JPH1060735A - ポリベンザゾール繊維の製造方法 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維の製造方法

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JPH1060735A
JPH1060735A JP21990396A JP21990396A JPH1060735A JP H1060735 A JPH1060735 A JP H1060735A JP 21990396 A JP21990396 A JP 21990396A JP 21990396 A JP21990396 A JP 21990396A JP H1060735 A JPH1060735 A JP H1060735A
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JP
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less
washing
fiber
filament
yarn
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JP21990396A
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English (en)
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Yoshikazu Tanaka
良和 田中
Yoshihiko Teramoto
喜彦 寺本
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、経済的に高速度で高品質のポリベ
ンザゾール繊維を製造することを目的とする。 【解決手段】 ポリリン酸とポリベンザゾールからなる
ドープを巻取速度300m/分以上で紡糸し、得られた
ド−プフィラメントを凝固,洗浄して繊維を得るに際
し、前記洗浄条件をフィラメントの走行方向に対し直交
方向の速度成分が2m/秒以上の洗浄液をフィラメント
に吹きつけることとするポリベンザゾ−ル繊維の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高強度・高弾性率ポ
リベンゾオキサゾールの繊維の製造方法に関する。さら
に詳しくは、高強度・高弾性率ポリベンゾオキサゾール
の繊維を製造する際に効率的に短時間で溶媒を抽出洗浄
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリベンザゾール繊維は現在市販されて
いるスーパー繊維の代表であるポリパラフェニレンテレ
フタルアミド繊維の2倍以上の強度と弾性率を持つ。し
たがって次世代のスーパー繊維として期待されている。
ポリベンザゾール重合体のポリリン酸溶液から繊維を製
造することは公知である。例えば、米国特許第4533
693号(1985年8月6日)が提案されている。し
かしながらポリベンザゾール繊維の製造において、凝固
時の分子の凝集が素早い上に、凝固繊維に内包されたポ
リリン酸分子が大きいためその抽出洗浄は困難であっ
た。特に溶媒の抽出方法については特開平8-60437 号公
報に記載されているように、短時間で十分に溶媒を抽出
洗浄する事は極めて困難であった。特に、紡速300m
/分以上のような高速紡糸時には繊維内の残溶媒移動が
遅いばかりでなく、繊維のまわりの溶液の慣性力が大き
いために容易に洗い落とす事かできなくなる。特開平8-
60437 号公報に記載されている方法により短時間での溶
媒抽出が実現されたが、高温の洗浄液(60℃以上)を
使用しなければならず、高温で使用可能な大型の設備及
び強力な熱源等が必要となり、工業生産的に実施する事
は困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリベンザゾール繊維
を従来技術で工業化するに際し最大の問題点は、洗浄工
程が長時間必要なため高速製糸設備が大型化する事に加
えて、洗浄液のポンプ動力や液回収等のユーティリティ
コストが高い事である。本発明は、かかる技術的困難を
克服し、高速度で経済的にポリベンザゾール繊維を得る
新規な製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリベン
ザゾール繊維を経済的に製造することを目的とし、鋭意
研究し、解決手段を見いだした。即ち、ポリリン酸とポ
リベンザゾールからなるドープを巻取速度300m/分
以上で押し出し、得られたドープフィラメントを凝固工
程および洗浄工程を通過させて繊維を製造する方法にお
いて、上記洗浄工程にてフィラメントの走行方向に対し
