JP4009885B2 - 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産業用資材として好適な強度及び弾性率が著しく優れたポリベンザゾール繊維及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリベンザゾール繊維は現在市販されているスーパー繊維の代表であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維の2倍以上の強度と弾性率を持ち、次世代のスーパー繊維として期待されている。
【0003】
ところで従来、ポリベンザゾール重合体のポリ燐酸溶液から繊維を製造することは公知である。例えば、紡糸条件については米国特許 5296185号、米国特許5385702 号があり、水洗乾燥方法についてはW094/04726号、熱処理方法については米国特許5296185 号にそれぞれ提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来の製造法による高強度のポリベンザゾール繊維の弾性率は、米国特許 5296185号に記載されたような 350℃以上の熱処理をしても概ね290GPa止まりである。実験室レベルでは極めて高い弾性率が報告されているが、5.0GPa以上の強度を有しながら弾性率が290GPa以上の繊維糸条(フィラメントの集合体)は、特殊な紡糸条件下に分子緩和を抑制することにより実現した例(特開平8-325840号)を除き、未だ工業的技術と呼べるレベルでの容易な生産技術は得られていない。
【0005】
そこで、本発明者らは、有機繊維材料として究極の弾性率を有するポリベンザゾール繊維を容易に製造する技術を開発すべく鋭意研究した。
【0006】
繊維の究極物性を実現する手段としては、いわゆるラダーポリマーなどの剛直ポリマーが考えられてきたが、こうした剛直なポリマーは可とう性が無く、有機繊維としてのしなやかさや加工性を持たせるためには、直線状のポリマーであることが必須条件である。
【0007】
S.G.Wierschke らがMaterial Research Society Symposium Proceedings Vol.134, p.313 (1989年)に示したように、直線上のポリマーで最も高い理論弾性率を持つのはシス型のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールである。この結果は田代らによっても確認され(Macromolecules. vol.24, p.3706(1991年))、ポリベンザゾールのなかでも、シス型のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが475GPaの結晶弾性率を持ち(P. Galen らMaterial Research Society Symposium Proceedings Vol. 134,p.329(1989 年))、究極の一次構造を持つと考えられた。従って究極の弾性率を得るためには、ポリマーとしてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを素材とするのが理論的な帰結である。
【0008】
該ポリマーの繊維化は米国特許 5296185号、米国特許 5385702号に記載された方法で行われ、熱処理方法は米国特許 5296185号に提案がなされている方法で行われるが、かかる方法で得られるヤーン(繊維糸条)の弾性率は高々290GPaであり、結晶弾性率の61%を実現しているに過ぎない。従ってこれらの方法の改良について研究の必要性を痛感し、次に示す方法により所期の物性を工業的に容易に達成できることを見出した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は小角X線散乱の赤道ストリークから構成したギニエプロットにおける散乱ベクトルの2乗k2が0.004 から0.02(Å-2)の範囲内で凸の変曲点を有し、且つ結晶配向パラメーター<sin2 φ> が0.025 未満であることを特徴とする高弾性率ポリベザゾール繊維であり、かかる繊維を一定張力下で500℃以上の熱処理を施すことにより弾性率が290GPa以上、強度が5.0GPa以上になることを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊維である。
またポリベンザゾールとポリ燐酸からなる紡糸ドープを、口金から非凝固性の気体中に押し出して、ド−プフィラメントが50℃以下の温度に達した後、非水系凝固剤に接触させて凝固させ、次いでフィラメントを水洗及び乾燥することを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊維の製造方法であり、更に水洗及び乾燥後、フィラメントを一定張力下で500℃以上の温度で熱処理することを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊維の製造方法。
