JP3744617B2 - 細物ポリベンザゾールマルチフィラメントの製造方法 - Google Patents

細物ポリベンザゾールマルチフィラメントの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条の製造方法に関する。さらに詳しくは、高強度と高弾性率とを有する細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリベンザゾール繊維は、例えば、代表的なスーパー繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維の2倍以上の強度と弾性率とを有する。このような従来のスーパー繊維と比較して非常に優れた力学的特性により、ポリベンザゾール繊維は、次世代のスーパー繊維として期待されている。ポリベンザゾール繊維はポリベンザゾール重合体のポリリン酸溶液から製造され、このような製造方法は公知である。例えば、米国特許5,296,185号および米国特許5,294,390号は、ポリベンザゾール繊維の紡糸方法を開示している。米国特許5,411,694号は、紡糸したポリベンザゾール繊維の乾燥方法を開示している。米国特許5,288,445号は、紡糸および乾燥したポリベンザゾール繊維の熱処理方法を開示している。
【0003】
上記ポリベンザゾール繊維からなるマルチフィラメントは、種々の用途に応じて必要となる強力が従来のスーパー繊維からなるマルチフィラメントの半分以下のデニール(太さ)で達成され得る。従って、ポリベンザゾール繊維からなるマルチフィラメントを製造する場合、このマルチフィラメントをより少ないフィラメント数でより細くすることが所望されている。しかし、このようなフィラメント数の少ないポリベンザゾール繊維からなるマルチフィラメントを従来の方法、すなわち、紡糸口金1個あたりの細孔の数を少なくしてフィラメント数が少なく、かつ細デニールのマルチフィラメントを製造する方法で製造すると、そのマルチフィラメントの単位時間当たりの製造量が低下し、製造コストが著しく増大するという問題がある。
【0004】
従来、溶融紡糸法においては、細物のマルチフィラメントを効率よく多量に製造するために、一旦マルチフィラメントを集束した糸条を巻き取り、この糸条を分繊処理する方法が知られている。しかし、この方法により得られる糸条は、そのままでは分繊性が低く、均一なデニール数を有する細物のマルチフィラメントを得ることができない。そこで、上記溶融紡糸出された糸条を、ゴデットロールで引き取る前に、特開昭48-96804号公報および特開昭52-27846号公報に開示されるインターレースなどの交絡処理を施して、細物のマルチフィラメントへの分繊性を向上させることが知られている。
【0005】
しかし、この交絡処理を施す方法を、凝固および洗浄工程を必須とする湿式紡糸法により製造されるポリベンザゾール繊維からなる糸条に応用したとしても、次の理由で均一なデニール数を有しかつ細物のマルチフィラメントを得ることができない。ポリベンザゾール繊維は、一般に、固有の著しく高い製糸張力を有する。従って、凝固工程前に交絡処理を施したとしても、後の工程(すなわち、凝固および洗浄工程)において、この製糸張力により交絡が解消され、得られる糸条の分繊性は低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、高強度および高弾性率を有する細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条の製造方法であって、(a)ポリベンザゾールドープを分割型の紡糸口金から押出し、マルチフィラメントを得る工程;(b)該マルチフィラメントを凝固させ、次いで洗浄する工程;(c)凝固したマルチフィラメントを複数のマルチフィラメント群に分割する工程;(d)該複数のマルチフィラメント群内のポリベンザゾールフィラメントを各々交絡させる工程;および(e)複数の交絡させたマルチフィラメント群を集束して巻き取る工程;
を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
好ましい実施態様では、上記糸条は250デニール以下である。
【0009】
本発明はまた、上記糸条を分繊する工程を包含する、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる用語「細物ポリベンザゾールマルチフィラメント」とは、ポリベンザゾール繊維でなり、通常3デニール以上250デニール以下、好ましくは10デニール以上200デニール以下を有するマルチフィラメントをいう。
【0011】
細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条は以下のようにして製造される。
【0012】
まず、ポリベンザゾールドープを分割型の紡糸口金から押出し、マルチフィラメントを形成する。
【0013】
本発明に用いられるポリベンザゾールドープとは、ポリベンザゾール(PBZ)ポリマーを、溶媒として非酸化性の酸またはクレゾールに溶解させて調製される溶液である。
【0014】
