JPH07216642A - ナイロン6繊維の直接紡糸延伸法 - Google Patents

ナイロン6繊維の直接紡糸延伸法

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JPH07216642A
JPH07216642A JP6022099A JP2209994A JPH07216642A JP H07216642 A JPH07216642 A JP H07216642A JP 6022099 A JP6022099 A JP 6022099A JP 2209994 A JP2209994 A JP 2209994A JP H07216642 A JPH07216642 A JP H07216642A
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智 岡本
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浩二 江良
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ナイロン6繊維を溶融紡糸し、冷却した後油
剤を付与し、第1ゴデーローラ4と第2ゴデーローラ5
の間で延伸して巻き取る直接紡糸延伸法において、油剤
として非含水油剤を使用し、第1ゴデーローラ4で2000
m/分以下の速度で引き取り、第1ゴデーローラ4と表面
温度が50〜100 ℃の第2ゴデーローラ5との間で1.5 〜
3.5 倍に延伸した後、巻き取り張力D/25〜D/10gで
3000m/分以上の速度で巻き取る。ただし、Dは巻き取り
糸の繊度(デニール)である。 【効果】 後加工工程における熱処理時の収縮の発現が
大きく、この繊維を製編織して得られる布帛に十分なボ
リューム感を付与することができるナイロン6繊維を、
パッケージの巻き姿を良好に巻き上げ、生産性よく得る
ことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナイロン6繊維を直接
紡糸延伸する方法に係わり、さらに詳しくは、溶融紡糸
後、低速で引き取り、延伸した後3000m/分以上の高速
で巻き取る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生産性を向上させるために、溶融紡糸工
程の高速化が進められており、特公平1-22363 号公報に
は、ポリアミドの溶融紡出糸を冷却固化した後、油剤を
付与し、第1ゴデーローラで2000m/分を超える高速で引
き取り、第1ゴデーローラと第2ゴデーローラとの間で
低倍率で延伸し、熱処理した後、高速で巻き取る直接紡
糸延伸巻取方法が提案されている。また、特開昭62-199
814 号公報には、ポリアミドの溶融紡出糸を冷却固化し
た後、油剤を付与し、ポリマーの融点よりも5〜115 ℃
低い温度で延伸熱処理を施した後巻き取る直接紡糸延伸
法が記載されている。
【0003】特公平1-22363 号公報記載の方法では、第
1ゴデーローラの引き取り速度が高く、第2ゴデーロー
ラの表面温度が高いため、また、特開昭62-199814 号公
報記載の方法では、延伸時の熱処理温度が高いため、得
られる繊維は熱水収縮率が低く、熱応力ピーク温度が高
くなる。したがって、後加工工程における熱処理時に収
縮の発現が非常に小さく、この繊維を製編織して得られ
た布帛はボリューム感が乏しくなり、衣料用として使用
できる用途が極めて少ない範囲に限られるという問題が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決し、後加工工程における熱処理時の収縮の発現
が大きく、製編織された布帛に十分なボリューム感を付
与することができる繊維を、パッケージの巻き姿を良好
に巻き上げ、生産性よく得ることができる直接紡糸延伸
法を提供することを技術的な課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究の結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、ナイロン6繊維を溶融紡糸
し、冷却した後油剤を付与し、第1ゴデーローラと第2
ゴデーローラの間で延伸して巻き取る直接紡糸延伸法に
おいて、油剤として非含水油剤を使用し、第1ゴデーロ
ーラで2000m/分以下の速度で引き取り、第1ゴデーロー
ラと表面温度が50〜100 ℃の第2ゴデーローラとの間で
1.5 〜3.5 倍に延伸した後、巻き取り張力D/25〜D/
10gで3000m/分以上の速度で巻き取ることを特徴とす
るナイロン6繊維の直接紡糸延伸法を要旨とするもので
ある。ただし、Dは巻き取り糸の繊度(デニール)であ
る。
【0006】なお、本発明における熱水収縮率は、検尺
機で20回巻き取った22.5mの糸条を綛にし、綛の一部に
(1/30)×20×2(g/d)の荷重をかけて垂下し、
この状態で糸条の長さ(上端から下端までの長さ)を測
定後、荷重を外して100 ℃の熱水中で30分間処理し、次
いで、処理後の糸条に処理前と同じ荷重をかけて糸長を
測定し、熱水処理の前後での糸長差から算出したもの
で、測定回数10回の平均値で示した。また、熱応力ピー
ク温度は、第1熱収縮最大応力ピークを示す温度であ
り、カネボウエンジニアリング社製サーマルストレスタ
ーを用い、長さ10cmの糸条を輪にし、熱水収縮率と同様
に輪の一部に荷重(1/30)×2(g/d)をかけて、
昇温速度2.5 ℃/秒で測定し、測定回数10回の平均値で
