことであり、また、嵌合面
301の外径寸法誤差を1μm以下にすることが極めて
困難なためである。つまり、このような成形加工精度を
実現できないのは、金型の寸法精度などが不十分なため
であった。
【0007】最近、このような金型の寸法精度の改善な
どによって、嵌合面301に対する素線挿通孔305の
偏心量を0.7μm以下にしたり、嵌合面301の外径寸
法誤差を1μm以下にすることが可能となりつつある
が、このような金型を用いて射出成形されたフェルール
300の先端部の外径寸法形状を図14に示す。この図
14から明らかなように、フェルール300のテーパ面
303と嵌合面301との境界部分において嵌合面30
1よりも2〜5μm程度外径寸法が急激に増大する外径
寸法異常が発生することが判明した。
【0008】このようなフェルール300を光コネクタ
100として使用した場合、その接続特性や信頼性など
に悪影響をもたらす。この外径寸法異常は、フェルール
300として使用するプラスチックの異方性の度合いに
も依存しており、プラスチックの材料組成を改良するこ
とによってもある程度の改善が可能であるが、金型構造
や成形条件のマージンが狭くなり、本質的な改善が望ま
れていた。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、シングルモード光ファ
イバの接続に使用可能な高精度のプラスチック製光コネ
クタ用フェルールを外径寸法異常なく製造することがで
きる射出成形金型を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による射出成形金
型は、スリーブに対して抜き外し可能に嵌合される嵌合
面と、この嵌合面の一端側に形成されて当該嵌合面より
も小径の段差面と、光ファイバの先端が臨む端面と、こ
の端面に向けて先細りとなって前記段差面に続くテーパ
面と、前記端面に開口して光ファイバ素線が挿通される
素線挿通孔と、この素線挿通孔に続いて光ファイバ心線
が通される心線ガイド孔とを有する光コネクタ用フェル
ールに対応した形状のキャビティが形成される射出成形
金型であって、前記嵌合面を成形するための嵌合面成形
駒と、前記段差面を成形するための段差面成形駒と、前
記テーパ面を成形するためのテーパ面成形駒と、前記端
面を成形するための端面成形駒と、前記キャビティに突
出するように前記端面成形駒に設けられて前記素線挿通
孔を成形するための挿通孔成形ピンと、前記キャビティ
に突出して前記心線ガイド孔を成形するためのピンキャ
ッチャと、このピンキャッチャの先端部に形成されて前
記挿通孔成形ピンの先端部を抜き外し可能に保持するピ
ン保持孔とを具えたことを特徴とするものである。
【0011】本発明によると、射出成形金型のキャビテ
ィにプラスチックが注入されると、嵌合面成形駒によっ
てフェルールの嵌合面が成形され、段差面成形駒によっ
てフェルールの段差面が成形され、テーパ面成形駒によ
ってフェルールのテーパ面が成形され、端面成形駒によ
ってフェルールの端面が成形され、挿通孔成形ピンによ
ってフェルールの端面に開口する素線挿通孔が成形さ
れ、この素線挿通孔に連通する心線ガイド孔がピンキャ
ッチャによって成形される。
【0012】フェルールの嵌合面とテーパ面との間に
は、段差面成形駒によって成形される段差面があり、こ
の段差面によりキャビティに注入されるプラスチックの
配向性の激変に伴う外径寸法異常が緩和される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による射出成形金型におい
て、挿通孔成形ピンに対するテーパ面成形駒および段差
面成形駒および嵌合面成形駒の調心手段をさらに設ける
ようにしてもよい。あるいは、キャビティに連通する樹
脂供給通路にその通路断面積を変更するための可変絞り
をさらに設けるようにしてもよい。
【0014】先端側がピン保持孔よりも端面成形駒側に
突出して挿通孔成形ピンを囲む環状の筒部をさらにピン
キャッチャに形成するようにしてもよい。また、挿通孔
成形ピンの長手方向に沿った段差面成形駒の厚みをテー
パ面成形駒の厚みの0.5倍以上かつ2.0倍以下にする
ことが好ましく、0.5倍未満あるいは2倍を越えた場
合には、本発明による効果を得ることが困難となる。
【0015】素線挿通孔の長さは3mm以上あることが好
ましく、3mmに満たない場合には、素線挿通孔に挿通さ
れる光ファイバ素線と素線挿通孔が形成されたフェルー