直交方向の噴射速度成分が2m/秒以上の洗浄液をフィ
ラメントに吹きつけて処理することを特徴とするポリベ
ンザゾ−ル繊維の製造方法である。そして、具体的態様
は糸中リン濃度が、2重量%以下となるまでは、平均1
秒以下の間隔で洗浄液をフィラメントに吹きつけて処理
することを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾ−ル
繊維の製造方法である。糸中リン濃度が、0.7重量%
以下となるまでは、平均3秒以下の間隔で洗浄液をフィ
ラメントに吹きつけて処理することを特徴とする請求項
1記載のポリベンザゾ−ル繊維の製造方法、および40
秒以下の処理時間で糸中リン濃度を0.7重量%以下と
することを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾ−ル
繊維の製造方法である。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
けるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリ
マーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)
とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)ホモポリマ
ー、ポリベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー及び
それらPBO、PBTのランダム、シーケンシャルある
いはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンゾ
オキサゾール、ポリベンゾチアゾール及びそれらのラン
ダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマー
は、例えば Wolfe等の「Liquid Crystalline Polymer C
ompositions , Process and Products」米国特許第47
03103号(1987年10月27日)、「Liquid C
rystall-ine Polymer Compositions , Process and Pro
ducts 」米国特許4533692号(1985年8月6
日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole)
Composition, Process and Products」米国特許第45
33724号(1985年8月6日)、「Liquid Crys
talline Polymer Compositions , Process and Product
s 」米国特許第4533693号(1985年8月6
日)、Evers の「Thermooxidative-ly Stable Articula
ted p-Benzobisoxazole and p-Benzobisthiazole Polym
res 」米国特許第4539567号(1982年11月
16日)、Tasi等の「Method for making Heterocyclic
Block Copolymer」米国特許第4578432号(19
86年3月25日)、等に記載されている。PBZポリ
マーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオト
ロピック液晶ポリマーから選択される。モノマー単位は
構造式(a)〜(h)に記載されているモノマー単位か
らなり、さらに好ましくは、本質的に構造式(a)〜
(c)から選択されたモノマー単位からなる。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】PBZポリマーのドープを形成するための
好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解
し得る非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例とし
ては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫
酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。さらに適する
溶媒はポリリン酸及びメタンスルホン酸である。また最
も適する溶媒は、ポリリン酸である。
【0009】溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なく
とも7重量%であり、さらに好ましくは少なくとも10
重量%、最も好ましくは少なくとも14重量%である。
