JPH0610933B2 - 導電材およびその製造方法 - Google Patents

導電材およびその製造方法

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JPH0610933B2
JPH0610933B2 JP63123807A JP12380788A JPH0610933B2 JP H0610933 B2 JPH0610933 B2 JP H0610933B2 JP 63123807 A JP63123807 A JP 63123807A JP 12380788 A JP12380788 A JP 12380788A JP H0610933 B2 JPH0610933 B2 JP H0610933B2
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高橋  研
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酸化バナジウムを主体とする導電材及びその製
法に係り、特に膜状形態において発熱体、電極などに好
適な酸化バナジウム導電材とそれを用いた各種用途に関
する。
〔従来の技術〕
従来、透明導電膜としてはITO(酸化インジウムス
ズ)が注目されている。その製法は多数知られている
が、中でも特開昭62−80918 号に見られるように、物理
的成膜法であるスパツタ法や真空蒸着法が主流となつて
いる。しかし、スパツタ法ではプロセス上プラズマの照
射を受けるために材料そのものがダメージを受けやすい
欠点が有る。また、スパツタ法、真空蒸着法とも高真空
下での製法であり、各種成分比のコントロールが難しい
欠点があつた。さらに、いずれの方法も大掛かりな真空
装置が必要で、大面積の膜付けが困難であつた。これら
製造プロセス上の欠点は化学的成膜法としての液相法、
代表的には塗布法を用いることによつて解決される。従
来、塗布法で作製されたITO膜には、日本化学会誌,
9,(1980年)、第1345頁から第1351頁に
見られるようにインジウムアセチルアセトナートの熱分
解を用いる方法が有るが、抵抗が高く、透明導電膜とし
ての特性が低下するという問題があつた。また、原料に
含まれる有機成分の分解のために500℃以上の熱処理を
要し、このため、基板材料が制限されるという欠点が有
つた。
一方、酸化バナジウム膜については液相法を用いて室温
で作製されたものがスパツタ法やCVD法などに比べ、
導電性が著しく向上することは広く知られているが、
(マニユアル レビユー オブ マテリアル サイエン
ス、12(1982年)第103頁から第122−−An
n.Rev.Mater.Sci.12,1982,103−22)その
導電率は1Ω-1cm-1であり、導電膜として用いるのには
適さない。また、窯業協会誌,93(9),(1985年)第78
頁から第84頁に報告されているように、金属アルコキ
シドを用いたScl−Gel法による酸化バナジウム膜も挙げ
られるが、導電率は10Ω-1〜10-3Ω-1cm-1と低いも
のであつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、上述の物理的成膜法及び化学的成膜法
としての液相法、それぞれの持つ問題点を解決し、かつ
両者の利点を同時に実現する、液相法を用いて高温の熱
処理を要することなく、導電率の高い透明導電膜を得、
簡便な装置により大面積の膜付けを可能にした導電材と
その製造方法及びそれを用いた各種用途を提供するにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、酸化バナジウムの主体とし、バナジウムアル
コキシ基を含む非晶質体からなることを特徴とする導電
材にある。
更に、本発明は、バナジウムアルコキシドの部分加水分
解縮合生成物を主体とした非晶質体からなることを特徴
とする導電材にある。この縮合生成物は次式、 (R:アルキル基) で表わされる化合物からなるものが好ましい。
本発明の導電材は酸化バナジウムを主体とした非晶質体
からなり、その室温の導電率が10Ω-1cm-1以上を有す
る。
本発明の導電材は絶縁体上に形成された膜からなるもの
