JPH08325560A - 帯電防止膜、この膜を用いるリソグラフィー用マスクブランク及びリソグラフィー用マスク - Google Patents

帯電防止膜、この膜を用いるリソグラフィー用マスクブランク及びリソグラフィー用マスク

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JPH08325560A
JPH08325560A JP13529595A JP13529595A JPH08325560A JP H08325560 A JPH08325560 A JP H08325560A JP 13529595 A JP13529595 A JP 13529595A JP 13529595 A JP13529595 A JP 13529595A JP H08325560 A JPH08325560 A JP H08325560A
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裕之 坂井
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政寛 折田
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短波長側の透過率が良好で、充分な導電性を
有する帯電防止膜、これを用いたリソグラフィー用マス
クブランク及びマスクの提供。 【構成】 一般式M(1)x M(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はMg及びZnのう
ちの少なくとも1つの元素であり、M(2)はAl及び
Gaのうちの少なくとも1つの元素であり、比率(x:
y)が0.2〜1.8:1の範囲であり、比率(z:
y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損
量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5〜1×10-1倍の範
囲である)で表される帯電防止膜。前記一般式(但し、
dの下限は0)で表され、かつM(1)、M(2)及び
Inのうちの少なくとも1種の元素の一部が、他の元素
で置換されており、M(1)と置換される元素は原子価
が2価以上であり、M(2)及びInと置換される元素
は原子価が3価以上である帯電防止膜。前記一般式(但
し、dの下限は0)で表される酸化物に、陽イオンを注
入したものである帯電防止膜。上記帯電防止膜を用いた
リソグラフィー用マスクブランク及びマスク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止膜、並びにこ
の膜を用いたリソグラフィー用マスクブランク及びリソ
グラフィー用マスクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般の帯電防止膜として、酸化錫
膜(SnO2 )やITO(In2 3−SnO2 )膜が
提案されている。帯電防止膜の重要な応用例として、リ
ソグラフィー用マスクブランクおよびリソグラフィー用
マスクがある。帯電防止膜は、電子線を用いた描画の際
のチャージアップを防止したり、静電気によってマスク
に塵が付着するのを防止するために使われている。
【0003】ICやLSIの高密度化、高集積化が進む
につれて、リソグラフィー工程に用いられる投影露光技
術には、転写可能なパターンのより微細化、高解像度化
が要求されている。そこで、使用する波長の短波長化、
露光光の位相変調を利用した位相シフト法、およびこれ
らの方法の併用が採用されている。上記位相シフト法に
おいては、光の位相を反転させる位相シフター材料とし
て、例えば液相法や気相法によって形成されるSiO2
あるいはSiO2 類似の材料からなる透明な薄膜や、ハ
ーフトーンシフターと称する透過率が15%以下の薄膜
が用いられている。これら位相シフターの形成は、位相
シフト層上に塗布した電子線レジストを電子線描画によ
りレジストパターンを形成した後、レジストパターンを
マスクとして位相シフト層をドライエッチングすること
により行われている。しかし、この位相シフターの形成
において位相シフト層上に塗布した電子線レジストへの
電子描画を行う際に、透明基板上のいずれかの層が導電
性を有していないとチャージアップを起こしてしまい、
描画パターンの変形が生じてしまう。
【0004】そこで、この問題を解決するために、導電
性を有し、帯電防止層としての作用を有する層を基板と
位相シフト層の間に設けた位相シフトマスクブランクが
提案されている。この帯電防止膜の存在により、電子線
描画時のチャージアップを防止することが可能となる。
【0005】また、高密度化、高集積化への対応の一つ
としてX線マスクがある。X線マスクの露光時の位置合
わせは、X線マスクに光を透過させることにより行われ
る。そして、X線透過膜の上に反射防止膜を設けること
により位置合わせ光の透過率を高めることができる。と
ころが、導電性を有するX線透過膜上に、Al2 3
の導電性を有しない物質を反射防止膜として設けると、
電子線によるチャージアップが生じ、検査精度が著しく
低下する。これは、X線吸収膜の微細なパターンの検査
が電子線を用いた手法により行われているからである。
そこで、パターンの検査の際にも電子線によるチャージ
アップを生じないように帯電防止層が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半導体素子の高集積化
に伴って、使用される露光光の短波長化が進んでいる。
ところが、前記酸化錫膜(SnO2 )やITO(In2
3 −SnO2 )膜は、短波長側の光の透過率が低い。
そのため、リソグラフィー用マスクブランクおよびリソ
グラフィー用マスク用の帯電防止膜として十分に対応で
きなくなってきている。
【0007】そこで、本件出願人は、この問題を解決す
べく、亜鉛、ガリウムを含むスピネル型またはカドミウ
ム、アンチモンを含む鉛アンチモネート型結晶を含み、
かつキャリアを有する導電性複合酸化物からなる帯電防
止層を先に提案した〔特願平6−48123号〕。この
帯電防止層は、酸化錫膜(SnO2 )やITO(In2
3 −SnO2 )膜に比べれば、短波長側の光の透過性
に優れている。しかし、導電性、特に膜にした場合の導
電性がさらに高い膜の提供が望まれている。
【0008】そこで本発明の目的は、短波長側の透過率
が良好で、しかも十分な導電性を有する帯電防止膜、特
にリソグラフィー用マスクブランクおよびリソグラフィ
ー用マスク用帯電防止膜を提供することにある。さらに
本発明の目的は、短波長側の透過率が良好で、しかも十
分な導電性を有する帯電防止膜を用いたリソグラフィー
用マスクブランクおよびリソグラフィー用マスクを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、
M(1)はマグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1
つの元素であり、M(2)はアルミニウム及びガリウム
のうちの少なくとも1つの元素であり、比率(x:y)
が0.2〜1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が
0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが
(x+3y/2+3z/2) の3×10-5〜1×10-1倍の範囲であ
る)で表される導電性酸化物からなることを特徴とする
帯電防止膜(第1の態様の帯電防止膜)に関する。
【0010】さらに本発明は、一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1つの元素で
あり、M(2)はアルミニウム及びガリウムのうちの少
なくとも1つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜
1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜
1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0から(x
+3y/2+3z/2) の1×10-1倍の範囲である)で表され、
かつM(1)、M(2)及びInのうちの少なくとも1
種の元素の一部が、他の元素で置換されており、M
(1)と置換される元素は原子価が2価以上であり、M
(2)及びInと置換される元素は原子価が3価以上で
ある導電性酸化物からなることを特徴とする帯電防止膜
(第2の態様の帯電防止膜)に関する。
【0011】加えて本発明は、一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1つの元素で
あり、M(2)はアルミニウム及びガリウムのうちの少
なくとも1つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜
1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜
1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0から(x
+3y/2+3z/2) の1×10-1倍の範囲である)で表される
酸化物に、陽イオンを注入したものである導電性酸化物
からなることを特徴とする帯電防止膜(第3の態様の帯
電防止膜)に関する。
【0012】さらに本発明は、基板の少なくとも一方の
表面の少なくとも一部に設けられた上記帯電防止膜であ
って、さらに、該帯電防止膜を構成する導電性酸化物の
(00n)面(但し、nは正の整数である)が前記基板
の表面と実質上平行に配向していることを特徴とする帯
電防止膜に関する。
【0013】また、本発明は、上記本発明の帯電防止膜
を有するリソグラフィー用マスクブランク及び上記本発
明の帯電防止膜を有するリソグラフィー用マスクに関す
る。以下、本発明について説明する。
【0014】本発明の第1の態様の帯電防止膜 一般式M(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d
中、M(1)はマグネシウム及び亜鉛のうちの少なくと
も1つの元素である。従って、M(1)はマグネシウム
及び亜鉛のいずれか単独であってもよいし、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛が共存してもよい。マグネシウム
及び亜鉛が共存する場合、マグネシウムと亜鉛の比率に
は特に制限はない。但し、マグネシウムの比率が増える
と吸収端が短波長側にシフトして透明性が増大する傾向
がある。亜鉛の比率が増えると導電性が増大する傾向が
ある。
【0015】M(2)はアルミニウム及びガリウムのい
ずれか単独であってもよいし、M(2)はアルミニウム
及びガリウムが共存してもよい。アルミニウム及びガリ
ウムが共存する場合、アルミニウムとガリウムの比率に
は特に制限はない。但し、アルミニウムの比率が増える
と結晶化温度が高くなる傾向がある。ガリウムの比率が
増えると結晶化温度が低くなる傾向がある。
【0016】比率(x:y)は0.2〜1.8:1の範
囲であり、x/yが0.2未満であるとInGaO3
の析出が顕著となり、電気伝導性が低下する。x/yが
1.8を超えると結晶構造が不安定となる。好ましい比
率(x:y)は0.3〜1.6:1の範囲であり、より
好ましくは0.4〜1.3:1の範囲である。比率
(z:y)は0.4〜1.4:1の範囲であり、z/y
が0.4未満ではZnGa2 4 相等の析出が顕著とな
り、電気伝導性が低下する。z/yが1.4を超えると
In2 3 相が析出して透明性が低下する。好ましい比
率(z:y)は0.6〜1.4:1の範囲であり、より
好ましくは0.8〜1.2:1の範囲である。
【0017】酸素欠損量dは、(x+3y/2+3z/2) の3×1
-5〜1×10-1倍の範囲である。酸素欠損量dは、一
般に、少な過ぎると電気伝導性が低下し、多過ぎると可
視光を吸収して透明性を低下させる原因となる。酸素欠
損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5倍未満では電気伝
導率が低くなり過ぎて、実用的な導電性を得ることはで
きない。一方、酸素欠損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×1
-1倍を超えると可視光を吸収するようになることか
ら、好ましくない。酸素欠損量dの範囲は、好ましくは
(x+3y/2+3z/2) の1×10-3〜1×10-1倍の範囲であ
り、より好ましくは(x+3y/2+3z/2) の1×10-2〜1×
10-1倍の範囲である。
【0018】尚、酸素欠損量とは、1モルの酸化物結晶
中に含まれる酸素イオンの数を化学量論量の酸素イオン
の数から差し引いた値をモル単位で示した値である。酸
化物結晶中に含まれる酸素イオンの数は、例えば、酸化
物結晶を炭素粉末中で加熱させて生成する二酸化炭素の
量を赤外吸収スペクトルで測定することで算出すること
ができる。また、化学量論量の酸素イオンの数は酸化物
結晶の質量から算出することができる。
【0019】本発明の帯電防止膜の導電性は、伝導帯に
おけるキャリア電子の量が所定の範囲にあるときに良好
となる。そのようなキャリア電子の量は、1×1018
cm3 〜1×1022/cm3 の範囲である。また、好ま
しいキャリア電子の量は、1×1019/cm3 〜5×1
21/cm3 の範囲である。尚、キャリア電子の量は、
例えば、ファンデアパウ法電気伝導率測定装置により測
定することができる。
【0020】一般式M(1)M(2)InO4-d で表わ
される本発明に用いる導電性酸化物は、一般式Mga
1-a A1b Ga1-b InO4-d で表すこともでき、式
中aは0〜1の範囲であり、bは0〜1の範囲である。
Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4-d で表わされる
本発明に用いる導電性酸化物の具体例としては、例えば
MgA1InO4-d 、ZnA1InO4-d 、MgGaI
nO4-d 、ZnGaInO4-d 、Mga Zn1-a A1I
nO4-d 、Mga Zn1-a GaInO4-d 、MgA1b
Ga1-b InO4-d 、ZnA1b Ga1-b InO4-d
挙げることができる。式中のa及びbは、導電性酸化物
に要求される光学的特性及び導電性を考慮して、組成に
より適宜決定することができる。
【0021】上記の酸素欠損量dは1.2×10-4
0.4の範囲であり、この範囲の酸素欠損量であること
で、帯電防止膜として良好に用いることができる。酸素
欠損量dは、電気伝導性と透明性のバランスという観点
からは、好ましくは4×10-3〜0.4の範囲であり、
より好ましくは4×10-2〜0.4の範囲である。
【0022】本発明の第2の態様の帯電防止膜 本発明の第2の態様の帯電防止膜において、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d の式中、
M(1)、M(2)、比率(x:y)及び比率(z:
y)については、前記本発明の第1の態様の帯電防止膜
と同様である。さらに、本発明の第2の態様の帯電防止
膜においては、M(1)、M(2)及びInのうちの少
なくとも1種の元素の一部が、他の元素で置換されてお
り、M(1)と置換される元素は原子価が2価以上であ
り、M(2)及びInと置換される元素は原子価が3価
以上である。M(1)、M(2)及びInの少なくとも
一つの元素の一部を他の元素と置換することにより、酸
化物に電子を注入することができる。本発明の第2の態
様の帯電防止膜では、酸素欠損を導入すること以外に、
金属イオンの一部を別の金属イオンで置換することによ
りキャリア電子が伝導帯に注入されて、導電性を発現さ
せることができる。
【0023】M(1)で表されるMg及びZnは、2価
の元素であり、これらと置換可能な元素は、原子価が2
価以上の元素である。原子価が高い元素程少量の置換
で、より大きいキャリア注入量を与えることが可能であ
る。置換可能な元素の原子価は通常2価、3価、4価、
