JP3368708B2 - ポリベンザゾール繊維の製造方法 - Google Patents
ポリベンザゾール繊維の製造方法Info
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Description
ンザゾール繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは紡
糸工程から乾燥工程までを連続化して行なう改良された
ポリベンザゾール繊維の製造方法に関するものである。
ているスーパー繊維の代表であるパラフェニレンテレフ
タルアミド繊維の2倍以上の強度、弾性率と、さらに分
解温度が670℃と従来の合成繊維には見られなかった
高い耐熱性とを有することから次世代のスーパー繊維と
して産業界から注目されている。
から乾湿式紡糸法によりポリベンザゾール繊維を製造す
る方法は、特表昭63−500529号公報およびWO
94−04726号等で提案されている。すなわち特表
昭63−500529号公報には、ポリベンザゾール重
合体のポリリン酸溶液を紡糸口金より大気雰囲気中に紡
出し、該紡糸口金下方の大気雰囲気中を一定の距離走行
させた後、該紡出糸を非溶媒性の凝固溶媒体浴中に導入
し、該凝固液と接触させて紡出糸の凝固と脱溶媒を行
い、次いで該糸条を非溶媒性の液体で洗浄し繊維中に残
存する溶媒を除去した後、さらに該繊維を加熱して水分
を低減させる方法が開示されている。
糸に引き続いて、凝固・抽出および洗浄処理されたポリ
ベンザゾール繊維の残存水分率は約100〜200重量
%である。ここで残存水分率は[(乾燥前繊維重量−乾
燥後繊維重量)/乾燥後繊維重量]×100%で定義さ
れる。洗浄後のポリベンザゾール繊維は、この残存水分
率が一定値以下となるように乾燥する必要がある。なぜ
なら洗浄後に行なう初期引張弾性率の向上を目的とした
熱処理において、残存水分率が一定値以上であるポリベ
ンザゾール繊維を特定の温度以上に加熱すると繊維内部
に形態上の欠陥(ボイド)を生じ、この欠陥が繊維物性
の低下原因となるからである。つまり、熱処理はポリベ
ンザゾール繊維の最高初期引張弾性率を得るために不可
欠であるが、残存水分率が一定水準以上(例えば2重量
%以上)である糸条を高温(例えば400℃以上の温
度)で加熱した時の繊維内部での欠陥(ボイド)の発生
を回避するために、熱処理に先だってポリベンザゾール
繊維の残存水分率を約2重量%以下に低減させることが
肝要である。
して、(1) チーズ状に巻き上げた出糸を洗浄媒体に浸漬
して脱溶媒を行った後、チーズ形態のまま不活性気流中
で比較的低い雰囲気温度(例えば80℃〜100℃の温
度)で極めて長い時間(例えば1週間)で乾燥する所謂
バッチ乾燥方式、(2) 紡糸工程から乾燥工程までを連続
化した所謂オンライン乾燥方式とに大別される。
浄及び乾燥のために広い床面積、多量の洗浄媒体と不活
性ガスを必要とする。また洗浄媒体と繊維との長時間の
接触は繊維物性の低下の原因となる。さらに致命的であ
るのは、生産性が低いことである。一方、後者の場合、
生産性の点で有利であることは明らかである。しかし、
紡糸工程から乾燥工程までを連続化して工業的に許容で
きる製造時間で繊維の残存水分率2重量%以下を達成す
るには、前記バッチ乾燥方式に比べて極めて高い乾燥温
度の採用が必須となる。例えば乾燥温度と時間の組み合
わせは190℃×60秒+220℃×60秒+240℃
×60秒であり、ポリベンザゾール繊維製造の乾燥・熱
処理工程において繊維の受ける熱的条件は極めて過酷と
言える。乾燥工程において残存水分率が10重量%近傍
まで低下すると、他の合成繊維と同様に靜電気の発生と
それによる繊維同士の反発が顕著になる。このため乾燥
工程での糸条の走行性が不安定となり、乾燥装置内でロ
ール巻き付きが多発する。乾燥工程で発生する多量の靜
電気に起因する操業性の低いことがポリベンザゾール繊
