JPH08330103A - 電気抵抗膜 - Google Patents

電気抵抗膜

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Publication number
JPH08330103A
JPH08330103A JP7135250A JP13525095A JPH08330103A JP H08330103 A JPH08330103 A JP H08330103A JP 7135250 A JP7135250 A JP 7135250A JP 13525095 A JP13525095 A JP 13525095A JP H08330103 A JPH08330103 A JP H08330103A
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JP
Japan
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film
electric resistance
range
resistance film
oxide
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Application number
JP7135250A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sakai
裕之 坂井
Masahiro Orita
政寛 折田
Megumi Takeuchi
恵 竹内
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性と導電性に優れた、防曇膜や電波受信
・発信膜に適した電気抵抗膜の提供。 【構成】 一般式M(1)x M(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はMg及びZnのう
ちの少なくとも1つの元素であり、M(2)はAl及び
Gaのうちの少なくとも1つの元素であり、比率(x:
y)が0.2〜1.8:1の範囲であり、比率(z:
y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損
量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5〜1×10-1倍の範
囲である)で表される電気抵抗膜。前記一般式(但し、
dの下限は0)で表され、かつM(1)、M(2)及び
Inのうちの少なくとも1種の元素の一部が、他の元素
で置換されており、M(1)と置換される元素は原子価
が2価以上であり、M(2)及びInと置換される元素
は原子価が3価以上である電気抵抗膜。前記一般式(但
し、dの下限は0)で表される酸化物に、陽イオンを注
入したものである電気抵抗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気抵抗膜、特に、防
曇膜や電波受信・発信膜として使用される電気抵抗膜に
関する。
【0002】
【従来の技術】防曇膜は、車のリヤガラスやミラーなど
に使用されている。リヤガラスに使用される防曇膜は、
リヤガラス室内表面に焼き付けた銀のプリント線であ
り、これに電気を通して発熱させることで、結露や結氷
による曇りを蒸発させることにより除去する。また、I
TO等の酸化物の膜をガラス表面に面状に形成した防曇
膜も知られている。これに通電することにより、銀プリ
ント線よりも結露、結氷を効率良く取り除くことがで
き、短時間で視界を晴らすことができる。
【0003】また、ミラーに使用される水滴や曇りの除
去の方法として、当初はワイパー等を使用することが考
えられたが、最近では金属の皮膜の抵抗熱を利用したヒ
ーテッドミラーが主流になっている。電波受信・発信に
は、銀のプリント線をリヤガラス室内表面に焼き付け、
その導電性を利用して、電波を受信するアンテナガラス
が実用化されている。さらに、ITO膜等の酸化物の膜
をリヤガラス表面に面状に形成し、アンテナ機能を付与
したアンテナガラスも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】銀のプリント線をリヤ
ガラス室内表面に焼き付けたものは、通電により、結露
した水滴、氷を比較的容易に除去することができる。し
かし、銀のプリント線は目に見えるため、視界の邪魔に
なるばかりでなく、通電直後はプリント線の周囲のみ結
露、結氷の除去が可能で、全面透明とするにはかなり時
間がかかるという欠点がある。
【0005】一方、ITO等の酸化物の膜をガラス表面
に面状に形成し、これに通電することにより、結露、結
氷を取り除く方法は、プリント線よりも短時間で視界を
晴らすことができるという点では優れている。しかし、
現在実用化されている導電性の酸化物は、短波長側での
透過率が充分良好でない。そのため、多少色づき自然の
色をそのまま透過して視界に映すことが困難である。
【0006】また、金属の皮膜の抵抗熱を利用したヒー
テッドミラーは、膜が金属でできているために透過率が
悪く、ミラーに映し出された視界が暗くなるという欠点
がある。
【0007】電波受信・発信用として使用されている銀
のプリント線をリヤガラス室内表面に焼き付け、その導
電性を利用して電波を受信するアンテナガラスは、結露
防止の場合と同様に、銀のプリント線が目に見えるた
め、視界の邪魔になるという欠点がある。一方、ITO
膜等の酸化物の膜をリヤガラス表面に面状に形成し、ア
ンテナ機能を付与したアンテナガラスは、現在実用化さ
れている導電性の酸化物が、短波長側での透過率が充分
良好でないため、防曇膜と同様、多少色づき自然の色を
そのまま透過して視界に映すことが困難である。
【0008】一般に、ITO等の酸化物の膜の光線透過
率と導電率とは相反する傾向がある。透過率が70%以
上という基準の下で、車両窓用に一般に使用されている
透明導電膜の比抵抗率は10-2Ω・cm程度である。そ
