JP3393449B2 - 薄膜半導体装置 - Google Patents

薄膜半導体装置

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JP3393449B2 JP25262493A JP25262493A JP3393449B2 JP 3393449 B2 JP3393449 B2 JP 3393449B2 JP 25262493 A JP25262493 A JP 25262493A JP 25262493 A JP25262493 A JP 25262493A JP 3393449 B2 JP3393449 B2 JP 3393449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁基板上に成膜され
た半導体薄膜を素子領域とする薄膜トランジスタを含む
薄膜半導体装置に関する。より詳しくは、半導体薄膜の
水素化処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】図19を参照して、従来の水素化処理方
法を簡潔に説明する。図示する様に、絶縁基板101の
表面には多結晶シリコン薄膜102が所定の形状にパタ
ニングされており素子領域を形成する。多結晶シリコン
薄膜102には不純物が高濃度に拡散されたソース領域
SとドレインDとが形成されており両者の間にチャネル
領域Chが設けられる。チャネル領域Chの上方にはゲ
ート酸化膜103及びゲート窒化膜104を介してゲー
ト電極Gが形成されており、薄膜トランジスタ(TF
T)を構成する。このTFTは第1層間絶縁膜105に
より被覆されている。この第1層間絶縁膜105に設け
られた第1コンタクトホールを介して配線電極106が
ソース領域Sに電気接続されている。第1層間絶縁膜1
05の上にはさらに第2層間絶縁膜107が成膜され
る。この第2層間絶縁膜107の上にはITO等の透明
導電膜からなる画素電極108がパタニング形成されて
おり、第2コンタクトホールを介してTFTのドレイン
領域Dに電気接続されている。第2層間絶縁膜107の
表面にはオーバーパッシベーション膜としてP−SiN
膜109がパタニング形成される。P−SiN膜109
は比較的ポーラスな構造を有するとともにある程度水素
原子を含有しており水素供給源となる。TFTを形成し
た後P−SiN膜109を成膜しアニールを行なう事に
より、水素原子が拡散し第2層間絶縁膜107、第1層
間絶縁膜105、ゲート酸化膜103等を通過して多結
晶シリコン薄膜102中に導入できる。水素化処理によ
って導入された水素原子は多結晶シリコン薄膜102の
結晶粒界に拡散しダングリングボンドと結合する為、ト
ラップ密度は小さくなり障壁ポテンシャルが低くなる。
この為多結晶シリコンTFT内でのキャリア移動度が高
くなりオン電流を増加できる。又トラップ準位が減少す
る事によりリーク電流を抑制できる。さらには、導入さ
れた水素原子の一部は多結晶シリコン薄膜とゲート酸化
膜の境界にある界面準位とも結合するので、トランジス
タの閾値電圧を低くできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術にお
いては、拡散源として用いられたP−SiN膜109は
水素又は水素イオンの含有濃度に限界があり、絶対量と
しては少量である。この為、水素化処理に長時間を要し
工程短縮化の障害になっているという課題がある。絶対
量が不足する為水素化が不十分な場合もある。さらに、
拡散源となるP−SiN膜109は画素電極108と近
接している為、含有水素がITOと還元反応を起す惧れ
がある。これを防ぐ為、ITOと近接するP−SiN膜
の部分をフォトリソグラフィ及びエッチングで除去する
必要があり、コストと時間を要する。加えて、P−Si
N膜を除去した部分は水素化効率がさらに悪くなる為、
TFTの特性がばらつくという課題がある。なお、他の
水素化処理技術として水素プラズマ中にTFTを暴露し
て水素を導入する方法も試みられている。しかしなが
ら、P−SiN膜を水素拡散源とする方法と同様に、特
別な装置や追加工程等余分なコストと時間がかかるとい
