JP4136531B2 - 透明導電膜、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜、特にZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなる表面平滑性に優れた透明導電膜、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス等の透明電極として、酸化錫や酸化インジウムのような金属酸化物からなる透明導電膜、特にスズをドープした酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)膜がよく使用されている。これは、ITO膜が導電性、透明性に優れている上、経時安定性にも優れていることによるものである。ところが、最近の表示材料の大面積化、高精細化に伴って、光線透過率を下げることなく従来に比べてより低抵抗で、しかも表面が平滑な透明導電膜を提供することが要求されている。
【0003】
従来から、ITO膜を製膜する際に、基板温度を高くしてスパッタリングして、結晶性の高いITO膜を形成することによって導電性を向上させる方法がよく知られている。しかしながら、結晶性の高いITO膜は、かなり表面の凹凸が大きく、透明電極として要求される表面平滑性に劣っているという問題があった。このような問題を解決する方法として、例えば、特開平9−185032号公報には、アモルファス成分を含むITO膜を形成し、次いで150〜300℃でアニールすることにより表面が平滑で、しかも低い抵抗値と高い光線透過率を有するITO膜を形成することが、特開平5−167479号公報には、非晶質なまたは微結晶からなる非晶質に近いITO膜を作製し、その後減圧下又は非酸化性雰囲気中100〜500℃でアニールし平板状に結晶成長させ、その後、酸化性雰囲気100〜500℃でアニールするか又はプラズマ照射により、表面高低差の小さい低抵抗のITO膜を提供することが記載されている。
これらの方法はいずれも、表面平滑性に優れた非晶質のITO膜を形成し、しかる後に得られた非晶質のITO膜を結晶化させることによって表面平滑性と低抵抗の透明導電膜を得ようとするものである。
【0004】
これに対して、酸化亜鉛−酸化インジウム系材料をスパッタリングすることによって非晶質でありながら低抵抗な透明導電膜が得られることが知られている(特開平6−318406号公報、特開平9−175837号公報、特許第2695605号公報等)。また、先に本発明者等はターゲットとしての酸化インジウムと酸化亜鉛とを互いに対向するように配置して、特定条件でスパッタリングすることにより優れた透明性と低抵抗性を有するZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる透明導電膜が得られることを提案した(特願2002−150052)。そして、この方法により予め特定の組成比を有する焼結体ターゲットを使用することなく所望のk値を有するZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表されるホモロガス化合物からなる透明導電膜を形成することが可能となるばかりでなく、文献未記載のZnInで表されるホモロガス化合物からなる透明導電膜も形成することが可能となった。しかしながら、単に非晶質の酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜を形成するだけでは十分な表面平滑性を有する透明導電膜は得られなかった。
【0005】
このような問題点を解決する方法として、インジウム元素の原子比が0.82以上、0.92未満のターゲット、特にIn(ZnO)(m=2〜20、好ましくはm=2〜8、特に好ましくはm=2〜6)で表される六方晶層状化合物を含む焼結体ターゲットを使用し、これを200V未満という低電圧でスパッタリングすることによりインジウム元素の原子比が0.8以上、0.9未満であり、比抵抗が2.0×10−4Ω・cm以下、表面の凹凸が10nm以内という極めて低い抵抗値と優れた表面平滑性を有する非晶質の酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜が得られることが提案されている(特開平9−92037号公報)。しかしながら、この方法では酸化インジウムの原子比が0.8〜0.9の範囲に限定されるという問題があるばかりか、スパッタリングの条件によっては低抵抗性と表面平滑性に優れた透明導電膜が得られないという問題があった。
【0006】
一方、上述したように表面平滑性に優れた非晶質のITO膜を形成した後、アニールすることによって結晶化させて表面平滑性と低抵抗性に優れた透明導電膜を形成することは公知であるが、酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜は非晶質であっても十分低抵抗であることから熱処理(アニール)することについてはあまり検討されていなかった。なお、特開2000−67657号公報には酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜を低酸素雰囲気中、約150〜350℃で加熱処理することが記載されているが、これは上記目的とは異なり赤外線波長領域における透過率を向上させることを目的とするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上述した問題点を解決して、表面平滑性に優れ、低抵抗なZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなる酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、低抵抗で、透明性に優れた非晶質のホモロガス化合物からなる酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することにより極めて表面が平滑な透明導電膜が得られることを見出し本発明に到った。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)ZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする表面の凹凸が10nm以下である透明導電膜の製造方法。
)酸化インジウムターゲット(TIn)と酸化亜鉛ターゲット(TZn)とを互いに対向するように配置して、基板温度が200℃以下、かつδ=IIn/(IIn+IZn)で定義されるTInに印可した電流値(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との電流比δが0.40〜0.70の条件下でスパッタリングしてZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜を形成し、次いで該薄膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする表面の凹凸が10nm以下である透明導電膜の製造方法。
)酸化亜鉛ターゲット(TZn)が酸化アルミニウム(Al)を1.0〜5.0wt%含有していることを特徴とする()記載の透明導電膜の製造方法をその要旨とするものである。
【0010】
【実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
まず、本発明の透明導電膜はZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなり、表面の凹凸が10nm以下であることを特徴とするものである。ここでZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表されるホモロガス化合物とは、In八面体が稜共有してInO 層を形成し、次いで残りのIn3+とZn2+がO2−イオンによって形成された四面体席あるいは三方両錐体席をランダムに占め、(InZn)Ok+1 層を形成していて、これらの層がc軸方向に積み重なって結晶構造を形づくっている化合物である。従来、ZnInk+3(kは2以上の整数。)で表される結晶性のホモロガス化合物については良く知られていたが、本発明の透明導電膜は非晶性のホモロガス化合物に関するのもであるところに特徴を有するものである。また、当該透明導電膜の表面の凹凸は10nm以下、好ましくは5nm以下である。表面の凹凸が10nmを超えると、例えば、透明電極に使用した場合凸部にかかる電界が大きくなり、その部分で微小な放電が生じて素子を破壊する恐れがある。
なお、本発明において表面の凹凸は、表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した結果を示すイメージを目視にて評価したものである。
【0011】
このような特性を有する透明導電膜は以下のようにして製造することができる。
まず、本発明において使用するスパッタ装置としては、上述した酸化インジウムターゲット(TIn)及び酸化亜鉛ターゲット(TZn)を対向して配置できる2個のターゲットホルダーを有していて、しかも各々のターゲットに印可する電流値が制御可能なものを使用する。
このような条件を満たすスパッタ装置1としては、例えば、図1に示すように一方のターゲットホルダー11が時計の12時の方向に、もう一方のターゲットホルダー12が6時の方向に、そして基板ホルダー13が9時の方向になるように配置した対向ターゲット式DCマグネトロンスパッタ装置1を使用するのが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0012】
また、スパッタリングターゲットとしては酸化インジウムターゲット(TIn)及び酸化亜鉛ターゲット(TZn)を使用する。酸化インジウムターゲット(TIn)、酸化亜鉛ターゲット(TZn)としては、例えば、従来公知のディスク状のセラミックターゲット等が特に制限なく使用できる。更に、これらのターゲットには上述した酸化亜鉛や酸化インジウム以外の成分を混合することも勿論可能である。特に、酸化アルミニウム(Al)を1.0〜5.0wt%、好ましくは1.5〜4wt%含有させた酸化亜鉛ターゲット(TZn)をスパッタリングターゲットとして使用した場合、酸化アルミニウム(Al)を含有させていない場合に比べて比抵抗率が低く、幅広い組成の非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜が得られるので好ましい。
【0013】
また、本発明において使用する基板としては、特に制限はないが、本発明が透明導電膜の製造を目的としている関係上、透明基板を使用するのが好ましい。具体的には、透明ガラス、サファイア基板、或いはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の透明高分子材からなるフィルム、板状体が挙げられる。
【0014】
本発明においては、まず、非晶質のホモロガス化合物からなる薄膜を上述したターゲット、基板、スパッタ装置を使用して形成するするのであるが、その際の手順は以下の通りである。
一方のターゲットホルダー11又は12に酸化インジウムターゲット(TIn)を、もう一方のターゲットホルダー12又は11に酸化亜鉛ターゲット(TZn)を装着するとともに基板ホルダー13に基板を装着する。次いで、以下の条件でスパッタリングを行う。
