JP3390516B2 - リソグラフィー用マスクブランク及びリソグラフィー用マスク - Google Patents

リソグラフィー用マスクブランク及びリソグラフィー用マスク

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JP3390516B2 JP04812394A JP4812394A JP3390516B2 JP 3390516 B2 JP3390516 B2 JP 3390516B2 JP 04812394 A JP04812394 A JP 04812394A JP 4812394 A JP4812394 A JP 4812394A JP 3390516 B2 JP3390516 B2 JP 3390516B2
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リソグラフィー用マス
クブランク及びリソグラフィー用マスクに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】半導
体素子の製造のためのリソグラフィー工程に用いられる
フォトマスクにおいては、電子線を用いた描画の際のチ
ャージアップを防止したり、静電気によってマスクに塵
が付着するのを防止するために、帯電防止膜を設ける場
合があり、この帯電防止膜として透明導電材料である酸
化錫(SnO2 )膜や、ITO(In2 3 −Sn
2 )膜が用いられている。
【0003】ところで半導体素子の高集積化にともなっ
てリソグラフィー工程に用いられる投影露光技術には、
転写可能なパターンのより微細化、高解像度化が要求さ
れており、その方法として、露光波長の短波長化である
KrFエキシマレーザー露光法、露光光の位相変調を利
用した位相シフト法、およびこれらの方法の併用が提案
されている。
【0004】この位相シフト法において、光の位相を反
転させる位相シフターの材料としては、例えば液相法や
気相法によって形成されるSiO2 あるいはSiO2
似の材料からなる透明な薄膜や、ハーフトーンシフター
と称する透過率が15%以下の薄膜が用いられており、
位相シフターの形成は、位相シフト層上に塗布した電子
線レジストを電子線描画してレジストパターンを形成し
た後、レジストパターンをマスクとして位相シフト層を
ドライエッチングすることにより行なわれている。しか
し、この位相シフターの形成において位相シフト層上に
塗布した電子線レジストへの電子線描画を行う際に、透
明基板上のいずれかの層が導電性を有していないとチャ
ージアップを起こしてしまい、描画パターンの変形が生
じてしまうという問題がある。
【0005】この問題を解決するために、導電性を有
し、帯電防止層としての作用を有する層を基板と位相シ
フト層の間に設けた位相シフトマスクブランクが提案さ
れている。この帯電防止層の存在により、電子線描画時
にチャージアップを起こすことなく、位相シフトマスク
を作製することができる。
【0006】このような特性を有する位相シフトマスク
ブランクの帯電防止層としても、酸化錫(SnO2 )膜
や、ITO(In2 3 −SnO2 )膜が提案されてい
る。
【0007】しかしながら酸化錫やITO膜ではKrF
エキシマレーザーの波長である248nmの透過率が低
いため、エキシマレーザー露光用フォトマスクまたは位
相シフトマスクの材料としては不適当である。
【0008】またX線マスクにおいては、露光時の位置
合わせ(アライメント)はX線マスクに光を透過させて
行われるが、X線透過膜の上に反射防止膜を設けること
によりアライメント光の透過率を高めることができる。
【0009】ところで、X線マスクにおいて、X線吸収
膜の微細なパターンの検査は電子線を用いた手法により
行われるが、導電性を有するX線透過膜上にAl2 3
等の導電性を有しない物質を反射防止膜として設ける
と、電子線によるチャージアップが生じ検査精度が著し
く低下する。したがって、この際にも電子線によるチャ
ージアップが生じないように帯電防止層が必要となる。
【0010】従って本発明は、電子線による描画や検査
の際のチャージアップを防止し得る帯電防止層を有する
リソグラフィー用マスクブランクおよびこのブランクを
素材としたリソグラフィー用マスクを提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであり、(A)亜鉛、ガリウムを含むスピネル
型結晶またはカドミウム、アンチモンを含む鉛アンチモ
ネート型結晶を含み、かつキャリアを有する導電性複合
酸化物からなる帯電防止層を有することを特徴とするリ
ソグラフィー用パターニングマスクブランクおよび
