JP3528936B2 - ポリベンザゾール繊維の製造方法 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維の製造方法

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JP3528936B2
JP3528936B2 JP19424894A JP19424894A JP3528936B2 JP 3528936 B2 JP3528936 B2 JP 3528936B2 JP 19424894 A JP19424894 A JP 19424894A JP 19424894 A JP19424894 A JP 19424894A JP 3528936 B2 JP3528936 B2 JP 3528936B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリベンザゾール繊維の
製造工程に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリベンザゾール重合体はポリリン酸を
溶媒とする溶液中で重合されることは良く知られてお
り、その結果紡糸ドープが得られる。紡糸ドープは、紡
出され伸張されて繊維状となる。Wolf等の米国特許第4
533693号(1985年8月5日)によると繊維状
ドープは、まず、溶媒を希釈した液体に接触させること
により凝固され、そして洗浄されて残存する酸が除かれ
る。
【0003】商業的に好ましい繊維中のリン濃度は、約
2000〜約5000ppm以下であり、より低濃度が
好ましい。(通常、繊維中の残留溶媒量はリン濃度とし
てppm単位で表される。なぜなら、汎用テストでは繊
維中のリン濃度が求められるためである。残留酸量は容
易に、残留リン濃度から計算される。)しかし、このレ
ベルのリン濃度を得るには従来技術では凝固と洗浄に長
時間を必要とした。洗浄時間が長いと大規模な洗浄設備
が必要になるため工業的生産において好ましくない。繊
維を非常に高速度で生産するためには同様に高速で洗浄
できることが必要である。従って、ポリベンザゾール繊
維を高速で凝固と洗浄する工程が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
ベンザソール繊維中に含まれるリン化合物を短い時間で
許容レベルまで低減できる凝固、洗浄方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる問題点に鑑み、本
発明者らは鋭意検討を進めた結果、以下の様なポリベン
ザゾール繊維の凝固及び洗浄工程を採用することで驚く
ほど短い時間でしかも残留リン濃度を許容レベルまで低
減できることを見いだした。即ち、本発明は、下記の構
成からなる。 1.ポリリン酸を含むポリベンザゾールポリマーを含有
する紡糸ドープを少なくとも下記工程を経て凝固及び洗
浄することにより残留リン濃度を5000ppm以下に
することを特徴とするポリベンザゾール繊維の製造方
法。 (1)酸性溶液に繊維状ドープを接触させる。 (2)その後、一旦巻取ることなく繊維から残留リン化
合物を除去するために張力下で75℃以上の洗浄液に繊
維を接触させる。 尚、少なくとも(1)、(2)の工程の総滞留時間は1
0分以下である。 2.工程(1)及び工程(2)の間で酸性溶液よりpH
の高い第2の液体に繊維を接触させる(工程3)ことを
特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維の製造
方法。尚、(1)〜(3)の工程の総滞留時間は10分
以内である。 3.酸性溶液中の酸の濃度が10から50重量%である
ことを特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維
の製造方法。 4.洗浄液が蒸気であることを特徴とする上記第1記載
のポリベンザゾール繊維の製造方法。 5.ポリリン酸を含むポリベンザゾールポリマーを含有
する紡糸ドープを少なくとも下記工程を経て凝固及び洗
浄することにより残留リン濃度を2500ppm以下に
することを特徴とするポリベンザゾール繊維の製造方
法。 (1)10から50重量%の酸を含む水溶液に繊維状ド
ープを接触させる。 (2)次いで、一旦巻取ることなく繊維から残留リン化
合物を除去するために蒸気や75℃以上の水あるいは7
5℃以上の有機溶媒に繊維を張力下で接触させる。尚、
少なくとも(1)、(2)の工程の総滞留時間は5分以