が好ましい。膜圧は5μm以下が好ましい。
また、上記目的は主原料としてバナジウムアルコキシド
を用い、これを部分的に加水分解して縮合を進め、この
溶液を用いて膜形成を行うことによつて達成される。
本発明の導電材は酸化バナジウムを主体とし、酸化バナ
ジウム以外の4価以下の金属酸化物、特に酸化スズ,酸
化インジウム等の導電材等の他の化合物を含むことがで
きる。これによりさらに導電率を上げることができる。
これらの他の金属酸化物も金属酸化物中に有機物を含む
部分加水分解縮合生成物とするのが好ましい。
本発明は、水をバナジウムアルコキシドの等モルより少
なく含むアルコキシド溶液を部分的に加水分解する工程
及び該加水分解した溶液を乾燥する工程を含み、酸化バ
ナジウムを主体とした非晶質体を得ることを特徴とする
導電材の製造方法にあり、前記(水/バナジウムアルコ
キシド)のモル比を3未満とするのが好ましい。水の量
は0.1モル以上が好ましい。
本発明は、絶縁材に前述のバナジウムアルコキシドの部
分加水分解溶液の薄層を形成させ、次いで重合した後に
乾燥させて酸化バナジウムを主体としたバナジウムアル
コキシドを含む非晶質体、又はバナジウムアルコキシド
の部分加水分解縮合生成物からなる薄膜を形成させるも
のである。
前記乾燥温度は酸化バナジウムの結晶化温度より低い温
度で行うこと、特に300℃以下室温で行うのが好まし
い。
本発明は、部分的に加水分解したバナジウムアルコキシ
ドを含むことを特徴とする酸化バナジウムを主体とする
導電材形成用溶液にある。この溶液を用いて絶縁材上に
導電材の薄い透明な膜を形成させることができる。この
溶液に、更にバナジウムアルコキシド以外の他の化合物
特に、4価以下の金属アルコキシドを添加することがで
きる。そして、部分加水分解縮合生成物を形成するのが
好ましい。
以上の本発明の導電材は以下の用途に用いることができ
る。
(1)本発明は、所定の形状を持つ非晶質の酸化バナジウ
ムを主体とする導電部分と所定の形状を持つ結晶質の酸
化バナジウムを主体とする絶縁部分とを含むことを特徴
とする回路素子にある。
(2)本発明の導電材は、結露防止膜,ヒータ,静電防止
膜,透明電極,電磁シールド膜,配線,抵抗体,めが
ね,ECD素子及びEL素子の電極に用いることができ
る。
〔作用〕
本発明に用いられるバナジウムアルコキシドは一般式V
O(OR)(R:アルキル基)で表される化合物であ
る。バナジウムアルコキシドは水の存在下、速やかに加
水分解してVO(OR)OHで表されるようなアルコ
キシ基の一部が水酸基で置換された構造を持つ化合物を
生成する。このように部分的に加水分解して生成した中
間体はさらに他のバナジウムアルコキシド分子と反応
し、 なる縮合生成物となつて成長していく。本発明は、この
ような縮合生成物を膜状にして導電膜を得るものであ
る。
本発明においてはバナジウムアルコキシドを適当な有機
溶媒、望ましくはアルコール類に溶解し、水/バナジウ
ムアルコキシド=3(モル比)以下の量の水を、やはり
有機溶媒で希釈して添加する。この時、バナジウムアル
コキシドを溶解した溶媒と、水を希釈した溶媒とは異種
のものであつても構わないが、望ましくは同種のものを
用いる。また、水の量を水/バナジウムアルコキシド=
3(モル比)以下とするのは、原料に用いたバナジウム
アルコキシドの持つアルコキシ基の一部を残存させるた
めである。こうして作製したバナジウムアルコキシド部
分加水分解溶液を、対象物上にコーテイングし、室温で
乾燥させる。この時、コーテイング方法としてはスピン
ナー法,デイツプ法などを用いることができる。このよ
うな方法で形成された酸化バナジウム膜は、非晶質で透
明であり、導電率は10Ω-1cm-1以上となる。
一般に非晶質酸化バナジウム中のバナジウムの原子価は
5価に近い状態に有り、その導電機構は、わずかに存在
する4価のバナジウムイオンから5価のバナジウムイオ
ンへ電子の流れが生じるために起こるホツピング伝導で
あるといわれている。このため、非晶質酸化バナジウム
は高い導電性を示す。これに対して、結晶質状態の酸化
バナジウムは、バナジウムの原子価が5価になり、バナ
ジウム間の原子価の違いにより生じるホツピング伝導が
阻止されるので、導電性は悪くなる。本発明により合成
