JP3400188B2 - ポリベンザゾール繊維の製造方法 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維の製造方法

Info

Publication number
JP3400188B2
JP3400188B2 JP15714495A JP15714495A JP3400188B2 JP 3400188 B2 JP3400188 B2 JP 3400188B2 JP 15714495 A JP15714495 A JP 15714495A JP 15714495 A JP15714495 A JP 15714495A JP 3400188 B2 JP3400188 B2 JP 3400188B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dope
quench
spinning
spinneret
filament
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15714495A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08325847A (ja
Inventor
喜彦 寺本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP15714495A priority Critical patent/JP3400188B2/ja
Publication of JPH08325847A publication Critical patent/JPH08325847A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3400188B2 publication Critical patent/JP3400188B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はポリベンザゾールポリマ
ー(ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールポ
リマー又はこれらのコポリマー)から成る繊維の生産性
が優れた製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ライオトロピック液晶性のポリベンズオ
キサゾールとポリベンズチアゾールポリマーは熱可塑性
を示さない。これらのポリマーはドライ・ジェット・ウ
ェット・スピニング法により繊維化される。すなわち、
ポリベンザゾールポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸
口金より押し出し、エアギャップで引き伸ばし、溶媒を
希釈し、ポリマーを溶解させない非溶媒と接触させるこ
とによって凝固する方法による。このプロセスで得られ
た繊維は1本もしくは様々なサイズの複数本に収束する
ことができる。 【0003】繊維化においては多くのフィラメントを短
時間で高速で製造することが好ましい。また個々のフィ
ラメントの占有面積を小さくして繊度の小さい本数が多
い連続繊維を製造する方が繊度の大きなものを少ない本
数製造するよりも好ましい。しかしながら、単糸デニー
ルが小さな細い紡糸においては、糸切れが起こり易い。
とりわけ高速でかつ紡糸口金に多くの孔が設けられてい
る場合には紡糸で糸切れが頻繁に起る。このような条件
においても単糸切れを可能な限り減らすことが望まれて
いる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的とする
ところは高い孔密度の条件においても、単糸繊度が小さ
いフィラメントを高速で安定的に紡糸可能なポリベンザ
ゾール繊維の製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、溶媒
と、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール又
はこれらの共重合ポリマーであるポリベンザゾールポリ
マーからなる液晶性ドープから複数本のフィラメントを
紡糸する繊維の製造方法において、下記(i)〜(iii)
の工程を含むことを特徴とする製造方法: (i) 孔密度が少なくとも2.0孔/cm2 である紡糸口
金の複数の孔から100℃以上の温度で紡糸ドープを押
し出し複数本のドープ・フィラメントを形成し、(ii)こ
のドープ・フィラメントを、フィラメントを20〜10
0℃の均一に冷却できる気流速度が少なくとも0.3m
/秒以上である条件としたクエンチ中で延伸する際に、
クエンチの上端面が紡糸口金中心と糸条の走行方向に垂
直な仮想面に対して、3°以上傾斜したクエンチ装置を
用い、(iii) 延伸されたドープ・フィラメントを液体に
接触させ、該フィラメントから脱溶媒する。 【0006】本発明の好ましい態様では、上記の工程に
おいて、ドープ・フィラメントは洗浄液に接触する前、
接触中又は接触後に1本または複数本に収束させられ
る。一方、ドープ(紡糸原液)を押し出して冷却固化さ
せる際には個々の孔から出たドープ・フィラメントを非
凝固性流体中で均一に冷却させる必要がある。その為に
