JP3378393B2 - アルカリ可溶型高密着性保護皮膜被覆ステンレス鋼板 - Google Patents
アルカリ可溶型高密着性保護皮膜被覆ステンレス鋼板Info
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- JP3378393B2 JP3378393B2 JP32998594A JP32998594A JP3378393B2 JP 3378393 B2 JP3378393 B2 JP 3378393B2 JP 32998594 A JP32998594 A JP 32998594A JP 32998594 A JP32998594 A JP 32998594A JP 3378393 B2 JP3378393 B2 JP 3378393B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保護皮膜が密着性に優
れ、しかも、その保護皮膜をアルカリ溶液で除去可能な
保護皮膜被覆ステンレス鋼板に関する。
れ、しかも、その保護皮膜をアルカリ溶液で除去可能な
保護皮膜被覆ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来技術】ステンレス鋼板は、耐食性、外観に優れて
いるので、厨房機器、建材などに見られるごとく、多く
の用途ではステンレス鋼板特有の肌をそのまま活かして
使用している。しかし、ステンレス鋼板は表面に傷が付
くと極めて目立ち易いという欠点がある。このため、ス
テンレス鋼板の表面をそのまま利用する用途に対しては
運搬、加工および取り扱い時などに傷が付くのを防止す
るため、塩化ビニル樹脂の保護フィルムを貼付けてい
た。また、塩化ビニル樹脂の保護フィルムは、潤滑性、
加工性が不十分なため、保護フィルムの上にプレス油を
塗布して加工し、手作業で保護フィルムを剥離した後に
トリクロロエタンのような塩素系溶剤やアルカリ系水溶
液で加工品の表面を洗浄していた。
いるので、厨房機器、建材などに見られるごとく、多く
の用途ではステンレス鋼板特有の肌をそのまま活かして
使用している。しかし、ステンレス鋼板は表面に傷が付
くと極めて目立ち易いという欠点がある。このため、ス
テンレス鋼板の表面をそのまま利用する用途に対しては
運搬、加工および取り扱い時などに傷が付くのを防止す
るため、塩化ビニル樹脂の保護フィルムを貼付けてい
た。また、塩化ビニル樹脂の保護フィルムは、潤滑性、
加工性が不十分なため、保護フィルムの上にプレス油を
塗布して加工し、手作業で保護フィルムを剥離した後に
トリクロロエタンのような塩素系溶剤やアルカリ系水溶
液で加工品の表面を洗浄していた。
【0003】しかしながら、塩化ビニル樹脂の保護フィ
ルムは、潤滑性、密着性が不十分なため、ステンレス鋼
板の加工時に部分的なシワや剥離が発生することがあっ
た。また、手作業での保護フィルム剥離には多くの労
力、時間および費用を要するほか、加工によりしごきを
受けた部分がステンレス鋼板に強固に密着しているた
め、剥離の際にフィルムが破れたり、剥離できずに残存
してしまう部分があった。さらに、プレス油の塗布や除
去は作業環境を悪化させてしまう。
ルムは、潤滑性、密着性が不十分なため、ステンレス鋼
板の加工時に部分的なシワや剥離が発生することがあっ
た。また、手作業での保護フィルム剥離には多くの労
力、時間および費用を要するほか、加工によりしごきを
受けた部分がステンレス鋼板に強固に密着しているた
め、剥離の際にフィルムが破れたり、剥離できずに残存
してしまう部分があった。さらに、プレス油の塗布や除
去は作業環境を悪化させてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題を解決した保護皮膜被覆ステンレス鋼板を提供するも
のである。
題を解決した保護皮膜被覆ステンレス鋼板を提供するも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の保護皮膜被覆ス
テンレス鋼板は、ステンレス鋼板の表面に酸価が40〜
400で、ガラス転移温度が−10℃〜30℃であるア
クリル樹脂の下層皮膜1〜60μmと、酸価が40〜4
00で、ガラス転移温度が40℃〜80℃であるアクリ
ル樹脂の上層皮膜3〜60μmとが順次形成され、上下
層皮膜の合計厚みが5〜100μmであることを特徴と
している。
テンレス鋼板は、ステンレス鋼板の表面に酸価が40〜