5価又は6価である。原子価が2価以上の元素として
は、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd、A
l、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、T
c、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙
げることができる。
【0024】M(2)で表されるA1、Ga及びInは
3価の元素であり、これらと置換可能な元素は、原子価
が3価以上の元素である。原子価が高い元素程少量の置
換で、より大きいキャリア注入量を与えることが可能で
ある。置換可能な元素の原子価は通常3価、4価、5価
又は6価である。原子価が3価以上の元素としては、例
えば、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、
Tc、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙
げることができる。
【0025】上記のようにM(1)、M(2)及び/又
はInの一部が上記のような元素で置換されることで、
キャリア電子が伝導バンドに注入される。電気伝導性と
透明性のバランスという観点から、キャリア電子の注入
量は、例えば1×1018/cm3 〜1×1022/cm3
の範囲とすることが適当であり、各元素の置換量は、電
子の注入量を上記範囲になるように調整することが適当
である。キャリア電子の注入量が1×1018/cm3
満では十分な電気伝導率が得られず、1×1022/cm
3 を超えると、プラズマ振動による吸収が可視領域に現
れて透明性が低下する。キャリア電子の注入量は、好ま
しくは1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲
である。また、置換する元素の種類によっては、使用す
る波長領域の光を吸収する性質を有するものもある。そ
こで、置換元素の置換量は、使用波長領域の光の平均透
過率が70%以上、好ましくは80%以上、より好まし
くは90%以上となるように選ぶことが適当である。
【0026】第2の態様の帯電防止膜を構成する酸化物
の具体例として、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d において、x、y及びzが1であるM
(1)M(2)InO4-d で表され、M(1)、M
(2)及び/又はInの一部が他の元素で置換されたも
のを挙げることができる。置換可能な元素の具体例は前
述のとおりである。一般式M(1)M(2)InO4-d
で表わされる導電性酸化物は、一般式Mga Zn1-a
b Ga1-b InO4 で表すこともでき、式中aは0〜
1の範囲であり、bは0〜1の範囲である。従って、第
2の態様の酸化物は、一般式MgaZn1-a A1b Ga
1-b InO4 において、Mg、Zn、A1、Ga及びI
nのの一部が他の元素で置換されたものである。
【0027】尚、上記Mga Zn1-a A1b Ga1-b
nO4 で表わされる酸化物には、例えばMgA1InO
4 、ZnA1InO4 、MgGaInO4 、ZnGaI
nO4 、Mga Zn1-a A1InO4 、Mga Zn1-a
GaInO4 、MgA1b Ga1-b InO4 、ZnA1
b Ga1-b InO4 を挙げることができる。式中のa及
びbは、帯電防止膜に要求される光学的特性及び導電性
を考慮して、組成により適宜決定することができる。
【0028】M(1)、M(2)及びInの少なくとも
いずれか1つの元素の一部が他の元素で置換されること
で、キャリア電子が伝導バンドに注入される。キャリア
電子の伝導バンドへの注入は、上述のように酸素欠損の
導入によっても生じる。従って、本発明の第2の態様の
酸化物においては、元素の置換又は元素の置換と酸素欠
損によってキャリア電子が伝導バンドに注入される。キ
ャリア電子の量は、前記のように1×1018/cm3
1×1022/cm3の範囲とすることが適当であり、各
元素の置換量又は元素の置換量と酸素欠損量とは、キャ
リア電子の量が上記範囲になるように調整することが適
当である。キャリア電子の量は、好ましくは1×1019
/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0029】本発明の第3の態様の帯電防止膜 本発明の第3の態様の帯電防止膜において、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d の式中、
M(1)、M(2)、比率(x:y)及び比率(z:
y)については、前記本発明の第1の態様の帯電防止膜
と同様である。さらに、本発明の第3の態様の帯電防止
膜は、上記一般式で表される酸化物に、陽イオンを注入
したものである。本発明の第3の態様の帯電防止膜で
は、酸素欠損を導入すること以外に、陽イオンを注入す
ることによりキャリア電子が伝導帯に注入されて、導電
性を発現させることができる。
【0030】本発明の第3の態様の帯電防止膜に注入さ
れる陽イオンは、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d で表される酸化物の結晶構造を破壊す
ることなく、固溶できるものであれば特に制限はない。
但し、イオン半径の小さいイオンの方が結晶格子中に固
溶しやすい傾向があり、イオン半径が大きくなる程、結
晶構造を破壊し易くなる傾向がある。上記のような陽イ
オンとしては、例えば、H、Li、Be、B、C、N
a、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、G
e、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、
Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、B
iを挙げることができる。
【0031】第3の態様の帯電防止膜を構成する酸化物
の具体例として、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d において、x、y及びzが1であるM
(1)M(2)InO4-d で表される酸化物に陽イオン
を注入したものを挙げることができる。一般式M(1)
M(2)InO4-d で表わされる導電性酸化物は、一般
式Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4 で表すことも
でき、式中aは0〜1の範囲であり、bは0〜1の範囲
である。従って、第3の態様に用いる酸化物は、一般式
Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4 で表される酸化
物に陽イオンを注入したものであることができる。
【0032】尚、上記Mga Zn1-a A1b Ga1-b
nO4 で表わされる酸化物には、前記のように、例えば
MgA1InO4 、ZnA1InO4 、MgGaInO
4 、ZnGaInO4 、Mga Zn1-a A1InO4
Mga Zn1-a GaInO4、MgA1b Ga1-b In
4 、ZnA1b Ga1-b InO4 を挙げることができ
る。式中のa及びbは、帯電防止膜に要求される光学的
特性及び導電性を考慮して、組成により適宜決定するこ
とができる。
【0033】本発明の帯電防止膜は、前記の導電性酸化
物のみからなる場合のみならず、およびこれらの酸化物
と異なる結晶が共存する酸化物層であることもできる。
但し、他の結晶の共存量は、膜の透明性および導電性の
点で実用上の問題が生じない範囲で選ばれる。本発明の
導電性酸化物と共存させることができる酸化物として
は、例えばITO、In2 3 、SnO2 、ZnO等が
挙げられる。但し、これらの酸化物に限定されるもので
はない。
【0034】本発明の配向した帯電防止膜 本発明の帯電防止膜は、基板の少なくとも一方の表面の
少なくとも一部に設けられ、帯電防止膜を構成する導電
性酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)
が前記基板の表面と実質上平行に配向しているものであ
ることができる。このような帯電防止膜より高い導電性
を有する。この点を図面を用いて説明する。
【0035】本発明に用いられる一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2) で示される酸化物は、
基本的にはInO6 の八面体が2次元的に広がった層構
造を有する。InO6 の八面体の層状構造を示す原子模
型(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素原子である)を
図1に示す。図1のAは、(00n)面に垂直な方向か
ら見た図であり、図1のBは(00n)面と平行な方向
から見た図である。図2は、InO6 の八面体及び八面
体の(00n)面、さらには基板との関係を模式的に示
した図である。本発明の帯電防止膜では、導電性酸化物
の(00n)面(但し、nは正の整数である)が透明基
板の表面と実質上平行に配向していることが、高い導電
性を有すという観点から好ましい。この点は、図3に模
式的に示すように、無配向性の膜においては、電子の経
路がジグザグになるのに対して、配向性の膜において
は、電子の経路は直線的になり、導電性も高くなる。
【0036】本発明の帯電防止膜の膜厚は、膜に要求さ
れる光学的特性、伝導性及び用途等を考慮して適宜決定
でき、例えば、下限は約30nmであり、上限は約1μ
mである。但し、酸化物に含まれる元素の種類によって
は、可視領域に一部吸収を有するものもあり、その場合
には、比較的薄い膜が好ましい。また、可視領域にほと
んどまたはまったく吸収を有さないものについては、膜
厚を厚くすることで、より高い伝導性を得ることができ
る。
【0037】本発明の帯電防止膜は、薄膜法により製造
することができる。薄膜法の代表的なものとして、CV
D法、スプレー法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、MBE法、スパッタリング法、ゾル−ゲル法、噴霧
熱分解法などがある。さらにCVD法として、熱CV
D、プラズマCVD、MOCVD、光CVD等を挙げる
ことができる。
【0038】CVD法やスプレー法のような化学的手法
は、真空蒸着法やスパッタリング法のような物理的手法
に比べて設備は簡単であり、大型基板に適している。さ
らに、反応促進や特性安定化のために乾燥や焼成の工程
を行うときには、350〜500℃の熱処理を必要とす
るので、ガラス基板上に直接製造する場合には適してい
る。物理的手法は、基板温度が150〜300℃の低温
で成膜できるため、ガラス基板上に直接製造する場合だ
けでなく、各種下地層の上に製造する場合にも適してい
る。なかでもスパッタリング法は生産性が高く、大面積
基板に均一に成膜できるなどの点で特に優れている。
【0039】例えば、スパッタリング法の場合、所望の
組成を有するターゲットを用い、10-4〜10-1Tor
rの圧力下、室温から500℃の範囲で基板を加熱して
成膜することができる。尚、スパッタリングターゲット
としては、金属または酸化物の焼結体や混合粉成形体等
を用いることができる。また、成膜方法及び条件により
生成する酸化物膜の配向性をコントロールすることもで
きる。例えば、スパッタリング法で配向性のある酸化物
膜を形成するには、5×10-4〜1Torrの圧力下、
100℃〜900℃の範囲で基板を加熱することで、酸
化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が前
記基板の表面と実質上平行な向きに配向した膜を形成す
ることができる。
【0040】CVD法では、金属元素の原料として、I
n(CH3 3 、In(C2 5 3 、In(C5 7
2 3 、In(C119 2 3 、Ga(C
3 3 、Ga(C2 5 3 、Zn(CH3 2 、Z
n(C2 5 2 、Al(CH3 3、Al(C
2 5 3 、Mg(CH3 2 、Mg(C2 5 2
の有機金属や、InCl3 、GaCl3 、ZnCl2
AlCl3 、MgCl2 等の塩化物などが利用できる。
また、酸素の原料としては空気、O2 、H2 O、C
2 、N2O等が利用できる。
【0041】イオンプレーティング法による成膜は、原
料となる金属あるいは酸化物の混合体や焼結体を抵抗加
熱、高周波加熱、電子衝撃等により蒸発させ、DC放
電、RF放電、電子衝撃等によりイオン化する事により
行うことができる。原料として金属を用いた場合には、
空気、O2 、H2 O、CO2 、N2 O等を流しながら成
膜をすることにより所定の酸化物膜を得ることができ
る。
【0042】真空蒸着法による成膜は、圧力10-3〜1
-6Torr中で原料となる金属あるいは酸化物の混合
体や焼結体を抵抗加熱、高周波加熱、電子衝撃、レーザ
ー衝撃等により蒸発させ、基板上に膜を作製することに
より行うことができる。原料として金属を用いた場合に
は空気、O2 、H2 O、CO2 、N2 O等を流しながら
成膜をすることにより所定の酸化物膜を得ることができ
る。
【0043】尚、CVD法、イオンプレーティング法、
真空蒸着法においても、成膜条件を適宜選ぶことで配向
性のある酸化物膜を形成することができる。
【0044】本発明の第1の態様の帯電防止膜の導電性
は、薄膜法により形成したM(1)x M(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2) で表される酸化物に酸素欠損を導入す
ることで得られる。一般に酸化物の酸素欠損は、例え
ば、酸化物から酸素を引き抜くことにより生成させるこ
とができる。酸素原子を引き抜いて酸素欠損を作る方法
としては、上記酸化物を還元性雰囲気下または不活性ガ
ス雰囲気下で加熱処理するなどの方法を用いることがで
きる。熱処理および/または還元処理は、100〜11
00℃の範囲の温度で行うことが適当である。好ましい
温度範囲は、300〜900℃である。また、酸化物の
成膜の際に酸素分圧を制御することで、酸素欠損を有す
る酸化物を形成させることもできる。酸化物の形成の際
に酸素欠損を導入し、さらに酸素を引き抜く工程を加え
ることで酸素欠損量を調整することもできる。
【0045】本発明の第2の態様の帯電防止膜は、基本
的には、第1の態様の帯電防止膜の場合と同様に、薄膜
法により形成し、必要により酸素欠損を導入することに
より得られる。
【0046】例えば、スパッタリング法で行う場合、タ
ーゲットとして、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2) (式中、M(1)はマグネシウム及び亜
鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)はア
ルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元素
であり、比率(x:y)が0.1〜2.2:1の範囲で
あり、比率(z:y)が0.4〜1.8:1の範囲であ
る)で表され、かつM(1)、M(2)及びInのうち
の少なくとも1種の元素の一部が、他の元素で置換され
ており、M(1)と置換される元素は原子価が2価以上
であり、M(2)及びInと置換される元素は原子価が
3価以上である酸化物を用いることが適当である。例え
ば、In2 Ga2 Zn0.99Ge0.017 の組成を有する
膜を形成する場合、同様の組成を有する焼結体または混
合粉成形体等をターゲットとして用いることができる。
【0047】スパッタリング法により、配向性の帯電防
止膜を作製するには、上記酸化物をターゲットとして、
基板上に、前記基板の加熱温度を100〜900℃の範
囲とし、成膜時の圧力を5×10-4〜1Torrの範囲
として酸化物膜を形成することが適当である。これによ
り、導電性酸化物からなる膜であって、該導電性酸化物
の(00n)面(但し、nは正の整数である)が前記基
板の表面と実質上平行な向きに配向した結晶構造を有す
る帯電防止膜を得ることができる。
