JP3380030B2 - 共重合体樹脂の製造方法 - Google Patents

共重合体樹脂の製造方法

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JP3380030B2
JP3380030B2 JP03145594A JP3145594A JP3380030B2 JP 3380030 B2 JP3380030 B2 JP 3380030B2 JP 03145594 A JP03145594 A JP 03145594A JP 3145594 A JP3145594 A JP 3145594A JP 3380030 B2 JP3380030 B2 JP 3380030B2
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和弘 有田
英樹 寺田
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三國製薬工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な共重合体樹脂の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビス(2−オキサゾリン)化合物と脂肪
族ジカルボン酸とをほぼ等モル比にて加熱下に反応させ
ることによつて、線状ポリエステルアミド樹脂が得られ
ることは、米国特許第 3,476,712号明細書に記載されて
いるように、既に知られている。
【0003】また、脂肪族ジカルボン酸に対して約1倍
モル以上のビス(2−オキサゾリン)化合物を、有機亜
リン酸エステルのような触媒の存在下に加熱下に反応さ
せることによつて、架橋樹脂を得ることができること
が、米国特許第 4,474,942号明細書に記載されている。
ビス(2−オキサゾリン)化合物に芳香族ジアミンを反
応させることによつて、架橋樹脂を得ることができるこ
とが、例えば、特開昭63−241029号公報に記載
されている。また、ビス(2−オキサゾリン)化合物と
芳香族ポリアミンとポリエポキシ化合物とを触媒の存在
下に反応させることによつて、架橋樹脂を得ることがで
きることも、例えば、特開昭64−26628号公報に
記載されているように、既に知られている。更に、ビス
(2−オキサゾリン)化合物とビス(4−メルカプトフ
エニル)エーテルや1,4−ビス(メルカプトメチル)ベ
ンゼンのようなジチオール化合物を反応させることによ
つて、チオエーテルアミド重合体が得られることも、J.
Polym. Sci., PolymerLetters Edition, Vol. 18, 761
-764 (1980)に記載されている。
【0004】他方、高分子討論会第36回(1987
年)予稿集第3535〜3537頁に記載されているよ
うに、ビス(2−オキサゾリン)化合物は、エポキシ化
合物とも反応して、架橋樹脂を与えることが知られてい
る。しかし、この反応は、高温長時間を必要とし、実用
性に乏しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ビス
(2−オキサゾリン)化合物を原料の一つとする樹脂の
製造について、更に、研究を進めた結果、ビス(2−オ
キサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸とを
反応させることによつて、耐熱性にすぐれる新規な共重
合体樹脂を得ることができることを見出し、更に、ビス
(2−オキサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボ
ン酸とを反応させる際に、分子内にアミノ基を少なくと
も2つ有する芳香族ポリアミノ化合物、分子内にチオー
ル基を少なくとも2つ有するポリチオール化合物、分子
内にエポキシ基を少なくとも2つ有するポリエポキシ化
合物及び分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有す
る多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物の存在
下に反応させることによつて、高硬度と高強度を有し、
靱性にすぐれ、更に、低吸水性で耐熱性にすぐれる新規
な共重合体樹脂を得ることができることを見出して、本
発明に至つたものである。
【0006】即ち、本発明は、ビス(2−オキサゾリ
ン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸とを反応させ
ることによつて、耐熱性にすぐれる新規な共重合体樹脂
を製造する方法を提供することを目的とし、また、本発
明は、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳香族メルカ
プトカルボン酸とを、芳香族ポリアミノ化合物、ポリチ
オール化合物、ポリエポキシ化合物及び多塩基酸から選
ばれる少なくとも1種の化合物の存在下に、反応させる
ことによつて、高硬度と高強度を有し、靱性にすぐれ、
更に、低吸水性で耐熱性にすぐれる新規な共重合体樹脂
を製造する方法を提供することを目的とし、更に、ビス
(2−オキサゾリン)化合物とモノメルカプト安息香酸
とを、必要に応じて、ジチオール化合物、ジエポキシ化
合物及びジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化
合物の存在下に、反応させることによつて、極性溶媒に
可溶性であつて、高硬度と高強度を有し、耐熱性にすぐ
れる新規な線状共重合体樹脂を製造する方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による共重合体樹
脂の製造方法は、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳
香族メルカプトカルボン酸とを反応させることを特徴と
する。更に、本発明の方法においては、上記ビス(2−
オキサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と
を、(a) 分子内にアミノ基を少なくとも2つ有する芳香
族ポリアミノ化合物、(b) 分子内にチオール基を少なく
とも2つ有するポリチオール化合物、(c) 分子内にエポ
