JPH0820651A - 繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料

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JPH0820651A
JPH0820651A JP6156014A JP15601494A JPH0820651A JP H0820651 A JPH0820651 A JP H0820651A JP 6156014 A JP6156014 A JP 6156014A JP 15601494 A JP15601494 A JP 15601494A JP H0820651 A JPH0820651 A JP H0820651A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、耐衝撃強度に優れた繊維
強化複合材料を提供することである。 【構成】 少なくとも4.0GPaの引張強度と少なく
とも140GPaの初期引張弾性率を有し、且つボイド
直径が35Å以下のポリベンザゾール繊維を主たる補強
材としたことを特徴とする繊維強化複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化複合材料に関す
る。さらに詳しくは軽量にして且つ高強度、高剛性、耐
クリープ性を有し、また落雷等の危険性のある場所で用
いて安全な物品、特にゴルフシャフト、釣竿、テニス用
ラケット等に適した繊維強化複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維はガラス繊維に比較して高強
力、高剛性、且つ軽量であるため高性能複合材料として
多くの分野で用いられている。特に航空機、自動車等の
運搬装置やゴルフシャフト、釣竿、テニス用ラケット等
のスポーツ用品分野で一次あるいは二次構造体に広く利
用されてきた。一方、スーパー繊維と称される全芳香族
ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、超高分子
量ポリエチレン繊維等が出現したことでこれら補強材に
用いた高性能複合材料の開発が行われてきた。またハイ
ブリッド型複合材料例えば炭素繊維と全芳香族ポリアミ
ド繊維併用した高性能複合材料の検討も行われている。
スーパー繊維の中でもポリベンザゾール繊維(PBZ繊
維)は引張強度4.0GPa以上、初期引張弾性率14
0GPa以上、分解開始温度670C、限界酸素指数5
6と優れた力学特性と高い耐熱性・難燃性を有し、且つ
性能面でバランスのとれた高性能繊維であることから複
合材料の補強材として注目されてきた。最近、ポリベン
ザゾール繊維の工業的な生産技術が開発されるに至り該
繊維を補強材にした高性能複合材料の開発が本格化して
きた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、炭素繊維は複合
材料の補強材として優れた性能を有しているが、(1) 耐
衝撃性が低い、(2) 導電性で落雷等の危険がある等の欠
点のために用途展開に制約を受けている。一方、全芳香
族ポリアミド繊維又は全芳香族ポリエステル繊維を補強
材とした複合材料は、(1) 耐加水分解性に欠ける、(2)
強力並びに弾性率は炭素繊維を補強材にしたものに及ば
ない、(3) 耐衝撃性は炭素繊維補強材にしたものより高
いが未だ十分とはいえない等の欠点がある。なお、炭素
繊維と全芳香族ポリアミド繊維を補強材に併用したハイ
ブリッド型複合材料は互いの繊維の有する欠点はある程
度補えるが、反面、素材固有の特徴が半減されることも
ある。前記素材の欠点を解消すべく特開昭60−174
646号公報は補強材に超高分子量ポリエチレン繊維を
用いた複合材料を提案している。しかし、超高分子量ポ
リエチレン繊維は従来の素材に比較して、(1) 剛性が劣
る、(2) 接着性に欠ける、(2) 融点が140℃以下であ
り耐熱性に欠ける等の欠点があり複合材の用途は自ずと
制限される。高引張強度、高初期引張弾性率、難燃性、
耐変形性に優れるポリベンザゾール繊維を補強材に用い
れば従来素材の持つ欠点は解消でき、広い要求特性を満
たす本格的な繊維強化複合材料が期待できる。しかし、