400で、ガラス転移温度が−10℃〜30℃であるア
クリル樹脂の下層皮膜1〜60μmと、酸価が40〜4
00で、ガラス転移温度が40℃〜80℃であるアクリ
ル樹脂の上層皮膜3〜60μmとが順次形成され、上下
層皮膜の合計厚みが5〜100μmであることを特徴と
している。
【0006】
【作用】本発明者らは、ステンレス鋼板との密着性が良
好で、化学的に除去可能な高分子保護皮膜材料を開発す
べく種々検討した結果、アクリル樹脂の酸価、ガラス転
移点および膜厚を調整すれば、密着性に優れ、アルカリ
溶液で溶解除去できることを見いだした。しかし、単一
皮膜で密着性、アルカリ溶解性を高めると、皮膜の粘着
性が増し、ステンレス鋼板を積み重ねた場合、ブロッキ
ングが発生するという問題が生じた。そこで、本発明者
らは、この問題を2層構造の皮膜にすることにより解決
することを検討した。
好で、化学的に除去可能な高分子保護皮膜材料を開発す
べく種々検討した結果、アクリル樹脂の酸価、ガラス転
移点および膜厚を調整すれば、密着性に優れ、アルカリ
溶液で溶解除去できることを見いだした。しかし、単一
皮膜で密着性、アルカリ溶解性を高めると、皮膜の粘着
性が増し、ステンレス鋼板を積み重ねた場合、ブロッキ
ングが発生するという問題が生じた。そこで、本発明者
らは、この問題を2層構造の皮膜にすることにより解決
することを検討した。
【0007】表1は、メチルメタクリレ−ト,ブチルア
クリレ−ト,メタクリル酸の各成分を変化させて、共重
合させることにより酸価とガラス転移温度の異なるアク
リル樹脂のエマルジョン処理液を複数調製して、それら
をステンレス鋼板の表面に塗布、乾燥して、アルカリ水
溶液による皮膜の溶解性、皮膜密着性および耐ブロッキ
ング性を調査したものであるが、皮膜をアルカリ溶解性
にするには酸価を大きくする必要がある。また、ステン
レス鋼板との密着性を良好にするにはガラス転移温度を
低くし、耐ブロッキング性を良好にするには逆にガラス
転移温度を高くする必要がある。そこで、本発明者らは
ガラス転移温度の低いものを下層皮膜に、高いものを上
層皮膜にすることにより問題を解決したものである。な
お、表1での皮膜物性の試験方法と評価方法は後述の実
施例1に記載の方法によった。
クリレ−ト,メタクリル酸の各成分を変化させて、共重
合させることにより酸価とガラス転移温度の異なるアク
リル樹脂のエマルジョン処理液を複数調製して、それら
をステンレス鋼板の表面に塗布、乾燥して、アルカリ水
溶液による皮膜の溶解性、皮膜密着性および耐ブロッキ
ング性を調査したものであるが、皮膜をアルカリ溶解性
にするには酸価を大きくする必要がある。また、ステン
レス鋼板との密着性を良好にするにはガラス転移温度を
低くし、耐ブロッキング性を良好にするには逆にガラス
転移温度を高くする必要がある。そこで、本発明者らは
ガラス転移温度の低いものを下層皮膜に、高いものを上
層皮膜にすることにより問題を解決したものである。な
お、表1での皮膜物性の試験方法と評価方法は後述の実
施例1に記載の方法によった。
【0008】
【表1】
【0009】本発明では、上記知見に基づき、下層皮膜
を酸価が40〜400で、ガラス転移温度が−10℃か
ら30℃の範囲のアクリル樹脂にするのであるが、酸価
を40〜400にするのは、40未満であると、表1に
示すように、pH7以上のアルカリ水溶液での溶解除去
が困難になり、400を超えると、皮膜が脆弱になるた
め、耐傷付き性が劣り、加工の際に皮膜が破れる恐れが
あるからである。アルカリ溶解性と皮膜強度を調和させ
るには、酸価を100〜300の範囲にするのが好まし
い。なお、酸価とはアクリル樹脂1g中に含まれる遊離
脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラ
ム数をいう。また、ガラス転移温度を−10℃〜30℃
にするのは、−10℃より低いと、表1のように、造膜
困難となり、30℃を超えると、高い密着性が得られな
くなるからである。
を酸価が40〜400で、ガラス転移温度が−10℃か
ら30℃の範囲のアクリル樹脂にするのであるが、酸価
を40〜400にするのは、40未満であると、表1に
示すように、pH7以上のアルカリ水溶液での溶解除去
が困難になり、400を超えると、皮膜が脆弱になるた
め、耐傷付き性が劣り、加工の際に皮膜が破れる恐れが
あるからである。アルカリ溶解性と皮膜強度を調和させ
るには、酸価を100〜300の範囲にするのが好まし