示した。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。図
1は本発明のナイロン6繊維の直接紡糸延伸法を適用す
る溶融紡糸装置の一実施態様を示す概略図である。
【0008】紡糸口金1を通して溶融紡糸された糸条Y
は、冷却装置2により冷却、固化された後、油剤付与装
置3により非含水油剤を付与される。次いで、第1ゴデ
ーローラ4で引き取られ、2回以上巻回された後、第1
ゴデーローラ4と第2ゴデーローラ5との間で延伸され
るとともに、表面温度が50〜100 ℃の第2ゴデーローラ
に2回以上巻回される際に熱処理され、必要に応じて交
絡ノズル6で交絡を施された後、3000m/分以上の高速で
パッケージ7に巻き上げられる。
【0009】本発明では、第2ゴデーローラに巻回して
行われる熱処理が低温であるため、繊維に水分が付着し
ていると均一熱処理が不可能になるので、繊維に付与す
る油剤は、非含水油剤とすることが必要であるが、含水
率が10%以下であれば水分を含んでいてもよい。
【0010】非含水油剤に使用される平滑成分として
は、鉱物油、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル、グ
リコールエステル、多価アルコールエステル、グリセラ
イド、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの
ブロック又はランダム付加物等を用いることができ、乳
化成分としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールエステル、多価アルコール
エステル、ポリオキシエチレン多価アルコールエステル
等を用いることができる。さらに、帯電防止剤成分とし
ては、スルホネート化合物、アルキルフォスフェート等
のアニオン活性剤、あるいはカチオン活性剤、両性活性
剤等を使用することができる。
【0011】また、必要に応じて、集束剤、酸化防止
剤、抗菌剤、染料等を添加することもできる。このよう
に配合した非含水油剤は、溶融粘度20センチポイズ以
下、好ましくは10センチポイズ以下で使用することが好
ましく、溶融粘度の調整は、低粘度鉱物油で希釈するこ
と等により行うことができる。
【0012】次に、第1ゴデーローラの速度は2000m/分
以下とすることが必要である。2000m/分を超えると繊維
配向が高くなり、延伸後の糸条の収縮応力が大きく、良
好な巻き姿のパッケージが得られない。また、第1ゴデ
ーローラとしては特に限定されるものではないが、セパ
レートローラ付ゴデーローラや一対のネルソンローラと
し、これらを非加熱で用いることが好ましく、第1ゴデ
ーローラへ糸条を巻回させる回数は、延伸時にローラ表
面で糸条がスリップして延伸斑が発生しないように、2
回以上とすることが好ましい。
【0013】第2ゴデーローラの表面温度は50〜100 ℃
にすることが必要であり、好ましくは60〜95℃であり、
さらに好ましくは75〜90℃である。表面温度が50℃未満
になると、延伸時に糸切れが発生しやすく、安定して製
糸できない。また、熱処理効果が不十分であり、繊維の
収縮応力が大きすぎて巻き取りパッケージが不良とな
る。また、表面温度が100 ℃を超えると、得られる繊維
の熱水収縮率が低下し、熱応力ピーク温度が高くなり、
後加工工程で熱処理を施しても収縮の発現が小さくな
る。
【0014】さらに、巻き取り時の巻き取り張力をD/
25〜D/10gとすることが必要であり、さらに好ましく
はD/20〜D/15gである。この張力がD/25g未満で
あると第2ゴデーローラ出口での糸揺れが大きくなり、
糸条が第2ゴデーローラに巻き付いて糸切れが生じる。
一方、この張力がD/10gを超えると、パッケージに巻
き取った際に糸層が崩れたり、糸管がつぶれる等、巻き
姿が不良なパッケージとなる。この張力は図1におい
て、第2ゴデーローラ5と交絡付与装置6の間の8の位
置で測定した値であり、第2ゴデーローラ5と巻き取り
機との速度差(リラックス率)、あるいは第2ゴデーロ
ーラ5の表面温度、巻き取り機のトラバース速度を変え
ることにより調整することができる。
【0015】本発明では、熱水収縮率10%以上、熱応力
ピーク温度130 ℃以下のナイロン6繊維を得ることがで
き、本発明で得られるナイロン6繊維は、これらの物性
を有することによって後加工工程における熱処理時の収
縮の発現が大きく、製編織された布帛に十分なボリュー
ム感を付与することができる。熱水収縮率が10%未満、
熱応力ピーク温度が130 ℃を超える繊維であると、後加
工工程で熱処理を施しても収縮の発現が小さく、この繊
維を用いて製編織した布帛はボリューム感に乏しいもの
となる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。実施例及び比較例中の糸条の物性値の評価の方法
は次のとおりである。なお、熱水収縮率、熱応力ピーク
温度は前記のとおり測定したものである。 (1) 強度、伸度−島津製作所製S-100- Cオートグラフ
により、初荷重1/30(g/d)、試料長25cm、ダウン
スピード25cm/分、チャートスピード20mm/分で測定
し、測定回数25回の平均値で示した。 (2) 製糸性−24時間当りの糸切れ発生回数を測定し,次
の3段階で評価した。 ○−糸切れなし △−1〜2回 ×−3回以上 (3) パッケージの巻き姿−紙管上に糸を巻き始めた際の
パッケージ軸方向の糸層幅をAcmとし、巻き取り後のパ
ッケージでパッケージ軸方向に最大に膨れた糸層幅をB
cmとし、パッケージ膨れ率を下記の式で算出し,4段階