う問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述した従来の技術の課
題に鑑み、本発明は効果的な水素化処理が可能な薄膜半
導体装置の構造を提供する事を目的とする。かかる目的
を達成する為に以下の手段を講じた。即ち、本発明にか
かる薄膜半導体装置は基本的な構成として、絶縁基板上
に成膜された半導体薄膜を素子領域とする薄膜トランジ
スタと、該素子領域を被覆する層間絶縁膜とを含んでい
る。特徴事項として、前記層間絶縁膜はライトエッチン
グにより表面積の増大化した荒れた表面を有しており、
水分吸着され該素子領域に対して水素拡散源となる。例
えば、前記層間絶縁膜はSiO2系組成を有し、少なく
とも燐、ひ素、鉛、アンチモン又はほう素を含有してお
り吸湿性を具備する。又、前記層間絶縁膜の上には水素
拡散遮断膜が設けられており、水素の外部拡散を防止す
る様にしている。この水素拡散遮断膜は、例えばAl,
P−SiN,P−SiO2 ,P−SiON,Ti又はT
aからなる少なくとも一層成分を含んでいる。加えて、
本発明にかかる薄膜半導体装置は表示素子の駆動基板と
して用いる事が可能であり、この場合には前記層間絶縁
膜の上側に画素電極が形成される事になる。
【0005】上述した構成を有する薄膜半導体装置は以
下の方法により製造可能である。先ず最初に、絶縁基板
上に半導体薄膜を形成する薄膜工程を行なう。次に、該
半導体薄膜を素子領域として薄膜トランジスタを形成す
るトランジスタ工程を行なう。続いて該素子領域を被覆
する様に層間絶縁膜を形成する絶縁工程を行なう。次に
ライトエッチングにより該層間絶縁膜の表面を荒らし水
分吸着面積を増大化して水素拡散源にする表面工程を行
なう。続いて該層間絶縁膜の上側に少なくとも該素子領
域を覆う様に水素拡散遮断膜を形成する遮断工程を行な
う。最後にアニールにより該層間絶縁膜に含まれる水素
拡散源から水素を該素子領域に拡散するアニール工程を
行なう。好ましくは、前記アニール工程前において、該
層間絶縁膜は表面に近い程大きな水素濃度分布を有して
いる。
【0006】
【作用】本発明によれば、薄膜トランジスタの上に堆積
される層間絶縁膜を水素拡散源として利用するものであ
る。即ち、この層間絶縁膜の上に水素拡散遮断膜を成膜
した後、吸湿性を有する該層間絶縁膜に捕捉された水分
を分解して水素を発生させ素子領域を構成する半導体薄
膜に導入する。この際、薄膜トランジスタの水素化効率
を高める為には、水素量の確保が重要である。即ち、層
間絶縁膜に水素の発生源となる水分を多量に含ませる事
が重要である。従って、薄膜トランジスタの上に成膜さ
れた層間絶縁膜の表面をエッチング等により処理し表面
積を増大させている。これにより水分の吸着率が上昇
し、水素化に必要な水素含有量を十分確保する事ができ
る。又、この層間絶縁膜として不純物、例えば、燐、ひ
素、鉛、アンチモン、ほう素等を含有したSiO2 系の
材料を用いる事により、表面ばかりでなく層間絶縁膜自
体にも水分を蓄積させる事ができ、水素化に必要な水素
含有量を十分確保できる様にしている。さらに、水分を
蓄積した層間絶縁膜より表面側にP−SiN,P−Si
2 ,P−SiON等のプラズマ成膜、あるいはAl,
Ti,Ta等の金属膜からなる水素拡散遮断膜を設ける
事により、アニール処理時効率良くデバイス側に水素を
供給する様にしている。
【0007】
【実施例】以下図面を参照して本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。図1は本発明にかかる薄膜半導体装置
の具体的な構成例を示す模式的な部分断面図である。図
示する様に、石英(Quartz)等からなる絶縁基板
1の上には多結晶シリコン(poly−Si)からなる
半導体薄膜2が所定の形状にパタニング形成されてお
り、素子領域を構成する。この素子領域には薄膜トラン
ジスタ(TFT)3が形成されている。具体的には、半
導体薄膜2の上に3層のゲート絶縁膜を介してゲート電
極Gが形成されている。さらに、ゲート電極Gの両側に
おいて半導体薄膜2には不純物が高濃度に注入されたソ
ース領域S及びドレイン領域Dも形成されている。
【0008】かかる構成を有するTFT3の表面は第1
層間絶縁膜4により被覆されている。この第1層間絶縁