【0048】さらに、酸素欠損は、本発明の第1の態様
と同様に、例えば、酸化物から酸素を引き抜くことによ
り生成させることができる。酸素原子を引き抜いて酸素
欠損を作る方法としては、酸化物を還元性雰囲気下また
は不活性ガス雰囲気下で加熱処理するなどの方法を用い
ることができる。
【0049】本発明の第3の態様の帯電防止膜は、基本
的には、第1の態様の帯電防止膜の場合と同様に、一般
式M(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2) で示さ
れる所望の組成の酸化物を形成し、さらに得られた酸化
物に陽イオンを注入し、必要により酸素欠損を導入する
ことにより得られる。酸化物の形成は、薄膜法などによ
り行うことができる。尚、上記酸化物を形成する際に、
条件により酸化物形成の際に酸素欠損が導入されること
もある。また、薄膜法の例としては、上記第1の態様の
帯電防止膜で説明した方法を同様に用いることができ
る。
【0050】陽イオンの注入には、イオン注入法を用い
る。イオン注入法は、固体内に不純物を導入する手段と
して超大規模集積回路製造工程等に用いられているもの
をそのまま用いることができる。注入さるべき陽イオン
の元素をイオン化して数十keV以上に加速し、酸化物
中に打ち込むことで、行うことができる。
【0051】注入された陽イオンは伝導帯にキャリア電
子を与えて導電性を発現させる。陽イオン注入量は、酸
化物が酸素欠損を有さない場合、伝導帯への電子の注入
量が1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲に
なるように選ぶことが適当である。また、酸化物が酸素
欠損を有する場合には、酸素欠損により生じるキャリア
電子の量と陽イオン注入により生じる電子の量との合計
が上記範囲になるようにすることが適当である。キャリ
ア電子の量が1×1018/cm3 より小さければ、充分
な電気伝導率が得られず、1×1022/cm3 より大き
ければプラズマ振動による吸収が可視領域に現れて透明
性が劣化する。キャリア電子の量は、好ましくは1×1
19/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0052】本発明の帯電防止膜を用いたリソグラフィ
ー用マスクブランク及びリソグラフィー用マスクについ
て説明する。本発明においてリソグラフィー用マスクブ
ランクとしては、例えば、フォトマスクブランク、位相
シフトマスクブランク及びX線マスクブランク等を挙げ
ることができる。但し、本発明の上記材料を用いた帯電
防止膜を有するリソグラフィー用マスクブランクであれ
ば、これらに限定されるものではない。また、本発明に
おいてリソグラフィー用マスクとしては、例えば、フォ
トマスク、位相シフトマスク及びX線マスク等を挙げる
ことができる。但し、本発明の上記材料を用いた帯電防
止膜を有するリソグラフィー用マスクであれば、これら
に限定されるものではない。
【0053】リソグラフィー用マスクブランクがフォト
マスクブランクである場合、該フォトマスクブランク
は、基板上に、本発明の上記材料を用いた帯電防止層及
び遮光層をこの順に有するものである。リソグラフィー
用マスクブランクが位相シフトマスクブランクである場
合、該位相シフトマスクブランクは、基板上に、本発明
の上記材料を用いた帯電防止層を有し、その上に位相シ
フト層及び遮光層をこの順に有するものである。尚、位
相シフトマスクブランクにおいては、上記帯電防止膜は
エッチング停止層としても機能するが、上記帯電防止膜
と位相シフト層との間に別途エッチング停止層を設ける
こともできる。
【0054】また、リソグラフィー用マスクブランクが
X線マスクブランクである場合、該X線マスクブランク
は、基板の一方の面にX線透過層を有し、他方の面にX
線透過層、本発明の上記材料を用いた帯電防止層及びX
線吸収層をこの順に有するものである。尚、X線マスク
ブランクにおいては、上記帯電防止膜は反射防止層とし
ても機能するが、別途、帯電防止層の上又は下に反射防
止層を設けることもできる。
【0055】リソグラフィー用マスクがフォトマスクで
ある場合、該フォトマスクは、基板上に、本発明の上記
材料を用いた帯電防止層及び所定パターンの遮光部をこ
の順に有するものである。リソグラフィー用マスクが位
相シフトマスクである場合、該位相シフトマスクは、基
板上に、本発明の上記材料を用いた帯電防止層、所定パ
ターンの位相シフター及び所定パターンの遮光部をこの
順に有するものである。尚、位相シフトマスクにおいて
は、上記帯電防止膜はエッチング停止層としても機能す
るが、上記帯電防止膜と位相シフターとの間に別途エッ
チング停止層を設けることもできる。
【0056】また、リソグラフィー用マスクがX線マス
クである場合、該X線マスクは、支持枠の一方の面にX
線透過層を有し、他方の面にX線透過層、本発明の上記
材料を用いた帯電防止層及びX線吸収パターンをこの順
に有するものである。尚、X線マスクにおいては、上記
帯電防止膜は反射防止層としても機能するが、別途、帯
電防止層の上又は下に反射防止層を設けることもでき
る。既述したように、X線マスクにおいては、露光時の
位置合わせはX線マスクに光を透過させることにより行
っている。一般にX線透過膜の上に反射防止膜を設ける
ことにより位置合わせ光の透過率を高めることができ
る。本発明の帯電防止膜は、位置合わせ光に対して高い
透過率を有し、反射防止膜を兼ねることもできる。但
し、本発明の帯電防止膜とは別に帯電防止層の上又は下
に反射防止膜を設けることも可能であることはいうまで
もない。
【0057】本発明のリソグラフィー用マスク及びリソ
グラフィー用マスクブランクにおいて、基板としては、
例えば石英ガラス、無アルカリガラス、低膨張ガラス、
アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス等の透
明基板を挙げることができる。
【0058】フォトマスクブランク及び位相シフトマス
クブランクにおける遮光層の材料としては、マスクを通
して被転写体上に必要とされるコントラストを有するパ
ターンを転写できる物質であれば良く、クロム、酸化ク
ロム、タングステン、モリブデン等が用いられる。ま
た、転写時の解像度以下の線幅で形成した位相シフター
群によって遮光部を形成することができる。位相シフト
マスクブランクにおける位相シフト層の材料としては、
露光光に対して透明な材料であれば良く、例えば液相法
や気相法によって形成されるSiO2 あるいはSiO2
類似の材料からなる透明な薄膜が用いられる。さらに、
シリカガラス、スピンオングラス、フッ素樹脂等を用い
ることもできる。また、ハーフトーンシフターと称する
透過率が15%以下の薄膜も用いることができ、ハーフ
トーンシフターの材質としては、例えば、酸化クロム、
ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、酸化クロム−
シリカ等を挙げることができる。
【0059】位相シフトマスクの製造は、レジストパタ
ーンをマスクとして位相シフトマスクの位相シフト層を
ドライエッチングすることにより、位相シフター(位相
シフト層パターン)を形成する。一般に、位相シフト層
と透明基板とのエッチング速度の差が小さいと、エッチ
ング時間を長めにとった場合、基板までエッチングされ
てしまい、目的とする位相差が得られなくなってしまう
という問題が生ずる。そこで、通常はエッチング停止層
を位相シフト層と基板との間に設けることが行われてい
る。しかし、本発明の帯電防止膜はこのエッチング停止
層を兼ねることもできる。
【0060】但し、エッチング条件によっては、帯電防
止層が十分なエッチング耐性を有しない場合もある。こ
のような場合には、エッチング耐性を有するエッチング
停止層を位相シフト層と帯電防止層との間に形成するこ
とが好ましい。エッチング停止層としては、例えばアル
ミナ、アルミナ−酸化スズ、酸化スズ、酸化ハフニウ
ム、MgF2 等の材料を挙げることができる。
【0061】本発明の位相シフトマスクブランクの構成
を示す断面図を図4に示す。図中、位相シフトマスクブ
ランクは、透明基板1上に帯電防止膜2、位相シフト層
3、遮光層4を順次有する。また、本発明の位相シフト
マスクの構成を示す断面図を図5に示す。図中、位相シ
フトマスクは、透明基板1上に帯電防止膜2、位相シフ
ター(位相シフト層パターン)3a、遮光部(遮光層パ
ターン)4aを順次有する。
【0062】図6には、本発明の別の態様の位相シフト
マスクブランクの構成を示す断面図である。図中、位相
シフトマスクブランクは、透明基板1上に帯電防止膜
2、エッチング停止層5、位相シフト層3、遮光層4を
順次有する。また、対応する本発明の位相シフトマスク
の構成を示す断面図を図7に示す。図中、位相シフトマ
スクは、透明基板1上に帯電防止膜2、エッチング停止
層5、位相シフター(位相シフト層パターン)3a、遮
光部(遮光層パターン)4aを順次有する。
【0063】位相シフトマスクブランクから位相シフト
マスクの形成は、常法により行うことができる。例え
ば、位相シフトマスクブランクの遮光層4の上に電子線
レジストを塗布、乾燥した後、電子線描画機を用いてレ
ジストへの電子線露光を行う。レジスト現像後、クロム
遮光層4をエッチング加工し、次に再度電子線レジスト
を塗布し、位相シフターパターンの電子線露光を行う。
レジストの現像後、ドライエッチングにより位相シフト
層の加工を行い、さらに残存するレジスト層を取り除く
ことにより、位相シフトマスクを形成することができ
る。上記ドライエッチングは、例えば、CF4 とO2
用いた反応性イオンエッチングを用いることができる。
【0064】図8には、本発明のX線マスクの製造工程
説明図を示す。図8の(C)に、本発明のX線マスクブ
ランクが示され、図8の(F)に、本発明のX線マスク
が示される。図8の(C)に示される本発明のX線マス
クブランクは、シリコン基板6の両面にX線透過膜7A
及び7Bを有し、さらに、X線透過膜7Aの上に、帯電
防止膜8及びX線吸収膜9をこの順に有する。また、図
8の(F)に示される本発明のX線マスクは、X線透過
膜7Bを有する支持枠6aに、その周囲が固着されて支
持されたX線透過膜7Aの上に帯電防止膜8とX線吸収
パターン9aを有するものである。
【0065】本発明のX線マスクブランク及びX線マス
クは、図8の工程(A)から(F)を経て作製できる。
工程(A)では、シリコン基板6の両面にX線透過膜7
A及び7Bが形成される。X線透過膜としては、例え
ば、炭化珪素を用いることができ、炭化珪素膜は、ジク
ロロシランとアセチレンを用いてCVD法により形成す
ることができる。また、炭化珪素以外に窒化珪素、ダイ
ヤモンド、シリコン等をX線透過膜として用いることも
できる。工程(B)では、X線透過膜7Aの上に本発明
の帯電防止膜8を形成する。工程(C)では、帯電防止
膜8の上にX線吸収膜9を形成する。X線吸収膜として
は、例えば、Ta、W、Au、ホウ化合タンタル、窒化
タングステン膜等を挙げることができる。工程(D)で
は、X線吸収膜9の上に電子線レジストを塗布して電子
線によりレジストパターンを形成し、このレジストパタ
ーンをマスクにして反応性イオンエッチングを施し、X
線吸収パターン9aを形成する。
【0066】工程(E)では、シリコン基板6のもう一
方の側(裏側)のX線透過膜7Bの中央部をドライエッ
チングによりその除去し、さらにX線透過膜7Bが除去
されて露出したシリコン基板6の中央部を残ったX線透
過膜7Bをマスクとして、NaOH水溶液により除去し
て、支持枠6aを形成した。工程(F)では、支持枠6
aに自立されたX線透過膜7Aのシリコン基板6が除去
されることにより露出した面に、反射防止膜を形成する
ことにより、本発明のX線マスクを得ることができる。
反射防止膜は、例えば、アルミナ、シリカ、ITO膜等
をRFマグネトロンスパッタ法により形成することがで
きる。
【0067】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1:フォトマスクブランク及びフォトマスクの作
製 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 =16:43:41の
組成の焼結体をターゲットとして、Ar:O2=18:
2、圧力6×10-3Torr、基板温度500℃の条件
下で厚さ1000オングストロームの帯電防止膜を形成
した。次にこれを、大気中600℃で1時間アニールし
た。得られた膜を蛍光X線により分析した結果、その組
成は、Zn11Ga47In41145 であった。さらに、X
RDによって結晶性を調べたところ、(009)面の回
析ピークが観察され、配向膜となっていることが確かめ
られた。上記膜の導電性を4探針法によって測定したと
ころ、280s/cmであった。さらに、得られた膜の
分光透過率を測定した結果、吸収端は390nmであっ
た。
【0068】次に、上記帯電防止膜上にDCスパッタリ
ングにより、クロム遮光層(厚さ850オングストロー
ム)を形成して、本発明のフォトマスクブランクを得
た。得られたマスクブランクの遮光層の上に電子線レジ
ストを塗布、乾燥した後、電子線描画機を用いて電子線
露光を行った。レジスト現像後、クロム遮光層のエッチ
ング加工を行い、さらに残存するレジスト層を取り除く
ことにより、本発明のフォトマスクを得た。得られたフ
ォトマスクの描画パターンには、電子描画ときのチャー
ジアップによる変形や位置ずれはみられず、帯電防止効
果により、塵の付着も少なかった。
【0069】実施例2:位相シフトマスクブランク及び
位相シフトマスクの作製 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnGaInO4 の組成の焼結体をターゲットとして、
Ar:O2 =18:2、圧力1×10-2Torr、基板
温度500℃で、厚さ2000オングストロームの帯電
防止膜を形成した。
【0070】得られた膜を蛍光X線により分析した結
果、その組成はZn25Ga36In39138 であった。さ
らに、XRDによって結晶性を調べたところ、(00
9)面の回析ピークのみが観察され、配向膜となってい
ることが確かめられた。この膜の導電性を4探針法によ
り測定した結果、240s/cmであった。また、この
膜の分光透過率を測定したところ、吸収端は385nm
であった。
【0071】次に、上記帯電防止膜上にスピンオングラ
スをスピンコートによりコートし、300℃でベークし
て、膜厚4000オングストロームの位相シフト層を形
成した。さらに、上記位相シフト層上にクロム遮光層
(膜厚850オングストローム)を形成して、図1に示
すように透明石英基板1上に帯電防止膜2、位相シフト
層3、遮光層4を順次有する本発明の位相シフトマスク
ブランクスを得た。
【0072】次に、上記位相シフトマスクブランクスの
遮光層4の上に電子線レジストを塗布、乾燥した後、電
子線描画機を用いてレジストへの電子線露光を行った。
レジスト現像後、クロム遮光層4のエッチング加工を行
った。次に再度、電子線レジストを塗布し、位相シフタ
ーパターンの電子線露光を行い、レジストの現像後、ド
ライエッチングにより位相シフト層の加工を行った。残
存するレジスト層を取り除くことにより、図2に示すよ
うに石英基板1上に帯電防止膜2、位相シフター(位相
シフト層パターン)3a、遮光部(遮光層パターン)4
aを順次有する本発明の位相シフトマスクを得た。
【0073】上記ドライエッチングは、CF4 とO2
用いた反応性イオンエッチングを行ったが、位相シフト
層3と帯電防止膜2のエッチング速度比11:1という
値が得られ、このことから、帯電防止膜2はエッチング
停止層としての機能も有することが明らかとなった。得
られた位相シフトマスクの描画パターンには、電子描画
時のチャージアップによる変形や位置ずれはみられず、
帯電防止効果により、塵の付着も少なかった。
【0074】実施例3:位相シフトマスクブランク及び
位相シフトマスクの作製 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 =45:25:35組
成の焼結体をターゲットとして、Ar:O2 =19.
5:0.5、圧力8×10-3Torr、基板温度400
℃で、厚さ1000オングストロームの帯電防止膜を形
成した。次にこれを、大気中600℃で10時間アニー
ルした後、N2 :H2 =98:2のガスを流しながら5
00℃1時間還元熱処理を行った。得られた膜を蛍光X
線により分析を行ったところ、その組成はZn39Ga28
In33131 であった。さらに、XRDによって結晶性
を調べたところ、(009)面の回析ピークのみが観察
され、配向膜となっていることが確かめられた。この膜
の導電性を4探針法により測定した結果、1270s/
cmであった。さらに、この膜の分光透過率を測定した
ところ、吸収端は380nmであった。
【0075】次に、上記帯電防止膜上にエッチング停止
層として、膜厚100オングストロームのAl2 3
をRFマグネトロンスパッタリングにより形成した。次
に、このエッチング停止膜上にスピンオングラスをスピ
ンコートによりコートし、300℃でベークして、膜厚
2500オングストロームの位相シフト層を形成した。
次に位相シフト層上にクロム遮光層を形成して、図3に
示すような透明石英基板1上に帯電防止膜2、位相シフ
ト層3、遮光層4を順次有する本発明の位相シフトマス
クブランクを得た。
【0076】次に、上記フォトマスクブランクの遮光層
4の上に電子線レジストを塗布、乾燥した後、電子描画
機を用いてレジストへの電子線露光を行った。レジスト
現像後クロム遮光層4のエッチング加工を行った。次に
再度電子線レジストを塗布し、位相シフターパターンの
電子線露光を行い、レジストの現像後、ドライエッチン
グにより位相シフト層の加工を行った。残存するレジス
ト層を取り除くことにより、図4に示す、石英基板1上
に帯電防止膜2、エッチング停止層5、位相シフター
(位相シフト層パターン)3a、遮光部(遮光層パター
ン)4aを順次有する本発明の位相シフトマスクを得
た。得られた位相シフトマスクの描画パターンには、電
子描画時のチャージアップによる変形や位置ずれはみら
れず、帯電防止効果により、塵の付着も少なかった。
【0077】実施例4:X線マスクブランク及びX線マ
スクの作製 本実施例は、X線マスクブランク及びX線マスクの作製
に関するものであり、製造工程を図5に示す。シリコン
基板6の両面にそれぞれ炭化珪素からなるX線透過膜7
A及び7Bを形成した(図5(A))。なお、シリコン
基板6には、結晶方位(100)のシリコン基板を用い
た。また、X線透過膜7A、7Bを構成する炭化珪素
は、ジクロロシランとアセチレンを用いてCVD法によ
り1μmの厚みに堆積した。
【0078】次に、上記X線透過膜7A上にRFマグネ
トロンスパッタリングにより、ZnO:Ga2 3 :I
2 3 =40:29:31にSnO2 を添加した組成
の焼結体をターゲットとして、Ar:O2 =19.5:
0.5、圧力8×10-3Torr、基板温度500℃
で、厚さ700オングストロームの帯電防止膜を形成し
た(図5(B))。得られた膜を蛍光X線により分析を
行ったところ、その組成はZn33Ga34In33134
あり、Snが1%含有されていた。XRDによって結晶
性を調べたところ、(009)面の回析ピークのみが観
察され、配向膜となっていることが確かめられた。この
膜の導電性を4探針法により測定した結果、1080s
/cmであった。この膜の分光透過率を測定したとこ
ろ、吸収端は385nmであった。
【0079】次に、上記帯電防止膜8の上にX線吸収膜
9を構成するTa膜をRFマグネトロンスパッタ法によ
り0.8μmの厚さに形成して本発明のX線マスクブラ
ンクを得た(図5(C))。次に、X線吸収膜9の上に
電子線レジストを塗布して電子線によりレジストパター
ンを形成し、このレジストパターンをマスクにして反応
性イオンエッチングを施し、X線吸収パターン9aを形
成した(図5(D))。
【0080】基板6のもう一方の側(裏面)に形成され
ているX線透過膜7Bを、ドライエッチングによりその
中央部を除去し、さらに裏面に残ったX線透過膜7Bを
マスクとして、NaOH水溶液によりシリコン基板6の
中央部を除去し、支持枠6aを得た(図5(E))。次
に、支持枠6aに自立されたX線透過膜7Aの図中下側
(裏面)に反射防止膜10としてAl2 3 膜をRFマ
グネトロンスパッタ法により96nmの厚さに形成して
X線マスクを得た(図6(F))。
【0081】得られたマスクは、X線吸収パターン9a
を除く部分での波長633nmで透過率は82%であ
り、位置合わせを行ったところ、十分な位置精度でシリ
コンウエハ上に転写されていることが確認された。また
電子線によるマスクの検査もチャージアップが全く生じ
ず、高精度で敏速な検査が可能であった。
【0082】本実施例でにおいて使用した帯電防止膜
は、表面側の反射防止膜としても機能すめるものである
が、表面側の反射防止膜をAl2 3 等の導電性を有し
ない材料で形成し、その上にここで使用した帯電防止膜
を設けることもできる。
【0083】実施例5:フォトマスクブランク及びフォ
トマスクの作製 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 :Al2 3 =37:
25:33:5の組成の焼結体をターゲットとして、A
r:O2 =18:2、圧力6×10-3Torr、基板温
度500℃の条件下で厚さ600オングストロームの帯
電防止膜を形成した。得られた膜を蛍光X線により分析
を行ったところ、その組成はZn33Ga28In33Al6
134 であった。さらに、XRDによって結晶性を調べ
たところ、(009)面の回析ピークのみが観察され、
配向膜となっていることが確かめられた。この膜の導電
性を4探針法により測定した結果、280s/cmであ
った。この膜の分光透過率を測定したところ、吸収端は
390nmであった。
【0084】次に、上記帯電防止膜上にDCスパッタリ
ングにより、クロム遮光層(厚さ850オングストロー
ム)を形成して、本発明のフォトマスクブランクを得
た。得られたマスクブランクの遮光層の上に電子線レジ
ストを塗布、乾燥した後、電子描画機を用いて電子線露
光を行った。レジスト現像後、クロム遮光層のエッチン
グ加工を行い、さらに残存するレジスト層を取り除くこ
とにより、本発明のフォトマスクを得た。得られたフォ
トマスクの描画パターンには、電子描画ときのチャージ
アップによる変形や位置ずれはみられず、帯電防止効果
により、塵の付着も少なかった。
【0085】実施例6 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 :MgO=30:3
0:34:6の組成の焼結体をターゲットとして、A
r:O2 =18:2、圧力6×10-3Torr、基板温
度500℃の条件下で厚さ600オングストロームの帯
電防止膜を形成した。得られた膜を蛍光X線により分析
を行ったところ、その組成はZn24Ga34In34Mg8
138 であった。さらに、XRDによって結晶性を調べ
たところ、(009)面の回析ピークのみが観察され、
配向膜となっていることが確かめられた。 この膜の導