キシ基を少なくとも2つ有するポリエポキシ化合物、及
び(d) 分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有する
多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と共に反
応させて、共重合体樹脂を得ることができる。
【0008】本発明において用いるビス(2−オキサゾ
リン)化合物は、
【0009】
【化1】
【0010】(但し、Rは炭素間結合又は2価の炭化水
素基を示し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ水素、アルキ
ル基又はアリール基を示す。)で表わされ、Rが炭化水
素基のとき、具体例としてアルキレン基、シクロアルキ
レン基又はアリーレン基等を挙げることができる。
【0011】かかるビス(2−オキサゾリン)化合物の
具体例として、Rが炭素間結合のとき、例えば、2,2'−
ビス(2−オキサゾリン)、2,2'−ビス(4−メチル−
2−オキサゾリン)、2,2'−ビス(5−メチル−2−オ
キサゾリン)、2,2'−ビス(5,5'−ジメチル−2−オキ
サゾリン)、2,2'−ビス(4,4,4',4'−テトラメチル−2
−オキサゾリン)等を挙げることができる。
【0012】また、Rが2価の炭化水素基のうち、アル
キレン基であるとき、例えば、1,2−ビス(2−オキサ
ゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾ
リン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリ
ン−2−イル)ヘキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリ
ン−2−イル)オクタン等を挙げることができ、シクロ
アルキレン基であるときは、例えば、1,4−ビス(2−
オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン等を挙げるこ
とができ、また、アリーレン基であるときは、例えば、
1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、
1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、
1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、
1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イ
ル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾ
リン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−
2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス
(4,4'−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベン
ゼン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2
種以上の混合物として用いられる。本発明においては、
これらのなかでは、特に、1,3−ビス(2−オキサゾリ
ン−2−イル)ベンゼンが好ましく用いられる。
【0013】本発明においては、前記芳香族メルカプト
カルボン酸としては、モノメルカプト置換安息香酸が好
ましく用いられ、特に、チオサリチル酸が好ましく用い
られる。
【0014】本発明の方法によれば、ビス(2−オキサ
ゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸とを、通
常、これらの混合物の融点以上の温度、好ましくは、1
50〜250℃の範囲の温度で、数分から数十分、加熱
下に攪拌することによつて、共重合体樹脂を得ることが
できる。
【0015】共重合体樹脂の製造において、ビス(2−
オキサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と
の割合は、得られる樹脂の要求特性によつて、適宜に決
定される。特に、本発明によれば、ビス(2−オキサゾ
リン)化合物と共に、芳香族メルカプトカルボン酸とし
て、モノメルカプト置換安息香酸を用いるときは、ビス
(2−オキサゾリン)化合物/モノメルカプト置換安息
香酸のモル比を0.8〜1.2の範囲として、好ましくは、
0.95〜1.05の範囲として、反応させることによつ
て、極性溶媒に可溶性の線状の共重合体樹脂を得ること
ができる。
【0016】更に、本発明によれば、(A) ビス(2−オ
キサゾリン)化合物と、(B) 芳香族メルカプトカルボン
酸と共に、(C) (a) 分子内にアミノ基を少なくとも2つ
有する芳香族ポリアミノ化合物、(b) 分子内にチオール
基を少なくとも2つ有するポリチオール化合物、(c) 分
子内にエポキシ基を少なくとも2つ有するポリエポキシ
化合物、及び(d) 分子内にカルボキシル基を少なくとも
2つ有する多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合
物を反応させることによつて、高硬度と高強度を有し、
靱性にすぐれ、更に、低吸水性で耐熱性にすぐれる共重
合体樹脂を得ることができる。
【0017】本発明において用いる分子内にアミノ基を
少なくとも2つ有する芳香族ポリアミノ化合物は、単環
式、多環式又は縮合多環式化合物のいずれであつてもよ
く、具体例として、単環式化合物として、例えば、o
−、m−又はp−フエニレンジアミン、2,3−又は2,4
−又は2,5−トルイレンジアミン等を、多環式化合物と
して、例えば、4,4'−ジアミノビフエニル、3,3'−ジメ
トキシ−4,4'−ジアミノビフエニル、4,4'−ジアミノト
リフエニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビ
フエニル、2,2',5,5’−テトラクロロ−4,4'−ジアミノ
ビフエニル、4,4'−メチレンビスアニリン、4,4'−メチ
レンビス(2−クロロアニリン)、2,2'−ビス〔4−