最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度とい
った実際上の取扱い性により限定される。それらの限界
要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を超
えることはない。
【0010】好適なポリマーやコポリマーあるいはドー
プは公知の手法により合成される。例えば Wolfe等の米
国特許第4533693号(1985年8月6日)、Sy
bert等の米国特許4772678号(1988年9月2
0日)、Harrisの米国特許第4847350号(198
9年7月11日)に記載される方法で合成される。PB
Zポリマーは、Gregory 等の米国特許第5089591
号(1992年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒
中での比較的高温、高剪断条件下において高い反応速度
での高分子量化が可能である。
【0011】このようにして重合されるドープは紡糸部
に供給され、紡糸口金から通常100℃以上の温度で吐出
される。口金細孔の配列は通常円周状、格子状に複数個
配列されるが、その他の配列であってもよい。口金細孔
数は特に限定されないが、紡糸口金面における紡糸細孔
の配列は、吐出糸条間の融着などが発生しないような孔
密度を保つ必要がある。また、高速で紡糸する際にはフ
ィラメント間の冷却気体の温度が最適化されるように、
孔配列や冷却気流を調整する必要がある。
【0012】該紡糸口金から非凝固性の気体中(いわゆ
るエアーギャップ)に吐出されたフィラメント状のドー
プはエアーギャップ中でドラフトを与えられる。該糸条
の冷却効率を高めるためエアーギャップ中に、冷却風を
用いて糸条を冷却するいわゆるクエンチチェンバーを設
けることは特に早い紡糸速度で安定した生産をするため
には有効である。好ましい冷却風の温度は、およそ10
℃以上120℃以下であるが、これらはドープのポリマ
ー分子量、ポリマー濃度等に依存する。
【0013】ついで該ド−プフィラメントは凝固工程に
導かれる。尚,本発明で言う「凝固」とは、ドープから
ポリマーを析出させ溶媒の一部を溶出するような溶液と
ポリマーが最初に接触する段階を意味する。「洗浄」
は、凝固した繊維から残存溶媒をほとんど全て抽出する
段階で,上記凝固以降の工程を意味する。凝固工程の条
件は本発明の洗浄工程を実現する上で極めて重要な意味
を持つ。凝固液は、実用的観点からドープ溶媒の水溶液
であるリン酸水溶液が好ましい。凝固の条件としては、
凝固液の温度、凝固液の濃度、凝固時間、凝固時にドー
プフィラメントにかかっている張力、凝固浴に進入する
ドープフィラメントの温度、凝固浴に進入するドープフ
ィラメントの配向度等がある。これらのうち特に重要な
のは、凝固液の濃度および凝固時間である。好ましい凝
固液のリン酸濃度は10%以上さらに好ましくは20%
以上である。凝固液のリン酸濃度が10%未満では必要
とする水洗液量が多くなり、繊維を1kg製造する為
に、60リットル以上の水を使用し回収する必要があ
る。また、凝固液の濃度が高くなり過ぎると、繊維が柔
らかいまま水洗工程に移るため繊維表面に凹凸が生じ易
くなり好ましくない。従って好ましい凝固液のリン酸濃
度の上限は、高くとも50%以下、より好ましくは45
%以下である。また、洗浄工程への抽出負荷を低減し、
繊維中のリン酸を十分に抽出するには、凝固時間を長く
設定する事が好ましい。ただし、凝固時間は、凝固温
度、凝固液濃度に依存する。すなわち、凝固力が高い条
件(高温・低濃度)に対して凝固力が弱い条件(低温・
高濃度)では長い時間を必要とする。一応の目安とし
て、凝固の時間は、0.05秒以上さらに好ましくは
0.1秒以上である。また、凝固の時間をむやみに長く
しても効果の増大は見込めないために、例え凝固力が弱
い条件を用いたとしても、長くても5秒以下、さらに好
ましくは3秒以下が良い。なお、本発明で用いる「%」
は、重量%を意味するものとする。
【0014】ついで該糸条は洗浄工程へ進む。フィラメ
ント中のリン濃度を下げる抽出洗浄の方法としては、ド
ープ溶媒の水溶液であるリン酸水溶液あるいは水の洗浄
液を含む一個の洗浄装置による一段処理も可能である
が、好ましくは、複数の洗浄浴または洗浄ボックス(以
下、「洗浄浴」で代表させる場合がある)間を移動して
連続的に洗浄する多段処理である。具体的には、該糸条
を洗浄液中に浸漬して凝固させた後、後方の洗浄浴に向
かうにつれて(ポリ)リン酸濃度が順次低くなる様に設
定し、最終洗浄浴の濃度が0.1%以下となるような複
数の洗浄浴からなる洗浄ラインにて連続的に水洗するこ
とが好ましい。また、洗浄工程中にアルカリ水溶液によ
る繊維中の残リン酸の中和処理を含んでも良い。この多