【0010】
ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)とポリ燐酸から成る紡糸ドープを紡糸口金から紡出する。その後ド−プフィラメントは凝固工程を経て、得られたフィラメントは中和、水洗、乾燥、張力下の熱処理を経て製造される。凝固浴に突入以前のドローゾーンにあるドープ糸条(ドープフィラメントの集合体)は、PBOの分子鎖は液晶状態にあり且つ延伸方向に高配向状態にある。一般に、繊維を高弾性率化せしめるためには、繊維中の結晶配向を高める必要がある。そのためには、ドローゾーンで分子鎖の高配向状態を保ったままでドープ糸条を凝固させる必要がある。しかし、従来技術で行われている様な水又は燐酸水溶液を凝固剤として用いると、凝固過程での水分子のドープ糸条内部への浸透速度(拡散速度)が早すぎて、ドローゾーンで一旦形成された微細構造を乱し、結果として水洗、中和、乾燥を経て張力下で熱処理を行っても高弾性率化しない欠陥があった。本発明は、非水系の凝固剤を用いることで、ドローゾーンで形成した高配向状態を保ったままドープ糸条が凝固し、繊維を形成する。こうして得られる繊維の微細構造は、繊維を構成しているミクロフィブリルが従来製法に比べて直径が均一で且つ繊維軸と直角方向により規則正しく整列していることを特徴とする。更に、該繊維を張力下に熱処理することで、今までに得られなかった高強度で且つ高弾性率の繊維を容易に得ることが出来ることが判明した。
【0011】
かかる繊維の強度は5.0GPa以上で、弾性率は290GPa以上であり、好ましくは強度が5.0GPa以上で弾性率は350GPa以上、又は強度は6.2GPa以上で弾性率は300GPa以上である。
【0012】
本発明は、かかる技術的背景により、これまでの技術的困難を克服しほぼ結晶弾性率を達成する高強度高弾性率ポリベンザゾール繊維を提供しようとするものである。上記の構造的特徴を発現させるため、本発明のポイントは以下に示す比較的簡単な手法により実現できる。即ち、実質的にポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールからなるポリマーのドープを紡糸口金から非凝固性の気体中に押し出して得られた紡出糸を凝固浴中に導入して糸条を凝固させた後、乾燥、巻き取りを行うが、吐出糸条を50℃以下に冷却した後凝固液と接触せしめ、さらに凝固剤として水又は燐酸水溶液以外の非水系で且つポリベンゾビスオキサゾールに対して実質的に相溶性を有しない溶剤を使い、更に500℃以上の温度で、張力下に熱処理することを特徴とする。
【0013】
以下、更に本発明を詳述する。本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、PBOホモポリマー、及び実質的に85%以上のPBO成分を含みポリベンザゾール(PBZ)類とのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンザゾール(PBZ)ポリマーは、例えばWolf等の「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products 」米国特許第4703103 号(1987年10月27日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products 」米国特許第4533692 号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Compositions, Process and Products 」米国特許第4533724 号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products 」米国特許第4533693 号(1985年8月6日)、Evers の「Thermooxidative-ly Stable Articulated p-Benzobisoxazole and p-Benzobisoxazole Polymers」米国特許第4539567 号(1982年11月16日)、Tsaiらの「Method for making Heterocyclic Block Copolymer」米国特許第4578432 号(1986年3月25日)、等に記載されている。
【0014】
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。モノマー単位は構造式 (a)〜(h) に記載されているモノマー単位から成り、更に好ましくは、本質的に構造式 (a)〜(c) から選択されたモノマー単位から成る。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