した試料は、その構造内にアルコキシ基を持つ。一般
に、アルコキシ基は水酸基よりも電子供与体としての性
質が強いので、アルコキシ基を持たない場合に比べて、
バナジウムの原子価はより4価に近い状態にある。この
ため4価のバナジウムイオンを作りやすく、V4+→V5+
間のホツピング伝導を促進するものと考えられる。部分
加水分解縮合生成物は、その構造内にアルコキシ基を有
するので、上記のホツピング伝導により高い導電性を示
す。
本発明の導電材にはスズ,インジウムをはじめとする酸
化バナジウム以外の4価以下の金属元素を添加すること
ができる。この理由としては、結晶質状態の酸化バナジ
ウムは、バナジウムの原子価が5価であり、それよりも
原子価の低い4価以下の原子を共存させることによっ
て、上記ホッピング伝導により導電性を高めることがで
きる。この場合には当該元素のアルコキシドを加えれば
良く、その添加時期は膜形成の前であれば良い。即ち、
2種以上のアルコキシドを混ぜた後に有機溶媒に溶解し
てもよく、有機溶媒に溶解したアルコキシド同志を混ぜ
あわせても良く、どちらか一方または両方を部分的に加
水分解したのちに混ぜあわせても構わない。また、用い
るアルコキシドの持フアルコキシ基は同種であつても、
異種であつても構わない。原料として複合アルコキシド
を用いることもできる。
このように、本発明を用いれば2種以上の金属原子の混
合が容易であり、これにより、導電率の制御が容易にで
きる。
得られた透明膜には乾燥を進めるために熱処理を施すこ
とが可能であるが、その温度は300℃以下で十分であ
り、プロセス上の妨げとなることがない。また、この熱
処理は導電率を低下させるものではない。この熱処理に
よつて、膜の耐水性を向上させることができる。300
℃を超える温度で熱処理した場合には酸化バナジウムの
結晶化が進み、膜の導電率が10Ω-1cm-1未満になる。
本発明によれば、室温で導電率が10Ω-1cm-1以上の透
明膜を得ることができる。このため、工程が簡便になる
ばかりでなく、被覆される材料を選ばず、有機高分子材
料への応用も広がる。また、大掛かりな真空装置を要し
ないため、大面積の膜付けが容易に実現される。従つ
て、静電防止膜や結露防止膜、大画面表示素子用の電極
などの用途に適している。特に、膜の一部をレーザーな
どを用いて結晶化することにより、所定形状の導電回路
を形成することも可能である。
実施例1 バナジウム−n−ブトキシド5g(0.018mol)を、n−ブ
チルアルコールに溶解して20wt%溶液とした。これ
にn−ブチルアルコールで希釈して5wt%とした水
0.47g(0.03mol)を添加して、バナジウムア
ルコキシドの部分加水分解溶液を作製した。この溶液を
スピンナーを用いてSiOガラス基板上にコーテイン
グし、室温で乾燥して、第1図に示すような素子を作製
した。ここで、1は本発明により作製した非晶質酸化バ
ナジウム膜であり、2は基板として用いたSiOガラ
スである。こうして作製した酸化バナジウム膜の導電率
は1.0×10Ω-1cm-1であつた。赤外線吸収スペク
トルではn−ブチル基に該当する吸収が観測された。膜
厚は1500〜2000Åで可視光の透過率は86%であつた。
また、吸収位置から5価以外のバナジウムイオンが存在
することが確認された。また、膜中にはバナジウムアル
コキシドが残つていた。X線回折によればこの膜は非晶
質であつた。この膜を200℃で1時間加熱したものは
非晶質で、その導電率は1.7×10Ω-1cm-1であつ
た。第2図は室温乾燥した酸化バナジウム膜と、200
℃で1時間加熱乾燥した酸化バナジウム膜のV−I特性
を示すものである。この膜を500℃で1時間加熱した
ものは結晶質で、その導電率は2.4×10-3Ω-1cm-1
であつた。原料として用いたバナジウムアルコキシドと
水との割合を種々変えたが、モル比で水/バナジウムア
ルコキシド=3以上の場合には、溶液中でバナジウムア
ルコキシドの加水分解が進んで水酸化バナジウムの沈殿
が生じた。
実施例2 バナジウム−n−ブトキシド5g(0.018mol)を、n−ブ
チルアルコールに溶解して20wt%溶液とした。これに
n−ブチルアルコールで希釈して5wt%とした水0.