い。なお、酸価とはアクリル樹脂1g中に含まれる遊離
脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラ
ム数をいう。また、ガラス転移温度を−10℃〜30℃
にするのは、−10℃より低いと、表1のように、造膜
困難となり、30℃を超えると、高い密着性が得られな
くなるからである。
【0010】上層皮膜は、酸価が40〜400で、ガラ
ス転移温度が40℃〜80℃のアクリル樹脂にするので
あるが、酸価を40〜400にするのは前述の下層皮膜
の場合と同様である。一方、ガラス転移温度を40℃〜
80℃にするのは、40℃より低いと、夏季に工場内の
気温が40℃近くまで上昇するため、気温が上昇した場
合、皮膜に粘着性が生じてしまうためであり、80℃よ
り高いと、皮膜が脆くなり、造膜の時に割れや剥離が発
生する場合があるからである。
ス転移温度が40℃〜80℃のアクリル樹脂にするので
あるが、酸価を40〜400にするのは前述の下層皮膜
の場合と同様である。一方、ガラス転移温度を40℃〜
80℃にするのは、40℃より低いと、夏季に工場内の
気温が40℃近くまで上昇するため、気温が上昇した場
合、皮膜に粘着性が生じてしまうためであり、80℃よ
り高いと、皮膜が脆くなり、造膜の時に割れや剥離が発
生する場合があるからである。
【0011】下層、上層皮膜のアクリル樹脂には、アク
リル酸または/およびメタアクリル酸の重合体または共
重合体あるいはこれらのモノマ−に必要に応じてアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを共重合させ
たもので、酸価やガラス転移温度を重合量、共重合成分
などにより調整したものを使用すればよい。ここで、
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)
アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル
(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−
トなどが挙げられる。共重合モノマ−にはさらに(メ
タ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマ−、例え
ば、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブ
タジエン、ビニルアセテ−トなどを共重合させてもよ
い。
リル酸または/およびメタアクリル酸の重合体または共
重合体あるいはこれらのモノマ−に必要に応じてアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを共重合させ
たもので、酸価やガラス転移温度を重合量、共重合成分
などにより調整したものを使用すればよい。ここで、
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)
アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル
(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−
トなどが挙げられる。共重合モノマ−にはさらに(メ
タ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマ−、例え
ば、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブ
タジエン、ビニルアセテ−トなどを共重合させてもよ
い。
【0012】下層皮膜の厚さは、1μm未満であると、
上層皮膜の密着性が得られず、60μmを超えると、乾
燥時に沸きが発生するので、1〜60μmにするのが好
ましい。また、上層皮膜の厚さは、3μm未満である
と、下層皮膜を完全に覆うことができないため、ブロッ
キングが発生し、60μmを超えると、乾燥時に沸きが
発生するので、3〜60μmにするのが好ましい。しか
し、両皮膜の合計厚さが5μm未満であると、ステンレ
ス鋼板が高光沢仕上げ(2B、BA仕上げ等)のものの
場合、加工時に表面に傷が付くので、少なくとも5μm
以上にする必要がある。一方、合計厚さが100μmを
超えると、皮膜溶解に長時間要し、作業性の低下とコス
トアップを招くので、最高100μm以下にするのが好
ましい。