は孔間のスペースを大きく取りフィラメントの周囲に十
分な冷却気体を確保する必要がある。しかし、200フ
ィラメントを越えるような多数のフィラメントを一つの
ノズルから紡糸する場合には孔間ピッチを詰めて孔密度
を高くしないとノズルの大型化、フィラメント収束が難
しくなるといった問題がある。そこで、孔密度は少なく
とも2.0孔/cm2 以上、より好ましくは3.0孔/
cm2 以上、更に好ましくは4.5孔/cm2 とする必
要がある。 【0007】多くのポリベンザゾールフィラメントを密
集させて紡糸する場合にクエンチ風下の位置ではクエン
チ風上の位置に比べてクエンチ風の温度が高くなる。こ
の温度の違いはクエンチ風上に位置するフィラメントに
最適となる場合にはクエンチ風下に位置するフィラメン
トに対して必ずしも最適とはなっていない、またこの逆
の状況も起り得る。我々はこの温度の違いに対して、ド
ープフィラメントの冷却開始位置(いわゆる保温筒の長
さ)をクエンチ風下に向かって短くなるように調節する
ことで、クエンチ温度の変化を補償することが可能であ
ることを見出した。この方法は特にドープの流量が大き
い高速での紡糸及びフィラメント列数が多い多孔紡糸に
おいて、糸切れを最小限にすることができる。さらには
フィラメント間の延伸時の張力差が小さくなることでフ
ィラメント間でより均一になるという効果も得られる。 【0008】本発明はライオトロピック液晶性ポリベン
ザゾール(PBZ)ポリマー、すなわちポリベンズオキ
サゾール(PBO)、ポリベンズチアゾール(PBT)
もしくはこれらの共重合ポリマーを含む紡糸原液を使用
する。ここで使用するポリベンザゾールポリマーとは、
例えば Wolfe らの「 Liquid Crystalline Polymer
Compositions , Process and Products」米国特許第
4703103号(1987年10月27日); Wolfe
らの「 Liquid Crystalline Polymer Composition
s , Process and Products」米国特許第453369
2号(1985年8月6日); Wolfe らの「 Liquid
Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Composition
s , Process and Products」米国特許第453372
4号(1985年8月6日); Wolfe らの「 Liquid
Crystalline Polymer Compositions , Process and
Products」米国特許第4533693号(1985年
8月6日); Evers らの「 Thermoxdatively Stable
Articulated p-Benzobisoxazole p-Benzobisthiazo
le Polymers」米国特許第4359567号(1982
年11月16日); Tsai らの「 Method for Making
Heterocyclic Block Copolymer Compositions , P
rocess and products 」米国特許第4578432号
(1986年3月25日);11 Ency. Poly. Sci. &
Eng. ,「Polybenzothiazoles and Polybenzoxazole
s 」、601( J. Wiley & Sons1988)and W.
W. Adams らの「 The Materials Science and Eng
ineering of Rigid - Rod Polymers 」( Materials
Research Society 1989)に記載されているよう
なPBO、PBTおよびPBO、PBTのランダム、シ
ーケンシャル、ブロック共重合ポリマーをいう。 【0009】本発明で使用するPBZポリマーは化学構
造式1(a)に代表されるようなAB型及び/又は化学
構造式1(b)に代表されるようなAA/BB型単位で
あることができる。 【0010】 【化1】 【化2】 式中、各々のArはライオトロピック液晶性(すなわち
“臨界濃度点以上で液晶ドメインを形成する)ポリベン
ザゾールポリマーから選ばれた芳香族基を表わす。芳香
族基はピリジニレン基のようなヘテロ環であってもよい
が、炭素で環を形成していることが好ましい。また芳香
族基は縮合した多環基環又は縮合していない多環基であ
ってもよいが、一つの6員環が好ましい。大きさには制
約はないが、芳香族基は18個以下の炭素原子を含むこ
とが好ましく、より好ましくは12個以下の炭素原子を
含むことが好ましく、さらに好ましくは6個以下の炭素
原子を含むことが好ましい。AA/BB型単位のAr1
は1,2,4,5−フェニレン構造もしくはその類似体
であることが好ましい。AB型単位のArは1,3,4
−フェニレン構造もしくはその類似体であることが好ま
しい。各々のZは互いが無関係な酸素原子もしくは硫黄
原子である。DMは直接結合もしくはライオトロピック
液晶ポリマーとなるポリベンザゾールの中から選ばれた
2価の有機構造である。2価の構造単位としては、前述
の芳香族基(Ar)が好ましい。特に、1,4−フェニ
レン構造もしくはその類似体が好適である。各々のアゾ