(B)亜鉛、ガリウムを含むスピネル型結晶またはカド
ミウム、アンチモンを含む鉛アンチモネート型結晶を含
み、かつキャリアを有する導電性複合酸化物からなる帯
電防止層を有することを特徴とするリソグラフィー用パ
ターニングマスクを要旨とする。
【0012】上記のリソグラフィー用パターニングマス
クブランク(A)およびリソグラフィー用パターニング
マスク(B)において、後述する理由により、スピネル
型結晶において、Znに対するGaの元素比は1.6か
ら2.4であるのが好ましく、また鉛アンチモネート型
結晶において、Cdに対するSbの元素比は1.6〜
2.4であるのが好ましい。
【0013】またリソグラフィー用マスクブランク
(A)の好ましい態様は、これらに限定されるものでは
ないが、フォトマスクブランク(a1)、位相シフトマ
スクブランク(a2)、X線マスクブランク(a3)で
ある。
【0014】ここにフォトマスクブランク(a1)と
は、透明基板上に遮光層と、亜鉛、ガリウムを含むスピ
ネル型結晶またはカドミウム、アンチモンを含む鉛アン
チモネート型結晶を含み、かつキャリアを有する導電性
複合酸化物(以下、ZnGa酸化物、CdSb酸化物と
いう)からなる帯電防止層とを少なくとも有するもので
ある。
【0015】また位相シフトマスクブランク(a2)と
は、透明基板上に、位相シフト層と、ZnGa酸化物ま
たはCdSb酸化物からなる帯電防止層とを少なくとも
有し、必要に応じて遮光層と、エッチング停止層とを有
するものである。
【0016】さらにX線マスクブランク(a3)とは、
支持枠にその周囲が固着されて支持されたX線透過膜上
に、X線吸収層と、ZnGa酸化物またはCdSb酸化
物からなる帯電防止層とを少なくとも有し、必要に応じ
て反射防止層を有するものである。
【0017】またリソグラフィー用マスク(B)の好ま
しい態様は、これらに限定されるものではないが、フォ
トマスク(b1)、位相シフトマスク(b2)、X線マ
スク(b3)である。
【0018】ここにフォトマスク(b1)とは、透明基
板上に遮光層パターンと、ZnGa酸化物またはCdS
b酸化物からなる帯電防止層とを少なくとも有するもの
である。
【0019】また位相シフトマスク(b2)とは、透明
基板上に、位相シフト層パターンと、ZnGa酸化物ま
たはCdSb酸化物からなる帯電防止層とを少なくとも
有し、必要に応じて遮光層パターンと、エッチング停止
層とを有するものである。
【0020】さらにX線マスク(b3)とは、支持枠に
その周囲が固着されて支持されたX線透過膜上に、X線
吸収層パターンと、ZnGa酸化物またはCdSb酸化
物からなる帯電防止層とを少なくとも有し、必要に応じ
て反射防止層を有するものである。
【0021】本発明のリソグラフィー用マスクブランク
およびリソグラフィー用マスクにおいて、帯電防止層を
構成するZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜が導電性
を有するためには、それぞれスピネル型の結晶構造、鉛
アンチモネート型結晶構造となっていることが必要であ
る。ZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜の結晶性を高
めるために成膜温度以上、1200℃以下の温度でのア
ニールが効果的である。1200℃以上では透明基板の
変形が生じマスクとしての精度が低下する。アニール時
の雰囲気としては大気中の他、酸素や不活性ガスが好ま
しい。但し、必要とする導電性との兼ね合いにより、成
膜後のアニール工程は省略することが可能である。
【0022】またZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜
が導電性を有するための他の条件として、キャリアを有
することが必要であるが、キャリアのドープは次の方法
により可能となる。第1の方法は酸素欠陥の導入であ
り、これはZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜の還元
熱処理等により行うことができる。他の方法としてはZ
2+やCd2+よりも価数の高いイオンを各イオンのサイ
トに置換することにより生じる電子を注入する方法があ
り、スパッタ成膜時のターゲット内へのドープや、形成
した膜へのイオン注入等が可能である。
【0023】前記の還元熱処理を行う条件としては、水
素を含むガスや一酸化炭素、炭素を含む雰囲気等各種の
還元雰囲気を用いることが可能であり、前述のアニール
と同様に成膜温度以上、1200℃以下の温度が好まし
い。
【0024】本発明において帯電防止層を構成するZn
