JP3379142B2 - ナイロン66ゴム補強用コード - Google Patents

ナイロン66ゴム補強用コード

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JP3379142B2
JP3379142B2 JP11734093A JP11734093A JP3379142B2 JP 3379142 B2 JP3379142 B2 JP 3379142B2 JP 11734093 A JP11734093 A JP 11734093A JP 11734093 A JP11734093 A JP 11734093A JP 3379142 B2 JP3379142 B2 JP 3379142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はナイロン66ゴム補強用
コードに関するものであり、特にタイヤコード、ホー
ス、伝動用ベルトおよび搬送用ベルト等のゴム補強材に
適したナイロン66ゴム補強用コードに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド繊維は強靱性、接着性、耐疲
労性等に優れているため、各種産業資材用途、例えばタ
イヤコード、搬送ベルト、伝動ベルト、ゴムホース等の
ゴム補強用コード、安全ベルト、スリング、ターポリ
ン、テント、組紐、縫糸およびコーテッド基布等に広く
用いられている。
【0003】ポリアミド繊維の中でも特にナイロン66
繊維 (ポリヘキサメチレンアジパミド繊維) は上記用途
の中で、製造条件およびまたは製品として使用される条
件が比較的苛酷な用途、およびあるいは高品質が要求さ
れる用途において、その優れた熱寸法安定性、耐熱性等
を活かして使用されている。産業資材製品は常に軽量化
が求められており、繊維補強材料としては、その機能を
損なうことなく繊維の量を削減することが重要である。
かかる要求を満足させるためには、より高強度の繊維を
開発することが必要であり、これまで種々の検討がなさ
れてきた。
【0004】高強度のナイロン66ゴム補強用コードに
関するものとして、従来、例えば特開昭63−1751
76号公報および特開平1−174628号公報等に記
載されている。特開昭63−175179号公報に記載
された技術は単糸デニールが4.5デニール以下、原糸
強度が12g/d 以上の6−ナイロンまたは66−ナイロ
ンの超高強力ナイロン繊維からなるタイヤ補強用コード
を、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体/ゴムラテッ
クス混合液に浸漬させる際のコード張力を0. 5g/d 以
上とすることによって高強力のナイロン66タイヤ補強
用コードを製造するものである。
【0005】また、特開平1−174628号公報は、
原糸強度が12g/d 以上である66−ナイロン繊維で構
成された撚コードを、特定のコード緊張熱処理温度およ
び張力下で緊張熱処理した後、ディップ液中のラテック
スに対するレゾルシンとホルムアルデヒドの総重量の割
合、およびディップ液中のラテックスにおけるビニルピ
リジンラテックスとスチレンブタジエン共重合体のラテ
ックスの総重量に対するビニルピリジンラテックスの割
合を特定したディップ液で処理することによってディッ
プ処理時のコード強力の低下を防止するという方法が開
示されている。
【0006】上記2件の公報はいづれも、単糸デニール
が4. 5デニール以下で、原糸強度12g/d 以上の高強
度ナイロン66からなるコードは、従来のディップ処理
方法で処理すると、ディップコードの強力低下が大きい
ので、それを改良するための特殊なディップ処理法を開
示したものである。しかし、従来技術の場合、繊維の単
糸デニールが4. 5デニール以下であり、特殊なディッ
ピング法を適用する必要があり、得られたコードの用途
も特定化せざるを得ないという実状があり、汎用性にお
いて問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は高強度
ナイロン66繊維が有する高強度ポテンシャルをディッ
プコードとして十分に顕在化できる接着剤処方と組合せ
ることによって高強度のナイロン66ゴム補強用コード
を提供することにある。
【0008】上記目的を達成する本発明のナイロン66
ゴム補強用コードは、次の構成からなるものである。少
なくとも95モル%以上がヘキサメチレンアジパミド単
位からなり、硫酸相対粘度が3.0以上のナイロン66
繊維からなるゴム補強用コードであり、該ナイロン66
繊維が下記(イ)〜(ト)の特性を有するとともにコー
ドの撚係数が1500〜2300であって、該コードの
表面に、下記に示される化合物〔A〕と化合物〔B〕と
を、1/0.2≧〔A〕/〔B〕≧1/4(重量比)の
割合で混合して得られた〔C〕とホルムアルデヒド
〔D〕とを、アルカリ触媒の存在下に1/10≦〔D〕
/〔C〕≦10/10(重量比)の割合で反応させて得
られた縮合物〔E〕とゴムラテックス〔F〕とを、1/
8≦〔E〕/〔F〕≦1/4(固形分重量比)の割合で
含有する水系接着剤を付与されてなることを特徴とする
ナイロン66ゴム補強用コード。
【0009】(イ) 複屈折 (Δn) ;Δn≧60×10
-3 (ロ) 示差複屈折 (δΔn) ;δΔn=−5×10-3
0×10-3 但しδΔn=Δns−Δnc (Δnsは単糸の中心から表面までの距離の0. 9に相
当する位置における複屈折であり、Δncは単糸の中心
における複屈折) (ハ) 結晶配向度 (fc) ;fc≧0. 88 (ニ) 非晶分子配向度 (fa) ;fa=0. 70〜0.