ール環の窒素原子とZ構造は隣接する芳香族基の炭素原
子と結合して、5員アゾール環と芳香族基が縮合した形
になっている。AA/BB型単位のアゾール環は、前記
引用文献中の11 Ency. Poly. Sci.& Eng. ,「 Poly
benzothiazoles and Polybenzoxazoles」、601(
J. Wiley & Sons 1988)に図示されているシス
型もしくはトランス型の何れであってもよい。 【0011】PBZポリマーはAB−PBZ繰り返し単
位もしくはAA/BB−PBZ繰り返し単位で構成され
ることが好ましく、更に好ましくは本質的にAA/BB
−PBZ繰り返し単位で構成されることが好ましい。P
BZポリマー中のアゾール環はZが酸素原子であるオキ
サゾール環であることが好ましい。 【0012】本発明で使用するPBZポリマーは下記化
学構造式2(a)−(h)から選択されるモノマー単位
により構成されることが好ましい。より好ましくは化学
構造式2(a)−(f)に示したものが良く、更に好ま
しくは構造式2(a)−(d)に示したものが好適であ
る。 【0013】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】 【0014】PBZポリマーは少なくとも平均で25の
繰り返し単位を有することが好ましい。より好ましくは
少なくとも平均で50の繰り返し単位を有し、更に好ま
しくは少なくとも平均で100の繰り返し単位を有す
る。また剛直なAA/BB−PBZポリマーの極限粘度
数は、25℃メタンスルフォン酸の測定で、少なくとも
10dl/gであることが好ましい。より好ましくは少
なくとも15dl/gであり、更に好ましくは少なくと
も20dl/gである。繊維の強度が要求される用途に
対しては極限粘度数は、少なくとも25もしくは30d
l/gであることが最適である。極限粘度数は60dl
/g程度であってもよいが、40dl/g以下であるこ
とが好ましい。半剛直なAB−PBZポリマーの極限粘
度数は、少なくとも5dl/gであることが好ましい、
より好ましくは少なくとも10dl/gであり、更に好
ましくは少なくとも15dl/gである。 【0015】上記のPBZポリマーは溶媒に溶解し、溶
液若しくはドープとして使用する。ポリベンズオキサゾ
ールとポリベンズチアゾールはクレゾールに解けるが、
それらが溶解可能な非酸化性の酸を溶媒として用いるこ
とが好ましい。かかる好適な溶媒の例としては、ポリ燐
酸、メタンスルフォン酸、硫酸およびこれらの混合物が
挙げられる。これらの溶媒のうち、ポリ燐酸およびメタ
ンスルフォン酸がより好ましく、更に好ましくはポリ燐
酸がよい。 【0016】ドープはドープの液晶ドメインを形成する
のに十分な濃度のポリマーを含む必要がある。ドープ中
のポリマー濃度は紡糸性や生産性の点から、好ましくは
少なくとも7重量パーセントであり、より好ましくは少
なくとも10重量パーセントであり、更に好ましくは少
なくとも14重量パーセントが好適である。最大ポリマ
ー濃度は主として、ポリマーの溶解性やドープ粘度とい
った実施可能性の制約を受ける。それらの限界要因のた
めに、ポリマー濃度が30重量パーセントのドープを用
いることはほとんどなく、通常は20重量パーセント以
下のドープを使用する。 【0017】本発明に好適なPBZポリマーあるいはド
ープは次のような公知の手法で合成される。例えば Wol
fe らの米国特許第4533693号(1985年8月
6日); Sybert らの米国特許第4772678号(1
988年9月20日); Harris の米国特許第4847
350号(1989年7月11日); Gregory の米国
特許第5089591号(1992年2月18日); L
edbetter らの“ AnIntegrated Laboratory Process
for Preparing Rigid Rod Fibers from Monoma
ers ”「 The Materials Science and Engineering
of Rigid- Rod Polymers 」の253〜64頁( Ma
terials Research Society 1989)に記載され
る方法で合成される。具体的には、適正なAA型とBB
型あるいはAB型のモノマーを酸化性がなく脱水性の酸
溶媒中で非酸素雰囲気下で、勢い良く高せん断速度で撹
拌させながら、温度は120℃以下から少なくとも19
0℃までステップワイズもしくはランプ制御で昇温させ
ながら反応させる。AA型モノマーの例としては、テレ
フタル酸およびこれらの類似体が挙げられる。BB型モ
ノマーの例としては、主に酸の塩として保管される4,
6−ジアミノレゾルシノール、2,5−ジアミノヒドロ
キノン、2,5−ジアミノ−1,4−ジチオベンゼンお
よびこれらの類似体が挙げられる。AB型モノマーの例
としては、主に酸の塩として保管される3−アミノ−4
−ヒドロキシベンゾイックアシッド、3−ヒドロキシ−
4−アミノベンゾイックアッシド、3−アミノ−4−ト
リベンゾイックアシッド、3−チオ−4−アミノベンゾ
イックアシッドおよびこれらの類似体が挙げられる。 【0018】最も高い生産性で紡糸するためには、ドー
プは均一性が高く、気泡や固体粒子を含んでいないこと
が肝要である。これらは、以下の当業者に公知の多くの
方法の組み合わせにより達成されるが、本発明はこれら
の方法により制約を受けるものではない。例えば異物を
濾過するための金網及び/又はシリカサンド層、金属を
削ったものや粒子、ガラス層や焼結セラミックスや焼結
金属のようなせん断濾過を用いることができる。ドープ
の均一性をさらに向上させるために単軸、2軸スクリュ
ー押し出し機、スタティックミキサーその他の混合装置
を利用することができる。 【0019】ドープは複数の孔を設けた紡糸口金を通し
て紡糸される。紡糸口金の孔密度は経済的な生産性の観
点から高ければ高い程よい。すなわち、大きな紡糸口金
は大きなスピンヘッド、大型の冷却風供給装置の運転が
必要である。従って、孔密度は少なくとも2.0孔/c
2 でなければならず、より好ましくは少なくとも3.
0孔/cm2 、更に好ましくは少なくとも4.5孔/c
2 である。紡糸口金に設けられた各々の孔は所望のど
の様な大きさであってもよいが、ドープが紡糸口金から
離れる点での平均直径は0.5mm以下であることが好
ましい。より好ましくは0.4mm以下であり、更に好
ましくは0.35mm以下である。孔配列はどのような
並びであってもよいが、千鳥配列あるいは格子配列が好
適である。 【0020】本発明ではドープは100℃以上の紡糸温
度で紡糸口金から押し出される。紡糸温度は好ましくは
120℃以上であり、さらに好ましくは140℃以上で
ある。また、紡糸温度の上限はドープの安定性により決
まるが、紡糸温度は高くとも220℃以下、より好まし
くは200℃以下である。最適な吐出量は紡糸口金のサ
イズ・形状、ドープ特性、その他の条件に依存する。 【0021】ドープは紡糸口金から押し出された後、紡
糸口金と凝固ゾーンの間の空隙に入る。この空隙は通常
“エアギャップ”と呼ばれているが、空気を必要とする
ものではない。エアギャップは凝固に影響を与えたり障
害を来たすものでなければ何を含んでいてもよく、空
気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素の様なもの
であってもよい。エアギャップではドープの引き伸ばし
を行うドローゾーンを含んでいる。スピンドロー比はフ
ィラメントの引取速度とドープのキャピラリーでの平均
流速との比で定義される。このスピンドロー比を少なく
とも10、好ましくは少なくとも20、さらに好ましく
は少なくとも30にすることが良い。またスピンドロー
比は大きくとも90以下、より好ましくは70以下にす
ることが良い。エアギャップの長さは通常5cm〜10
0cmであるが、必要に応じてこの範囲よりも短くした
り長くしたりすることができる。 【0022】本発明ではエアギャップの温度は20℃〜
100℃であることが必要である。より好ましい温度は
50℃〜90℃である。エアギャップの気体はドープが
水洗液に接触する前に冷却する働きをする。エアギャッ
プの温度が20℃未満の場合は冷却が急速すぎて好まし
くない。冷却が急速すぎる場合は紡糸張力が高くなりす
ぎて紡糸が不安定になる。これはドープの伸長粘度の温
度依存性が非常に高いためと考えられている。一方もし
エアギャップの温度が100℃よりも高い場合にはドロ
ーレゾナンス様の不安定現象が起きると考えられてい
る。 【0023】クエンチ上端即ち冷却開始位置は、紡糸口
金が5mm〜300mmであることが好ましい。より好
ましくは10mm〜90mmである。極端に紡糸口金に
近い場所に冷却気体を通すと紡糸口金が部分的に冷却さ
れ単孔間の吐出量斑を引き起こす。逆に、遠い場所では
冷却不十分な位置で大部分の延伸が起こり不安定伸長流
動による糸切れが生じ易くなる。 【0024】クエンチの風上に対してクエンチの風下の
冷却開始位置をどれだけ短くするかを表わすクエンチ上
端の角度θ(図1参照)は、3°〜30°が好ましい。
より好ましくは5°〜25°であり、さらに好ましくは
5°〜15°である。この角度をつけるために紡糸口金
面を傾けても良いが、紡糸頭回りの自然対流の偏りを作
らないためにクエンチ装置を水平面に対して傾けること
が好ましい。クエンチ上端に平行にクエンチ気流を流す
ために、案内板を設けるか或は気流吹き出し面の向きを
クエンチ上端の角度に合わせて調整する必要がある。8
°以上の傾きを設ける場合には、図2の様に吹き出し面
を複数に分割しても良い。吹き出し面を分割する場合に
は、下部に供給する冷却気体の温度と上部に供給する冷
却気体の温度とは等温でもよいが、ドープフィラメント
は紡糸口金から遠ざかるにつれて温度が下がるので下部
を上部よりも低温にすることが冷却速度を一定にコント
ロールする上で好ましい。 【0025】エアギャップの冷却気体はドープフィラメ
ントの冷却を一様に行うことができるだけの十分な流速
で流れる。これによりすべてのフィラメントが概ね同じ
冷却履歴を受ける。十分な流速とは具体的には0.3m
/秒以上であり、この値未満では気流の慣性力が不足し
て風下位置のフィラメントを冷却する前に失速してしま
う。また逆に流速が大きすぎると気流の性質が乱流にな
り、冷却能力は高まるものの渦流により冷却斑が起きて
しまう。従って、気体の流速は0.3m/秒〜2.0m