段水洗は、好ましくは3段以上、中和処理とその後の洗
浄を含めると5段以上が好ましい。しかし、むやみに多
段化することは設備が大きくなり設備費がかかることか
らあまり好ましくない。
【0015】ここで、本発明の重要なポイントである洗
浄条件について述べる。紡速300m/分以上のような
高速での湿式紡糸では、液更新性の確保が大変重要にな
ってくる。糸条の集合状態を水洗液流が貫通し易いよう
に平面状に拡げること、高圧力の洗浄液をスプレーノズ
ルから噴射し、該糸条(フィラメント)の同伴水を置換
させることにより洗浄を行う。その同伴水を効率的に置
換させるために必要な洗浄液の噴射速度は、フィラメン
トの走行方向に対し直交方向の噴射速度成分が2m/秒
以上、好ましくは3m/秒以上である。尚,本発明で言
う「フィラメントの走行方向に対し直交方向の噴射速度
成分」とは、フィラメントの走行方向と洗浄液の噴射方
向のなす角度をθ(図1の6)とすると〔噴射速度〕×
sinθの値をいう。前述したとおり、紡速300m/
分以上の様な高速の場合、糸に随伴する溶液の慣性力が
大きくなる。糸中のリン濃度が高い時は液の粘度も高い
ので糸に随伴する液量が更に多くなる。よって、弱い噴
射力では液更新が困難である。そこで、フィラメントの
走行方向に対し相対的に直角方向の噴射速度成分が2m
/秒以上の噴射速度で洗浄液をフィラメントに当てるこ
とにより、紡速300m/分以上の糸速度のフィラメン
トに対しても、充分な液更新性が得られることによっ
て、短時間でリン酸を抽出することができる。噴射速度
が充分でないと繊維周りの溶液の慣性力の影響で、充分
な液更新性が得られず繊維内の物質移動が充分行えなく
なり、時間を充分かけてもほとんど水洗できない。請求
項の噴射速度を満たさないと糸の随伴流の慣性力の影響
が大きく、時間的に効率的な洗浄が行えない。糸に対す
る噴射角θは特に限定されないが、好ましくは30〜1
50°、更に好ましくは60〜120°、最も好ましく
は90°である。またフィラメントの走行方向に対し直
交方向の噴射速度成分は、2m/秒以上、好ましくは5
m/秒以上、さらに好ましくは10m/秒である。噴射
液の噴射拡散角度及び拡散形状は、糸に洗浄液が当たれ
ば特に規定されるものではないが、洗浄液の経済的効率
の観点から、噴射拡散角度は好ましくは90°以下、さ
らに好ましくは30°以下、最も好ましくは0°であ
り、拡散形状はフィラメント走行方向に長い方が好まし
い。噴射拡散角度が90°より大きすぎると糸に当たる
以外の液量が多くなり洗浄として経済的でない。また、
噴射される洗浄液は糸幅以上である事が好ましい。同一
場所における複数の噴射液による洗浄も有効である。洗
浄液がフィラメントに当たる位置は、洗浄液の更新性の
関点からローラー等の固定端から離れている事が好まし
く、固定端からの距離は任意である。
【0016】糸中リン濃度が2%以下、好ましくは1.
5%以下になるまでは,平均1秒以下、好ましくは平均
0.5秒以下、更に好ましくは平均0.3秒以下の間隔
で洗浄液をフィラメントに吹きつけることにより洗浄を
行う。また、糸中リン濃度が0.7%以下になるまで
は、平均3秒以下、好ましくは平均1秒以下、更に好ま
しくは平均0.5秒以下の間隔で洗浄液をフィラメント
に吹きつけることにより洗浄を行う。糸中リン濃度が高
いレベルにある時は、液更新性が溶媒抽出の律速になっ
ている。よって、噴射間隔を短くして積極的にフレッシ
ュな洗浄液を該糸条に供給することがリン酸抽出に有効
であり、無駄な時間を省くことができ時間短縮及び装置
のコンパクト化ができる。糸中リン濃度が低いレベル
(2%以下、好ましくは1.5%以下、さらに好ましく
は1.0%以下)にある時は、液更新律速から拡散律速
へと移行していくと考えられるので、洗浄液の噴射間隔
の影響は少なくなってくる。よって、洗浄の効率から考
えると糸中リン濃度が低いレベルでは噴射間隔を少し長
くして洗浄液の使用量を少なくすることが可能となる。
糸中リン濃度が低いレベルでは、噴射間隔を短くしても
液使用量のわりに糸中リン濃度が下がらないので効率的
でない。さらに、糸中リン濃度が低いレベル(0.7%
以下)になると、PBO分子鎖のネットワーク中に捕ら
えられているポリリン酸が多数をしめるようになり、抽
出されにくくなるので、更に噴射間隔を長くして洗浄液
の使用量を少なくする事ができる。しかし、噴射間隔を
長くしすぎると液更新性効率が低下し、洗浄時間が長く
なってしまう。
【0017】洗浄後の糸中リン濃度は繊維の物性に影響
を与える。リン酸が繊維中に残留するとそれが湿熱下で
の分解触媒として作用し、ポリマーの加水分解により繊
維の強度低下を引き起こす。よって、リン酸溶媒抽出後
の繊維中のリン濃度は0.7%以下、より好ましくは
0.6%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好