47g(0.03mol)を添加して、バナジウムアルコキ
シドの部分加水分解溶液を作製した。この溶液とは別
に、インジウム−i−プロポキシド0.26g(9×1
-4mol)およびスズ−i−プロポキシド0.03g(9
×10-5mol)をそれぞれi−プロピルアルコールに溶解
して10wt%溶液とした。インジウム−i−プロポキ
シドのアルコール溶液とスズ−i−プロポキシドのアル
コール溶液を混合し、上述のバナジウム−n−ブトキシ
ドの部分加水分解溶液に添加した。第3図は本実施例の
手順を示す流れ図である。この溶液を24時間攪拌、混
合したのち、スピンナーを用いてSiOガラス基板上
にコーテイングした。このような手順で作製した膜を室
温乾燥したのち200℃で1時間加熱乾燥した。この膜
の導電率は1.2×10Ω-1cm-1であつた。また、X
線的には非晶質であつた。
実施例3 実施例1で室温での乾燥を1〜2分間行つて製作した素
子を更に水の中に浸漬して重合させてすぐに引き上げて
乾燥させ、その後実施例1と同様に非晶質酸化バナジウ
ム膜を形成させた。その導電率は実施例1と同程度であ
つた。非晶質酸化バナジウム膜中にはバナジウムアルコ
キシドが残留したものである。
実施例4 本発明で作製した酸化バナジウム膜にレーザーを照射
し、加熱することにより回路素子のパターニングを行つ
た。第4図に本実施例で用いたレーザーパターニング装
置を示す。こので3はCOレーザーの光源、4は反射
鏡、5はレーザー光を集束するための集光レンズ、6は
試料を設置するためのベルジヤーであり、7は試料、8
はベルジユーに取付けられた、レーザー光用の窓であ
る。
実施例1で作製したバナジウムアルコキシドの部分加水
分解溶液をSi(100)基板上にコーテイングし、導
電膜を作製した。この試料7をベルジヤー6内に水平に
配置した。光源3から発振されるCOレーザーは、反
射鏡4,集光レンズ5を通して集束され、窓8を通つて
ベルジヤー6内に導かれる。このようにして局部的な加
熱を行うことにより特定形状に結晶化され、回路素子の
パターニングを行つた。レーザー光を照射した部分が結
晶化し、導電率が低下するために、回路素子として使用
することができた。結晶化した部分の導電率は1.8×
10-3Ω-1cm-1であつた。
実施例5 実施例1で作製したバナジウムアルコキシドの部分加水
分解溶液を、スキー用ゴーグルの内側にスプレーによつ
て塗布し、乾燥した膜付けを行つた。この膜の左右両端
に金電極を蒸着によつて取付け、リード線を取つてゴー
グル上面にとりつけた太陽電池に接続し、通電した。ゴ
ーグルの内側に付けた膜は、通電により20〜25℃に
発熱した。このゴーグルを付けて、室温−5〜5℃、湿
度40〜70%に調節した恒温恒湿室中で30分間ラン
ニングを行つたが、いずれの温度,湿度の条件下でもゴ
ーグルが曇ることは無かつた。
実施例6 バナジウム−n−ブトキシド5g(0.018mol)を、n−ブ
チルアルコールに溶解して5wt%溶液とした。これにn
−ブチルアルコールで希釈して5wt%とした水0.47
g(0.03mol)を添加して、バナジウムアルコキシド
の部分加水分解溶液を作製した。この溶液をデイツプ法
により自動車のフロントガラスおよびリアウインドウガ
ラスの内側にコーテイングしたのち、180℃で30分
間加熱乾燥した。これらのガラスの左右両端に金電極を
印刷によつて取付けた。これらのガラスを1500cc
の小型乗用自動車に装着し、12Vの自動車用バツテリ
ーに接続,通電した。ガラスの内側にコーテイングした
膜は、通電により発熱し、通電後1分間で60℃まで温
度が上昇した。この自動車を室温−20〜5℃、湿度6
0〜80%に調節した恒温恒湿室中に置いて窓ガラスに
氷結を生じさせた。この自動車のエンジンを始動後、1
分で氷が解け始め、5分後には完全に取り去ることがで
きた。これにより、氷結や結露の生じやすい冬期,雨期
にも視界が低下することが無く、安全性の高い自動車を
得ることができた。
実施例7 実施例1で作製したバナジウムアルコキシドの部分加水
分解溶液にガラス基板(コーニング#7059,300
mm×300mm×1mm)を浸漬し、10〜40cm/minの
スピードで引き上げた。この時、ガラス基板の裏面には
接着テープを付着させ、片面のみにコーテイングするよ
うにした。得られたガラス基板を室温で10時間乾燥し
た後、200℃で1時間乾燥し、透明電極付きガラス基
板とした。この透明電極の膜厚は2000Å、シート抵
抗は10Ω/□、透過率は85%であつた。本方法によ
り浸漬法という極めて簡便な方法で大面積コーテイング
が可能になつた。
上記の方法で作製した透明導電膜上にレジストを塗布し
て導電部分と成る部位を保護したのち、0.1N CH3C
OOH溶液に浸漬して常温で2分間エツチングを行い、露
出部の導電膜を取り去つた。
このあと、レジストを取り除き、200℃で1時間加熱
してガラス基板上に配線を形成した。