こで、光線透過率を確保した上で、より低抵抗な膜がで
きれば、アンテナ性能、曇り、氷の除去性能は一段と向
上するものと期待されている。例えば、単位厚さ当たり
の導電膜の光線透過率を向上させることができれば、膜
厚を厚くできるため、結果として低抵抗な膜を得ること
ができることになる。
【0009】そこで本発明の目的は、透明性と導電性に
優れた電気抵抗膜を提供することにある。さらに本発明
は、防曇膜に適した、可視光の透過率が良好で電気抵抗
の低い電気抵抗膜を提供することにある。加えて本発明
は、電波受信・発信膜に適した、可視光の透過率が良好
で電気抵抗の低い電気抵抗膜を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、
M(1)はマグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1
つの元素であり、M(2)はアルミニウム及びガリウム
のうちの少なくとも1つの元素であり、比率(x:y)
が0.2〜1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が
0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが
(x+3y/2+3z/2) の3×10-5〜1×10-1倍の範囲であ
る)で表される導電性酸化物からなることを特徴とする
電気抵抗膜(第1の態様の電気抵抗膜)に関する。
【0011】さらに本発明は、一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1つの元素で
あり、M(2)はアルミニウム及びガリウムのうちの少
なくとも1つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜
1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜
1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0から(x
+3y/2+3z/2) の1×10-1倍の範囲である)で表され、
かつM(1)、M(2)及びInのうちの少なくとも1
種の元素の一部が、他の元素で置換されており、M
(1)と置換される元素は原子価が2価以上であり、M
(2)及びInと置換される元素は原子価が3価以上で
ある導電性酸化物からなることを特徴とする電気抵抗膜
(第2の態様の電気抵抗膜)に関する。
【0012】加えて本発明は、一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1つの元素で
あり、M(2)はアルミニウム及びガリウムのうちの少
なくとも1つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜
1.8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜
1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0から(x
+3y/2+3z/2) の1×10-1倍の範囲である)で表される
酸化物に、陽イオンを注入したものである導電性酸化物
からなることを特徴とする電気抵抗膜(第3の態様の電
気抵抗膜)に関する。
【0013】さらに本発明は、基板の少なくとも一方の
表面の少なくとも一部に設けられた上記電気抵抗膜であ
って、さらに、該電気抵抗膜を構成する導電性酸化物の
(00n)面(但し、nは正の整数である)が前記基板
の表面と実質上平行に配向していることを特徴とする電
気抵抗膜に関する。
【0014】また、本発明は、防曇膜又は電波受信・発
信膜として使用される上記電気抵抗膜に関する。以下、
本発明について説明する。
【0015】本発明の第1の態様の電気抵抗膜 一般式M(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d
中、M(1)はマグネシウム及び亜鉛のうちの少なくと
も1つの元素である。従って、M(1)はマグネシウム
及び亜鉛のいずれか単独であってもよいし、M(1)は
マグネシウム及び亜鉛が共存してもよい。マグネシウム
及び亜鉛が共存する場合、マグネシウムと亜鉛の比率に
は特に制限はない。但し、マグネシウムの比率が増える
と吸収端が短波長側にシフトして透明性が増大する傾向
がある。亜鉛の比率が増えると導電性が増大する傾向が
ある。
【0016】M(2)はアルミニウム及びガリウムのい
ずれか単独であってもよいし、M(2)はアルミニウム
及びガリウムが共存してもよい。アルミニウム及びガリ
ウムが共存する場合、アルミニウムとガリウムの比率に
は特に制限はない。但し、アルミニウムの比率が増える
と結晶化温度が高くなる傾向がある。ガリウムの比率が
増えると結晶化温度が低くなる傾向がある。
【0017】比率(x:y)は0.2〜1.8:1の範
囲であり、x/yが0.2未満であるとInGaO3
の析出が顕著となり、電気伝導性が低下する。x/yが
1.8を超えると結晶構造が不安定となる。好ましい比
率(x:y)は0.3〜1.6:1の範囲であり、より
好ましくは0.4〜1.3:1の範囲である。比率
(z:y)は0.4〜1.4:1の範囲であり、z/y
が0.4未満ではZnGa2 4 相等の析出が顕著とな
り、電気伝導性が低下する。z/yが1.4を超えると
In2 3 相が析出して透明性が低下する。好ましい比
率(z:y)は0.6〜1.4:1の範囲であり、より
好ましくは0.8〜1.2:1の範囲である。
【0018】酸素欠損量dは、(x+3y/2+3z/2) の3×1
-5〜1×10-1倍の範囲である。酸素欠損量dは、一
般に、少な過ぎると電気伝導性が低下し、多過ぎると可
視光を吸収して透明性を低下させる原因となる。酸素欠
損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5倍未満では電気伝