電性を4探針法により測定した結果、280s/cmで
あった。この膜の分光透過率を測定したところ、吸収端
は390nmであった。
【0086】次に、上記帯電防止膜上にDCスパッタリ
ングにより、クロム遮光層(厚さ850オングストロー
ム)を形成して、本発明のフォトマスクブランクを得
た。得られたマスクブランクの遮光層の上に電子線レジ
ストを塗布、乾燥した後、電子描画機を用いて電子線露
光を行った。レジスト現像後、クロム遮光層のエッチン
グ加工を行い、さらに残存するレジスト層を取り除くこ
とにより、本発明のフォトマスクを得た。得られたフォ
トマスクの描画パターンには、電子描画ときのチャージ
アップによる変形や位置ずれはみられず、帯電防止効果
により、塵の付着も少なかった。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、短波長側の透過率が良
好で、しかも十分な導電性を有する帯電防止膜、特にリ
ソグラフィー用マスクブランクおよびリソグラフィー用
マスク用帯電防止膜を提供することができる。さらに本
発明によれば、短波長側の透過率が良好で、しかも十分
な導電性を有する帯電防止膜を用いたリソグラフィー用
マスクブランクおよびリソグラフィー用マスクを提供す
ることができる。特に、本発明では、新規なZn−Ga
−In系酸化物の膜を帯電防止膜として使用した結果、
短波長側で優れた透過率を示し、かつ良好な導電性を有
する帯電防止膜が得られる。特に、半導体の高集積化に
伴い、パターニング加工において短波長の光が使用され
る場合、本発明の帯電防止膜を用いたリソグラフィー用
マスクブランクおよびリソグラフィー用マスクは有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 InO6 の八面体の層状構造を示す原子模型
(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素原子である)を示
す。Aは、(00n)面に垂直な方向から見た図であ
り、Bは(00n)面と平行な方向から見た図である。
【図2】 InO6 の八面体及び八面体の(00n)
面、さらには基板との関係を模式的に示した図である。
【図3】 無配向性の膜と配向性の膜における、電子の
経路の違いを示す模式図である。
【図4】 本発明の位相シフトマスクブランクの構成を
示す断面図である。
【図5】 本発明の位相シフトマスクの構成を示す断面
図である。
【図6】 本発明の位相シフトマスクブランクの構成を
示す断面図である。
【図7】 本発明の位相シフトマスクの構成を示す断面
図である。
【図8】 本発明のX線マスクの製造工程説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・・透明基板 2、8・・・帯電防止膜 3・・・位相シフト層 3a・・位相シフター(位相シフト層パターン) 4・・・遮光層 4a・・遮光部(遮光層パターン) 5・・・エッチング停止層 6・・・シリコン基板 6a・・支持枠 7A、7B・・X線透過膜 9・・・X線吸収膜 9a・・X線吸収パターン 10・・反射防止膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5
    〜1×10-1倍の範囲である)で表される導電性酸化物
    からなることを特徴とする帯電防止膜。
  2. 【請求項2】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが0から(x+3y/2+3z/2) の1×
    10-1倍の範囲である)で表され、かつM(1)、M
    (2)及びInのうちの少なくとも1種の元素の一部
    が、他の元素で置換されており、M(1)と置換される
    元素は原子価が2価以上であり、M(2)及びInと置
    換される元素は原子価が3価以上である導電性酸化物か
    らなることを特徴とする帯電防止膜。
  3. 【請求項3】 キャリア電子の量が1×1018/cm3
    〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量
    d並びにM(1)、M(2)及びInの元素の置換量を
    選んだ請求項2記載の帯電防止膜。
  4. 【請求項4】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが0から(x+3y/2+3z/2) の1×
    10-1倍の範囲である)で表される酸化物に、陽イオン
    を注入したものである導電性酸化物からなることを特徴
    とする帯電防止膜。
  5. 【請求項5】 キャリア電子の量が1×1018/cm3
    〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量
    d及び陽イオンの注入量を選んだ請求項4記載の帯電防
    止膜。
  6. 【請求項6】 基板の少なくとも一方の表面の少なくと
    も一部に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の帯電防止膜であって、該帯電防止膜を構成する導電性
    酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が
    前記基板の表面と実質上平行に配向していることを特徴
    とする帯電防止膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯
    電防止膜を有するリソグラフィー用マスクブランク。
  8. 【請求項8】 マスクブランクがフォトマスクブラン
    ク、位相シフトマスクブランク又はX線マスクブランク
    である請求項7記載のリソグラフィー用マスクブラン
    ク。
  9. 【請求項9】 マスクブランクが位相シフトマスクブラ
    ンクであり、その帯電防止膜がエッチング停止層でもあ
    る、請求項8記載のリソグラフィー用マスクブランク。
  10. 【請求項10】 マスクブランクがX線マスクブランク
    であり、その帯電防止膜が反射防止層でもある、る請求
    項7記載のリソグラフィー用マスクブランク。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    帯電防止膜を有するリソグラフィー用マスク。
  12. 【請求項12】 マスクがフォトマスク、位相シフトマ
    スク又はX線マスクである請求項11記載のリソグラフ
    ィー用マスク。
  13. 【請求項13】 マスクが位相シフトマスクであり、そ
    の帯電防止膜がエッチング停止層でもある、請求項12
    記載のリソグラフィー用マスクブランク。
  14. 【請求項14】 マスクブランクがX線マスクブランク
    であり、その帯電防止膜が反射防止層でもある、る請求
    項12記載のリソグラフィー用マスクブランク。
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