実質的にPBOから成るポリマーのドープを形成するための好適溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解し得る非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例としては、ポリ燐酸、メタンスルフォン酸及び高濃度の硫酸或いはそれ等の混合物があげられる。更に適する溶媒は、ポリ燐酸及びメタンスルフォン酸である。また最も適する溶媒は、ポリ燐酸である。
【0018】
溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なくとも約7重量%であり、更に好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは14重量%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は20重量%を越えることはない。
【0019】
好適なポリマーやコポリマーあるいはドープは公知の手法により合成される。例えばWolfe 等の米国特許第4533693 号(1985年8月6日)、Sybert等の米国特許第4772678 号(1988年9月20日)、Harrisの米国特許第4847350 号(1989年7月11日)に記載される方法で合成される。実質的にPBOから成るポリマーはGregory 等の米国特許第5089591 号(1992年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒中での比較的高温、高剪断条件下において高い反応速度での高分子量化が可能である。
【0020】
この様にして重合されるドープは紡糸部に供給され、紡糸口金から通常100℃以上の温度で吐出される。口金細孔の配列は通常円周状、格子状に複数個配列されるが、その他の配列であっても良い。口金細孔数は特に限定されないが、紡糸口金面における紡糸細孔の配列は、吐出糸条間の融着などが発生しないような孔密度を保つ必要がある。
【0021】
紡出糸条は十分な延伸比(SDR)を得るため、米国特許第5296185 号に記載されたように十分な長さのドローゾーン長が必要で、かつ比較的高温度(ドープの固化温度以上で紡糸温度以下)の整流された冷却風で均一に冷却されることが望ましい。ドローゾーンの長さ(L)は非凝固性の気体中で固化が完了する長さが必要であり大雑把には単孔吐出量(Q)によって決定される。また紡出糸に所望の構造形成の要件としては、フィラメントは50℃以下、好ましくは45℃以下に冷却させるた後凝固液と接触させることが肝要である。50℃以上であれば緩和効果により繊維の結晶配向が十分向上しないという問題がある。また良好な繊維物性を得るにはドローゾーンの取り出し応力がポリマー換算で(ポリマーのみに応力がかかるとして)2g/d以上が望ましい。
【0022】
ドローゾーンで延伸された糸条は次に凝固浴に導かれる。紡糸張力が高いため、凝固浴の乱れなどに対する配慮は必要でなく如何なる形式の凝固浴でも良い。例えばファンネル型、水槽型、アスピレータ型あるいは滝型などが使用出来る。凝固液は非水系でかつポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない液体を使用する。非水系の凝固液としては、分子内に含有する炭素数が10以下のアルデヒド類、ケトン類、アルコール類又はそれらの混合液体が好ましく、さらに好ましくはエタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトンまたはそれらの混合液体である。凝固後に最終的に水洗浴において糸条が含有する燐酸を99.0%以上、好ましくは99.5%以上抽出する。また凝固浴を多段に分離し最終的に水で水洗しても良い。凝固後の繊維のミクロフィブリルの配列と結晶配向を更に高めるため、凝固、水洗、中和、乾燥工程の途中若しくは工程間で、ポリ燐酸や凝固剤、中和剤、又は水を繊維内部に含んだ糸条に張力を賦与しても良い。さらに該繊維束を水酸化ナトリウム水溶液などで中和し、水洗することが望ましい。
【0023】
ポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない非水系の凝固液を用いることで、水洗後の繊維の微細構造が水又は燐酸水溶液を凝固剤として用いる従来製法と異なる。即ち、水洗後の糸条の小角X線散乱像を後述する方法で測定すると、赤道ストリークが現れるがその散乱強度の散乱角依存性に特徴が現れる。図1に従来製法で作成した水洗後の繊維の小角散乱の散乱角依存性を示したギニエプロット、図2に、本発明の方法で作成した、水洗後の繊維の図1と同じギニエプロットを示す。本発明の方法で作成した繊維のギニエプロットには0.004<k2<0.02(Å-2) の領域で上に明瞭な凸の変曲点が生じる。小角X線散乱の理論に従えば、上に凸の変曲点の由来は繊維の微細構造を構成するミクロフィブリルの繊維軸と垂直方向への規則的な配列の存在と解される。勿論従来方法で製造した水洗後の繊維の微細構造もミクロフィブリルより出来ているが図1に示すようにギニエプロットは0.003<k2<0.04(Å-2) に亘る広い範囲で直線に従い変曲点が存在しないことが特徴である。このことは、本発明の方法で製造した水洗後の繊維はミクロフィブリルの直径が均一で且つ繊維軸の垂直方向への配列の規則性が高い微細構造を呈していることを意味する。
【0024】
更に水洗糸の結晶配向を後述する方法で測定し比較すると、従来方法で製造した繊維糸条の配向パラメーター<sin2 φ> が0.025以上であるのに対し、本発明の方法で製造した繊維の場合は0.025 未満である。従って本発明の紡出糸の結晶配向は従来製法に比べて高い。
【0025】
該水洗糸を乾燥後、500℃以上で張力下に熱処理を施すことにより弾性率290GPa以上、強度5.0GPa以上の繊維糸条を得ることが出来る。本発明の凝固方法を用いることで微細構造を乱すことなく凝固が進行した結果と考えられる。水洗後の繊維の特徴ある微細構造が、次の熱処理工程を経ることでより高い弾性率と強度を有する繊維に変化する為に必須の前駆体であると解される。
【0026】
【測定方法】
<小角X線散乱の測定方法>
小角X線散乱は、下記の方法で行った。測定に供するX線は、(株)リガク製ローターフレックスRU-300を用いて発生させた。ターゲットとして銅対陰極を用い、出力30kV x 30mA のファインフォーカスで運転した。光学系は(株)リガク製点収束カメラを用い、X線はニッケルフィルターを用いて単色化した。検出器は、フジ写真フィルム(株)製イメージングプレート(FDL UR-V)を用いた。試料と検出器間の距離は200mm 乃至350mm の間の適当な距離でよい。空気などからの妨害バックグラウンド散乱を抑えるため、試料と検出器の間は、ヘリウムガスを充填した。露光時間は2時間乃至24時間であった。イメージングプレート上に記録された散乱強度信号の読みとりは、富士写真フィルム(株)製デジタルミクログラフィー(FDL5000) を用いた。得られたデータには、バックグラウンド補正を施した後赤道方向の散乱強度I に対してギニエプロット(バックグラウンド補正後の散乱強度の自然対数ln(I) を散乱ベクトルの2乗k2に対してプロットする)を作成した。ここで散乱ベクトルkはk=(4π/ λ)sinθ、λはX線の波長1.5418Å、θは散乱角2θの半分である。
【0027】
<結晶配向の測定方法>
X線回折法を用いて水洗後の繊維糸条の結晶配向を測定した。測定に供するX線は(株)リガク製ローターフレックスRU-200を用いて発生させた。ターゲットは銅対陰極を用い、ニッケルフィルターで単色化した。出力40kVx100mAのノーマルフォーカスで運転した。光学系は(株)リガク製3スリット光学系小角X線散乱装置を用いた。ピンホール直径は0.15mmであった。糸条の並べ方に由来する配向の乱れを除くため、糸条1本のみを測定に供した。露光時間は10分乃至1時間であった。回折X線は試料から80mmの位置で上述のイメージングプレートを用いて検出した。回折点の指数づけはFratini ら(Material Research Society Symposium Proceedings Vol.134, p.431(1989年))の提案した結晶模型に従った。(200) 面のデバイ環に沿った回折点の方位角方向の強度分布からバックグラウンド補正の後 [数1]で定義する配向パラメーター<sin2 φ> を評価した。
【0028】
【数1】
ここでI(φ) は(200) 面のデバイ環に沿って測ったバックグラウンド補正後の回折強度の方位角分布、φは赤道から測った方位角である。
【0029】
【実施例】
以下、更に実施例を示すが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1,3,4,比較例1,2,3,4 >