で評価した。 パッケージ膨れ率(%)−〔(B−A)/A〕×100 ◎−パッケージ膨れ率が5%未満 ○−パッケージ膨れ率が5〜10%未満 △−パッケージ膨れ率が10〜15% ×−パッケージ膨れ率が15%超
【0017】実施例1 図1に示す装置を用いて、相対粘度(96重量%硫酸を溶
媒として、濃度1g/dl、温度25℃で測定した。)が2.53
のナイロン6チップを260 ℃で溶融紡糸し、吐出量26g
/分で24孔の紡糸口金より溶融紡糸した。紡出糸条を冷
却固化した後、含水率1.0 %の非含水油剤を2重量%付
与し、セパレートローラ付第1ゴデーローラで速度1200
m/分で引き取って3回巻回し、次いで、表面温度が50℃
のセパレートローラ付第2ゴデーローラに5回巻回して
3倍に延伸し、巻き取り張力がD/15gとなるように巻
き取り速度を調整して70デニール/24フィラメントの糸
条を巻き取った。得られた糸条の熱水収縮率、熱応力ピ
ーク温度、強度、伸度、製糸性、パッケージの巻き姿を
表1に示す。
【0018】実施例2〜6、比較例1〜11 第1ゴデーローラで引き取る速度、第2ゴデーローラの
表面温度、延伸倍率を種々変更した以外は実施例1と同
様に行い、得られた糸条の熱水収縮率、熱応力ピーク温
度、強度、伸度、製糸性、パッケージ巻き姿を併せて表
1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなように、本発明の実施例
1〜6では、製糸性がよく、得られるパッケージの巻き
姿も良好で、生産性よく製造することができた。また、
得られた繊維は、熱水収縮率が10%以上で熱応力ピーク
温度が130 ℃以下であり、後加工工程で熱処理を施す
と、収縮発現性に優れ、嵩高となる糸条を得ることがで
きた。一方、第2ゴデーローラの表面温度が低かった比
較例1〜2及び5〜6では、延伸時に毛羽や糸切れが多
発し、製糸性、パッケージの巻き姿とも不良であった。
第2ゴデーローラの表面温度が高かった比較例3〜4及
び7〜8では、第2ゴデーローラ付近の糸条の糸揺れが
大きく、糸切れが発生したため製糸性が悪く、また、得
られた繊維の熱水収縮率が10%未満で、熱応力ピーク温
度が130 ℃を超え、後加工工程で熱処理を施しても収縮
の発現は小さかった。また、第1ゴデーローラの引き取
り速度が3000m/分であった比較例9〜11では、製糸性、
パッケージの巻き姿とも悪く、得られた繊維は、熱水収
縮率が10%以下で、後加工工程で熱処理を施しても収縮
の発現は小さかった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、後加工工程における熱
処理時の収縮の発現が大きく、この繊維を製編織して得
られる布帛に十分なボリューム感を付与することができ
るナイロン6繊維を、パッケージの巻き姿を良好に巻き
上げ、生産性よく得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナイロン6繊維の直接紡糸延伸法の一
実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2 冷却装置 3 油剤付与装置 4 第1ゴデーローラ 5 第2ゴデーローラ 6 交絡ノズル 7 パッケージ Y 糸条

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン6繊維を溶融紡糸し、冷却した
    後油剤を付与し、第1ゴデーローラと第2ゴデーローラ
    の間で延伸して巻き取る直接紡糸延伸法において、油剤
    として非含水油剤を使用し、第1ゴデーローラで2000m/
    分以下の速度で引き取り、第1ゴデーローラと表面温度
    が50〜100 ℃の第2ゴデーローラとの間で1.5 〜3.5 倍
    に延伸した後、巻き取り張力D/25〜D/10gで3000m
    /分以上の速度で巻き取ることを特徴とするナイロン6
    繊維の直接紡糸延伸法。ただし、Dは巻き取り糸の繊度
    (デニール)である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の直接紡糸延伸法で得られ
    た繊維であって、熱水収縮率が10%以上、熱応力ピーク
    温度が130 ℃以下であるナイロン6繊維。
JP6022099A 1994-01-20 1994-01-20 ナイロン6繊維の直接紡糸延伸法 Expired - Lifetime JP2859532B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100505503B1 (ko) * 1998-12-01 2005-11-30 주식회사 효성 피오와이공법에 의한 위사용 나이론 태섬도사의 제조방법
KR20060079522A (ko) * 2004-12-31 2006-07-06 주식회사 효성 분섬성이 우수한 항균성 폴리아마이드사의 제조 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100505503B1 (ko) * 1998-12-01 2005-11-30 주식회사 효성 피오와이공법에 의한 위사용 나이론 태섬도사의 제조방법
KR20060079522A (ko) * 2004-12-31 2006-07-06 주식회사 효성 분섬성이 우수한 항균성 폴리아마이드사의 제조 방법

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