ましくは0.4%が好ましい(通常、繊維中の残留溶媒
量はリン元素濃度として表される。なぜならば、濃度測
定では繊維中のリン濃度が求められるためである。残留
リン酸量は容易に残留リン濃度から計算される。)。ま
た、オンラインの工程で、0.2%未満にする事は抽出
に要する時間を考慮すると極めて困難であるので工業的
生産では0.2%以上とする事が好ましい。また水洗工
程では中和工程も実施することが可能である。中和薬剤
としてはアルカリ金属の塩基が利用できる。繊維中の残
留溶媒であるリン酸のリン原子に対するアルカリ金属の
原子比が0.2 以上1.8 以下とすることは、繊維の後加工
中の物性保持のため特に好ましいが、必須ではない。
【0018】洗浄液の温度は0℃以上が好ましい。ただ
し、80℃を超えない方が好ましい。0℃以下に液温を
維持するには大きな設備及び強力な冷却装置が必要にな
り、洗浄液80℃以上に洗浄液温を維持するには大きな
設備と熱源を必要としいずれの場合も経済的でない。
【0019】洗浄工程における洗浄時間は、糸中に残留
するリン濃度によって決定されるが、通常、合計して2
0〜120秒の範囲内である。
【0020】洗浄工程は、紡糸・凝固工程から連続して
行うことが生産性を考えると好ましい。また、洗浄工程
の後に、更に連続で乾燥工程を行い、そのまま巻き取っ
ても良いし、さらに熱処理工程を行ってから巻き取って
も良い。
【0021】上記の方法により、紡速300m/分以上
においても40秒以内好ましくは30秒以内の処理時間
で糸中リン濃度0.7%以下の洗浄が可能となる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示すが本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。 (糸中残留リン濃度測定)糸中の残留リン濃度は、試料
をペレット状に固めて蛍光X線測定装置を用いて測定し
た。 (洗浄液のリン酸濃度測定)洗浄液のリン酸濃度は、洗
浄液を採取しNaOH水溶液で中和滴定することにより
測定した。 (スプレー噴射液速度の算出)スプレー噴射液速度は洗
浄液流量/スプレー孔断面積により算出した。
【0023】実施例1−7及び、比較例1−6 米国特許4533693号示す方法により得られた、3
0℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が2
4.4dL/gのポリベンゾオキサゾール14.0%と
五酸化リン含量率83.17%のポリリン酸からなるド
ープを紡糸に用いた。ドープは金属メッシュの濾材を通
過させ、次いで2軸からなる混練装置で混練と脱泡を行
った後、昇圧させ、ドープ温度を175℃に保ち、紡糸
口金から171℃で紡出した。孔数は334の孔を有す
る紡糸口金を使用した。紡糸は、平均単糸径が約11.
5μmになるのに適した条件下で行われた。温度75℃
の冷却風を用いて吐出糸条を冷却した後、2.2m下方
に設けた凝固浴中に導入した。紡糸速度300〜600
m/分、凝固は凝固浴温度50℃および凝固浴のリン酸
水溶液濃度約20〜23%の条件で0.4〜0.2秒行
った。洗浄は、まず第一洗浄浴でスプレーノズルからフ
ィラメント走行方向に対して直交方向から出た噴出速度
7.0m/秒のリン酸濃度約14〜17%の洗浄液を洗
浄間隔0.13秒でネルソンローラー上の張力が働いて
いる糸条に当てた。次に、各実施例及び比較例の条件の
噴射速度及び噴射角度で噴射間隔は0.38秒で第二洗
浄浴(リン酸濃度約1.1%)での洗浄を行った。その
後、熱風乾燥式のオーブン(風速16m/秒)を用いて
乾燥を行い試料を得た。洗浄液の噴射速度の違いによる
洗浄状態の違いを、第二洗浄浴での洗浄状態(繊維中の
残リン濃度)により比較を行った。結果は表1及び図2
に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表−1で明らかなように、フィラメント走
行方向に対し直交方向の噴射速度成分が2m/秒以上で
ある洗浄液をフィラメントに当てることにより、短時間
での溶媒の抽出ができることが認められた。
【0026】実施例8−10と比較例7−8 紡速600m/分で第一洗浄浴洗浄終了までは実施例1
と同様にして行い、第二洗浄浴(リン酸濃度約1.1〜
1.3%)内で噴射速度10.5m/秒にて洗浄間隔を
変化させて洗浄を行った。その後乾燥を行ない試料を得
た。洗浄間隔の違いによる洗浄状態の違いを繊維の残留
リン濃度が約2%になるのに要する時間で比較した。結
果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表−2で明らかなように、糸中リン濃度
が、2%以下となるまでは、平均1秒以下の間隔で洗浄