/秒の範囲が好ましい。より好ましくは0.5m/秒〜
1.5m/秒であり、更に好ましくは0.75m/秒〜
1.2m/秒である。気流は吹き出し面からドープフィ
ラメントに到達するまで、乱れたり減速することなく流
れていることが好ましい。 【0026】ドープフィラメントを引き伸ばした後、溶
媒を希釈しPBZポリマーに対しては溶解性がない流体
と接触させることにより洗浄する。この脱溶媒の工程は
通常、初期段階を凝固、それに続く大部分の溶媒を抜く
工程を洗浄と呼んでいる。流体は水蒸気のような気体で
あってもよいが、好ましくは液体が良く、より好ましく
は水溶液が良い。繊維は液体と浴の中で接触させても、
スプレーで接触させてもよい。液浴は、特開昭63−1
2710;特開昭51−35716;特公昭44−22
204に組み込まれた様々な形式のものを用いて良い。
また、例えば Guertin の米国特許第5034250号
(1991年7月23日)に記載されているような二つ
のローラーに繊維を走行させる間にスプレーする方法を
組み合わせて用いてもよい。洗浄された繊維は2%以下
の酸を含むようにすることが好ましい。より好ましくは
0.5%以下であり、更に好ましくは0.3%以下であ
る。 【0027】この工程で得られたフィラメントを束ねて
1本または複数本の異なる繊度の繊維束とする。この束
ねる工程は凝固・水洗工程の前もしくは途中もしくは後
であってもよい。複数のフィラメントで構成される繊維
をマルチフィラメント繊維と呼ぶ。繊維トウとは「大き
な連続繊維の束で明確な撚りが掛けられておらずルース
に収束され、ロッド状に成ったもので、通常はクリンプ
により集合している。」( Dictionary of Fiber &
Textile Technology , 1990 HoechstCelanese
) 【0028】凝固・水洗された繊維は一旦捲き取られて
から、或は捲き取られることなく乾燥される。乾燥は常
温の乾燥気体、高温の気体、または蒸気で行なってもよ
く、加熱した回転体に接触させて高温下で行なってもよ
い。また、必要に応じて引っ張り弾性率を上げるために
400℃以上の雰囲気で張力を与えて熱処理をすること
ができる。紡糸油剤を付与してもよい。 【0029】以上の工程を採用するとポリベンザゾール
繊維を高速で製造することができる。この場合、紡糸速
度は凝固・水洗工程の出口での糸速度で定義する。糸速
度は少なくとも75m/分が好ましく、より好ましくは
200m/分以上であり、更に好ましくは400m/分
以上である。また、800m/分以上の速度での紡糸も
可能である。 【0030】完成糸の単糸直径は好ましくは21μm以
下、より好ましくは19μm以下、さらに好ましくは1
5μm以下である。フィラメント直径および単糸デニー
ルの最小値は実用面での制約を受ける。各フィラメント
は通常、単糸直径の平均で8μmであり、この時の単糸
繊度は0.7dpfとすることができる。各フィラメン
トの平均の引張強度は1.38GPa(200kps
i)以上が好ましく、より好ましくは2.76GPa
(400kpsi)以上であり、更に好ましくは4.1
4GPa(600kpsi)以上であり、最も好ましく
は5.48GPa(800kpsi)以上である。熱処
理後の平均の引張弾性率は241GPa(35mps
i)以上が好ましく、より好ましくは290GPa(4
2mpsi)以上である。熱処理前の繊維の引張弾性率
は通常、熱処理後の繊維よりも低い(およそ半分)。 【0031】本発明の製造方法では密集した多数のフィ
ラメントを同時に紡糸する際の安定性を向上させること
ができ、それにより、紡糸時の糸切れを効率的に最小に
することができる。さらに繊維間の繊度斑も減少させる
ことができる。 【0032】 【実施例】以下の実施例は説明だけの目的であり、これ
らにより本発明の範囲に制約を与えるものではない。断
りがない限り、分量およびパーセンテージはすべて重量
を示す。 【0033】実施例 1〜6および比較例 1〜5 極限粘度数30dl/gのシス−ポリベンズオキサゾー
ルポリマーを14重量%溶かしたポリ燐酸溶液を、表1
に示す条件で180℃に保たれた紡糸口金より押し出し
た。押し出されたフィラメントを室温のイオン交換水で
凝固させ、この糸を3個のローラーに導き水洗した後、
0.4%苛性ソーダ水溶液中を通して更に水洗し、エア
ー・ナイフで水を切った糸を一連の順次温度が高くなる
ゴデットロールに通し乾燥を行った。表1に紡糸状況、
繊維の物理特性を示す。 【0034】 【表1】【0035】表1から本発明の範囲から外れる場合には
紡糸での糸切れが頻発していることがわかる。また比較
例2のように、無風筒長を短くしてクエンチ風下の冷却
不足を解消しようとすると冷却開始点がノズルに近づく
ことによる変形速度の増大が紡糸張力過大となって現れ
るために糸切れが発生する。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明のクエンチゾーン(吹き出し面1
段)を概略的に示した図である。 【図2】図2は本発明のクエンチゾーン(吹き出し面2
段)を概略的に示した図である。 【符号の説明】 1 紡糸口金 2 ドープフィラメント 3 クエンチ装置 4 気流吹き出し面 矢印 冷却気流の流れの向き