下である。 6.工程(1)及び工程(2)の間で酸性溶液よりpH
の高い第2の液体に繊維を接触させる(工程3)ことを
特徴とする上記第5記載のポリベンザゾール繊維の製造
方法。尚、(1)〜(3)の工程の総滞留時間は5分以
下である。
【0006】本発明を実施するに際して上記酸性水溶液
中に含まれる酸はリン酸であることが好ましい。及び、
上記洗浄液の温度は85℃以上であることが好ましい。
特に、上記洗浄液が有機溶媒の場合、好ましくは該有機
溶媒の温度は100℃以上である。更に好ましくは該有
機溶媒の温度は150℃以上である。及び、少なくとも
上記工程(1)〜(3)の総滞留時間は約3分以下であ
ることが好ましい。及び、ポリベンザゾールポリマーは
リオトロピック液晶性ポリベンズオキサゾールまたはポ
リベンズチアゾールであり、ドープは液晶性であること
が好ましい。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるポリベンザゾール繊維とは下記ポリベンザゾ
ール重合体を含むドープを紡糸して得られるものであ
る。即ちポリベンザゾール重合体(PBZ)とは、ポリ
ベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール
(PBT)ホモポリマー及びそれらPBO、PBTのラ
ンダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマ
ーをいう。ここでポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾ
チアゾール及びそれらのランダム、シーケンシャルある
いはブロック共重合ポリマーは、例えばWolf等の Liqui
d Crystalline Polymer Compositions Process and Pro
ducts 」米国特許第4533692号(1985年8月
6日)、Liquid Crystalline Poly (26Benzothiazole)
CompositonProcess and Products米国特許第45337
24号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline
Polymer CompositionsPress and Products 米国特許第
4533693号(1985年8月6日)、Eversの「T
hermooxidatively Stable Articulated pBenzobisoxazo
le and pBenzobisthiazole Polymers米国特許第453
9567号(1982年11月16日)、Tasi等のMeth
od for making Heterocyclic Block Copolymer米国特許
第4578432号(1986年3月25日)、等に記
載されている。
【0008】PBZポリマーに含まれる構造単位として
は、好ましくはリオトロピック液晶ポリマーから選択さ
れる。モノマー単位は構造式(a)〜(h)に記載され
ているモノマー単位からなり、さらに好ましくは、本質
的に構造式(a)〜(c)から選択されたモノマー単位
からなる。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】PBZ重合体のドープを形成するための好
適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解し
うる非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例として
は、ポリリン酸、メタンスルホン酸及び高濃度の硫酸あ
るいはそれらの混合物が挙げられる。さらに適する溶媒
はポリリン酸及びメタンスルホン酸である。また最も適
する溶媒は、ポリリン酸である。
【0012】溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なく
とも約7重量%であり、さらに好ましくは少なくとも1
0重量%、最も好ましくは少なくとも14重量%であ
る。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度
といった実際上の取り扱い性により限定される。それら
の限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量
%を越えることはない。
【0013】好適なポリマーやコポリマーあるいはドー
