JP3366046B2 - 非晶質透明導電膜 - Google Patents
非晶質透明導電膜Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非晶質でありながら透明
性を維持しつつ電気比抵抗を低下させた金属酸化物系の
透明導電膜に関する。 【0002】 【従来の技術】透明導電膜は可視光透過性も導電性も良
いので、液晶用電極や太陽熱利用の選択透過膜などに使
用されている。特にSnO2 系やIn2 O3 系の薄膜は
抵抗値が低く可視光透過率が高く安定性も良いため、一
般的に広く用いられている。 【0003】これらの透明導電膜は、従来からスプレー
法やメッキ法等の化学的成膜法、またはイオンプレーテ
ィング法やスパッタリング法などの物理的成膜法によっ
て製造されており、なかでも良質の透明導電膜を大面積
で得ることができることからスパッタリング法が広く採
用されている。 【0004】しかしこれらの透明導電膜は結晶質の膜で
利用されることが多く、その構成結晶粒の大きさや質に
よって易動度、さらには導電性が左右されやすく、加え
て過剰のキャリアドープ等によって粒界へのドープ元素
の偏析や結晶自体の破壊を招き、良好で安定な電導性の
膜を得る際に問題となることがあった。この対策とし
て、成膜後にアニーリング等が施されてきた。 【0005】また、結晶質であるためにパターンエッチ
ング時のエッチング速度の異方性などが問題となること
もあり、成膜法の工夫等により配向膜を作り対応してき
た(特開昭63−202890号)。さらに、従来透明
導電膜として使われてきた結晶質透明導電膜のほとんど
が耐摩耗性や耐擦傷性に著しく弱く、これらの性能を保
護膜によって補ってきた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述の問題を解決すべ
く、ITO(InとSnの酸化物)を非晶質化した例
(特開昭63−243261号)などが報告されている
が、これらはいずれも結晶質の場合と比べて導電性が劣
っていた。本発明は、上記結晶質透明導電膜の諸問題を
解決し、優れた導電性を有する新規な非晶質透明導電膜
を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、AB2-x O
4-y で示される金属酸化物からなる非晶質構造の透明導
電膜において、該AB2-x O4-y のAがMgであり、B
がInであり、−0.5<x<0.5、−1<y<1.
5の組成比であり、かつAB 2-x O 4-y に、Snを含む
ことを特徴とする非晶質構造の透明導電膜を提供する。 【0008】本発明においては、上記AB2-x O4-y の
組成比において−0.5<x<0.5、−1<y<1.
5の酸化物を用いることが重要である。xが上記範囲を
はずれるか、またはyが上記範囲をはずれると、成膜時
にAの金属酸化物またはBの金属酸化物のいずれかの酸
化物を主成分とする結晶相が薄膜中に析出しやすくな
り、透明導電膜の性能が安定化しない。 【0009】また、AB2-x O4-y に、Sn、Ti、Z
r、Pb、B、As、Bi、Ce、Ge、Mo、Y、
W、TaおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも
一種の金属元素を添加するとさらに導電性が良好な透明
導電膜が得られるので好ましい。前記金属元素は酸化物
の形で添加されてもよい。 【0010】この場合の添加量は特に制限されないが、
AB2-x O4-y に対し、Sn、Ti、Zr、Pb、B、
As、Bi、Ce、Ge、Mo、Y、W、TaおよびN
bからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素を
0.01〜10原子%含むことが好ましい。この範囲を
超えるとキャリアの易動度に著しい悪影響を与えて電導
率の低下を招くため、上記範囲で添加することが好まし
い。ただし添加をせず、酸素欠陥のみでもキャリアを入
れることが可能である。 【0011】また、上記元素が有効にキャリアの供給源
として働くには、AまたはBに対して、表1のように添
加元素の組み合わせを選択することが好ましい。なお、
成膜時の雰囲気を還元性にするか、または成膜後に還元