Ga酸化物膜は、スピネル型結晶からなり、エネルギー
バンドギャップが例えば約5.2eV(ZnGa
2 4 )であるため波長248nmのKrFエキシマレ
ーザー光の透過率が高く、波長300nmから可視域の
範囲ではほとんど吸収がなく透明であり、エキシマレー
ザー露光が可能である。また帯電防止層を構成するCd
Sb酸化物膜は、鉛アンチモネート型結晶からなり、紫
外域から可視域での透明性が良好であり、エキシマレー
ザー露光が可能である。
【0025】このことは、従来の帯電防止層材料の酸化
錫やITOではKrFエキシマレーザーの波長での透過
率が低くエキシマレーザー露光用マスク材料として不適
当であることと対比すると、本発明における帯電防止膜
(ZnGa酸化物膜およびCdSb酸化物膜)の顕著な
効果である。
【0026】本発明において帯電防止層を構成する前記
スピネル型結晶において、Znに対するGaの元素比は
1.6から2.4であるのが好ましい。すなわちZnに
対するGaの元素比は必ずしも2(ZnGa2 4 )で
なくても良く、2を中心にして±0.4すなわち1.6
〜2.4としても所望の導電性が得られる。特に好まし
い元素比は1.7〜2.3である。
【0027】なお前記スピネル結晶は、その主たる構成
金属元素としてZnとGaとを含むものであるが、それ
らの一部をZn代替金属、Ga代替金属に置き換えても
よい。Zn代替金属としては、Mg,Ca,Cdなど
が、Ga代替金属としては、Inなどが挙げられる。
【0028】また帯電防止層を構成する鉛アンチモネー
ト型結晶において、Cdに対するSbの元素比は1.6
から2.4であるのが好ましい。
【0029】すなわち、Cdに対するSbの元素比は必
ずしも2(CdSb2 6 )でなくても良く、2を中心
にして±0.4すなわち1.6〜2.4としても所望の
導電性が得られる。特に好ましい元素比は1.7〜2.
3である。
【0030】なお前記鉛アンチモネート型結晶は、その
主たる構成元素としてCdとSbとを含むものである
が、それらの一部をCd代替金属、Sb代替金属に置き
換えてもよい。Cd代替金属としては、Y、Zn,Ca
などが、Sb代替金属としては、Na,Ta,Biなど
が挙げられる。
【0031】ZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜の膜
厚は、必要とする透過率及び膜の抵抗値によって決定さ
れ、波長248nmでの透過率が75%以上、膜の抵抗
値が10MΩ/□以下であればよい。
【0032】ZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜の作
製方法としては、スパッター法、真空蒸着法、アブレー
ジョン法やゾル−ゲル法等が利用可能である。
【0033】本発明のリソグラフィー用マスクブランク
およびリソグラフィー用マスクにおいて用いられる透明
基板は露光光に対して透明なものであればよく、石英ガ
ラス、アルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。
【0034】またフォトマスクブランク(a1)および
位相シフトマスクブランク(a2)における遮光層の材
料としては、マスクを通して被転写体上に必要とされる
コントラストを有するパターンを転写できる物質であれ
ば良く、クロムや酸化クロム等が用いられる。また、転
写時の解像度以下の線幅で形成した位相シフター群によ
って遮光部を形成することができる(シフター遮光
型)。
【0035】また位相シフトマスクブランク(a2)に
おける位相シフト層の材料としては、露光光に対して透
明な材料であれば良く、例えば液相法や気相法によって
形成されるSiO2 あるいはSiO2 類似の材料からな
る透明な薄膜が用いられる。また、ハーフトーンシフタ
ーと称する透過率が15%以下の薄膜も用いられる。
【0036】ところで位相シフトマスクの製造において
は、レジストパターンをマスクとして位相シフトマスク
ブランクの位相シフト層をドライエッチングすることに
より、位相シフター(位相シフト層パターン)を形成す
るが、位相シフト層と透明性基板とのエッチング速度の
差が小さいと、エッチング時間を長めにとった場合、基
板までエッチングされてしまい、目的とする位相差が得
られなくなってしまうという問題が生じる。そこで通常
はエッチング停止層を位相シフト層と基板との間に設け
ることが行なわれているが、本発明の位相シフトマスク
ブランクにおける帯電防止層は位相シフト層のエッチン
グ条件によっては十分なエッチング耐性を有し、エッチ
ング停止層を兼ねることもできる。しかしエッチング条
件によっては、帯電防止層が十分なエッチング耐性を有