プは公知の手法により合成される。例えばWolf等の米国
特許第4533693号(1985年8月6日)、Sybe
rt等の米国特許第4772678号(1988年9月2
0日)、Harrisの米国特許第4847350号(198
9年7月11日)に記載される方法で合成される。PB
Zポリマーは、Gregory 等の米国特許第5089591
号(1992年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒
中での比較的高温、高剪断条件下において高い反応速度
での高分子量化が可能である。
【0014】そしてこれらに酸化防止剤、艶消剤、着色
剤、制電剤等を含有させたものであっても勿論よい。
【0015】これらのポリベンザゾール重合体はポリリ
ン酸ドープとして一旦重合装置から取り出した後、別途
乾湿式紡糸を行ってもよいが、特に好ましくは連続で重
合を行い、重合装置から一旦取り出すことなく紡糸装置
に直接供給する所謂連続重合直接紡糸方式を採用するの
がよい。
【0016】ドープは紡糸口金を通じて押し出されそし
ていわゆるエアーギャップ中で伸張されることにより繊
維状に成形される。好適な工程はChau等のUSP07/98
5,079(1992年12月3日)に記載されている。紡
糸口金は、好ましくは多数の孔を有する。紡糸口金の孔
の数及びその配列は本発明にとって重要ではない。しか
し、商業的理由により孔の数を最大にすることが好まし
い。紡糸口金の孔の数は100又は100又はそれ以上
であってもよい。そして、孔の配列は円状又は格子状又
は他の望ましい配列であってもよい。紡糸口金はステン
レススチールのようなドープに対して耐腐食性を有する
物質で作られるのが好ましい。
【0017】紡糸口金から押し出されたドープは紡糸口
金と凝固ゾーンの間にあるギャップに導かれ引き伸ばさ
れる。このギャップは、「エアーギャップ」と呼ばれ、
ドープの凝固を誘発しないまたドープと反応しないガス
で満たされている。例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘ
リウム、二酸化炭素等である。ドープは、スピンドロー
比が好ましくは少なくとも20、さらに好ましくは少な
くとも40、特に好ましくは少なくとも50、最も好ま
しくは少なくとも60まで引き伸ばされる。スピンドロ
ー比は、巻取速度と紡糸口金内のドープの吐出線速度の
比で定義される。後で述べるように、糸条が望ましい単
糸径になるように充分引き伸ばされる必要がある。太い
孔径を有する紡糸口金を用いて細い直径のフィラメント
を紡糸するためには非常に高いスピンドロー比(75、
100、150、200、又はそれ以上)が必要とな
る。
【0018】次に繊維状ドープは凝固、洗浄工程に送ら
れる。本発明で用いる「凝固」とは、ポリマーをドープ
から析出させ溶媒の一部を溶出するような溶液とポリマ
ーが最初に接触する段階を意味する。「洗浄」は、凝固
した繊維から残存溶媒をほとんど全て洗浄する段階を意
味する。「凝固」はドープが流体から固相に変化するこ
とのみを意味するわけではない。ドープは凝固段階に入
る前にすでに実質的に固化しているためである。
【0019】引き伸ばされた繊維状ドープは、まず凝固
浴において酸性溶液と接触する。酸性溶液は好ましくは
酸性水溶液であり、さらに好ましくはリン酸水溶液であ
る。この溶液は、好ましくはリン酸を少なくとも10重
量%含み、さらに好ましくはリン酸を少なくとも20重
量%含み、最も好ましくはリン酸を少なくとも30重量
%含む水溶液である。また、この水溶液のリン酸濃度は
好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは4
0重量%以下である。酸性溶液の温度は、該溶液の沸点
以下であれば、任意であってよい(通常約−50℃〜1
00℃)。その温度は、好ましくは少なくとも5℃〜1
0℃以上である。また好ましくは50℃以下、特に好ま
しくは30℃以下である。滞在時間は、好ましくは5分
以下、さらに好ましくは1分以下、特に好ましくは30
秒以下、最も好ましくは10秒以下である。凝固は、非
常に速やかに進行する。通常、長時間は不要である。ほ
とんどの場合、凝固浴の滞留時間は、少なくとも約0.
05秒又は0.1秒である。ここで推奨される凝固浴
は、ろう斗状の流水管状やローラーを内部に配置した水
槽状のもの等が挙げられるがこれらに限定されるもので
はない。
【0020】凝固浴を出た繊維は高温洗浄浴で洗浄され
