JP5414047B2 - Sb添加SnO2耐熱性透明電極薄膜、それを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

Sb添加SnO2耐熱性透明電極薄膜、それを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、ディスプレイ等に用いるSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜、それを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
透明導電性酸化物は現在、液晶表示やプラズマ表示、EL素子などの表示素子、太陽電池、タッチパネル等の透明電極になくてはならないものとなっている。体表的な透明導電性酸化物はITOでこれは酸化インジウムにスズを添加したものである。酸化インジウムはOの2p軌道とInの5s軌道がそれぞれ価電子帯と伝導帯を構成しており、そのバンドギャップは3.75eVのワイドギャップ半導体であり、可視光領域ではバンド間遷移が起こらないため透明である。また、酸化インジウムは結晶構造が崩れないわずかな還元で化学量論組成からずれることにより酸素欠損を生じる。この酸素空孔が二個の電子を放出するドナー準位を形成し、室温で1018〜1019cm−3程度のキャリア濃度を持つ。ITOはさらにIn3+をSn4+で置換することによりSn4+が電子を放出することでキャリア濃度が増大し、電気伝導性が向上している。しかし、ITOは需要の拡大から資源の枯渇が問題となっておりITOに代わる新たな透明導電膜の開発が重要となっている。
物質の透明性(光の透過)を阻害するのは吸収と反射であり、透明性を向上するためには吸収と反射を減少させる必要がある。透明導電性酸化物の吸収の主要な機構は基礎吸収と不純物や欠陥による吸収である。基礎吸収は物質固有のものであり半導体あるいは絶縁体で電子が価電子帯から伝導帯に励起するために生じる。不純物や欠陥による吸収に対して、着色性の遷移金属イオンの導入や酸素欠陥による色中心の生成を避ける必要がある。
透明導電膜は可視光領域での高い透過性と高い電気伝導率の2つの性質を併せ持つことから透明電極として光エレクトロニクスデバイス分野に広く応用されている(例えば、特許文献1〜11、非特許文献1〜17参照)。しかし、透明電極ではアニール温度を上げていくとキャリアを生成している酸素空孔が消滅することによる電気伝導率の低下が見られる。そのため、これまでは500℃程度から電気伝導率の低下が見られるため、それより高温でアニールを行ったという報告は多くはなかった。
高温アニールが必要なデバイスとして無機ELデバイスなどがある。ELとは蛍光体に電界を印加したときに得られる発光である。無機ELには分散型と薄膜型がある。分散型ELは誘電体バインダ中に無機蛍光体粉末を分散させ、これに電界を印加して発光を得るものである。薄膜型ELは分散型EL素子が印刷法などで蛍光体膜を作成するのに対し、蛍光体層ばかりでなく誘電体層・電極も薄膜プロセスによって基板上に積層させ形成する。分散型EL素子では、素子を薄くして蛍光体にかける電界を高めようとしても、蛍光体粒子の平均粒径が大きく限界がある。その上、薄くて均一な膜を形成することが難しいが薄膜型では基板を除いて厚さが数μm程度なので高電界を印加できる。薄膜型無機EL素子の構造には片側絶縁構造、二重絶縁構造などがある。蛍光体層に薄膜を用いることで、発光強度は格段に向上したものの、短寿命でさらに輝度を上昇させる必要がある。
特開平9−17575号公報 特開2006−202741号公報 特開2006−32100号公報 特開2008−21600号公報 特開2005−268724号公報 特開2005−19205号公報 特開2003−151357号公報 特開2002−270051号公報 特開平8−241626号公報 国際公開WO2005/076292公報 特開2003−132739号公報
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二重絶縁型構造ELデバイスの構造は、ガラス基板上に順次、透明電極、絶縁層、発光層、絶縁層、背面電極を積層する構造で、現在までの薄膜型EL素子における不変の基本構造である。二重絶縁型構造ELデバイスでは発光層から強い発光を得るためには900℃以上の温度でアニールし薄膜を結晶化させ耐電圧を向上する必要があり、その際に無機ELデバイスの構造上透明電極層もアニールされてしまう。このアニールによって、透明電極の電気伝導性が低下し使用に耐えないことが問題である。
本発明は、上記問題点に鑑み、900℃以上の高温アニール後でも高い電気伝導率と可視光領域で高い透過率を持つSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜、それを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明のSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜は、SnOに0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃でアニール処理して構成する。
アニール処理は、下部透明電極のため、および無機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性向上のために行う。アニール時間は発光層の耐電圧を向上させて発光を可能とするのに必要な時間とする、例えば、後記するように1時間程度の例がある。
