JP3372294B2 - クラッチ機構 - Google Patents

クラッチ機構

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JP3372294B2
JP3372294B2 JP11718393A JP11718393A JP3372294B2 JP 3372294 B2 JP3372294 B2 JP 3372294B2 JP 11718393 A JP11718393 A JP 11718393A JP 11718393 A JP11718393 A JP 11718393A JP 3372294 B2 JP3372294 B2 JP 3372294B2
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  • Details Of Cameras Including Film Mechanisms (AREA)
  • Structure Of Transmissions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クラッチ機構、詳しく
は単一駆動源の動力を3種以上の独立した駆動系に切換
えるクラッチ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラ等の機器において、単一の
駆動力を複数の駆動系に切換えて使用する駆動力切換機
構は種々提案されており、たとえば、特開平1−287
648号公報には、正逆回転動作により単一モータの駆
動力を複数の伝達機構に切換える駆動力切換機構が開示
されている。
【0003】この技術手段は、その正回転動作によって
上記単一モータの駆動力をシャッターチャージ,ミラー
駆動等の駆動源として、また、逆回転動作によって該モ
ータの駆動力をフィルム巻上げ,巻戻し動作の駆動源と
してそれぞれ利用するように切換えるようになってい
る。
【0004】また、特願平4−60548号には、ロー
タリークラッチによって一方向の回転でクラッチ切換え
動作を行い、また、他方向の回転によって非駆動機構を
駆動する技術手段が提案されている。
【0005】一方、特願平3−309336号におい
て、太陽ギヤーと遊星ギヤーとの組み合わせにより、単
一のモータを用いて複数の被駆動ギヤーを選択する駆動
機構が提案されている。
【0006】ところで、上述したようなロータリークラ
ッチでは、該クラッチギヤーと被駆動系の初段ギヤーと
で歯先干渉が生じる虞がある。そこで、該歯先の先端歯
厚を尖り限界に設定して、この歯先干渉を防止する技術
手段が知られている。
【0007】また、特願平4−317421号において
は、上記同様にロータリークラッチギヤーと被駆動系の
初段ギヤーとの歯先干渉を防止するために、各被駆動系
の初段ギヤーに該クラッチギヤーが同等な位相で係合す
るように位置規制部材を配設した技術手段が提案されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た、歯先の先端歯厚を尖り限界に設定して歯先干渉を防
止する技術手段を用いた場合、たとえば、近年、頻繁に
使用されるモールド製のギヤーでは、歯先端に0.05mm程
度の円周部が形成されてしまうため、歯先干渉を完全に
防ぐことが難しいものとなっている。
【0009】また、上記特願平4−317421号にお
ける技術手段では、該クラッチ機構が収納される機器内
において、上記位置規制部材によりスペース上の制約が
生じると共に、振動等により係合が解除されることも想
定され、この場合においては、効果を発揮することが困
難となっている。
【0010】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、上述した問題点を解消すると共に、小型で、ギ
ヤーの歯先干渉のないクラッチ機構を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明による第1のクラッチ機構は、駆動源と、こ
の駆動源により正逆回転される太陽ギヤーと、この太陽
ギヤーの一方向回転により該太陽ギヤー周りに第一方向
に一周公転可能で、他方向回転により該太陽ギヤー周り
に第二方向に公転することが可能な遊星ギヤーと、上記
太陽ギヤーの上記一方向回転による上記遊星ギヤーの公
転を自由に許容し、上記太陽ギヤーの上記他方向回転に