る前に一旦別の洗浄浴に導びかれ洗浄されてもよく、ま
た凝固浴から直接高温洗浄浴に導かれてもよい。高温洗
浄浴に導かれる前に一旦洗浄される場合、洗浄液のpH
は凝固液のpHより5%以上高いことが望ましい。5%
以下の場合では洗浄液は実質的に凝固液と同じであり充
分な洗浄能力を持たないためである。洗浄液の濃度は好
ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%
以下、最も好ましくは10重量%以下である。また、洗
浄浴は単一の浴であってもよいが、多段に分離されてい
てもよい。その際、酸の濃度を順次薄くして最終段の洗
浄浴では実質的に酸を含まない水であることが望まし
い。また、洗浄液は酸の代わりにアルカリを含んでいて
もよい。例えば、アルカリ金属の水酸化物を含む塩基性
の水溶液である。ここにおいても洗浄浴の方式は限定さ
れるものではないが、洗浄液が繊維に物理的に接触すれ
ばよく、例えば、通常の水槽、スプレー状の噴射あるい
はローラーやガイド等による定量付与などが挙げられ
る。
【0021】次いで繊維は、残留リン濃度を低減し望ま
しいレベルにするために高温洗浄浴に導かれ少なくとも
60℃の高温洗浄液に接触させられる。洗浄の際、繊維
内部のリン化合物が洗浄液中に拡散することで繊維中の
残留リン濃度は低減する。したがって、拡散速度を上昇
させることがより短い洗浄時間で残留リン濃度を望まし
いレベルまで低減する方策となる。約60℃未満の低温
洗浄液で洗浄すると残留リン濃度が後で述べるような望
ましいレベル(約2000ppm以下)に達しない。充
分な拡散速度が得られていないためと推測される。しか
し、低温洗浄の場合でも洗浄時間を充分長くすれば残留
リン濃度は望ましいレベルまで低減するが、本発明の目
的外である。よって、温水や高温の有機溶媒や蒸気等に
よる高温洗浄が必要となる。温水は、繊維からリン化合
物を好ましい残留リン濃度レベルまで素早く抽出するの
に有用である。しかしながら、さらに低い残留リン濃度
レベルを達成するためには、1〜5kg/cm2 ・Gの
飽和蒸気雰囲気中を通過させることが好ましい。より好
ましくは1.2〜4.5kg/cm2 ・Gである。飽和
蒸気処理装置として、例えばラビリンスシール飽和蒸気
装置が利用できる。
【0022】温水の温度は、好ましくは少なくとも約7
5℃、さらに好ましくは少なくともの約80℃、最も好
ましくは少なくとも約85℃である。蒸気の温度は、好
ましくは少なくとも約100℃、さらに好ましくは少な
くとも約110℃である。有機溶媒の温度は、好ましく
は少なくとも約75℃、さらに好ましくは少なくとも約
100℃、特に好ましくは少なくとも約150℃、最も
好ましくは少なくとも約200℃である。
【0023】洗浄液の上限温度は本発明の効果から決定
されるのではなく、洗浄物及び/又は洗浄液の物性によ
り決定される。即ちにポリベンザゾール重合体と該洗浄
液が分解しない程度の温度を越えてはならない。例え
ば、洗浄液が液体の場合、その温度は好ましくは該洗浄
液が沸騰しない温度である。
【0024】高温の有機溶媒は、洗浄時に液体を維持で
きるものが選ばれる。それは、好ましくは以下の特徴の
うち少なくとも1つを有するものである。水に対する溶
解度が1重量%以上である。且つ/又は、残留リン化合
物と錯体を形成する能力を有する。適した有機溶媒の例
は以下の通りである。ジメチルスルフォキサイド、エチ
レングリコール、プロピレンカーボネート、グリセロー
ル、ヘキシルアルコール。
【0025】洗浄に蒸気が用いられる場合、好ましくは
湿潤蒸気であり、繊維から残留溶媒を効率よく洗浄する
ために充分な湿気を持っている。蒸気は最も好ましくは
「飽和」蒸気である。飽和蒸気の温度を大気圧下で約1
00℃〜120℃以上に上げることはできない。最も効
率的な洗浄のために、高温蒸気は通常加圧を必要とす
る。
【0026】洗浄段階において過熱液体や過熱蒸気が使
用されない場合、高圧力は必要でない。圧力は、大気圧
又はそれ以上又はそれ以下であってもよい。それは、好
ましくは大気圧である。沸点以上の温度の液体で洗浄す
るためにはより高圧が好ましい。例えば、100、15
0、200℃、又はそれ以上の水で洗浄する場合、水を
液体に保つのに充分圧力を高くすることが好ましい。
【0027】高温洗浄浴は、単一の浴であっても、又は
多段に分離していてもよい。また、洗浄方法は、洗浄液
を繊維にスプレーなどで噴射させたり浴液中に繊維を浸
