JP3063064B2 - ポリベンザゾール繊維の高速紡糸方法 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維の高速紡糸方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリベンズオキサゾール
もしくはポリベンズチアゾールポリマーから成る繊維の
生産性が優れた製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ライオトロピック液晶性のポリベンズオ
キサゾールとポリベンズチアゾールポリマーは熱可塑性
を示さない。これらはドライ・ジェット・ウエット・ス
ピニング法により繊維化される。すなわち、ポリベンザ
ゾールポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押
し出し、エアギャップで引き伸ばし、溶媒を希釈し、ポ
リマーを溶解させない非溶媒と接触させることによって
凝固する方法による。このプロセスで得られた繊維は1
本もしくは様々なサイズの複数本に収束する事が出来
る。
【0003】多くのフイラメントを短時間で高速で造る
事が好ましい。また個々のフイラメントの占有面積を小
さくして繊度の小さい数が多い連続繊維を造るほうが繊
度の大きなものを少ない本数造るよりも好ましい。しか
しながら、単糸デニールが細い紡糸においては、糸切れ
が起こり易い。とりわけ高速でかつ紡糸口金に多くの孔
が設けられている場合には紡糸で糸切れが頻繁に起こ
る。このような条件においても単糸切れを可能な限り減
らすことが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高い孔密度の
条件においても、単糸繊度が小さいフイラメントを高速
で安定に製造する方法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、溶媒と
ポリベンズオキサゾール、もしくはポリベンズチアゾー
ルもしくはこれらの共重合ポリマーであるポリベンザゾ
ールポリマーからなる液晶性ドープから複数本のフイラ
メントを紡糸する繊維の製造方法において、(1) 孔密度
が少なくとも2.0孔/cm2 である紡糸口金の複数の
孔から100℃以上の温度で紡糸ドープを押し出し複数
本のドープ・フイラメントを形成し、(2) このドープ・
フイラメントをフイラメントを50−100℃の均一に
冷却できる気流の条件とした気体エアギャップ中で延伸
し、(3) 延伸されたドープ・フイラメントを液体に接触
させ該フイラメントから脱溶媒する。の工程から成る製
造方法である。
【0006】本発明の2つめの技術として上記の製造工
程により得られる、平均単繊維径がおよそ21μm以下
であるポリベンザゾール繊維、である。更にドープ・フ
イラメントが洗浄液に接触する前もしくは最中もしくは
接触後に1本または複数本に収束させる、上記製造方
法。エアギャップ中の気流速度が少なくとも0.05m
/秒以上である上記製造方法。エアギャップ中の気流速
度が少なくとも0.1m/秒以上である上記製造方法。
エアギャップ中の気流速度が少なくとも0.5m/秒以
上である上記製造方法。上記製造方法で造られた平均単
繊維径がおよそ18μm以下であるポリベンザゾール繊
維。ポリベンザゾールがポリベンツオキサゾールである
上記ポリベンザゾール繊維。
【0007】多くのポリベンザゾールフイラメントを密
集させて高温で紡糸する場合に外に位置するフイラメン
トは内側に位置するフイラメントに比べて早く冷却され
る。この温度の違いは外に位置するフイラメントに最適
となる場合には内側に位置するフイラメントに対して最
適とはなっていない、またこの逆の状況も起り得る。エ
アギャップに気流を作ることで全ての繊維に対して同様
の雰囲気温度履歴を与えることができる。雰囲気温度を
制御することで糸切れを最少限にすることができる。さ
らにはエアギャップに気流を作ることでフイラメント間
でより均一に成るという効果も得られる。
【0008】本発明はライオトロピック液晶性ポリベン
ザゾールポリマー、すなわちポリベンゾオキサゾール、
ポリベンゾチアゾールもしくはこれらの共重合ポリマー
を含む紡糸原液を使用する。ここで使用するポリベンザ
ゾールポリマーとは、Wolfeらの「Liquid Crystalline
Polymer Compositions,Process and Products」 U.S.Pat
ent 4,703,103(October 27,1987);Wolfe らの「Liquid
Crystalline PolymerCompositions,Process and Produc
ts」 U.S.Patent 4,533,692(August 6,1985);Wolfe らの
「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Compo
sitions, Process and Products 」U.S.Patent 4,533,7
24(August 6,1985);Wolfe らの「Liquid Crys talline
Polymer Compositions,Process and Products」 U.S.Pat
ent 4,533,693(August 6,1985);Evers「Thermoxdative
ly Stable Articulated p-Benzobisoxazole p-Benzobis
thiazole Polymers」U.S.Patent 4,359,567(November 1
6,1982);Tsai らの「Method for Making Heterocyclic
Block Copolymer Compositions,Process and Products」
U.S.Patent 4,578,432(March 25,1986);11 Ency.Poly.
Sci.& Eng., 「Polybenzothiazoles and Polybenzoxazo
and Polybenzoxazoles 」,601(J.Wiley & Sons 1988) an
d W.W.Adamsら「The Materials Science 」,601(J.Wiley
& Sons 1988)and W.W.Adams ら「The Materials Scien
ce and Engineering of Rigid-Rod Polymers 」(Materia
ls Research Society 1989)に記載されているようなP
BO、PBTおよびPBO、PBTのランダム、シーケ
ンシャル、ブロック共重合ポリマー。
【0009】ポリマーは化学構造式1(a)に代表され
るようなAB型及び/または化学構造式1(b)に代表
されるようなAA/BB型単位であってもよい。
【0010】
【化1】
【0011】ここに、各々のArはライオトロピック液
晶ポリマー(すなわち”臨界濃度点以上で液晶ドメイン
を形成する)ポリベンザゾールのポリマーから選ばれた
芳香族基を表す。芳香族基はピリジニレン基のようなヘ
テロ環であってもよい、但し炭素で環を形成している事
が好ましい。芳香族基は縮合した多環基環若しくは縮合
していない多環基であってもよい、但し1つの6員環が
好ましい。大きさは制約はないが、芳香族基は18個以
下の炭素原子を含む事が好ましく、より好ましくは12
個以下の炭素原子を含む事が好ましく、さらに好ましく
は6個以下の炭素原子を含む事が好ましい。AA/BB
型単位のArlは1,2,4,5−フェニレン構造もし
くはその類似体である事が好ましい。AB型単位のAr
は1,3,4−フェニレン構造もしくはその類似体であ
る事が好ましい。各々のZは互いが無関係に酵素原子も
しくは硫黄原子である。各々のDMは互いが無関係に直
接結合もしくはライオトロピック液晶ポリマーとなるポ
リベンザゾールの中から選ばれた2価の有機構造であ
る。2価の構造単位としては、前述の芳香族基(Ar)
が好ましい。特に、1,4−フェニレン構造もしくはそ
の類似体が好適である。各々のアゾール環の窒素原子と
Z構造は隣接する芳香族基の炭素原子と結合して、5員
アゾール環と芳香族基が縮合した形になっている。AA
/BB型単位のアゾール環は、引用文献中の11 Ency.Po
ly.Sci.& Eng.,「Polybenzothiazoles and Polybenzole
s 」,601(J.Wiley & Sons 1988)に図示されているシス型
もしくはトランス型の何れであってもよい。
【0012】ポリマーはAB−PBZ繰り返し単位もし
くはAA/BBZ繰り返し単位で構成される事が好まし
く更に好ましくは本質的にAA/BB−PBZ繰り返し
単位で構成される事が好ましい。ポリマー中のアゾール
環はZが酸素原子であるオキサゾール環である事が好ま
しい。
【0013】本発明で用いる繰り返し単位は構造式2
(a)−(h)に示したのが好ましい。より好ましくは
構造式2(a)−(f)に示したものが良く、更に好ま
しくは構造式2(a)−(d)に示したものが好適であ
る。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】各々のポリマーは少なくとも平均でおよそ
25以上の繰り返し単位を有する事が好ましい、より好
ましくは少なくともおよそ50以上の繰り返し単位を有
する事が好ましく、更に好ましくは少なくともおよそ1
00以上の繰り返し単位を有する事が好ましい。AA/
BB−PBZ剛直鎖の極限粘度数は、25℃メタンスル
フォン酸の測定で、少なくともおよそ10dl/g以上であ
る事が好ましい、より好ましくは少なくともおよそ15
dl/g以上である事が好ましく、更に好ましくは少なくと
もおよそ20dl/g以上である事が好ましい。ある用途に
対しては極限粘度数は、少なくともおよそ25もしくは
30dl/gであることが最適である。極限粘度数は、60
dl/gであってもよいが、40dl/gである事が好ましい。
半剛直なAB−PBZポリマーの極限粘度数は、少なく
ともおよそ5dl/g以上である事が好ましい、より好まし
くは少なくともおよそ10dl/g以上である事が好まし
く、更に好ましくは少なくともおよそ15dl/g以上であ
る事が好ましい。
【0017】このポリマーあるいはコポリマーは溶媒に
溶解し溶液若しくはドープとする。ポリベンツオキサゾ
ールとポリベンゾチアゾールはクレゾールに解けるが、
溶解可能な酸を溶媒として用いることが好ましい。酸は
非酸化性がよい。好ましい溶媒の例として、ポリ燐酸、
メタンスルフォン酸、硫酸およびこれらの混合物が挙げ
られる。酸は、ポリ燐酸およびまたはメタンスルフォン
酸がより好ましい。更に好ましくはポリ燐酸がよい。
【0018】ドープはドープの液晶ドメインを形成する
のに十分な濃度のポリマーを含む必要がある。ポリマー
濃度は少なくともおよそ7重量パーセント以上である事
が好ましい、より好ましくは少なくともおよそ10重量
パーセント以上である事が好ましく、更により好ましく
は少なくともおよそ14重量パーセント以上が好適であ
る。最大ポリマー濃度は主として、ポリマーの溶解性や
ドープ粘度といった実施可能性の制約を受ける。ポリマ
ー濃度30重量パーセントのドープを用いることはほと
んどなく、通常は20重量パーセント以下のドープを使
用する。
【0019】本発明に適したポリマーもしくはコポリマ
ーおよびドープは次のような公知の手法で合成される。
合成手法としては、Wolfe らのU.S.Patent 4,533,693(A
ugust 6,1985);SybertらのU.S.Patent 4,772,678(Septe
mber 20,1988);HarrisのU.S.Patent 4,847,350(July 1
1,1989);GregoryのU.S.Patent 5,089,591(February 18,
1992);Ledbetterらの”An Integrated Laboratory Proc
ess for Preparing Rigid Rod Fibers from Monomaer
s”「The Materials Science and Engineering ofRigid
-Rod Polymers 」の253−264頁(Materials Resea
rch Society 1989) に記載されている。要するに、適正
なAA型とBB型あるいはAB型のモノマーを酸化性が
なく脱水性の酸溶媒中で非酸素雰囲気下で、勢い良く高
せん断速度で撹はんさせながら、温度は120℃以下か
ら少なくともおよそ190℃迄ステップワイズもしくは
ランプ制御で昇温させながら反応させる。AA型モノマ
ーの例としてテレフタル酸及びこれらの類似体が挙げら
れる。BB型モノマーの例として、主に酸の塩として保
管される4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5ジア
ミノヒドロキノン、2,5−ジアミノ−1,4−ジチオ
ベンゼンおよびこれらの類似体が挙げられる。AB型モ
ノマーの例として主に酸の塩として保管される3−アミ
ノ−4−ヒドロキシベンゾイックアシド、3−ヒドロキ
シ−4−アミノベンゾイックアシドおよびこれらの類似
体が挙げられる。
【0020】最も高い生産性で紡糸するためには、ドー
プは均一性が高く、気泡や固体粒子を含んでいないこと
が肝要である。これらは、以下の公知の多くの方法の組
み合わせにより達成されるが本発明は以下の方法により
制約を受けるものではない。異物を濾過するための金網
もしくは/およびシリカサンド層、金属を削ったものや
粒子、ガラス層や焼結セラミックスや焼結金属様なせん
断濾過を用いることができる。ドープの均一性をさらに
向上させるための単軸、2軸スクリュー押し出し機、ス
タティックミキサーそのため混合装置を利用することが
できる。
【0021】ドープは複数の孔を設けた紡糸口金を通し
て紡糸される。紡糸口金の孔密度は少なくともおよそ
1.0個/cm2 以上でなければならない、より好まし
くは2.0個/cm2 以上、更に好ましくは少なくとも
およそ3.0個/cm2 以上がよい。紡糸口金に設けら
れた各々の孔は所望のどの様な大きさであってもよい
が、ドープが紡糸口金から離れる点での平均直径は0.
