JP2006283218A - ポリベンザゾール繊維布帛の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリベンザゾール繊維が本来有する高い強度を効率的に発揮させるように薄地化し、従来になく薄地でかつ高強度の繊維布帛を提供することである。
【解決手段】ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、下記の式(1)を満足するように圧縮加工することを特徴とするポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
0.85≧T1/T0 (1)
さらに、薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、下記の式(2)を満足するように圧縮加工することが好ましい。
S1/S0≧1.2 (2)
【解決手段】ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、下記の式(1)を満足するように圧縮加工することを特徴とするポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
0.85≧T1/T0 (1)
さらに、薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、下記の式(2)を満足するように圧縮加工することが好ましい。
S1/S0≧1.2 (2)
Description
本発明は、薄くて高強度の繊維布帛の提供に関し、詳しくはポリベンザゾール繊維からなる布帛の薄地化に関するものである。
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾールもしくはポリベンゾチアゾールまたはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維が知られている。
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、水酸化ナトリウム等の無機塩基の水溶液槽を通り、糸中に抽出されずに残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られている(例えば、特許文献1)。
この様にして製造されるポリベンザゾール繊維は、強度、弾性率などの力学特性に優れ、かつ耐熱性も高いため、厚地の布帛として防護用服、サポーターなどのプロテクター、耐熱フェルト、耐熱クッションなどの耐熱耐炎部材などの用途に使用されている。
しかしながら、耐衝撃材用途やFRP(繊維強化プラスチックス)用途等では、薄地布帛の要望が高いためこれまでポリベンザゾール繊維は使用されていない。ポリベンザゾール繊維から薄い布を製造する方法としては、使用する原糸のトータル繊度を小さくする方法があるが、この場合、トータル繊度の大きい原糸を使用した場合より布帛の強力が小さくなってしまう問題がある。
特許第3564822号公報
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、水酸化ナトリウム等の無機塩基の水溶液槽を通り、糸中に抽出されずに残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られている(例えば、特許文献1)。
この様にして製造されるポリベンザゾール繊維は、強度、弾性率などの力学特性に優れ、かつ耐熱性も高いため、厚地の布帛として防護用服、サポーターなどのプロテクター、耐熱フェルト、耐熱クッションなどの耐熱耐炎部材などの用途に使用されている。
しかしながら、耐衝撃材用途やFRP(繊維強化プラスチックス)用途等では、薄地布帛の要望が高いためこれまでポリベンザゾール繊維は使用されていない。ポリベンザゾール繊維から薄い布を製造する方法としては、使用する原糸のトータル繊度を小さくする方法があるが、この場合、トータル繊度の大きい原糸を使用した場合より布帛の強力が小さくなってしまう問題がある。
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、ポリベンザゾール繊維が本来有する高い強度を発揮できるように効率的に薄地化し、従来になく薄くて高強度の繊維布帛を提供することである。
すなわち本発明は、下記の構成から成る。
1.ポリベンザゾール繊維布帛において、薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、下記の式(1)を満足するように圧縮加工することを特徴とするポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
0.85≧T1/T0 (1)
2.ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、下記の式(2)を満足するように圧縮加工することを特徴とする第1の発明に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
S1/S0≧1.2 (2)
3.薄地化加工がカレンダーロール加工であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
1.ポリベンザゾール繊維布帛において、薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、下記の式(1)を満足するように圧縮加工することを特徴とするポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
0.85≧T1/T0 (1)
2.ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、下記の式(2)を満足するように圧縮加工することを特徴とする第1の発明に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
S1/S0≧1.2 (2)
3.薄地化加工がカレンダーロール加工であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
本発明によれば、ポリベンザゾール繊維が本来有する高い強度を効果的に発揮させることができ、厚み当りの引張強度が飛躍的に向上した従来にない薄地で著しく強度が高い繊維布帛を提供することが可能である。
以下、本発明を詳述する。
本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明において、例えばPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいうが、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)のホモポリマーのみならず、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)のフェニレン基の一部がピリジン環などの複素環に置換されたコポリマーや芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。好ましくは、ポリベンザゾールは、鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーである。
本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明において、例えばPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいうが、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)のホモポリマーのみならず、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)のフェニレン基の一部がピリジン環などの複素環に置換されたコポリマーや芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。好ましくは、ポリベンザゾールは、鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーである。
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。当該ポリマーの基本骨格は、構造式 (a)〜(i)に記載されているモノマー単位からなるが、これらの構造式においてアルキル基やハロゲン基などの置換基を有するモノマー単位を一部含んでもよい。
ポリベンザゾール繊維は、ポリベンザゾールポリマーの溶液(PBZポリマードープ)より製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の鉱酸が挙げられる。好適な非酸化性鉱酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。その中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸が、最も好ましくはポリリン酸である。
ドープ中のポリマー濃度は、1〜30%、好ましくは1〜20%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を越えることはない。
本発明において、好適なポリマーまたはコポリマーとドープは公知の方法で合成される。例えばWolfeらの米国特許第4,533,693号明細書(1985.8.6)、Sybertらの米国特許第4,772,678号明細書(1988.9.22)、Harrisの米国特許第4,847,350号明細書(1989.7.11)またはGregoryらの米国特許第5,089,591号明細書(1992.2.18)に記載されている。要約すると、好適なモノマーは非酸化性で脱水性の
酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの間で段階的または任意の昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの間で段階的または任意の昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
このようにして得られるドープを紡糸口金から押し出し、空間で引き伸ばしてドープフィラメントに形成される。好適な製造法は先に述べた参考文献や米国特許第5,034,250号明細書に記載されている。紡糸口金を出たドープは紡糸口金と洗浄バス間の空間に入る。この空間は一般にエアギャップと呼ばれているが、空気である必要はない。この空間は、溶媒を除去すること無く、かつ、ドープと反応しない溶媒で満たされている必要があり、例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。
紡糸後のドープフィラメントは、過度の延伸を避けるために洗浄され溶媒の一部が除去される。そして、更に洗浄され、適宜、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機塩基で中和され、ほとんどの溶媒は除去される。ここでいう洗浄とは、ポリベンザゾールポリマーを溶解している鉱酸に対し相溶性であり、ポリベンザゾールポリマーに対して溶媒とならない液体にドープフィラメントを接触させ、ドープから酸溶媒を除去することである。好適な洗浄液体としては、水や水と酸溶媒との混合物がある。ドープフィラメントは、好ましくは残留鉱酸金属原子濃度が重量で8000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下に洗浄される。その後、乾燥してフィラメントとしてボビンに巻き取るか、ステープルに加工される。