PBZポリマーの例としては、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)などのホモポリマー、およびそれらの構成成分でなるランダム、シーケンシャル、またはブロックコポリマーが挙げられる。
【0015】
これらのポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、およびそれらの構成成分でなるランダム、シーケンシャル、あるいはブロックコポリマーは、例えば、以下の文献に記載されている:Wolfeら、米国特許第4,703,103号(1987年10月27日)、「液晶ポリマー組成物、製造方法、および生成物」;米国特許第4,533,692号(1985年8月6日)、「液晶ポリマー組成物、製造方法、および生成物」;米国特許第4,533,724号(1985年8月6日)、「液晶ポリ(2,6-ベンゾチアゾール)組成物、製造方法、および生成物」;米国特許第4,533,693号(1985年8月6日)、「液晶ポリマー組成物、製造方法、および生成物」;Evers、米国特許第4,539,567号(1982年11月16日)、「熱酸化的に安定して結合したp-ベンゾビスオキサゾールおよびp-ベンゾビスチアゾールポリマー」;Tasiら、米国特許第4,578,432号(1986年3月25日)、「ヘテロ環式ブロックコポリマーの製造方法」。
【0016】
PBZポリマーは、以下の構造式(a)〜(h)の少なくとも1種を主構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーからなるライオトロピック液晶ポリマーである。
【0017】
【化1】
Figure 0003744617
【0018】
【化2】
Figure 0003744617
【0019】
PBZポリマーは、上記構造式(a)〜(c)からなる群より選択される少なくとも1種を主構成単位とすることが好ましい。
【0020】
このようなPBZポリマーおよびコポリマーは、例えば、Wolfeら、米国特許第4,533,693号(1985年8月6日)、Sybertら、米国特許第4,772,678号(1988年9月20日)、Harris、米国特許第4,847,350号(1989年7月11日)に記載される公知の方法を用いて合成される。さらにPBZポリマーは、Gregoryら、米国特許第5,089,591号(1992年2月18日)の記載によれば、脱水性の酸溶媒中、非酸化性の雰囲気下での比較的高温および高剪断条件下において、高い反応速度で高分子量化が可能である。
【0021】
ポリベンザゾールドープを調製する際に溶媒として用いられ得る非酸化性の酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸、高濃度の硫酸、またはそれらの混合物が挙げられる。ポリリン酸およびメタンスルホン酸が好ましく、ポリリン酸が最も好ましい。
【0022】
ポリベンザゾールドープのPBZポリマー濃度は、ポリベンザゾールドープの全重量に対して、少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも10重量%、そして最も好ましくは少なくとも14重量%である。しかし、このPBZポリマーの濃度は、溶解性の限界から、20重量%未満に調製される。このポリベンザゾールドープの調製方法もまた、米国特許第4,533,693号、第4,772,678号、および第4,847,350号において公知である。
【0023】
本発明に用いられる分割型の紡糸口金の例を図1および図2に示すが、特にこれらに限定されない。
【0024】
図1の(a)に示されるように、分割型の紡糸口金1は、多数の口金細孔12を備える。口金細孔12は、図1の(b)に示されるように例えば隔壁部13により放射方向に10分割された細孔ユニット14内に所定の個数(例えば、1つの細孔ユニットあたり33個)で配設され得る。あるいは、図2(a)および(b)に示される分割型の紡糸口金1は、例えば、隔壁部13’により格子状に4分割された細孔ユニット14’内に所定の個数(例えば1つのユニットあたり66個)の口金細孔12を備える。このような紡糸口金の例は、特開平8−60436号公報に開示されている。
【0025】
本発明において紡糸口金内に配設される口金細孔の数、形状、および大きさは特に限定されない。分割型の紡糸口金は、紡糸により吐出される凝固前のポリベンザゾール繊維が互いに癒着しない程度の細孔密度を有していればよい。さらに、この分割型の紡糸口金における細孔ユニットの形状および配置もまた特に限定されない。細孔ユニットは、該ユニット毎に吐出されるポリベンザゾールマルチフィラメント群が互いに癒着せず、後述の凝固させたマルチフィラメントが複数のマルチフィラメント群に容易に分割され得るような形状で配置されていればよい。
【0026】
本発明に用いられる分割型の紡糸口金はまた、複数の当業者に公知の分割型でない紡糸口金を集約した口金であり得る。
【0027】
ポリベンザゾールドープは、乾湿式紡糸法の紡糸部に供給され、上記紡糸口金からポリベンザゾールに対して非凝固性の気体(エアーギャップ)中に吐出させてマルチフィラメントが形成される。ここで、紡糸口金を通過させるときのポリベンザゾールドープの温度は好ましくは100℃以上であり、より好ましくは150℃以上200℃以下である。口金通過時のポリベンザゾールドープの温度を100℃以上に設定することにより、異常流動が発生することなく満足し得るマルチフィラメントが形成され得る。マルチフィラメントはまた、エアーギャップ中で紡糸延伸することにより、ポリベンザゾール分子の配向を揃え、かつ強度を増強させ得る。さらに、生産性を向上させるために、上記エアーギャップ内でクエンチチャンバーなどの冷却装置を使用してマルチフィラメントの冷却効率を高め、紡糸速度を早めることが好ましい。
【0028】
このようにして得られるマルチフィラメントは、複数のマルチフィラメント群が集束した構造を有する。例えば、図1の(a)に示される紡糸口金を用いる場合、1個のマルチフィラメント群あたり33本のポリベンザゾール繊維のフィラメントを有する、10個のマルチフィラメント群を集束したポリベンザゾール繊維のマルチフィラメントが形成される。
【0029】
次いで、このマルチフィラメントを凝固させる。
【0030】
この凝固工程において、マルチフィラメントは、例えば、凝固液を含む浴内に浸漬される。凝固液は、リン酸水溶液であることが好ましい。凝固液に使用されるリン酸水溶液の濃度は、好ましくはオルトリン酸の濃度に換算して、凝固液の全体量の10重量%以上50重量%以下である。リン酸水溶液の濃度が10重量%未満では、著しく多量の凝固液が必要となり、かつ回収時に著しく多量の廃液処理の必要があるために製造コストが高くなるという問題がある。50重量%を上回ると紡出したマルチフィラメントを充分に凝固させることができない場合がある。
【0031】
凝固浴の温度は、好ましくは30℃以上80℃以下に設定される。凝固浴の温度がこの範囲外であると、凝固させたマルチフィラメントが、後述の水洗工程でのリン酸の抽出および乾燥工程での水分除去を困難にする繊維構造を有する場合がある。このような凝固浴の濃度および温度条件下において、紡出したマルチフィラメントは、当業者に公知の方法を用いて好ましくは0.02秒間以上10秒間以内で浸漬される。このような条件下で凝固を行うことにより、ポリベンザゾール繊維でなる凝固したマルチフィラメントは、所望の繊維微細構造を形成する。
【0032】
次いで、凝固したマルチフィラメントは、この凝固液中から取り出され、水洗浴中に浸漬され、洗浄される。この洗浄により、凝固したマルチフィラメント内に存在するリン酸が抽出される。凝固したマルチフィラメントが最終的に水洗浴から取り出される際のポリベンザゾール繊維内に残留するリン濃度は、ポリベンザゾール繊維全体の重量に対して好ましくは1重量%(10000ppm)以下、より好ましくは0.5重量%(5000ppm)以下であり得る。
【0033】
さらに、得られる糸条の品質低下を防止する目的で、凝固したマルチフィラメントを洗浄した後に、中和溶液を含む浴中に浸漬することが好ましい。中和溶液に用いられる中和剤の例としては、アルカリ金属の塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)が挙げられる。中和溶液における中和剤の濃度は、好ましくは0.001重量%以上1.0重量%以下であり得る。中和溶液をこのような濃度に調製することにより、好ましくは、凝固したマルチフィラメント内に残留するリンとアルカリ金属との原子比が1:0.5〜1:1.5となり得る。さらに、凝固させたマルチフィラメントは、必要に応じて再度水洗され得る。
【0034】
次いで、凝固および水洗を行ったマルチフィラメントを複数のマルチフィラメント群に分割する。この工程においては、分割装置(例えば、セパレーター)を用いて、マルチフィラメントが複数のマルチフィラメント群に分割される。例えば、図1の(a)に示される紡糸口金を用いて紡出されたマルチフィラメントの場合、1つの細孔ユニットから紡出された33本のフィラメントを1個のマルチフィラメント群として、10個のマルチフィラメント群に分割される。
【0035】
次いで、マルチフィラメント群内のポリベンザゾールフィラメントを各々交絡させる。この工程においては、応力隔離装置(例えば、対ネルソンロール)を用いて低い張力が付与されながら、例えば、インターレーサーを用いた交絡処理が施される。応力隔離装置を用いて付与される張力は、好ましくは1g/デニール以下、より好ましくは0.5g/デニール以下、さらに好ましくは0.3g/デニール以下である。付与される張力が小さいほどマルチフィラメント群内のポリベンザゾールフィラメントに交絡が起こりやすい。ただし、連続して上記交絡処理を行う場合、マルチフィラメント群内のポリベンザゾールフィラメントが応力隔離装置に巻き付くことを防ぐために、張力は全体で好ましくは100g以上が付与される。さらに、交絡処理においては一般にインターレーサーなどのジェット流として圧縮空気が用いられるが、水などの液体が用いられてもよい。交絡をかけすぎると、得られる糸条の強度が低下する恐れがあるので、後述の分繊工程が容易に行われ得る程度の交絡(例えば、1〜10個の交絡/1m)がかけられ得る。
【0036】
次いで、ポリベンザゾールフィラメントを各々交絡させた複数のマルチフィラメント群を集束させて1本の糸条とし、この糸条をワインダーに巻き取る。得られた糸条は、好ましくは250デニール以下、より好ましくは200デニール以下である。糸条が250デニール以上では、分繊処理を施さないで糸条を製造する方法よりも製造コストが高くなる場合がある。
【0037】
さらに、上記の方法に従って製造された細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条は、公知の方法により2組またはそれ以上の細物ポリベンザゾールマルチフィラメントに分繊される。次いで、これらの分繊された細物ポリベンザゾールマルチフィラメントは、例えば、さらなるワインダーを用いてそれぞれ別々に巻き取られる。
【0038】
このようにして、従来と変わらない優れた強度、弾性率、および伸度を有する細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを短時間で大量に製造することができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。得られた糸条を下記の方法で評価した。
【0040】
<分繊状態>
得られた糸条を巻き返しにより分繊し、分繊の容易さの程度を以下のように分類した。
【0041】
◎…分繊処理は極めて良好であり、均一な細物ポリベンザゾールマルチフィラメントが得られた。
○…分繊処理は良好であり、均一な細物ポリベンザゾールマルチフィラメントが得られた。
△…分繊処理は可能であったが、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントがやや不均一であった。
×…分繊が不可能であり、均一な細物ポリベンザゾールマルチフィラメントが得られなかった。
【0042】
<強伸度・弾性率>
得られた糸条に含まれるポリベンザゾール繊維のフィラメントの強伸度および弾性率をJIS L1013(1992)に従って測定した。
【0043】
<実施例1>
米国特許4,533,693号に記載の方法に従って、14.0重量%のポリベンゾオキサゾールと86.0重量%のポリリン酸とからなるポリベンザゾールドープを調製した。上記ポリリン酸は、五酸化リン濃度に換算して、ポリベンザゾールドープの全体の重量に対し83.17重量%であった。得られたポリベンゾオキサゾールドープの固有粘度を、30℃のメタンスルホン酸溶液を用いて測定したところ、24.4dL/gであった。このポリベンザゾールドープを金属網状の濾材を用いて濾過した。次いで、2軸からなる混練装置を用いて混練および脱泡を行い、ポリベンザゾールドープの温度を170℃に保持した。このポリベンザゾールドープを、図1の(a)に示される10分割された細孔ユニットを有し、かつ合計で330個の口金細孔を備える紡糸口金を用いて、温度を170℃に保持したままエアーギャップ(長さ40cm)中に紡糸速度600m/分で吐出し、紡糸延伸比64で紡糸延伸した後、温度60℃の冷却風により冷却してマルチフィラメントを得た。
【0044】
次いで、このマルチフィラメントを、凝固浴に浸漬することにより凝固させた。さらに、凝固させた集束マルチフィラメントを第1の水洗浴に浸漬し、所定時間後、該浴から取り出した。第1の水洗浴内のリン酸濃度はオルトリン酸濃度に換算して0.8重量%であった。次いで、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液に7秒間浸漬して凝固させたマルチフィラメント中に含まれるリン酸を中和した。中和後、凝固させたマルチフィラメントをさらに第2の水洗浴中で洗浄した。
【0045】
次いで、第2の水洗浴から取り出した凝固したマルチフィラメントを、セパレーターを用いて10個のマルチフィラメント群に分割した。
【0046】
次いで、分割されたそれぞれのマルチフィラメント群に0.5g/デニールの張力をかけながら、圧搾空気供給型のジェット流式インターレーサーを用いて、供給空気圧2.0kg/cm2で交絡処理を行い、さらに乾燥機を用いて3段階(DR1、DR2、およびDR3)で、それぞれ所定の時間にて乾燥を行った。乾燥温度は、DR1が170℃であり、DR2が220℃であり、そしてDR3が240℃であった。乾燥した10個のマルチフィラメント群を1本の糸条として巻き取ってボビンとした。このボビンを分繊ワインダーにより50m/分の速度で10本に分繊し、各々50デニールに分繊された細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを各ワインダーに巻き取った。得られた細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントについての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0047】
<実施例2>
分割されたマルチフィラメント群において、乾燥と交絡処理との順番を入れ替えたこと以外は、実施例1と同様にして糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントについての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0048】
