JP2003346559A - 透明導電膜、及びその形成方法 - Google Patents

透明導電膜、及びその形成方法

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JP2003346559A
JP2003346559A JP2002150052A JP2002150052A JP2003346559A JP 2003346559 A JP2003346559 A JP 2003346559A JP 2002150052 A JP2002150052 A JP 2002150052A JP 2002150052 A JP2002150052 A JP 2002150052A JP 2003346559 A JP2003346559 A JP 2003346559A
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conductive film
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amorphous
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Ichiro Nakabayashi
一朗 中林
Toshihiro Moriga
俊広 森賀
Kikuo Tominaga
喜久雄 富永
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Okura Industrial Co Ltd
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Okura Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】目的とする組成の焼結ターゲットを用意しなく
ても所望するk値の非晶質のホモロガス化合物からなる
透明導電膜を形成すること、特に、従来得られないとさ
れていたk=1のホモロガス化合物からなる透明導電膜
や、結晶化しやすいk=4の非晶質のホモロガス化合物
からなる透明導電膜を容易に形成する方法を提供するこ
と。 【解決手段】ZnInk+3(kは1〜4の整
数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる透明
導電膜を酸化インジウムターゲット(TIn)と酸化亜
鉛ターゲット(TZn)とを互いに対向するように配置
して、基板温度が200℃以下、かつδ=IIn/(I
In+IZn)で定義されるTInに印可した電流値
(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との電
流比δが0.30〜0.80の条件下でスパッタリング
することにより基板上に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛−酸化イ
ンジウム系透明導電膜、特にZnInk+ (k
は1〜4の整数。)で表される非晶質のホモロガス化合
物からなる透明導電膜、及びその形成方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】液晶素子、調光ガラス、太陽電池等の透
明電極として、スズをドープした酸化インジウム(Indi
um Tin Oxide:ITO)薄膜を利用したものが幅広く使
用されているが、最近になって酸化亜鉛−酸化インジウ
ム系透明導電膜が注目されている。
【0003】この酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電
膜の導電性、光透過性、耐熱性等の特性は当該導電膜を
構成するインジウム元素の原子比[In/(In+Z
n)]に大きく依存することが知られている。そして、
例えば、特開平6−318406号公報には、インジウ
ム元素の原子比が0.55〜0.80である酸化亜鉛−
酸化インジウム系透明導電膜が、実用上十分な導電性お
よび光透過性を有し、かつ耐湿熱性及びエッチング特性
にも優れた性質を有していることが記載されている。そ
して、このような透明導電膜を形成するためのスパッタ
リングターゲットとして(1)インジウム元素の原子比
が0.45〜0.80である酸化インジウムと酸化亜鉛
との焼結体ターゲット、或いは(2)酸化物系ディスク
と、このディスク上に配置した1個以上の酸化物タブレ
ットからなるターゲットを使用することが記載されてい
る。
【0004】また、特開平9−92037号公報にはイ
ンジウム元素の原子比が0.8以上、0.9未満であ
り、比抵抗が2.0×10−4Ω・cm以下、表面の凹
凸が10nm以内という極めて低い抵抗値を有し、かつ
極めて優れた表面平滑性を有する非晶質の酸化亜鉛−酸
化インジウム系透明導電膜が記載されていて、このよう
な透明導電膜がインジウム元素の原子比が0.82以
上、0.92未満のターゲットを使用し、これを200
V未満という低電圧でスパッタリングすることにより得
られること、この際ターゲットとしてIn(Zn
O)(m=2〜20、好ましくはm=2〜8、特に好
ましくはm=2〜6)で表される六方晶層状化合物を含
む焼結体ターゲットを用いるのが好ましいことが記載さ
れている。
【0005】また、特許第2695605号公報には、
スパッタリングターゲットとしてインジウム元素の原子
比が0.2〜0.85であり、かつ化学式:In