上層皮膜の密着性が得られず、60μmを超えると、乾
燥時に沸きが発生するので、1〜60μmにするのが好
ましい。また、上層皮膜の厚さは、3μm未満である
と、下層皮膜を完全に覆うことができないため、ブロッ
キングが発生し、60μmを超えると、乾燥時に沸きが
発生するので、3〜60μmにするのが好ましい。しか
し、両皮膜の合計厚さが5μm未満であると、ステンレ
ス鋼板が高光沢仕上げ(2B、BA仕上げ等)のものの
場合、加工時に表面に傷が付くので、少なくとも5μm
以上にする必要がある。一方、合計厚さが100μmを
超えると、皮膜溶解に長時間要し、作業性の低下とコス
トアップを招くので、最高100μm以下にするのが好
ましい。
【0013】上層皮膜には、高分子樹脂粉末を潤滑剤と
して添加すると、潤滑性が向上し、無塗油で加工が可能
になり、塗油工程や脱脂工程を省略できる。しかし、樹
脂粉末の添加量が1質量%未満であると、プレス油を塗
油した場合より潤滑性が劣り、25質量%を超えると、
処理液中への分散が困難になり、ゲル化してしまう。こ
のため、添加量は1〜25質量%にする。また、樹脂粉
末は平均粒径が0.1μm未満であると、皮膜の摩擦係
数は小さくなるが、潤滑性があまり得られず、30μm
を超えると、加工時に樹脂粉末が脱落し、潤滑性を発揮
しない。このため、平均粒径は0.1〜30μmにす
る。
して添加すると、潤滑性が向上し、無塗油で加工が可能
になり、塗油工程や脱脂工程を省略できる。しかし、樹
脂粉末の添加量が1質量%未満であると、プレス油を塗
油した場合より潤滑性が劣り、25質量%を超えると、
処理液中への分散が困難になり、ゲル化してしまう。こ
のため、添加量は1〜25質量%にする。また、樹脂粉
末は平均粒径が0.1μm未満であると、皮膜の摩擦係
数は小さくなるが、潤滑性があまり得られず、30μm
を超えると、加工時に樹脂粉末が脱落し、潤滑性を発揮
しない。このため、平均粒径は0.1〜30μmにす
る。
【0014】樹脂粉末としては、特に限定はないが、フ
ッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂などの粉末が挙げられる。
ッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂などの粉末が挙げられる。
【0015】ステンレス鋼板表面への下層、上層皮膜の
形成は、酸価が40〜400で、ガラス転移温度が−1
0℃〜30℃であるアクリル樹脂エマルジョンをロ−ル
コ−タ−のような均一皮膜の得られる塗装法で塗布し
て、乾燥した後、酸価が40〜400で、ガラス転移温
度が40℃〜80℃であるアクリル樹脂エマルジョンを
同様に塗布して、乾燥すればよい。
形成は、酸価が40〜400で、ガラス転移温度が−1
0℃〜30℃であるアクリル樹脂エマルジョンをロ−ル
コ−タ−のような均一皮膜の得られる塗装法で塗布し
て、乾燥した後、酸価が40〜400で、ガラス転移温
度が40℃〜80℃であるアクリル樹脂エマルジョンを
同様に塗布して、乾燥すればよい。
【0016】
実施例1
メチルメタクリレ−ト,ブチルアクリレ−ト,メタクリ
ル酸の各成分を変化させて、共重合させることにより酸
価とガラス転移温度の異なるアクリル樹脂のエマルジョ
ン処理液を複数調製して、それらのうちのガラス転移温
度の低いものをステンレス鋼板(鋼種;SUS304、
仕上げ;BA、板厚;0.6mm)の表面にバ−コ−タ
−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、下層皮膜を形成し
た。その後、下層皮膜の上にガラス転移温度が下層皮膜
より高いものを同様の方法で塗布、乾燥して、上層皮膜
を形成した。表2に得られたアクリル樹脂皮膜被覆ステ
ンレス鋼板を示す。次にこの鋼板について下記の特性を
調査した。この結果を表3に示す。
ル酸の各成分を変化させて、共重合させることにより酸
価とガラス転移温度の異なるアクリル樹脂のエマルジョ
ン処理液を複数調製して、それらのうちのガラス転移温
度の低いものをステンレス鋼板(鋼種;SUS304、
仕上げ;BA、板厚;0.6mm)の表面にバ−コ−タ
−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、下層皮膜を形成し
た。その後、下層皮膜の上にガラス転移温度が下層皮膜
より高いものを同様の方法で塗布、乾燥して、上層皮膜
を形成した。表2に得られたアクリル樹脂皮膜被覆ステ