<実施例3>
備えられる口金細孔が、それぞれ66個の口金細孔からなる5個に放射状に分割された細孔ユニットを有し、合計で330個の口金細孔を備える紡糸口金を用いたこと以外は、実施例2と同様にして糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントについての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0049】
<実施例4>
交絡処理時の張力が1.0g/デニールであり、インターレーサーの供給空気圧が3.0kg/cm2であったこと以外は、実施例2と同様にして糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントについての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0050】
<実施例5>
交絡処理時の張力を1.5g/デニールとしたこと以外は、実施例3と同様にして糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントについての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0051】
<比較例1>
交絡処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた糸条についての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0052】
<比較例2>
細孔ユニットに分割されていない合計で330個の口金細孔を備える紡糸口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして糸条および細物ポリベンゾオキサゾールマルチフィラメントを得た。得られた糸条についての製造条件および評価結果を表1および表2に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003744617
【0054】
【表2】
Figure 0003744617
【0055】
表2に示されるように、実施例1〜5においては、乾燥工程後巻き取られた糸条が、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントへの分繊性に優れており、効率良く細物ポリベンザゾールマルチフィラメントが得られた。さらに、このマルチフィラメントを構成するポリベンザゾールフィラメントの強度、弾性率、および伸度は、比較例1および2のものとほとんど差がなかった。
【0056】
従って、本発明の方法は、ポリベンザゾール繊維の有する優れた強度、弾性率、および伸度を損なうことはなく、従来の分割せずに、直接、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを得る方法よりも多量の細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを一度にまたは短時間で得ることができ、その結果、製造コストを下げることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントが、従来の方法に比べて短時間でかつ大量に製造されるので、生産性が向上し、製造コストが削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、口金細孔を放射状に配置した、本発明に用いられる分割型の紡糸口金の一例を示す正面図であり、そして(b)は、該分割型の紡糸口金の模式図である。
【図2】(a)は、口金細孔を格子状に配置した、本発明に用いられる分割型の紡糸口金の一例を示す正面図であり、そして(b)は、該分割型の紡糸口金の模式図である。
【符号の説明】
1 分割型紡糸口金
12 口金細孔
13 隔壁部
14 細孔ユニット

Claims (3)

  1. 細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条の製造方法であって、
    (a)ポリベンザゾールドープを分割型の紡糸口金から押出し、マルチフィラメントを得る工程;
    (b)該マルチフィラメントを凝固させ、次いで洗浄する工程;
    (c)凝固したマルチフィラメントを複数のマルチフィラメント群に分割する工程;
    (d)該複数のマルチフィラメント群内のポリベンザゾールフィラメントを各々交絡させる工程;および
    (e)複数の交絡させたマルチフィラメント群を集束して巻き取る工程;
    を包含する、製造方法。
  2. 前記糸条が250デニール以下である、請求項1に記載の細物ポリベンザゾールマルチフィラメントを含有する糸条の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の糸条を分繊する工程を包含する、細物ポリベンザゾールマルチフィラメントの製造方法。
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