開発の進行と共にポリベンザゾール繊維は耐衝撃強度や
耐加水分解性に難点があり補強材用にはさらに改良を要
することが分かってきた。本発明は耐衝撃強度に優れた
繊維強化複合材料の提供を目的とすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達
成すべく鋭意検討した結果、ポリベンザゾール繊維の耐
衝撃性該繊維のボイド直径と密接に関係しており、平均
ボイド直径を極力抑えたポリベンザゾール繊維を主たる
補強材に用いれば高性能複合材料が得られることを見い
出して本発明に至った。即ち、少なくとも4.0GPa
の引張強度と少なくとも140GPaの初期引張弾性率
を有し、且つボイド直径が35Å以下であるポリベンザ
ゾール繊維を主たる補強材としたことを特徴とする繊維
強化複合材料を趣旨とするものである。
【0005】本発明を詳細に説明する。本発明でいうポ
リベンゾオキサゾール繊維(PBO)ホモポリマー、ポ
リベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー及びそれら
PBO、PBTのランダム、シーケンシャルあるいはブ
ロック共重合体をいう。ここでポリベンゾオキサゾー
ル、ポリベンゾチアゾール及びそれらのランダム、シー
ケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーは、例えば
Wolfeらの「Liquid Crystalline Polymer Composition
s, Process and Products」U.S. Patent 4,703,103 (Oc
tober 27,1987) 、「 Liquid Crystalline Polymer Comp
ositions, Process and Products 」U.S. Patent 4,53
3,692(August 6,1985)、「Liquid CrystallinePoly(2,6
-Benzothiazole) Composition, Process and Products
」 U.S. Patent 4,533,724 (August 6,1985)、「Liqui
d Crystalline Polymer Compositions, Process and Pr
oducts 」U.S. Patent 4,533,693(August 6,1985)、 Ev
ersの「Thermooxidatively Stable Articulated p-Benz
obisoxazole and p-Benzobisthiazole Polymres」U.S.
Patent 4,359,567(November 16,1982); Tsaiらの「Met
hod for Making Heterocyclic Block Copolymer」U.S.
Patent 4,578,432 (March 25, 1986)、などに記載され
ている。PBZポリマーに含まれる構造単位としては、
好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択され
る。この繊維は少なくとも4.0GPaの引張強度と少
なくとも140GPaの初期引張弾性率を満たす強伸度
特性が必要である。該繊維の引張強度が4.0GPa未
満又は初期引張弾性率が140GPa未満の場合にあっ
ては繊維強化複合材料としての強力及び剛性が低くガラ
ス繊維や全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステ
ル繊維及び超高分子量ポリエチレン繊維と競合できなく
なる。また、複合材中に占める繊維含有比率を高めて強
力及び剛性の向上に対処する該繊維の特徴である高引張
強度と高初期引張弾性率に基づく軽量化の効果が失われ
る。
【0006】モノマー単位は構造式(a)〜(h)に記
載されている。そのポリマーは好ましくは、本質的に構
造式(a)〜(h)から選択されるモノマー単位からな
り、更に好ましくは本質的に構造式(a)〜(c)から
選択されたモノマー単位からなる。PBZポリマーのド
ープを形成するための好適な溶媒としては、クレゾール