ルとの接着強度が不足してしまうおそれがある。
【0016】
【実施例】本発明による射出成形金型を光コネクタ用フ
ェルールに対して応用した実施例について、図1〜図1
1を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのよう
な実施例に限らず、これらをさらに組み合わせたり、こ
の明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に
包含されるべき他の技術にも応用することができる。
【0017】本実施例の射出成形金型によって製造され
るフェルールの断面構造を図1に示す。すなわち、本実
施例におけるフェルール10は、図示しないスリーブに
対して抜き外し可能に嵌合される嵌合面11と、この嵌
合面11の一端側に形成されて当該嵌合面11よりも小
径の段差面12と、図示しない光ファイバ素線、すなわ
ち光ケーブルの素線部の先端(接続端面)が臨む端面1
3と、この端面13に向けて先細りとなって段差面12
に続くテーパ面14と、嵌合面11の他端側に形成され
て嵌合面11よりも大径のフランジ部15と、このフラ
ンジ部15を挟んで嵌合面11の反対側に形成されて光
ケーブルを保持するためのケーブル接続部16と、この
ケーブル接続部16とフランジ部15との間に形成さ
れ、外径がケーブル接続部16よりも大きくフランジ部
15よりも小さな段部17と、端面13に開口して光ケ
ーブルの素線部が挿通される素線挿通孔18と、この素
線挿通孔18に連通して図示しない光ファイバ心線、す
なわち光ケーブルの心線部が通される心線ガイド孔19
とを有する。素線挿通孔18および心線ガイド孔19の
軸線は同軸状に設定され、テーパ面14,段差面12,嵌
合面11,フランジ部15,ケーブル接続部16は、素線
挿通孔18および心線ガイド孔19の軸線に対して同心
状に設定されている。素線挿通孔18は、端面13から
嵌合面11の一端側に亙って形成され、心線ガイド孔1
9は嵌合面11の一端側からケーブル接続部16に亙っ
て形成され、素線挿通孔18と心線ガイド孔19との間
には、心線ガイド孔19から素線挿通孔18に向けて先
細りとなるテーパ部20が形成されている。
【0018】図示例におけるテーパ面14の最小径およ
び最大径はそれぞれ1.86mm,2.44mmであり、その
テーパ角θは30度に設定されている。また、段差面1
2の外径は2.48mmであり、テーパ面14および段差
面12の長さa,bはそれぞれ0.5mmに設定した。嵌合
面11の外径は2.500mm、素線挿通孔18の長さc
は3.5mmに設定した。
【0019】このようなフェルール10を製造するため
の本実施例による射出成形金型の概略構造を図2および
図3に示し、その主要部の構造を図4および図5に示
し、図3中のVI−VI矢視断面構造,VII−VII矢視断面構
造をそれぞれ図6,図7に示す。すなわち、本実施例に
よる射出成形金型は、図示しない射出成形機の固定プレ
ート21に一体的に取り付けられる固定側金型22と、
可動プレート23に一体的に取り付けられる可動側金型
24とを具え、固定プレート21には射出成形機の図示
しない射出シリンダがノズル25を介して連結され、可
動プレート23には射出成形機の図示しない型締め装置
が連結され、この型締め装置の作動により可動側金型2
4が固定側金型22に対して開閉するようになってい
る。本実施例で用いられる射出成形機は、型締め圧が比
較的小さな(例えば、50トン以下)小型のものを使用
可能であり、より具体的には、油圧式射出成形機やサー
ボモータを駆動源とする電動射出成形機、あるいは射出
側/型締め側に油圧式/電動式を使用したハイブリッド
型の射出成形機を適宜使用することができる。
【0020】周知のように、固定側金型22と可動側金
型24との位置合わせ精度を確保する必要上、これらの
パーティング面PLにいわゆる「いんろう」部を形成し
たり、テーパピンやコッターブロックなどを組み込むこ
とが有効である。また、固定プレート21と可動プレー
ト23との平行度が悪いと、固定側金型22と可動側金
型24との位置合わせ精度が低下して本発明のような精
密成形を行うことが困難となるため、固定プレート21
の取り付け面26に対する可動プレート23の取り付け
面27の平行度は、可動プレート23の全移動範囲に亙
って50μm以下であることが必要であり、より好まし
くは30μm以下である。
【0021】可動側金型24との間にフェルール10の
