JPH0790714A - 水溶性ポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents

水溶性ポリビニルアルコール系繊維

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JPH0790714A
JPH0790714A JP6149598A JP14959894A JPH0790714A JP H0790714 A JPH0790714 A JP H0790714A JP 6149598 A JP6149598 A JP 6149598A JP 14959894 A JP14959894 A JP 14959894A JP H0790714 A JPH0790714 A JP H0790714A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中溶解温度100℃以下と低いにもかかわ
らず高湿度下での寸法安定性に優れ、さらに水中最大収
縮率が極めて低く、さらに引張り強度も高く、しかも灰
分も少ない水溶性繊維を得る。 【構成】 100℃以下の水に溶解するPVA系ポリマ
ーを、原液溶媒及び固化溶媒として有機溶媒を用いて湿
式紡糸又は乾湿式紡糸し、湿延伸、抽出処理、更に乾燥
処理することにより得られる繊維に、さらに多段昇温度
条件の乾熱収縮処理を施すことにより、水溶性ポリビニ
ルアルコール系繊維を得る。本発明の水溶性繊維は、ケ
ミカルレース用基布や羊毛や麻との混紡糸用として適し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寸法安定性に優れた水
溶性ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)系繊維
に関するもので、室温程度の低温の水又は100℃まで
の高温の水に易溶でありながら、高湿度下でも収縮率が
小さく、かつ溶解時の収縮率も小さく、さらに引張り強
度が高くてかつ灰分も少なく、以上の点から取扱い性が
極めて良好でかつ高品質な製品が得られることとなる水
溶性繊維に関し、例えばケミカルレース基布、毛混紡用
や麻混紡用などに好適に用い得る水溶性繊維に関するも
のである。
【0002】
【従来技術の説明】従来、水溶性繊維としては、PVA
系繊維、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース
系繊維、ポリアルギン酸系繊維、ポリ乳酸系繊維、ポリ
アルキレンオキサイド系繊維などが知られており、各々
の用途で用いられている。なかでもPVA系繊維が引張
り強度に優れていることから最も多く使用されている。
PVA系の水溶性繊維としては、例えば特公昭43−8
992号公報、特公昭53−10174号公報、特開平
3−199408号公報、特開昭62−28408号公
報、特開平5−86503号公報、特開昭53−454
24号公報、特開平1−229805号公報などで提案
されている。
【0003】これらのうち、PVA系ポリマーを用いた
濃厚水溶液の乾式紡糸法を用いて水溶性繊維を製造する
方法が上記特公昭43−8992号公報に記載されてい
るが、この技術により得られる繊維は、水溶解時の収縮
率が30%と高く、例えばこの繊維からなるケミカルレ
ース用基布を水により溶解除去する際に基布が大きく収
縮して、レースが変形するため、微細な柄などを有する
高級レース用の基布に用いることができない。また特公
昭53−10174号公報には、カルボキシル基変性の
PVA系ポリマーを使用することにより、低温水に溶解
する繊維を製造する方法が記載されているが、この方法
により得られる繊維は、高湿度下で放置すると吸湿して
大きく収縮するという問題点を有しており、繊維の保存
やこの繊維からなる製品の保存を低湿度条件下という管
理された特別の雰囲気中で行わねばならないと云う問題
点を有している。
【0004】また特開平3−199408号公報には、
水溶解時の収縮率を低くするために、重合度500以下
の低重合度PVAを使用して水溶性繊維を製造する方法
が記載されているが、この方法では、使用されているP
VAの重合度が低く、したがって得られている繊維の強
度は3g/d未満と極めて低い。さらにこの繊維は硼酸
或いは硼酸塩を含んでおり(特に低温水溶性タイプの繊
維は多く含有している)、該水溶性繊維を溶解除去する
のに使用した廃水中に硼酸が多く含まれることとなり、
それを処理するための特別の処理方法及び装置が必要と
なる。
【0005】また特開昭62−28408号公報に記載
された技術は、低収縮溶解性が得られることとなる低重
合度PVAの紡糸性を改良するために高重合度PVAを
少量添加して、低収縮溶解性と紡糸性を兼備したPVA
系繊維を得ることを目的とするものであるが、この繊維
でも、低重合度PVAが主体となっているために収縮率
が20%以下の低収縮繊維では、引張り強度は3g/d
より低い。このように引張り強度の低い水溶性繊維は、
編織化工程や不織布化工程での通過性が不十分であり、
さらにケミカルレースの刺繍作製時に刺繍針により繊維
が容易に切断されるため、細かい刺繍を行うことができ
ないという欠点も有している。
【0006】また特開平5−86503号公報に記載さ
れた技術は、本発明と同じく、高湿度下での寸法安定性
の改善を目的としたものであるが、現実に得られている
繊維は相対湿度80%での収縮率が3.5%以上とかな
り大きく、前記特公昭53−10174号公報記載の技
術で得られる繊維と同様に、繊維の保存やこの繊維から
なる製品の保存を低湿度条件下で行わねばならないと云
う極めて大きな問題点を有している。
【0007】また、特開昭53−45424号公報に
は、低ケン化度PVAの水溶液を芒硝などの塩類の濃厚
水溶液中に湿式紡糸し、低い延伸倍率で延伸することに
より50℃以下での水中収縮率が低い水溶性繊維を得る
方法が記載されているが、塩類の高濃度水溶液を凝固浴
として用いているため、紡糸して得られる繊維には多量
の塩類が付着しており、これを除去するためには水洗す
る必要があるが、水溶性繊維であるために塩類の水洗に