(ZnO)(m=2〜20)で表される六方晶層状化
合物を含む焼結体ターゲットを用いた酸化亜鉛−酸化イ
ンジウム系透明導電膜が、ITO膜よりも耐湿性に優れ
るとともにITO膜と同等の導電性、光透過率を有する
ことが記載されており、特開平9−175837号公報
にはインジウム、亜鉛、酸素に加えて少なくとも1種の
ハロゲンを必須構成元素とすることによって低基板温度
下に成膜した場合にも優れた導電性、光透過性を示す透
明導電膜が得られることが、特開2000−67657
号公報には基板上に付着された亜鉛−インジウム酸化物
を含む膜を低酸素雰囲気中で約150〜350℃に加熱
することにより赤外線波長領域における透過率に優れた
透明導電膜が得られることが記載されている。
【0006】しかしながら、スパッタリングターゲット
として酸化インジウムと酸化亜鉛との焼結体ターゲット
を使用する方法では、所望するインジウム元素の原子比
の透明導電膜を形成したい場合、それに応じたインジウ
ム元素の原子比の焼結体ターゲットをあらかじめ用意し
ておく必要があるばかりか、たとえ、所望するインジウ
ム元素の原子比の焼結体ターゲットを使用したとして
も、スパッタリング条件によっては得られる透明導電膜
中のインジウム元素の原子比が、使用したターゲットの
原子比とは必ずしも一致しないという問題があった。
【0007】更に、特開平9−92037号公報におい
てターゲットとして好ましいとされ、特許第26956
05号公報に記載されている化学式:In(Zn
O) (m=2〜20)で表される六方晶層状化合物の
焼結体(本発明でいうホモロガス化合物に相当する。)
を焼結体ターゲットとして使用する方法ではインジウム
元素の原子比が0.09〜0.50の範囲内でしか選択
できないのでインジウム元素の原子比の大きい透明導電
膜を所望する場合は六方晶層状化合物と酸化インジウム
の混合物の焼結体を使用するしか方法がなかった。更
に、上述した化学式:In(ZnO)(m=2
〜20)で表される六方晶層状化合物の焼結体ターゲッ
トではm=1の六方晶層状化合物は得られない(特開平
9−175837号公報0032欄参照)という問題も
あった。
【0008】一方、スパッタリングターゲットとして酸
化物系ディスクと、このディスク上に配置した1個以上
の酸化物タブレットからなるターゲットを使用する方法
ではディスクの直径とタブレットの直径及び個数を調節
することにより、ターゲット中のインジウム元素の原子
比を所望する値にすることが可能とされている。しかし
ながら、例えば、特開平6−318406号公報の実施
例19においてターゲット面における酸化インジウムと
酸化亜鉛の面積比から求めたインジウム元素の原子比が
0.95であるにもかかわらず、得られる透明導電膜の
インジウム元素の原子比が0.72であることからも明
らかなように、酸化亜鉛−酸化インジウム系透明導電膜
中のインジウム元素の原子比を所望する値に制御するこ
とは極めて困難であった。
【0009】更に、従来、酸化亜鉛−酸化インジウム系
透明導電膜については、導電膜中のインジウム元素の原
子比や結晶性の有無についてはかなり検討されていたも
のの、当該導電膜の化学構造についてはほとんど検討さ
れていないばかりか、所望する化学構造の酸化亜鉛−酸
化インジウム系透明導電膜、すなわち、所望するkの値
を有するZnInk+3(kは1〜4の整数。)
で表されるホモロガス化合物、特に非晶質の透明導電膜
を形成する方法については全く検討されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上述した
問題点を解決して、所望するkの値を有するZnIn
k+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質の
ホモロガス化合物からなる酸化亜鉛−酸化インジウム系
透明導電膜、とりわけ文献未記載のk=1に相当するZ
nInで表される非晶質のホモロガス化合物から
なる透明導電膜を容易に形成する方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、酸化インジウムと酸化亜鉛とを別々にターゲッ
トとして使用し、各々のターゲットに印可する電流比を
調節して、200℃以下の基板温度にてスパッタリング
することにより当該基板上に所望する化学構造を有する
非晶質のホモロガス化合物からなる酸化亜鉛−酸化イン
ジウム系透明導電膜が形成しうることを見出し本発明に
到った。
【0012】すなわち、本発明は (1)ZnInk+3(kは1〜4の整数。)で
表される非晶質ホモロガス化合物からなる透明導電膜。 (2)ZnInで表される非晶質ホモロガス化合
物からなる透明導電膜。 (3)酸化インジウムターゲット(TIn)と酸化亜鉛
ターゲット(TZn)とを互いに対向するように配置し
て、基板温度が200℃以下、かつδ=IIn/(I
In+IZn)で定義されるTInに印可した電流値
(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との電
流比δが0.30〜0.80の条件下でスパッタリング
することにより基板上に所望するk値の、ZnIn
k+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモ
ロガス化合物からなる透明導電膜の形成方法。 (4)酸化アルミニウム(Al)を1.0〜5.