ンレス鋼板を示す。次にこの鋼板について下記の特性を
調査した。この結果を表3に示す。
【0017】(1)均一塗布性
上層皮膜形成後皮膜を観察して、皮膜が均一に形成さ
れ、良好な外観を示すものを記号○、皮膜に沸きやべた
つきが認められたものを記号×で評価した。 (2)皮膜の溶解性 試験片をNaOH溶液(pH;12、液温;40℃)に
浸漬して、皮膜が完全に溶解するまでに要する時間が2
分未満のものを記号○、2分以上、5分未満のものを記
号△、5分以上のものを記号×で評価した。 (3)耐傷付き性 円板試験片を用いて円筒絞り加工試験(ポンチ径;40
φ、絞り比;2.35、しわ押さえ力;2.5×10
4N)を行い、加工部に傷付きが認められないものを記
号○、一部に傷付きが認められたものを記号△、加工部
全体に傷付きが認められたものを記号×で評価した。
れ、良好な外観を示すものを記号○、皮膜に沸きやべた
つきが認められたものを記号×で評価した。 (2)皮膜の溶解性 試験片をNaOH溶液(pH;12、液温;40℃)に
浸漬して、皮膜が完全に溶解するまでに要する時間が2
分未満のものを記号○、2分以上、5分未満のものを記
号△、5分以上のものを記号×で評価した。 (3)耐傷付き性 円板試験片を用いて円筒絞り加工試験(ポンチ径;40
φ、絞り比;2.35、しわ押さえ力;2.5×10
4N)を行い、加工部に傷付きが認められないものを記
号○、一部に傷付きが認められたものを記号△、加工部
全体に傷付きが認められたものを記号×で評価した。
【0018】(4)皮膜密着性
上記(3)の耐傷付き性調査の際円筒絞り加工した加工
品の加工部皮膜を観察して、皮膜剥離の認められないも
のを記号○、一部に皮膜剥離の認められたものを記号
△、加工部全体に皮膜剥離の認められたものを記号×で
評価した。 (5)耐ブロッキング性 保護皮膜面同士が合わさるように試験片を重ねて、温度
40℃、加圧力1500N/cm2の状態で24時間放
置した後、試験片を強制的に引き剥がし、ブロッキング
が認められないものを記号○、ブロッキングにより皮膜
剥離の認められたものを記号×で評価した。
品の加工部皮膜を観察して、皮膜剥離の認められないも
のを記号○、一部に皮膜剥離の認められたものを記号
△、加工部全体に皮膜剥離の認められたものを記号×で
評価した。 (5)耐ブロッキング性 保護皮膜面同士が合わさるように試験片を重ねて、温度
40℃、加圧力1500N/cm2の状態で24時間放
置した後、試験片を強制的に引き剥がし、ブロッキング
が認められないものを記号○、ブロッキングにより皮膜
剥離の認められたものを記号×で評価した。
【0019】
【表2】
(注)下層皮膜に沸きやべたつきが発生し、上層皮膜の
塗布が困難であった。
塗布が困難であった。
【0020】
【表3】
【0021】実施例2
メチルメタクリレ−ト,ブチルアクリレ−ト,メタクリ
ル酸を共重合させて、酸価が100、ガラス転移温度が
10℃のアクリル樹脂を合成し、この樹脂のエマルジョ
ン処理液を実施例1と同一のステンレス鋼板表面にバ−
コ−タ−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、皮膜厚み5μ
mの下層皮膜を形成した。その後、酸価が100、ガラ
ス転移温度が40℃のアクリル樹脂をメチルメタクリレ
−ト,ブチルアクリレ−ト,メタクリル酸を共重合させ
ることにより合成して、そのエマルジョン処理液にポリ
エチレン樹脂粉末を添加し、40℃の雰囲気中に10日
間放置した。そして、放置後処理液を下層皮膜上に前述
と同様の方法で塗布、乾燥して、上層皮膜を形成した。
表4に上層皮膜用エマルジョン処理液と得られたアクリ
ル樹脂皮膜被覆ステンレス鋼板に下記試験を実施したと
きの結果を示す。
ル酸を共重合させて、酸価が100、ガラス転移温度が
10℃のアクリル樹脂を合成し、この樹脂のエマルジョ
ン処理液を実施例1と同一のステンレス鋼板表面にバ−
コ−タ−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、皮膜厚み5μ
mの下層皮膜を形成した。その後、酸価が100、ガラ
ス転移温度が40℃のアクリル樹脂をメチルメタクリレ
−ト,ブチルアクリレ−ト,メタクリル酸を共重合させ
ることにより合成して、そのエマルジョン処理液にポリ
エチレン樹脂粉末を添加し、40℃の雰囲気中に10日
間放置した。そして、放置後処理液を下層皮膜上に前述
と同様の方法で塗布、乾燥して、上層皮膜を形成した。