輪郭形状に対応したキャビティ28を形成する前記固定
側金型22は、フェルール10の嵌合面11を成形する
ための嵌合面成形駒29と、段差面12を成形するため
の段差面成形駒30と、テーパ面14を成形するための
テーパ面成形駒31と、端面13を成形するための端面
成形駒32と、これら嵌合面成形駒29,段差面成形駒
30,テーパ面成形駒31,端面成形駒32を囲む固定側
駒ホルダ33と、キャビティ28に突出するように端面
成形駒32に設けられて素線挿通孔18を成形するため
の挿通孔成形ピン34とを具えている。
【0022】段差面成形駒30およびテーパ面成形駒3
1は、嵌合面成形駒29に対して一体的に固定され、こ
れらと固定側駒ホルダ33との間には隙間部35が形成
されている。隙間部35には、外周側が矩形をなす固定
側駒ホルダ33にねじ込まれて頭部がそれぞれ嵌合面成
形駒29の隣り合う一対の外周面にそれぞれ押し当たる
一対の調整ボルト36が配されている。また、固定側駒
ホルダ33を挟んでこれら調整ボルト36と対向する一
対のシム37が固定側駒ホルダ33と嵌合面成形駒29
との間に介装されている。嵌合面成形駒29が一対のシ
ム37側に押圧されるように、調整ボルト36を相互に
直交する2方向に操作することにより、固定側駒ホルダ
33に対して嵌合面成形駒29が段差面成形駒30およ
びテーパ面成形駒31と共に一体化されるようになって
いる。
【0023】従って、適当な厚みのシム37を固定側駒
ホルダ33と嵌合面成形駒29との間に介装することに
より、挿通孔成形ピン34に対する段差面成形駒30,
テーパ面成形駒31,嵌合面成形駒29の偏心量を例え
ば±10μmの範囲内で微調整することが可能であり、
これら調整ボルト36やシム37などが本発明の調心手
段に相当する。
【0024】前記可動側金型24は、フェルール10の
フランジ部15を成形するためのフランジ部成形駒38
と、段部17を成形するための段部成形駒39と、ケー
ブル接続部16を成形するための接続部成形駒40と、
これらフランジ部成形駒38,段部成形駒39,接続部成
形駒40が一体的に連結されるコア41と、これらフラ
ンジ部成形駒38,段部成形駒39,接続部成形駒40,
コア41を囲む可動側駒ホルダ42と、コア41に突設
されて心線ガイド孔19を成形するための中空構造のピ
ンキャッチャ43とを具える。
【0025】このピンキャッチャ43の先端部には、挿
通孔成形ピン34の先端部を抜き外し可能に保持するピ
ン保持孔44が設けられており、フェルール10の成形
時において挿通孔成形ピン34の先端部がピンキャッチ
ャ43のピン保持孔44に嵌合して保持された状態とな
る。これによって、細くて脆弱な挿通孔成形ピン34の
先端部がキャビティ28内に注入される溶融プラスチッ
クの流動に伴って位置がずれてしまうような不具合が未
然に防止され、テーパ面成形駒31,段差面成形駒30,
嵌合面成形駒29に対する挿通孔成形ピン34の同心状
態を正確に維持することができ、偏心量の少ないフェル
ール10を製造可能である。
【0026】このピン保持孔44と挿通孔成形ピン34
との嵌合部分には、数μmの隙間を形成する必要がある
が、この隙間の寸法が不適切であったり、フェルール1
0を構成するプラスチック材料の特性によっては、成形
時にこの隙間の部分に溶融プラスチックが回り込んでバ
リが発生してしまい、素線挿通孔18と心線ガイド孔1
9とを連通させることができなくなるため、この隙間の
寸法を適切に設定すると共に適切なプラスチック材料を
選択する必要がある。
【0027】フランジ部成形駒38のパーティング面P
Lには、キャビティ28に連通して図示しない射出シリ
ンダから供給される溶融プラスチックをキャビティ28
に導くためのゲート45が形成されている。このゲート
45を通過するプラスチックの流動状態を調整するため
のシャッタ46がフランジ部成形駒38,段部成形駒3
9,接続部成形駒40,コア41を貫通するように可動側
金型24に設けられ、図示しないアクチュエータに連結
されている。そして、このアクチュエータを駆動するこ
とによってゲート45に対するシャッタ46の先端部の
突出量が調整され、キャビティ28におけるプラスチッ
クの流動状態が変化して挿通孔成形ピン34に対する段
差面成形駒30,テーパ面成形駒31,嵌合面成形駒29
の偏心量を例えば±3μmの範囲内で微調整することが
可能であり、上述したシャッタ46が本発明における可
変絞りに該当する。