85 (ホ) 繊維軸方向の長周期 (Dm) ;Dm≧105Å (ヘ) 繊維軸方向に対して直角方向の長周期 (De) ;
De=90〜130Å (ト) 動的粘弾性測定で得られる力学的正接損失 (tan
δ) 曲線における主分散ピーク温度 (Tα) ;Tα≧1
25℃
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】本発明者らは、ディップ時におけるコード
の強力低下について、繊維の特性とディップ液の双方を
同時に研究した結果、次のような事実を知見した。すな
わち、ナイロンコードのディップ工程において、未処理
コードへの接着剤液の塗布または接着剤液への浸漬を行
った後に乾燥、緊張熱処理を行なうことにより接着剤液
の乾燥および接着剤の樹脂化が行われ、このディッピン
グ時にコードの内部、すなわちフィラメントヤーンから
なるコードの内部へ接着剤液が浸透し、乾燥、緊張熱処
理によって接着剤が樹脂化してフィラメント間を膠着さ
せるため、コードを構成するフィラメントの動きが拘束
され、フィラメントの動きが拘束されたこのようなコー
ドは、応力を受けた時にコードを構成する多数のフィラ
メントに均一に応力が分散されないことに基因してディ
ップコードの強力は低下し、ディップコードの強力低下
を防止するには、接着剤液がコードの内部に浸透し過ぎ
ないようにし、かつ浸透を均一にすることが重要であ
る。
【0013】また、上記ディップコードの強力低下は、
単糸繊度が細い繊維からなるコードほど、また高強度繊
維からなるコードほど顕著である。本発明者らは、単糸
繊度が4. 5デニール以下に限定されず、かつ特殊なデ
ィッピング法の適用によらなくとも、通常の単糸繊度か
らなり、特定の物理特性を有するナイロン66繊維を用
いて通常のディッピング法で特定の処理剤を付与するこ
とによって高強度のナイロン66ゴム補強用コードを得
た。
【0014】すなわち、本発明に係る特定の繊維構造、
繊維物性等を有する高強度ナイロン66繊維を用い、特
定のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス混合物からな
る接着剤が付与されてなる高強度ナイロン66コードに
よって達せられるのである。本発明のナイロン66ゴム
補強用コードに用いられるナイロン66ポリマは、分子
鎖の繰り返し構造単位が95モル%以上がヘキサメチレ
ンアジパミドであって、共重合成分は5モル%未満であ
れば含有していても良い。共重合成分としては、例えば
ε−カプロアミド、テトラメチレンアジパミド、ヘキサ
メチレンセバカミド、ヘキサメチレンイソフタラミド、
テトラメチレンテレフタラミド、キシリレンフタラミド
等がある。共重合成分を5モル%以上含有した場合は、
ナイロン66繊維の結晶性が低下し、該繊維からなるコ
ードの耐熱性、熱寸法安定性が低下するため好ましくな
い。
【0015】本発明に係る高強度ナイロン66コード用
繊維は硫酸相対粘度が3.0以上、好ましくは3.5以
上の高分子量ポリマからなる。硫酸相対粘度が3.0未
満では本発明が目的とする高強度コードが安定して得ら
れない。次に本発明に係る高強度ナイロン66繊維を特
徴づける各繊維構造の意味について述べる。
【0016】複屈折は60×10-3以上、好ましくは6
3×10-3以上と極めて高配向である。この特性は本発
明に係る繊維が強度11. 0g/d 以上を達成するために
必要な配向パラメーターである。示差複屈折はフィラメ
ント表層部の複屈折が中心部より5×10-3未満だけ低
く、わづかに表層低配向であることが特徴である。
【0017】結晶配向度は0. 88以上であり、通常の
高強度ナイロン66繊維と同等かそれ以上である。この
特徴も本発明に係る繊維の高強度を裏づけるパラメータ
ーである。非晶分子配向度は0. 70〜0. 85と比較
的高い。この高い非晶分子配向度は結晶分子を結ぶタイ
分子の配向性が良く、タイ分子の密度が高いことを示し
ており、これも本発明に係る繊維の高強度を裏づけるパ
ラメーターである。
【0018】繊維軸方向の長周期は105Å以上で、繊
維軸と直角方向の長周期は90〜130Åである。繊維
軸方向の長周期は従来のナイロン66繊維より大きい。
この特徴は本発明に係るナイロン66繊維が高配向、高
強度であることと対応している。また繊維軸と直角方向
の長周期は従来のナイロン66繊維よりはやや大きく、
製糸工程で比較的きつい熱履歴を受けていることを示し
ている。
【0019】動的粘弾性測定で得られる力学的正接損失
曲線における主分散温度は125℃以上と高いことが特
徴である。非晶部の配向が高く、結晶化度も比較的高
く、非晶部の分子鎖の運動が比較的拘束されていること
を示している。本発明に係る高強度ナイロン66繊維は
上記繊維構造によって特徴づけられる新規な繊維であ
る。前記 (イ) 〜 (ト) の各パラメーターは相互に密接
に関係しているため、同時に満足することが必要であ
る。
【0020】また、本発明に係る繊維は密度が1.14
2g/cm3 以下、好ましくは1.138〜1.142g/cm
3 である。本発明ナイロン66繊維の密度は、例えば、
直接紡糸延伸法において、紡糸速度が300〜1000
m/分、熱延伸温度が200〜250℃、熱媒体への接
触時間が0.2秒未満の条件で製造された時の製糸履歴
によって達せられる。
【0021】以上の繊維構造を満足する本発明に係る高
強度ナイロン66繊維は強度が11.0g/d 以上、通常
は11. 5g/d 以上、切断伸度が16%以上、通常は1
8%以上でかつ、沸騰水収縮率が4. 0%以下である。
更に、前記繊維構造を有する高強度ナイロン66繊維を
用いたコードが本発明の目的とする優れたコード物性を
安定に発現するためには、該繊維中の異物が極めて少な
い事が必要である。何故なら、異物が多いとその部分で
繊維が切断してしまい、目的とする高配向繊維が得られ
ず、結果として高強度コードが得られないからである。
特に、産業資材用ナイロン66コード用繊維の場合、耐
熱性、耐光性および酸化防止性を付与するために添加さ
れている銅化合物が主な糸切れ原因となる異物を生成す
るため、銅を含む異物は一定量以下であることが重要で
ある。本発明に係る高強度ナイロン66繊維は繊維中の
銅含有量が30〜150ppm であるが、該繊維中の銅含
有量の50倍以上の高濃度銅分を含有する異物であっ
て、該異物の大きさがフィラメントの長さ方向に、該フ
ィラメントの直径の1/10以上の長さを有する異物
か、およびあるいはフィラメントの直径方向に、該フィ
ラメントの直径の1/25以上の長さを有する異物が、
繊維1. 0mg中に80ケ以下しか存在しないものである
ことが必要である。
【0022】本発明に係る繊維中の銅含有量は30〜1
50ppm 、通常は50〜100ppmであるが、主な糸切
れの原因となる異物中には該繊維の銅含有量の50倍以
上、通常は数%の高濃度銅分が含有されている。異物中
の銅化合物は例えば金属銅、酸化銅、硫化銅等ポリマに
非溶解性銅化合物となっている。本発明高強度ナイロン
66コードは上記特徴を有する高強度ナイロン66繊維
からなり、撚係数 (K) が1500〜2300、好まし
くは1600〜2000で下撚および上撚されたコード
である。撚係数は次式により原糸繊度および撚数より求
められる。
【0023】K=T×D1/2 T:10cm当りの撚数 D:原糸繊度×合糸本数 本発明に係るナイロン66繊維は11. 0g/d 以上の高
強度であるが、該繊維を合撚糸して接着剤を付与し、熱
処理してディップコードとする場合、通常のディップ処
方ではディップコード強力が著しく低下してしまい、折
角の原糸の高強度が生かされない。
【0024】一般に、ナイロン66コードの接着剤処理
において、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体/ゴム
ラテックス混合液を用いるディップ工程において、コー
ドに接着剤液を塗布するかまたは浸漬した場合、接着剤
液は多数のフィラメントからなるコードの中に浸透す
る。その後コードはコードの融点近傍の高温下で熱処理
を受けるが、その時コード内部に浸透した接着剤液が樹
脂化して各フィラメント間を膠着させるため、コードを
構成するフィラメントの動きが拘束される。このような
コードに応力がかかった時、応力はフィラメントに均一
に伝播せず、集中応力を受けた部分が切断し易く、その
結果かかるディップコードの強力は低い。
【0025】従って、コード内部へのディップ液の浸透
を抑えること、および浸透を均一に行なわせることが重
要である。本発明に係るナイロン66ゴム補強用コード
は下記の特定の接着剤を用いることにより、通常のディ
ップ法のままで、ディップ液のコード内部への浸透を抑
え、かつ均一な浸透が達成できるのである。
【0026】下記に示される化合物〔A〕と化合物
〔B〕とを、1/0.2≧〔A〕/〔B〕≧1/4(重
量比)の割合で混合して得られた〔C〕とホルムアルデ
ヒド〔D〕とを、アルカリ触媒の存在下に1/10≦
〔D〕/〔C〕≦10/10(重量比)の割合で反応さ
せて得られた縮合物〔E〕とゴムラテックス〔F〕と
を、1/8≦〔E〕/〔F〕≦1/4(固形分重量比)
の割合で含有する水系接着剤を付与する。
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】本発明で用いる接着剤は上記示される化
合物〔A〕と化合物〔B〕との混合物〔C〕とホルムア
ルデヒド〔D〕とを、アルカリ触媒の存在下に1/10
≦〔D〕/〔C〕≦10/10、好ましくは1.5/1
0≦〔D〕/〔C〕≦6/10(ここで、前記混合物
〔C〕は固形分重量であり、〔D〕はホルムアルデヒド