0wt%含有する酸化亜鉛ターゲット(TZn)を使用
することを特徴とする(3)記載の透明導電膜の形成方
法をその要旨とするものである。
【0013】
【実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を具体的に
説明する。まず、本発明の透明導電膜はZnIn
k+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホモロ
ガス化合物からなるものである。従来、ZnIn
+3(kは2以上の整数。)で表される結晶性のホモ
ロガス化合物については良く知られていたが、非晶性の
ホモロガス化合物についてはほとんど研究されておら
ず、特に、k=1の、すなわちZnInで表され
るホモロガス化合物は文献未記載のものである。このよ
うな透明導電膜は、非晶質であることからエッチング特
性に優れているという特性を有しているのみならず、透
明性、導電性に優れたものである。
【0014】このような透明導電膜は以下のようにして
形成される。まず、本発明においてはスパッタリングタ
ーゲットとして酸化インジウムターゲット(TIn)及
び酸化亜鉛ターゲット(TZn)を使用する。酸化イン
ジウムターゲット(TIn)、酸化亜鉛ターゲット(T
Zn)としては、例えば、ディスク状のセラミックター
ゲット等の従来公知のものが特に制限なく使用できる。
更に、これらのターゲットには上述した酸化亜鉛や酸化
インジウム以外の成分を混合することも勿論可能であ
る。特に、酸化アルミニウム(Al)を1.0〜
5.0wt%、好ましくは1.5〜4wt%含有させた
酸化亜鉛ターゲット(TZn)をスパッタリングターゲ
ットとして使用した場合、酸化アルミニウム(Al
)を含有させていない場合に比べて比抵抗率が低く、
幅広い組成の非晶質ホモロガス化合物が得られるので好
ましい。逆に、従来公知のスパッタリングターゲットで
ある酸化インジウム−酸化亜鉛混合物の焼結体ターゲッ
トは本発明においては採用しない。
【0015】また、本発明において使用する基板として
は、特に制限はないが、本発明が透明導電膜を形成され
ることを目的としている関係上透明基板を使用するのが
好ましい。具体的には、透明ガラス、サファイア基板、
或いはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の透明高
分子材からなるフィルム、板状体が挙げられる。
【0016】更に、本発明において使用するスパッタ装
置としては、上述した酸化インジウムターゲット(T
In)及び酸化亜鉛ターゲット(TZn)を対向して配
置できる2個のターゲットホルダーを有していて、しか
も各々のターゲットに印可する電流値が制御可能なもの
を使用する。このような条件を満たすスパッタ装置1と
しては、例えば、図1に示すように一方のターゲットホ
ルダー11が時計の12時の方向に、もう一方のターゲ
ットホルダー12が6時の方向に、そして基板ホルダー
13が9時の方向になるように配置した対向ターゲット
式DCマグネトロンスパッタ装置1を使用するのが好ま
しいが、これに制限されるものではない。
【0017】本発明においては上述したターゲット、基
板、スパッタ装置を使用して透明導電膜を形成するする
のであるが、その際の手順は以下の通りである。まず、
一方のターゲットホルダー11又は12に酸化インジウ
ムターゲット(TIn)を、もう一方のターゲットホル
ダー12又は11に酸化亜鉛ターゲット(TZn)を装
着するとともに基板ホルダー13に基板を装着する。次
いで、以下の条件でスパッタリングを行う。
【0018】[スパッタリング時の真空度]スパッタリ
ング時の真空度は1×10−4〜5×10−2torr
程度、好ましくは3×10−4〜5×10−3torr
である。スパッタリング時の真空度が1×10−4to
rrに満たないとプラズマの安定性が悪くなるので好ま
しくない。 [スパッタガス]スパッタガスとしては、アルゴンガス
等の不活性ガスを使用するのが好ましい。
【0019】[基板温度]本発明においては基板温度を
200℃以下、すなわち室温〜200℃にしてスパッタ