維オンライン乾燥法のネックであった。
製造するにあたっての従来のオンライン乾燥法の欠点が
解消された、新規な製造方法を提供することにある。
ル繊維の製造方法は、ポリベンザゾール重合体からなる
紡糸ドープを紡糸口金から溶融して押し出し、引き続い
て紡出糸の凝固・抽出・洗浄を行い、得られた糸条に油
剤を付与した後、2重量%以下の残存水分率まで乾燥処
理を行うポリベンザゾール繊維の製造方法において、温
度240℃の空気雰囲気中で1時間加熱後の揮発減量率
が45重量%以下で且つタール化率が4.0重量%以下
である油剤を用いることを特徴とするものである。本発
明は上記構成となされているので、乾燥処理において繊
維に欠陥(ボイド)が発生しない最高の温度で加熱する
に際して、糸条の集束性または走行安定性が維持でき、
乾燥後の糸条の平滑性が実用レベルとなる。
金属との摩擦係数が0.14〜0.25となる前記油剤
を付与することが好ましい。また、本発明において、前
記油剤を付与する前に予め、糸条の残存水分率を10重
量%未満とすることが好ましい。
Z)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)ホモポリ
マー、ポリベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー及
びそれらPBO、PBTのランダム、シーケンシャルあ
るいはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベン
ゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール及びそれらのラ
ンダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマ
ーは、例えばWolfe 等の「Liquid Crystalline Polymer
Compositions , Process and Products」米国特許第4
703103号(1987年10月27日)、「Liquid
Crystalline Polymer Compositions , Process and Pr
oducts」米国特許第4533692号(1985年8月
6日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazol
e ) Composition , Process and Products 」米国特許
第4533724号(1985年8月6日)、「Liquid
Crystalline Polymer Compositions , Process and Pr
oducts」米国特許第4533693号(1985年8月
6日)、Evers の「Thermooxidatively Stable Articul
ated p-Benzobisoxazole and p-Benzobisthiazole Poly
mres」米国特許第4539567号(1982年11月
16日)、Tasi等の「Method for making Heterocyclic
Block Copolymer」米国特許第4578432号(19
86年3月25日)等に記載されている。
は、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択
される。モノマー単位は構造式(a)〜(h)に記載さ
れているモノマー単位からなり、さらに好ましくは、本
質的に構造式(a)〜(c)から選択されたモノマー単
位からなる。
するための好適な溶媒としては、クレゾールやポリベン
ザゾールポリマーを溶解し得る非酸化性の酸が挙げられ
る。好適な酸溶媒の例としては、ポリリン酸、メタンス
ルホン酸、高濃度の硫酸、およびこれらの混合物が挙げ
られる。これら溶媒のうち、さらに好適な溶媒は、ポリ
リン酸及びメタンスルホン酸である。また最も好適な溶