よる完全除去は困難であり、完全除去しようとすると、
繊維表面が水に溶けて、繊維同士が膠着することとな
り、灰分の少なくかつ繊維同士が膠着していない繊維は
得られない。さらにこの繊維は50℃以下での水中収縮
率は低くても、溶解直前の高温では収縮率が大きく、寸
法安定性が不良となる。
【0008】さらに特開平1−229805号公報に
は、ケン化度の低いPVAをジメチルスルホキシド(以
下DMSOと略す)などの有機溶媒に溶解した溶液をメ
タノールなどの固化能を有する固化浴に乾湿式紡糸し、
高度に延伸配向させて高引張り強度の水溶性PVA系繊
維を得ることが記載されているが、この技術で得られる
繊維は高延伸による歪みが繊維内に残っているため、高
湿度下に放置したときに吸湿による収縮率が大きく、ま
た水中溶解時の収縮率も大きく、寸法安定性が低い。こ
の公報に記載の技術は、寸法安定性に優れた繊維を得る
ことを目的とするものではなく、用途としてオムツの横
漏れ防止繊維などに使用することが記載されていること
より、むしろ湿潤時の収縮率が極めて高い繊維を得るこ
とを目的とするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ケミカルレース用基布
の分野では低温水に溶解することが求められているが、
低温水に溶解する繊維は大気中の水分を吸って収縮する
ため、湿度の低い雰囲気で保管せねばならず、繊維及び
基布の保管・管理が極めて難しい。また繊維の引張り強
度が低いと、ケミカルレース用基布に刺繍を行う際に繊
維が刺繍針により切断されるため、繊細なデザインの刺
繍、すなわち高級な刺繍が得られないという問題も有し
ている。さらに水溶性繊維が溶解時に大きく収縮する場
合には、得られた刺繍模様が溶解時に変形を受けるた
め、高級感ある刺繍が得られないこととなる。
【0010】また羊毛や麻等の繊維に水溶性繊維を混紡
又は混撚し、紡績・製編織後に該水溶性繊維を溶解除去
することにより、風合に特徴を出したり、紡績・製編織
の工程通過性を改良する方法が知られているが、用いる
水溶性繊維が溶解時に収縮した場合には、溶解時に組織
の見かけ密度が高められるために水溶性繊維の完全溶解
が困難となる。また、繊維の引張り強度が低いと、紡績
・製織工程で繊維が切断されることとなり、工程通過性
が悪化する。さらに繊維表面に塩類や硼酸等が付着して
繊維の灰分が高い場合には、製編織機械やケミカルレー
ス製造装置に塩類が付着し、それが原因で錆を発生する
こととなり、さらに水溶解に使用した水に硼酸等の薬剤
が含まれることとなるため、その処理にも支障を生じる
こととなる。
【0011】しかしながら、従来の技術では、上記の如
く、水中溶解時の収縮が低く、高湿度下でも寸法安定性
に優れ、灰分のほとんどない、高引張り強度を有する水
溶性繊維は得られていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の技術で
は得られていない、このような水溶性繊維,すなわち高
湿度下に放置しても収縮がほとんどなく、また水中溶解
時の収縮も低く、さらに灰分が殆どなく、しかも高い引
張り強度を有する水溶性のPVA系繊維を提供するもの
である。
【0013】本発明は、水中溶解温度(T℃)が0〜1
00℃、水中最大収縮率が20%以下、引張り強度が3
g/d以上、灰分が1%以下、20℃相対湿度93%で
の寸法変化率S%が下記式を満足する水溶性PVA系繊
維であり、 0≦T≦50のとき S≦6−(T/10) 50<T≦100のとき S≦1 また、このような繊維の製造方法として、水中溶解温度
が100℃以下のPVA系ポリマーを有機溶媒に溶解し
て得た紡糸原液を、該ポリマーに対して固化能を有する
有機溶媒(以下固化溶媒と略す)を主体とする固化浴に
湿式紡糸又は乾湿式紡糸し、紡糸して得られた糸篠に2
〜8倍の湿延伸を施し、該固化溶媒により原液溶媒を繊
維から抽出し、乾燥し、必要に応じて乾熱延伸を行い、
次いで80〜250℃でかつ多段の昇温条件下で3〜4
0%の乾熱収縮処理を行うことを特徴とする水溶性PV
A系繊維の製造方法である。
【0014】本発明に使用し得るポリマーは、繊維化後
0〜100℃の水に溶解するPVA系のポリマーであ
る。PVA系ポリマーが、100%ビニルアルコールユ
ニットからなる純PVAでは繊維化後の結晶性が高すぎ
て、本発明の0〜100℃の水に溶解する繊維を得るこ
とができず好ましくない。特に0〜60℃の水に溶解す
る繊維を得たい場合には、ビニルアルコールユニット以
外のユニットが酢酸ビニルユニットのみからなる、いわ
ゆる部分ケン化PVAの場合、ケン化度は96モル%未
満、すなわち酢酸ビニルユニットが4モル%以上が好ま
しい。しかし、ケン化度が80モル%以下では、得られ
る繊維間の膠着が生じると共に、得られる繊維中のポリ
マーの結晶性が低く高湿度下での寸法安定性が得られ
ず、また水中溶解時に大きく収縮することとなり、本発
明の繊維を得ることができない。
【0015】また60〜100℃の水に溶解する繊維を
得たい場合には、ビニルアルコールユニットを96モル
%以上含有しているPVA系ポリマーを用いるのが好ま
しい。例えば部分ケン化PVAを用いる場合には、ケン
化度が96〜99.5モル%のものを用いるのが好まし
い。ケン化度が99.5モル%以上のPVAを使用する
と、乾熱延伸時および熱収縮処理時に結晶化が進行し
て、水中溶解温度が100℃を越える傾向があり、好ま
しくない。
【0016】ビニルアルコールユニットと酢酸ビニルユ
ニット以外のユニットを含有する、いわゆる変性PVA
系ポリマーを使用して水中溶解温度が60℃未満の繊維
を得たい場合には、変性ユニットが結晶化阻害効果の大
きいユニットである場合には、0.5モル%程度の変性
のPVA系ポリマーであっても本発明に好適に使用でき
る場合もあるが、一般的には1モル%以上、特に2モル
%以上変性したPVA系ポリマーを用いるのが好まし
い。同様に変性PVA系ポリマーを使用して水中溶解温
度が60〜100℃の繊維を得たい場合には、変性が2
モル%未満のもの、好ましくは0.1モル%以上かつ1.