の重量である)の割合で反応させて得られる縮合物
〔E〕およびゴムラテックス〔F〕とを、1/8≦
〔E〕/〔F〕≦1/4、好ましくは1/7≦〔E〕/
〔F〕≦1/5(ここで、〔E〕、〔F〕はそれぞれ固
形分重量である。)の割合で含有してなる水系接着剤で
ある。なお、化合物〔A〕と化合物〔B〕の混合比率は
〔A〕/〔B〕の重量比率が1/0.2≧〔A〕/
〔B〕≧1/4の範囲から任意に選択できるが、1/
0.2≧〔A〕/〔B〕≧1/3の範囲が特に好まし
い。上記化合物〔A〕としては、例えば商品名“VULCAB
OND-E"バルナック社製や“デナボンド”長瀬化成社製が
ある
【0030】上記化合物〔B〕としては、予めジヒドロ
キシベンゼンとホルムアルデヒドとを無触媒または酸性
触媒の下で反応させて得られるノボラック片の樹脂を用
いる。これらの化合物は、例えばレゾルシン1モルとホ
ルムアルデヒドを1モル以下とで縮合した縮合物(例え
ば、商品名“スミカノール 700" 、住友化学(株)社
製)がある。
【0031】ゴムラテックス[F]としては、天然ゴム
ラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ア
クリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプ
レンゴムラテックス、およびビニルピリジン−スチレン
−ブタジエンゴムラテックスなどの合成ゴムラテックス
またはこれらの混合ラテックスが使用される。特にビニ
ルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスを併
用する時は、他のゴムラテックスに対し、ビニルピリジ
ン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスを60重量%
以下にすることが好ましい。
【0032】本発明は前記の特性を有するナイロン66
繊維に前記の特殊な接着剤を付与して得たコードは、コ
ード内部への接着剤の浸透が抑制され、かつ周辺に均一
に浸透している。かかる接着剤の均一な浸透状態はコー
ドを構成するフィラメントの側面および断面をSEMま
たは光学顕微鏡で観察することによって確認できる。こ
のようなコードは従来のコードに比べて柔軟であること
も特徴である。
【0033】本発明に係るナイロン66ゴム補強用コー
ドは、特定の繊維構造および繊維物性等を有する高強度
ナイロン66繊維からなり、特定の接着剤が付与されて
おり、次に示す優れたディップコード物性を有する。 (イ) 強度≧9. 5g/d (ロ) 伸度≧18% (ハ) 中間伸度=8. 0〜10% (ニ) 177℃乾熱収縮率≦6% また本発明ナイロン66コードは加硫時の強力保持性に
優れているため、高強力の加硫コードが得られる。ま
た、従来のディップコードより、柔軟であり、耐疲労性
も著しく改良されるという特徴を有する。
【0034】次に本発明高強度ナイロン66コードの新
規な製造法の例について述べる。本発明に係る高強度ナ
イロン66繊維は、ヘキサメチレンアジパミド単位が9
5モル%以上からなるポリマで、硫酸相対粘度が3.0
以上、好ましくは3.5以上の高重合度ポリマを用い
る。本発明に係る繊維には、熱、光および酸素等による
劣化に対する耐久性を付与する目的で、銅化合物を含む
酸化防止剤を添加するが、該銅化合物の一部は重合工程
および溶融紡糸工程中に熱分解してポリマに非溶解性の
銅化合物、すなわち異物を生成しやすい。銅化合物を含
む酸化防止剤の熱分解を防ぐためには、銅化合物をポリ
マ中に均一に分散させること、すなわち、高濃度部分を
つくらないこと、および銅化合物が受ける熱履歴を最小
にすることが重要である。
【0035】従来一般的に行なわれている重合工程での
添加は、均一分散の点では有利であるが、重合工程で受
ける長時間の熱履歴中に銅化合物が熱分解して多量の異
物を生成するという欠点があった。また、高濃度のマス
ターポリマを予め製造し、それを紡糸直前にブレンドす
る方法は、高濃度の銅化合物を含んでペレタイズ工程で
の熱履歴を受けるため、銅化合物が熱分解して多量の異
物を生成し易いという問題点がある。
【0036】一方、銅化合物を粉末状でチップにブレン
ドする方法は均一な分散が達せられなかったり、一旦付
着した銅化合物が脱落し易いため、局部的に高濃度の銅
化合物が糸中に混入する等の問題点がある。前記の従来
の銅化合物の添加方法の問題点を改善するためには、銅
化合物は溶液にしてポリマ中に吸着させることが最適で
ある。具体的には例えば以下の方法によって可能であ
る。
【0037】通常の液相重合法で硫酸相対粘度2.5〜
3.0程度まで重合したポリマを一旦冷却、切断してチ
ップ状となす。次いで銅化合物を含む溶液中に該チップ
を浸漬、またはチップに該溶液をかけて吸着させた後、
固相重合装置に送り、硫酸相対粘度3.0以上の高重合
度ポリマとする。銅化合物は、例えば酢酸第二銅、沃化
第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、フタル
酸銅、ステアリン酸銅、燐酸銅、ピロリン酸銅および各
種銅塩と無機または有機化合物との錯塩等が用いられ
る。銅化合物は溶液として添加するため、工業的には水
溶性銅化合物が有利である。また、ハロゲン化アルカリ
金属の高濃度水溶液を溶媒として用いることによって非
水溶性銅塩も使用することができる。
【0038】ナイロン66繊維の酸化防止剤としては前
記銅化合物の他に有機または無機の燐化合物、アルカリ
金属またはアルカリ土金属のハロゲン化物、第4級アン
モニウムハロゲン化物等が併用添加される。添加量は
0.01〜0.5重量%程度である。これら銅化合物と
併用添加される酸化防止剤の場合には、本発明に係る銅
化合物の添加方法と同様に、溶液としてチップに吸着さ
せる方法を採用してもよいが、従来の添加方法のままで
もよい。
【0039】上記酸化防止剤を含むナイロン66ポリマ
を紡糸温度280〜310℃の範囲で溶融した後、約5
〜50μの細孔を有する金属不織布フィルターを組み込
んだ紡糸パック中を通過させ、口金細孔を通して紡出す
る。口金直下には10〜100cm、好ましくは15〜5
0cm長の加熱筒を設置し、加熱筒内の雰囲気温度を25
0℃以上、好ましくは280〜330℃とする。
【0040】前記加熱筒を通過した糸条は加熱筒直下で
急冷固化され、次いで油剤が付与される。次に糸条は引
取ロールで300〜1000m/分、好ましくは450
〜800m/分の速度で引取られる。なお、前記加熱筒
の条件と引取り速度とは相互に関連づけて設定すること
が必要であるが、未延伸糸の複屈折が3×10-3〜15
×10-3、好ましくは5×10-3〜10×10-3の範囲
とする。
【0041】引取られた糸条は一旦捲取られることなく
連続して延伸工程に送られ延伸されるが、引取り糸は引
取りロールと該引取りロールに続けて配置された給糸ロ
ールとの間で1〜10%のストレッチを与えながら、更
に油剤を付与する。通常、引取りロール前では約50%
未満付与し、残りを引取りロールと給糸ロール間で付与
する。繊維に付着させる油剤の付着量は、捲取った繊維
に対し0.3〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.
5重量%である。
【0042】次に、延伸は2段以上の多段熱延伸法が採
用されるが、限界延伸倍率の90%以上、好ましくは9
2〜96%で延伸する。ここで限界延伸倍率とは5分間
糸切れすることなく延伸できる最高の延伸倍率のことで
ある。総合延伸倍率は3.5〜7.0倍、通常は4.0
〜6.5倍である。また延伸温度は最終延伸温度を23
0℃以上、好ましくは235〜250℃と高温であるこ
とが特徴である。
【0043】また、延伸に引き続いて熱弛緩処理を行な
うが、通常は前記最終延伸ロールとその後に配置したリ
ラックスロールとの間で6〜12%弛緩する。弛緩熱処
理は実質的に最終延伸ロール上で行なわれるため、温度
は230℃以上、好ましくは235〜250℃である。
以上の方法で得られる本発明に係る高強度ナイロン66
繊維は前記繊維構造パラメーターおよび繊維物性を有す
る。
【0044】次に上記高強度ナイロン66繊維は、撚係
数1500〜2300、好ましくは1600〜2000
の撚を下撚および上撚それぞれ反対方向にかけて、未処
理コードとする。未処理コードはそのまま、或いはスダ
レ状に製織した後ディッピング工程に送られる。ディッ
ピング工程では未処理コードに前記特定したレゾルシン
・ホルマリン・ラテックスからなる接着剤が付与され
る。接着剤は水性液として塗布または浸漬によって付与
されるが、この時のコード張力は0.1〜0.3g/d 程
度であり、特に前記特開昭63−175179号公報の
ように0.5g/d 以上の高張力としなくともよい。ま
た、特開平1−174628号公報のようにディッピン
グに先立って予め緊張熱処理を施しておく必要もない。
【0045】本発明高強度ナイロン66コードに付与す
る接着剤の量は1〜8重量%、好ましくは3〜6重量%
である。接着剤の付与量はコード構成、コードの処理速
度に合せ、ディップ液の濃度および液切り条件等によっ
て調整する。ディップ工程を通過したコードは接着剤液
を乾燥させるために、120〜160℃の乾燥ゾーンを
30秒〜2分程度通過させる。次いで200〜250℃
の高温の熱処理ゾーンに送り、20秒〜2分程度の緊張
熱処理を行なう。この時の張力はコードの中間伸度が所
定の値になるよう、次工程のノルマライジングの条件と
合せ調節するが、通常ディップコードのデニール当り
0.5〜1.5g張力をかける。次にコードはノマルラ
イジングゾーンに送られ弛緩熱処理を受ける。温度は2
00〜250℃、張力はディップコードのデニール当り
0.5〜1.0g程度で行なう。
【0046】そして、得られたナイロン66ゴム補強用
コードは本発明の要件を満たすものとなる。本発明に係
るナイロン66ゴム補強用コードはディップコード強力
が高いことは勿論、ゴム加硫時の強力保持性に優れてい
るため、高強力の加硫コードが得られる。そのため、本
発明に係るナイロン66ゴム補強用コードを用いると、
タイヤ補強材としてコード打ち込み本数を減らしたり、
スダレ状織物のプラス数を減らすことができる。あるい
は予めコードの繊度を低くしたコードを用いることがで
きる。いづれにしろ、補強機能を損うことなく繊維の重
量を減少させることができ、タイヤの軽量化が達成でき
る。
【0047】次に、本発明明細書本文、および実施例中
に記載した繊維構造特性、繊維物性、タイヤコード特性
等の定義、および測定法は次の通りである。 (1) 硫酸相対粘度 (ηr) 試料2. 5gを98%硫酸25ccに溶解し、オストワル
ド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0048】(2) 複屈折 (Δn) 日本光学工業 (株) 製POH型偏光顕微鏡を用い、光源
として白色光を用いてベレックコンペンセータ法により
測定した。 (3) 示差複屈折 (δΔn=Δns−Δnc) カールツアイスイエナ社 (東独) 製の透過定量型干渉顕
微鏡により干渉縞法で測定した。中心から表面への距離
の0. 9の位置の複屈折をΔnsとし、中心部の複屈折
をΔncとして、両者の差から求めた。
【0049】(4) 密度 (ρ) 軽液にトルエン、重液に四塩化炭素を用いた密度勾配管
法によって25℃で測定した。 (5) 結晶配向度 (fc) 理学電機 (株) 製X線発生装置 (4036A2型) を用
い、CuKα (Niフィルターを使用) を線源として測
定した (出力35KV、15mA、スリット2mmφ) 。2θ
=20. 60 付近に観察される (100) 面を円周方向
にスキャンして得られる強度分布の半値幅H0 から次式
を用いて求めた。
【0050】fc= (1800 −H0 ) /1800 (6) 非晶分子配向度 (fa) 複屈折、密度から求めた結晶化度および結晶配向度の値
を用い、下記 R. S.Stein et al, J. Polymer Sci., 2
1, 381, (1956) の式から求めた。 Δ=XfcΔ0c + (1−X) faΔ0a ここで、Δ:複屈折 X:結晶化度 fc:結晶配向度 fa:非晶分子配向度 Δ0c :結晶部の固有複屈折 Δ0a :非晶部の固有複屈折 (Δ0c =Δ0a =0. 73) (7) 繊維軸方向の長周期 (Dm) および繊維軸と直角方
向の長周期 (De) 理学電機 (株) 製小角X線発生装置 (RU2000型)
を用い、CuKα (Niフィルター使用) を線源として
測定した (出力50KV、150mA、スリット1mmφ) 。
撮影条件はカメラ半径400mm、フィルムはKodak DEF-
5、露出時間60分である。 小角X線散乱写真上の距離rからBragg の式 J=λ/2sin[{tan-1 (r/R) }/2] ここで、R:カメラ半径 λ:X線の波長 J:長周期 を用いて求めた。本発明ナイロン66繊維は層状四点散
乱を示すので、L.E.Alex-ander著、桜田監訳、浜田、梶
井訳、「高分子のX線 (下) 」、5章、化学同人(19
73) の定義により繊維軸方向に対応するスポット間距
離 (rm) から求めた長周期 (Jm) をDm (Å)、繊維軸
と直角方向に対応するスポット間距離 (re) から求め
た長周期 (Je) をDe (Å) とした。
【0051】(8) 力学的正接 (tanδ) 曲線における主
分散ピーク温度 (Tα) (株) オリエンテック社製“Vi
bron DDV-II”を用い、振動数110HZ、昇温速度3℃
/分で空気浴中 (23℃、50%rh) で測定した。 (9) 異物個数 フィラメント180mm中の異物個数を光学顕微鏡下で測
定した。但し、異物の大きさがフィラメントの長さ方向
に、該フィラメントの直径の1/10以上の長さを有す
る異物か、およびあるいはフィラメントの直径方向に、
該フィラメントの直径の1/25以上の長さを有する異
物のみをカウントし、1. 0mg当りの個数に換算した。
【0052】(10) 強度 (T/D) 、伸度 (E) 、中
間伸度 (ME) “テンシロン UTL−4L”型引張試験機 ( (株) オ
リエンテック社製) を用い、JIS L−1017、
7. 5によって測定した。中間伸度は荷重−伸長曲線に
おいて、 (5. 36×D×n) / (2×1000) kg時
の伸度とした。 (ここで、D:原糸の繊度、n:合撚糸
した原糸の本数) (11) 沸騰水収縮率 (ΔSW ) JIS L−1017、7. 14に従って測定した。
【0053】(12) 乾熱収縮率 (ΔS0 ) JIS L−1017、7. 10. 2Bに従って測定し
た。測定温度は177℃である。 (12) GY疲労寿命 JIS L−1017、3. 2. 2. 1Aに従って測定
した。
【0054】(14) 加硫後強力保持率 ディップコードを未加硫ゴムシートに平行に並べ、別の
未加硫ゴムシートと合わせてモールドセットし、175
℃に設定したヒートプレス機で30分加硫処理した。ヒ
ートプレス機からモールドを取り出した後直ちにモール
ドを水冷し、ゴム中のコードを急激に自由収縮させた。
次いでゴムシートからコードを取り出し、20℃、65
%RHの温湿度調整室に24時間以上放置した後加硫コー
ドの強力を測定し、加硫前のコード強力との比を求め
た。
【0055】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜6 ポリヘキサメチレンアジパミドに熱安定剤としてフェニ
ルホスホン酸を燐として100ppm 添加して液相重合
し、硫酸相対粘度2. 7まで重合したナイロン66ポリ
マをガット状に引き出して水冷した後、カッティッグし
て長さ約3mm、直径約3. 5mmの円筒状のチップを得
た。
【0056】該チップに沃化カリウムを50%の水溶液
および臭化カリウムを20%の水溶液として、ポリマ重
量に対しそれぞれ0. 1%となるよう添加吸着させ、次
いで酢酸銅を5%の水溶液として、ポリマ重量に対し銅
として80ppm となるよう添加吸着させた。次いで、上
記チップを塔式連続固相重合装置に送り、約150℃の
加熱窒素中で22時間固相重合し、硫酸相対粘度3. 6
とした。次に固相重合チップを調湿槽に送り、水分率を
0. 1重量%に調湿した後紡糸機ホッパーに供給した。
【0057】エクストルーダー型紡糸機を用いて、ポリ
マ温度290℃で溶融した後、10μの細孔を有する金
属不織布フィルターを組込んだ紡糸パック中を通過さ
せ、0. 3mmφの口金孔から紡糸した。口金直下には3
cmの断熱板を介して20cmの加熱筒に取り付け、該加熱
筒内の雰囲気温度を300℃に制御した。雰囲気温度と
は加熱筒の上端から10cm下の位置で、且つ最外周糸条
より1cm離れた位置で測定した雰囲気温度である。紡出
糸条は上記高温の加熱筒雰囲気を通過した後、該加熱筒
の直下に取り付けられた長さ120cmのユニフローチム
ニーを通過中に急冷された。該ユニフローチムニーでは
糸条に20℃の冷風が30m/分の速度で糸条の直角方
向から吹き付けられた。
【0058】次いで炭素数C13の高級炭化水素で20重
量%に希釈した本発明成分処理剤を付与した後、引取り
ロールで糸条速度を所定速度に制御して引取った。次い
で、引取りロールと給糸ロールとの間で5%のストレッ
チをかけながら本発明処理剤を原液のまま付与した。処
理剤は捲取り糸1. 0重量%となるよう付与したが、引
取りロール前で0. 2重量%、残りを引取りロールと給
糸ロールとの間で付与した。
【0059】次に糸条を延伸工程に送り、連続して延伸
した。延伸熱処理は3段熱延伸したのち1段弛緩処理法
で行なった。引取りロールは非加熱、給糸ロールは60
℃、第1延伸ロール温度を120℃、第2延伸ロール温
度を200℃、第3延伸ロール温度を200℃以上で変
化させた。延伸後の弛緩ロールは非加熱とした。引取り
ロールと給糸ロール間で5%のストレッチをかけながら
平滑剤、活性剤および微量の極圧剤、制電剤および酸化
防止剤等の添加剤等からなる混合非水系油剤を延伸後の
繊維に約1%付着するように付与した。
【0060】総合延伸倍率は未延伸糸の配向状態で変化
するが、限界延伸倍率の94%に設定した。3段延伸法
での延伸配分は、1段目を70%、2段目を20%、3
段目を10%とした。また弛緩率は5〜12%の間で変
化させた。紡糸速度、全延伸倍率、弛緩率等を変化させ
て製糸したが、延伸糸の繊度が約1260デニールとな
るよう紡糸速度、延伸倍率および弛緩率等に対応させて
吐出量を変化させた。
【0061】上記製糸条件のうち、本発明の高強度ナイ
ロン66繊維に係る製造条件以外で製造された繊維およ
び市販のナイロン66繊維を比較例4とした。また、更
に前記フェニルホスホン酸、沃化カリウム、酢酸銅等の
酸化防止剤を全て重合工程で添加し、固相重合して得た
チップを製糸条件を同一にして製糸して得られたナイロ
ン66繊維は比較例2,3とした。
【0062】上記本発明実施例および比較例について、
製糸条件および得られた延伸糸の繊維構造、繊維物性お
よび製糸収率等を表1に示した。次に上記得られた延伸
糸をそれぞれ10cm当り32回の下撚をかけた後、該下
撚コード2本を合わせて下撚と反対方向に同数の上撚を
かけて生コードを得た。生コードはリツラー社 (米) 製
“コンピュートリータ”ディッピング機を用いて、接着
剤を付与し、引き続いて熱処理した。接着剤は本発明例
としてノボラック型RFL液、比較例としてレゾール型
RFL液を用いた。接着剤の組成は表2に示した。付着
量は約5重量%となるよう液濃度および液切り条件を調
整した。
【0063】熱処理条件は、乾燥ゾーンを130℃で1
20秒間定長で通過させた後、235℃の熱処理ゾーン
を50秒間、熱処理ゾーン出口の応力 (張力をディップ
コードの繊度で除した値) が0.8g/d となるようスト
レッチをかけて通過させた。次いで、ノルマライジング
ゾーンでは230℃で50秒間、1%の弛緩を与えて熱
処理した。得られたディップコードについてタイヤコー
ドとしての特性を測定し、表3に示した。
【0064】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】また本発明ディップコードは、ゴム中に埋
め込まれ、加硫処理を受けた時、高強力で高伸度、すな
わちタフネスが高く、熱寸法安定性に優れ、かつ耐疲労
性も良好な加硫コードとなることがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明のナイロン66ゴム補強用コード
は、強度が9.5g/d 以上、伸度が18%以上の高強
度、高タフネスのディップコードであり、かつゴム加硫
時の強力低下が少なく、高強度の加硫コードが得られる
ので、各種ゴム補強用コードとして極めて有用である。
そのため、従来のコードと比べ、高強度の余裕分をコー
ドの繊度減少、コード本数の減少、スダレ状織物として
用いた場合はその枚数を減少させることができ、繊維材
料の削減、製品の軽量化に有効である。
【0069】また、従来のコードに比べ柔軟で、耐疲労
性も著しく改良されているので、特に苛酷な条件で使用
される航空機用タイヤや大型の建設車輛用タイヤとして
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // D06M 101:34 D06M 101:34 (56)参考文献 特開 昭60−162828(JP,A) 特開 平6−248508(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 15/00 - 15/72 D01F 6/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも95モル%以上がヘキサメチ
    レンアジパミド単位からなり、硫酸相対粘度が3.0以
    上のナイロン66繊維からなるゴム補強用コードであ
    り、該ナイロン66繊維が下記(イ)〜(ト)の特性を
    有するとともにコードの撚係数が1500〜2300で
    あって、該コードの表面に、下記に示される化合物
    〔A〕と化合物〔B〕とを、1/0.2≧〔A〕/
    〔B〕≧1/4(重量比)の割合で混合して得られた
    〔C〕とホルムアルデヒド〔D〕とを、アルカリ触媒の
    存在下に1/10≦〔D〕/〔C〕≦10/10(重量
    比)の割合で反応させて得られた縮合物〔E〕とゴムラ
    テックス〔F〕とを、1/8≦〔E〕/〔F〕≦1/4
    (固形分重量比)の割合で含有する水系接着剤を付与さ
    れてなることを特徴とするナイロン66ゴム補強用コー
    ド。 (イ)複屈折(Δn);Δn≧60×10-3 (ロ)示差複屈折(δΔn);δΔn=−5×10-3
    0×10-3 但しδΔn=Δns−Δnc (Δnsは単糸の中心から表面までの距離の0.9に相
    当する位置における複屈折であり、Δncは単糸の中心
    における複屈折) (ハ)結晶配向度(fc);fc≧0.88 (ニ)非晶分子配向度(fa);fa=0.70〜0.
    85 (ホ)繊維軸方向の長周期(Dm);Dm≧105Å (ヘ)繊維軸方向に対して直角方向の長周期(De);
    De=90〜130Å (ト)動的粘弾性測定であられる力学的正確接損失(tan
    δ) 曲線における主分散ピーク温度(Tα)≧125℃ 【化1】
  2. 【請求項2】 繊維中の銅含有量が30〜150ppm で
    あり、該繊維中の銅含有量の50倍以上の高濃度銅分を
    含有する異物であって、該異物の大きさがフィラメント
    の長さ方向に、該フィラメントの直径の1/10以上の
    長さを有する異物か、およびあるいはフィラメントの直
    径方向に、該フィラメントの直径の1/25以上の長さ
    を有する異物が、繊維1. 0mg中に80ケ以下である請
    求項1記載のナイロン66ゴム補強用コード。
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