第5図に本実施例で作製した配線パターンを示す。ここ
で10はガラス基板、11は配線である。
上記方法を用いて透明電極を所望の形状にパターニング
することが可能であつた。
実施例8 実施例7で作製した透明電極付きガラス基板より34mm
×34mmの基板を切りだした。この基板上の中央に実施
例6で示した方法に寄り2mm幅のレジストを塗布し導電
部分と成る部位を保護した。ついで水溶液に浸漬し、5
分間エツチングした。この後、レジストを取り除いて2
00℃で1時間加熱乾燥し、ガラス基板上に透明電極を
パターニングした。
この透明電極を用いて第6図(a),(b)に示すよう
なEL素子を作製した。
ガラス基板12の上に透明電極13を形成した透明電極
付きガラス基板をトリクレンを用いて超音波洗浄した。
この基板上に高周波スパツタ装置を用い、第一絶縁層と
してSiOを5000Åスパツタした。次に、発光層15
としてMn0.5wt%を含むZnSを5000Å電子ビ
ーム蒸着した後、2.6×10-4Pa、300℃で1時
間真空熱処理を行つた。さらに、第二絶縁層16として
SiO5000Åを第一絶縁層と同じ条件でスパツタ
リングした。上記電極17としてアルミニウムを200
0Å抵抗加熱蒸着した後、電極端子を取付け、EL用素
子とした。
第6図(b)のEL素子の平面図において、透明電極1
3と上部電極17との交差した部分が画素に相当し、発
光する。
従来のEL素子では、透明電極のパターニングの際、エ
ツチング液に臭化水素などを使用していた。このため、
透明電極の性能を悪化させると共に、この臭化水素が絶
縁層、発光層に悪影響を及ぼしていた。本EL素子で
は、透明電極のパターニングには酸などを用いないた
め、発光特性の良好なEL素子が得られた。
実施例9 実施例1で作製したバナジウムアルコキシドの部分加水
分解溶液にガラス基板(コーニング#7059,300
mm×300mm×1mm)を浸漬し、10〜40cm/minの
スピードで引き上げた。この時、ガラス基板の裏面には
接着テープを付着させ、片面のみにコーテイングするよ
うにした。得られたガラス基板を室温で10時間乾燥し
た後、200℃で1時間乾燥し、透明電極付きガラス基
板とした。このガラス基板を用いて第7図に示すような
ECD素子を作製した。透明電極19付きガラス基板1
8、2枚をトリクレンで超音波洗浄した。このうちの一
枚の基板上に発色層20としてWO5000Åを真空
蒸着した。上記WOを蒸着した基板と残りの透明電極
付きガラス基板を対極として配置した2mmの間隔の空間
に電解質21としてLiClOのプロピレンカーボネ
ート溶液を注入し、シール材23で封止した。透明電極
19に電極端子22を取付け、ECD素子とした。本E
CD素子を用いて、これを一つのドツトマトリツクスと
する超大型デイスプレスが実現できた。
実施例10 各種電子機器及び、その構成部分を覆うケースをアクリ
ル系,ポリエステル系などの合成樹脂、及びガラスで作
製した。このケースを実施例1で作製したアルコキシド
溶液中に浸漬したあと、室温で乾燥した。このケースは
漏洩電磁波や外部妨害電磁波から電子機器を守る電磁シ
ールド膜付きケースとして使用できる。
本ケースは、従来用いられてきた金属版を使用したケー
スに比べ感電の危険性も無く、また、加工性も良く重量
も軽い。透明樹脂,透明ガラスを用いれば、ケース内の
電子機器の状態を観察するのにも都合が良い。また、液
体中への浸漬によつて表面コーテイングを行うため、複
雑形状のケースへのコーテイングも容易に行うことがで
きる。
実施例11 ドクターブレード法で用いられるマイラーシート上への
酸化バナジウム膜のコーテイングを行つた。用いた装置
を第8図に示す。
マイラーシート24を実施例1で作製したバナジウムア
ルコキシドの部分加水分解溶液25に浸漬槽26中で浸
漬した後、乾燥機29中で70℃で乾燥し、酸化バナジ
ウム膜付きのマイラーシートを作製した。マイラーシー
ト24はこの工程中、支持棒28を通して巻き取り機2
7に巻き取られる。作製した酸化バナジウム膜は導電性
を有するので、静電防止膜付きマイラーシートとして使
用できる。
本マイラーシートを用いて実験を行つたところ、ドクタ
ーブレード法を行う際に問題となつていた静電気を防止
することができ、静電気による成形物上へのゴミの付
着,成形物の性質の変化,感電などの防止が可能であつ
た。
実施例12 アルミナ基板上に銅導体ペーストをスクリーンを用いて
印刷し、空気中で乾燥した後、600℃の窒素中で焼成
して所定の形状の導体回路を形成した。次いで実施例1
で作製したバナジウムアルコキシドの部分加水分解溶液
を塗布し、室温で乾燥した。生成した非晶質酸化バナジ
ウム膜のうち、必要な部分にアピエゾンでマスクを施
し、不要の部分を希酸でエツチング除去した後トリクレ
ンでマスクを除去することにより、導体回路中に非晶質
酸化バナジウム膜による抵抗体を形成した。抵抗体の厚
さは2000Åであり、抵抗値は2mm角のものが50