0モル%以下のものを用いるのが好ましい。
【0017】変性ユニットとしては、エチレン、アリル
アルコール、イタコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸
とその開環物、アリールスルホン酸、ピバリン酸ビニル
の如く炭素数が4以上の脂肪酸のビニルエステル、ビニ
ルピロリドン、および上記イオン性基の一部または全量
を中和した化合物などが例示できる。変性ユニットの導
入法は共重合による方法でも、後反応による導入方法で
もよい。また変性ユニットのポリマー鎖内での分布はラ
ンダムでもブロックでもグラフトでも特に限定はない。
変性量が20モル%を越えると結晶性の低下が過度とな
り、高湿度下での寸法安定性が得られず、本発明の水溶
性繊維を得ることができない。また本発明に用いられる
PVA系ポリマーの平均重合度としては、100〜35
00の範囲、特に300〜3000の範囲が好ましく、
特に好ましくは700〜2500の範囲である。
【0018】本発明水溶性繊維の水中溶解温度(T℃)
は0〜100℃である。100℃を越えると、溶解する
のに加圧容器を使用する必要があり、作業上の危険性が
高くなるとともに溶解するのに要するエネルギーの量が
多くなり、溶解費用が高くなる。また完全に溶解除去す
ることも困難となる。また水溶解温度が高いと、本発明
水溶性繊維と他の水不溶性繊維の混合物より本発明水溶
性繊維を溶解除去する際に、他の水不溶性繊維が収縮し
たり損傷したり劣化したりすることとなる。これらの点
より、水中溶解温度は60℃以下が好ましい。
【0019】また本水溶性発明繊維をケミカルレース用
基布に使用する場合、容易に完全溶解できる点からも、
水中溶解温度(T℃)が60℃以下であることが好まし
く、50℃以下であると更に好ましく、40℃以下であ
ると更に一層好ましい。なお、本発明で言う水中溶解温
度(T℃)は、試長4cmの繊維に2mg/dの荷重を
吊り下げ、0℃の水に浸漬し、水を2℃/分の昇温速度
で昇温したときに、繊維が溶断する温度を言う。
【0020】また本発明水溶性繊維の重要な点のひとつ
が、水中での最大収縮率が20%以下と小さく、水に溶
解時に寸法安定性に優れている点である。最大収縮率が
20%を越えると、本発明水溶性繊維と他の水不溶性繊
維との混合物よりなる繊維製品から本発明の水溶性繊維
のみを水により溶解除去する際に、繊維製品の寸法変化
が大きくて繊維製品の形状や物性を損なうという問題点
が生じるほかに、本発明の水溶性繊維が吸水して収縮し
ゲル状となり、比表面積が小さくなり完全溶解するのに
長時間を要するという問題点も生じる。とくに水中溶解
時の最大収縮率の高い水溶性繊維を繊細なデザインのケ
ミカルレース用基布に使用すると、溶解時にレースの形
状が変形しやすいこととなる。基布に使用する水溶性繊
維の水溶解時の最大収縮率が20%以下の場合には、基
布の溶解時収縮率がほぼ0%となり、繊細なデザインの
レースに使用し得ることとなるため極めて工業的価値が
極めて高い。また毛混紡や麻混紡用として水溶性繊維を
使用する場合、水溶性繊維の最大収縮率が20%以下で
あると、混紡糸を溶解処理する際に、混紡糸が殆ど収縮
しないため、水溶性繊維を容易に完全溶解除去すること
ができる。
【0021】水中での最大収縮率は15%以下であると
更に好ましく、10%以下であると更に一層好ましい。
従来高倍率で延伸配向した繊維では、溶解前に配向分子
が緩和されて無配向となるため、最大収縮率は70%に
も達し、水溶性が悪化することとなるが、本発明の水溶
性繊維では、繊維製造工程で配向と緩和をうまく組み合
わせることにより、溶解時の配向緩和を抑制し、低収縮
を達成したものである。なお、本発明で言う水中での最
大収縮率とは、上記水中溶解温度(T℃)を測定する際
に、繊維の各水温での収縮率を同時に測定し、最も大き
く収縮した温度での収縮率をいう。
【0022】次に本発明水溶性繊維の大きな特徴点は、
上記したように、水溶性であるにもかかわらず、20℃
相対湿度93%での寸法変化率(S%)が下記式を満足
している点にある。 0≦T≦50のとき S≦6−(T/10) 50<T≦100のとき S≦1 ただし、上記式でTは水中溶解温度のことである。
【0023】すなわち、Tが50℃以上であるならばS
は1%以下、Tが0℃でもSは6%以下と極めて小さい
値であらねばならない。従来Tが低い繊維は、繊維内の
結晶がルーズで動きやすい構造となっており、高湿度下
に放置すると、繊維は吸湿してよりエントロピーの大き
い状態、すなわち配向の小さい状態になろうとして、繊
維が収縮して繊維長が短くなる傾向にある。すなわちT
が低い場合には、本質的にSは高くなりやすい傾向にあ
る。しかしながら、Sが高くなると高湿度下で寸法変化
が大きくなるため、繊維の保管の点でも、また工程通過
性の点でも、さらに得られた繊維製品の保管や取り扱い
などにおいても、湿度条件に多大の配慮を払う必要が生
じる。例えば、ケミカルレース用の基布に使用しようと
すると、基布製造前、基布製造中及び基布製造後の維持
保管に多大の配慮が必要となる。現在、Tが20℃以下
の唯一の市販PVA系繊維として“ソルブロン−SS”
(ニチビ製)があるが、この繊維は、乾燥剤をいれた透
湿性の低い包装袋に入れ、厳重な密封を施して市販され
ている。さらに、通常、繊維工業においては、繊維の走
行中に静電気の発生を防ぐために、繊維を加湿しながら
繊維製品を製造する方法が用いられているが、高湿度条
件で繊維が大きく収縮する場合にはこのような一般的な
方法が採用できなくなり、製造装置や工程を大きく改造
する必要がある。
【0024】本発明の水溶性繊維は、高湿度下でも吸水
収縮が極めて低いため、上記の市販繊維とは異なり、繊
維の保管及び取り扱い、さらに繊維製品の保管及び取り
扱いに特別の配慮をする必要がなく、また従来一般に使
用されている製造装置などをそのまま使用できる。本発
明において、0≦T≦50の場合に、Sが4−(T/1
5)より小さいとさらに好ましく、Sが3−(T/2
0)より小さいとより一層好ましい。また50<T≦1
00の場合にも、S>1であると、前記したように、高
湿度下での寸法安定性が悪化すると共に、溶解時の寸法