やそのポリマーを溶解しうる非酸化性の酸が含まれる。
好適な酸溶媒の例としては、ポリリン酸、メタンスルフ
ォン酸及び高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げ
られる。更に適する溶媒はポリリン酸及びメタンスルフ
ォン酸である。また最も適する溶媒はポリリン酸であ
る。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】本発明の繊維強化複合材料の補強材として
使用するポリベンザゾール繊維はボイド直径が35Å以
下であることが重要である。これまでポリベンザゾール
繊維はスーパー繊維の中でも特に高い引張強度と高い初
期引張弾性率を有することは知られている。しかし、最
近、水分が存在すると引張特性は低下していくことが分
かり、本発明者はポリベンザゾール繊維の引張強度が水
分により低下する原因につき検討を続けてきた。その過
程において、(1) 引張強度の低下が水分によるポリベン
ザゾール分子鎖の加水分解によるによること、(2) 比較
的大きなボイドからの水分子の侵入が加水分解を加速し
ていることをを見い出すと共にさらに驚くべきことにポ
リベンザゾール繊維の衝撃特性は平均ボイド直径に関係
していることを知見した。このとは繊維のボイド直径を
小さくすれば加水分解性のみならず耐衝撃性も改善され
ることを意味している。本発明者はボイド直径と衝撃特
性の関係につき詳細な検討を行った結果、平均ボイド直
径が35Å以下であるポリベンザゾール繊維を補強材に
用いた複合材は従来品に比べて耐衝撃性は著しく向上す
ることが改善されるも明かとなった。さらに繊維のボイ
ド直径を決定する製糸要因を詳細に検討した結果、紡糸
口金から吐出された紡出糸中のポリリン酸を抽出する非
溶媒性の液体(例えばリン酸水溶液)の濃度が極めて大
きな影響力を持つことを見い出した。具体的にはポリベ
ンザゾール重合体を主成分とするポリマーとポリリン酸
からなるドープから紡糸して繊維を製造するに際し、濃
度5重量%以上のリン酸水溶液を用いることで平均ボイ
ド直径35Å以下を達成することが出来る。なお、紡出
糸は抽出・洗浄処理により繊維中のポリリン酸を所望の
水準まで低減させた後で乾燥処理を施される。この乾燥
処理をオンラインで行う場合、平均ボイド直径を小さく
する観点からは糸条の進行方向に順次温度を高めて加熱
する所謂温度勾配型の乾燥方式が推奨される。
【0010】ポリベンザゾール繊維の単糸繊度に特に制
限はないが通常0.3〜10デニールの範囲が好まし
い。単糸繊度を下げて繊維本数を多くすると複合材にし
た時に外力が分散して衝撃強度は向上する。しかし、単
糸繊度の小さい繊維を得ようとすると一般に紡糸ドラフ
ト(=糸条引取速度/吐出線速度)は高くなる方向とな
り紡糸に際して糸切れを生じ易くなる。現在の技術水準
では繊度0.3デニール未満では安定した紡糸調子が得
にくくなり紡糸生産性は低下する。他方、単糸繊度が太
くすると紡出糸中のポリリン酸の除去に要する時間が長
くなり糸条洗浄装置の長大化と糸掛け操作性の低下につ
ながる。また同一ヤーン繊度の場合、単糸繊度を太くす
れば繊維本数は減ることになり複合材にした時に外力は
分散しにくくなり衝撃強度が低下する。したがって実用
的な単糸繊度の上限は10デニールが好ましい。
【0011】後述するようにポリベンザゾール繊維とマ
トリックス樹脂との接着性は繊維強化複合材の特性及び
コスト的に重要な因子である。接着性を向上させる手段
として種々の方法が考えられるが比較的簡便で顕著な効
果が得られるのは繊維断面を非円形、所謂異形断面とす
ることである。この異形断面繊維は非円形断面を有する
吐出孔からポリベンザゾールのドープを紡糸することで
比較的容易に得ることができる。
【0012】本発明の繊維強化複合材料の補強材として
使用するポリベンザゾール繊維は長繊維として使用して
もよく、また適当長さに切断された短繊維あるいはパル
プ状繊維として使用することもできる。長繊維として使
用する場合、単に引き揃えるだけでもよいし、平織、朱
子織、綾織等の各種構造の織物として使用することが出
来る。また目的によっては他の繊維、例えば炭素繊維、