5mm以下が好ましい、より好ましくは0.4mm以
下、更に好ましくは0.35mm以下が良い。孔配列は
どのような並びであってもよいが、円周配列或は格子配
列が好適である。
【0022】ドープは100℃以上の紡糸口金から押し
出す。紡糸温度はおよそ120℃以上が好ましい、より
好ましくは140℃以上が好ましい。また、紡糸温度の
上限はドープの安定性により決まる。紡糸温度は高くと
もおよそ220℃以下、より好ましくはおよそ200℃
以下が好ましい。最適な吐出量は紡糸口金のサイズ・形
状、ドープ特性、その他の条件に依存する。
【0023】ドープは紡糸口金から押し出され、紡糸口
金と凝固ゾーンの間の空隙に入る。この空隙は通常“エ
アギャップ”と呼ばれているが空気を必要とするもので
はない。エアギャップは凝固に影響を与えたり障害を来
すものでなければ何を含んでいてもよく、空気、窒素、
アルゴン、ヘリュウム、二酸化炭素の様なものであって
もよい。エアギャップではドープの引き伸ばしを行うド
ローゾーンを含んでいる。スピンドロー比はフイラメン
トの引取速度とドープのキャピラリーでの平均流速との
比で定義される。このスピンドロー比を少なくともおよ
そ10以上、好ましくはすくなくともおよそ20以上、
一層好ましくはすくなくともおよそ40以上、より好ま
しくはすくなくともおよそ50以上、さらに好ましくは
すくなくともおよそ63以上が良い。エアギャップの長
さは通常5cm以上100cm以下であるが、必要に応
じてこの範囲よりも短くしたり長くしたりすることが出
来る。
【0024】エアギャップの温度はおよそ50℃以上、
およそ100℃以下が好ましい。より好ましい温度は6
0℃と90℃の間である。気体はドープが水洗液に接触
する前に冷却する働きをする。エアギャップの温度がお
よそ50℃未満の場合は冷却が急速過ぎて好ましくな
い。冷却が急速過ぎる場合は紡糸張力が高くなり過ぎて
紡糸が不安定になる。これはドープの伸長粘度の温度依
存性が非常に高い為と考えられている。もしエアギャッ
プの温度がおよそ100℃よりも高い場合にはドローレ
ゾナンス様の不安定現象が起きると考えられている。
【0025】エアギャップの冷却気体はドープフイラメ
ントの冷却を一様に行うことができるだけの十分な流速
で流れる。これによりすべてのフイラメントが概同じ冷
却履歴を受ける。気体は気流速0.02m/秒から1.
0m/秒の範囲が好ましく、より好ましくは0.05m
/秒から0.9m/秒である。更に好ましくは0.75
m/秒から0.8m/秒である。気流はエアギャップで
のフイラメントの移動方向に対して直交方向が好まし
い。
【0026】ドープフイラメントを引き伸ばした後、溶
媒を希釈しポリベンザゾールポリマーに対しては溶解性
がない気流と触媒させる事により洗浄する。この脱溶媒
の工程は通常初期段階を凝固、それに続く大部分の溶媒
を抜く工程を洗浄と呼ばれている。流体は水蒸気のよう
な気体であってもよいが、好ましくは液体が良くより好
ましくは水溶液が良い。繊維は液体と浴の中で接触させ
ても、スプレーで接触させてもよい。液浴は、特開昭6
3−12710;特開昭51−35716;特公昭44
−22204に組み込まれた様々な形式のものを用いて
良い。また、例えばGuertin のU.S.Patent5,034,250 (J
uly 23,1991)に記載されているような2つのローラーに
繊維を走行させる間にスプレーする方法を組み合わせて
用いてもよい。洗浄された繊維は2%以下の酸を含むよ
うにすることが好ましい、より好ましくは0.5%以下
にするとよい。更に好ましくは0.1%以下が良い。
【0027】この工程で得られたフイラメントを束ねて
1つもしくはそれ以上の異なる繊度の繊維束とする。こ
の束ねる工程は凝固・水洗工程の前もしくは途中もしく
は後であってもよい。1本のフイラメントだけから成る
繊維をモノフイラメント繊維と呼び、複数のフイラメン
トで構成される繊維をマルチフィラメント繊維と呼ぶ。
繊維トウとは「大きな連続繊維の束で明確な撚りが掛け
られておらずルースに収束され、ロッド状に成ったもの
で、通常はクリンプにより集合している。」(Dictionar
y of Fiber & Textile Technology,1990 Hoechst Celan
ese)
【0028】凝固・水洗された繊維は集められて公知の
方法により乾燥する。また、必要に応じて引っ張り弾性
率を上げる為に熱処理をする事ができる。紡糸油剤を付
与してもよい。
【0029】繊維を高速で製造することができる。紡糸
速度は凝固・水洗工程の出口での糸速度で定義する。糸
速度は少なくともおよそ75m/分が好ましい、より好
ましくはおよそ100m/分、更に好ましくはおよそ2
00m/分以上が良い。また、400m/分、600m
/分或はそれ以上の速度での紡糸も可能である。
【0030】完成糸の単糸直径は好ましくは21μm以
下、より好ましくは19μm以下、さらに好ましくは1
5μm以下が良い。フイラメント直径および単糸デニー
ルの最小値は実用面での制約を受ける。各々のフイラメ
ントは通常、単糸直径の平均で8μmこの時の単糸繊度
は0.7dpfとすることができる。平均の引っ張り強
度は1.38GPa(200kpsi)以上が好まし
い、より好ましくは2.76GPa(400kpsi)
以上が好ましい、更に好ましくは4.14GPa(60
0kpsi)以上が好ましい、最も好ましくは5.48
GPa(800kpsi)以上が好ましい。熱処理後の
平均の引っ張り弾性率は241GPa(35mpsi)
以上が好ましい、より好ましくは290GPa(42m
psi)以上が好ましい。熱処理前の繊維の引っ張り弾
性率は通常、熱処理後の繊維よりも低い(およそ半
分)。
【0031】本発明では密集した多数のフイラメントを
同時に紡糸する際の安定性を向上させることができる。
本発明により、紡糸時の糸切れを効果的に最少化するこ
とができる。さらには繊維間の繊度斑も減少させること
ができる。
【0032】
【実施例】以下の実施例は説明だけの目的であり、これ
らにより本発明の明細書および特許請求の範囲の何れに
対しても制約を与えるものではない。断りがない場合に
は分量およびパーセンテージはすべて重量で示す。
【0033】実施例1〜4、比較例1〜7 極限粘度数30dl/gのシス−ポリベンツオキサゾー
ルポリマーを14重量%溶かしたポリ燐酸溶液を、表1
に示す条件で160℃に保たれた紡糸口金より押し出し
た。押し出されたフイラメントを室温のイオン交換水で
凝固させたこの糸を5個のローラーに導き水洗した。さ
らにエアー・ナイフで水を切った糸を一連の順次温度が
高くなるゴデットロールに通し乾燥を行った。表1に紡
糸状況、繊維の物理特性を示す。表から本発明の請求の
範囲条件から外れる場合には紡糸での糸切れが頻発して
いることが解る。表中では応力の単位がグラム/デニー
ル(g/d)で記されているが、kpsiに換算するに
は、1g/dに対して20.48を掛ければよい。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明によると細繊度でフィラメント権
の大きいポリベンザゾールマルチフィラメントを高速で
安定的に製造することを可能とした。
フロントページの続き (72)発明者 アシシュ セン アメリカ合衆国 ミシガン州48642 ミ ッドランドバーニング ブッシュレイン 210 (72)発明者 チモシー エル フェリイ アメリカ合衆国 ミシガン州48640 ミ ッドランドウッドベリー コート 5803 (72)発明者 チー チュン チャウ アメリカ合衆国 ミシガン州48640 ミ ッドランドブルーバード ドライブ 4205 (72)発明者 ミヤナ セラーノ アメリカ合衆国 ミシガン州48640 ミ ッドランドナコマ ドライブ 605 審査官 中島 庸子 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/74 D01D 5/06 D01D 5/092 101 D01D 5/098 D01D 10/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒とポリベズオキサゾール、もしくは
    ポリベンズチアゾールもしくはこれらの共重合ポリマー
    であるポリベンザゾールポリマーからなる液晶性ドープ
    から複数本のフイラメントを紡糸する繊維の製造方法に
    おいて、次の工程から成る製造方法。(1) 孔密度が少な
    くとも2.0孔/cm2 である紡糸口金の複数の孔から
    100℃以上の温度で紡糸ドープを押し出し複数本のド
    ープ・フイラメントを形成し、(2) このドープ・フイラ
    メントをフイラメントを50−100℃の均一に冷却で
    きる気流の条件とした気体エアギャップ中で延伸し、
    (3) 延伸されたドープ・フイラメントを液体に接触させ
    該フイラメントから脱溶媒する。
  2. 【請求項2】 特許請求の範囲第1項記載の製造方法で
    造られた平均単繊維径がおよそ21μm以下であるポリ
    ベンザゾール繊維。
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