Ω,幅2mm,長さ4mmのものが100Ωであつた。また同
様に形成した厚さが1000Åの抵抗体は、幅2mm,長
さ4mmで抵抗値が200Ωであつた。これらの抵抗体は、
レーザートリミングにより抵抗値調整が可能であつた。
表面にはレジンコートを施した。
銅導体は、高周波損失が小さいなどの利点を持つが、大
気中で加熱すると酸化するので導体回路を形成した後に
抵抗体を印刷,焼成して形成するのが従来困難であつ
た。抵抗体を形成した上部に銅導体を形成する方法もあ
るが、抵抗体形成直後に抵抗値の確認ができいなどの欠
点があつた。本実施例によれば、銅導体の特性を損なう
こと無く、その上に低抗体を形成することが可能であつ
た。
実施例13 厚さ250μmのアルミナ基板上に、酸化スズ抵抗体か
ら成る水素ガスセンサ素子を複数個形成した。その裏面
に、実施例1で作製したバナジウムアルコキシドの部分
加水分解溶液を塗布し、250℃で乾燥した。次いでス
クライビングによりセンサ素子を1個ずつ切り離し、5
mm×5mmの素子とした。裏面の非晶質酸化バナジウム膜
の両端に金属電極端子を接触させ、通電した。抵抗値は
12Ωで、3Vの印加で発熱して素子の温度が170℃
になり、水素ガスセンサとして使用可能であつた。
裏面の発熱体をPtで形成する場合には、発熱体パター
ンと表面のセンサ素子の位置合せが必要であるが、本実
施例のように非晶質酸化バナジウム膜を発熱体として用
いた場合には、全面に膜生成させれば良いので位置合せ
の必要が無く、スクライビングも容易であつた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、液相法を用いて300℃以下の低温で
導電率が10Ω-1cm-1以上の透明導電膜を得ることがで
き、スパツタや真空蒸着のような物理的成膜法では困難
であつた大面積コーテイングを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1において作製した素子の構成
を示す図、第2図は作製した酸化バナジウム膜のV−I
特性図、第3図は実施例2における手順の流れ図、第4
図は実施例3で用いたレーザーパターニング装置の構成
図、第5図は実施例6で作製した配線の構成を示す図、
第6図は実施例7で作製したEL素子の断面(a)およ
び平面(b)図、第7図は実施例8で作製したECD素
子の構成図、第8図は実施例10に用いた装置の構成を
示す図である。 1…非晶質酸化バナジウム膜、2…SiOガラス、3
…光源、4…反射鏡、5…集光レンズ、6…ベルジヤ
ー、7…試料、8…窓、10…ガラス基板、11…配
線、12…ガラス基板、13…透明電極、14…第1絶
縁層、15…発光層、16…第2絶縁層、17…上部電
極、18…ガラス基板、19…透明電極、20…発光
層、21…電解質、22…電極端子、23…シール材、
24…マイラーシート、25…バナジウムアルコキシド
の部分加水分解溶液、26…浸漬槽、27…巻き取り
機、28…支持棒、29…乾燥機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 1/00 7047−4E 9/00 7128−4E (72)発明者 中沢 哲夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 三▲吉▼ 忠彦 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化バナジウムを主体とし、バナジウムア
    ルコキシ基を含む非晶質体からなることを特徴とする導
    電材。
  2. 【請求項2】バナジウムアルコキシドの部分加水分解縮
    合生成物を主体とした非晶質体からなることを特徴とす
    る導電材。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項において、前記縮合
    生成物は、次式 (R:アルキル基)で表わされる化合物からなる導電
    材。
  4. 【請求項4】酸化バナジウムを主体とした非晶質体から
    なり、その室温の導電率が10Ω-1cm-1以上であること
    を特徴とする導電材。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれか
    において、前記非晶質体は絶縁材に形成された膜である
    導電材。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項〜第5項のいずれか
    において、酸化バナジウム以外の4価以下の金属酸化物
    を含む導電材。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第6項において、前記金属
    酸化物は酸化スズ及び酸化インジウムの少なくとも1種
    からなる導電材。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第1項〜第7項のいずれか