媒は、ポリリン酸である。
リマー濃度は、好ましくは少なくとも約7重量%であ
り、さらに好ましくは少なくとも10重量%、最も好ま
しくは少なくとも14重量%である。最大濃度は、例え
ばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取扱
い性により限定される。それらの限界要因のために、ポ
リマー濃度は通常では20重量%を超えることはない。
びドープは公知の手法により合成することができる。例
えばWolfe 等の米国特許第4533693号(1985
年8月6日)、Sybert等の米国特許第4772678号
(1988年9月20日)、Harrisの米国特許第484
7350号(1989年7月11日)に記載される方法
で合成される。また、PBO合成法については、例えば
特表昭63-500529 号公報に記載がある。PBZポリマー
は、Cregory 等の米国特許第5089591号(199
2年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒中での比較
的高温、高剪断条件下において高い反応速度での高分子
量化が可能である。
剤、制電剤等を含有させることも勿論可能である。これ
らのポリベンザゾールはポリリン酸に溶解した紡糸ドー
プとして直ちに若しくは別途乾湿式紡糸を行う。
式紡糸法により繊維化される。即ち、ポリベンザゾール
をポリリン酸に溶解した紡糸ドープを、所定温度に加熱
された昇圧装置と計量装置及び無機及び/又は金属粒子
で構成された濾過層を、さらに該濾過層の下方に配設さ
れた多孔板を通過させる。次いで多孔板面と紡糸口金背
面とで形成されるメルトプールと称する空間部に導入
し、該空間部に設けられた金属繊維からなる編織物また
は不織布を通過させて紡糸口金に供給する。該紡糸ドー
プは、複数の紡糸細孔が円周又は格子状、千鳥状に配列
された紡糸口金を通して紡出される。
所謂エヤギャップ部において、整流された温度が30〜
120℃の気流を吹き付けることで凝固温度以下に冷却
し、引き続いて非溶媒性の液体と接触させて凝固と脱溶
媒を行う。凝固浴に用いる非溶媒性の媒体としては、例
えば水、リン酸水溶液、メタノール、アセトン等を液体
または蒸気の状態で使用することができる。また凝固媒
体と紡出糸を接触させるには、例えば漏斗状の凝固浴中
を走行させる方法、多段アスピレーターの中を走行させ
る方法、滝状に流下する凝固媒体中を走行させる方法等
の方法が採用可能である。なおポリベンザゾールを吐出
して冷却及び固化した後の紡出糸にかかる紡糸張力及び
紡出糸の有する繊維強度は、他の乾湿式可能なポリマー
を用いた場合に比べて相対的に高いことから、前記した
抽出方法及び装置を使用することができる。例えば、最
も一般的である凝固液体槽に積極駆動型のローラー群を
浸漬した装置も利用できる。
糸条は方向転換ローラーを介して第1ゴデットローラー
で引き取られる。第1ゴデットローラーの表面速度で規
定される紡糸速度は単繊維デニールによって異なり、紡
糸細孔径が一定である場合、単繊維デニールが細くなる
ほど、連続した安定紡糸が可能な最大紡糸速度は低下す
る。すなわちエアギャップ部における最大スピンドロー
比(紡速/紡糸細孔内の吐出線速度)は主として単糸デ
ニールによって決定される。
溶媒の抽出・洗浄工程に送られる。これらの抽出・洗浄
工程において、繊維に含有されるポリリン酸はリン原子
換算値で99.0重量%以上、好ましくは99.5重量
%以上、特に好ましくは99.8重量%以上が最終的に
は抽出される。本発明に抽出液として用いられる媒体の
種類には特に制限はないが、ポリベンザゾールポリマー
に対して実質的に相溶性を有せず、ポリリン酸と相溶性
の有る液体であればよく、特に安全性や回収性及び価格
等の面から、ポリリン酸水溶液、水、メチルアルコール
等が好ましく使用できる。また抽出・洗浄装置を多段に
分離または分割し、抽出または洗浄媒体として使用する