導率が低くなり過ぎて、実用的な導電性を得ることはで
きない。一方、酸素欠損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×1
-1倍を超えると可視光を吸収するようになることか
ら、好ましくない。酸素欠損量dの範囲は、好ましくは
(x+3y/2+3z/2) の1×10-3〜1×10-1倍の範囲であ
り、より好ましくは(x+3y/2+3z/2) の1×10-2〜1×
10-1倍の範囲である。
【0019】尚、酸素欠損量とは、1モルの酸化物結晶
中に含まれる酸素イオンの数を化学量論量の酸素イオン
の数から差し引いた値をモル単位で示した値である。酸
化物結晶中に含まれる酸素イオンの数は、例えば、酸化
物結晶を炭素粉末中で加熱させて生成する二酸化炭素の
量を赤外吸収スペクトルで測定することで算出すること
ができる。また、化学量論量の酸素イオンの数は酸化物
結晶の質量から算出することができる。
【0020】本発明の電気抵抗膜の導電性は、伝導帯に
おけるキャリア電子の量が所定の範囲にあるときに良好
となる。そのようなキャリア電子の量は、1×1018
cm3 〜1×1022/cm3 の範囲である。また、好ま
しいキャリア電子の量は、1×1019/cm3 〜5×1
21/cm3 の範囲である。尚、キャリア電子の量は、
例えば、ファンデアパウ法電気伝導率測定装置により測
定することができる。
【0021】一般式M(1)M(2)InO4-d で表わ
される本発明に用いる導電性酸化物は、一般式Mga
1-a A1b Ga1-b InO4-d で表すこともでき、式
中aは0〜1の範囲であり、bは0〜1の範囲である。
Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4-d で表わされる
本発明に用いる導電性酸化物の具体例としては、例えば
MgA1InO4-d 、ZnA1InO4-d 、MgGaI
nO4-d 、ZnGaInO4-d 、Mga Zn1-a A1I
nO4-d 、Mga Zn1-a GaInO4-d 、MgA1b
Ga1-b InO4-d 、ZnA1b Ga1-b InO4-d
挙げることができる。式中のa及びbは、導電性酸化物
に要求される光学的特性及び導電性を考慮して、組成に
より適宜決定することができる。
【0022】上記の酸素欠損量dは1.2×10-4
0.4の範囲であり、この範囲の酸素欠損量であること
で、電気抵抗膜として良好に用いることができる。酸素
欠損量dは、電気伝導性と透明性のバランスという観点
からは、好ましくは4×10-3 〜0.4の範囲であり、
より好ましくは4×10-2〜0.4の範囲である。
【0023】本発明の第2の態様の電気抵抗膜 本発明の第2の態様の電気抵抗膜において、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d の式中、
M(1)、M(2)、比率(x:y)及び比率(z:
y)については、前記本発明の第1の態様の電気抵抗膜
と同様である。さらに、本発明の第2の態様の電気抵抗
膜においては、M(1)、M(2)及びInのうちの少
なくとも1種の元素の一部が、他の元素で置換されてお
り、M(1)と置換される元素は原子価が2価以上であ
り、M(2)及びInと置換される元素は原子価が3価
以上である。M(1)、M(2)及びInの少なくとも
一つの元素の一部を他の元素と置換することにより、酸
化物に電子を注入することができる。本発明の第2の態
様の電気抵抗膜では、酸素欠損を導入すること以外に、
金属イオンの一部を別の金属イオンで置換することによ
りキャリア電子が伝導帯に注入されて、導電性を発現さ
せることができる。
【0024】M(1)で表されるMg及びZnは、2価
の元素であり、これらと置換可能な元素は、原子価が2
価以上の元素である。原子価が高い元素程少量の置換
で、より大きいキャリア注入量を与えることが可能であ
る。置換可能な元素の原子価は通常2価、3価、4価、
5価又は6価である。原子価が2価以上の元素として
は、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd、A
l、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、T
c、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙
げることができる。
【0025】M(2)で表されるA1、Ga及びInは
3価の元素であり、これらと置換可能な元素は、原子価
が3価以上の元素である。原子価が高い元素程少量の置
換で、より大きいキャリア注入量を与えることが可能で
ある。置換可能な元素の原子価は通常3価、4価、5価
又は6価である。原子価が3価以上の元素としては、例
えば、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、
Tc、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙
げることができる。
【0026】上記のようにM(1)、M(2)及び/又
はInの一部が上記のような元素で置換されることで、
キャリア電子が伝導バンドに注入される。電気伝導性と
透明性のバランスという観点から、キャリア電子の注入
量は、例えば1×1018/cm3 〜1×1022/cm3
の範囲とすることが適当であり、各元素の置換量は、電
子の注入量を上記範囲になるように調整することが適当
である。キャリア電子の注入量が1×1018/cm3
満では十分な電気伝導率が得られず、1×1022/cm
3 を超えると、プラズマ振動による吸収が可視領域に現
れて透明性が低下する。キャリア電子の注入量は、好ま
しくは1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲
である。また、置換する元素の種類によっては可視領域