リングする必要がある。基板温度が200℃を越えると
得られる透明導電膜が結晶化しやすくなって、所望する
構造(所望するk値のZnInk+ (kは1〜
4の整数。)で表される構造)を有する非晶質のホモロ
ガス化合物からなる透明導電膜が得られにくくなるので
好ましくない。
【0020】[印可電流]印可電流はスパッタ装置の仕
様にもよるが概ね10〜150mAとすることが好まし
い。更に、本発明においてはδ=IIn/(IIn+I
Zn)で定義されるTInに印可した電流値(IIn
とTZnに印可した電流値(IZn)との電流比δを
0.30〜0.80の範囲内で所望する化学構造に応じ
て適宜設定してスパッタリングを行う必要がある。この
電流比δが0.30未満では結晶化しやすくなって目的
とする非晶質の透明導電膜が得られないので好ましくな
く、また電流比δが0.80を越えるとk=1場合のホ
モロガス化合物よりもインジウム元素の原子比が多く、
また得られる透明導電膜も結晶化しやすくなるので好ま
しくない。
【0021】
【作用】本発明においては上述した方法でスパッタリン
グを行ってZnInk+ (kは1〜4の整
数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜
を形成するのであるが、スパッタリング時の電流比δ=
In/(IIn+IZn)を適宜設定することによっ
て所望する構造の非晶質ホモロガス化合物からなる薄膜
が得ることに最大の特徴を有するものである。すなわ
ち、所望する構造の透明導電膜が形成される正確な境界
条件は、その他のスパッタリング条件によっても多少異
なるが電流比δを0.60〜0.80に設定した場合は
ZnInの構造を有する非晶質ホモロガス化合物
(すなわちk=1)、電流比δを0.47〜0.60に
設定した場合はZnInの構造を有する非晶質
ホモロガス化合物(すなわちk=2)、電流比δを0.
37〜0.47に設定した場合はZnInの構
造を有する非晶質ホモロガス化合物(すなわちk=
3)、電流比δを0.30〜0.37に設定した場合は
ZnInの構造を有する非晶質ホモロガス化合
物(すなわちk=4)からなる薄膜が形成されるのであ
る。しかもk=1であるZnInの構造を有する
非晶質ホモロガス化合物は従来得られないとされていた
(特開平9−175837号公報明細書0032欄等)
ものである。
【0022】
【実施例】本実施例においては図1に示す対向ターゲッ
ト式DCマグネトロンスパッタ装置1を使用し、ターゲ
ットホルダー11には酸化インジウムのディスク状セラ
ミックターゲット(TIn)を、ターゲットホルダー1
2には酸化亜鉛のディスク状セラミックターゲット(T
Zn)を配し、基板ホルダー13には基板としてガラス
板(Corning#7059)を配してスパッタガス:Arガス、
ガス圧:1mTorr、所定の基板温度にして、ターゲ
ットに印可する印可電流を10〜80mAの範囲で適宜
設定してスパッタリングを行った。また、スパッタリン
グ時間は2時間とした。
【0023】得られる透明導電膜の性質は以下の方法で
測定し、評価した。 <電気的特性>四端子法、Van der Pauw 法にて透明導
電膜の抵抗率(Ωcm)を測定した。 <光学的特性>紫外可視分光光度計を用いて光線透過率
を測定した。透明性の評価は波長550nmにおける光
線透過率で行った。 <インジウムの原子比>透明導電膜中のインジウム(I
n)の原子比([In]/([In]+[Zn]))は
蛍光X線分析装置を使用して測定した結果から求めた。
【0024】<構造解析>得られた透明導電膜の構造
は、当該透明導電膜のX線解析図形における2θ=32
゜付近に現れるブロードな回折ピークのピーク位置(2
θ)を求め、それと下記の方法で得られるCの値とを比
較することによってZnInk+3(kは1〜4
の整数。)で表されるホモロガス化合物の構造、すなわ
ちkの値を推定した。
【0025】すなわち、本発明の方法で得られる透明導
電膜が非晶質である場合にはX線解析図形の2θ=32
゜付近にブロードな回折ピークが見られる。一般にZn
Ink+3(kは1〜4の整数。)で表されるホ