ガラス繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエ
ステル繊維及び超高分子量ポリエチレン繊維と混合使用
する事も可能である。本発明に使用するポリベンザゾー
ル繊維はマトリックス樹脂との接着性を向上させるため
製糸工程上必要な油剤などの処理剤、仕上げ剤等を抽出
等により予め除去してもよいし、さらに、該繊維上に予
めカップリング剤や表面改質剤で処理を行ってもよい。
また、ポリベンザゾール繊維の表面にコロナ放電処理を
行うことも推奨される。
【0013】本発明の繊維強化複合材料は前記ポリベン
ザゾール繊維に熱硬化性ポリマー材料例えば不飽和ポリ
エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェ
ノール樹脂、または熱可塑性ポリマー材料例えばナイロ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂、ABS樹脂、さらには弾性ポリマー材料、ゴ
ム等をマトリックス樹脂に用いて成形される。後者の場
合、補強繊維とマトリックス繊維とを編成してシート状
物とし、これを溶融変形して熱可塑性複合材料とするこ
とができる。ここで重要なことはポリベンザゾール繊維
は分解開始温度が670℃、限界酸素指数56と既存有
機合成繊維の中では極めて高い耐熱性・難燃性を有して
おり他のスーパー繊維を補強材にする場合に比して熱的
な面で熱硬化性又は熱可塑性の何れの場合もマトリック
ス樹脂の選択の自由度は大きいことである。
【0014】次に繊維強化複合材料の製造方法について
簡単に説明する。本発明の繊維強化複合材の補強用繊維
として用いるポリベンザゾール料繊維は、ポリリン酸を
溶媒に用いたポリベンザゾール重合体のドープを軟化点
以上で熱分解点未満の温度に保つて紡糸部に供給し、複
数個の吐出細孔が配設された紡糸口金を通して横吹き気
流帯域中に吐出され、該横吹き気流帯域中を通過した
後、該紡出糸を引き続いて非溶媒性の液体からなる抽出
媒帯と接触させる。ここで非溶媒性の液体としては濃度
5重量%以上のリン酸水溶液を用いることが肝要であ
る。次いで該糸条は洗浄装置例えばスプレー又はシャワ
ーが配設された複数個のローラー群に巻掛けて繊維中の
リン酸の低減・除去を行う。該洗浄ローラー群を通過さ
せた糸条は必要に応じて表面に付着する水分を例えばエ
アナイフ等の手段で低減せしめた後、直ちにパッケージ
に巻き上げてバッチで乾燥を行ってもよいが一旦パッケ
ージに巻き上げた後に行ってもよいが生産性の面からは
一旦巻き上げることなくオンライン処理することが好ま
しい。この場合、糸条の乾燥手段に特に制限はなく例え
ば加熱ローラーに接触させる、高温加熱気体中を走行さ
せる、高周波による内部加熱等の手段が利用できる。な
お、必要に応じて乾燥処理後の糸条に仕上げ剤を付与し
てもよい。
【0015】次に繊維強化複合体の成形について述べ
る。ポリベンザゾール長繊維をマトリックス樹脂と組合
せる方法には例えば一方向に引き揃えた該繊維束にマト
リックス樹脂又はその溶液をスプレーあるいは含浸させ
たり、また予め該繊維を平織、朱子織等の織物とした後
に上記マトリックス樹脂又はその溶液をスプレーあるい
は含浸させることも可能である。あるいは、ポリベンザ
ゾール短繊維をマトリックス樹脂又はその溶液中に含浸
させ、混練することもできる。さらに上述のような複合
材料の成形に際しては、補強材用繊維とマトリックス樹
脂との混合物を加熱(必要に応じて加圧)することによ
り直接成形することもできるが、特にマトリックス樹脂
がエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性
樹脂である場合には、所謂プリプレグあるいはプリミッ
クスと称されるように、予めポリベンザゾール繊維ある
いはその織物に含浸させたマトリックス樹脂を[B−ス
テージ]と称されている中間段階まで硬化反応を進めさ
せた後、所定の加熱及び加圧条件を用いて成形し、複合
材料とする方法も可能である。このように本発明の繊維
強化複合材料は種々の成形方法により有用な成形物を提
供することができるが代表的な成形方法は圧縮成形であ
る。つまり所定の形式の金型を用いて機械的に圧縮ある
いはオートクレーブ中で気体による圧力をかける等によ
って成形することができる。その他に通常用いられるよ
うな注型成形方、スプレー法、パンドレイアップ法、イ
ンジェクション成形法、プルトロージョン法等、補強用
繊維の形状及び/又はマトリックス樹脂の特性に合わせ
て選択することができる。
【0016】以下に本発明に置ける評価尺度は下記の方
法で求めた。 <繊度>試料を標準状態(温度22+2度、相対湿度6
5+2%の状態)の試験室で24時間静置した後、ラッ
プリールを用いて試料90mを採取し、その重量を測定
して9000mの重量に換算して繊度とした。 <繊維のボイド直径>小角X線散乱強度の測定はクラツ
キカメラを用いて測定した。試料は長さ約6mの繊維を
測定ホルダーに巻き付けて用いた。X線の出力は45K
v・150mAで、CuKα線をニッケルフィルターで
単色化して用いた。クラツキカメラの縦制限スリットは
42mm、巾制限スリットは0.07mm、受光部スリ
ットの縦制限10mm、巾制限は0.14mmで行っ
た。測定した範囲(2θ)は0.1度〜3.0度であ
る。ステップ幅は0.025度刻みで、30秒若しくは
それ以上を積算した。バックグラウンド散乱の補正は、
試料及び空気散乱の測定結果から次式を用いて行った。 I=μIsample−Iair μ=Iair(0)/Isample(0) ここでIは真の散乱強度、Isampleは試料を入れた状態
での実測散乱強度、Iair は試料を入れない状態で測定
した散乱強度をそれぞれ示す。試料を測定した後、散乱
角が0度で強度測定を行い、試料の吸収強度を決定し
た。ボイドサイズの測定はギニエプロットを用いて行っ
た。散乱角度(I)の対数と散乱ベクトル(k)の自乗
をプロットし、kの自乗の値が0から0.01Å1/2
範囲のデーターについて直線近似し、直線の傾き(S)
から次式を用いて計算した。 D=2(s)1/2 <繊維の引張強度、初期引張弾性率および衝撃強度の測
定法>JIS L1013(1981)に規定された方
法と条件によって測定した。 <複合材料の曲げ強度、衝撃強度の測定法>JIS K
6911(1979)に規定された方法と条件に準じた
方法と条件出測定した。但し、成形物の試験試料の大き
さは、厚さ3mm、幅25mm、長さ63.5mmとし
た。
【0017】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳述するが本発
明はもとより、これらの実施例に限定されるものではな
い。 <実施例1>ポリベンズオキサゾール重合体とポリリン
酸からなる濃度14重量%のドープを断面形状が楕円で
孔径0.17μm(円形断面相当径に換算した)を有す
る紡糸口金から吐出して該紡糸口金の下方で75℃に加
熱された空気を流速0.5m/秒で吹き当てた後、濃度
24重量%のリン酸水溶液浴に導入して溶媒の抽出を行
い、次いで駆動ローラーで糸条速度を250m/分に規
定した後、ネルソン型のローラー群に巻き掛け、該ロー
ラー上でスプレー状にイオン交換水を吹き付けて糸条に
残留するリン酸を抽出・除去した。さらに該糸条を18
0〜240℃の温度に加熱されたネルソン型のローラー
群に巻き掛けて乾燥処理を行い、次いでエチレンオキサ
イドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体を主成
分とするポリエーテル系の仕上げ油剤を付与して繊度5
00D/332F、平均ボイド直径21Å、引張強度
5.8GPa、初期引張弾性率271GPa、衝撃強度
452ジュール/dのポリベンズオキサゾールマルチフ
ィラメント繊維を得た。該マルチフィラメントをエチレ
ンとグリシジルメタクリレート(重量比95対5)の共
重合体の20%2分散液に、該共重合体の付着率3%ow
fとなるように浸漬処理した。浸漬処理後のマルチフイ
ラメントをフィラメントワインデング法により引き揃
え、エポキシ樹脂系溶液[アラルダイトLY564(チ
バギイギー社製)]に埋め込んだ。次いでこれらを80
℃で4時間硬化させて表1の実施例1に示す特性の繊維
強化複合材料を得た。
【0018】<実施例2>実施例1において抽出浴のリ
ン酸水溶液の濃度16重量%に変えた以外は実施例1の