ポリリン酸の濃度を順次薄くして、最終洗浄段階ではポ
リリン酸を含まない水で洗浄してもよい。また抽出・洗
浄工程の一部でアルカリ水溶液を使用し、繊維に含まれ
るポリリン酸の中和処理を行った後に、ポリリン酸を含
まない水で繊維表面に付着するアルカリ液を洗浄・除去
してもよい。この様にして抽出及び洗浄を行った後のポ
リベンザゾール繊維の残存水分率は、表面自由水と繊維
内部水を含めて通常100重量%〜200重量%であ
る。
理が行われる。この目的は乾燥時間を短縮することにあ
る。具体的に表面水を低減する方法としては例えば、
(1) 高速空気流を走行糸条に吹き当てる方法、(2) 棒状
ガイド類と接触させる方法、(3) ニップロールを用いる
方法等を挙げることができる。中でも高速空気流を用い
る方法は、紡速が高い場合でも繊維に損傷を与えること
なく効率よく表面水を除去することができる。次いで糸
条は乾燥工程に導入される。ポリベンザゾール繊維では
残存水分率が10重量%以上の乾燥状態では、水分の制
電作用により集束性が維持され糸条は安定に乾燥装置を
走行する。しかし、繊維の残存水分率が10重量%未満
になると靜電気が発生し、それによって繊維同士の反発
が起こり糸条走行性に悪影響が出始める。また糸道ガイ
ドやローラーとの接糸抵抗によって繊維に部分的な損傷
が見られる様になる。この問題は工程油剤を付与するこ
とで解決できる。ここで肝要なのは、繊維の残存水分率
が10重量%未満の状態で工程油剤を付与することであ
る。なぜなら前記した如くポリベンザゾール繊維では残
存水分率が10重量%以上であれば、工程油剤を付与し
なくても水分の制電作用により集束性が維持され糸条は
安定に乾燥装置を走行するからである。ポリベンザゾー
ル繊維は高温加熱による乾燥が十分に進行していない状
態で工程油剤を付与すると油剤の特定成分例えばポリエ
ーテル類を短時間で多量に吸尽し、その後のさらに高温
の乾燥を行っても該成分が繊維から放出されないからで
ある。しかし、高温加熱により残存水分率が10重量%
未満では油剤の特定成分の吸尽は認められなくなる。こ
の機構は不明であるが熱による繊維構造の緻密化が関係
した現象と推定される。工程油剤を付与する繊維の残存
水分率は10重量%未満であれば特に制限はなく、乾燥
装置内における靜電気の発生量と糸条集束性さらには糸
条走行状態を勘案して設定すればよい。なぜなら糸条走
行状態はオンライン乾燥に採用する加熱手段や乾燥温度
・時間、ライン速度等の影響を少なからず受けるからで
ある。
明する。前記したようにポリベンザゾール繊維の乾燥処
理は他の合成繊維の乾燥及び熱処理に比べて極めて過酷
な条件下で行われる。したがってポリベンザゾール繊維
の工程油剤に要求される特性、特に熱特性は厳しく、2
40℃の空気雰囲気中で1時間加熱した場合の揮発減量
率が45重量%以下であることが必要である。ここで揮
発減量率は、 [(乾燥前油剤重量−加熱後油剤重量)/乾燥前油剤重
量]×100% で表される。空気雰囲気中240℃における揮発減量率
が45重量%を越える工程油剤を付与した場合、高温・
短時間の加熱で残存水分率2重量%まで乾燥しようとす
ると油剤の機能、例えば集束性及び平滑性が喪失されて
乾燥工程で安定した糸条走行性が得られなくなる。また
油剤成分の種類にもよるが揮発減量率が45重量%を越
える工程油剤を使用すると、発煙、蒸発等を生じて作業
環境が悪化する場合が多い。一方、乾燥工程での揮発減
量分を見込んで工程油剤の付与量を増やした場合は、当
然のことながら発煙量または揮発量が増大したり、また
油剤の粘着性のため乾燥工程の導入部においてロールに
糸条が取られ易く、糸掛け操作性が低下する等の弊害が
生じる。
は、空気雰囲気中240℃で1時間加熱した時のタール
化率が4重量%以下であることも必要である。ここで油
剤のタール化率は、 (テトラハイドロフラン不溶解分重量/乾燥前油剤重
量)×100% で表される。タール化率が4重量%を越える工程油剤を
付与した糸条を高温、例えば240℃で長時間乾燥する
と、乾燥装置の構成体である糸道ガイドや加熱ロール表
面が油剤タールで汚染され毛羽発生やロール巻き付き等
の原因となる。また繊維表面でタール化が発生すると、
例えばタイヤコードとして使用した場合に接着性低下の
原因となり製品の品質を低下させる原因となる。
をそのまま製編織して布帛に加工する場合、加工性の点
で摩擦特性は重要である。即ち、平滑性に欠ける糸条は
糸道ガイドとの接触摩擦によって毛羽やフィブリルを発
生し、満足な加工性が得られない。また繊維の引張弾性
率を高めるための熱処理において、糸条の平滑性が不足
すると糸道ガイド類との接触摩擦によって毛羽を生じる
ことがある。このような点を改善するために、本発明で
用いる工程油剤は、ポリベンザゾール繊維と金属との摩
擦係数が0.14〜0.25の範囲となるものであるこ
とが好ましく、さらに0.15〜0.22の範囲となる
ものであることが好ましい。摩擦係数が0.14未満と
なる油剤を付与した糸条は、乾燥装置の加熱ローラー上
で糸道が安定せず巻き付きを生じることがある。また乾
燥処理を終えた糸条を良好な形状のパッケージに巻き上
げることが困難になる。一方、摩擦係数が0.25を超
えるものとなると、乾燥装置の加熱ロールへの糸掛け操
作時に巻き付きが発生しやすく操作性が低下する。ま
た、加熱ロールからの糸離れ性が不良となり走行状態が
不安定になる。さらに乾燥工程や巻取工程さらには熱処
理工程において糸道ガイド類と接触部でスカムを生じた
り、毛羽の発生等のため品位が低下する。また平滑性の
欠如は製編織に際して加工性の低下につながる。勿論、
糸条の乾燥処理を終えた後で乾燥前に付与した工程油剤
を再びオーバーコートする方法もあるが、油剤の供給に
は溶解装置、循環装置、油剤付与装置等が必要となりコ
スト増大になる。
具体的に例示すると、平滑成分としてPOE−ビスフェ
ノールA・ジラウレート、ジイソステアリルチオジプロ
ピオネート、硫黄芳香族エステル、ノニオン成分として
POE−硬化ヒマシ油、ポリエーテル、アニオン成分と
してアルキルスルホネート・ナトリウム塩、アルキルホ
スフェート・カリウム塩、POE−アルキルスルホネー
ト・ナトリウム塩、POE−アルキルホスフェート・ナ
トリウム塩等から選ばれた複数の成分を配合した工程油
剤等が挙げられる。
はなく、従来公知の方法、例えばローラーによる付与、
溝型形状を持つ所謂ガイドによる付与、ミスト状で噴霧
する方法等が採用できる。糸条の乾燥処理及び油剤付与
処理をインラインで行うことは、糸条に機械的な損傷を
与えることなく優れた物性の糸条を得る上で重要であ
る。
限はなく、5〜30重量%のものが好ましくは使用でき
る。また乾燥糸状への工程油剤の付着量も特に制限はな
く、糸条に対して0.1〜2.0重量%が一般的であ
る。
(ボイド)を生じない最も高い温度を採用することが好
ましい。ボイドの発生は乾燥に供される糸条の初期水分
率と乾燥温度によって支配され、初期水分率に応じた最
高乾燥温度が存在する。初期水分率と許容最高乾燥温度
の関係を例示すると、30重量%で190℃、12重量
%で220℃、5重量%で240℃である。次に乾燥時
間であるが残存水分率を2重量%以下にするには、工業
的要請から好ましくは14分以下、さらに好ましくは1
0分以下、最も好ましくは7分以下にすべきである。ま
た実際の乾燥手段としては制限はなく、加熱ローラー、
熱風加熱、赤外線、電磁波、および各手段の併用等が挙
げられる。工業的には熱風循環型のオーブンが典型的に
使用される。
乾燥された糸条は、通常、引張弾性率の向上を目的とし
て熱処理が施される。ポリベンザゾール繊維の熱処理
は、US特許4554119号、US特許458143
7号、US特許5288452号および特開平6−17
3113号公報に述べられている様に、300℃以上、
好ましくは450℃以上の温度で施してもよい。熱処理
温度の上限は、熱劣化による物性低下の面から650℃
未満が好都合である。熱処理された糸条は、必要に応じ
て仕上げ油剤を付与して引き取られる。該油剤は、本発
明に用いる油剤と同一であってもまた異種油剤であって
もよい。
勿論本発明はこれらに限定されるものではない。本発明
の評価に用いた油剤特性および繊維特性の測定方法は以
下の通りである。
1号(1992)に記載された方法に準拠して揮発減量
率を測定した。
11号(1992)に記載された方法に準拠してタール
化率を測定した。
れた対ロールに雰囲気温度240℃、ライン速度200
m/分で、帝人製機(株)製のニューマーSG660を
用いて糸掛け操作を行い、糸掛け成功率を測定した。操
作回数が1回を良好[◎]、2回をやや良好[○]、3
回以上を不良[×]と判定した。
40℃の熱風循環型乾燥オーブン中における糸条の集束
状態を目視で定性的に判定した。良好なものを[◎]、
やや良好なものを[○]、不良なものを[×]とした。
0℃×60秒+240℃×60秒の乾燥オーブン装置中
を順次走行させ、該最終乾燥オーブンの出口から前方2
0cmの位置で、春日電気製の集電式電位測定器を用い
て走行糸条の帯電圧を測定した。
条を、ライン速度200m/分で温度240℃の熱風循
環型乾燥オーブン中の対ロールに巻き掛けて走行させ
た。3時間経過した後にロールを停止させて該ロール表
面汚れを目視で判定した。表面汚れのないものを
[◎]、表面汚れが少ないものを[○]、表面汚れのあ
るものを[×]と判定した。
ワインダーを用いて3時間巻いた。巻き上げたチーズ形
状[耳立ち、バルジ]を目視で判定した。良好なものを
[◎]、やや良好なものを[○]、不良なものを[×]
とした。
1号(1992)に記載された方法に準拠して測定し
た。すなわち試料を標準状態(温度20±2℃、相対湿
度65±2%の状態)の試験室で少なくとも16時間コ
ンディショニングした後、エイコー測定準(株)製の摩
擦測定装置(μメーター)を用いて、走行速度200m
/分で、摩擦子として直径16.2mmの梨地棒を用
い、接触角(θ)1.915ラジアン、導入張力(T
1)20g/ヤーンの条件で、送出側出口の張力(T
2)を測定した。摩擦係数(μ)は次式により算出し
た。 μ=(2.303/θ)×log(T1/T2)
1013(1981)に準拠してオリエンテック
(株)社製テンシロンにより、つかみ間隔5cm、引張
速度100%/分、n=30の測定を行い、引張強度と
初期引張弾性率を求めた。
ベンゼンジオール・2塩酸塩(50.0g、0.235
mol)を200gのポリリン酸(五酸化リン含有率8
3.3重量%)とともに、窒素気流下で40℃で12時
間で攪拌した。その後、60℃に昇温し、約50mmH
gの減圧下で脱塩酸を行った。ここへテレフタレル酸
(39.0g、0.236mol)と五酸化リン103
gを加えて窒素気流下で60℃で8時間、引き続いて1
20℃で9時間、150℃で15時間、180℃で24
時間重合した。このようにして重合して得られるポリベ
ンザゾール重合体溶液をそのまま紡糸用のドープとし
た。得られたポリマーの一部を水と共に家庭用のミキサ
ーを用いて攪拌を数回反復して重合体を粉末状にして回
収し乾燥した。粉末の重合体をメタンスルホン酸に再溶
解して25℃で粘度測定を行うと、極限粘度[η]は3
0.5dl/gであった。上記反応で得られた固形分の
濃度は14.0重量%、ポリリン酸の濃度は86.0重
量%である。
った後、計量ポンプを経て紡糸ヘッドに移送した。該紡
糸ヘッド部で無機物からなる層厚さ50mmの粒子充填
層を通過させ、次いで直径2mmの細孔が格子状に複数
個穿孔された分散板を通過させ、さらに金属繊維の布帛
の積層体層を通過させた。そして、孔径0.18mm、
孔長0.18m、導入角度20°の細孔を有する紡糸口
金を通して、紡糸口金表面温度165℃、吐出量64.
2g/分の条件で紡出した。
35cmにわたり温度75℃の冷却風を用いて冷却した
後、濃度20%のリン酸水溶液と接触させた。引き続い
てローラー(群)に巻き掛けて糸条の走行方向を転換さ
せた後、さらに第一ゴデットローラー(群)に巻き掛け
て紡糸張力を解放すると同時に、該ローラーに近接して
配設したスプレー装置により、走行糸条に水を噴射して
糸条中のリン酸の抽出と洗浄を行った。さらに第二ゴデ
ットローラー(群)に巻き掛けて該ローラーに近接して
配設したスプレー装置により、走行糸条に濃度0.1
N、pH9.5のアルカリ性水溶液を噴射して糸条を3
分間洗浄した後、さらに第三ゴデットローラー(群)に
巻き掛けて該ローラーに近接して配設したスプレー装置
により、走行糸条に水を噴射して糸条を3分間洗浄し、
空気噴射により糸条表面水を低減した。
ポリオキシエチレン−ビスフェノールA・ジラウレート
を配合した工程油剤を濃度15重量%のエマルジョンと
し、乾燥後の油剤付着率が0.6重量%となるように前
記工程油剤を付与した。なお、油剤の付与にはノズル法
を採用した。
90℃、220℃、240℃の熱風循環型のオーブン内
を順次通過させて、ボイド発生を伴うことなく糸条の残
存水分率を2.0重量%以下とし、冷却ロールに巻き掛
けた後、巻取機を用いてパッケージに巻き上げた。
えて、表1に示すようにジイソステアリルチオジプロピ
オネート[実施例2]、含硫黄芳香族エステル[実施例
3]を配合した工程油剤をそれぞれ用いた以外は、実施
例1と同様の操作を行なった。
えて、表1に示すようにエチレンオキサイドとプロピレ
ンオキサイドのランダム共重合物[比較例1]、ポリブ
テン[比較例2]、ポリエーテル変性シリコーン[比較
例3]、グリセリントリラウレート[比較例4]、イソ
エイコシルイソステアレート[比較例5]をそれぞれ用
いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。前記の
条件で評価した結果を表1にまとめて示す。
実施例1〜3では何れも、乾燥工程での糸掛け操作性は
良好であった。また、乾燥装置内における糸条集束性、
走行安定性共に良好であり、ロールへの単糸巻き付きや
断糸等は皆無であった。乾燥装置出口における靜電気発
生量は−0.1〜−0.5Kvと低く、優れた集束性及
び走行安定性と対応していた。また乾燥装置内の対ロー
ル表面の汚れは実用上支障のない程度であった。また乾
燥装置と巻取機との間に配設された糸道ガイドにスカム
の蓄積は認められなかった。巻き取ったチーズの形状も
良好であった。また摩擦係数測定のためチーズを速度2
00m/分で解舒したが解舒性は安定していた。なお該
摩擦係数測定装置に設けられた糸導ガイドに蓄積したス
カム量は僅少であった。
ロピレンオキサイドのランダム共重合物を用いた比較例
1では、この工程油剤の揮発減量率が93重量%と高
く、温度240℃乾燥オーブン中で集束性不足のため実
質的に乾燥処理を行うことが困難であった。また平滑成
分にポリブテンを用いた比較例2では、この工程油剤の
揮発減量率が96重量%と高く、乾燥ロールへの単糸巻
き付きおよび断糸が発生し操作性に欠けるものであっ
た。巻き取ったチーズを速度200m/分で解舒したが
解舒状態は不安定であり毛羽を生じた。なお該測定装置
に設けられた糸導ガイドに多量のスカムの蓄積が見られ
た。平滑成分にポリエーテル変性シリコーンを用いた比
較例3では、この工程油剤の揮発減量率が54重量%と
高く、乾燥工程で糸条は開繊しており走行状態は極めて
不安定であった。また正常な形状のチーズに巻き上げる
ことが困難であった。平滑成分にグリセリントリラウレ
ートを用いた比較例4では、この工程油剤の揮発減量率
が64重量%と高く、タール化率も4.2重量%と高
く、集束性不足のため安定した糸条走行性が得られず実
質的に乾燥処理は困難であった。なお、乾燥オーブンの
温度が220℃においてロール表面の汚れが大であっ
た。平滑成分にイソエイコシルイソステアレートを用い
た比較例5では、この工程油剤の揮発減量率が53重量
%と高く、タール化率も4.3重量%と高く、比較例4
と同様の現象を生じ、実用価値のないものであった。
表2に示すようにポリオキシエチレン−ビスフェノール
A・ジラウレートにジイソステアリルチオジプロピオネ
ートを配合したもの[実施例4]、ポリオキシエチレン
−ビスフェノールA・ジラウレートに含硫黄芳香族エス
テルを配合したもの[実施例5]、ジイソステアリルチ
オジプロピオネートにイソC12エルシネートを配合し
たもの[実施例6]にそれぞれ変更した以外は、実施例
1と同様の操作を行なった。上記成分を平滑剤として配
合した工程油剤の評価結果を表2にまとめて示す。
実施例4〜6では何れも、耐熱性および集束性に優れ、
実用上製織に際して支障ない摩擦係数を持つポリベンザ
ゾール繊維が得られた。
され特定の工程油剤を用いるので、糸条の集束性と平滑
性が改善されて走行状態が安定化し、従来困難とされて
いた高速でのオンライン乾燥が可能となった。従って、
本発明によれば、高強度・高弾性率ポリベンザゾール繊
維を、紡糸工程から乾燥工程までを連続化して製造する
ことができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリベンザゾール重合体からなる紡糸ド
ープを紡糸口金から溶融して押し出し、引き続いて紡出
糸の凝固・抽出・洗浄を行い、得られた糸条に油剤を付
与した後、2重量%以下の残存水分率まで乾燥処理を行
うポリベンザゾール繊維の製造方法において、温度24
0℃の空気雰囲気中で1時間加熱後の揮発減量率が45
重量%以下で且つタール化率が4.0重量%以下である
油剤を用いることを特徴とする、ポリベンザゾール繊維
の製造方法。 - 【請求項2】 ポリベンザゾール繊維と金属との摩擦係
数が0.14〜0.25となる前記油剤を付与すること
を特徴とする、請求項1記載のポリベンザゾール繊維の
製造方法。 - 【請求項3】 前記油剤を付与する前に予め、糸条の残
存水分率を10重量%未満とすることを特徴とする、請
求項1または2記載のポリベンザゾール繊維の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05283495A JP3368708B2 (ja) | 1995-03-13 | 1995-03-13 | ポリベンザゾール繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05283495A JP3368708B2 (ja) | 1995-03-13 | 1995-03-13 | ポリベンザゾール繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08246239A JPH08246239A (ja) | 1996-09-24 |
JP3368708B2 true JP3368708B2 (ja) | 2003-01-20 |
Family
ID=12925883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05283495A Expired - Lifetime JP3368708B2 (ja) | 1995-03-13 | 1995-03-13 | ポリベンザゾール繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3368708B2 (ja) |
-
1995
- 1995-03-13 JP JP05283495A patent/JP3368708B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08246239A (ja) | 1996-09-24 |
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