ステープルとしては、定長又ランダム長に切断したステープルであり、フィラメントを刃物で切断することなく、引きちぎってステープル状態にする所謂、牽切法によるステープルも含まれる。
ステープルの加工方法としては、一般的な方法が採用できる。すなわち、押し込み方式のクリンパーでトウにクリンプを付与した後、トウを刃物で切断する方法や、牽切による方法でクリンプが付いたステープルとすることができる。
ステープルの加工方法としては、一般的な方法が採用できる。すなわち、押し込み方式のクリンパーでトウにクリンプを付与した後、トウを刃物で切断する方法や、牽切による方法でクリンプが付いたステープルとすることができる。
フィラメントやステープルは、静電気発生防止、収束性付与のための油剤を付与され、フィラメントは織物や編物とすることができ、ステープルは、紡績糸とし、通常の方法に従って織物、編物、不織布とすることもできる。不織布はニードルパンチ法によって作製してもよいし、水流交絡法によって作製しても良い。
このようにして得られた布帛は圧縮加工される。圧縮加工方法としては、プレス機でプレスすることによって薄くすることもできるが、この方法では、布帛が停止した状態での加工となり、生産性が低く非効率である。そのため、カレンダーロールによって、ロール間に布帛を連続的に通して加圧し、薄くする方法を採用することが好ましい。
カレンダーロールはエンボス模様表面、梨地表面、鏡面の金属ロールを使用することが好ましい。特に布地表面の均一化のためには、鏡面の金属ロールが好ましい。
圧縮加工する際のポリベンザゾール繊維布帛は、薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、0.85≧T1/T0 を満足するような厚み比に薄地化される。T1/T0の値は小さいほど薄地化されるが、織物ら編物の場合は、カレンダー加工装置の能力や繊維の損傷を避けるために、下限値としては0.5程度である。
また、本発明の圧縮加工において、ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、S1/S0≧1.2を満足させることが好ましい。すなわち、厚み当りの引張強度を薄地化加工前に比べて向上させて、薄地布帛でありながら、厚地の場合に劣らない高強度の布帛を得ることができる。
S1/S0の値は高いほど好ましいが、カレンダー加工装置の能力や繊維の損傷を避ける観点から、上限値としては1.8程度が好ましい。
S1/S0の値は高いほど好ましいが、カレンダー加工装置の能力や繊維の損傷を避ける観点から、上限値としては1.8程度が好ましい。
また、本発明において圧縮加工に供されるポリベンザゾール繊維は、圧縮加工前の長繊維や短繊維(原綿)の水分率が10%以上であり、かつ圧縮加工前に一度も水分率が10%未満になる履歴がないことが薄地化のセット性の点で好ましい。水分率を10%以上に保持続けることにより、ポリベンザゾール繊維の構造の緻密化が抑制され、通常の圧縮加工によってセット性が向上する。ポリベンザゾール繊維布帛の水分率は10%程度でもよいが、15%以上が好ましく、より好ましくは20%以上である。通常、この湿潤状態の繊維の水分率は、取り扱い性の観点から、高くても30%であることが好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、それによって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
布帛の厚みは、JIS−L1096に準じて、荷重240gf/cm2で10秒放置後の厚みを測定した。
引張強度は、JIS−L1013に準じて、引張試験機(島津製作所社製)にて引張強力測定し、布帛の厚み当りに換算した(kN/mm)。
引張強度は、JIS−L1013に準じて、引張試験機(島津製作所社製)にて引張強力測定し、布帛の厚み当りに換算した(kN/mm)。
(実施例1)
30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が28dL/gのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール14重量%と五酸化リン含有率84.3%のポリリン酸から成る紡糸ドープを紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は60℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗・乾燥し、フィラメントをボビンに巻き取った。巻き取ったフィラメントの総繊度は275dtex、単糸繊度は1.65dpf(dtex/filament)、その直径は11.5μmであり、水分率は2.0%であった。
得られたフィラメントを用いて通常の方法で、経糸は1インチ(2.54cm)当り45本、緯糸は1インチ(2.54cm)当り40本の打込み数の平織布を作製した。得られた織物は糊や油分を落とすための精練を実施した後、カレンダー加工を施した。
カレンダー加工は、ロール直径20cm、長さ100cmの1対の鏡面ロール(由利ロール社製)を使用し、表1に示すように、室温でロール線圧と速度をパラメーターとして加工した。表1から明らかなように、線圧が高いほど、またロールの速度が遅いほど厚みが小さくなった。また、長時間放置しても、厚みの回復は殆んど無かった。また、処理後の布は光沢が増していた。
なお、上記テストに用いたカレンダーロール加工前の布帛強力及びNo.1〜4の加工後の布帛強力は、タテ、ヨコ共に3520N/3cmであった。最も強加工した処理No.5の布帛の強力はタテ3480 N/3cm、ヨコ3500N/3cmで強力の低下は僅かであった。また、加工前の布帛の糸断面はほぼ丸に近いが、このNo.5の布帛の糸断面を観察すると、やや楕円形化していた。