表4に上層皮膜用エマルジョン処理液と得られたアクリ
ル樹脂皮膜被覆ステンレス鋼板に下記試験を実施したと
きの結果を示す。
【0022】(1)処理液安定性
40℃の雰囲気中に処理液を10日間放置後増粘やゲル
化の認められないものを記号○、増粘やゲル化の生じた
ものを記号×で評価した。 (2)加工性 実施例1の耐傷付き性と同一条件で円筒絞り加工試験を
行い、加工前の試験片径をL1、加工後の試験片平均径
をL2とした場合のL2/L1が0.90未満のものを記号
○で、0.90〜0.94のものを記号△、0.94以上
のものを記号×で評価した。
化の認められないものを記号○、増粘やゲル化の生じた
ものを記号×で評価した。 (2)加工性 実施例1の耐傷付き性と同一条件で円筒絞り加工試験を
行い、加工前の試験片径をL1、加工後の試験片平均径
をL2とした場合のL2/L1が0.90未満のものを記号
○で、0.90〜0.94のものを記号△、0.94以上
のものを記号×で評価した。
【0023】
【表4】
(注)比較例14は処理液ゲル化のため、塗布困難であ
った。
った。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明の保護皮膜被覆ス
テンレス鋼板は、保護皮膜の密着性が良好であるので、
加工時にシワや剥離が発生しないので、ステンレス鋼板
の表面に傷を付けることがない。また、保護皮膜はアル
カリ溶液に浸漬すれば、溶解除去できるので、繁雑な手
作業剥離から解放され、作業性は著しく改善される。さ
らに、保護皮膜には高分子樹脂粉末を添加すれば、潤滑
性が向上するので、加工前のプレス油塗布、加工後脱油
が不要である。
テンレス鋼板は、保護皮膜の密着性が良好であるので、
加工時にシワや剥離が発生しないので、ステンレス鋼板
の表面に傷を付けることがない。また、保護皮膜はアル
カリ溶液に浸漬すれば、溶解除去できるので、繁雑な手
作業剥離から解放され、作業性は著しく改善される。さ
らに、保護皮膜には高分子樹脂粉末を添加すれば、潤滑
性が向上するので、加工前のプレス油塗布、加工後脱油
が不要である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 武津 博文
大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株
式会社 鉄鋼研究所 表面処理研究部内
(72)発明者 山本 雅也
大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株
式会社 鉄鋼研究所 表面処理研究部内
(72)発明者 増田 毅
大阪府堺市金岡町704−2 エバ−グリ
−ン金岡6−612
(56)参考文献 特開 昭50−89427(JP,A)
特開 昭55−18238(JP,A)
特開 平6−264255(JP,A)
特公 平4−78679(JP,B2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B32B 15/08
B05D 7/14 - 7/24
Claims (3)
- 【請求項1】 ステンレス鋼板の表面に酸価が40〜4
00で、ガラス転移温度が−10℃〜30℃であるアク
リル樹脂の下層皮膜1〜60μmと、酸価が40〜40
0で、ガラス転移温度が40℃〜80℃であるアクリル
樹脂の上層皮膜3〜60μmとが順次形成され、上下層
皮膜の合計厚みが5〜100μmであることを特徴とす
るアルカリ可溶型高密着性保護皮膜被覆ステンレス鋼
板。 - 【請求項2】 下層皮膜および上層皮膜のアクリル樹脂
がアクリル酸および/またはメタクリル酸の重合体また
はこれらのモノマ−の少なくとも1種とアクリル酸エス
テルおよび/またはメタクリル酸エステルとの共重合体
であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ可溶
型高密着性保護皮膜被覆ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 請求項1のステンレス鋼板の上層皮膜が
平均粒径0.1〜30μmの高分子樹脂粉末を1〜25
質量%含有していることを特徴とするアルカリ可溶型高
密着性保護皮膜被覆ステンレス鋼板。
Priority Applications (1)
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