雰囲気中で熱処理することによっても同様の効果が得ら
れる。 【0012】 【表1】【0013】表1において、○は好ましい添加元素の組
み合わせであることを、△は可能であるがあまり好まし
くない組み合わせであることを、×は添加によってかえ
ってマイナス要素となる組み合わせをそれぞれ示す。 【0014】本発明の透明導電膜を製造する方法として
は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプ
レーティング法、CVD法等が用いられ、これらの製造
方法の相違に応じて製造用材料が上記したなかから任意
に選択される。 【0015】本発明の透明導電膜を製造するための製膜
用材料の形態としては特に限定されないが、混合物また
は焼結体が好ましい。また、製膜用材料における金属
A、Bは、いずれか一方または両方が金属単体として用
いられてもよいが、少なくとも一方が金属単体として用
いられる場合には透明導電膜製造時に酸素ガス雰囲気下
で行うか、酸素ガスを吹き込むことが必要となる。 【0016】透明導電膜を安価に安定して供給できると
いう観点においては、A金属の酸化物とB金属の酸化物
とからなる焼結体を用いることが好ましい。なおこれら
の焼結体がスピネルやペロブスカイト等の結晶構造を含
む場合には成膜速度等への影響などが考えられるが、透
明性や導電性への影響は少ない。 【0017】このようにして得られた透明導電膜は高い
光透過性と低い比抵抗値を示し、かつ非晶質の膜であ
り、粒界によるキャリアの散乱や添加元素の偏析等の問
題がなく、加えてその等方性からエッチング時のエッチ
ング斑も生じず、かつ耐摩耗性、耐擦傷性を有し、結晶
質透明導電膜では不可能と考えられた用途にも利用でき
る。 【0018】 【実施例】例1 マグネトロンR.F.スパッタ装置の陰極上に高純度
(99.99%)の酸化インジウム(In2 O3 )8
7.3重量%と酸化マグネシウム(MgO)12.7重
量%とを混合し焼結したMgIn2 O4-z (0<z<
2)のスピネル構造結晶ターゲットをセットした。研磨
などの方法で3mm厚のソーダライムガラス基板を十分
に洗浄、乾燥した後、真空チャンバー内に入れ、クライ
オポンプで1×10-6Torr以下まで排気した。この
際、基板は250℃に加熱した。 【0019】次にArとO2 の混合ガス(Ar:O2 =
99.9:0.1)を真空系に導入し、その圧力が5.
0×10-3Torrになるように調整した。この状態で
ターゲットに2.2W/cm2 のパワーを印加し、10
分間プレスパッタした後、6分間スパッタを行いMgI
n2.1 O3.6 膜を約4000Å成膜した。 【0020】例2 高純度In2 O3 の84.7重量%とMgOの12.3
重量%と酸化スズ(SnO2 )の3重量%とを混合し焼
結して得たターゲットを用いた他は、例1と同様に成膜
した。 【0021】例3 高純度In2 O3 の86.5重量%とMgOの12.5
重量%と酸化チタン(TiO2 )の1重量%とを混合し
焼結して得たターゲットを用いた他は、例1と同様に成
膜した。 【0022】例4 高純度(99.99%)の酸化ガリウム(Ga2 O3 )
の57.6重量%と酸化カドミウム(CdO)の39.
4重量%とSnO2 の3重量%とを混合し焼結して得た
ターゲットを用いた他は、例1と同様に成膜した。 【0023】例5 高純度Ga2 O 3 とCdOとTiO 2 とを混合し焼結して
得たターゲットを用いCdGa 2 Ti 0.04 O 3.8 なる組成
の膜を成膜した他は、例1と同様に成膜した。 【0024】例6(比較例) 雰囲気の酸素分率をAr:O2 =99.5:0.5に
し、基板温度を室温(25℃)にした他は、例1と同様
に成膜した。 【0025】例7(比較例) 雰囲気の酸素分率をAr:O2 =99.5:0.5に
し、基板温度を室温(25℃)にした他は、例4と同様
に成膜した。 【0026】例1〜7により得られた膜の組成、導電率
(S/cm)、屈折率、可視光透過率(%)、易動度
(cm2 /Vsec)、キャリア濃度(cm-3)、結晶
性を表2に示す。 【0027】また、耐擦傷性、耐摩耗性の評価結果を表
3に示す。耐擦傷性は砂消しゴムによる擦り試験で評価
し、○は傷がほとんどつかなかったもの、×は傷が容易
に生じたものである。耐摩耗性は、テーバー試験(摩耗