の光を吸収する性質を有するものもある。そこで、置換
元素の置換量は、可視領域の光の平均透過率が70%以
上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上
となるように選ぶことが適当である。
【0027】第2の態様の電気抵抗膜を構成する酸化物
の具体例として、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d において、x、y及びzが1であるM
(1)M(2)InO4-d で表され、M(1)、M
(2)及び/又はInの一部が他の元素で置換されたも
のを挙げることができる。置換可能な元素の具体例は前
述のとおりである。一般式M(1)M(2)InO4-d
で表わされる導電性酸化物は、一般式Mga Zn1-a
b Ga1-b InO4 で表すこともでき、式中aは0〜
1の範囲であり、bは0〜1の範囲である。従って、第
2の態様の酸化物は、一般式MgaZn1-a A1b Ga
1-b InO4 において、Mg、Zn、A1、Ga及びI
nのの一部が他の元素で置換されたものである。
【0028】尚、上記Mga Zn1-a A1b Ga1-b
nO4 で表わされる酸化物には、例えばMgA1InO
4 、ZnA1InO4 、MgGaInO4 、ZnGaI
nO4 、Mga Zn1-a A1InO4 、Mga Zn1-a
GaInO4 、MgA1b Ga1-b InO4 、ZnA1
b Ga1-b InO4 を挙げることができる。式中のa及
びbは、電気抵抗膜に要求される光学的特性及び導電性
を考慮して、組成により適宜決定することができる。
【0029】M(1)、M(2)及びInの少なくとも
いずれか1つの元素の一部が他の元素で置換されること
で、キャリア電子が伝導バンドに注入される。キャリア
電子の伝導バンドへの注入は、上述のように酸素欠損の
導入によっても生じる。従って、本発明の第2の態様の
酸化物においては、元素の置換又は元素の置換と酸素欠
損によってキャリア電子が伝導バンドに注入される。キ
ャリア電子の量は、前記のように1×1018/cm3
1×1022/cm3の範囲とすることが適当であり、各
元素の置換量又は元素の置換量と酸素欠損量とは、キャ
リア電子の量が上記範囲になるように調整することが適
当である。キャリア電子の量は、好ましくは1×1019
/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0030】本発明の第3の態様の電気抵抗膜 本発明の第3の態様の電気抵抗膜において、一般式M
(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2)-d の式中、
M(1)、M(2)、比率(x:y)及び比率(z:
y)については、前記本発明の第1の態様の電気抵抗膜
と同様である。さらに、本発明の第3の態様の電気抵抗
膜は、上記一般式で表される酸化物に、陽イオンを注入
したものである。本発明の第3の態様の電気抵抗膜で
は、酸素欠損を導入すること以外に、陽イオンを注入す
ることによりキャリア電子が伝導帯に注入されて、導電
性を発現させることができる。
【0031】本発明の第3の態様の電気抵抗膜に注入さ
れる陽イオンは、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d で表される酸化物の結晶構造を破壊す
ることなく、固溶できるものであれば特に制限はない。
但し、イオン半径の小さいイオンの方が結晶格子中に固
溶しやすい傾向があり、イオン半径が大きくなる程、結
晶構造を破壊し易くなる傾向がある。上記のような陽イ
オンとしては、例えば、H、Li、Be、B、C、N
a、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、G
e、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、
Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、B
iを挙げることができる。
【0032】第3の態様の電気抵抗膜を構成する酸化物
の具体例として、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2)-d において、x、y及びzが1であるM
(1)M(2)InO4-d で表される酸化物に陽イオン
を注入したものを挙げることができる。一般式M(1)
M(2)InO4-d で表わされる導電性酸化物は、一般
式Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4 で表すことも
でき、式中aは0〜1の範囲であり、bは0〜1の範囲
である。従って、第3の態様に用いる酸化物は、一般式
Mga Zn1-a A1b Ga1-b InO4 で表される酸化
物に陽イオンを注入したものであることができる。
【0033】尚、上記Mga Zn1-a A1b Ga1-b
nO4 で表わされる酸化物には、前記のように、例えば
MgA1InO4 、ZnA1InO4 、MgGaInO
4 、ZnGaInO4 、Mga Zn1-a A1InO4
Mga Zn1-a GaInO4 、MgA1b Ga1-b In
4 、ZnA1b Ga1-b InO4 を挙げることができ
る。式中のa及びbは、電気抵抗膜に要求される光学的
特性及び導電性を考慮して、組成により適宜決定するこ
とができる。
【0034】本発明の電気抵抗膜は、前記の導電性酸化
物のみからなる場合のみならず、およびこれらの酸化物
と異なる結晶が共存する酸化物層であることもできる。
但し、他の結晶の共存量は、膜の透明性および導電性の
点で実用上の問題が生じない範囲で選ばれる。本発明の
導電性酸化物と共存させることができる酸化物として
は、例えばITO、In2 3 、SnO2 、ZnO等が
挙げられる。但し、これらの酸化物に限定されるもので
はない。
【0035】本発明の配向した電気抵抗膜 本発明の電気抵抗膜は、基板の少なくとも一方の表面の
少なくとも一部に設けられ、電気抵抗膜を構成する導電
性酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)
が前記基板の表面と実質上平行に配向しているものであ
ることができる。このような電気抵抗膜より高い導電性
を有する。この点を図面を用いて説明する。
【0036】本発明に用いられる一般式M(1)x
(2)y Inz (x+3y/2+3z/2) で示される酸化物は、
基本的にはInO6 の八面体が2次元的に広がった層構
造を有する。InO6 の八面体の層状構造を示す原子模
型(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素原子である)を
図1に示す。図1のAは、(00n)面に垂直な方向か
ら見た図であり、図1のBは(00n)面と平行な方向
から見た図である。図2は、InO6 の八面体及び八面
体の(00n)面、さらには基板との関係を模式的に示
した図である。本発明の電気抵抗膜では、導電性酸化物
の(00n)面(但し、nは正の整数である)が透明基
板の表面と実質上平行に配向していることが、高い導電
性を有すという観点から好ましい。この点は、図3に模
式的に示すように、無配向性の膜においては、電子の経
路がジグザグになるのに対して、配向性の膜において
は、電子の経路は直線的になり、導電性も高くなる。
【0037】本発明の電気抵抗膜の膜厚は、膜に要求さ
れる光学的特性、伝導性及び用途等を考慮して適宜決定
でき、例えば、下限は約30nmであり、上限は約1μ
mである。但し、酸化物に含まれる元素の種類によって
は、可視領域に一部吸収を有するものもあり、その場合
には、比較的薄い膜が好ましい。また、可視領域にほと
んどまたはまったく吸収を有さないものについては、膜
厚を厚くすることで、より高い伝導性を得ることができ
る。特に、本発明の電気抵抗膜は、車両窓用の防曇膜や
電波受信・発信膜として使用されるという観点から、透
過率70%以上であり、かつ比抵抗率が10-5Ω・cm
以上であることが好ましい。従って、膜厚は、上記透過
率と比抵抗率とを勘案して適宜決定できる。尚、比抵抗
率は高い程好ましいが、透過率との関係から、一般には
10-4〜10-2Ω・cmの範囲とすることが適当であ
る。
【0038】本発明の電気抵抗膜を設ける基板として
は、ガラスや樹脂などの透明な基体を挙げることができ
る。例えば、本発明の電気抵抗膜が防曇膜である場合、
基板としては自動車用窓ガラス、反射ミラー、住宅やビ
ル用窓ガラス、並びに眼鏡及び双眼鏡等のレンズ等を挙
げることができる。また、本発明の電気抵抗膜が電波受
信・発信膜である場合、基板としては自動車用窓ガラ
ス、住宅やビル用窓ガラス、通信機能を有する携帯用機
器のディスプレー用ガラスや樹脂フィルム等を挙げるこ
とができる。本発明の電気抵抗膜を窓ガラス等に設ける
ことで、アンテナとして使用できるばかりでなく、外部
からのノイズ(妨害電波)を遮断することも可能であ
る。
【0039】本発明の電気抵抗膜は、薄膜法により製造
することができる。薄膜法の代表的なものとして、CV
D法、スプレー法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、MBE法、スパッタリング法、ゾル−ゲル法、噴霧
熱分解法などがある。さらにCVD法として、熱CV
D、プラズマCVD、MOCVD、光CVD等を挙げる
ことができる。
【0040】CVD法やスプレー法のような化学的手法
は、真空蒸着法やスパッタリング法のような物理的手法
に比べて設備は簡単であり、大型基板に適している。さ
らに、反応促進や特性安定化のために乾燥や焼成の工程
を行うときには、350〜500℃の熱処理を必要とす
るので、ガラス基板上に直接製造する場合には適してい
る。物理的手法は、基板温度が150〜300℃の低温
で成膜できるため、ガラス基板上に直接製造する場合だ
けでなく、各種下地層の上に製造する場合にも適してい
る。なかでもスパッタリング法は生産性が高く、大面積
基板に均一に成膜できるなどの点で特に優れている。
【0041】例えば、スパッタリング法の場合、所望の
組成を有するターゲットを用い、10-4〜10-1Tor
rの圧力下、室温から500℃の範囲で基板を加熱して
成膜することができる。尚、スパッタリングターゲット
としては、金属または酸化物の焼結体や混合粉成形体等
を用いることができる。また、成膜方法及び条件により
生成する酸化物膜の配向性をコントロールすることもで
きる。例えば、スパッタリング法で配向性のある酸化物
膜を形成するには、5×10-4〜1Torrの圧力下、
100℃〜900℃の範囲で基板を加熱することで、酸
化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が前
記基板の表面と実質上平行な向きに配向した膜を形成す
ることができる。
【0042】CVD法では、金属元素の原料として、I
n(CH3 3 、In(C2 5 3 、In(C5 7
2 3 、In(C119 2 3 、Ga(C
3 3 、Ga(C2 5 3 、Zn(CH3 2 、Z
n(C2 5 2 、Al(CH3 3、Al(C
2 5 3 、Mg(CH3 2 、Mg(C2 5 2
の有機金属や、InCl3 、GaCl3 、ZnCl2
AlCl3 、MgCl2 等の塩化物などが利用できる。
また、酸素の原料としては空気、O2 、H2 O、C
2 、N2 O等が利用できる。
【0043】イオンプレーティング法による成膜は、原
料となる金属あるいは酸化物の混合体や焼結体を抵抗加
熱、高周波加熱、電子衝撃等により蒸発させ、DC放
電、RF放電、電子衝撃等によりイオン化する事により
行うことができる。原料として金属を用いた場合には、
空気、O2 、H2 O、CO2 、N2 O等を流しながら成
膜をすることにより所定の酸化物膜を得ることができ
る。