(4−アミノフエノキシ)フエニル〕プロパン、1,3−
ビス(4−アミノフエノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(3−アミノフエノキシ)ベンゼン、3,4'−ジアミノジ
フエニルエーテル、4,4'−ジアミノジフエニルスルフイ
ド、4,4'−ビス(アミノフエニル)アミン等を、また、
縮合多環式化合物として、例えば、ナフチレンジアミン
等を挙げることができる。
【0018】上記したなかでは、多環式化合物、例え
ば、4,4'−メチレンビスアニリン、4,4'−メチレンビス
(2−クロロアニリン)、1,3−ビス(4−アミノフエ
ノキシ)ベンゼン、3,4'−ジアミノジフエニルエーテ
ル、4,4'−ジアミノジフエニルスルフイド、2,2'−ビス
〔4−(4−アミノフエノキシ)フエニル〕プロパン等
が好ましく用いられる。これら芳香族ポリアミノ化合物
は、単独にて、又は二種以上の混合物として用いられ
る。
【0019】本発明において用いる分子内にカルボキシ
ル基を少なくとも2つ有する多塩基酸は、脂肪族、脂環
族、芳香族いずれであつてもよく、例えば、マロン酸、
コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、エ
イコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、例えば、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフエニルスルホンジカルボン酸、ジフエニルメ
タンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリツ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリツト酸、ブタン−1,2,3,
4−テトラカルボン酸等の脂肪族及び芳香族多塩基酸を
挙げることができる。これらの多塩基酸は単独で、又は
2種以上の混合物として用いることができる。上記した
なかでは、ジカルボン酸(二塩基酸)、特に、脂肪族ジ
カルボン酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸等が好ましく用いられる。
【0020】本発明においては、多塩基酸には、分子内
に2つ以上の末端カルボキシル基を有するオリゴマーも
含まれるものとする。かかるオリゴマーの分子量は、特
に限定されるものではないが、通常、約500〜500
0の範囲が適当である。このオリゴマーも、単独で、又
は2種以上の混合物として、更には、前記多塩基酸との
混合物として用いることができる。
【0021】このようなオリゴマーはジオール成分に過
剰の二塩基酸成分(いずれもがオリゴマーであつてもよ
い。)を常法に従つて反応させることによつて得ること
ができる。ジオール成分としては、例えば、(ポリ)ア
ルキレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリ
カプロラクトンジオール、ポリエステルジオール、ポリ
エーテルジオール等を用いることができ、また、二塩基
酸としては、上述したような二塩酸又はその無水物を用
いることができる。更に、上記以外にも、末端カルボキ
シル基を有する種々のオリゴマーを用いることができ
る。このようなオリゴマーの具体例として、例えば、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエンオリ
ゴマー、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体等を挙げることが
できる。
【0022】本発明において、分子内にチオール基を少
なくとも2つ有するポリチオール化合物は、芳香族、非
芳香族化合物のいずれであつてもよく、例えば、エチレ
ングリコールビスチオグリコレート、ブチレングリコー
ルビスチオグリコレート等の非芳香族ジチオール化合
物、例えば、4,4'−チオビスベンゼンチオール、ビス
(4−メルカプトフエニル)エーテル、3,4−ジメルカ
プトトルエン等の芳香族ジチオール化合物、例えば、6
−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール等の芳香族複素環ジチオール化合物、例えば、2,4,
6−トリメルカプト−S−トリアジン、2,5−ジメルカ
プト−1',2',4−チアジアゾール等のポリチオール化合
物を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種
以上の混合物として用いられる。これらのなかでは、ビ
ス(4−メルカプトフエニル)エーテル、6−ジブチル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール等が好
ましく用いられる。
【0023】本発明において、分子内にエポキシ基を少
なくとも2つ有するポリエポキシ化合物は、例えば、ビ
スフエノールAジグリシジルエーテル、ビスフエノール
Fジグリシジルエーテル、ビスフエノールSジグリシジ
ルエーテル、テトラブロモビスフエノールAジグリシジ
ルエーテル等のビスフエノール型エポキシ化合物、例え
ば、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグ
リシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル
エステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル
等のフタル酸型エポキシ化合物、ダイマー酸ジグリシジ
ルエステル、8,11−ジメチル−7,11−オクタデカジエン
−1,18−ジグリシジルエステル、7−エチルオクタデカ
ンジグリシジルエステル等の脂肪族系エポキシ化合物、
また、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステルグリシ
ジルエステルや、更に、これら以外にも、例えば、フエ
ノールノボラツクグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
クレゾールノボラツクグリシジルエーテル型エポキシ樹
脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の多官能エ
ポキシ樹脂も挙げることができる。これらは、単独で、
又は混合物として用いられる。これらのなかでは、特
に、ビスフエノールAジグリシジルエーテル、ビスフエ
ノールFジグリシジルエーテル等が好ましく用いられ
る。
【0024】前述したように、ビス(2−オキサゾリ
ン)化合物は、ポリエポキシ化合物と反応するには、高
温長時間を必要とし、本発明に従つて共重合体樹脂を得
るための反応条件下では、ビス(2−オキサゾリン)化
合物とポリエポキシ化合物との反応は、通常、これを無
視することができ、ポリエポキシ化合物は、主として、
芳香族アミノカルボン酸、多塩基酸、ポリチオール化合
物、芳香族ポリアミノ化合物及び/又は芳香族メルカプ
トカルボン酸と反応する。
【0025】一般に、本発明において、ビス(2−オキ
サゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と共
に、(a) 分子内にアミノ基を少なくとも2つ有する芳香
族ポリアミノ化合物、(b) 分子内にチオール基を少なく
とも2つ有するポリチオール化合物、(c) 分子内にエポ
キシ基を少なくとも2つ有するポリエポキシ化合物、及
び(d) 分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有する
多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物とを反応
させて、共重合体樹脂を得る際には、これら原料の割合
は、得られる共重合体樹脂の要求物性等によつて適宜に
決定される。
【0026】特に、本発明において、ビス(2−オキサ
ゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と共に、
前記(C) 成分、即ち、芳香族ポリアミノ化合物、ポリチ
オール化合物、ポリエポキシ化合物及び多塩基酸から選
ばれる少なくとも1種の化合物を反応させて、共重合体
樹脂を製造する場合において、(C) 成分として、芳香族
ポリアミノ化合物を用いるときは、芳香族ポリアミノ化
合物における単一のアミノ基が2つの活性水素を有する
ので、芳香族ポリアミノ化合物は、4官能以上であり、
従つて、その他の原料の種類の如何にかかわらずに、架
橋共重合体樹脂を得ることができる。
【0027】また、前記(C) 成分として、芳香族ポリア
ミノ化合物の使用の有無にかかわらず、用いる芳香族メ
ルカプトカルボン酸が3官能以上であるか、又は前記
(C) 成分のうち、用いるポリチオール化合物、ポリエポ
キシ化合物及び多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の
化合物が3官能以上であるときも、架橋共重合体樹脂を
得ることができる。
【0028】一般に、本発明において、ビス(2−オキ
サゾリン)化合物と2官能性のモノメルカプト置換安息
香酸と、必要に応じて、前記(C) 成分として、分子内に
アミノ基を2つ有する芳香族ジアミノ化合物、分子内に
チオール基を2つ有するジチオール化合物、分子内にエ
ポキシ基を2つ有するジエポキシ化合物、及び分子内に
カルボキシル基を2つ有する二塩基酸(ジカルボン酸)
から選ばれる少なくとも1種を用いるとき、これら原料
は、オキサゾリン環の数+オキシラン環の数≧アミノ基
の数+チオール基の数+カルボキシル基の数を満足する
ように反応させることが好ましい。オキサゾリン環の数
+オキシラン環の数<アミノ基の数+チオール基の数+
カルボキシル基の数の場合には、得られる共重合体樹脂
の機械的物性等が十分でない場合があるからである。
【0029】特に、本発明によれば、ビス(2−オキサ
ゾリン)化合物と2官能性のモノメルカプト置換安息香
酸と、必要に応じて、前記(C) 成分として、分子内にチ
オール基を2つ有するジチオール化合物、分子内にエポ
キシ基を2つ有するジエポキシ化合物、及び分子内にカ
ルボキシル基を2つ有する二塩基酸(ジカルボン酸)か
ら選ばれる少なくとも1種を用い、且つ、無触媒下に反
応させることによつて、線状共重合体樹脂を得ることが
できる。この場合において、極性溶媒に可溶性であつ
て、機械的特性や耐熱性にすぐれる線状共重合体樹脂を
得るためには、各原料は、ビス(2−オキサゾリン)化
合物とジエポキシ化合物との合計量/モノメルカプト置
換安息香酸とジチオール化合物とジカルボン酸の合計量
のモル比が0.8〜1.2の範囲にあり、特に、0.95〜1.
05の範囲にあるように用いることが好ましい。上記モ
ル比が上記範囲をはずれるときは、得られる線状共重合
体樹脂が分子量が低く、十分な物性を得ることができな
い場合がある。
【0030】他方、本発明においては、ビス(2−オキ
サゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と共
に、前記(C) 成分として、芳香族ポリアミノ化合物を反
応させるときは、後述するオキサゾリン環開環重合触媒
を用いることが必要である。従つて、本発明において
は、架橋共重合体樹脂を得るには、通常、ビス(2−オ
キサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸と共
に、前記(C) 成分のうちの少なくとも1種として、芳香
族ポリアミノ化合物をオキサゾリン環開環重合触媒の存
在下に反応させる。
【0031】しかし、ビス(2−オキサゾリン)化合物
と芳香族メルカプトカルボン酸と共に、前記(C) 成分と
して、ポリチオール化合物、ポリエポキシ化合物及び多
塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物を反応させ
るには、特に、オキサゾリン環開環重合触媒を用いなく
ともよいが、用いてもよい。このような反応において
も、触媒を用いることによつて、反応温度を低くするこ
とができ、或いは反応に要する時間を短くすることがで
きる。
【0032】更に、本発明においては、原料として、ア
ミノ基をもたない化合物を用いるときは、亜リン酸又は
有機亜リン酸エステルも触媒として有用である。また、
亜リン酸又は有機亜リン酸エステルは、オキサゾリン開
環重合触媒と併用してもよい。本発明において、このよ