輪CS−10F、加重500g、500回転)で評価
し、ヘイズ4%以内のものを○、ヘイズが4%を超える
ものを×とした。 【0028】 【表2】 【0029】 【表3】 【0030】表2より明らかなように、例1〜5のいず
れにおいても膜は非晶質であり、導電性、可視光透過性
がともに優れた良質の透明導電膜が得られた。特に例2
の膜は、導電率(S/cm=Ω -1 /cm)の逆数である
比抵抗値が6.8×10-4Ωcmの値を示し、可視光透
過性も90%以上のもっとも好ましい結果となってい
る。なお、非晶質性は薄膜X線回折により観測し、さら
に透過電子顕微鏡により明瞭な結晶格子縞が観測されな
いことから確認した。 【0031】表3より、耐摩耗、耐擦傷性において結晶
質膜に対して優れていることがわかる。これは非晶質膜
の表面が平滑であることと、等方性ゆえに極端に弱い方
位を持たないこと、ダングリングボンド等の欠陥が転位
の発生源となり、該転位によって膜強度が向上するこ
と、等に起因すると考えられる。 【0032】 【発明の効果】本発明の非晶質透明導電膜は、優れた透
明性と導電性を有し、液晶、エレクトロルミネッセン
ス、エレクトロクロミック等の表示素子、タッチパネ
ル、太陽電池用、透明ヒーター用の電極として、また、
電磁波シールド、静電防止、デフロスター、熱線反射膜
等に好適に用いられる。 【0033】また、等方性の非晶質であるため、フォト
リソグラフィー技術でエッチングし微細加工を施すとき
に、優れたパターニング性を有し、高い歩留まりで、レ
ジストパターンに忠実な乱れのないきれいなパターンを
得ることができる。さらに、結晶質の膜と比べて耐摩
耗、耐擦傷性に優れるため、保護膜の必要性が軽減さ
れ、透明導電膜の新しい用途への展開が考えられる。
性を維持しつつ電気比抵抗を低下させた金属酸化物系の
透明導電膜に関する。 【0002】 【従来の技術】透明導電膜は可視光透過性も導電性も良
いので、液晶用電極や太陽熱利用の選択透過膜などに使
用されている。特にSnO2 系やIn2 O3 系の薄膜は
抵抗値が低く可視光透過率が高く安定性も良いため、一
般的に広く用いられている。 【0003】これらの透明導電膜は、従来からスプレー
法やメッキ法等の化学的成膜法、またはイオンプレーテ
ィング法やスパッタリング法などの物理的成膜法によっ
て製造されており、なかでも良質の透明導電膜を大面積
で得ることができることからスパッタリング法が広く採
用されている。 【0004】しかしこれらの透明導電膜は結晶質の膜で
利用されることが多く、その構成結晶粒の大きさや質に
よって易動度、さらには導電性が左右されやすく、加え
て過剰のキャリアドープ等によって粒界へのドープ元素
の偏析や結晶自体の破壊を招き、良好で安定な電導性の
膜を得る際に問題となることがあった。この対策とし
て、成膜後にアニーリング等が施されてきた。 【0005】また、結晶質であるためにパターンエッチ
ング時のエッチング速度の異方性などが問題となること
もあり、成膜法の工夫等により配向膜を作り対応してき
た(特開昭63−202890号)。さらに、従来透明
導電膜として使われてきた結晶質透明導電膜のほとんど
が耐摩耗性や耐擦傷性に著しく弱く、これらの性能を保
護膜によって補ってきた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述の問題を解決すべ
く、ITO(InとSnの酸化物)を非晶質化した例
(特開昭63−243261号)などが報告されている
が、これらはいずれも結晶質の場合と比べて導電性が劣
っていた。本発明は、上記結晶質透明導電膜の諸問題を
解決し、優れた導電性を有する新規な非晶質透明導電膜
を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、AB2-x O
4-y で示される金属酸化物からなる非晶質構造の透明導
電膜において、該AB2-x O4-y のAがMgであり、B
がInであり、−0.5<x<0.5、−1<y<1.
5の組成比であり、かつAB 2-x O 4-y に、Snを含む
ことを特徴とする非晶質構造の透明導電膜を提供する。 【0008】本発明においては、上記AB2-x O4-y の
組成比において−0.5<x<0.5、−1<y<1.
5の酸化物を用いることが重要である。xが上記範囲を
はずれるか、またはyが上記範囲をはずれると、成膜時
にAの金属酸化物またはBの金属酸化物のいずれかの酸
化物を主成分とする結晶相が薄膜中に析出しやすくな
り、透明導電膜の性能が安定化しない。 【0009】また、AB2-x O4-y に、Sn、Ti、Z
r、Pb、B、As、Bi、Ce、Ge、Mo、Y、
W、TaおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも
一種の金属元素を添加するとさらに導電性が良好な透明
導電膜が得られるので好ましい。前記金属元素は酸化物
の形で添加されてもよい。 【0010】この場合の添加量は特に制限されないが、
AB2-x O4-y に対し、Sn、Ti、Zr、Pb、B、
As、Bi、Ce、Ge、Mo、Y、W、TaおよびN
bからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素を
0.01〜10原子%含むことが好ましい。この範囲を
超えるとキャリアの易動度に著しい悪影響を与えて電導
率の低下を招くため、上記範囲で添加することが好まし
い。ただし添加をせず、酸素欠陥のみでもキャリアを入
れることが可能である。 【0011】また、上記元素が有効にキャリアの供給源
として働くには、AまたはBに対して、表1のように添
加元素の組み合わせを選択することが好ましい。なお、
成膜時の雰囲気を還元性にするか、または成膜後に還元
雰囲気中で熱処理することによっても同様の効果が得ら
れる。 【0012】 【表1】【0013】表1において、○は好ましい添加元素の組
み合わせであることを、△は可能であるがあまり好まし
くない組み合わせであることを、×は添加によってかえ
ってマイナス要素となる組み合わせをそれぞれ示す。 【0014】本発明の透明導電膜を製造する方法として
は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプ
レーティング法、CVD法等が用いられ、これらの製造
方法の相違に応じて製造用材料が上記したなかから任意
に選択される。 【0015】本発明の透明導電膜を製造するための製膜
用材料の形態としては特に限定されないが、混合物また
は焼結体が好ましい。また、製膜用材料における金属
A、Bは、いずれか一方または両方が金属単体として用
いられてもよいが、少なくとも一方が金属単体として用
いられる場合には透明導電膜製造時に酸素ガス雰囲気下
で行うか、酸素ガスを吹き込むことが必要となる。 【0016】透明導電膜を安価に安定して供給できると
いう観点においては、A金属の酸化物とB金属の酸化物
とからなる焼結体を用いることが好ましい。なおこれら
の焼結体がスピネルやペロブスカイト等の結晶構造を含
む場合には成膜速度等への影響などが考えられるが、透
明性や導電性への影響は少ない。 【0017】このようにして得られた透明導電膜は高い
光透過性と低い比抵抗値を示し、かつ非晶質の膜であ
り、粒界によるキャリアの散乱や添加元素の偏析等の問
題がなく、加えてその等方性からエッチング時のエッチ
ング斑も生じず、かつ耐摩耗性、耐擦傷性を有し、結晶
質透明導電膜では不可能と考えられた用途にも利用でき
る。 【0018】 【実施例】例1 マグネトロンR.F.スパッタ装置の陰極上に高純度
(99.99%)の酸化インジウム(In2 O3 )8
7.3重量%と酸化マグネシウム(MgO)12.7重
量%とを混合し焼結したMgIn2 O4-z (0<z<
2)のスピネル構造結晶ターゲットをセットした。研磨
などの方法で3mm厚のソーダライムガラス基板を十分
に洗浄、乾燥した後、真空チャンバー内に入れ、クライ
オポンプで1×10-6Torr以下まで排気した。この
際、基板は250℃に加熱した。 【0019】次にArとO2 の混合ガス(Ar:O2 =
99.9:0.1)を真空系に導入し、その圧力が5.
0×10-3Torrになるように調整した。この状態で
ターゲットに2.2W/cm2 のパワーを印加し、10
分間プレスパッタした後、6分間スパッタを行いMgI
n2.1 O3.6 膜を約4000Å成膜した。 【0020】例2 高純度In2 O3 の84.7重量%とMgOの12.3
重量%と酸化スズ(SnO2 )の3重量%とを混合し焼
結して得たターゲットを用いた他は、例1と同様に成膜
した。 【0021】例3 高純度In2 O3 の86.5重量%とMgOの12.5
重量%と酸化チタン(TiO2 )の1重量%とを混合し
焼結して得たターゲットを用いた他は、例1と同様に成
膜した。 【0022】例4 高純度(99.99%)の酸化ガリウム(Ga2 O3 )
の57.6重量%と酸化カドミウム(CdO)の39.