【0044】真空蒸着法による成膜は、圧力10-3〜1
-6Torr中で原料となる金属あるいは酸化物の混合
体や焼結体を抵抗加熱、高周波加熱、電子衝撃、レーザ
ー衝撃等により蒸発させ、基板上に膜を作製することに
より行うことができる。原料として金属を用いた場合に
は空気、O2 、H2 O、CO2 、N2 O等を流しながら
成膜をすることにより所定の酸化物膜を得ることができ
る。
【0045】尚、CVD法、イオンプレーティング法、
真空蒸着法においても、成膜条件を適宜選ぶことで配向
性のある酸化物膜を形成することができる。
【0046】本発明の第1の態様の電気抵抗膜の導電性
は、薄膜法により形成したM(1)x M(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2) で表される酸化物に酸素欠損を導入す
ることで得られる。一般に酸化物の酸素欠損は、例え
ば、酸化物から酸素を引き抜くことにより生成させるこ
とができる。酸素原子を引き抜いて酸素欠損を作る方法
としては、上記酸化物を還元性雰囲気下または不活性ガ
ス雰囲気下で加熱処理するなどの方法を用いることがで
きる。熱処理および/または還元処理は、100〜11
00℃の範囲の温度で行うことが適当である。好ましい
温度範囲は、300〜900℃である。また、酸化物の
成膜の際に酸素分圧を制御することで、酸素欠損を有す
る酸化物を形成させることもできる。酸化物の形成の際
に酸素欠損を導入し、さらに酸素を引き抜く工程を加え
ることで酸素欠損量を調整することもできる。
【0047】本発明の第2の態様の電気抵抗膜は、基本
的には、第1の態様の電気抵抗膜の場合と同様に、薄膜
法により形成し、必要により酸素欠損を導入することに
より得られる。
【0048】例えば、スパッタリング法で行う場合、タ
ーゲットとして、一般式M(1)xM(2)y Inz
(x+3y/2+3z/2) (式中、M(1)はマグネシウム及び亜
鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)はア
ルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元素
であり、比率(x:y)が0.1〜2.2:1の範囲で
あり、比率(z:y)が0.4〜1.8:1の範囲であ
る)で表され、かつM(1)、M(2)及びInのうち
の少なくとも1種の元素の一部が、他の元素で置換され
ており、M(1)と置換される元素は原子価が2価以上
であり、M(2)及びInと置換される元素は原子価が
3価以上である酸化物を用いることが適当である。例え
ば、In2 Ga2 Zn0.99Ge0.017 の組成を有する
膜を形成する場合、同様の組成を有する焼結体または混
合粉成形体等をターゲットとして用いることができる。
【0049】スパッタリング法により、配向性の電気抵
抗膜を作製するには、上記酸化物をターゲットとして、
基板上に、前記基板の加熱温度を100〜900℃の範
囲とし、成膜時の圧力を5×10-4〜1Torrの範囲
として酸化物膜を形成することが適当である。これによ
り、導電性酸化物からなる膜であって、該導電性酸化物
の(00n)面(但し、nは正の整数である)が前記基
板の表面と実質上平行な向きに配向した結晶構造を有す
る電気抵抗膜を得ることができる。
【0050】さらに、酸素欠損は、本発明の第1の態様
と同様に、例えば、酸化物から酸素を引き抜くことによ
り生成させることができる。酸素原子を引き抜いて酸素
欠損を作る方法としては、酸化物を還元性雰囲気下また
は不活性ガス雰囲気下で加熱処理するなどの方法を用い
ることができる。
【0051】本発明の第3の態様の電気抵抗膜は、基本
的には、第1の態様の電気抵抗膜の場合と同様に、一般
式M(1)x M(2)y Inz (x+3y/2+3z/2) で示さ
れる所望の組成の酸化物を形成し、さらに得られた酸化
物に陽イオンを注入し、必要により酸素欠損を導入する
ことにより得られる。酸化物の形成は、薄膜法などによ
り行うことができる。尚、上記酸化物を形成する際に、
条件により酸化物形成の際に酸素欠損が導入されること
もある。また、薄膜法の例としては、上記第1の態様の
電気抵抗膜で説明した方法を同様に用いることができ
る。
【0052】陽イオンの注入には、イオン注入法を用い
る。イオン注入法は、固体内に不純物を導入する手段と
して超大規模集積回路製造工程等に用いられているもの
をそのまま用いることができる。注入さるべき陽イオン
の元素をイオン化して数十keV以上に加速し、酸化物
中に打ち込むことで、行うことができる。
【0053】注入された陽イオンは伝導帯にキャリア電
子を与えて導電性を発現させる。陽イオン注入量は、酸
化物が酸素欠損を有さない場合、伝導帯への電子の注入
量が1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲に
なるように選ぶことが適当である。また、酸化物が酸素
欠損を有する場合には、酸素欠損により生じるキャリア
電子の量と陽イオン注入により生じる電子の量との合計
が上記範囲になるようにすることが適当である。キャリ
ア電子の量が1×1018/cm3 より小さければ、充分
な電気伝導率が得られず、1×1022/cm3 より大き
ければプラズマ振動による吸収が可視領域に現れて透明
性が劣化する。キャリア電子の量は、好ましくは1×1
19/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0054】本発明の電気抵抗膜は、防曇膜及び電波受
信・発信膜として有用である。特に、条件により、透過
率70%以上とし、かつ比抵抗率を10-5Ω・cm以上
とできることから、優れた電気抵抗膜を提供できる。ま
た、電気抵抗膜を構成する導電性酸化物の(00n)面
(但し、nは正の整数である)を基板の表面と実質上平
行に配向させることで、より高い導電性を有する電気抵