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 溶媒と、ポリベンズオキサゾール、ポリ
    ベンズチアゾール又はこれらの共重合ポリマーであるポ
    リベンザゾールポリマーからなる液晶性ドープから複数
    本のフィラメントを紡糸する繊維の製造方法において、
    下記(i)〜(iii) の工程を含むことを特徴とする製造
    方法: (i) 孔密度が少なくとも2.0孔/cm2 である紡糸口
    金の複数の孔から100℃以上の温度で紡糸ドープを押
    し出し複数本のドープ・フィラメントを形成し、(ii)こ
    のドープ・フィラメントを、フィラメントを20〜10
    0℃の均一に冷却できる気流速度が少なくとも0.3m
    /秒以上である条件としたクエンチ中で延伸する際に、
    クエンチの上端面が紡糸口金中心と糸条の走行方向に垂
    直な仮想面に対して、3°以上傾斜したクエンチ装置を
    用い、(iii) 延伸されたドープ・フィラメントを液体に
    接触させ、該フィラメントから脱溶媒する。
JP15714495A 1995-05-30 1995-05-30 ポリベンザゾール繊維の製造方法 Expired - Lifetime JP3400188B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15714495A JP3400188B2 (ja) 1995-05-30 1995-05-30 ポリベンザゾール繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15714495A JP3400188B2 (ja) 1995-05-30 1995-05-30 ポリベンザゾール繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08325847A JPH08325847A (ja) 1996-12-10
JP3400188B2 true JP3400188B2 (ja) 2003-04-28