膜4は表面積の増大化した荒れた表面5を有しており、
水分吸着を容易にして半導体薄膜2に対して効率的な水
素拡散源となる様にしている。又、この第1層間絶縁膜
4自体が所望の吸湿性を有しており、内部にも水分をあ
る程度蓄積できる。
【0009】第1層間絶縁膜4の上には所定の形状にパ
タニングされた配線電極6が設けられており、第1層間
絶縁膜4に設けられたコンタクトホールを介してTFT
3のソース領域Sに接続している。この配線電極6の上
には第2層間絶縁膜6が成膜されている。この第2層間
絶縁膜6も第1層間絶縁膜4と同様に吸湿性を有してお
り、且つ荒れた表面7を備えている。
【0010】第2層間絶縁膜6の上には水素拡散遮断膜
8が成膜されており、水素の外部拡散を防止する。加え
て該第2層間絶縁膜6の上側には画素電極9が形成され
ており、コンタクトホールを介してTFT3のドレイン
領域Dに接続している。かかる構成を有する薄膜半導体
装置は例えばアクティブマトリクス型液晶表示素子の駆
動基板として用いる事ができる。
【0011】次に図2を参照して、図1に示した構造を
有する薄膜半導体装置の水素化処理方法を説明する。例
えば水素拡散遮断膜を形成した以降の段階でアニールを
行なう事により、第1層間絶縁膜4及び第2層間絶縁膜
6に含まれた水素が素子領域を構成する半導体薄膜2に
拡散し所望の水素化処理が行なわれる。図2の左側はア
ニール前における第1層間絶縁膜の厚み方向水素濃度分
布を示している。図から理解される様に、アニール工程
前では、第1層間絶縁膜は表面に近い程大きな水素濃度
分布を有する。一方、図2の右側はアニール後における
第1層間絶縁膜の深さ方向の水素濃度分布を表わしてい
る。加熱処理を施す事により、第1層間絶縁膜に含有さ
れた水素は表面側から半導体薄膜(poly−Si)と
の界面側に移行し、多量の水素が導入できる。この様
に、アニール前における層間絶縁膜内の深さ方向水素濃
度分布(デプスプロファイル)を、トランジスタチャネ
ル側に比べ表面側が大きくなる様な設定とする事によ
り、内部への水素拡散を容易にしている。
【0012】図3は、水素化処理を施した後における薄
膜トランジスタのドレイン電流(Ids)/ゲート電圧
(Vgs)特性を測定した結果を示すグラフである。な
お、サンプルとした薄膜トランジスタはNチャネル型で
ありチャネル幅は20μm、チャネル長は5μmであ
る。のカーブは層間絶縁膜の表面を荒らした場合のド
レイン電流/ゲート電圧特性を表わしており、のカー
ブは層間絶縁膜の表面を荒らさない場合におけるドレイ
ン電流/ゲート電圧特性を示している。このグラフから
明らかな様に、水素拡散源となる層間絶縁膜の表面を荒
らす事により水素化効率が改善でき、オン電流が増大す
る一方、オフ電流(リーク電流)を低減化できる。
【0013】次に図4ないし図10を参照して、本発明
にかかる薄膜半導体装置の製造方法の第1実施例を詳細
に説明する。先ず最初に図4に示す様に、石英(Qua
rtz)等からなる絶縁基板の上に多結晶半導体薄膜例
えばpoly−SiをLP−CVD法で約80nm成膜す
る。必要ならばこの後Si+イオンをインプランテーシ
ョンする事により非晶質化し、続いて600℃程度の温
度でアニールする事により、poly−Siを大粒径化
する。
【0014】次に図5に示す工程で、poly−Siを
所定のパタンに沿ってエッチングし素子領域とする。続
いてpoly−Siを酸化してゲート酸化膜を約60nm
の厚みで成膜する。このゲート酸化膜上にLPCVD法
でゲート窒化膜(Si3 4)を約50nmの厚みで成膜
する。さらにこのゲート窒化膜の表面を熱酸化し、他の
ゲート酸化膜を約1〜2nmの厚みで成膜する。この様に
して3層のゲート絶縁膜が形成される。この後薄膜トラ
ンジスタの閾電圧Vthを制御する為に必要ならば、B
+イオンを1〜8×1012/cm2 程度のドーズ量で打ち
込む。
【0015】次に図6に示す工程で、多結晶シリコンを
約300nmの厚みで形成する。この多結晶シリコンは低
抵抗化する必要がある為燐をドープする。その後多結晶
シリコンを所定の形状にエッチングしゲート電極Gを形
成する。さらにゲート絶縁膜もエッチングする。
【0016】次に図7に示す工程で、薄膜トランジスタ
TFTのソース領域Sとドレイン領域Dを形成する為、