しない場合もあり、このような場合には、エッチング耐
性を有するAl2 3 、Al2 3 とSnO2 との混合
物、MgF2 などの材料を用いて、エッチング停止層を
位相シフト層と帯電防止層との間に形成するのが好まし
い。
【0037】また既述のようにX線マスクにおいては、
露光時の位置合わせ(アライメント)はX線マスクに光
を透過させて行われ、X線透過膜の上に反射防止膜を設
けることによりアライメント光の透過率を高めることが
できるが、本発明のX線マスクブランクにおいて帯電防
止層は、アライメント光に対して高い透過率を有し、反
射防止膜を兼ねることもできる。
【0038】ZnGa酸化物膜、CdSb酸化物膜を反
射防止膜として用いる場合の膜厚(d)は、膜の屈折率
をnとすると膜の干渉条件から d=(2m+1)λ/4n (但し、mは正の整数、λはアライメント光の波長)と
することにより反射率を最低限に抑えることができる。
【0039】また本発明のX線マスクブランクにおい
て、帯電防止層とともに別途反射防止層を設けることが
できるのはもちろんである。
【0040】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明する。
【0041】第1実施例(フォトマスクブランクおよび
フォトマスク) 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
成膜温度650℃でCd0.950.05Sb2 6 からな
る、厚さ120オングストロームの帯電防止層を形成し
た。次にこれを、大気中800℃で5時間アニールし
た。得られた帯電防止層の透過率は波長248nmにお
いて76%と高い値が得られ、シート抵抗は560kΩ
/□であった。X線回折による分析の結果、鉛アンチモ
ネート型結晶が析出していることが確められた。
【0042】ついで、Cd0.950.05Sb2 6 からな
る帯電防止層上にDCスパッタリングによりクロム遮光
層を形成してフォトマスクブランクを作製した。
【0043】つぎに、上記フォトマスクブランクの遮光
層上に電子線レジストを塗布し乾燥後、電子線描画機を
用いてレジストへの電子線露光を行った。レジストの現
像後、クロム遮光層のエッチング加工を行い、さらに残
存するレジスト層を取り除くことにより、フォトマスク
を得た。
【0044】得られたフォトマスクの描画パターンに
は、電子線描画時のチャージアップによる変形や位置ず
れはみられず、帯電防止効果により塵の付着も少なかっ
た。
【0045】第2実施例(フォトマスクブランクおよび
フォトマスク) 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
成膜温度25℃でZnGa2 4 からなる、厚さ200
オングストロームの帯電防止層を形成した。次にこれ
を、大気中800℃で5時間アニールした後、水素を含
む700℃の還元雰囲気中で5時間処理を行った。得ら
れた帯電防止層の透過率は波長248nmにおいて79
%と高い値が得られ、シート抵抗は330kΩ/□であ
った。X線回折による分析の結果、スピネル型結晶が析
出していることが確められた。
【0046】ついで、ZnGa2 4 からなる帯電防止
層上にDCスパッタリングによりクロム遮光層を形成し
てフォトマスクブランクを作製した。
【0047】つぎに、上記フォトマスクブランクの遮光
層上に電子線レジストを塗布し乾燥後、電子線描画機を
用いてレジストへの電子線露光を行った。レジストの現
像後、クロム膜のエッチング加工を行い、さらに残りの
レジスト層を取り除くことにより、フォトマスクを得
た。
【0048】得られたフォトマスクの描画パターンに
は、電子線描画時のチャージアップによる変形や位置ず
れはみられず、帯電防止効果により塵の付着も少なかっ
た。
【0049】第3実施例(位相シフトマスクブランクお
よび位相シフトマスク) 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
成膜温度300℃、Ar/O2 =20%の雰囲気で、焼
結体をターゲットとして、ZnGa2 4 からなる、厚
さ120オングストロームの膜を形成した。この酸化物
膜付き石英基板を、大気中900℃で5時間アニールし
た後、水素を含む700℃の還元雰囲気中で5時間処理
を行った。得られた帯電防止層の透過率は波長248n
mにおいて81%と高い値が得られ、シート抵抗は56
0kΩ/□であった。また、X線回折による分析の結
果、スピネル型結晶が析出していることが確められた。
【0050】次に、この帯電防止層上にスピンオングラ
スをスピンコートし300℃でベークすることにより膜