条件を用いて紡糸・洗浄・乾燥・油剤処理を行って、繊
度500D/332F、平均ボイド直径29Å、引張強
度5.8GPa、初期引張弾性率269GPa、衝撃強
度427ジュール/dの特性を有するポリベンズオキサ
ゾールマルチフィラメント繊維を得た。該繊維を用いて
実施例1に記載したと同様の方法・条件で繊維強化複合
材に加工した。
【0019】<実施例3>実施例1において紡出糸に接
触させるリン酸水溶液の濃度7重量%に変えた以外は実
施例1の条件を用いて紡糸・洗浄・乾燥・油剤処理を行
って、繊度500D/332F、平均ボイド直径34
Å、引張強度5.8GPa、初期引張弾性率266GP
a、衝撃強度414ジュール/dの特性を有するポリベ
ンズオキサゾールマルチフィラメント繊維を得た。該繊
維を用いて実施例1に記載したと同様の方法・条件で繊
維強化複合材に加工した。
【0020】<比較例1>実施例1において紡出糸に接
触させるリン酸水溶液の濃度3.5重量%に変えた以外
は実施例1の条件を用いて紡糸・洗浄・乾燥・油剤処理
を行って、繊度500D/332F、平均ボイド直径3
9Å、引張強度5.7GPa、初期引張弾性率266G
Pa、衝撃強度389ジュール/dの特性を有するポリ
ベンズオキサゾールマルチフィラメント繊維を得た。該
繊維を用いて実施例1に記載したと同様の方法・条件で
繊維強化複合材に加工し、これを比較例1とした。
【0021】<比較例2>実施例1において紡出糸にポ
リベンザゾールの固有粘度を15dl/gに変えた以外
は実施例1の条件を用いて紡糸・洗浄・乾燥・油剤処理
を行って、繊度500D/332F、平均ボイド直径2
3Å、引張強度3.9GPa、初期引張弾性率138G
Pa、衝撃強度339ジュール/dの特性を有するポリ
ベンズオキサゾールマルチフィラメント繊維を得た。該
繊維を用いて実施例1に記載したと同様の方法・条件で
繊維強化複合材に加工した。
【0022】<比較例3〜5>実施例1において補強繊
維に繊度1000D/200Fの超高分子量ポリエチレ
ン繊維、繊度1500D/1000Fのポリパラフェニ
レンテレフタルアミド繊維(ケブラー29 デュポン社
商品名)及び繊度1200D/1000Fの炭素繊維
をそれぞれ用いて繊維強化複合材に成形し、比較例3、
4、5とした。上記実施例1〜3及び比較例1〜5の評
価結果をまとめて表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1より本発明に属する実施例1〜3の繊
維強化複合材は曲げ特性、衝撃特性ともにバランスがと
れて高水準にあり、特に衝撃特性は平均ボイド直径が大
きなポリベンズオキサゾール繊維を補強材に用いた比較
例1や低い引張強度・初期引張弾性率のポリベンズオキ
サゾール繊維を用いた比較例2及び補強繊維が超高分子
量ポリエチレン繊維やポリパラフェニレンテレフタルア
ミド繊維である比較例3〜5の繊維強化複合材に比べて
衝撃性の著しく改善されていることが分かる。
【0025】
【発明の効果】本発明の繊維強化複合材料は従来の繊維
強化複合材料に比べて高強力、高剛性、高衝撃強度であ
る利点を有している。したがって本発明の繊維強化複合
材料を用いると従来にない高機能を備えたスポーツ用
品、例えばゴルフシャフト、テニス用ラケット等また運
搬装置・設備、例えば航空機、自動車、自転車、船舶等
の製造が可能になる。中でも繊維強化複合材料の主流で
ある炭素繊維可強化複合材料に比べて落雷の危険性がな
いことも利点である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも4.0GPaの引張強度と少
    なくとも140GPaの初期引張弾性率を有し、且つボ
    イド直径が35Å以下のポリベンザゾール繊維を主たる
    補強材としたことを特徴とする繊維強化複合材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11218185A (ja) * 1998-02-03 1999-08-10 Kurashiki Kako Co Ltd 防振マウント
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