安定性も大きく悪化することとなる。50<T≦100
において、好ましくはS≦0.67であり、より好まし
くはS≦0.5である。
【0025】なお本発明でいう20℃相対湿度93%に
おける寸法変化率S%は、デシケーター中で、定長絶乾
後の繊維サンプルL0cm(好ましくはL0=50cm。
繊維長が50cm未満の場合には、採取可能な最大長)
をとり、20℃で相対湿度93%の密封容器内にフリー
の状態で7日以上放置し、すばやく繊維長L1cmを実
測し、次の式で求める。 S=(L0−L1)×100/L0
【0026】水溶性繊維をケミカルレース用基布として
用いる場合、0≦T≦50の条件下でS>6−(T/1
0)であると、また50<T≦100の条件下でS>1
であると、刺繍する前の基布の保管を高湿度下で行うと
基布が収縮し、寸法が変化し、刺繍時の基布張力が一定
とならない。基布張力が一定とならない場合には、特に
繊細なデザインの高級レースを編む際に部分的に歪みが
生じて、デザイン通りのレースを得ることができないこ
ととなる。またレース編みした後の基布が例えば湿度9
0%になると基布が収縮し、特に繊細なデザインの高級
レースの場合には、形状が崩れてしまうこととなる。し
たがって、繊細なデザインの高級レース用基布において
は、0≦T≦50の条件下ではS≦6−(T/10)、
また50<T≦100の条件下ではS<1の条件を満足
しなければならない。
【0027】図1は、本発明の水溶性繊維と現在市販さ
れている水溶性繊維(ニチビ(株)製ソルブロン−S
S,−SU,−SX及びSL)と特開平5−86543
号公報に記載の水溶性繊維について、それぞれ繊維の水
中溶解温度と、20℃で湿度80%の雰囲気に放置した
場合の収縮率および20℃で93%の雰囲気に放置した
場合の収縮率の関係を示したものである。ソルブロンに
は、銘柄としてSS,SU,SXおよびSLがあり、こ
れらのRH93%におけるSとTの関係を白丸で、また
RH80%におけるSとTの関係を黒丸で表した。この
図より、RH93%になると、収縮率はRH80%の場
合の2倍以上、特に低収縮率繊維では3〜5倍になるこ
とが分かる。またこの図には、特開平5−86503号
公報の実施例及び実験例記載のTとRH80%でのSの
関係(黒の三角印)およびRH93%での推定Sの関係
(白の三角印)を示した。この図より、本発明の水溶性
繊維は、従来の水溶性繊維と比べて高湿度下での寸法安
定性に優れていることが分かる。Sをこのように低くす
ることにより、初めて繊細なデザインの高級レースをデ
ザイン通り得ることが可能となった。
【0028】次に本発明の水溶性繊維は、引張り強度が
3g/d以上であることも本発明の重要なポイントのひ
とつである。引張り強度が3g/d未満であると、編織
化工程や不織布化工程などの後工程でトラブルとなり易
かったり、高速生産性に劣る傾向があるばかりでなく、
得られた編織物や不織布などの製品の物性が劣り、幅広
い用途に対応できないという欠点が生じる。なお本発明
でいう引張り強度は、繊維を20℃×RH65%で調湿
後、JISL 1015号に準じて引張り試験を行い、
乾強度を測定し、g/dで表示したものである。
【0029】繊細なデザインのレースを得るために用い
られるケミカルレース基布は、刺針間隔が短くなるた
め、基布を構成する繊維の引張り強度が3g/dより小
さいと、針と針の間の繊維が切断し、目飛びするので狙
い通りの繊細なレースを編み上げることができない。引
張り強度が3g/d以上であると目飛びすることが少な
く、狙い通りの繊細なデザインのレースを得ることがで
きる。また毛混紡や麻混紡に使用する場合にも、混紡糸
の強度向上に有効であり、紡績・製織工程の通過性及び
スピードアップを大幅に改良し得る。引張り強度として
は、4g/d以上が好ましく、より好ましくは4.5g
/d以上、さらに好ましくは5g/d以上である。
【0030】また本発明の水溶性繊維は灰分が1%以下
である。灰分が1%を越えると、例えばケミカルレース
基布に使用する場合、基布の製造工程やレース編み工程
において、繊維内部または繊維表面に存在する無機物が
飛散し作業環境を悪化させるばかりでなく、刺繍針を摩
耗させたり、製造設備に無機物が付着して錆びを発生す
るという問題を生じる。またケミカルレース基布を溶解
除去した廃水に灰分の例えば硼酸イオンが含まれている
と、特別な廃水処理が必要となる問題もある。好ましく
は灰分0.2%以下であり、更に好ましくは0.1%以下
である。なお本発明でいう灰分とは、繊維を空気中50
0℃で8時間加熱して有機物を完全分解した後の残渣の
重量%である。
【0031】本発明の水溶性繊維の断面形状に特別な限
定はないが、複雑な形状よりもシンプルな円形が好まし
い。PVA系ポリマーを水に溶解し、芒硝等の無機塩水
溶液に湿式紡糸して得られる通常のPVA系繊維の場合
には、繊維の断面形状はまゆ型などの複雑な形状とな
り、このような複雑な断面形状の場合には、断面方向に
おいて繊維が不均一に形成されたことを示しており、引
張り強度の低い繊維であるのに対して、断面が円形であ
る繊維は繊維内層部と繊維表層部とで差のない均一な繊
維形成が行われ、断面方向での繊維構造斑(例えば分子
配向の斑)が少ないことを示している。したがって、本
発明の水溶性繊維としては丸断面が好ましい。
【0032】次に本発明の水溶性繊維を製造する方法に
ついて述べる。本発明で用いる原料ポリマーは、既述し
たように、繊維化後の水中溶解温度が0〜100℃であ
るPVA系ポリマーである。本発明では、このポリマー
を溶解能を有する有機溶媒に溶解して紡糸原液を作製す
る。本発明に用いる原液溶媒としては、該ポリマーに対
して溶解能のある有機溶媒であるならば特に制限はな
く、例えばDMSO、ジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒や
グリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール
類、およびこれらと、ロダン塩、塩化リチウム、塩化カ
ルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩の混合物、更に