厚2500オングストロームの位相シフト層を形成し
た。
【0051】ついで、位相シフト層上にDCスパッター
によりクロム遮光層を形成して、図1に示すように、透
明基板1上に帯電防止層2、位相シフト層3、遮光層4
を順次有する位相シフトマスクブランクを得た。
【0052】つぎに、位相シフトマスクブランクのクロ
ム遮光層4上に電子線レジストを塗布し乾燥後、電子線
描画機を用いてレジストへの電子線露光を行い、レジス
トの現像後クロム遮光層4のエッチング加工を行った。
つぎに再度電子線レジストを塗布し、位相シフターパタ
ーンの電子線露光を行い、レジストの現像後、ドライエ
ッチングにより位相シフト層の加工を行い、さらに残存
するレジスト層を取り除くことにより、図2に示すよう
に石英基板1上に帯電防止層2、位相シフター(位相シ
フト層パターン)3a、遮光部(遮光層パターン)4a
を順次有する位相シフトマスクを得た。
【0053】上記ドライエッチングはCF4 とO2 を用
いた反応性イオンエッチング(RIE)で行ったが、位
相シフト層3と帯電防止層2のエッチング速度比(選択
比)として21という値が得られ、このことから、帯電
防止層2のエッチング速度が位相シフト層3のエッチン
グ速度の1/21と著しく小さく、帯電防止層2はエッ
チング停止層としての機能も有することが明らかとなっ
た。
【0054】得られた位相シフトマスクの描画パターン
には、電子線描画時のチャージアップによる変形や位置
ずれはみられなかった。
【0055】第4実施例(位相シフトマスクブランクお
よび位相シフトマスク) 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
成膜温度100℃で、ZnGa2 4 からなる、厚さ3
000オングストロームの膜を形成した。この酸化物膜
付き石英基板を、大気中900℃で5時間アニールした
後、水素を含む600℃の還元雰囲気中で5時間処理を
行った。得られた帯電防止層の透過率は波長248nm
において83%と高い値が得られ、シート抵抗は420
kΩ/□であった。また、X線回折による分析の結果、
スピネル型結晶が析出していることが確められた。
【0056】次に、このZnGa2 4 からなる帯電防
止層上にエッチング停止層として厚さ100オングスト
ロームのAl2 3 層を同じくRFマグネトロンスパッ
タリングにより形成した。
【0057】さらに、このエッチング停止層上にスピン
オングラスをスピンコートし300℃でベークすること
により厚さ2500オングストロームの位相シフト層を
形成した。
【0058】ついで、この位相シフト層上にDCスパッ
ターによりクロム遮光層を形成して、図3に示すように
石英基板1上に帯電防止層2、エッチング停止層5、位
相シフト層3、クロム遮光層4を順次有する位相シフト
マスクブランクを作製した。
【0059】つぎに、クロム遮光層4上に電子線レジス
トを塗布し乾燥後、電子線描画機を用いてレジストへの
電子線露光を行い、レジストの現像後、クロム遮光層4
のエッチング加工を行った。つぎに再度電子線レジスト
を塗布し、位相シフターパターンの電子線露光を行い、
レジストの現像後、ドライエッチングにより位相シフト
層の加工を行った後、さらに残存するレジスト層を取り
除くことにより、図4に示すように石英基板1上に帯電
防止層2、エッチング停止層5、位相シフター(位相シ
フトパターン)3a、遮光部(遮光膜パターン)4aを
順次有する位相シフトマスクを得た。
【0060】得られた位相シフトマスクの描画パターン
には、電子線描画時のチャージアップによる変形や位置
ずれはみられなかった。
【0061】第5実施例(位相シフトマスク) 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
成膜温度100℃でZnO0.93Ga2.054 からなる厚
さ300オングストロームの膜を形成した。この酸化物
膜付き石英基板を、大気中900℃で5時間アニールし
た後、水素を含む650℃の還元雰囲気中で5時間処理
を行った。得られた帯電防止層の透過率は波長248n
mにおいて81%と高い値が得られ、シート抵抗は90
0kΩ/□であった。また、X線回折による分析の結
果、スピネル型結晶が析出していることが確められた。
【0062】ついで、DCスパッターによりクロム遮光
層を形成し、つぎにクロム遮光層上に電子線レジストを
塗布し乾燥後、電子線描画機を用いてレジストへの電子
線露光を行った。そしてレジストの現像後クロム遮光層
のエッチング加工を行い、さらに残存するレジスト層を
取り除くことにより、クロム遮光層パターンを形成し
た。