    において、前記酸化バナジウムは5価のバナジウムイオ
    ンとわずかの4価のバナジウムイオンを含む導電材。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第1項〜第8項のいずれか
    において、前記非晶質体は透明である導電材。
  10. 【請求項10】水をバナジウムアルコキシドのモル数よ
    り少なく含むアルコキシド溶液を部分的に加水分解する
    工程及び該加水分解した溶液を乾燥する工程を含み、酸
    化バナジウムを主体とした非晶質体を得ることを特徴と
    する導電材の製造方法。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第10項において、前記
    (水/バナジウムアルコキシド)のモル比が3以下であ
    る導電材の製造方法。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第10項又は第11項に
    おいて、前記乾燥を前記酸化バナジウムの結晶化温度よ
    り低い温度で行う導電材の製造方法。
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第12項において、前記
    乾燥を300℃以下で行う導電材の製造方法。
  14. 【請求項14】モル比(水/バナジウムアルコキシド)
    量が3以下であるバナジウムアルコキシドの部分加水分
    解した溶液の薄層を絶縁材表面に形成する工程及び前記
    加水分解した溶液の薄層を乾燥する工程を含み、前記絶
    縁材表面に酸化バナジウムを主体とした非晶質体薄膜を
    形成することを特徴とする導電材の製造方法。
  15. 【請求項15】部分的に加水分解したバナジウムアルコ
    キシドを含むことを特徴とする酸化バナジウムを主体と
    する導電材形成用溶液。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第15項においてバナジ
    ウム以外の1種以上の金属元素を含む導電材形成用溶
    液。
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第16項においてバナジ
    ウム以外の金属元素がスズ及びインジウムのうち少なく
    とも1種を含む導電材形成用溶液。
  18. 【請求項18】所定の形状を持つ非晶質の酸化バナジウ
    ムを主体とする導電部分と所定の形状を持つ結晶質の酸
    化バナジウムを主体とする絶縁部分とを含むことを特徴
    とする回路素子。
  19. 【請求項19】特許請求の範囲第18項において非晶質
    部分の導電率が10Ω-1cm-1以上であり、結晶質部分の
    導電率が非晶質部分の導電率よりも低いことを特徴とす
    る回路素子。
  20. 【請求項20】特許請求の範囲第18項並びに第19項
    において、結晶質部分の導電率が10Ω-1cm-1未満であ
    ることを特徴とする回路素子。
  21. 【請求項21】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とする結露防止膜。
  22. 【請求項22】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とするヒータ。
  23. 【請求項23】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とする静電防止膜。
  24. 【請求項24】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とする透明電極。
  25. 【請求項25】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とする電磁シールド膜。
  26. 【請求項26】特許請求の範囲第1項記載の導電材を構
    成要素として含むことを特徴とする配線。
  27. 【請求項27】特許請求の範囲第1項記載の導電材によ
    り構成されることを特徴とする抵抗体。
  28. 【請求項28】特許請求の範囲第1項記載の導電材から
    成る結露防止膜を備えた窓ガラスを構成要素として含む
    ことを特徴とする自動車。
  29. 【請求項29】特許請求の範囲第1項記載の導電材を構
    成要素として含むことを特徴とするめがね。
  30. 【請求項30】特許請求の範囲第1項記載の導電材から
    成る電極を構成要素として含むECD並びにEL素子を
    有することを特徴とする表示装置。
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