はこれら溶媒同士、あるいはこれら溶媒と水との混合物
などが例示される。とりわけDMSOが低温溶解性、低
毒性、低腐食性などの点で最も好ましい。
【0033】本発明において酢酸ビニルユニットを多く
有する低ケン化度PVA系ポリマーを用いる場合、紡糸
原液のアルカリ性または酸性が強いと、溶解脱泡放置中
にケン化反応が起こり、水中溶解温度が100℃を越え
る温度まで上がる可能性があるので、苛性ソーダなどの
強アルカリ性物質や硫酸などの強酸性物質を限度を越え
て添加することは避けねばならないが、DMSO液中や
酢酸ソーダの添加などによる弱アルカリ性下や同じく弱
酸性下ではケン化反応は起こらない。したがって、原液
が弱アルカリ性〜弱酸性の範囲内に維持されるならば、
アルカリ性物質や酸性物質を添加しても構わない。また
カルボン酸やスルホン酸などのイオン性基を有するポリ
マーを用いる場合には、水素イオンと中和するための苛
性ソーダを添加することにより紡糸原液の酸度を調整し
てもよい。紡糸原液中のポリマー濃度は、組成、重合
度、溶媒によって異なるが、6〜60重量%の範囲が一
般的である。溶解は窒素置換後減圧下で撹拌しながら行
うのが、酸化、分解、架橋反応等の防止及び発泡抑制の
点で好ましい。紡糸原液の吐出時の液温としては40〜
170℃の範囲でかつ原液がゲル化しない範囲が好まし
い。
【0034】得られた紡糸原液を、該ポリマーに対して
固化能を有する有機溶媒、すなわち固化溶媒を主体とす
る固化浴に湿式あるいは乾湿式紡糸する。本発明で言う
固化とは、流動性のある紡糸原液が流動性のない固体に
変化することを言い、原液組成が変化せずに固化するゲ
ル化と原液組成が変化して固化する凝固の両方を包含す
る。
【0035】本発明において、固化能を有する固化溶媒
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸
メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、ベンゼ
ン、トルエンなどの芳香族類やこれらの2種以上の混合
物が例示される。また原液溶媒をこれら固化溶媒に混合
して固化浴とすることも可能である。なかでも変性度の
小さいPVA系ポリマーに対してはメタノールと原液溶
媒との混合液を、また変性度の大きいPVA系ポリマー
やケン化度の低いPVA系ポリマーに対しては、メタノ
ールでは固化能が十分でないため、例えばメチルエチル
ケトンと原液溶媒との混合液やアセトンと原液溶媒との
混合液を固化浴として使用することが好ましい。固化溶
媒/原液溶媒の混合重量比は95/5〜40/60が好
ましい。90/10〜50/50であると更に好まし
く、85/15〜55/45であると最も好ましい。固
化浴に原液溶媒を混合することにより、固化能を調整す
ると共に、原液溶媒と固化溶媒の分離回収コスト低下を
はかることができる。
【0036】固化浴の温度に限定はないが、通常−20
〜30℃の間で行う。均質固化および省エネルギーの点
から固化浴温度は−10〜20℃が好ましく、−5〜1
5℃であると更に好ましく、0〜10℃であると最も好
ましい。固化浴の温度がこの温度範囲より高くても、ま
たこの温度範囲より低くても、得られる繊維の引張り強
度が低下する。 上記したように紡糸原液はかなり高温
に加熱されており、そのような紡糸原液を固化浴に導入
すると、固化浴温度は通常30℃を上回る温度となる。
したがって固化浴温度を30℃以下に保つためには、固
化浴を冷却することが必要である。
【0037】また本発明の紡糸方法としては、湿式紡糸
方法と乾湿式紡糸方法のいずれでもよく、各紡糸方法に
適した紡糸条件を設定すればよい。しかしながら多ホー
ルから紡糸原液を吐出する場合には、吐出時の繊維同士
の膠着を防ぐためには、乾湿式紡糸方法よりも湿式紡糸
方法の方が好ましい。なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口
金から直接に固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことで
あり、一方乾湿式紡糸方法とは、紡糸口金から一旦、空
気や不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、それから固化浴
に導入する方法のことである。
【0038】得られた糸篠を固化溶媒又はそれと原液溶
媒の混合液からなる湿延伸浴中で2〜8倍湿延伸する。
糸篠の膠着抑制のため、毛羽の出ない範囲で湿延伸倍率
を大きくすることが重要である。湿延伸倍率が2倍未満
では膠着し易く、8倍を越えると毛羽が出易い。湿延伸
倍率を大きくするためには、湿延伸浴の温度を沸点近く
まで昇温することが有効である。また湿延伸を2段以上
の多段に分けて行うことも有効である。なお、湿延伸浴
に用いる液としては、上記した固化浴溶媒と同様のもの
が挙げられる。好ましくは湿延伸倍率3〜6倍である。
【0039】湿延伸後の糸篠を、固化溶媒を主体とする
抽出浴に接触させて糸篠から原液溶媒を抽出除去する。
この抽出処理は、純粋な固化溶媒を糸篠の走行方向とは
向流方向で連続的に流すことに抽出浴での滞留時間を短
縮することができる。この抽出処理により、糸篠中に含
まれている紡糸原液溶媒の量を糸篠重量の1%以下、好
ましくは0.1%以下にする。接触させる時間としては
5秒以上、特に15秒以上が好ましい。抽出速度を高
め、抽出を向上させるためには、抽出浴溶媒の温度を沸
点近くまで昇温するのが好ましい。従来一般に、PVA
系繊維を製造する際には、湿延伸を行った後、原液溶媒
を抽出除去することなく、直ちに乾燥する方法が用いら
れているが、本発明のように、繊維間膠着を生じ易いポ
リマーからなる繊維の場合には、上記のような従来方法
だけでは乾燥時に繊維間膠着を生じることとなる。した
がって本発明において、湿延伸後の溶媒抽出処理は重要
な工程である。
【0040】抽出後の糸篠を150℃以下の気体浴中で
乾燥する。乾燥前に鉱物油系、シリコン系、フッ素系な
どの疎水性油剤を付着させたり、乾燥時の収縮応力を緩
和させるために収縮させることも膠着防止に有効であ
る。このようにして得た乾燥原糸に、必要に応じて、8