抗膜とすることができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1 通常のソーダライムガラス基板上にRFマグネトロンス
パッタリングにより、ZnO:Ga2 3 :In2 3
=16:43:41の組成の焼結体をターゲットとし
て、Ar:O2 =18:2、圧力6×10-3Torr、
基板温度400℃の条件下で厚さ3000オングストロ
ームの電気抵抗膜を形成した。次にこれを、大気中40
0℃で1時間アニールした。得られた膜を蛍光X線によ
り分析した結果、その組成は、Zn11Ga47In41
145 であった。さらに、XRDによって結晶性を調べた
ところ、(009)面の回析ピークが観察され、配向膜
となっていることが確かめられた。
【0056】この膜とITO膜の分光透過率を測定した
結果を図4に示す。図4から、本発明の膜は、吸収端は
390nmであり、従来のITO膜よりも可視波長域、
特に短波長側でより透過率が良好であることが分かる。
さらに、4探針法によって、上記膜の導電性を測定した
ところ、280s/cmであり、これを比抵抗に直すと
3.6×10-3Ω・cmであった。この比抵抗は、従来
の膜(比抵抗:〜10-2Ω・cm)に比較して充分小さ
く、本発明の膜は防曇膜及び電波受信・発信用の膜とし
て良好な性質を有していることが確認された。
【0057】実施例2 通常のソーダライムガラス基板上にRFマグネトロンス
パッタリングにより、ZnGaInO4 の組成の焼結体
をターゲットとして、Ar:O2 =18:2、圧力1×
10-2Torr、基板温度450℃で、厚さ3000オ
ングストロームの電気抵抗膜を形成した。
【0058】得られた膜を蛍光X線により分析した結
果、その組成はZn25Ga36In39138 であった。さ
らに、XRDによって結晶性を調べたところ、(00
9)面の回析ピークのみが観察され、配向膜となってい
ることが確かめられた。この膜の分光透過率を測定した
ところ、実施例1の膜とほぼ同様の分光透過率を示し、
その吸収端は385nmであり、従来のITO膜よりも
可視透過域、特に短波長側でより透過率が良好であっ
た。さらに、4探針法によって、この膜の導電性を測定
した結果、240s/cmであり、これを比抵抗に直す
と4.2×10-3Ω・cmであった。この膜も、従来の
膜(〜10-2Ω・cm)に比較して充分小さい比抵抗を
有しており、防曇膜及び電波受信・発信用の膜として良
好な性質を有していることが確認された。
【0059】実施例3 通常のソーダーライムガラス基板上にRFマグネトロン
スパッタリングにより、ZnO:Ga2 3 :In2
3 =45:25:35組成の焼結体をターゲットとし
て、Ar:O2 =19.5:0.5、圧力8×10-3
orr、基板温度400℃で、厚さ3000オングスト
ロームの帯電防止膜を形成した。次にこれを、大気中5
00℃で10時間アニールした後、N2 :H2 =98:
2のガスを流しながら400℃1時間還元熱処理を行っ
た。得られた膜を蛍光X線により分析を行ったところ、
その組成はZn39Ga28In33131 であった。さら
に、XRDによって結晶性を調べたところ、(009)
面の回析ピークのみが観察され、配向膜となっているこ
とが確かめられた。
【0060】この膜の分光透過率を測定したところ、実
施例1の膜とほぼ同様の分光透過率を示し、その吸収端
は380nmであり、従来のITO膜よりも可視波長
域、特に短波長側でより透過率が良好であった。さら
に、4探針法によって、この膜の導電性を測定した結
果、1270s/cmであり、これを比抵抗に直すと
7.410-4Ω・cmであった。この膜も、従来の膜
(約10-2Ω・cm)に比較して充分小さい比抵抗を有
しており、防曇膜及び電波受信・発信用の膜として良好
な性質を有していることが確認された。
【0061】実施例4 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 =49:29:31に
SnO2 を添加した組成の焼結体をターゲットとして、
Ar:O2 =19.5:0.5、圧力8×10-3Tor
r、基板温度450℃で、厚さ3000オングストロー
ムの帯電防止膜を形成した。得られた膜を蛍光X線によ
り分析を行ったところ、その組成はZn33Ga34In33
134 であり、Snが1%含有されていた。XRDによ
って結晶性を調べたところ、(009)面の回析ピーク
のみが観察され、配向膜となっていることが確かめられ
た。
【0062】この膜の分光透過率を測定したところ、実
施例1の膜とほぼ同様の分光透過率を示し、その吸収端
は385nmであり、従来のITO膜よりも、可視波長
域、特に短波長側でより透過率が良好であった。さら
に、4探針法によって、この膜の導電性を測定した結
果、1080s/cmであり、これを比抵抗に直すと
9.310-4Ω・cmであった。この膜は、従来の膜
(〜10-2Ω・cm)に比較して充分小さい比抵抗を有
しており、防曇膜及び電波受信・発信用の膜として良好
な性質を有していることが確認された。
【0063】実施例5 石英基板上にRFマグネトロンスパッタリングにより、
ZnO:Ga2 3 :In2 3 :Al2 3 =37:
25:33:5の組成の焼結体をターゲットとして、A
r:O2 =18:2、圧力6×10-3Torr、基板温
度450℃の条件下で厚さ3000オングストロームの
電気抵抗膜を形成した。得られた膜を蛍光X線により分
析を行ったところ、その組成はZn33Ga28In33Al
6 134であった。さらに、XRDによって結晶性を調
べたところ、(009)面の回析ピークのみが観察さ
れ、配向膜となっていることが確かめられた。
【0064】この膜の分光透過率を測定したところ、実
施例1の膜とほぼ同様の分光透過率を示し、その吸収端
は385nmであり、従来のITO膜よりも可視波長
域、特に短波長側でより透過率が良好であった。さら
に、4探針法によって、この膜の導電性を測定した結
果、270s/cmであり、これを比抵抗に直すと3.