【0028】なお、固定側金型22に設けられたランナ
47(図2参照)を介してノズル25に連通するゲート
45の構造としては、その位置に応じてピンポイントゲ
ート,リングゲート,フィルムゲートなどを適宜選択する
ことができる。また、プラスチックの射出条件として
は、射出時のプラスチックの流速をより高速にした高速
射出法(射出圧力は低下する)や、あるいはプラスチッ
クの流速をできるだけ落として、成形後のフェルール1
0の残留歪みを低下させる低速射出成形法などを適宜利
用することができる。
【0029】上述したように、挿通孔成形ピン34の先
端部をピンキャッチャ43によって保持することによ
り、成形時における素線挿通孔18の偏心の揺らぎを抑
制することができるけれども、この偏心量の絶対値に関
しては必ずしも0になるとは限らない。すなわち、射出
成形金型を構成する上述した各部品の加工精度を限りな
く上げ、部品レベルとしては偏心量を0となるように設
定したとしても、これらを組み合わせた場合、少なくと
も1〜2μmのクリアランスが必要となる。従って、射
出成形金型の組み付け状態によっては、期待できる偏心
量が必ずしも0とはならず、組み付け状態に依存した偏
心が生ずることから、上述した調心機構や可変絞りを利
用することによって、素線挿通孔18の偏心量を最小限
に抑えることができる。
【0030】従って、射出シリンダからノズル25を介
して固定側金型22内に供給される溶融プラスチック
は、ランナ47からゲート45を通ってキャビティ28
に射出され、これがキャビティ28全体に亙って充填さ
れると同時に、キャビティ28内の空気は型締め動作に
伴ってエアベント48から外部に排出される。そして、
成形が終了すると可動側金型24が移動して型開きが行
われ、フェルール10が射出成形金型から抜き外され
る。
【0031】上述した金型を用い、表1の成形条件にて
ガラスビーズ入り液晶ポリマー製のフェルール10を射
出成形し、このフェルール10の軸線に沿ったテーパ面
14から嵌合面11に至る輪郭形状を図8に示す。この
図8から明らかなように、嵌合面11とテーパ面14と
の境界で発生していた従来のような外径寸法異常が解消
されている。この詳細なメカニズムについては必ずしも
明らかではないが、段差面12を設けることにより、従
来のようなプラスチックの配向性の激変が緩和されたも
のと考えられる。
【0032】
【表1】
【0033】なお、調心手段を使用しない場合、素線挿
通孔18の偏心量は平均2.8μmであったが、シム37
の厚みを最適化することにより、平均偏心量を0.5μm
まで抑えることが可能となった。このようにして製作し
たフェルール10の寸法特性を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】この表2から明らかなように、得られたフ
ェルール10はシングルモード光ファイバのフェルール
10として適用可能な特性であることが理解できよう。
【0036】上述した実施例における射出成形金型は、
いわゆる「1個取り」用の金型として説明しているが、
多数個取りの射出成形金型に対しても応用することがで
きる。
【0037】次に、図9に示すような構造のフェルール
10を製造するための本発明による射出成形金型の他の
実施例について図11およびその主要部を抽出拡大した
図12を用いて説明するが、先の実施例と同一機能の部
材にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省
略するものとする。
【0038】図9に示したフェルール10は、素線挿通
孔18を囲む環状の空隙49を有する点で先の実施例と
相違し、この空隙49は、心線ガイド孔19の外周部を
フェルール10の端面13側に延在させたものである。
この空隙49以外の構造は、先の実施例と基本的に同一
であり、素線挿通孔18の長さcは3.5mm、テーパ面
14のテーパ角度θは30度であり、その最小径および
最大径をそれぞれ1.81mmおよび2.39mmに設定し
た。また、嵌合面11の外径は2.500mmであり、段
差面12の外径は2.40mmである。また、フェルール
10の軸線方向に沿ったテーパ面14および段差面12
の長さa,bはそれぞれ0.5mmとした。
【0039】上述したフェルール10の空隙49を形成
するため、ピンキャッチャ43の先端部外周には、先端
側がピン保持孔44よりも端面成形駒32側に突出する
環状の筒部50が形成されており、成形時において挿通
孔成形ピン34の先端側を囲むようになっている。この
ような筒部50を形成することにより、フェルール10
の素線挿通孔18が形成された部分のフェルール10の
肉厚と心線ガイド孔19が形成された部分のフェルール
10の肉厚との相違に基づく成形後の内部応力や熱歪み
などを緩和する空隙49がフェルール10に形成される
結果、フェルール10の嵌合面11の外径寸法や嵌合面
11の円筒度をさらに改善することができる。
【0040】得られたフェルール10の寸法特性を表3
に示すが、上述したような筒部50を形成することによ
り、フェルール10の嵌合面11の外径寸法や嵌合面1
1の円筒度を先の実施例よりもさらに改善することがで
き、良好な寸法特性のフェルール10を製造可能であ
る。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明の射出成形金型によると、光コネ
クタ用フェルールの嵌合面を成形するための嵌合面成形
駒とテーパ面を成形するためのテーパ面成形駒との間に
嵌合面よりも小径の段差面を成形するための段差面成形
駒を設けたので、キャビティに注入されるプラスチック
の配向性の激変に伴う外径寸法異常が緩和され、シング
ルモード光ファイバに対して適用可能な寸法誤差の少な
い良好な品質のプラスチック製フェルールを射出成形に
よって大量かつ安価に製造することができる。
【0043】挿通孔成形ピンに対するテーパ面成形駒と
段差面成形駒と嵌合面成形駒との調心手段を設けた場合
には、素線挿通孔と嵌合面とを正確に同心状に設定して
接続損失を最小限に抑えることが可能な光コネクタフェ
ルールを製造することができる。
【0044】キャビティに連通する樹脂供給通路にその
通路断面積を変更するための可変絞りを設けた場合に
は、キャビティに注入される樹脂の流動状態の変化に伴
って素線挿通孔に対する嵌合面の偏心量が変わるため、
複雑な機構の調心手段を射出成形金型に組み込まずと
も、素線挿通孔に対する嵌合面の偏心量を最小限に抑え
ることができる。
【0045】先端側がピン保持孔よりも端面成形駒側に
突出して挿通孔成形ピンを囲む環状の筒部をピンキャッ
チャに形成した場合には、成形されるフェルールに素線
挿通孔を囲む環状の空隙が形成されるため、この空隙が
フェルールの肉厚の不均一に基づく成形歪みなどを緩和
する緩衝領域として機能するため、さらに高精度なフェ
ルールを製造することができる。
【0046】挿通孔成形ピンの長手方向に沿った段差面
成形駒の厚みをテーパ面成形駒の厚みの0.5倍以上か
つ2.0倍以下に設定した場合には、キャビティに注入
されるプラスチックの配向性をより安定させることがで
きるため、外径寸法異常がさらに緩和されたフェルール
を射出成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における加工対象となった光コネクタ用
フェルールの内部構造を表す断面図である。
【図2】本発明による射出成形金型を図1の光コネクタ
用フェルールに対して適用した一実施例の概略構造を表
す断面図である。
【図3】図2に示した射出成形金型の主要部の拡大断面
図である。
【図4】図3の中央部をさらに拡大した断面図である。
【図5】図4における挿通孔成形ピンとピンキャッチャ
のピン保持孔との嵌合状態を表す拡大断面図である。
【図6】図3中のVI−VI矢視に沿った拡大断面図であ
る。
【図7】図3中のVII−VII矢視に沿った断面図である。
【図8】本実施例の射出成形金型によって成形された光
コネクタフェルールの先端部の輪郭形状の測定結果を表
すグラフである。
【図9】本発明における加工対象となった他の光コネク
タ用フェルールの内部構造を表す破断図である。
【図10】本発明による射出成形金型を図9の光コネク
タ用フェルールに対して適用した他の実施例の断面図で
ある。
【図11】図4における挿通孔成形ピンとピンキャッチ
ャのピン保持孔との嵌合状態を表す拡大断面図である。
【図12】従来の光コネクタを用いた接続概念図であ
る。
【図13】図12に示した従来の光コネクタ用フェルー
ルの内部構造を表す断面図である。
【図14】図13に示した光コネクタフェルールを従来
の射出成形金型によって成形した場合の先端部の輪郭形
状の測定結果を表すグラフである。
【符号の説明】
10 フェルール 11 嵌合面 12 段差面 13 端面 14 テーパ面 15 フランジ部 16 ケーブル接続部 17 段部 18 素線挿通孔 19 心線ガイド孔 20 テーパ部 21 固定プレート 22 固定側金型 23 可動プレート 24 可動側金型 25 ノズル 26,27 取り付け面 28 キャビティ 29 嵌合面成形駒 30 段差面成形駒 31 テーパ面成形駒 32 端面成形駒 33 固定側駒ホルダ 34 挿通孔成形ピン 35 隙間部 36 調整ボルト 37 シム 38 フランジ部成形駒 39 段部成形駒 40 接続部成形駒 41 コア 42 可動側駒ホルダ 43 ピンキャッチャ 44 ピン保持孔 45 ゲート 46 シャッタ 47 ランナ 48 エアベント 49 空隙 50 筒部 θ テーパ面のテーパ角 a テーパ面の長さ b 段差部の長さ c 素線挿通孔の長さ PL パーティング面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 首藤 義人 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 住田 真 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 東野 俊一 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 植田 祐治 千葉県四街道市鷹の台1丁目3番 株式 会社日本製鋼所内 (72)発明者 鵜川 誠 千葉県四街道市鷹の台1丁目3番 株式 会社日本製鋼所内 (72)発明者 斑目 広和 千葉県四街道市鷹の台1丁目3番 株式 会社日本製鋼所内 (56)参考文献 特開 平11−207785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 B29C 33/00 - 33/76

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スリーブに対して抜き外し可能に嵌合さ
    れる嵌合面と、この嵌合面の一端側に形成されて当該嵌
    合面よりも小径の段差面と、光ファイバの先端が臨む端
    面と、この端面に向けて先細りとなって前記段差面に続
    くテーパ面と、前記端面に開口して光ファイバ素線が挿
    通される素線挿通孔と、この素線挿通孔に連通して光フ
    ァイバ心線が通される心線ガイド孔とを有する光コネク
    タ用フェルールに対応した形状のキャビティが形成され
    る射出成形金型であって、 前記嵌合面を成形するための嵌合面成形駒と、 前記段差面を成形するための段差面成形駒と、 前記テーパ面を成形するためのテーパ面成形駒と、 前記端面を成形するための端面成形駒と、 前記キャビティに突出するように前記端面成形駒に設け
    られて前記素線挿通孔を成形するための挿通孔成形ピン
    と、 前記キャビティに突出して前記心線ガイド孔を成形する
    ためのピンキャッチャと、 このピンキャッチャの先端部に形成されて前記挿通孔成
    形ピンの先端部を抜き外し可能に保持するピン保持孔と
    を具えたことを特徴とする射出成形金型。
  2. 【請求項2】 前記挿通孔成形ピンに対する前記テーパ
    面成形駒と前記段差面成形駒と前記嵌合面成形駒との調
    心手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載
    の射出成形金型。
  3. 【請求項3】 前記キャビティに連通する樹脂供給通路
    に付設され、この樹脂供給通路の通路断面積を変更する
    ための可変絞りをさらに具えたことを特徴とする請求項
    1または請求項2の何れかに記載の射出成形金型。
  4. 【請求項4】 先端側が前記ピン保持孔よりも前記端面
    成形駒側に突出するように前記ピンキャッチャに形成さ
    れて前記挿通孔成形ピンを囲む環状の筒部をさらに具え
    たことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記
    載の射出成形金型。
  5. 【請求項5】 前記挿通孔成形ピンの長手方向に沿った
    前記段差面成形駒の厚みは、前記テーパ面成形駒の厚み
    の0.5倍以上かつ2.0倍以下であることを特徴とする
    請求項1から請求項4の何れかに記載の射出成形金型。
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