液をフィラメントに吹きつけて処理することにより、効
率的な溶媒の抽出ができることが認められた。
【0029】実施例11−13と比較例9 紡速600m/分で第一洗浄浴洗浄終了までは実施例1
と同様にして行い、第二洗浄浴(リン酸濃度約1.1〜
1.3%)内で糸中リン濃度が約2%になるまで洗浄を
行い、第三洗浄浴(リン酸濃度約0.1%)で噴射速度
10.5m/分にて洗浄間隔を変化させて洗浄を行っ
た。その後乾燥を行ない試料を得た。洗浄間隔の違いに
よる洗浄状態の違いを、繊維の残留リン濃度が約2%か
ら0.6%になるのに要する時間で比較した。結果を表
3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】表−3で明らかなように、糸中リン濃度
が、0.7%以下となるまでは、平均3秒以下の間隔で
洗浄液をフィラメントに吹きつけて処理することによ
り、効率的な溶媒の抽出ができることが認められた。
【0032】実施例14−18と比較例10−14 各紡速で第一洗浄浴洗浄終了までは実施例1と同様にし
て行い、次に、各実施例及び比較例の噴射速度と噴射間
隔で第二洗浄浴(リン酸濃度約1〜1.4%)、第三洗
浄浴(リン酸濃度約0.05%)及び第四洗浄浴(リン
酸濃度約0.01%)での洗浄を行った。また中和処理
を施すために第五洗浄浴(水酸化ナトリウム濃度約0.
4%)と第六洗浄浴(リン酸濃度約0%)での洗浄も行
った。乾燥は熱風乾燥式のオーブン(風速16m/秒)
を用いた。紡糸・凝固・水洗(中和)・乾燥はオンライ
ンで行ない試料を得た。各条件の溶媒抽出の程度を40
秒水洗後の糸中残留リン濃度により比較した。結果を表
4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】表−4で明らかなように、フィラメントの
走行方向に対して直交方向の噴射速度成分が2m/秒以
上である洗浄液をフィラメントに当てること、糸中リン
濃度が2%以下となるまでは平均1秒以下の間隔で洗浄
液をフィラメントに吹きつけること及び糸中リン濃度が
0.7%以下となるまでは平均3秒以下の間隔で洗浄液
をフィラメントに吹きつけることにより、効率的な溶媒
抽出ができる事が認められた。
【0035】本発明の技術により、より少ない設備投資
により極めて効率的にポリベンズアゾール繊維が製造で
きる。
【0036】
【発明の効果】本発明により、ポンプ動力に無駄が無い
だけでなく、リン酸回収の負担も少なく従来に比べて極
めて経済的に高品質なポリベンザゾール繊維の製造が可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例、比較例の噴射角度及び洗浄位
置の摸式図である。
【図2】洗浄液の噴射速度の違いによる洗浄状態を第二
洗浄浴あがりの糸の残リン濃度により実施例と比較例を
比較した図である。
【符号の説明】
1:スプレーノズル、2:洗浄液、3:洗浄液噴射方
向、4:フィラメント、5:フィラメント走行方向、
6:フィラメント走行方向に対する洗浄液噴射角度、
7:ローラー、8:ローラー固定端、9:ローラー固定
端からフィラメント洗浄位置までの距離

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリリン酸とポリベンザゾールからなる
    ドープを、巻取速度300m/分以上で紡糸し、得られ
    たドープフィラメントを凝固工程および洗浄工程を通過
    させて繊維を製造する方法において、上記洗浄工程にて
    フィラメントの走行方向に対し直交方向の噴射速度成分
    が2m/秒以上の洗浄液をフィラメントに吹きつけて処
    理することを特徴とするポリベンザゾ−ル繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 糸中リン濃度が、2重量%以下となるま
    では、平均1秒以下の間隔で洗浄液をフィラメントに吹
    きつけて処理することを特徴とする請求項1記載のポリ
    ベンザゾ−ル繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 糸中リン濃度が、0.7重量%以下とな
    るまでは、平均3秒以下の間隔で洗浄液をフィラメント
    に吹きつけて処理することを特徴とする請求項1記載の
    ポリベンザゾ−ル繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 40秒以下の処理時間で糸中リン濃度を
    0.7重量%以下とすることを特徴とする請求項1記載
    のポリベンザゾ−ル繊維の製造方法。
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