うに、オキサゾリン環開環重合触媒や、又は亜リン酸や
有機亜リン酸エステルを触媒として用いるときは、得ら
れる共重合体樹脂は、架橋樹脂である。
【0033】上記有機亜リン酸エステルとしては、モ
ノ、ジ及びトリエステルが好ましく、例えば、亜リン酸
モノフエニル、亜リン酸モノ(クロロフエニル)、亜リ
ン酸モノ(ノニルフエニル)、亜リン酸モノ(2,4−ジ
−t−ブチルフエニル)等の亜リン酸モノエステル、亜
リン酸ジフエニル、亜リン酸ジ(クロロフエニル)等の
亜リン酸ジエステル、亜リン酸トリフエニル、亜リン酸
トリス(ノニルフエニル)、亜リン酸トリス(4−クロ
ロフエニル)、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリ−n
−ブチル、亜リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、亜
リン酸トリステアリル、亜リン酸ジフエニルモノデシ
ル、テトラフエニルジプロピレングリコールジホスフア
イト、テトラフエニルテトラ(トリデシル)ペンタエリ
スリトールテトラホスフアイト、亜リン酸 4,4' −ブチ
リデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフエニル−ジ
−トリデシル)、ビスフエノールAペンタエリスリトー
ルホスフアイト等の亜リン酸トリエステルを挙げること
ができる。これらは単独で、又は2種以上の混合物とし
て用いることができる。
【0034】オキサゾリン環開環重合触媒としては、例
えば、Polymer J., Vol.3, No.1,p. 35-39 (1972) や、
「講座重合反応論7、開環重合II、p. 159-164、化学同
人(1973)に記載されているように、既に知られているカ
チオン触媒が用いられる。このような触媒の具体例とし
て、例えば、強酸、スルホン酸エステル、硫酸エステ
ル、ルイス酸、脂肪族又は脂環族炭素、例えば、アルキ
ル炭素やアルキレン炭素に結合したハロゲン原子を少な
くとも1つ有する有機ハロゲン化物等を挙げることがで
きる。
【0035】強酸としては、例えば、リン酸、硫酸、硝
酸等のオキソ酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水
素酸、硫化水素等の水素酸等の鉱酸、例えば、フエニル
リン酸、メタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシル
ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、ナ
フタレン−β−スルホン酸等のアレーンスルホン酸、ス
ルフアニル酸、フエニルホスホン酸等の有機酸を挙げる
ことができる。これら強酸は、それ自体を用いてもよい
が、また、芳香族ポリアミノ化合物を用いるときは、そ
の芳香族ポリアミノ化合物の塩を形成させて、これを用
いることもできる。
【0036】スルホン酸エステルとしては、例えば、p
−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸
エチル、p−トルエンスルホン酸n−ブチル等のアレー
ンスルホン酸アルキルエステルを挙げることができる。
硫酸エステルとしては、例えば、ジメチル硫酸やジエチ
ル硫酸を挙げることができる。ルイス酸としては、例え
ば、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、塩化バナジウ
ム、塩化バナジル、三フツ化ホウ素等を挙げることがで
きる。
【0037】前記した有機ハロゲン化物の好ましい例
は、モノハロアルカン及びポリハロアルカンであつて、
例えば、具体例として、ヨウ化メチル、塩化ブチル、臭
化ブチル、ヨウ化ブチル、臭化n−ヘキシル、塩化オク
チル、臭化n−オクチル、臭化ラウリル、臭化ステアリ
ル、臭化アリル、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジブロ
モプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモ
ブタン、1,3−ジブロモブタン、1,4−ジブロモブタ
ン、2,3−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、
1,6−ジブロモヘキサン、1,8−ジブロモオクタン、四
臭化エタン等を挙げることができる。更に、有機ハロゲ
ン化物の他の好ましい具体例として、例えば、臭化ベン
ジル、p,p'−ジクロロメチルベンゼン等のモノハロメチ
ルベンゼンやポリハロメチルベンゼン、α−ブロモプロ
ピオン酸エチル、α−ブロモイソ酪酸エチル等のハロゲ
ン化脂肪酸エステルを挙げることができる。更に、塩化
シクロヘキシル、臭化シクロヘキシル、ヨウ化シクロヘ
キシル等のハロゲン化シクロヘキシルも用いることがで
きる。
【0038】これら有機ハロゲン化合物は、加温によつ
て容易に芳香族アミンと塩を形成し、カチオン種とし
て、ハロゲン化水素を発生するので、樹脂原料として、
前記(C) 成分の1つとして、芳香族ポリアミノ化合物を
用いるときに、触媒として、特に有利に用いられる。
【0039】本発明の方法において、これらのオキサゾ
リン環開環重合触媒は、樹脂原料、即ち、前記したビス
(2−オキサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボ
ン酸(と前記(C) 成分、即ち、芳香族ポリアミノ化合物
とポリチオール化合物とポリエポキシ化合物と多塩基酸
から選ばれる少なくとも1種の化合物)の合計重量に基
づいて、約0.05〜5重量%の範囲で用いられ、好まし
くは約0.1〜3重量%の範囲で用いられる。
【0040】本発明において、ビス(2−オキサゾリ
ン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸(と前記(C)
成分、即ち、芳香族ポリアミノ化合物とポリチオール化
合物とポリエポキシ化合物と多塩基酸から選ばれる少な
くとも1種の化合物)との反応によつて共重合体樹脂を
得るには、通常、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳
香族メルカプトカルボン酸と共に、前記(C) 成分、即
ち、芳香族ポリアミノ化合物とポリチオール化合物とポ
リエポキシ化合物と多塩基酸から選ばれる少なくとも1
種の化合物と、必要に応じて触媒とを混合し、これらの
混合物を100〜200℃、好ましくは、120〜14
0℃の温度に加熱して、全体を溶融し、反応させ、硬化
させれば、共重合体樹脂を得ることができる。
【0041】しかし、上記において、ポリエポキシ化合
物は、他の樹脂原料を混合、溶融し、例えば100〜1
30℃の温度に冷却した後に、必要に応じて、触媒と共
に加えてもよい。ここに、上記樹脂液の硬化温度は、用
いる原料や触媒の種類、その量等によつても異なるが、
通常、80℃以上、好ましくは、100〜250℃の範
囲の温度であり、特に好ましくは、120〜200℃の
範囲の温度である。硬化時間は、通常、1分から2時間
程度である。
【0042】また、本発明の方法によれば、強化材及び
/又は充填材を含有する共重合体樹脂をも得ることがで
きる。強化材としては、通常の繊維強化樹脂に用いられ
る繊維強化材が好ましい。かかる繊維強化材として、具
体的には、ガラス繊維、炭素繊維、石英繊維、セラミツ
ク繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、タングステン繊
維、モリブデン繊維、ステンレス繊維、ベリリウム繊
維、石綿繊維等の無機繊維、綿、亜麻、大麻、ジユー
ト、サイザル麻等の天然繊維、脂肪族又は芳香族ポリア
ミド系繊維、ポリエステル系繊維等の耐熱性有機合成繊
維等を挙げることができる。また、これら繊維強化材
は、樹脂との接着性を改良するために、その表面を例え
ばボラン、シラン、ガラン、アミノシラン等にて予め処
理されていてもよい。これらの繊維強化材は単独で又は
2種以上を組み合わせて用いることができる。 また、
これらの繊維強化材は、その形状において、何ら限定さ
れず、例えば、紐状、マツト状、テープ状、一定の寸法
に切断された短繊維状等の形状にて用いられる。繊維強
化材は、これらの複合された形状であつてもよい。
【0043】繊維強化材の配合量は、例えば、触媒を含
有する前記樹脂液の溶融粘度や、用いる強化材の種類、
その形態、製品としての強化樹脂の用途等に応じて適宜
に選ばれるが、通常、樹脂原料に基づいて、約3〜95
重量%、好ましくは5〜80重量%程度である。
【0044】本発明によれば、更に、充填材を含有する
共重合体樹脂も得ることができる。充填材は、従来より
合成樹脂成形の分野で用いられている任意のものを用い
ることができる。そのような充填材の具体例として、例
えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の酸化物、水酸
化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム等の炭酸塩、タルク、クレー、ガラスビー
ズ、ベントナイト等のケイ酸塩、カーボンブラツク等の
炭素、鉄粉、アルミニウム粉等の金属粉等を挙げること
ができる。かかる充填材の配合量も、繊維強化材の場合
と同様にして適宜に選ばれるが、通常、樹脂原料に基づ
いて、約3〜95重量%、好ましくは約10〜80重量
%の範囲である。
【0045】特に、得られる硬化物の表面抵抗率を低減
するために、カーボンブラツクの1種であるケッチェン
ブラツクを配合する場合は、その配合量は、通常、樹脂
原料に基づいて、約0.1〜1重量%の範囲が適当であ
る。更に、本発明の方法においては、上記繊維強化材及
び充填材以外にも、通常の熱硬化性樹脂成形において用
いられている安定剤、内部離型剤、顔料、難燃剤等の任
意の添加剤も添加してよい。
【0046】本発明に従つて、上記のような繊維強化材
や充填材を含有する共重合体樹脂を得るには、ビス(2
−オキサゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸
と、必要に応じて、前記(C) 成分、即ち、芳香族ポリア
ミノ化合物、ポリチオール化合物、ポリエポキシ化合物
及び多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と前
記触媒とからなる樹脂原料、好ましくはこれらを溶融さ
せた均一な混合物である樹脂液に強化材及び/又は充填
材を混合し、或いは上記混合物を強化材及び/又は充填
材に含浸させた後、加熱する。
【0047】また、繊維強化した架橋樹脂を得るに際し
ては、一般に、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂の製造にお
いて従来より知られている任意の方法によることができ
る。具体的には、例えば、加熱加圧成形用金型に予め配
布された繊維強化材に触媒を含有する樹脂液を注入含浸
させ、加熱硬化を行なうプリフオーム・マツチドメタル
ダイ法やレジン・インジエクシヨン法、触媒を含有する
樹脂原料と一定の寸法に切断された繊維強化材とからな
る混練物を加熱加圧成形用金型に投入又は注入し、加熱
硬化を行なうバルク・モールデイング・コンパウンド
法、トランスフアー成形法、射出成形法、リアクシヨン
・インジエクシヨン・モールデイング法(RIM法)、
引抜き成形法、触媒を含有する樹脂原料を繊維強化材に
含浸させ、粘着性のないプリプレグ成形材料とするSM
C法やプリプレグ・クロス法等、種々の方法を採用する
ことができる。
【0048】このように、繊維強化材や充填材を含有す
る共重合体樹脂を得る場合は、成形温度は、通常、13
0〜230℃程度である。加熱硬化時間は、用いるビス
(2−オキサゾリン)化合物や芳香族メルカプトカルボ
ン酸のほか、前記(C) 成分や、また、触媒を用いるとき
は、その種類や量、成形温度等によるが、通常、1分乃
至1時間程度である。
【0049】本発明に従つて得られる繊維強化樹脂は、
特に、架橋共重合体樹脂は、その樹脂のすぐれた機械的
性質と耐熱性を保持しつつ、繊維強化されているため
に、広範な用途に実用し得る種々の成形品を製造するの
に好適である。かかる樹脂成形品の用途として、例え
ば、宇宙、航空、船艇、鉄道車両、自動車、土木建築、
電気電子機器、耐食機器、スポーツ及びレジヤー用品、
医療機器、各種工業部品等を挙げることができ、更に
は、従来の繊維強化樹脂の場合は、強度や吸水性、耐熱
性等、その性能不足のために使用し得ない用途にも実用
することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ビス(2−オキサゾリ
ン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸とを反応させ
ることによつて、耐熱性にすぐれる新規な共重合体樹脂
を得ることができ、特に、ビス(2−オキサゾリン)化
合物とモノメルカプト置換安息香酸とを反応させること
によつて、耐熱性にすぐれる新規な線状共重合体樹脂を
得ることができる。
【0051】また、本発明によれば、ビス(2−オキサ
ゾリン)化合物と芳香族メルカプトカルボン酸とを、芳
香族ポリアミノ化合物、ポリチオール化合物、ポリエポ
キシ化合物及び多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の
化合物の存在下に反応させることによつて、高硬度と高
強度を有し、靱性にすぐれ、更に、低吸水性で耐熱性に
すぐれる線状又は架橋共重合体樹脂を得ることができ
る。
【0052】特に、本発明によれば、ビス(2−オキサ
ゾリン)化合物とモノメルカプト置換安息香酸とを、ジ
チオール化合物、ジエポキシ化合物及びジカルボン酸か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下に反応させ
ることによつて、極性溶媒に可溶性であつて、高硬度と
高強度を有し、耐熱性にすぐれる線状共重合体樹脂を得
ることができる。
【0053】本発明による共重合体樹脂は、その特性を
利用して、繊維や種々の成形品の製造等に有利に用いる
ことができる。
【0054】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。尚、以下において、得られた硬化物の熱変形温度
は、18.5kg/cm2 の荷重下での測定値であり、また、
吸水率は、厚さ3mmのデイスク状の硬化板を23℃の水
に24時間浸漬した後の重量増加率である。
【0055】実施例1 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン1
0.8g(0.05モル)とチオサリチル酸7.7g(0.05
モル)を試験管に秤り取り、222℃に保持した油浴中
に浸漬し、1.5分間攪拌下に反応させて、線状共重合体
樹脂を得た。この共重合体樹脂について、プロトン核磁
気共鳴吸収(400MHz、d6 DMSO) を測定した
ところ、-COOCH2 及び-CONHCH2 (δ=3.1-3.7)と-SCH
2(δ=2.5)の吸収ピークが認められ、チオエステルアミ
ドの共重合体であることが確認された。ゲルパーミエー
シヨンクロマトグラフイー(ジメチルホルムアミド溶
媒)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は 19800
0 であつた。また、得られた共重合体樹脂は、テトラヒ
ドロフランには溶解しなかつたが、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド及びN−メチル−2−ピロリ
ドンには溶解した。また、熱天秤による10%重量減少
温度は335℃であつた。
【0056】実施例2 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン9
7.2g(0.45モル)とチオサリチル酸13.9g(0.0
9モル)と4,4'−メチレンビスアニリン41.6g(0.2
1モル)を試験管に秤り取り、140℃に保持した油浴
中に浸漬し、攪拌下に加熱した。混合物は15分後に約
130℃の温度で透明な液状物となつた。そこで、これ
を120℃に冷却し、臭化オクチル0.7mlを加え、よく
攪拌して、樹脂液を調製した。予め約160℃の温度に
加熱した幅3mmの空間部を有する金型(以下、同じ。)
に上記樹脂液を注入し、160℃の乾燥機内に1時間置
いて、樹脂液を硬化させた。このようにして得られた厚
さ3mmの硬化樹脂板は、緑色透明、不溶不融であつて、
次の物性を有するものであつた。
【0057】 熱変形温度 175.4℃ 曲げ強度 212.7MPa 曲げ弾性率 4.44GPa たわみ率 7.77% 吸水率 0.19% バーコル硬度 52 アイゾツド衝撃値(ノツチ付き)8.8KJ/m2
【0058】実施例3 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン5
6.2g(0.26モル)とチオサリチル酸10.9g(0.0
65モル)と4,4'−メチレンビスアニリン38.6g(0.
195モル)を試験管に秤り取り、150℃に保持した
油浴中に浸漬し、攪拌下に加熱したところ、8分後に1
43℃の温度で溶融した。そこで、これを125℃に冷
却し、これに予め60℃に加温したビスフエノールAジ
グリシジルエーテル(油化シエル(株)製エピコート8
28)48.1g(0.13モル)と臭化オクチル1.5gと
を加え、攪拌した後、脱泡して、樹脂液を調製した。予
め約180℃の温度に加熱した金型に上記樹脂液を注入
し、180℃で1時間加熱して、琥珀色透明、不溶不融
の硬化物を得た。この硬化物は次の物性を有するもので
あつた。
【0059】 熱変形温度 152.6℃ 曲げ強度 175.0MPa 曲げ弾性率 4.23GPa たわみ率 6.60% 吸水率 0.14% バーコル硬度 45 アイゾツド衝撃値(ノツチ付き)7.3KJ/m2
【0060】実施例4 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン1
7.3g(0.06モル)とチオサリチル酸1.54g(0.0
1モル)と4,4'−メチレンビスアニリン4.0g(0.02
モル)とアジピン酸1.46g(0.1モル)とビスフエノ
ールAジグリシジルエーテル(油化シエル(株)製エピ
コート828)7.4g(0.02モル)と臭化オクチル0.
24gとを試験管に秤り取り、150℃に保持した油浴
中に浸漬し、攪拌下に加熱したところ、2.5分後に13
0℃の温度で透明に溶融し、19分後に157℃で硬化
し、透明琥珀色、不溶不融の硬化物を与えた。
【0061】実施例5 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン6.