4重量%とSnO2 の3重量%とを混合し焼結して得た
ターゲットを用いた他は、例1と同様に成膜した。 【0023】例5 高純度Ga2 O 3 とCdOとTiO 2 とを混合し焼結して
得たターゲットを用いCdGa 2 Ti 0.04 O 3.8 なる組成
の膜を成膜した他は、例1と同様に成膜した。 【0024】例6(比較例) 雰囲気の酸素分率をAr:O2 =99.5:0.5に
し、基板温度を室温(25℃)にした他は、例1と同様
に成膜した。 【0025】例7(比較例) 雰囲気の酸素分率をAr:O2 =99.5:0.5に
し、基板温度を室温(25℃)にした他は、例4と同様
に成膜した。 【0026】例1〜7により得られた膜の組成、導電率
(S/cm)、屈折率、可視光透過率(%)、易動度
(cm2 /Vsec)、キャリア濃度(cm-3)、結晶
性を表2に示す。 【0027】また、耐擦傷性、耐摩耗性の評価結果を表
3に示す。耐擦傷性は砂消しゴムによる擦り試験で評価
し、○は傷がほとんどつかなかったもの、×は傷が容易
に生じたものである。耐摩耗性は、テーバー試験(摩耗
輪CS−10F、加重500g、500回転)で評価
し、ヘイズ4%以内のものを○、ヘイズが4%を超える
ものを×とした。 【0028】 【表2】 【0029】 【表3】 【0030】表2より明らかなように、例1〜5のいず
れにおいても膜は非晶質であり、導電性、可視光透過性
がともに優れた良質の透明導電膜が得られた。特に例2
の膜は、導電率(S/cm=Ω -1 /cm)の逆数である
比抵抗値が6.8×10-4Ωcmの値を示し、可視光透
過性も90%以上のもっとも好ましい結果となってい
る。なお、非晶質性は薄膜X線回折により観測し、さら
に透過電子顕微鏡により明瞭な結晶格子縞が観測されな
いことから確認した。 【0031】表3より、耐摩耗、耐擦傷性において結晶
質膜に対して優れていることがわかる。これは非晶質膜
の表面が平滑であることと、等方性ゆえに極端に弱い方
位を持たないこと、ダングリングボンド等の欠陥が転位
の発生源となり、該転位によって膜強度が向上するこ
と、等に起因すると考えられる。 【0032】 【発明の効果】本発明の非晶質透明導電膜は、優れた透
明性と導電性を有し、液晶、エレクトロルミネッセン
ス、エレクトロクロミック等の表示素子、タッチパネ
ル、太陽電池用、透明ヒーター用の電極として、また、
電磁波シールド、静電防止、デフロスター、熱線反射膜
等に好適に用いられる。 【0033】また、等方性の非晶質であるため、フォト
リソグラフィー技術でエッチングし微細加工を施すとき
に、優れたパターニング性を有し、高い歩留まりで、レ
ジストパターンに忠実な乱れのないきれいなパターンを
得ることができる。さらに、結晶質の膜と比べて耐摩
耗、耐擦傷性に優れるため、保護膜の必要性が軽減さ
れ、透明導電膜の新しい用途への展開が考えられる。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭58−34548(JP,A)
特開 平6−263445(JP,A)
特開 平6−191844(JP,A)
特開 平5−238807(JP,A)
特開 平6−234521(JP,A)
特開 昭63−243261(JP,A)
特開 昭63−202890(JP,A)
特開 昭60−50813(JP,A)
特開 平6−96619(JP,A)
特公 平4−10682(JP,B2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01B 5/00 - 5/16
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】AB2-x O4-y で示される金属酸化物から
なる非晶質構造の透明導電膜において、該AB2-x O
4-y のAがMgであり、BがInであり、−0.5<x
<0.5、−1<y<1.5の組成比であり、かつAB
2-x O 4-y に、Snを含むことを特徴とする非晶質構造
の透明導電膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09556893A JP3366046B2 (ja) | 1993-03-30 | 1993-03-30 | 非晶質透明導電膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09556893A JP3366046B2 (ja) | 1993-03-30 | 1993-03-30 | 非晶質透明導電膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06290641A JPH06290641A (ja) | 1994-10-18 |
JP3366046B2 true JP3366046B2 (ja) | 2003-01-14 |
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ID=14141203
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Families Citing this family (15)
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TW385375B (en) | 1996-07-26 | 2000-03-21 | Asahi Glass Co Ltd | Transparent conductive film and forming method for transparent electrode |
EP1063317B1 (en) * | 1998-03-05 | 2003-07-30 | Asahi Glass Company Ltd. | Sputtering target, transparent conductive film, and method for producing the same |
DE10306925A1 (de) * | 2003-02-19 | 2004-09-02 | GfE Gesellschaft für Elektrometallurgie mbH | PVD-Beschichtungsmaterial |
JP2007250369A (ja) | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 透明導電性膜およびその製造方法 |
JP4043044B2 (ja) | 2006-03-31 | 2008-02-06 | 三井金属鉱業株式会社 | 酸化インジウム系透明導電膜及びその製造方法 |
JP4024290B2 (ja) * | 2006-03-31 | 2007-12-19 | 三井金属鉱業株式会社 | スパッタリングターゲット及び酸化物焼結体の製造方法 |
TW200923973A (en) * | 2007-10-03 | 2009-06-01 | Mitsui Mining & Amp Smelting Co Ltd | Indium oxide transparent conductive film and manufacturing method thereof |
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