0〜220℃で1.1〜6倍の乾熱延伸を施す。
【0041】以上のような方法により得た乾燥糸篠又は
延伸糸条に乾熱収縮を施すことが本発明繊維の製造法に
おいて特に重要な点である。しかも本発明では、乾熱収
縮を多段で行い、しかも後段に行くほど高温となるよう
に、すなわち多段の昇温条件下で行う。このように多段
の昇温条件を用いることにより、繊維に均一な収縮を付
与することができることとなり、繊維に高レベルの高湿
度下寸法安定性および水中溶解時の低収縮を付与できる
こととなり、また繊維間の膠着が生じるのを防ぐことが
できる。特に水溶性繊維の場合、通常の繊維と比べては
るかに繊維間膠着や不均一収縮を受け易いという問題点
を有しており、本発明の多段の昇温条件下での収縮処理
が、繊維間膠着を生じることなく、均一に収縮を付与す
る上で極めて有効である。
【0042】多段の昇温条件下での収縮処理としては、
2〜4段程度で行うのが好ましく、各段で温度差を5〜
80℃設けるのが適当である。たとえば2段で行う場合
には、一段目を80〜190℃とし、二段目を100〜
220℃とし、かつ二段目を一段目より5〜80℃高い
温度を用いるのが好ましい。また三段で行う場合には、
一段目を80〜160℃、二段目を100〜190℃、
三段目を110〜220℃で、かつ一段目より二段目
を、また二段目よりも三段目をそれぞれ5〜60℃高い
温度を用いるのが好ましい。
【0043】なお、本発明でいう多段とは、各段が、隣
り合う段との間に存在するローラー等により隔てられて
おり、各段で収縮時の張力を自由に変えることができる
もののほかに、隣り合う段との間にはローラー等が存在
しておらずに各段が連続しておりかつ各段で収縮時の張
力を自由には変えることができないようなものも含まれ
る。本発明は、このような多段の昇温条件下で収縮処理
を行うことにより、収縮処理温度に応じた収縮を繊維に
付与することができ、その結果、前記したように、繊維
間膠着を生じることなく均一な収縮を繊維に付与できる
こととなる。
【0044】この乾熱収縮処理は、温度80〜240℃
でトータル収縮率が3〜40%となるように行う。温度
が80℃未満あるいはトータル収縮率が3%未満の場合
には、高湿度下での寸法安定性改良効果及び水中溶解時
収縮率低下効果が不十分であり、一方温度が240℃を
越える場合やトータル収縮率が40%を越える場合に
は、繊維が劣化したり、膠着するので好ましくない。
【0045】湿延伸で繊維軸方向に分子配向したポリマ
ー分子には配向歪みが生じており、高湿度下で吸湿や水
中で吸水すると分子が動きやすくなり歪みを緩和すべく
収縮しようとする傾向を有するため、本発明方法で乾燥
しただけで収縮処理を施していない繊維は高湿度下で大
きく収縮したり吸水して大きく収縮し寸法安定性が不良
である。このため上記条件で乾熱収縮処理を施し、予め
配向歪みを緩和してやると高湿度下でも収縮せずかつ水
中溶解温度近くまで水中で昇温しても収縮がほとんど起
こらず寸法安定性が改善されるものと推測される。歪み
緩和をより完全に行うためには、ポリマーのガラス転移
温度や融点及び延伸倍率によって乾熱収縮条件は適宜選
択すべきであるが、一般的には、120〜240℃の多
段昇温条件で6〜40%のトータル収縮条件を採用する
のが好ましい。
【0046】以上の方法で得られた繊維は、水溶性PV
A系ポリマーを有機溶剤系低温ゲル紡糸(固化浴が低温
である紡糸)をすることにより、微結晶が断面方向に均
一に形成され、ゲル糸条が均一に固化し、ノズルが円形
孔ならば繊維は円形断面を有し、湿延伸時や乾熱延伸時
の分子の配向結晶化が繊維の断面方向に均一であり、か
つ乾熱収縮の実施により十分に配向が緩和されることと
なる。一方、紡糸原液の溶媒に水を用いる、いわゆる水
系の湿式紡糸や水系の乾式紡糸で得られる繊維は、繊維
表面のみ配向過多となっており、繊維軸方向に深さ0.
2μ以上で長さ3μ以上の深い溝が連続的に形成され
た、いわゆるたて筋が繊維表面に存在しているが、本発
明の繊維には、表面にそのようなたて筋が実質的に存在
しないという構造上の特徴を有しており、これが、本発
明繊維の大きな特徴点である高引張り強度にして、かつ
寸法安定性に優れ、さらに水溶性であるという特徴をも
たらしている。
【0047】なお、繊維表面のたて筋の有無の観察は、
2000〜6000倍の電子顕微鏡写真を撮ることによ
り判別することができ、たて筋の深さは繊維の断面写真
から、またたて筋の長さは表面写真から判断できる。ま
た配向結晶化が繊維の断面方向に均一であるか否かにつ
いては、繊維断面を光学顕微鏡で観察することにより容
易に判断できる。すなわち従来の一般的なPVA系繊維
は、表面層が内部よりも急速に固化したため、繊維表面
層は緻密な構造、繊維内部は疎な構造となっており、こ
のような繊維の断面を光学顕微鏡で観察すると表層部は
光の透過が大きく明るく見えるのに対して内部は光が散
乱して暗く見えることとなる。一方本発明の繊維は、断
面が均一であるため表層部と内部において実質的に明る
さに差を生じない。
【0048】以上、本発明は、100℃以下の水に溶解
するPVA系ポリマーを、原液溶媒及び固化溶媒として
有機溶媒を用いて湿式紡糸又は乾湿式紡糸し、湿延伸、
抽出処理、更に乾燥処理することにより得られる断面均
質な繊維あるいはこの繊維にさらに乾熱延伸処理した繊
維に、さらに多段昇温条件の乾熱収縮処理を施すことに
より、水中溶解温度が100℃以下と低いにもかかわら
ず高湿度下での寸法安定性に優れ、さらに水中最大収縮
率が極めて低く、さらに引張り強度も高く、しかも灰分
も少ない水溶性繊維を得ることに成功したものであり、
従来の乾式紡糸方法、湿式紡糸方法、乾湿式紡糸方法で
は得ることのできなかった繊維を得たものである。
【0049】本発明繊維の内、水中溶解温度が40℃以
下のPVA系繊維は、熱圧着することにより繊維同士が
強固に接着するという性質を有している。この性質を利
用して、この繊維をウエッブ化したのち熱エンボスする
ことによりウエッブの形状を固定して直ちに不織布とす
ることができ、例えば、本発明の長繊維をスパンボンド
法によりウエッブ化しそして熱エンボスして得られた不
織布は、水溶性でかつ吸湿時及び水中溶解時の寸法安定
性に優れ、さらに引張り強度にも優れているため、ケミ
カルレース基布に好適である。さらに熱エンボスするこ
とにより繊維同士を接着できるため、この性質を利用し
て本発明繊維からなる織編物や不織布を2枚以上重ねて
熱プレスすることにより、さらには熱接着性のフィルム
と重ね合わせて熱プレスすることにより接合することが
でき、広幅の物や袋状物や積層物を容易に作ることがで
きる。
【0050】
【実施例】以下本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0051】実施例1 重合度1700、ケン化度95モル%の部分ケン化PV
AとDMSOを混合し、窒素置換し、110Torrの減
圧下90℃で8時間撹拌溶解し、その後同じ110Tor
r下90℃で8時間脱泡し、PVAが20%のDMSO
溶液を得た。この紡糸原液を90℃に保ち、孔数40
0、孔径0.08mmφのノズルを通して、3℃のメタ
ノール/DMSOの混合重量比が75/25の混合液よ
りなる固化浴中に湿式紡糸した。得られた糸篠をメタノ
ール/DMSO=96/4よりなる40℃の湿延伸浴で
5倍湿延伸を施し、加熱メタノールと向流接触させてD
MSOを抽出除去し、鉱物油系油剤を1%/ポリマー付
与後、120℃熱風乾燥機で乾燥し、1000dr/4
00fのマルチフィラメント状紡糸原糸を得た。次いで
150℃−170℃−190℃の3セクションよりなる
熱風炉で3段の昇温乾熱収縮処理を行い、トータル収縮
率20%の収縮を施した。
【0052】得られた繊維の水中溶解温度(T)は45
℃と低く、20℃相対湿度93%下での寸法変化率Sは
1%と極めて小さく、灰分も0.05%と極めて小さ
く、また引張り強度は4.8g/d、水中最大収縮率は
5%であった。またこの繊維は円形断面を有し、かつ繊
維断面は均一な状態であり、また繊維の表面を電子顕微
鏡で観察したところ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上
のたて筋は実質的に観察されなかった。
【0053】比較例1 実施例1の乾熱収縮前の紡糸後原糸の水中溶解温度
(T)は28℃と低かったが、RH93%での寸法変化
率Sは15%と大きく、寸法安定性が不十分であった。
【0054】比較例2 重合度1370、ケン化度93.6%の部分ケン化PV
Aを使用し、PVA濃度を28%とし、湿延伸倍率6倍
とする以外は実施例1と同様に1000d/400fの
紡糸原糸を得た。次いで140℃ー170℃の2セクシ
ョンよりなる熱風炉で2倍の乾熱延伸を施した。得られ
た繊維の水中溶解温度(T)は20℃と低かったが、R
H93%での寸法変化率Sは23%と大きかった。
【0055】実施例2 比較例2で得られた延伸糸に、150−180℃の2セ
クションよりなる熱風炉で2段の昇温収縮処理を行い、
トータル収縮率25%の乾熱収縮を施した。得られた繊
維の水中溶解温度(T)は24℃に上がったが、RH9
3%下での寸法変化率Sは2%と大幅に改善された。ま
たこの繊維の灰分は0.03%と極めて小さく、引張り
強度は5.1g/d、水中最大収縮率は2%であった。
またこの繊維は円形断面を有し、かつ繊維断面は均一で
あり、繊維の表面を電子顕微鏡で観察したところ、深さ
0.2μ以上で長さ3μ以上のたて筋は実質的に観察さ
れなかった。
【0056】実施例3 重合度1700、ケン化度98.5%の部分ケン化PV
AとDMSOを混合し、窒素置換し、110Torrの減
圧下90℃で8時間撹拌溶解し、その後同じ110Tor
r下90℃で8時間脱泡し、PVAが19%のDMSO
溶液を得た。この紡糸原液を90℃に保ち、孔数40
0、孔径0.10mmφのノズルを通して、2℃のメタ
ノール/DMSOの混合重量比が70/30の混合液よ
りなる固化浴中に湿式紡糸した。得られた糸篠をメタノ
ール/DMSO=95/5よりなる45℃の湿延伸浴で
5.5倍湿延伸を施し、加熱メタノールと向流接触させ
てDMSOを抽出除去し、120℃熱風乾燥機で乾燥
し、1500dr/400fのマルチフィラメント(紡
糸原糸)を得た。次いで150℃−220℃の2セクシ
ョンよりなる熱風炉で2段の昇温乾熱収縮処理を行い、
トータル収縮率12%の収縮を施した。
【0057】得られた繊維の水中溶解温度(T)は88
℃であり、水中での最大収縮率は4%とわずかであっ
た。また引張り強度は5.2g/d、破断伸度は20%
で、タフネスは52g/d×%、20℃相対湿度93%
下での寸法変化率Sは0.6%と極めて小さく、寸法安
定性に優れていた。また断面は円形であり、繊維断面は
均一であり、灰分も0.03%と微量であった。また得
られた繊維のケン化度は98.4%で原料PVAと同じ
であった。またこの繊維の表面を電子顕微鏡で観察した
ところ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上のたて筋は実
質的に観察されなかった。
【0058】比較例3 実施例3で得られた乾熱収縮処理を施す前の紡糸原糸
は、水中溶解温度(T)が61℃であったが、水中での
最大収縮率は52%と大きく、溶解時の寸法変化が大き
かった。
【0059】比較例4 乾熱収縮を12%施す代わりに、定長熱処理(収縮率0
%)とする以外は実施例3と同様に行った。得られた繊
維は、水中溶解温度(T)が88℃であり、水中での最
大収縮率は25%と大きかった。
【0060】比較例5 重合度1750、ケン化度99.9モル%の完全ケン化
PVAを用いる以外は実施例3と同様にして、1500
d/400fの紡糸原糸を得た。次いで実施例3と同様
に乾熱収縮を施した。得られた繊維は100℃の水には
溶解しなかった。
【0061】比較例6 実施例3で得られた紡糸原糸を150℃−200℃の熱
風炉中でさらに2.3倍乾熱延伸した。得られた繊維
は、水中溶解温度(T)が75℃であり、水中での最大
収縮率は50%と大きかった。
【0062】実施例4 比較例6で得られた延伸糸を150℃−220℃の熱風
炉で2段の昇温条件下で乾熱収縮を22%施した。得ら
れた繊維は、水中溶解温度(T)が93℃であり、水中
での最大収縮率は6%と小さかった。引張り強度は7.
5g/dであり、破断伸度は15%であり、タフネスは
56g/d×%であった。またRH93%での寸法変化
率は0.2%と低く、寸法安定性に優れ、さらに繊維断
面は円形でかつ均一であり、灰分も0.04%と極めて
低かった。またこの繊維の表面を電子顕微鏡で観察した
ところ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上のたて筋は実
質的に観察されなかった。
【0063】実施例5 ケン化度が97.0%のPVAを用いること以外は実施
例3と同様に紡糸原糸を得た。この紡糸原糸を150℃
−170℃−200℃の3セクションよりなる熱風炉で
3段の昇温条件でトータル乾熱収縮率20%の収縮を施
した。得られた繊維は、水中溶解温度(T)が65℃で
あり、水中での最大収縮率が9%と小さかった。また引
張り強度は5.1g/d、破断伸度は31%で、タフネ
スは79g/d×%であった。またRH93%での寸法
変化率は0.7%と低く、寸法安定性に優れ、さらに繊
維の断面は均一で断面形状は円形であり、灰分も0.0
2%と微量であった。さらにこの繊維の表面を電子顕微
鏡で観察したところ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上
のたて筋は実質的に観察されなかった。
【0064】実施例6 ケン化度が96.5%のPVAを用いること以外は実施
例3と同様にして、紡糸原糸を得た。この紡糸原糸を1
50℃−180℃の2セクションよりなる2段の昇温熱
風炉でトータル乾熱収縮20%を施し、さらに150℃
−200℃の2段の昇温熱風炉で再度乾熱収縮を15%
施した。得られた繊維は、水中溶解温度(T)が61℃
であり、水中での最大収縮率が8%と小さかった。また
引張り強度は4.8g/d、破断伸度は32%で、タフ
ネスは77g/d×%であった。またRH93%では寸
法変化率は0.6%と低く、寸法安定性に優れ、さらに
繊維断面は円形で均一であり、灰分も0.02%と微量
であった。さらにこの繊維の表面を電子顕微鏡で観察し
たところ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上のたて筋は
実質的に観察されなかった。
【0065】実施例7 重合度500、ケン化度98.5%の部分ケン化PVA
とDMSOを混合し、窒素置換し、110Torrの減圧
下110℃で11時間撹拌溶解し、その後110Torr
下110℃で8時間脱泡し、PVAが35%のDMSO
溶液を得た。この紡糸原液をノズル直前で100℃に下
げ、孔数60、孔径0.08mmφのノズルより、5m
mの空気層を通して5℃のメタノール/DMSOの混合
重量比が65/35の混合液よりなる固化浴中に乾湿式
紡糸した。得られた糸篠をメタノール/DMSO=95
/5よりなる40℃の湿延伸浴で6倍湿延伸し、メタノ
ール中でDMSOを抽出除去し、120℃熱風乾燥機で
乾燥し、150dr/60fの紡糸原糸を得た。次いで
この原糸を150℃−215℃の2セクションよりなる
熱風炉で2倍の乾熱延伸を施した後、180℃−225
℃の2段の昇温条件下で乾熱収縮処理を行い、収縮率2
5%の収縮を施した。
【0066】得られた繊維の水中溶解温度(T)は83
℃であり、水中での最大収縮率は5%とわずかであっ
た。また引張り強度は4.7g/d、破断伸度は20%
で、タフネスは47g/d×%であった。またこの繊維
の20℃相対湿度93%下での寸法変化率Sは0.2%
と極めて小さく、寸法安定性に優れていた。さらに繊維
の断面は円形で均一であり、灰分も0.03%と微量で
あった。またこの繊維の表面を電子顕微鏡で観察したと
ころ、深さ0.2μ以上で長さ3μ以上のたて筋は実質
的に観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水溶性繊維と現在市販されている水溶
性繊維と特開平5−86543号公報に記載の水溶性繊
維について、それぞれの繊維の水中溶解温度と、20℃
湿度80%の雰囲気に放置した場合の収縮率および20
℃湿度93%の雰囲気に放置した場合の収縮率の関係を
示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 悟 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中溶解温度(T℃)が0〜100℃、
    水中最大収縮率が20%以下、引張り強度が3g/d以
    上、灰分が1%以下、20℃相対湿度93%での寸法変
    化率S%が下記式を満足する水溶性ポリビニルアルコー
    ル系繊維。 0≦T≦50のとき S≦6−(T/10) 50<T≦100のとき S≦1
  2. 【請求項2】繊維断面が円形であり、繊維表面には、高
    さが0.2μ以上で長さが3μ以上の溝が存在していな
    い請求項1に記載の繊維。
  3. 【請求項3】水中溶解温度が100℃以下のポリビニル
    アルコール系ポリマーを有機溶媒に溶解して得た紡糸原
    液を、該ポリマーに対して固化能を有する有機溶媒(以
    下固化溶媒と略す)を主体とする固化浴に湿式紡糸又は
    乾湿式紡糸し、2〜8倍の湿延伸を施し、該固化溶媒に
    より原液溶媒を繊維から抽出し、乾燥し、次いで80〜
    250℃でかつ多段の昇温条件下で3〜40%の乾熱収
    縮処理を行うことを特徴とする水溶性ポリビニルアルコ
    ール系繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1の繊維からなるケミカルレース用
    基布。
  5. 【請求項5】請求項1の繊維と羊毛又は麻からなる混紡
    糸。
JP14959894A 1993-07-29 1994-06-30 水溶性ポリビニルアルコール系繊維 Expired - Lifetime JP3609851B2 (ja)

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CN100390333C (zh) * 2006-01-17 2008-05-28 中国石化集团资产经营管理有限公司重庆天然气化工分公司 一种维纶长丝束的制造方法及装置
JP2010275677A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Rishindoo Japan:Kk 獣毛を含んだ繊維製品
CN104313745A (zh) * 2014-09-21 2015-01-28 江苏丹毛纺织股份有限公司 一种可乐隆纤维混纺弹性纱的制造方法

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