7×10-3Ω・cmであった。この膜も、従来の膜(〜
10-2Ω・cm)に比較して充分小さい比抵抗を有して
おり、防曇膜及び電波受信・発信用の膜として良好な性
質を有していることが確認された。
【0065】実施例6 通常のソーダーライムガラス基板上にRFマグネトロン
スパッタリングにより、ZnO:Ga2 3 :In2
3 :MgO=30:30:34:6の組成の焼結体をタ
ーゲットとして、Ar:O2 =18:2、圧力6×10
-3Torr、基板温度400℃の条件下で厚さ3000
オングストロームの電気抵抗膜を形成した。得られた膜
を蛍光X線により分析を行ったところ、その組成はZn
24Ga34In34Mg8 138 であった。さらに、XRD
によって結晶性を調べたところ、(009)面の回析ピ
ークのみが観察され、配向膜となっていることが確かめ
られた。
【0066】この膜の分光透過率を測定したところ、実
施例1の膜とほぼ同様の分光透過率を示し、その吸収端
は390nmであり、従来のITO膜よりも可視波長
域、特に短波長側でより透過率が良好であった。さら
に、4探針法によって、この膜の導電性を測定した結
果、280s/cmであり、これを比抵抗に直すと3.
6×10-3Ω・cmであった。この膜も、従来の膜(〜
10-2Ω・cm)に比較して充分小さい比抵抗を有して
おり、防曇膜及び電波受信・発信用の膜として良好な性
質を有していることが確認された。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、可視光領域における透
明性と導電性に優れた電気抵抗膜を提供することができ
る。さらに本発明によれば、防曇膜及び電波受信・発信
膜に適した、可視光の透過率が良好で電気抵抗の低い電
気抵抗膜を提供することができる。特に、本発明では、
新規なZn−Ga−In系酸化物の膜を電気抵抗膜とし
て使用した結果、従来のITO膜を使用したものより
も、可視波長域、特に短波長側で優れた透過率を示し、
電気抵抗の低い防曇膜が得られ、この膜を使用して自動
車用として好適な防曇膜ガラス、防曇膜ミラーが作製出
来ることが確認された。さらに、本発明による電気抵抗
膜は、優れた透過率を示し、かつ電気比抵抗率が充分に
低いことから、電波受信・発信用膜としても有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 InO6 の八面体が2次元的に広がった層構
造を示す原子模型(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素
原子である)を示す。Aは、(00n)面に垂直な方向
から見た図であり、Bは(00n)面と平行な方向から
見た図である。
【図2】 InO6 の八面体及び八面体の(00n)
面、さらには基板との関係を模式的に示した図である。
【図3】 無配向性の膜と配向性の膜における、電子の
経路の違いを示す模式図である。
【図4】 実施例1の電気抵抗膜とITO膜の分光透過
率を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが(x+3y/2+3z/2) の3×10-5
    〜1×10-1倍の範囲である)で表される導電性酸化物
    からなることを特徴とする電気抵抗膜。
  2. 【請求項2】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが0から(x+3y/2+3z/2) の1×
    10-1倍の範囲である)で表され、かつM(1)、M
    (2)及びInのうちの少なくとも1種の元素の一部
    が、他の元素で置換されており、M(1)と置換される
    元素は原子価が2価以上であり、M(2)及びInと置
    換される元素は原子価が3価以上である導電性酸化物か
    らなることを特徴とする電気抵抗膜。
  3. 【請求項3】 キャリア電子の量が1×1018/cm3
    〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量
    d並びにM(1)、M(2)及びInの元素の置換量を
    選んだ請求項2記載の電気抵抗膜。
  4. 【請求項4】 一般式M(1)x M(2)y Inz
    (x+3y/2+3z/2)-d (式中、M(1)はマグネシウム及び
    亜鉛のうちの少なくとも1つの元素であり、M(2)は
    アルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも1つの元
    素であり、比率(x:y)が0.2〜1.8:1の範囲
    であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲で
    あり、かつ酸素欠損量dが0から(x+3y/2+3z/2) の1×
    10-1倍の範囲である)で表される酸化物に、陽イオン
    を注入したものである導電性酸化物からなることを特徴
    とする電気抵抗膜。
  5. 【請求項5】 キャリア電子の量が1×1018/cm3
    〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量
    d及び陽イオンの注入量を選んだ請求項4記載の電気抵
    抗膜。
  6. 【請求項6】 基板の少なくとも一方の表面の少なくと
    も一部に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の電気抵抗膜であって、該電気抵抗膜を構成する導電性
    酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が
    前記基板の表面と実質上平行に配向していることを特徴
    とする電気抵抗膜。
  7. 【請求項7】 防曇膜又は電波受信・発信膜として使用
    される請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気抵抗
    膜。
  8. 【請求項8】 透過率70%以上であり、かつ比抵抗率
    が10-5Ω・cm以上である請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の電気抵抗膜。
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