漬するといった方法であってもよく、特に限定されるも
のではない。また、該洗浄液が蒸気の場合、スチームジ
ェットのような手段で用いられてもよい。高温洗浄液
は、繊維がローラー間を通過する際に用いられる。例え
ば、Guertin の米国特許第5034250号(1991
年7月23日)に記載されている。
【0028】繊維の洗浄は張力下で行うことが好まし
い。特に液温が非常に高い場合、凝固及び洗浄工程通じ
て適度な張力が与えられる。適度な張力とは、繊維を変
形や緩和させないような充分な張力をいう。
【0029】高温洗浄液と繊維の接触時間は好ましくは
5分以下、さらに好ましくは3分以下、さらに好ましく
は2分以下、最も好ましくは1分以下である。凝固、洗
浄工程の総滞留時間は好ましくは5分以下、さらに好ま
しくは3分以下、さらに好ましくは2分以下、最も好ま
しくは1分以下である。
【0030】繊維は少なくとも50m/minの走行速
度で凝固、洗浄工程を順次連続的に走行することが好ま
しい。走行速度はさらに好ましくは少なくとも100m
/min、さらに好ましくは200m/min、最も好
ましくは400m/minである。
【0031】洗浄後の繊維は、多量の水を含んでいる。
水分率が50%を越えることもしばしばである。繊維は
凝固と洗浄工程を通過した後、Wolfの米国特許第453
3693号(1985年8月5日)、Cheneveyの米国特
許第4554119(1985年11月19日)等に記
載されているような方法で、乾燥や熱処理される。例え
ば、繊維は真空または熱風オーブン中で変形を避けるの
に充分な張力下で乾燥されてもよい。
【0032】洗浄後の残留リン量は繊維の物性に影響を
与える。リン化合物のような強酸が繊維中に残留すると
それが分解触媒として作用しポリマーの劣化さらには繊
維の強度低下を引き起こす。特に、残留リン濃度が約5
000ppm以上である場合、強度の低下は著しい。従
って、凝固及び洗浄工程で残留リン濃度を極力低減する
必要がある。好ましい残留リン濃度は約5000ppm
以下であり、100%に近い高い強度保持率を維持する
ため更に好ましくは約2000ppm以下である。残留
リン濃度は、洗浄時間やその他のプロセス条件に依存し
て変化する。比較的短い洗浄工程に対して、残留リン濃
度は好ましくは約2500ppm以下、さらに好ましく
は約1500ppm以下、さらに好ましくは約1000
ppm以下、最も好ましくは約500ppm以下であ
る。幾分長い洗浄工程に対して、残留リン濃度は好まし
くは約200ppm以下、さらに好ましくは約150p
pm以下、さらに好ましくは約100ppm以下、最も
好ましくは約50ppm以下である。
【0033】乾燥糸中の個々の単糸の直径は好ましくは
平均で約17μm 以下、さらに好ましくは15μm 以
下、最も好ましくは12μm 以下である。単糸繊度は好
ましくは約3.5デニール以下、さらに好ましくは約
3.2デニール以下、特に好ましくは約2.5デニール
デニール以下、最も好ましくは約1.6デニール以下で
ある。単糸径が10μm 又は8μm 又はそれ以下である
繊維も製造可能である。最小の単糸径は実用面から制限
される。単糸径は少なくとも平均約3μm であり単糸繊
度に換算して約0.1デニールである。繊維はロープ、
ケーブル、コンポジット、耐切創性を有する衣服に使用
される。
【0034】
【実施例】次に、本発明は以下の実施例により示され
る。以下の例は例示目的で示されるのみであり、本明細
書や請求項の範囲を限定するものとしてとられるべきで
ない。残留リン濃度は、E.P. Bertin の Principles an
d Practice of Xray Spectrometric Analysis Second
Ed. (Plenum Press 1984) に記載されているように蛍光
X線分析により測定された。
【0035】(実施例1) <高温水による洗浄> 紡糸ドープは、ポリベンザゾール重合体のポリリン酸溶
液である。ドープ中のポリマー濃度は14重量%であ
り、ポリマーの固有粘度は25℃のメタンスルホン酸中
で30〜34dl/gであった。ドープは、160〜1
70℃で紡糸口金を通して紡糸された。紡糸は、平均単
糸径が11.5μm になるのに適した条件下で行われ
た。また、孔数160〜203の範囲内の多数の孔を有
する紡糸口金を使用した。エアギャップ長は約30〜4
0cmであり、ギャップ間は60℃に保たれ窒素が4cc
/minで流れていた。スピンドロー比は20〜45で
あった。(通常、紡糸口金の孔径、エアギャップ条件や
スピンドロー比はフィラメント径が一定であるかぎり、
凝固や洗浄の効率に影響しない。本実施例における全条
件は、単糸径が約11.5μm である繊維を製造できる
よう設定された。
【0036】紡糸そして伸張されたフィラメントを温度
が室温でリン酸濃度が約20重量%である凝固液で満た
された凝固浴中に約0.5〜1秒間浸漬した。ついで一
旦巻取ることなく個々のフィラメントを1本の連続フィ
ラメントトウに集束し約100℃の水中で10〜300
秒間洗浄して乾燥した。平均単糸径は約11.5μmで
ある。繊維中の残留リン濃度を測定した。その結果を表
1に示す。
【0037】(比較例1)実施例1と同様な条件で紡糸
凝固したのち、一旦巻取ることなく個々のフィラメント
を1本の連続フィラメントトウに集束し約65℃の水中
で10から300秒間洗浄して乾燥した。繊維中の残留
リン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】(比較例2)実施例1と同様な条件で紡糸
凝固したのち、一旦巻取ることなく個々のフィラメント
を1本の連続フィラメントトウに集束し約17℃の水中
で10から300秒間洗浄して乾燥した。繊維中の残留
リン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明によるとポリベンザゾール繊維中
のポリリン酸を短時間で洗浄除去することを可能とし
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−84510(JP,A) 特開 平2−84511(JP,A) 特表 平8−510791(JP,A) 国際公開94/004726(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/74

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリリン酸を含むポリベンザゾールポリ
    マーを含有する紡糸ドープを少なくとも下記工程を経て
    凝固及び洗浄することにより残留リン濃度を5000p
    pm以下にすることを特徴とするポリベンザゾール繊維
    の製造方法。 (1)酸性溶液に繊維状ドープを接触させる。 (2)その後、一旦巻取ることなく繊維から残留リン化
    合物を除去するために張力下で75℃以上の洗浄液に繊
    維を接触させる。尚、少なくとも(1)、(2)の工程
    の総滞留時間は10分以下である。
  2. 【請求項2】 工程(1)及び工程(2)の間で酸性溶
    液よりpHの高い第2の液体に繊維を接触させる(工程
    3)ことを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール
    繊維の製造方法。尚、(1)〜(3)の工程の総滞留時
    間は10分以内である。
  3. 【請求項3】 酸性溶液中の酸の濃度が10から50重
    量%であることを特徴とする請求項1記載のポリベンザ
    ゾール繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 洗浄液が蒸気であることを特徴とする請
    求項1記載のポリベンザゾール繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリリン酸を含むポリベンザゾールポリ
    マーを含有する紡糸ドープを少なくとも下記工程を経て
    凝固及び洗浄することにより残留リン濃度を2500p
    pm以下にすることを特徴とするポリベンザゾール繊維
    の製造方法。 (1)10から50重量%の酸を含む水溶液に繊維状ド
    ープを接触させる。 (2)次いで、一旦巻取ることなく繊維から残留リン化
    合物を除去するために蒸気や75℃以上の水あるいは7
    5℃以上の有機溶媒に繊維を張力下で接触させる。尚、
    少なくとも(1)、(2)の工程の総滞留時間は5分以
    下である。
  6. 【請求項6】 工程(1)及び工程(2)の間で酸性溶
    液よりpHの高い第2の液体に繊維を接触させる(工程
    3)ことを特徴とする請求項5記載のポリベンザゾール
    繊維の製造方法。尚、(1)〜(3)の工程の総滞留時
    間は5分以下である。
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