得られた布帛のT1/T0及びS1/S0をも含めて結果を表1に示した。
30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が28dL/gのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール14重量%と五酸化リン含有率84.3%のポリリン酸から成る紡糸ドープを紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は60℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗・乾燥し、フィラメントをボビンに巻き取った。巻き取ったフィラメントの総繊度は275dtex、単糸繊度は1.65dpf(dtex/filament)、その直径は11.5μmであり、水分率は2.0%であった。
得られたフィラメントを用いて通常の方法で、経糸は1インチ(2.54cm)当り45本、緯糸は1インチ(2.54cm)当り40本の打込み数の平織布を作製した。得られた織物は糊や油分を落とすための精練を実施した後、カレンダー加工を施した。
カレンダー加工は、ロール直径20cm、長さ100cmの1対の鏡面ロール(由利ロール社製)を使用し、表1に示すように、室温でロール線圧と速度をパラメーターとして加工した。表1から明らかなように、線圧が高いほど、またロールの速度が遅いほど厚みが小さくなった。また、長時間放置しても、厚みの回復は殆んど無かった。また、処理後の布は光沢が増していた。
なお、上記テストに用いたカレンダーロール加工前の布帛強力及びNo.1〜4の加工後の布帛強力は、タテ、ヨコ共に3520N/3cmであった。最も強加工した処理No.5の布帛の強力はタテ3480 N/3cm、ヨコ3500N/3cmで強力の低下は僅かであった。また、加工前の布帛の糸断面はほぼ丸に近いが、このNo.5の布帛の糸断面を観察すると、やや楕円形化していた。
得られた布帛のT1/T0及びS1/S0をも含めて結果を表1に示した。
(比較例)
孔数66のノズルを使用した以外は実施例1と同様にして、総繊度110dtex(単糸繊度は1.65dpfで実施例1と同じ)のフィラメントを得た。得られたフィラメントを用いて通常の方法で、経糸は1インチ(2.54cm)当り70本、緯糸は1インチ(2.54cm)当り60本の打込み数の平織布を作製した。得られた織物は糊や油分を落とすための精練を実施した。
精練後の布帛の厚みは0.10mmで実施例の処理No.4とほぼ同様の厚みであったが、布帛強力はタテ2810N/3cm、ヨコ2670N/3cmで、実施例より強力が低い織物であった。
孔数66のノズルを使用した以外は実施例1と同様にして、総繊度110dtex(単糸繊度は1.65dpfで実施例1と同じ)のフィラメントを得た。得られたフィラメントを用いて通常の方法で、経糸は1インチ(2.54cm)当り70本、緯糸は1インチ(2.54cm)当り60本の打込み数の平織布を作製した。得られた織物は糊や油分を落とすための精練を実施した。
精練後の布帛の厚みは0.10mmで実施例の処理No.4とほぼ同様の厚みであったが、布帛強力はタテ2810N/3cm、ヨコ2670N/3cmで、実施例より強力が低い織物であった。
(実施例2)
実施例1の製造法において、フィラメントを乾燥せず、圧縮加工前に一度も水分率が10%未満になる履歴がないことのみが異なるポリベンザゾール繊維布帛を得て、圧縮加工前の水分率が15%で、実施例1のNo.5の布帛と同様のカレンダー加工を実施した。
得られたポリベンザゾール繊維布帛の12日間放置後の厚みは、カレンダー加工直後と全く変化が認められなく、極めてセット性が良好であった。
実施例1の製造法において、フィラメントを乾燥せず、圧縮加工前に一度も水分率が10%未満になる履歴がないことのみが異なるポリベンザゾール繊維布帛を得て、圧縮加工前の水分率が15%で、実施例1のNo.5の布帛と同様のカレンダー加工を実施した。
得られたポリベンザゾール繊維布帛の12日間放置後の厚みは、カレンダー加工直後と全く変化が認められなく、極めてセット性が良好であった。
本発明によると、強度を充分に発現したポリベンザゾール繊維の薄地布帛を提供できる。この薄地繊維布帛は、従来になく薄くて高強度であるため、産業用資材として実用性を高め利用分野を拡大する効果が絶大である。即ち、薄く、軽い性能が求められる耐衝撃用部材、FRP、電子材料など広範にわたる用途に使用可能である。
Claims (3)
- ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚みをT0、薄地化加工後の厚みをT1とした時、下記の式(1)を満足するように圧縮加工することを特徴とするポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
0.85≧T1/T0 (1) - ポリベンザゾール繊維布帛の薄地化加工前の厚み当りの引張強度をS0、薄地化加工後の厚み当りの引張強度をS1とした時、下記の式(2)を満足するように圧縮加工することを特徴とする請求項1に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
S1/S0≧1.2 (2) - 薄地化加工がカレンダーロール加工であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリベンザゾール繊維布帛の薄地化方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080324 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20090715 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |