JPH1112846A - 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法 - Google Patents

高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法

Info

Publication number
JPH1112846A
JPH1112846A JP16155497A JP16155497A JPH1112846A JP H1112846 A JPH1112846 A JP H1112846A JP 16155497 A JP16155497 A JP 16155497A JP 16155497 A JP16155497 A JP 16155497A JP H1112846 A JPH1112846 A JP H1112846A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
elastic modulus
gpa
polybenzazole
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16155497A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3801734B2 (ja
Inventor
Susumu Kitagawa
享 北河
Michio Ishitobi
三千夫 石飛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP16155497A priority Critical patent/JP3801734B2/ja
Priority to US09/097,997 priority patent/US6040050A/en
Priority to DE69822556T priority patent/DE69822556T2/de
Priority to EP98111194A priority patent/EP0885987B1/en
Publication of JPH1112846A publication Critical patent/JPH1112846A/ja
Priority to TW088105483A priority patent/TW445312B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP3801734B2 publication Critical patent/JP3801734B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 産業用資材として好適な高強度、高弾性率の
ポリベンザゾール繊維を提供する。 【解決手段】 小角X線散乱が赤道ストリーク、2点干
渉及び4点干渉のいずれをも示さず、弾性率が290GPa以
上、強度が5.0GPa以上である高弾性率ポリベンザゾール
繊維、および小角X線散乱において、赤道ストリーク
(繊維軸に対し垂直方向のストリーク状の散乱)が現れ
ず、かつ繊維密度が1.55g/cm3 以下のポリベンザゾ
ール繊維を熱処理することにより弾性率が290GPa以上、
強度が5.0GPa以上の繊維となる高弾性率ポリベンザゾー
ル繊維の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は産業用資材として好
適な強度及び弾性率が著しく優れたポリベンザゾール繊
維及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリベンザゾール繊維は現在市販されて
いるスーパー繊維の代表であるポリパラフェニレンテレ
フタルアミド繊維の2倍以上の強度と弾性率を持ち、次
世代のスーパー繊維として期待されている。
【0003】ところで従来、ポリベンザゾール重合体の
ポリ燐酸溶液から繊維を製造することは公知である。例
えば、紡糸条件については米国特許5296185 号、米国特
許5385702 号があり、水洗乾燥方法についてはW094/047
26号、熱処理方法については米国特許5296185 号にそれ
ぞれ提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の製造
法による高強度のポリベンザゾール繊維の弾性率は、米
国特許5296185 号に記載されたような 350℃以上の熱処
理をしても概ね290GPa止まりである。実験室では極めて
高い弾性率が報告されているが、5.0GPa以上の強度を有
しながら弾性率が290GPa以上のヤーン(フィラメントの
集合体)は、特殊な紡糸条件下に分子緩和を抑制するこ
とにより実現した例(特開平8-325840号)を除き、未だ
工業的技術と呼べるレベルでの容易な生産技術は得られ
ていない。
【0005】そこで、本発明者らは、有機繊維材料とし
て究極の弾性率を有するポリベンザゾール繊維を容易に
製造する技術を開発すべく鋭意研究した。
【0006】繊維の究極物性を実現する手段としては、
いわゆるラダーポリマーなどの剛直ポリマーが考えられ
てきたが、こうした剛直なポリマーは可とう性が無く、
有機繊維としてのしなやかさや加工性を持たせるために
は、直線状のポリマーであることが必須条件である。
【0007】S.G.Wierschke らがMaterial Research So
ciety Symposium Proceedings Vol.134, p.313 (1989
年) に示したように、直線上のポリマーで最も高い理論
弾性率を持つのはシス型のポリパラフェニレンベンゾビ
スオキサゾールである。この結果は田代らによっても確
認され(Macromolecules. vol.24, p.3706(1991年))、ポ
リベンザゾールのなかでも、シス型のポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾールが475GPaの結晶弾性率を持ち
(P. Galen らMaterial Research Society Symposium Pr
oceedings Vol. 134,p.329(1989 年))、究極の一次構造
を持つと考えられた。従って究極の弾性率を得るために
は、ポリマーとしてポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾールを素材とするのが理論的な帰結である。
【0008】該ポリマーの繊維化は米国特許5296185
号、米国特許5385702 号に記載された方法で行われ、熱
処理方法は米国特許5296185 号に提案がなされている方
法で行われるが、かかる方法で得られるヤーンの弾性率
は高々290GPaであり、結晶弾性率の61%を実現している
に過ぎない。従ってこれらの方法の改良について研究の
必要性を痛感し、次に示す方法により所期の物性を工業
的に容易に達成できることを見出した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール(PBO)とポリ燐酸から成
る紡糸ドープを紡糸口金から紡出する。これ以後抽出
(凝固)、中和、水洗、乾燥、張力下の熱処理を経て製
造される。乾燥工程通過完了以前の糸条は、繊維内部に
溶媒や水などの凝固剤を含んだ膨潤状態にある。一方繊
維の弾性率を向上させるためには、ポリマー分子鎖を出
来るだけ繊維軸方向に均一に引き揃える必要がある。ポ
リベンザゾール繊維のポリマーは、分子鎖のもつ剛直性
のため、通常の製造方法では引き揃えが難しかった。し
かし、この様な膨潤状態では、分子間に溶媒や非溶媒が
存在するため、引き揃え時に分子間の互いの衝突が抑制
されるため、分子鎖の均一な高配向化が実現出来ること
が鋭意検討の結果判明した。この処理を施した繊維は、
結晶配向も従来糸に比べて高く、繊維軸方向の不均一構
造も小さい。更に該繊維を熱処理することで高強度を持
ち且つこれまでに得られなかったような高い弾性率を有
するポリベンザゾール繊維を、工業的に容易に得ること
が出来る。さらに、該高強度高弾性率ポリベンザゾール
繊維はこれまでの技術で得られなかった微細構造的特徴
を有する。
【0010】本発明による高弾性率ポリベンザゾール繊
維は、従来技術に見られない特徴ある微細構造を呈す
る。即ち、小角X線散乱が赤道ストリーク、2点干渉及
び4点干渉のいずれをも示さない、繊維軸方向に均一で
結晶配向も高いという極めて特異な構造を示す繊維であ
る。かかる繊維の強度は5.0GPa以上で、弾性率は290GPa
以上であり、好ましくは強度が5.0GPa以上で弾性率は35
0GPa以上、又は強度は6.2GPa以上で弾性率は290GPa以上
である。従って本発明は、かかる技術的背景により、こ
れまでの技術的困難を克服し結晶弾性率に近づいた高強
度高弾性率ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
繊維を提供し、その工業的生産を可能ならしめんとする
ものである。
【0011】上記の構造的特徴を発現させるため、本発
明のポイントは以下に示す比較的簡単な手法により実現
できる。即ち、実質的にポリパラフェニレンベンゾビス
オキサゾールからなるポリマーのドープを紡糸口金から
非凝固性の気体中に押し出して得られた紡出糸を抽出
(凝固)浴中に導入して糸条が含有する燐酸を抽出した
後、乾燥、巻き取りを行うが、抽出(凝固)、中和、水
洗、乾燥工程の途中或いはそれら工程間で、糸条に1.0G
Pa以上の張力を付与する工程を設ける。更に500℃以
上の温度で、張力下に熱処理することを特徴とする。
【0012】以下、更に本発明を詳述する。本発明にお
けるポリベンザゾール繊維とは、PBOホモポリマー、
及び実質的に85%以上のPBO成分を含みポリベンザ
ゾール(PBZ)類とのランダム、シーケンシャルある
いはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンザ
ゾール(PBZ)ポリマーは、例えばWolf等の「Liquid
Crystalline Polymer Compositions, Process and Pro
ducts 」米国特許第4703103 号(1987年10月27
日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, P
rocess and Products 」米国特許第4533692 号(198
5年8月6日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benz
othiazole) Compositions, Process andProducts 」米
国特許第4533724 号(1985年8月6日)、「Liquid
Crystalline Polymer Compositions, Process and Pro
ducts 」米国特許第4533693 号(1985年8月6
日)、Evers の「Thermooxidative-ly Stable Articula
ted p-Benzobisoxazole and p-Benzobisoxazole Polyme
rs」米国特許第4539567 号(1982年11月16
日)、Tsaiらの「Method for making Heterocyclic Blo
ck Copolymer」米国特許第4578432 号(1986年3月
25日)、等に記載されている。
【0013】PBZポリマーに含まれる構造単位として
は、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択
される。モノマー単位は構造式 (a)〜(h) に記載されて
いるモノマー単位から成り、更に好ましくは、本質的に
構造式 (a)〜(c) から選択されたモノマー単位から成
る。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】実質的にPBOから成るポリマーのドープ
を形成するための好適溶媒としては、クレゾールやその
ポリマーを溶解し得る非酸化性の酸が含まれる。好適な
酸溶媒の例としては、ポリ燐酸、メタンスルフォン酸及
び高濃度の硫酸或いはそれ等の混合物があげられる。更
に適する溶媒は、ポリ燐酸及びメタンスルフォン酸であ
る。また最も適する溶媒は、ポリ燐酸である。
【0017】溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なく
とも約7重量%であり、更に好ましくは少なくとも10
重量%、最も好ましくは14重量%である。最大濃度
は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際
上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因の
ために、ポリマー濃度は20重量%を越えることはな
い。
【0018】好適なポリマーやコポリマーあるいはドー
プは公知の手法により合成される。例えばWolfe 等の米
国特許第4533693 号(1985年8月6日)、Sybert等
の米国特許第4772678 号(1988年9月20日)、Ha
rrisの米国特許第4847350 号(1989年7月11日)
に記載される方法で合成される。実質的にPBOから成
るポリマーはGregory 等の米国特許第5089591 号(19
92年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒中での比
較的高温、高剪断条件下において高い反応速度での高分
子量化が可能である。
【0019】この様にして重合されるドープは紡糸部に
供給され、紡糸口金から通常100℃以上の温度で吐出
される。口金細孔の配列は通常円周状、格子状に複数個
配列されるが、その他の配列であっても良い。口金細孔
数は特に限定されないが、紡糸口金面における紡糸細孔
の配列は、吐出糸条間の融着などが発生しないような孔
密度を保つ必要がある。
【0020】紡出糸条は十分な延伸比(SDR)を得る
ため、米国特許第5296185 号に記載されたように十分な
長さのドローゾーン長が必要で、かつ比較的高温度(ド
ープの固化温度以上で紡糸温度以下)の整流された冷却
風で均一に冷却されることが望ましい。ドローゾーンの
長さ(L)は非凝固性の気体中で固化が完了する長さが
必要であり大雑把には単孔吐出量(Q)によって決定さ
れる。良好な繊維物性を得るにはドローゾーンの取り出
し応力がポリマー換算で(ポリマーのみに応力がかかる
として)2g/d以上が必要である。
【0021】ドローゾーンで延伸された糸条は次に抽出
(凝固)浴に導かれる。紡糸張力が高いため、抽出浴の
乱れなどに対する配慮は必要でなく如何なる形式の抽出
浴でも良い。例えばファンネル型、水槽型、アスピレー
タ型あるいは滝型などが使用出来る。抽出液は燐酸水溶
液や水が望ましい。最終的に抽出浴において糸条が含有
する燐酸を99.0%以上、好ましくは99.5%以上抽出す
る。本発明における抽出媒体として用いられる液体に特
に限定は無いが好ましくはポリベンゾオキサゾールに対
して実質的に相溶性を有しない水、メタノ−ル、エタノ
ール、アセトン等である。また抽出(凝固)浴を多段に
分離し燐酸水溶液の濃度を順次薄くし最終的に水で水洗
しても良い。さらに該繊維束を水酸化ナトリウム水溶液
などで中和し、水洗することが望ましい。
【0022】製糸工程ライン中に、繊維に張力を付与す
る工程を設ける点が本発明の特徴部である。本処理を施
す位置は、工程ライン中、抽出(凝固)浴突入以降、熱
処理工程突入以前であれば任意の位置に設けることが出
来る。付与する張力は、1.0GPa以上、望ましくは、2.8G
Pa以上にする必要がある。張力の付与法としては、一般
的な工業的手法を用いればよい。例えば回転速度を変え
たゴゼットロール間で張力を付与するなどの方法でよ
い。完全に水分を飛ばしてしまった乾燥糸に本処理を施
しても効果はあるが、抽出(凝固)浴通過中や終了後、
中和浴通過中や終了後、水洗浴通過中や終了後、または
乾燥工程の途中など、繊維が水分や溶媒若しくは非溶媒
を含んだ状態のいわゆる乾燥前繊維に張力をかけること
が更に望ましい。張力を付与する時間は、0.00001 秒以
上であれば何秒でも良い。この処理は張力の付与時間は
極めて短時間で十分な効果を発揮する。特に未乾燥繊維
において顕著である。一般に、繊維糸条が水分を失うほ
どに分子構造を再配列(微細構造の変化)させるのに要
する時間が長くなる傾向にある。この熱処理前の張力処
理に伴う分子構造の再配列は顕著に検出可能である。小
角X線散乱において、凝固過程に伴うキャピラリー状の
ボイド構造の形成のために通常発現する強い赤道ストリ
ークが実質的に消滅する。この分子構造の再配列を生じ
せしめるために付与する必要な張力には閾値が存在し、
1.0GPa以上、さらに好ましくは2.8GPa〜4.2GPaの極めて
高い張力が必要とされる。図1に、未乾燥状態繊維への
張力付与の有無による小角X線散乱像の比較を示す。上
述した方法にて得られた繊維は、小角X線散乱におい
て、赤道ストリーク(繊維軸に対し垂直方向のストリー
ク状の散乱)が現れず、かつ繊維密度が1.55g/cm3
以下のポリベンザゾール繊維となる。繊維密度が1.55g
/cm3 を超えると、繊維軸方向への均一な分子鎖の引
き揃え効果を達成することが困難となる。好ましくは、
1.52〜1.55g/cm3 である。かかる分子再配列処理を
施した後の繊維を熱処理することで、従来に無い高強度
高弾性率を示すポリベンザゾール繊維を製造することが
出来る。更に驚くべきことに、熱処理後の繊維の小角X
線散乱には、例えば特開平8-325840号、S.J.Bai らPoly
mer, vol.33 p.2136(1992年)、S. KumarらPolyme
r, vol. 35 p.5408 (1991年)などで従来報告のあ
る4点干渉や2点干渉が実質的に発現しないことが分か
った。勿論赤道ストリークは存在しない。熱処理後の繊
維の小角X散乱像を図2に示す。この事実は、今までに
特許や文献等でも全く報告されていない。本発明で得ら
れた微細構造は学術的にも新規な構造である。
【0023】[測定方法] <小角X線散乱の測定方法>小角X線散乱は、下記の方
法で行う。測定に供するX線は、(株)リガク製ロータ
ーフレックスRU-300を用いて発生させる。ターゲットと
して銅対陰極を用い、出力30kV x 30mA のファインフォ
ーカスで運転する。光学系は点収束カメラを用い、X線
はニッケルフィルターを用いて単色化する。検出器は、
フジ写真フィルム(株)製イメージングプレート(FDL U
R-V)を用いる。試料と検出器間の距離は200mm 乃至350m
m の間の適当な距離でよい。空気などからの妨害バック
グラウンド散乱を抑えるため、試料と検出器の間は、ヘ
リウムガスを充填する。露光時間は2時間乃至24時間
である。イメージングプレート上に記録された散乱強度
信号の読みとりは、富士写真フィルム(株)製デジタル
ミクログラフィー(FDL5000) を用いる。得られたデータ
には、バックグラウンド補正を施した後等高線プロット
を作製する。
【0024】<密度の測定方法>密度の測定は、マイク
ロメリテックス製乾式自動密度計アキュピック(ヘリウ
ムガスを用いたピクノメータ)を用いて計測する。
【0025】〔実施例〕以下、更に実施例を示すが本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】<実施例1-3,比較例1,3,4>米国特許第453
3693 号に示される方法によって得られた、30℃のメ
タンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24.4dL/gのポ
リパラフェニレンベンゾビスオキサゾール14.0(重量)
%と五酸化リン含有率83.17%のポリ燐酸から成る紡糸ド
ープを紡糸に用いた。ドープは金属網状の濾材を通過さ
せ、次いで2軸から成る混練り装置で混練りと脱泡を行
った後、昇圧させ、重合体溶液温度を170℃に保ち、
孔数166を有する紡糸口金から170℃で紡出し、温
度60℃の冷却風を用いて吐出糸条を冷却した後、ゴゼ
ットロールに巻き付け紡糸条速度を与え、温度を20±
2℃に保った20%の燐酸水溶液から成る抽出(凝固)
浴中に導入した。引き続いて第2の抽出浴中でイオン交
換水で糸条を洗浄した後、0.1 規定の水酸化ナトリウム
溶液中に浸せきし中和処理を施した。更に水洗浴で水洗
した後、張力付与、巻き取り、80℃の乾燥オーブン中
で乾燥し更に張力7.0g/d、温度600℃の状態で 1.4秒
間熱処理を行った。結果を表1に示す。
【0027】<比較例2>実施例1と同じ条件で紡糸し
た水洗浴上がりの糸条を、張力付与、乾燥工程を省き実
施例1と同じ熱処理を施した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】上記表1より本発明の繊維は従来の繊維に
比べて強度とともに著しい弾性率の向上が見られ、物性
上、極めて優れていることが理解される。同時に、特異
な微細構造を有することも認められる。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上述べたようにこれまで得
られなかった高強度と高弾性率を合わせ持ちかつ特異な
繊維微細構造をもつポリベンザゾール繊維を工業的に容
易に製造することができるため、産業用資材として実用
性を高め利用分野を拡大する効果が絶大である。即ち、
ケーブル、電線や光ファイバー等のテンションメンバ
ー、ロープ、等の緊張材はもとより、ロケットインシュ
レーション、ロケットケイシング、圧力容器、宇宙服の
紐、惑星探査気球、等の航空、宇宙資材、耐弾材等の耐
衝撃用部材、手袋等の耐切創用部材、消防服、耐熱フェ
ルト、プラント用ガスケット、耐熱織物、各種シーリン
グ、耐熱クッション、フィルター、等の耐熱耐炎部材、
ベルト、タイヤ、靴底、ロープ、ホース、等のゴム補強
剤、釣り糸、釣竿、テニスラケット、卓球ラケット、バ
トミントンラケット、ゴルフシャフト、クラブヘッド、
ガット、弦、セイルクロス、競技(走)用シューズ、ス
パイクシューズ、競技(走)用自転車及びその車輪、ス
ポーク、ブレーキワイヤー、変速機ワイヤー、競技
(走)用車椅子及びその車輪、スキー、ストック、ヘル
メット、等のスポーツ関係資材、アバンスベルト、クラ
ッチファーシング等の耐摩擦材、各種建築材料用補強剤
及びその他ライダースーツ、スピーカーコーン、軽量乳
母車、軽量車椅子、軽量介護用ベッド、救命ボート、ラ
イフジャケット、等広範にわたる用途に使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 未乾燥状態繊維への張力付与の有無と小角X
線散乱像。(1−1)は張力を付与した場合、(1−
2)は張力を付与しない場合。
【図2】 本発明のPBO繊維の特異な小角X線散乱
像。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小角X線散乱が赤道ストリーク、2点干
    渉及び4点干渉のいをも示さず、弾性率が290GPa以上、
    強度が5.0GPa以上であることを特徴とする高弾性率ポリ
    ベンザゾール繊維。
  2. 【請求項2】 小角X線散乱において、赤道ストリーク
    (繊維軸に対し垂直方向のストリーク状の散乱)が現れ
    ず、かつ繊維密度が1.55g/cm3 以下のポリベンザゾ
    ール繊維を熱処理することにより弾性率が290GPa以上、
    強度が5.0GPa以上の繊維となることを特徴とする高弾性
    率ポリベンザゾール繊維の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ
    ールポリマーとポリ燐酸からなるドープを、紡糸口金か
    ら非凝固性の気体中に押し出して得られた紡出糸を抽出
    (凝固)浴中に導入して糸条が含有する燐酸を抽出した
    後、水洗、乾燥工程を経て500℃以上の温度で一定張
    力下に熱処理する繊維の製造方法において、前記熱処理
    の工程より前の工程にて繊維糸条に1.0GPa以上の張力を
    付与することを特徴とする高弾性率ポリベンザゾール繊
    維の製造法。
JP16155497A 1997-06-18 1997-06-18 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法 Expired - Fee Related JP3801734B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16155497A JP3801734B2 (ja) 1997-06-18 1997-06-18 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法
US09/097,997 US6040050A (en) 1997-06-18 1998-06-16 Polybenzazole fiber having high tensile modulus and process of manufacture thereof
DE69822556T DE69822556T2 (de) 1997-06-18 1998-06-18 Polybenzazolfaser mit hohem Zugelastizitätsmodul und Verfahren zu ihrer Herstellung
EP98111194A EP0885987B1 (en) 1997-06-18 1998-06-18 Polybenzazole fiber having high tensile modulus and process of manufacture thereof
TW088105483A TW445312B (en) 1997-06-18 1999-04-07 Polybenzazole fiber having high tensile modulus and process of manufacture thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16155497A JP3801734B2 (ja) 1997-06-18 1997-06-18 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1112846A true JPH1112846A (ja) 1999-01-19
JP3801734B2 JP3801734B2 (ja) 2006-07-26

Family

ID=15737325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16155497A Expired - Fee Related JP3801734B2 (ja) 1997-06-18 1997-06-18 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3801734B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000061085A (ko) * 1999-03-23 2000-10-16 시바타 미노루 고탄성율 폴리벤자졸섬유 및 그의 제조법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000061085A (ko) * 1999-03-23 2000-10-16 시바타 미노루 고탄성율 폴리벤자졸섬유 및 그의 제조법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3801734B2 (ja) 2006-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0885987B1 (en) Polybenzazole fiber having high tensile modulus and process of manufacture thereof
JP3852681B2 (ja) ポリベンザゾール繊維
EP0783603B1 (en) Process for the preparation of polybenzazole filaments and fibres
JPH0978350A (ja) ポリベンザゾール繊維の製造方法およびポリベンザゾール中間乾燥繊維
EP1869233B1 (en) Process for removing cations from polyareneazole fiber
JPH1112846A (ja) 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法
JP2003234013A (ja) 電気伝導体
JP4009885B2 (ja) 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造法
JPH0246688B2 (ja)
JP3480128B2 (ja) 高弾性率ポリパラフエニレンベンゾビスオキサゾールマルチフィラメントの製造法
JP4524060B2 (ja) 産業資材用制電ポリベンザゾール組成物
JP3508876B2 (ja) 高弾性率ポリベンザゾール繊維
JP3918989B2 (ja) ポリベンザゾール繊維及びその製造方法
JPH11335926A (ja) 高弾性率ポリベンザゾール繊維及びその製造方法
KR100368064B1 (ko) 폴리벤자졸모노필라멘트및그제조방법
JP3063064B2 (ja) ポリベンザゾール繊維の高速紡糸方法
JP3815596B2 (ja) ポリベンザゾール繊維
JP2006219774A (ja) ポリベンザゾール繊維
JP3702979B2 (ja) 黒色ポリベンザゾール繊維
JPH0820651A (ja) 繊維強化複合材料
KR20000061085A (ko) 고탄성율 폴리벤자졸섬유 및 그의 제조법
JP3702921B2 (ja) 中空ポリベンザゾール繊維の製造方法およびそれにより得られる中空ポリベンザゾール繊維
KR20220135879A (ko) 복합 섬유
JP2006057214A (ja) ポリベンザゾール繊維
KR20220135880A (ko) 복합 섬유의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040601

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060320

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060426

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees