JP3403321B2 - 吸音材を備えたケーブルリールおよびケーブルリールの吸音材形成方法 - Google Patents

吸音材を備えたケーブルリールおよびケーブルリールの吸音材形成方法

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JP3403321B2 JP21491197A JP21491197A JP3403321B2 JP 3403321 B2 JP3403321 B2 JP 3403321B2 JP 21491197 A JP21491197 A JP 21491197A JP 21491197 A JP21491197 A JP 21491197A JP 3403321 B2 JP3403321 B2 JP 3403321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸音材を備えたケー
ブルリールおよびケーブルリールの吸音材形成方法に関
し、詳しくは、自動車のステアリング装置等に装着さ
れ、固定体と可動体との間の電気接続をフラットケーブ
ルを介して行うケーブルリールに好適に用いられるもの
である。
【0002】
【従来の技術】エアバック装着車においては、エアバッ
クシステムへの給電を行うために、上記ケーブルリール
をステアリングホイール内に装備している。この種のケ
ーブルリールは、図8に示すように、ステアリングホイ
ールと連動して回転する可動体1と車体側の固定軸に固
定された固定体2とで形成する円環形状のケーブル収容
室3の内部にフラットケーブル4を渦巻き状に収容し、
該フラットケーブル4の巻回方向の両端を可動体1と固
定体2との外部に夫々導出して、コネクタあるいは電線
と接合している。該ケーブルリールにおいては、ステア
リングホイールが左右いずれか一方に回転するとフラッ
トケーブル4が巻き込まれ、いずれか他方に回転すると
巻き戻されて、ステアリングホイール側の機器(エアバ
ック)と車体側の電源とを電気的に接続している。
【0003】上記ケーブルリールにおいては、上記フラ
ットケーブル4が巻き込まれたり、巻き戻されたりする
際に、その渦巻き状とされた幅方向の両端がケーブル収
容室3の上下対向面を構成する摺動面に摺接して、不快
な摺動音を発生する問題がある。また、自動車のアイド
リング時や走行中に生じる振動によりフラットケーブル
4がステアリングホイールの軸線方向(上下方向)に振
動し、上記摺動面と衝突して不快な振動音も発生する問
題がある。
【0004】上記不快な摺動音を低減するため、実公平
6−36040号ではケーブル摺動室の少なくともいず
れか一方に、四フッ化エチレン等の滑性に優れた高滑性
シートを貼着している。また、特開平8−104471
号ではゴム等の弾性部材あるいは該弾性部材のケーブル
との接触面に四フッ化エチレンを貼りつけた吸音材5を
上記固定体および可動体の摺動面に設けられた弾性部材
係止手段により取り付けている。
【0005】上記ゴムシートの表面に四フッ化エチレン
樹脂シートを貼り付けたものは、通常、四フッ化エチレ
ン樹脂シートがゴムシートに接着させにくいため、PE
T(ポリエチレンテレフタレート)等を介在させてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記第1従来例の実公
平6−36040号のように四フッ化エチレン樹脂シー
トを摺動面に貼着しただけでは、滑性に優れているため
摺動音は低減できるが、軸方向にケーブルが振動して摺
動面に衝突した時に発生する不快な音は低減することは
困難である。特に、アイドリング時には、この振動によ
る不快な音が相当大きく響きやすい。上記第2従来例の
特開平8−104471号のゴム等の弾性部材を介在さ
せた場合は、上記振動音は低減できるが、フラットケー
ブルと接触するゴムが滑性が悪いため、摺動音を低減す
ることが困難となる。
【0007】上記ゴムシートの表面に四フッ化エチレン
樹脂シートを張り付けた場合は、フラットケーブルとの
接触面が四フッ化エチレン樹脂となるため滑性がよくな
り、摺動音が低減でき、かつゴムシートとにより振動音
を吸収して低減することができる。
【0008】しかしながら、円環形状のケーブル収容室
の摺動面は円環形状であるため、図9(A)(B)
(C)に示すように、ゴムシート5a、PETフィルム
5bおよび四フッ化エチレン樹脂シート5cをそれぞれ
円環形状に打ち抜いて使用しなけらばならない。よっ
て、材料のロスが非常に多く、特に、四フッ化エチレン
樹脂シートは高価であるため、全体的なコストが高くな
る問題がある。
【0009】さらに、ゴムシートにPETフィルムを接
着剤を用いて貼り付けた後、PETフィルムに接着剤を
用いて四フッ化エチレン樹脂シートを貼り付けるため、
工程数が多くなり、作業手数がかかり、この点からもコ
スト高になる問題がある。
【0010】さらにまた、吸音効果のあるゴムシートの
表面に硬度の高いPETフィルムが介在するため、吸音
効果が低下する問題もある。かつ、四フッ化エチレン樹
脂シートも通常厚さが20μm以上であるため、厚みの
ある四フッ化エチレン樹脂シートが表面に位置すること
となり、中間層の上記PETフィルムと併せて吸音効果
が悪くなる欠点がある。
【0011】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
ので、摺動音および振動音の両方を効率よく吸音できる
と共に、安価に製造することができる吸音材を備えたケ
ーブルリールおよびケーブルリールの吸音材形成方法を
提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、請求項1で、固定体と、該固定体に対し
て回転自在に組つけられる可動体とで円環状のケーブル
収容室が形成され、該ケーブル収容室内にフラットケー
ブルを渦巻き状に収容して、その巻回方向の両端が上記
固定体と可動体の外部に導出されているケーブルリール
において、上記フラットケーブルの幅方向の両端と対向
する上記ケーブル収容室の摺動面のフラットケーブルの
自重方向の一方に、周方向に等間隔をあけて少なくとも
3カ所に内周端より外周端にかけて径方向に延在する発
泡材からなる細幅状の吸音材を配置し、かつ、該吸音材
のフラットケーブルと接触する頂面の中央に凹部を設
け、該凹部に高滑性剤を充填して吸音材表面より突出さ
せて高滑性被覆層を設け、上記フラットケーブルが高滑
性被覆層に接触しながら摺動させる構成とする一方、上
記フラットケーブルの反自重方向である他方にはクリア
ランスを設けていることを特徴とする吸音材を備えたケ
ーブルリールを提供している。
【0013】上記ケーブルリールは自動車のステアリン
グ装置に取り付けられ、エアバックシステムへの給電用
として好適に用いられる。上記ケーブルリールにおい
て、ステアリングホイールと連動して回転する上記回転
体が一方向へ回転した時、フラットケーブルは巻き込ま
れる一方、他方向へ回転時にた時は巻き戻される。この
回転作動時にフラットケーブルの幅方向の端部、特に、
自重が作用する下端が下方の摺動面に摺接する。該摺動
面の周方向の少なくとも3カ所に径方向に延在する発泡
材からなる吸音材を配置しているため、上記フラットケ
ーブルはこれら吸音材の表面を摺動する。その際、吸音
材を従来のように摺動面の全面にわたって配置しておら
ず部分的に配置しているため、接触面積がすくなくな
り、その分、摺動音および振動音を低減できる。かつ、
吸音材として発泡材を用いているため、従来用いられて
いるゴムと比較して吸音作用に優れ、特に、アイドリン
グ時および走行時など、振動が発生してフラットケーブ
ルが軸方向に振動して、その下端が下方の摺動面に衝突
しても、その振動音は発泡材で吸収され、不快な振動音
の発生を低減できる。しかも、吸音材の表面には高滑性
被膜層を備えているので、摩擦抵抗が大幅に低減され摺
動音は殆ど無くすことが出来ると共に、フラットケーブ
ルの巻き込み、巻き戻しがよりスムーズになる。また、
上記フラットケーブルの反自重方向となる上端には、ク
リアランスを設けているので、吸音材を用いることなく
上記下端側の吸音材だけで振動吸収を図ることができ、
更なる材料費の削減も図られる。
【0014】上記吸音材の表面より突出させる高滑性被
覆層の頂面を球面状に突出させ、フラットケーブルとの
接触面積を最小としている。このように、吸音材の表面
より突出させる高滑性被覆層を球状にすると、フラット
ケーブルとの接触を線接触として接触面積を最小とで
き、それだけ、摺動音の発生を低減できる。また、フラ
ットケーブル側では接触摩耗を低減できる。
【0015】上記高滑性剤としてフッ素樹脂系コーティ
ング剤が好適に用いられる。このように、フラットケー
ブルとの接触面に高滑性材層を設けると、フラットケー
ブルの滑りがよくなり、摺動音の発生を低減できる。
【0016】フラットケーブルの滑りをよくするため、
従来は、四フッ化エチレン樹脂をシート状に予め成形し
たものを用い、該四フッ化エチレン樹脂シートを接着剤
を介してゴム部材に取り付けることは困難であったた
め、PET等を介在せざるを得なかったが、本発明では
フッ素樹脂系コーティング剤を液状の段階で接着剤と混
合し、この液をスプレー方式あるいはハケぬり、ロール
コーティング等の適宜の方法で発泡材の表面に直接的に
塗布し、その後、所要温度で加熱して硬化して、極薄の
高滑性被膜層を形成している。
【0017】このように、フッ素樹脂系コーティング剤
のままで用いて、かつ、接着剤を混合した状態で、発泡
材に塗布すると、発泡材との馴染みがよくなり、発泡材
の表面に直接フッ素樹脂系コーティング剤からなる高滑
性被膜層を積層固着することができる。また、フッ素樹
脂系コーティング剤を塗布するだけであるため、その薄
さを従来と比較して薄くすることができ、かつ、PET
を介在させないため、発泡材の吸音作用を阻害せず、吸
音効果を高めることができる。かつ、従来必要とされた
PETフィルムの接着工程、四フッ化エチレン樹脂シー
トの接着工程を不要とでき、作業工程の大幅な削減を図
ることができる。
【0018】さらに、発泡材は摺動面に部分的に配置す
るだけであるため、塗布面積が小さく、かつ、高滑性材
層の厚さは1μm〜10μm程度としているため、四フ
ッ化エチレン樹脂の使用量をすくなくでき、コストの低
下を図れる。即ち、従来は20μm以上の四フッ化エチ
レン樹脂シートを円環形状に切り抜いて用いていたた
め、樹脂消費量を本発明では大幅に軽減でき、その分、
コストダウンを図ることができる。
【0019】上記吸音材はゴム系発泡材あるいは樹脂系
発泡材からなる。ゴム系発泡材としては発泡SBR(発
泡スチレン・ブタジエンゴム)等が好適に用いられ、ま
た、樹脂系発泡材としは発泡ポリウレタン等が好適に用
いられる。
【0020】上記摺動面にアリ溝を設け、該アリ溝に上
記吸音材の下部を嵌合させることが好ましい。該構成と
すると、吸音材が摺動面より剥がれにくくなり、固定力
を高めることができる。
【0021】また、本発明は、固定体と、該固定体に対
して回転自在に組つけられる可動体とで円環状のケーブ
ル収容室が形成され、該ケーブル収容室内にフラットケ
ーブルを渦巻き状に収容して、その巻回方向の両端が上
記固定体と可動体の外部に導出されているケーブルリー
ルにおいて、上記フラットケーブルの幅方向の両端と対
向する上記ケーブル収容室の摺動面の少なくともフラッ
トケーブルの自重方向の一方に吸音材を設ける方法とし
て、発泡剤を混入した液状のゴムあるいは樹脂を上記摺
動面の所要箇所に直接的に塗布し、ついで、所要温度に
加熱して発泡させ、上記摺動面より突出させた発泡材か
らなる吸音材を設けていることを特徴とするケーブルリ
ールの吸音材形成方法を提供している。
【0022】即ち、ゴムあるいは樹脂に分解性発泡剤、
揮発性発泡剤等の発泡剤を混入し、所要の粘度を有する
液状材が用いられ、該液状材を摺動面の所要箇所に塗布
しておき、上記発泡剤の発泡温度で加熱して、所要形状
に発泡させて、吸音材を形成している。上記加熱は温風
を当てる、あるいは加熱炉を通す等の方法により発泡温
度としている。
【0023】このように、発泡材を直接摺動面の所要箇
所に塗布して、加熱して発泡させる簡単な工程であるた
め、従来の吸音シートを摺動面に貼る作業、吸音シート
を構成するゴム材、PETおよび四フッ化エチレンシー
トを打ち抜き加工する作業を省略でき、作業工程を大幅
に減少することができる。しかも、上記のように各種シ
ートを円環形状に打ち抜く場合には、母材に多くの無駄
が発生するが、本発明方法では、このような無駄が全く
発生しない。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。いずれの実施形態も吸音材を自動車
のステアリング装置に取り付けたケーブルリールに適用
したものである。ケーブルリール自体の構造は前記した
図8に示す従来例と同様であって、同一部材は同一符号
を付す。
【0025】10はステアリングホイール(図示せず)
に固定され、ステアリングホイールの回転に連動して回
転する可動体、11は車体に固定されたシャフト(図示
せず)に固定された固定体であって、可動体10で上壁
10aと内周壁10bを形成すると共に固定体11で下
壁11aと外周壁11bとを形成して、これら可動体1
0と固定体11とで円環形状のケーブル収容室12を構
成している。該ケーブル収容室12内にはフラットケー
ブル15を渦巻き状として収容し、その巻回方向の内端
にリード線13を連結して可動体10の上壁10aに設
けた取付孔10cに挿通して外部へ導出している。ま
た、巻回方向の外端にリード線14を連結して外部へ導
出している。上記ケーブル収容室12内のフラットケー
ブル15はステアリングホイールの一方向への回転によ
り巻き込まれる一方、他方向への回転により巻き戻さ
れ、ステアリングホイールがいずれの方向に回転しても
リード線13と14とはフラットケーブル15を介して
電気的に接続されるようにしている。
【0026】上記フラットケーブル15は図2に示すよ
うに、一対の絶縁樹脂フィルム16a、16bの間に間
隔をあけて銅箔等からなる導電材17を挟持している。
このフラットケーブル15の幅方向両端部15a、15
bはケーブル収容室12の平坦な円環形状の下方摺動面
12aに摺接しながら上記巻き込み、および巻き戻し作
動がなされる。よって、図3に示すように下方摺動面1
2aに吸音材20を取り付けている。
【0027】一方、ケーブル収容室12の上面は円周方
向に所定間隔をあけて径方向の細いリブ17を設けてお
り、かつ、リブ17とフラットケーブル15の上端面に
僅かなクリアランスをあけているため、上面側では殆ど
摺動音は発生しない。よって、該上面側には本実施形態
では吸音材を取り付けていない。なお、上記リブを設け
る代わりに、上面も平坦は円環形状の面として、下面側
と同様に吸音材20を取り付けてもよい。
【0028】吸音材20は、図4(A)に示すように、
固定体11の底壁材11aの摺動面12a上に、周方向
に90度間隔をあけて内周端より外周端にかけて細幅で
配置している。これら吸音材20の高さは1mm〜2m
mの範囲としており、本実施形態では1.3mmとして
いる。なお、120度間隔をあけて3カ所に設けると、
フラットケーブル15の下端面は安定してこれら吸音材
20の上面を摺動するものであるが、吸音材を設ける箇
所は3カ所に限定されない。
【0029】上記吸音材20は発泡ゴム(発泡SBR)
21から形成しており、その上向きの頂面を球面21a
として、接触するフラットケーブル下端面と線接触させ
て、接触面積を最小としている。
【0030】上記発泡ゴム21からなる吸音材20は、
例えば、無機化合物、アゾ化合物、スルホニルヒドラジ
ド化合物等の分解性発泡剤を混入したSBR(スチレン
・ブタジエンゴム)を所要粘度を有する液状として、上
記摺動面12aに120間隔をあけて塗布する。つい
で、塗布した箇所を所要の発泡温度で熱風ドライヤーに
より加熱(150℃)し、上記発泡剤を分解させて発泡
させることにより、形成している。
【0031】なお、吸音材20は発泡ゴムに限定され
ず、発泡ウレタン等の発泡樹脂でもよく、かつ、直接塗
布する代わりに、所要箇所にスプレーで噴射してもよ
い。また、上記発泡ウレタンを用いる場合は加熱温度を
100℃として発泡させる。
【0032】上記構成からなる吸音材20を摺動面12
aに設けると、フラットケーブル15の下端面は吸音材
20の球面に沿って摺動する。該摺動時に球面21aと
120度間隔をあけて線接触し、接触面積が最小とな
る。よって、摺動音の発生が減少すると共に、フラット
ケーブル15の接触摩耗も減少する。さらに、吸音材2
0は発泡ゴム21からなるため、上下振動が発生した時
に、振動音の吸収率がゴムと比較して大きく、よって、
振動音も効果的に低減することができる。
【0033】図5の吸音材20では、発泡ゴム21の表
面に四フッ化エチレン樹脂からなる約3μmの厚さの高
滑性被膜層22を積層した構造からなる。該四フッ化エ
チレン樹脂はスプレーにより発泡ゴム21の表面に塗布
している。塗布した後、所要温度で加熱して硬化させ
て、発泡ゴム21の表面に高滑性被膜層22を形成して
いる。其の際、四フッ化エチレン樹脂を液状とし、か
つ、該四フッ化エチレン樹脂に液状接着剤を混合した状
態で、発泡ゴムに塗布するため、発泡ゴム21との接着
性を確保することができる。
【0034】上記のように、発泡ゴム21の表面に高滑
性被膜層22を形成した場合、フラットケーブル15の
下端面が四フッ化エチレン樹脂からなる高滑性被膜層2
2に摺接するため、摺動音の発生を低減できる。また、
アイドリング時および走行時に振動が発生し、フラット
ケーブル15が軸方向に振動して、吸音材20に衝突し
て打音が発生した場合、発泡ゴム21により上記打音を
吸収できる。特に、表面の硬度のある高滑性被膜層22
が3μmと極限に近く薄くできるため、該高滑性被膜層
22による発泡ゴム21の音吸収作用への阻害を殆ど無
くすことができる。その結果、振動音も上記摺動音と同
様に、低減することができる。
【0035】図6は本発明の実施形態の吸音材20を示
し、該吸音材20は発泡ウレタン24から形成してい
る。該発泡ウレタン24の頂面は、2つの連続した山型
形状として中央部に凹部24aを形成している。該凹部
24aに高滑性剤の上記四フッ化エチレン樹脂はスプレ
ーにより凹部24aより盛り上がるように充填し、発泡
ウレタン24の頂点より硬化させた高滑性剤層25を円
弧状に突出させている。
【0036】上記のように、高滑性剤層25を円弧状に
突出させているため、フラットケーブル15の下端面は
高滑性剤層25の表面に接触して摺動することとなり、
すべり性がよいため、摺動音を効果的に低減できる。ま
た、振動音は発泡ウレタン24により効果的に低減でき
る。
【0037】図6に示す実施形態では、高価な四フッ化
エチレン樹脂の使用量を少なくでき、その分、コスト低
下を図ることができる。また、発泡ウレタン24の全表
面を四フッ化エチレン樹脂で被覆しないため、その変形
量を大きくでき、振動音および摺動音の吸収作用を高め
ることができる。
【0038】図7に示す吸音材20は発泡ゴム21の表
面に四フッ化エチレン樹脂からなる高滑性被覆層22を
設けている。摺動面12aにアリ溝30を凹設してお
き、該アリ溝30に内に液状の発泡剤を混入したゴムを
充填すると共に表面に塗布し、その後、所要温度で加熱
して発泡ゴム21を成形している。該構成とすると、吸
音材20は摺動面12aにより確実に固定することがで
きる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係わる吸音材は、発泡ゴムあるいは発泡樹脂からなる
発泡材で形成しているため、摺動音および振動音に吸音
効果に優れ、特に、振動音を効果的に低減することがで
きる。
【0040】また、吸音材を、摺動面の全面に設けず
に、フラットケーブルを安定して支持できる範囲で部分
的に設けているため、吸音材とフラットケーブルとの接
触面積を最小にでき、その分、摺接面積を低減して摺動
音の発生を低減できると共に、フラットケーブルの接触
摩耗も低減できる。
【0041】さらに、発泡材の表面に四フッ化エチレン
樹脂等のフッ素樹脂系コーティング剤からなる高滑性被
膜層を形成すると、該高滑性被膜層の厚さを極限まで薄
くすることができると共に、フラットケーブルの滑りを
良くして、摺動音をより効果的に低減できる。
【0042】また、本発明に係わる吸音材の形成方法を
用いると、液状の発泡材を摺動面に塗布した後、所要温
度で加熱して発泡させれば良いだけであるため、従来と
比較して非常に簡単に吸音材を摺動面に設けることがで
きる。また、従来の各シートの打ち抜き加工がないた
め、母材の無駄がなくなり、上記工程が簡単であること
と合わせて、大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるケーブルリールの概略断面図
である。
【図2】 上記ケーブルリールのケーブル収容室に収容
するフラットケーブルの概略図である。
【図3】 上記ケーブルリールの主要構成部材を示す分
解斜視図である。
【図4】 参考実施形態の吸音材を示し、(A)は該吸
音材を備えた摺動面の平面図、(B)は(A)のI−I
線拡大断面図である。
【図5】 他の参考実施形態の吸音材を示す拡大断面図
である。
【図6】 本発明の実施形態の吸音材を示す拡大断面図
である。
【図7】 他の吸音材を示す拡大断面図である
【図8】 一般的なケーブルリールの構造を示す概略断
面図である。
【図9】 従来の吸音材を示し、(A)は吸音材を取り
付けた摺動面の平面図、(B)は吸音材の斜視図、
(C)は(A)のII−II線の部分における吸音材の
断面図である。
【符号の説明】
10 可動体 11 固定体 12 ケーブル収容室 15 フラットケーブル 20 吸音材 21 発泡ゴム 22 高滑性被膜層 24 発泡ウレタン 25 高滑性材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 哲矢 三重県四日市市西末広町1番14号 住友 電装株式会社内 (72)発明者 菅田 正一 三重県四日市市西末広町1番14号 住友 電装株式会社内 (56)参考文献 実開 平2−121360(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 35/04 B60R 16/02 675 B62D 1/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定体と、該固定体に対して回転自在に
    組つけられる可動体とで円環状のケーブル収容室が形成
    され、該ケーブル収容室内にフラットケーブルを渦巻き
    状に収容して、その巻回方向の両端が上記固定体と可動
    体の外部に導出されているケーブルリールにおいて、 上記フラットケーブルの幅方向の両端と対向する上記ケ
    ーブル収容室の摺動面のフラットケーブルの自重方向の
    一方に、周方向に等間隔をあけて少なくとも3カ所に
    周端より外周端にかけて径方向に延在する発泡材からな
    細幅状の吸音材を配置し、かつ、該吸音材のフラット
    ケーブルと接触する頂面の中央に凹部を設け、該凹部に
    高滑性剤を充填して吸音材表面より突出させて高滑性被
    覆層を設け、上記フラットケーブルが高滑性被覆層に接
    触しながら摺動させる構成とする一方、上記フラットケ
    ーブルの反自重方向である他方にはクリアランスを設け
    ていることを特徴とする吸音材を備えたケーブルリー
    ル。
  2. 【請求項2】 上記吸音材の表面より突出させる高滑性
    被覆層の頂面を球面状に突出させ、フラットケーブルと
    の接触面積を最小としている請求項1に記載の吸音材を
    備えたケーブルリール。
  3. 【請求項3】 上記吸音材はゴム系発泡材あるいは樹脂
    系発泡材からなる請求項1または請求項2に記載の吸音
    材を備えたケーブルリール。
  4. 【請求項4】 上記高滑性剤としてフッ素樹脂系コーテ
    ィング剤を用いている請求項1乃至請求項3に記載の吸
    音材を備えたケーブルリール。
  5. 【請求項5】 上記摺動面にアリ溝を設け、該アリ溝に
    上記吸音材の下部を嵌合させている請求項1乃至請求項
    4のいずれか1項に記載の吸音材を備えたケーブルリー
    ル。
  6. 【請求項6】 固定体と、該固定体に対して回転自在に
    組つけられる可動体とで円環状のケーブル収容室が形成
    され、該ケーブル収容室内にフラットケーブルを渦巻き
    状に収容して、その巻回方向の両端が上記固定体と可動
    体の外部に導出されているケーブルリールにおいて、上
    記フラットケーブルの幅方向の両端と対向する上記ケー
    ブル収容室の摺動面の少なくともフラットケーブルの自
    重方向の一方に吸音材を設ける方法であって、 発泡剤を混入した液状のゴムあるいは樹脂を上記摺動面
    の所要箇所に直接的に塗布し、ついで、所要温度に加熱
    して発泡させ、上記摺動面より突出させた発泡材からな
    る吸音材を設けていることを特徴とするケーブルリール
    の吸音材形成方法
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