【0063】さらに、その上にスピンオングラスをスピ
ンコートし300℃でベークすることにより膜厚250
0オングストロームの位相シフト層を形成した。
【0064】つぎに、位相シフト層上に電子線レジスト
を塗布し、位相シフターパターンの電子線露光を行っ
た。そしてレジストの現像後、ドライエッチングにより
位相シフト層の加工を行い、さらに残存するレジスト層
を取り除くことにより、図5に示すように石英基板1上
に帯電防止層2、遮光部(遮光層パターン)4a、位相
シフター(位相シフトパターン)3aを順次有する位相
シフトマスクを得た。なお、帯電防止層2は、エッチン
グによる遮光層パターン4aおよび位相シフトパターン
3aの形成に際してエッチング停止層の機能を果した。
【0065】得られた位相シフトマスクの描画パターン
には、電子線描画時のチャージアップによる変形や位置
ずれはみられなかった。
【0066】第6実施例(X線マスクブランクおよびX
線マスク) 図6は本実施例のX線マスクブランクおよびX線マスク
の製造工程説明図である。以下、図6を参照にしながら
説明する。
【0067】まず、シリコン(Si)基板6の両面にそ
れぞれ炭化珪素からなるX線透過膜7A及び7Bを形成
した(図6(A))。なお、シリコン基板6には、結晶
方位(100)のシリコン基板を用いた。また、X線透
過膜7A、7Bを構成する炭化珪素は、ジクロロシラン
とアセチレンを用いてCVD法により1μmの厚みに堆
積させた。
【0068】次に、上記X線透過膜7A上に、RFマグ
ネトロンスパッタリングにより、成膜温度100℃でZ
1.13Ga1.914 からなる厚さ860オングストロー
ムの膜を形成したのち、水素を含む650℃の還元雰囲
気中で5時間処理を行って帯電防止層8を形成した(図
6(B))。得られた帯電防止層のシート抵抗は314
0kΩ/□であった。また、X線回折による分析の結
果、スピネル型結晶が析出していることが確められた。
【0069】次に、帯電防止層8の上にX線吸収膜9を
構成するTa膜をRFマグネトロンスパッタ法により
0.8μmの厚さに形成してX線マスクブランクを得た
(図6(C))。
【0070】次に、X線吸収膜9の上に電子線レジスト
を塗布して電子線によりレジストパターンを形成し、こ
のレジストパターンをマスクにして反応性イオンエッチ
ングを施し、X線吸収膜パターン9aを形成した(図6
(D))。
【0071】次に、基板6のもう一方の側(裏側)に形
成されているX線透過膜7Bを、ドライエッチングによ
りその中央部を除去し、さらに、裏面に残ったX線透過
膜7Bをマスクとして、NaOH水溶液によりシリコン
基板6の中央部を除去し、支持枠6aを得た(図6
(E))。
【0072】次に、支持枠6aに自立されたX線透過膜
7Aの図中下側の面(裏面)に反射防止層10としてA
2 3 膜をRFマグネトロンスパッタ法により0.0
96μmの厚さに形成してX線マスクを得た(図6
(F))。
【0073】得られたマスクは、X線吸収膜パターン9
aを除く部分での波長633nmでの透過率は82%で
あり、アライメントを行ったところ、充分なアライメン
ト精度によりシリコンウエハ上に転写されたことが確認
された。また、電子線によるマスクの検査もチャージア
ップが全く生じず、高精度で敏速な検査が可能であっ
た。
【0074】本実施例において、ZnGa酸化物からな
る帯電防止層は、表面側の反射防止膜としても機能する
ものであるが、表面側の反射防止膜をAl2 3 等の導
電性を有しない材料で形成し、その上にZnGa酸化物
からなる帯電防止層を設けることもできる。
【0075】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明によれば、電
子線による描画や検査の際のチャージアップを防止し得
る帯電防止層を有するリソグラフィー用マスクブランク
およびこのブランクを素材としたリソグラフィー用マス
クが提供された。
【0076】上記帯電防止層はエキシマレーザーに対す
る透明性を有し、この帯電防止層を設けたマスクブラン
クは、エキシマレーザー露光用フォトマスクブランクお
よび位相シフトマスクブランクとして好適である。
【0077】また上記帯電防止層は位相シフト層のドラ
イエッチング条件によってはエッチング耐性を有し、位
相シフトマスクブランクにおいて、エッチング停止層を
兼ねることもできる。
【0078】また上記帯電防止層は、X線マスクブラン
クおよびX線マスクにおける反射防止層を兼ねることも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第3実施例の位相シフトマスクブラン
クの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第3実施例の位相シフトマスクの構成
を示す断面図である。
【図3】本発明の第4実施例の位相シフトマスクブラン
クの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施例の位相シフトマスクの構成
を示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施例の位相シフトマスクの構成
を示す断面図である。
【図6】本発明の第6実施例のX線マスクの製造工程説
明図である。
【符号の説明】 1 透明基板 2 帯電防止層 3 位相シフト層 3a 位相シフター(位相シフト層パターン) 4 遮光層 4a 遮光部(遮光層パターン) 5 エッチング停止層 6 基板 6a 支持枠 7A,7B X線透過膜 8 帯電防止膜 9 X線吸収膜 9a X線吸収膜パターン 10 反射防止膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/30 574 (72)発明者 川副 博司 愛知県岡崎市竜美南2丁目2番地1 (56)参考文献 特開 平5−61182(JP,A) 特開 平5−297568(JP,A) 特開 平5−107731(JP,A) 特開 平4−166938(JP,A) 特開 平3−2756(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 1/00 - 1/16

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛、ガリウムを含むスピネル型結晶ま
    たはカドミウム、アンチモンを含む鉛アンチモネート型
    結晶を含み、かつキャリアを有する導電性複合酸化物か
    らなる帯電防止層を有することを特徴とするリソグラフ
    ィー用パターニングマスクブランク。
  2. 【請求項2】 スピネル型結晶におけるZnに対するG
    aの元素比が1.6から2.4である、請求項1に記載
    のリソグラフィー用パターニングマスクブランク。
  3. 【請求項3】 鉛アンチモネート型結晶におけるCdに
    対するSbの元素比が1.6〜2.4である、請求項1
    に記載のリソグラフィー用パターニングマスクブラン
    ク。
  4. 【請求項4】 フォトマスクブランク、位相シフトマス
    クブランクまたはX線マスクブランクである、請求項1
    〜3のいずれか一項に記載のリソグラフィー用パターニ
    ングマスクブランク。
  5. 【請求項5】 リソグラフィー用パターニングマスクブ
    ランクが位相シフトマスクブランクであり、その帯電防
    止層がエッチング停止層でもある、請求項4に記載のリ
    ソグラフィー用パターニングマスクブランク。
  6. 【請求項6】 リソグラフィー用パターニングマスクブ
    ランクがX線マスクブランクであり、その帯電防止層が
    反射防止層でもある、請求項4に記載のリソグラフィー
    用パターニングマスクブランク。
  7. 【請求項7】 亜鉛、ガリウムを含むスピネル型結晶ま
    たはカドミウム、アンチモンを含む鉛アンチモネート型
    結晶を含み、かつキャリアを有する導電性複合酸化物か
    らなる帯電防止層を有することを特徴とするリソグラフ
    ィー用パターニングマスク。
  8. 【請求項8】 スピネル型結晶におけるZnに対するG
    aの元素比が1.6から2.4である、請求項7に記載
    のリソグラフィー用パターニングマスク。
  9. 【請求項9】 鉛アンチモネート型結晶におけるCdに
    対するSbの元素比が1.6〜2.4である、請求項7
    に記載のリソグラフィー用パターニングマスク。
  10. 【請求項10】フォトマスク、位相シフトマスクまたは
    X線マスクである、請求項7〜9のいずれか一項に記載
    のリソグラフィー用パターニングマスク。
  11. 【請求項11】リソグラフィー用パターニングマスクが
    位相シフトマスクであり、その帯電防止層がエッチング
    停止層でもある、請求項10に記載のリソグラフィー用
    パターニングマスク。
  12. 【請求項12】リソグラフィー用パターニングマスクが
    X線マスクであり、その帯電防止層が反射防止膜でもあ
    る、請求項10に記載のリソグラフィー用パターニング
    マスク。
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