【0015】
[スパッタリング時の真空度]
スパッタリング時の真空度は1×10−4〜5×10−2torr程度、好ましくは3×10−4〜5×10−3torrである。スパッタリング時の真空度が1×10−4torrに満たないとプラズマの安定性が悪くなるので好ましくない。
[スパッタガス]
スパッタガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを使用するのが好ましい。
[基板温度]
本発明においては基板温度を200℃以下、すなわち室温〜200℃にしてスパッタリングする必要がある。基板温度が200℃を越えると結晶化しやすくなって非晶質な薄膜が得られないので好ましくない。
[印可電流]
印可電流はスパッタ装置の仕様にもよるが概ね10〜150mAとすることが好ましい。
更に、本発明においてはδ=IIn/(IIn+IZn)で定義されるTInに印可した電流値(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との電流比δを0.40〜0.70の範囲で適宜選択してスパッタリングすることにより所望するインジウム元素の原子比を有し、かつZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜が形成されるのである。この電流比δが0.40未満では結晶化しやすくなって目的とする非晶質の薄膜が得られないので好ましくなく、逆に電流比δが0.70を越えると後述する熱処理の際に当該薄膜が結晶化しやすくなるので好ましくない。
【0016】
上述した方法によって、ZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなる薄膜を形成した後、本発明においては当該薄膜を窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は窒素中に水素を含有させた混合ガス等の還元雰囲気下、好ましくは還元雰囲気下で、250〜500℃、好ましくは300〜450℃の温度条件で加熱処理する必要がある。この加熱処理によって薄膜が非晶質の状態を保ったままで表面の凹凸の少ない(すなわち、平滑な)、低抵抗で、透明性に優れた透明導電膜が得られるのである。
【0017】
【作用】
本発明においては、スパッタリング時の電流比δ=IIn/(IIn+IZn)を適宜設定することによって所望する構造のZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなる薄膜が得られるのである。当該薄膜の構造を決定する正確な境界条件は、その他のスパッタリング条件によっても多少異なるが電流比δを0.60〜0.70に設定した場合はZnInの構造を有する非晶質のホモロガス化合物(すなわちk=1)、電流比δを0.47〜0.60に設定した場合はZnInの構造を有する非晶質のホモロガス化合物(すなわちk=2)、電流比δを0.37〜0.47に設定した場合はZnInの構造を有する非晶質のホモロガス化合物(すなわちk=3)、電流比δを0.30〜0.37に設定した場合はZnInの構造を有する非晶質のホモロガス化合物(すなわちk=4)からなる薄膜が形成される。
【0018】
更に、得られた薄膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することによってキャリアー濃度が増加し、ホールモビリティが減少する結果抵抗率はほとんど変化は生じないものの表面の平滑性が大きく向上する。
【0019】
【実施例】
本実施例においては図1に示す対向ターゲット式DCマグネトロンスパッタ装置1を使用し、ターゲットホルダー11には酸化インジウムのディスク状セラミックターゲット(TIn)を、ターゲットホルダー12には酸化亜鉛のディスク状セラミックターゲット(TZn)を配し、基板ホルダー13には基板としてガラス板(Corning#7059)を配してスパッタガス:Arガス、ガス圧:1mTorr、所定の基板温度にして、ターゲットに印可する印可電流を10〜80mAの範囲で適宜設定してスパッタリングを行った。また、スパッタリング時間は2時間とした。
また、加熱処理はスパッタリングの結果得られた薄膜を還元性雰囲気としての水素/窒素混合ガス(H/N=4/96)気流下で400℃、1時間処理することによって行った。
【0020】
得られる透明導電膜の性質は以下の方法で測定し、評価した。
<電気的特性>
四端子法、Van der Pauw 法にて透明導電膜の抵抗率(Ωcm)を測定した。
<光学的特性>
紫外可視分光光度計を用いて光線透過率を測定した。透明性の評価は波長550nmにおける光線透過率で行った。
<インジウムの原子比>
透明導電膜中のインジウム(In)の原子比([In]/([In]+[Zn]))は蛍光X線分析装置を使用して測定した結果から求めた。
【0021】
<構造解析>
得られた透明導電膜の構造は、当該透明導電膜のX線解析図形における2θ=32゜付近に現れるブロードな回折ピークのピーク位置(2θ)を求め、それと下記の方法で得られるCの値とを比較することによってZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表されるホモロガス化合物の構造、すなわちkの値を推定した。
【0022】
すなわち、本発明の方法で得られる透明導電膜が非晶質である場合にはX線解析図形の2θ=32゜付近にブロードな回折ピークが見られる。一般にZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表されるホモロガス化合物には、30゜2θ36゜においてkが偶数ならば、A:(0 0 2(k+2))とB:(1 0 k+2)の2本のピークが、kが奇数ならばA:(0 0 3(k+2))とB:(1 0 3/2(k+2)−1/2)、(0 1 3/2(k+2)+1/2)の3本のピークが現れる。ここでAは薄膜時に配向する回折ピーク、Bはバルク試料で強く現れるピークである。kが奇数の場合、Bに当たるピークが2本存在するので、その2本のピークの位置の平均値とAのピークの位置との平均値Cを求めた。kが偶数の場合はAとBの平均値をCとした。このCの値が非晶質のホモロガス化合物のX線回折図形における2θ=32゜付近のブロードな回折ピークに対応するものと考えられる。
【0023】
このようにして求めたCの値は、k=1の場合C:2θ=32.189゜、k=2の場合C:2θ=32.716゜、k=3の場合C:2θ=33.097゜、k=4の場合C:2θ=33.502゜、k=5の場合C:2θ=33.707゜である。
【0024】
製造例1〜7
表1に示すスパッタリング条件で基板上に薄膜を形成した。得られた薄膜についてX線回折図形から2θの値を読み取って構造を推定するとともに、光学的特性、電気的特性も測定した。結果を同じく表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004136531
【0026】
表1からも明らかなように、製造例1〜5の薄膜はいずれもZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなるものであった。一方、基板温度250℃でスパッタリングして得られた製造例6の薄膜や、電流比δを0.2としてスパッタリングして得られた製造例7の薄膜はいずれも結晶化していて非晶質の薄膜は得られなかった。
【0027】
実施例1及び比較例1
製造例2で得られた非晶質のホモロガス化合物からなる薄膜を水素/窒素混合ガス(H/N=4/96)気流下で400℃、1時間加熱処理して本発明の透明導電膜を得た。得られた透明導電膜はX線回折図形からZnInで表される非晶質のホモロガス化合物であり、その抵抗率は2.6×10−4Ωcm、光線透過率は78%であり、加熱処理前とほぼ同程度であった。また、得られた透明導電膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ表面の凹凸も2nm以下と表面が極めて平滑であり(図3bの右側図参照)、加熱処理を施していない製造例2で得られた非晶質のホモロガス化合物からなる比較例1にかかる薄膜(表面の凹凸は30nm以上(図3aの右側図参照))に比べて平滑性が大きく向上したことがわかる。図2に加熱処理前(図2A)及び加熱処理後(図2B)のX線回折図形を、図3に加熱処理前(a)及び加熱処理後(b)の走査顕微鏡(SEM)写真(左側図)及び原子間力顕微鏡(AFM)イメージ(右側図)を示す。
【0028】
比較例2
製造例1で得られた非晶質のホモロガス化合物からなる薄膜を水素/窒素混合ガス(H/N=4/96)気流下で400℃、1時間加熱処理したところ結晶化して非晶質な透明導電膜とはならなかった。図2に加熱処理前(図2C)及び加熱処理後(図2D)のX線回折図形を示す。
【0029】
【効果】
本発明によって、低抵抗で、優れた透明性を有しており、しかも表面が平滑なZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合物からなる透明導電膜を容易に製造することが可能となった。また、この非晶質のホモロガス化合物からなる透明導電膜は組成によっては従来公知のITO膜よりも導電性に優れているので液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス等の透明電極として極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスパッタ装置の一例を示す模式平面図である。
【図2】製造例1及び製造例2の薄膜の加熱処理前、加熱処理後のX線回折図形である。
【図3】(a)加熱処理していない比較例1にかかる透明導電膜表面の走査顕微鏡(SEM)写真(左側図)、原子間力顕微鏡(AFM)イメージ(右側図)、及び(b)本発明の加熱処理した実施例1にかかる透明導電膜表面の走査顕微鏡(SEM)写真(左側図)、原子間力顕微鏡(AFM)イメージ(右側図)である。
【符号の説明】
1 スパッタ装置
11、12 ターゲットホルダー
13 基板ホルダー

Claims (3)

  1. ZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする表面の凹凸が10nm以下である透明導電膜の製造方法。
  2. 酸化インジウムターゲット(TIn)と酸化亜鉛ターゲット(TZn)とを互いに対向するように配置して、基板温度が200℃以下、かつδ=IIn/(IIn+IZn)で定義されるTInに印可した電流値(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との電流比δが0.40〜0.70の条件下でスパッタリングしてZnInk+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜を形成し、次いで該薄膜を不活性ガス雰囲気下又は還元雰囲気下、250〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする表面の凹凸が10nm以下である透明導電膜の製造方法。
  3. 酸化亜鉛ターゲット(TZn)が酸化アルミニウム(Al)を1.0〜5.0wt%含有していることを特徴とする請求項記載の透明導電膜の製造方法。
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