本発明の無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、下部透明電極としての透明電極薄膜、絶縁層、発光層、絶縁層および上部透明電極としての透明電極薄膜をこの順に積層した無機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記下部透明電極を0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃でアニール処理したSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜とする。
素子の発光光量を増加するために、絶縁層とその上に順に積層した発光層の組を任意数この順に積層し、最後に絶縁層を設けて、多段積みの構成とすることができる。
下部透明電極は、合成石英や耐熱性基板等の固体基板上に設ける。
本発明で行ったITOの透明電極としてのアニール前後の電気的特性比較を下記表1に例示する。
σは電気伝導度、nはキャリア濃度、μは移動度である。
透明導電膜として知られているITO薄膜は、成長直後の典型的特性として可視光領域の透過率80%以上、電気伝導率40Scm−1を有している。
しかし、この例の場合1000℃での高温アニールによって、その電気的特性は著しく低下し、透過率は5%以上の低下、電気伝導率は1.0Scm−1以下を示し1/40となる。この結果はAr中成膜、Ar+O(50%)中成膜等の成長条件に依存せず、低下が顕著であることが分かる。この結果、ITOは透明電極として使用できない。
本発明の耐熱性透明電極は、Sb添加SnOを成膜し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃でアニールを行う。
この結果、本発明の耐熱性透明電極は、高温アニール後でも、可視光領域で高い透過率を有し、高い電気伝導率を有することがわかった。
本発明によれば、基板(下部電極)上に、少なくとも、下部絶縁層/発光層/上部絶縁層の3つの層による多層構造を有する無機EL素子を設け、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃で、大気中熱処理を行い透明電極を形成し、この無機EL素子に交流電圧を印加すると発光が得られる。この熱処理によって発光層の耐電圧を向上させ発光を可能にすることができる。
本発明によれば、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃の高温でのアニールに耐えうる透明電極を形成できることから、1000℃以上の耐熱性を有する石英基板やSrTiO、BaTiO、CaTiO、Al、LaAlO等の結晶基板等の固体基板上に形成された、900℃以上で熱処理が必要な無機ELデバイス等の発光を取り出す透明電極として使用することができる。
本発明の耐熱性透明電極は、高温アニール後でも、可視光領域で高い透過率を有し、高い電気伝導率を有する。
(a)堆積後のSb添加SnO薄膜のX線回折パターン特性と(b)1000℃、1h、空気雰囲気でアニールした後の薄膜のX線回折パターン特性を示す。 ガスを変化させて成膜したSb添加SnO薄膜の透過スペクトルのアニールによる変化特性を示す。 Sb添加SnO薄膜のAr、Ar+O(50%)条件での堆積後とアニール後のSEM画像を示す。 本発明の無機ELの実施例1の断面図である。
無機EL素子の一般的作製方法について述べる。
基板(下部電極)上に下部絶縁層を成膜する。その後、無機材料からなる発光層を成膜し、その後、上部絶縁層を成膜する。これによって、基板(下部電極)上に下部絶縁層/発光層/上部絶縁層の3つの層による多層構造ができる。ここで熱処理を行わず、透明電極(上部電極)を形成し交流電圧を印加すると、発光開始以前に絶縁破壊が生じ発光特性は得られない。
一方、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは約1050℃で、大気中熱処理を行い透明電極を形成し交流電圧を印加すると発光が得られる。これは熱処理によって発光層の耐電圧を向上させ発光が可能になることを示す。
前述の通り、無機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には一般的に900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃での大気中熱処理を行い、発光層の耐電圧を向上させて発光を可能とするプロセスが必要であり、下部電極は耐熱性を有した透明電極であることが好適である。
本発明のSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜は、SnOに0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃以上でアニール処理して構成する。
本発明の無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、下部透明電極としての透明電極薄膜、絶縁層、発光層、絶縁層および上部透明電極としての透明電極薄膜をこの順に積層した無機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記下部透明電極を0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃以上でアニール処理したSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜とする。
前記絶縁層、発光層および絶縁層をこの順に積層した積層体を、2組以上積層する。
本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
図4は本発明の無機EL素子の実施例1の断面図である。
図4に示すように、無機EL素子1は、合成石英や耐熱性基板等からなる固体基板2上に、本発明の特徴を示す下部透明電極3を設け、その下部透明電極3上に、絶縁層4-1、発光層5-1、絶縁層4-2、発光層5-2、絶縁層4-3、・・・、絶縁層4-n、上部透明電極7を順に積層して構成する。
発光光量を確保するために、「絶縁層4-1、発光層5-1、絶縁層4-2」からなる1番目のEL素子構造、「絶縁層4-2、発光層5-2、絶縁層4-3」からなる2番目のEL素子構造、・・・「絶縁層4-(n-1)、発光層5-(n-1)、絶縁層4-n」からなるn-1番目のEL素子構造を備える。この構造は、換言すると、発光層を任意数設け、絶縁層を前記発光層を挟むように設けた構造といえる。
最小の素子構造は、基板2、下部透明電極3、絶縁層4、発光層5、絶縁層4、上部透明電極7の積層構造となる。即ち、EL素子が「絶縁層4、発光層5、絶縁層4」の1つだけの構造になる。
この無機EL素子1の製造方法について述べる。
基板2上の下部透明電極3上に下部絶縁層4を成膜する。その後、下部絶縁層4上に無機材料からなる発光層5を成膜し、その後、発光層5上に上部絶縁層6を成膜する。これによって、基板2上の下部透明電極3上に下部絶縁層4/発光層5/上部絶縁層6の3つの層による多層構造ができる。
ここで熱処理を行わず、上部透明電極7を形成し交流電圧を印加すると、発光開始以前に絶縁破壊が生じ発光特性は得られない。
一方、本発明のように、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは約1050℃で、大気中熱処理を行い透明電極を形成し交流電圧を印加すると発光が得られる。これは熱処理によって発光層の耐電圧を向上させ発光が可能になることを示す。
前述の通り、無機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には一般的に900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃での大気中熱処理を行い、発光層の耐電圧を向上させて発光を可能とするプロセスが必要であり、下部電極は耐熱性を有した透明電極であることが好適である。
この製造方法において、上記のように各層を積層して無機EL素子を形成した段階で、この無機EL素子を一般的に900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度、好ましくは1050℃でアニール処理する工程が重要である。
アニール処理は、下部透明電極のため、および無機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性向上のために行うもので、この下部透明電極は0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加し、例えば1000℃以上でアニール処理してSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜とする。アニール時間は上記向上に必要な時間とする、例えば、後記するように1時間程度の例がある。
図1はSb添加SO薄膜の堆積後とアニール後のX線回折パターン特性を示す。図1の縦軸は回折強度、横軸は角度(2θ(deg:度))を表す。
Sb添加SnO薄膜は、Sn0.97Sb0.03ターゲットを用い、スパッタリングガスAr又はAr+O(50%)で,成膜時間2h(時間),圧力5Pa(パスカル)、基板温度室温で石英ガラス基板上に堆積した(図1では、「成膜後」と表示する)。その後、成膜した堆積後のSb添加SO薄膜をこの例の場合は1000℃、1h(時間)、空気雰囲気でアニールした(図1では、「アニール後」と表示する)。
図1では、成膜した堆積後のSb添加SO薄膜のX線回折パターンと1000℃、1h(時間)、空気雰囲気でアニールした後の薄膜のX線回折パターンを、スパッタリングガス別に、即ち、スパッタリングガスArの場合を図1(a)に、スパッタリングガス「Ar+O(50%)」の場合を図1(b)に示す。
スパッタリングガスArで成膜された薄膜は堆積後アモルファスであったが1000℃アニール後はピークが見られ結晶化していることが分かる。
また、スパッタリングガス「Ar+O(50%)」条件で作成された薄膜は堆積後からピークが見られ結晶化していることが分かる。
また、1000℃アニール後ではピーク強度が増大した。これは、アニールすることで結晶性が向上したためである。
図1(a)のアニール後の主なX線回折ピークは以下の表2の角度で出現している。
図1(b)のアニール後の主なX線回折ピークは以下の表3の角度で出現している。
次に、スパッタリングガスを変化させて成膜したSb添加SnO薄膜の透過スペクトルを図2に示す。図2の縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)を表す。
Ar条件で作製した堆積後の薄膜では可視光領域での透過率が低く薄膜の色は茶色であった。これは還元雰囲気で薄膜を作製したためにSnOでなくSnOができてしまったためと考えられる。その他の薄膜では可視光領域で透過率80%以上の透明の薄膜を得られた。また、アニール後の薄膜ではAr、Ar+O(50%)条件の両方の薄膜で赤外領域に吸収が見られた。これはSb添加SnO薄膜のキャリアによる吸収による影響と考えられる。