Family

ID=15643149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15714495A Expired - Lifetime JP3400188B2 (ja) 1995-05-30 1995-05-30 ポリベンザゾール繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3400188B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104831378B (zh) * 2015-04-09 2017-05-31 无锡金通化纤有限公司 去除纤维丝条表面低分子附着物的装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08325847A (ja) 1996-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5294390A (en) Method for rapid spinning of a polybenzazole fiber
US5296185A (en) Method for spinning a polybenzazole fiber
US5534205A (en) Method for preparing polybenzoxazole or polybenzothiazole fibers
AU648618B2 (en) A method for producing a cellulose shaped article
JPH10110329A (ja) ポリベンザゾール繊維およびその製造方法
JP2000178829A (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維及びその製造方法
US5288445A (en) Rapid heat-treatment method for polybenzaole fiber
US5288452A (en) Steam heat-treatment method for polybenzazole fiber
JP3400188B2 (ja) ポリベンザゾール繊維の製造方法
JP7176850B2 (ja) 海島型複合繊維束
JP2011017100A (ja) 炭素繊維の製造方法
JPS61108711A (ja) 高強度、高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造法
JP3063064B2 (ja) ポリベンザゾール繊維の高速紡糸方法
WO2021182429A1 (ja) ポリアミド46マルチフィラメント
JP3065468B2 (ja) ポリベンザゾール繊維の製造方法
JP3541966B2 (ja) ポリベンザゾール繊維不織布の製造方法
JP2020158906A (ja) 高強度ポリアミドモノフィラメント
JPS61215708A (ja) マルチフイラメントヤ−ンの製造方法
JP3463768B2 (ja) ポリベンザゾール繊維の製造方法
JP2001348722A (ja) アクリロニトリル系前駆体繊維束紡糸用ノズル及びそれを用いたアクリロニトリル系前駆体繊維束の紡糸方法
JPH08504007A (ja) 低デニールポリベンズアゾール繊維及びその製造方法
JPS58220821A (ja) 高強伸度アクリル系炭素繊維束およびその製造法
KR100368064B1 (ko) 폴리벤자졸모노필라멘트및그제조방법
JP2004501296A (ja) セルロース系繊維の生成方法
JP3702921B2 (ja) 中空ポリベンザゾール繊維の製造方法およびそれにより得られる中空ポリベンザゾール繊維

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080221

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100221

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100221

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110221

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110221

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120221

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130221

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130221

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140221

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term