モロガス化合物には、30゜2θ36゜においてk
が偶数ならば、A:(0 0 2(k+2))とB:
(1 0 k+2)の2本のピークが、kが奇数ならば
A:(0 0 3(k+2))とB:(1 0 3/2
(k+2)−1/2)、(0 1 3/2(k+2)+
1/2)の3本のピークが現れる。ここでAは薄膜時に
配向する回折ピーク、Bはバルク試料で強く現れるピー
クである。kが奇数の場合、Bに当たるピークが2本存
在するので、その2本のピークの位置の平均値とAのピ
ークの位置との平均値Cを求めた。kが偶数の場合はA
とBの平均値をCとした。このCの値が非晶質のホモロ
ガス化合物のX線回折図形における2θ=32゜付近の
ブロードな回折ピークに対応するものと考えられる。
【0026】このようにして求めたCの値は、k=1の
場合C:2θ=32.189゜、k=2の場合C:2θ
=32.716゜、k=3の場合C:2θ=33.09
7゜、k=4の場合C:2θ=33.502゜、k=5
の場合C:2θ=33.707゜である。
【0027】実施例1〜4、比較例1、2 表1に示すスパッタリング条件で基板上に透明導電膜を
形成した。得られた透明導電膜についてX線回折図形
(図2)から構造を推定するとともに、光学的特性、電
気的特性も測定した。結果を同じく表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】比較例3 ターゲットホルダー11、12の双方にITO(酸化ス
ズの含有量10%)のディスク状のセラミックターゲッ
トを配し、ターゲットに印可する電流値を各々80mA
にした以外は実施例1と同様にして基板上にITO薄膜
を形成した。得られた薄膜の抵抗率は2.8×10−4
Ωcm、透過率は74%であった。
【0030】表1、及び図2からも明らかなように、電
流比δを0.30〜0.80の範囲内とした本発明に係
る透明導電膜はいずれも非晶質のホモロガス化合物(実
施例1〜4)であり、光線透過率は全て80%以上と極
めて透明性に優れたものであった。また、スパッタリン
グ条件としての電流比δと得られる透明導電膜中のIn
の原子比とはほぼ一致し、しかもInの原子比に対応し
たk値を有するホモロガス化合物からなる透明導電膜が
形成された。特に、電流比δが0.80、0.67とし
た場合には従来得られないとされていたk=1のホモロ
ガス化合物(実施例1、2)からなる透明導電膜が形成
された。これに対して電流比δを0.89とした場合は
主に結晶性の酸化インジウム相からなる透明導電膜(比
較例1)が、0.20とした場合は主に結晶性の酸化亜
鉛相からなる透明導電膜(比較例2)が形成され、非晶
質のホモロガス化合物からなる透明導電膜は形成されな
かった。また、実施例1に係る電流比δを0.80にし
て形成された透明導電膜の抵抗率は2.3×10−4Ω
cmと、比較例3に係るITOの透明導電膜よりも優れ
た導電性を示した。
【0031】実施例5〜9、比較例4 酸化アルミニウム(Al)を0、1.0wt%、2.0wt
%、3.0wt%含有させた酸化亜鉛ターゲット(TZn)を
使用した以外は実施例1と同様にして表2に示すスパッ
タリング条件で基板上に透明導電膜を形成した。得られ
た透明導電膜についてX線回折図形から構造を推定する
とともに、光学的特性、電気的特性も測定した。結果を
同じく表2に示す。また、比較のために酸化アルミニウ
ム(Al)を1.0wt%含有させた酸化亜鉛ターゲッ
ト(TZn)を使用し、電流比δを本発明の範囲内であ
る0.80として基板温度250℃の条件でスパッタリ
ングを行って透明導電膜を形成した。この透明導電膜の
X線回折図形から構造を推定したところ結晶性の酸化イ
ンジウムからなる透明導電膜であった。光学的特性、電
気的特性を測定した結果を同じく表2に示す。
【0032】比較例5 比較のために基板温度を250℃にした以外は実施例3
と同じスパッタリング条件で基板上に透明導電膜を形成
した。得られた透明導電膜についてX線回折図形から構
造を推定したところ結晶性の酸化インジウムとk=2の
ホモロガス化合物の混合物からなる透明導電膜であっ
た。光学的特性、電気的特性を測定した結果を同じく表
2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2からも明らかなように、酸化アルミニ
ウム(Al)を2.0wt%、3.0wt%含有させた酸化亜
鉛ターゲット(TZn)を使用した実施例7、8の透明
導電膜の抵抗率が、酸化アルミニウム(Al)を
含有させていない実施例9の透明導電膜、酸化アルミニ
ウム(Al)を1.0wt%含有させた実施例5の透明
導電膜に比べて優れた導電性を示した。また、k=1、
2、3の場合に比べてk=4の場合には低温で結晶性ホ
モロガス化合物となりやすいとされているにもかかわら
ず、酸化アルミニウム(Al)を1.0wt%含有させ
た酸化亜鉛ターゲット(TZn)を使用し、電流比δを
0.33とした場合、k=4の非晶質のホモロガス化合
物からなる透明導電膜(実施例6)を形成することがで
きた。
【0035】
【効果】本発明の方法によって、特に、目的とする組成
の焼結ターゲットを用意しなくても電流比δを適宜選択
することによって所望するk値の非晶質のホモロガス化
合物からなる透明導電膜を形成することができるように
なった。特に、従来得られないとされていたk=1のホ
モロガス化合物からなる透明導電膜や、結晶化しやすい
k=4の非晶質のホモロガス化合物からなる透明導電膜
も容易に形成することが可能となった。また、Zn
k+3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質
のホモロガス化合物からなる透明導電膜は組成によって
は従来公知のITO膜よりも導電性に優れているばかり
か、非晶質となっているのでエッチング性にも優れてお
り、液晶素子、調光ガラス、太陽電池等の透明電極とし
て極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスパッタ装置の一例を示す模
式平面図である。
【図2】実施例1〜4、比較例1、2の各条件で形成さ
れた透明導電膜のX線回折図形である。
【符号の説明】
1 スパッタ装置 11、12 ターゲットホルダー 13 基板ホルダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中林 一朗 徳島県徳島市新蔵町2−29 (72)発明者 森賀 俊広 徳島県徳島市住吉4丁目5−70 アルファ ステイツ住吉602号 (72)発明者 富永 喜久雄 徳島県徳島市助任橋2丁目34−4 Fターム(参考) 2H092 HA03 HA04 MA05 MA35 MA37 NA25 NA28 PA07 4K029 BA45 BA50 BB10 BC09 CA05 DC05 DC16 DC32 DC34 EA08 EA09 5G307 FB01 FC03 FC09 FC10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZnInk+3(kは1〜4の整
    数。)で表される非晶質ホモロガス化合物からなる透明
    導電膜。
  2. 【請求項2】ZnInで表される非晶質ホモロガ
    ス化合物からなる透明導電膜。
  3. 【請求項3】酸化インジウムターゲット(TIn)と酸
    化亜鉛ターゲット(TZn)とを互いに対向するように
    配置して、基板温度が200℃以下、かつδ=IIn
    (IIn+IZn)で定義されるTInに印可した電流
    値(IIn)とTZnに印可した電流値(IZn)との
    電流比δが0.30〜0.80の条件下でスパッタリン
    グすることにより基板上に所望するk値の、ZnIn
    +3(kは1〜4の整数。)で表される非晶質ホ
    モロガス化合物からなる透明導電膜の形成方法。
  4. 【請求項4】酸化アルミニウム(Al)を1.0
    〜5.0wt%含有する酸化亜鉛ターゲット(TZn
    を使用することを特徴とする請求項3記載の透明導電膜
    の形成方法。
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