次にスパッタリングガスを変化させて成膜したSb添加SnO薄膜のホール測定を行った。Sb添加SnO薄膜ではAr条件のアニール後と、Ar+O(50%)条件の堆積後とアニール後の薄膜が電気を流したためにそれぞれの薄膜で電気測定を行った。
また、これより、ホール係数を求め、これからキャリア濃度を求めた。さらに先に求めた、電気伝導率とこのキャリア濃度の値から、移動度を求めた。Sb添加SnO薄膜の電気測定の結果を下記表4に示す。
σは電気伝導度、nはキャリア濃度、μは移動度である。
図2の特性のサンプリングデータを下記表5に示す。
次にSb添加SnO薄膜のAr、Ar+O(50%)条件での堆積後とアニール後のSEM画像を図3に示す。
図3(a)はAr条件での堆積後、図3(b)はAr条件でのアニール後、図3(c)はAr+O(50%)条件での堆積後、図3(d)はAr+O(50%)条件でのアニール後のSEM画像を示す。
堆積後の薄膜ではAr条件でもAr+O(50%)条件でも亀裂などがみられず均一な薄膜が得られたが、Ar条件で作製したアニール後の薄膜では大きな亀裂が見られた。この亀裂によって薄膜が連続でなくなったために薄膜の本来の電気伝導率が測定されず透過スペクトルで赤外領域にキャリアによる吸収が見られたにもかかわらず低い電気伝導率を示したものだと考えられる。
Ar+O(50%)条件で作製した薄膜では亀裂が小さかったために高い電気伝導率を示したと考えられる。また、亀裂が生じたのは内部応力のためと考えられる。
本発明ではスパッタリングガスAr+O(50%)条件で作製したSb添加SnOと薄膜で1000℃アニール後でも可視光領域で80%以上の高い透過率を持ち、電気伝導率155Scm−1、81.3Scm−1と高い電気伝導率を持つ透明導電膜を得ることができた。スパッタリングガスAr条件で作製した1000℃アニール後の薄膜では全て低い電気伝導率を示した。これは、この条件で作製したアニール後の薄膜は大きな亀裂が観察される。これによって、薄膜が連続でなくなったために薄膜本来の電気伝導率が測定されていないためにこのような低い電気伝導率を示したと考えられる。
また、このような大きな亀裂を生じたのは、スパッタリングガスArは還元雰囲気であるために堆積後の薄膜には多くの酸素欠損が存在しており、アニールすることで酸素欠損が減少しさらに薄膜が結晶化されることで薄膜の体積が大きく変化したために生じたと考えられる。
また、スパッタリングガスAr+O(50%)で作製したS添加SnO薄膜では1000℃アニール後の薄膜でスパッタリングガスAr条件と比べ亀裂は少なく小さかった。これによって、スパッタリングガスAr+O(50%)で作製したSb添加SnO薄膜は高い電気伝導率を示したと考えられる。スパッタリングガスAr+O(50%)条件で作製した1000℃アニール後の薄膜ではSb添加SnO薄膜で可視光領域で透過率80%以上の高い透過率を持ち、電気伝導率155Scm−1、81.3Scm−1と高い電気伝導率を持つ透明導電膜が得られた。これらの結果はスパッタ法によって得られたものであるが、パルスレーザー堆積法、ゾルゲル法等の薄膜でも同様の結果が得られるものと思われる。
1 無機EL素子
2 固体基板
3 下部透明電極
4、6 絶縁層
5 発光層
7 上部透明電極
8 積層体

Claims (4)

  1. Snに0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加したスパッタ膜を、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度でアニール処理して構成した、可視光領域で80%以上の透過率を有する透明電極であることを特徴とするSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜。
  2. 0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加したSnO を、スパッタにより成膜し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度でアニール処理して、可視光領域で80%以上の透過率を有する透明電極を得ることを特徴とするSb添加SnO 耐熱性透明電極薄膜の製造方法
  3. 0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加したSnO を、O を含むArガス中でスパッタにより成膜し、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度でアニール処理して、可視光領域で80%以上の透過率を有する透明電極を得ることを特徴とするSb添加SnO 耐熱性透明電極薄膜の製造方法
  4. 下部透明電極としての透明電極薄膜、絶縁層、発光層、絶縁層および上部透明電極としての透明電極薄膜をこの順に積層した無機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記下部透明電極は、SnO 0.1mol%以上で10mol%以下の範囲内の任意の値でSbを添加したスパッタ膜を、900℃以上で1200℃以下の範囲内の任意の温度でアニール処理した、可視光領域で80%以上の透過率を有するSb添加SnO耐熱性透明電極薄膜であることを特徴とする無機エレクトロルミネッセンス素子。
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