米国特許第4533693 号に示される方法によって得られた、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24.4dL/gのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール14.0(重量)%と五酸化リン含有率83.17%のポリ燐酸から成る紡糸ドープを紡糸に用いた。ドープは金属網状の濾材を通過させ、次いで2軸から成る混練り装置で混練りと脱泡を行った後、昇圧させ、重合体溶液温度を170℃に保ち、孔数34を有する紡糸口金から170℃で紡出し、温度60℃の冷却風を用いて吐出糸条を冷却した後、さらに自然冷却で40℃まで吐出糸条を冷却した後、温度を30±2℃に保った凝固浴中に導入した。紡糸条速度は凝固浴下に設けたゴゼットロールに巻き付け一定速度を与えた。引き続いて第2の抽出浴中でイオン交換水で糸条を洗浄した後、0.1 規定の水酸化ナトリウム溶液中に浸漬し中和処理を施した。更に水洗浴で水洗した後、巻き取り、80℃の乾燥オーブン中で乾燥し更に張力7.0g/d、温度600℃の状態で1.4秒間熱処理を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1と同じ条件で製造した水洗上がりの繊維糸条に未乾燥状態で2.4GPaの張力を0.2 秒間賦与した。更に実施例1と同様の乾燥、熱処理を行った。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1より本発明の繊維は従来の繊維に比べて強度とともに著しい弾性率の向上が見られ、物性上、極めて優れていることが理解される。
本発明の繊維は、ケーブル、電線や光ファイバー等のテンションメンバー、ロープ、等の緊張材はもとより、ロケットインシュレーション、ロケットケイシング、圧力容器、宇宙服の紐、惑星探査気球、等の航空、宇宙資材、耐弾材等の耐衝撃用部材、手袋等の耐切創用部材、消防服、耐熱フェルト、プラント用ガスケット、耐熱織物、各種シーリング、耐熱クッション、フィルター、等の耐熱耐炎部材、ベルト、タイヤ、靴底、ロープ、ホース、等のゴム補強剤、釣り糸、釣竿、テニスラケット、卓球ラケット、バトミントンラケット、ゴルフシャフト、クラブヘッド、ガット、弦、セイルクロス、競技(走)用シューズ、スパイクシューズ、競技(走)用自転車及びその車輪、スポーク、ブレーキワイヤー、変速機ワイヤー、競技(走)用車椅子及びその車輪、スキー、ストック、ヘルメット、等のスポーツ関係資材、アバンスベルト、クラッチファーシング等の耐摩擦材、各種建築材料用補強剤及びその他ライダースーツ、スピーカーコーン、軽量乳母車、軽量車椅子、軽量介護用ベッド、救命ボート、ライフジャケット、等広範にわたる用途に使用出来る。
【0033】
【発明の効果】
本発明によると従来得られなかった高強度と高弾性率を合わせ持つポリベンザゾール繊維を工業的に容易に製造することを可能とし、産業用資材として実用性を高め利用分野を拡大する効果が絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術で製造した水洗後の糸条のギニエプロット。
【図2】 今回提案の技術で製造した水洗後の糸条のギニエプロット。
Claims (6)
- 分子内に含有する炭素数が10以下のアルデヒド類、ケトン類、アルコール類又はそれらの混合液体からなる、非水系でかつポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない液体を凝固液として使用することを特長とし、小角X線散乱の赤道ストリークから構成したギニエプロットにおける散乱ベクトルの2乗k2が0.004 から0.02(Å-2)の範囲内で凸の変曲点を有することを特徴とする高弾性率ポリベザゾール繊維。
- 非水系でかつポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない液体が、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトンまたはそれらの混合液体である事を特徴とする請求項1記載の高弾性率ポリベザゾール繊維。
- 結晶配向パラメーター<sin2 φ>が0.025 未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の高弾性率ポリベンザゾール繊維。
- 請求項1又は2記載の繊維を一定張力下で500℃以上の熱処理を施すことにより弾性率が290GPa以上、強度が5.0GPa以上になることを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊維。
- ポリベンザゾールとポリ燐酸からなる紡糸ドープを、口金から非凝固性の気体中に押し出して、ド−プフィラメントが50℃以下の温度に達した後、非水系凝固剤に接触させて凝固させ、次いでフィラメントを水洗及び乾燥することを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊維の製造方法。
- 水洗及び乾燥後、フィラメントを一定張力下で500℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項5記載の高弾性率ポリベンザゾール繊維の製造方法。
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