ゲート電極G外の部分にAs+を2〜10×1014/cm
2 程度のドーズ量でイオン打ち込みする。この為、予め
レジストを所定の形状にパタニング形成しておく。イオ
ン打ち込みの後、約1000℃の温度で窒素雰囲気下ア
ニールする事により、ソース領域S及びドレイン領域D
を活性化させる。
【0017】次に図8に示す工程で、TFTを保護し絶
縁する為第1層間絶縁膜(SiO2)を約500nmの厚
みで成膜する。この第1層間絶縁膜を構成するSiO2
に必要ならば燐、ひ素、鉛、アンチモン、ほう素等を含
有させる。これら不純物の含有量が大きい程水分吸着量
が増大する。本実施例では5wt%の燐を含有させた。次
に第1層間絶縁膜に対してソース領域Sに連通するコン
タクトホールを開口する。
【0018】図9に示す工程で、Al等の金属膜を約3
00nmの厚みで成膜する。この金属膜を所定の形状にパ
タニングして配線電極を得る。その後、この配線電極を
絶縁隔離する為SiO2 系の第2層間絶縁膜を約500
nmの厚みで形成する。この第2層間絶縁膜には、必要な
らば燐、ひ素、鉛、アンチモン、ほう素等の不純物を含
有させる。燐の含有量は0〜8wt%にすれば良い。ここ
で、この第2層間絶縁膜に水素化に必要な水分を効率良
く導入する為、その表面を膜厚に対して5%以内程度に
ライトエッチングし、表面を荒れさせる。このライトエ
ッチングにおいてはエッチャントとして例えば弗酸系の
溶液を使用できる。本例では弗酸の希釈液を用いた。な
お水分吸着の為の表面積を増大する方法としては、ライ
トエッチングに代え例えば予めパタニングで第2層間絶
縁膜表面に凹凸を付ける様にしても良い。
【0019】最後に図10に示す工程で、水素の外部拡
散防止用として、例えばP−SiN,P−SiO2 ,P
−SiON等のプラズマ膜、あるいはAl,Ti,Ta
等の金属膜を成膜する。本実施例ではプラズマ窒化シリ
コン膜(P−SiNx )を用い、第2層間絶縁膜上に約
50nmの厚みで成膜した。この水素拡散遮断膜は少なく
ともTFTより大きい面積を残してコンタクト部分をエ
ッチングする。ここで200℃〜500℃の温度で窒素
雰囲気中アニール処理を行ない、水素化を促進させる。
続いてコンタクトホールを開口し、ITO薄膜を約10
0nmの厚みで形成する。このITO薄膜を所定の形状に
パタニングして画素電極を設け薄膜トランジスタ装置の
完成となる。
【0020】次に、図11ないし図13を参照して、本
発明にかかる薄膜半導体装置の製造方法の第2実施例を
詳細に説明する。先の第1実施例で説明した図6の工程
までは同様に行なわれる。即ち、ゲート電極の形成及び
ゲート絶縁膜のカッティングまでは同様である。この後
図11に示す様に、第1層間絶縁膜(SiO2 )を成膜
する。続いて、水素化に必要な水分の吸湿をより効率的
に行なう為、第1層間絶縁膜の表面を例えば弗酸系の溶
液でライトエッチングし、表面荒れを起こさせる。その
後、プラズマCVDにてプラズマ窒化シリコン薄膜(P
−SiN)を約50nmの厚みで成膜し水素拡散遮断膜と
する。ここで250℃〜500℃の温度で窒素雰囲気下
中アニールを行ない水素化を促進する。
【0021】次に図12に示す工程で、不必要な部分の
水素拡散遮断膜をエッチングで除去する。本実施例では
全面エッチングした。続いてコンタクトホールを開口し
Al膜を成膜した後、所定の形状にパタニングして配線
電極とする。さらに配線電極を絶縁する為SiO2 系の
第2層間絶縁膜を成膜する。
【0022】最後に図13に示す様に、第1層間絶縁膜
及び第2層間絶縁膜にコンタクトホールを開口し、IT
O薄膜を成膜する。このITO薄膜を所定の形状にパタ
ニングし、画素電極とする。以上により薄膜半導体装置
の完成となる。
【0023】最後に図14ないし図17を参照して本発
明にかかる薄膜半導体装置の製造方法の第3実施例を詳
細に説明する。先に説明した第1実施例において図6に
示した工程まで同様に行なわれる。即ちゲート電極形成
及びゲート絶縁膜のカッティングまでは同様である。こ
の後図14に示す様に、第1層間絶縁膜を形成する。続
いて第1層間絶縁膜の表面を例えば弗酸系の溶液にてラ
イトエッチングし表面荒れを起こさせる。これにより水
素化処理に必要な水素成分が水分として第1層間絶縁膜
表面や内部に効率的に吸収できる。なおこの吸収された
水分は以降の工程において分解され水素を生成する事に
なる。この水分の分解は加熱もしくはプラズマにより引
き起されると考えられる。例えば、SiO2 系の層間絶
縁膜の場合、SiとH2 Oが結合しHが発生する機構が
考えられる。あるいは、水素拡散遮断膜をプラズマCV
Dあるいはスパッタリングで成膜すると、この時に加わ
るエネルギーでH2 Oの分解が促進する事も考えられ
る。
【0024】次に図15に示す様に、第1層間絶縁膜に
コンタクトホールを開口しAl膜を成膜する。このAl
膜を所定の形状にパタニングして配線電極とする。さら
に配線電極を絶縁する為SiO2 系の第2層間絶縁膜を
成膜する。その表面も例えば弗酸系の溶液にてライトエ
ッチングし表面荒れを起させる。これにより、第1層間
絶縁膜と第2層間絶縁膜の表面及び内部に十分な水分を
吸収吸着できる。
【0025】続いて図16に示す様に、第2層間絶縁膜
の上にプラズマCVDにてプラズマ窒化シリコン膜を約
50nmの厚みで成膜し水素拡散遮断膜とする。この段階
で250℃〜500℃の温度にて窒素雰囲気下アニール
を行ない水素化処理を実施する。
【0026】最後に図17に示す様に、水素拡散遮断膜
をエッチングしコンタクトホールを開口する。ITO薄
膜を形成し所定の形状にパタニングして画素電極とす
る。以上により薄膜半導体装置が完成する。
【0027】最後に図18を参照して、本発明にかかる
薄膜半導体装置を駆動基板として用いて組み立てられた
アクティブマトリクス液晶表示素子の一例を説明する。
図示する様に、本液晶表示素子は一対の基板51,52
を互いに対向配置させ、その間隙に液晶層53を保持し
た構成となっている。一方の基板51は本発明に従って
製造されたものであり、マトリクス状に配置された信号
線54と走査線55及びこれらの交点に配置されたTF
T56と画素電極57が形成されている。このTFT5
6は本発明に従って水素化処理を施されたものである。
TFT56は走査線55により線順次選択されるととも
に、信号線54から供給される画像信号を対応する画素
電極57に書き込む為の能動スイッチング素子である。
一方、上側の基板52の内表面には対向電極58及びカ
ラーフィルタ膜59が形成されている。カラーフィルタ
膜59は各画素電極57に対応したR(赤),G
(緑),B(青)のセグメントに分割されている。この
様な構成を有するアクティブマトリクス液晶表示素子を
2枚の偏光板60,61で挟み、白色光を入射させると
所望のフルカラー画像表示が得られる。
【0028】
【発明の効果】薄膜トランジスタの特性を向上させる為
水素化処理を効率的に行なうには水素源の確保が重要で
ある。本発明では、水素源の効率的な確保手段として、
層間絶縁膜に水素源である水分を吸着させる様にしてい
る。即ち、例えばデバイス上に成膜されたSiO2 系の
層間絶縁膜表面をライトエッチングする事により、表面
積を増大化させている。水分の吸着効率が上昇し水素化
に必要な水素の含有量が増える事になる。又、この層間
絶縁膜に燐、ひ素、鉛、アンチモン、ほう素等の不純物
を含有させる事により、表面ばかりでなく層間絶縁膜内
部にも水分を蓄積する事ができ、水素化に必要な水分蓄
積量を一層増加させる事ができる。さらに、水分を吸着
吸収した層間絶縁膜より表面側に水素の外部拡散防止用
としてP−SiN,P−SiO2 ,P−SiON,A
l,Ti,Ta等を成膜する事により、水素化アニール
時効率良くデバイス側に水素を供給する事ができる。以
上により水素化効率を改善し薄膜トランジスタデバイス
のオン電流の増加及びオフ電流の低減という大きな効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる薄膜半導体装置の構成を示す模
式的な部分断面図である。
【図2】図1に示した薄膜半導体装置の水素化処理を示
す模式図である。
【図3】水素化処理を施された薄膜トランジスタのドレ
イン電流/ゲート電圧特性を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる薄膜半導体装置の製造方法の第
1実施例を示す工程図である。
【図5】同じく第1実施例の工程図である。
【図6】同じく第1実施例の工程図である。
【図7】同じく第1実施例の工程図である。
【図8】同じく第1実施例の工程図である。
【図9】同じく第1実施例の工程図である。
【図10】同じく第1実施例の工程図である。
【図11】本発明にかかる薄膜半導体装置の製造方法の
第2実施例を示す工程図である。
【図12】同じく第2実施例の工程図である。
【図13】同じく第2実施例の工程図である。
【図14】本発明にかかる薄膜半導体装置の製造方法の
第3実施例を示す工程図である。
【図15】同じく第3実施例の工程図である。
【図16】同じく第3実施例の工程図である。
【図17】同じく第3実施例の工程図である。
【図18】本発明にかかる薄膜半導体装置を駆動基板と
して組み立てられたアクティブマトリクス液晶表示素子
の一例を示す斜視図である。
【図19】従来の水素化処理方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 半導体薄膜 3 薄膜トランジスタ 4 第1層間絶縁膜 5 荒れた表面 6 第2層間絶縁膜 7 荒れた表面 8 水素拡散遮断膜 9 画素電極 G ゲート電極 S ソース領域 D ドレイン領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩永 利彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−218423(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/786 H01L 21/316

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に成膜された半導体薄膜を素
    子領域とする薄膜トランジスタと、該素子領域を被覆す
    る層間絶縁膜とを含む薄膜半導体装置において、 前記層間絶縁膜はライトエッチングにより表面積の増大
    化した荒れた表面を有しており、水分吸着され該素子領
    域に対して水素拡散源となったものである事を特徴とす
    る薄膜半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記層間絶縁膜はSiO2 系組成を有
    し、少なくとも燐、ひ素、鉛、アンチモン又はほう素を
    含有しており吸湿性を具備する事を特徴とする請求項1
    記載の薄膜半導体装置。
  3. 【請求項3】 該層間絶縁膜の上に成膜された水素拡散
    遮断膜を含んでおり、水素の外部拡散を防止する事を特
    徴とする請求項1記載の薄膜半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記水素拡散遮断膜は、Al,P−Si
    N,P−SiO2 ,P−SiON,Ti又はTaからな
    る少なくとも一層成分を含む事を特徴とする請求項3記
    載の薄膜半導体装置。
  5. 【請求項5】 該層間絶縁膜の上側には画素電極が形成
    されており表示素子の駆動基板として用いられる事を特
    徴とする請求項1記載の薄膜半導体装置。
  6. 【請求項6】 絶縁基板上に半導体薄膜を形成する薄膜
    工程と、 該半導体薄膜を素子領域として薄膜トランジスタを形成
    するトランジスタ工程と、 該素子領域を被覆する様に層間絶縁膜を形成する絶縁工
    程と、ライトエッチングにより 該層間絶縁膜の表面を荒らし水
    分吸着面積を増大化して水素拡散源にする表面工程と、 該層間絶縁膜の上側に少なくとも該素子領域を覆う様に
    水素拡散遮断膜を形成する遮断工程と、 アニールにより該層間絶縁膜に含まれる水素拡散源から
    水素を該素子領域に拡散するアニール工程とを含む薄膜
    半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記アニール工程前において、該層間絶
    縁膜は表面に近い程大きな水素濃度分布を有する請求項
    6記載の薄膜半導体装置の製造方法。
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