48g(0.03モル)とチオサリチル酸0.77g(0.0
05モル)と6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール5.44g(0.02モル)とビスフエ
ノールAジグリシジルエーテル(油化シエル(株)製エ
ピコート828)3.70g(0.01モル)とセバシン酸
3.03g(0.015モル)とを試験管に秤り取り、20
0℃に保持した油浴中に浸漬し、8分間攪拌下に加熱し
て、線状共重合体樹脂を得た。
【0062】この共重合体樹脂について、プロトン核磁
気共鳴吸収(400MHz、d6 DMSO) を測定した
ところ、-COOCH2 及び-CONHCH2 (δ=3.2-3.7)、-SCH
2(δ=2.5)の吸収ピークが認められた。また、0.3重量
%ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した極
限粘度は、0.08であつた。得られた線状共重合体樹脂
は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及び
N−メチル−2−ピロリドンには溶解した。また、熱天
秤による10%重量減少温度は321℃であつた。
【0063】実施例6 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン6.
48g(0.03モル)とビスフエノールFジグリシジル
エーテル(油化シエル(株)製エピコート807)3.7
0g(0.01モル)とセバシン酸1.01g(0.005モ
ル)と6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオール5.44g(0.02モル)とチオサリチル酸
0.77g(0.005モル)と臭化オクチル0.20gとを
試験管に秤り取り、150℃に保持した油浴中に浸漬
し、攪拌下に加熱したところ、8分後に187℃の温度
で硬化し、透明琥珀色、不溶不融の硬化物を与えた。
【0064】実施例7 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン1
6.2g(0.075モル)とチオサリチル酸3.85g(0.
025モル)とアジピン酸3.65g(0.025モル)と
亜リン酸トリフエニル0.24gとを試験管に秤り取り、
150℃に保持した油浴中に浸漬し、攪拌下に加熱した
ところ、4分25秒後に190℃の温度で硬化し、透明
琥珀色、不溶不融の硬化物を与えた。
【0065】実施例8 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン8.
64g(0.04モル)とビスフエノールAジグリシジル
エーテル(油化シエル(株)製エピコート815)7.4
0g(0.02モル)と4,4'−メチレンビスアニリン3.9
6g(0.02モル)とチオサリチル酸3.08g(0.02
モル)と臭化オクチル0.23gとを試験管に秤り取り、
150℃に保持した油浴中に浸漬し、攪拌下に加熱した
ところ、4分30秒後に180℃の温度で硬化し、透明
褐色、不溶不融の硬化物を与えた。
【0066】実施例9 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン1
2.96g(0.06モル)とチオサリチル酸1.54g(0.
01モル)と4,4'−メチレンビスアニリン1.98g(0.
01モル)とアゼライン酸1.88g(0.01モル)とp
−トルエンスルホン酸メチル0.18gとを試験管に秤り
取り、150℃に保持した油浴中に浸漬し、攪拌下に加
熱したところ、2分40秒後に160℃の温度で硬化
し、透明褐色、不溶不融の硬化物を与えた。
【0067】実施例10 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン8.
64g(0.04モル)とビスフエノールAジグリシジル
エーテル(油化シエル(株)製エピコート828)7.4
0g(0.02モル)とチオサリチル酸1.54g(0.01
モル)と4,4'−メチレンビスアニリン1.98g(0.01
モル)とアジピン酸1.46g(0.01モル)と1,4−ジ
ブロモブタン0.21gとを試験管に秤り取り、150℃
に保持した油浴中に浸漬し、攪拌下に加熱したところ、
3分後に190℃の温度で硬化し、透明褐色、不溶不融
の硬化物を与えた。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳香族
    メルカプトカルボン酸とを反応させることを特徴とする
    共重合体樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】芳香族メルカプトカルボン酸がモノメルカ
    プト置換安息香酸である請求項1記載の共重合体樹脂の
    製造方法。
  3. 【請求項3】モノメルカプト置換安息香酸がチオサリチ
    ル酸である請求項2記載の共重合体樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】ビス(2−オキサゾリン)化合物とモノメ
    ルカプト置換安息香酸とをビス(2−オキサゾリン)化
    合物/モノメルカプト置換安息香酸のモル比0.8〜1.2
    の範囲にて反応させる請求項2又は3記載の共重合体樹
    脂の製造方法。
  5. 【請求項5】(A) ビス(2−オキサゾリン)化合物と、 (B) 芳香族メルカプトカルボン酸と、 (C) (a) 分子内にアミノ基を少なくとも2つ有する芳香
    族ポリアミノ化合物、(b) 分子内にチオール基を少なく
    とも2つ有するポリチオール化合物、(c) 分子内にエポ
    キシ基を少なくとも2つ有するポリエポキシ化合物、及
    び(d) 分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有する
    多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の化合物とを反応
    させることを特徴とする共重合体樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族メルカプトカルボン酸がモノメルカ
    プト置換安息香酸である請求項5記載の共重合体樹脂の
    製造方法。
  7. 【請求項7】(A) ビス(2−オキサゾリン)化合物と、 (B) モノメルカプト置換安息香酸と、 (C) (a) 分子内にチオール基を2つ有するジチオール化
    合物、(b) 分子内にエポキシ基を2つ有するジエポキシ
    化合物、及び(c) 分子内にカルボキシル基を2つ有する
    ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    を、 ビス(2−オキサゾリン)化合物とジエポキシ化合物と
    の合計量/モノメルカプト置換安息香酸とジチオール化
    合物とジカルボン酸の合計量のモル比0.8〜1.2の範囲
    にて反応させる請求項5に記載の共重合体樹脂の製造方
    法。
  8. 【請求項8】モノメルカプト置換安息香酸がチオサリチ
    ル酸である請求項6又は7記載の共重合体樹脂の製造方
    法。
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