よる上記遊星ギヤーの公転を規制する規制部材と、上記
駆動源による上記太陽ギヤーの回転方向を制御すること
で、太陽ギヤーを一方向回転させて該太陽ギヤー周りに
上記遊星ギヤーを第一方向に公転させた後、上記太陽ギ
ヤーを他方向回転させて上記遊星ギヤーを第二方向に公
転させて、上記規制部材により規制可能な公転軌跡上の
複数の規制位置から選択した自転位置にて公転を規制し
て、該選択した該自転位置で上記太陽ギヤーの上記他方
向回転による上記遊星ギヤーの自転をさせるようにする
制御手段と、上記遊星ギヤーの自転位置において上記太
陽ギヤーと上記遊星ギヤーとの中心を結ぶ線分上に回転
中心がある状態で該遊星ギヤーと噛合するように配置さ
れ、上記太陽ギヤーの上記他方向回転による上記遊星ギ
ヤーの自転により駆動される複数の被駆動ギヤーと、
記制御手段による上記遊星ギヤーの第一方向及び第二方
向の公転により上記遊星ギヤーと噛合する複数の被駆動
ギヤーをそれぞれ、上記太陽ギヤーと上記遊星ギヤーと
の中心を結ぶ線分の略延長線上を、上記遊星ギヤーとの
噛合位置から噛合離脱位置まで少なくとも全歯タケ量分
移動可能に支持する移動支持手段と、上記移動可能に支
持された上記複数の被駆動ギヤーを上記遊星ギヤーと噛
合可能な方向へ常時付勢しておく付勢手段と、を具備す
ことを特徴とする。
【0012】上記の目的を達成するために本発明による
第2のクラッチ機構は、上記第1のクラッチ機構におい
て、上記遊星ギヤーが上記被駆動ギヤーと噛合している
上記自転位置にあるとき、上記被駆動ギヤーと上記遊星
ギヤーの中心を結んだ線分と、上記被駆動ギヤーと該
被駆動ギヤーに常時噛合している次段のギヤーとの中心
を結んだ線分との成す角度は、上記太陽ギヤーの上記一
方向回転により上記第一方向に公転する上記遊星ギヤー
の公転側に90°乃至150°であることを特徴とす
る。
【0013】上記の目的を達成するために本発明による
第3のクラッチ機構は、上記第1のクラッチ機構におい
て、上記複数の被駆動ギヤーのうち少なくとも一つの被
駆動ギヤーは、上記自転位置にて上記遊星ギヤーと噛合
伝達状態にあるとき、上記被駆動ギヤーと上記遊星ギヤ
の中心を結んだ線分と、上記被駆動ギヤーと該被駆
動ギヤーに常時噛合している次段のギヤーとの中心を結
んだ線分との成す角度が、上記太陽ギヤーの上記一方向
回転により上記第一方向に公転する上記遊星ギヤーの公
転側に210°乃至270°になるように配置され、
つ、上記少なくとも一つの被駆動ギヤーにはその駆動負
荷に勝る付勢力を上記付勢手段により与えられて、上記
遊星ギヤーとの噛合が維持されるようになっていること
を特徴とする
【0014】上記の目的を達成するために本発明による
第4のクラッチ機構は、上記第1のクラッチ機構におい
て、上記複数の被駆動ギヤーはそれぞれ、該被駆動ギヤ
ーの両面に突出する回転軸部を一体成形されて形成さ
れ、上記付勢手段は上記回転軸部に当接して付勢力を上
記被駆動ギヤーに与えていることを特徴とする
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0016】図1ないし図6は、本発明の第1実施例の
クラッチ機構を適用したカメラを示しており、図1は該
カメラの上面図、図2は正面図、図3は下面図、図4は
該カメラにおけるストロボを収納した状態を示す右側面
図、図5は背面図、図6は該カメラにおいてストロボ写
真撮影を行う際の状態を示した右側面図である。また、
図7は、該カメラにおけるモード設定部材を示した要部
拡大上面図である。
【0017】上記カメラは、いわゆるストロボ内蔵型の
一眼レフレックスカメラであり、さらに撮影レンズをボ
ディに一体化したことで、小型化を図ったレンズ固定型
のカメラである。
【0018】上記図4,図6の右側面図に示すように本
カメラの撮影レンズ1(図2参照)は沈胴可能なレンズ
で、使用時にはパワースイッチ4を操作することによ
り、レンズ部が図6に示す撮影状態に繰り出すよう構成
されたものである。
【0019】図9ないし図12は、上記カメラにおける
撮影光学系を示した側面図である。
【0020】図9は、WIDE端、すなわち焦点距離f
=28mmの状態を、また、図10は、スタンダード状
態、すなわち焦点距離f=70mmの状態を、さらに、
図11は、TELE端、すなわち焦点距離f=110m
mの状態をそれぞれ示している。また、図12は沈胴状
態を示している。
【0021】これらの図に示すように本カメラの撮影光
学系は5群11枚により構成される焦点距離28mm〜
110mmの4倍ズームである。
【0022】上述したように、図9がWIDE端、すな
わちf=28mmの状態であり、図11がTELE端の
f=110mmである。また、スタンダードのf=70
mmの状態が図10であり、光学系全長はこの状態が両
端よりも短くなるタイプである。
【0023】上記各レンズ群は、第1群〜第5群に別れ
それぞれのパワーは負,負,正,負,正となるよう配分
され第5群内に1枚の非球面レンズを使用することで極
めてコンパクトかつ高性能な光学系を構成している。フ
ォーカシングはフロントフォーカスタイプであり、第1
群を移動させることにより行なわれる。また絞りは第4
群の前面に配置され、ズーミングに際しては第4群と一
体に移動する。
【0024】このように本カメラは、各レンズ群の間隔
を短縮することで収納時のコンパクト化を図っている。
但し、第5群と結像面の間には本実施例ではミラーとシ
ャッターが配置されているため、第5群は若干しか沈胴
しない。さらに、1,2群は沈胴時の全長をより短かく
するため、図12の状態では1群を無限遠位置(最も繰
り込んだ状態)よりも、至近側に若干繰り出した状態に
て沈胴するよう構成されている。
【0025】また、鏡枠11内の動力系については詳述
しないが、フォーカシングを司る第1群およびズーミン
グを司る全群の駆動は鏡枠ユニットに内蔵されたフォー
カスモータ、ズームモータによりそれぞれ制御される。
第4群と一体の絞りに関しては、同じく鏡枠11に内蔵
の絞りモータ(ステッピングモータ)により制御され
る。
【0026】上記カメラはグリップ部7において撮影者
に保持され、レリーズボタン2の押圧により一連の撮影
動作を行なうようになっている。また、該レリーズ動作
に先だってズームボタン5を操作すれば不図示のズーム
駆動系により撮影レンズが移動し任意の焦点距離へ設定
が可能となる。
【0027】なお、ここで上記レリーズボタン2はいわ
ゆる2段スイッチになっており、1段目(以下1st.
レリーズ)では測距および合焦動作を行ない、2段目
(以下2nd.レリーズ)で一連の撮影動作を行なうも
のである。
【0028】また、カメラ本体上面には表示部6が設け
られており、フィルムのコマ数や、モード操作部材によ
り設定可能な撮影モードの告知等を行なっている。
【0029】次に、より本カメラの構成を明確にするた
め、図8に示す中央断面上面図を用いて、全体構成を説
明する。
【0030】図に示すように、撮影レンズ1(図2参
照)を含む鏡枠11の後ろ側(結像面側)には、ミラー
ユニット12が配置されている。なお、本図において
は、該鏡枠11は沈胴時の状態を示している。上記ミラ
ーユニット12内には通常はファインダー系に光束を導
き、撮影時には光路より退避するミラーが配置されてい
る。
【0031】シャッター13は、いわゆる縦走りタイプ
のフォーカルプレンシャッターであり、マグネットによ
り制御される先幕、後幕のタイミングにより露光時間を
制御されるものである。
【0032】上記ミラーユニット12、およびシャッタ
ー13の両側にはパトローネ15とフィルムを巻き取る
スプールおよび、必要な空間を有するスプール室16が
配置され、上記シャッター13の後ろ側に位置する不図
示の結像面上をフィルムを移動させるシャッター13の
一部凸形状となっているマグネット部と、鏡枠11の間
にはモーター14が配置されている。
【0033】このモーター14は、本カメラにおいて
は、鏡枠11内部のズーミング、フォーカシング、絞り
以外のすべての動作を司る動力源であり、具体的にはシ
ャッターチャージ、ミラーアップ,ダウン、フィルム巻
上げ、フィルム巻戻し等を行なうものである。該モータ
ー14は本カメラでは、ハウジング外径φ12mm、全
長30mmのDCモーターが利用されている。また、該
モーター14の動力は本実施例の特徴であるクラッチ機
構により各駆動系に切り換えられるが、その機構は後に
詳述する。該モーター14等を駆動するエネルギー源と
して電池18が用いられ、本カメラではグリップ部7に
2本のリチウム電池が配置されている。
【0034】パトローネ室15、モーター14、電池1
8により囲まれた空間にはストロボのエネルギーを蓄え
るコンデンサ17が配置され、不図示のストロボ用基板
を介して発光部へ導かれている。
【0035】図8において主要構成を説明したが、この
他に不図示ではあるが鏡枠内部には、ズーミングを司る
ズーム用モーター、フォーカシングを司るフォーカスモ
ーター、絞り設定を司る絞りモーターが配置されてお
り、また、これらすべてのアクチュエータは後述する電
装システムにより適宜制御されているものである事は言
うまでもない。
【0036】次に、本カメラの各ユニット間の関連をよ
り明確にするため、図13の内部斜視分解図を参照して
説明する。なお、上記図8と同等なユニットに関しては
同一記号で示すものとする。
【0037】まず、鏡枠ユニット11は光学系を内包す
る円筒部と、フランジ形状となる結合部とにより構成さ
れ、該結合部は、図8において説明したパトローネ室1
5、スプール室16を内包する本体ユニット21と連結
可能となっている。
【0038】上記ミラーユニット12にはシャッターユ
ニット13が取付られており、該ユニット組が、予め鏡
枠結合前に本体ユニット21に対して取付られるよう構
成されている。
【0039】ここでシャッターユニット13の下面には
シャッターをチャージするシャッターチャージレバー2
6が、また、ミラーユニット12の下面には該ミラーの
アップ、ダウンを行なうミラー駆動レバー27がそれぞ
れ配設されている。
【0040】本カメラでは、主動力源であるモータ14
を有する動力ユニットは既述の本体ユニット21、ミラ
ーユニット12に対し下側より結合可能なように構成さ
れ、図13におけるモータ14(ここでは下側に不図示
の出力軸を有する)からの動力は、動力ユニット22内
のクラッチを介して、フォークギヤー24、スプール2
5等に伝達可能である。
【0041】ここで、フォークギヤー24は装填された
フィルムパトローネのパトローネ軸に嵌合し、フィルム
巻戻しを行なうものであり、スプール25は不図示の爪
部材やバネ部材等によりフィルムを保持し巻上げを行な
うようになっている。
【0042】また、不図示ではあるが、シャッターチャ
ージレバー26、ミラー駆動レバー27を動作させる相
手レバーも動力ユニット22内に配設されている。
【0043】上記ミラーユニット12が一眼レフレック
スカメラのミラーを有するユニットであることは述べた
が、該ユニットの上部には、ミラーにより反射された光
束をファインダー接眼部へ導くファインダーユニット2
3が結合される。このファインダーユニット23には、
撮影時の光学系結像面(フィルム面)と等価な位置にス
クリーンが配置され、そのほかにいわゆるペンタプリズ
ムと接眼光学系が内包されている。
【0044】次に、本発明の第1実施例であるクラッチ
機構の動力ユニット22の内部原理について図14以降
にて説明する。
【0045】図14は該第1実施例のクラッチ機構の動
力ユニット内の動力分配を示したブロック図である。
【0046】本カメラの動力源が、DCモータであるこ
とは述べたが、本実施例で用いているモータ14はカメ
ラ全体を小型化する観点よりモータからダイレクトに各
駆動系を駆動可能なほどのパワーのある大型モータは使
用できない。よって、モータ14から、図14に示すよ
うに減速系32Aが配置され、モータ動力はある程度、
減速したのち、本実施例の主たる機構であるシーケンス
クラッチ36Aに伝達される。
【0047】本実施例ではシーケンスクラッチ36Aに
て、3系統に動力が切換可能となるように構成されてお
り、該3系統とは、シャッター・ミラー系33A、巻上
げ系34A、巻戻し系35Aである。ここで図13にて
説明したチャージレバー26、ミラー駆動レバー27
は、同一系統(シャッター・ミラー系33A)にて駆動
されることになる。上記シーケンスクラッチ36Aはこ
れら3系統に対し、択一的に動力を伝達するものであ
り、駆動中、他の2系統に対してはモータ14からの駆
動力は全く伝達されないようになっている。
【0048】次に、上記シーケンスクラッチ36Aの原
理を図15の概念図を用いて説明する。
【0049】上記図15は、上記第1実施例のクラッチ
機構におけるシーケンスクラッチを示した斜視図であ
る。
【0050】上記シーケンスクラッチ36Aはいわゆる
遊星ギヤーを利用したものであり、詳述すれば360°
回動可能なロータリータイプの遊星ギヤーを用いたもの
である。そして回動範囲内に少なくとも3系統以上の駆
動系を有するものであり、主たる構成ギヤーは、上記モ
ータの駆動力を受け自転する太陽ギヤー31と、該太陽
ギヤー31に対し公転可能な遊星ギヤー32と上記各駆
動系の初段ギヤー33,34,35である。
【0051】上記太陽ギヤー31はモータ14より減速
系32Aを介した動力が伝達されるようになっており、
該モータ14の回転方向により、両方向(図中、MA,
MB)に回動可能である。
【0052】上記遊星ギヤー32は、クラッチカム36
上面に軸支されており、該クラッチカム36に対し、若
干の負荷(以下フリクションと呼ぶ)を有し回動可能と
なっている。該クラッチカム36は不図示の部材にて太
陽ギヤー31と同軸心上に軸支され、クラッチカム単体
では無負荷にて回転可能となっている。
【0053】上記遊星ギヤー32は、上記クラッチカム
36の一側方上面にフリクションを伴って軸支されてい
るが、該遊星ギヤー32と上記太陽ギヤー31との回転
中心軸同士の距離(以下軸間距離と呼ぶ)は、いわゆる
ギヤーが、動力を伝達するに適した、バックラッシを確
保した寸法となるよう配置されている。
【0054】すなわち、上記遊星ギヤー32にフリクシ
ョンが付加されているため、太陽ギヤー31が回動する
とクラッチカム36は遊星ギヤー32により力を受け、
該太陽ギヤー31の回動方向へ公転するように付勢され
るようになっている。
【0055】ところで、本シーケンスクラッチ36Aの
目的は少なくとも3系統以上に動力を切換えることであ
るので、クラッチカム36が常に公転しているだけでは
機能をはたせない。
【0056】本実施例では、クラッチカム36に切換動
力系の数に対応した係止面38を設け、該係止面38を
クラッチカム36中心方向にバネ付勢された、クラッチ
レバー37により係止することで、該クラッチカム36
の一方向の回転を特定の位置にて規制しうるよう構成さ
れている。
【0057】図15においてはクラッチカムの回転方向
が矢印MAのときは、上記クラッチカム36はクラッチ
レバー37により停止し、矢印MB方向に回転するとき
は、該クラッチカム36はクラッチレバー37をリフト
しながら公転し続けるようになっている。
【0058】すなわち、図中、MB方向回転時は、図1
5に示す係止状態から動作を開始したとして考えると、
上記係止面38の端部には、クラッチレバー37をバネ
付勢力に抗して徐々にリフトしていくようなカム面が形
成されているため、該クラッチカム36の回転と共にク
ラッチレバー37はリフトされ、所定量回転すると(こ
こでは、3系統へ切換しているため、該所定量とは約1
20°である)、次なる係止面38にクラッチレバー3
7は落ち込み、該クラッチレバー37の相対位置は、図
15と同等になる。
【0059】すなわち、上記クラッチカム36が回転す
る間に、クラッチレバー37は上述のリフト動作を3回
行なう訳である。また、回転方向がMBからMA方向へ
切換わる場合には、該クラッチカム36が、MA方向に
公転し、最初に該クラッチレバー37に当設した係止面
38を保持し、公転が禁止されることは言うまでもな
い。
【0060】さて、以上を整理すると上記シーケンスク
ラッチ36Aの特徴は、モータの一方向の回転では連続
してクラッチを切換え、他方向の回転では選択された駆
動系に動力を伝達するものであると言うことができる。
【0061】図15に戻ると、クラッチカム36の周囲
には各駆動系の初段のギヤーが配置されている。図15
の状態は、巻上げ系34Aを駆動している状態であるが
太陽ギヤー31のMA方向の回転が、巻上げ系34Aの
初段ギヤー34を矢印MC方向へ回転させ、不図示のス
プールへ動力を伝達するようになっている。
【0062】上記係止面38により遊星ギヤー32の位
置は規制されているが、動力伝達状態では太陽ギヤー3
1、遊星ギヤー32、巻上げ系の初段ギヤー34のそれ
ぞれのギヤーの回転中心は直線上に並んでいる。
【0063】また、上記遊星ギヤー32と初段ギヤー3
4とのギヤー同士にも、この状態で適切なバックラッシ
が確保されている。
【0064】他の係止面38が、クラッチレバー37に
て係止されれば、遊星ギヤー32は巻戻し系35Aの初
段ギヤー35もしくはシャッター・ミラー系33Aの初
段ギヤー33に噛合することになる。
【0065】これらの状態でも、太陽ギヤー31,遊星
ギヤー32,初段ギヤー35、もしくは太陽ギヤー3
1,遊星ギヤー32,初段ギヤー33のそれぞれの回転
中心は直線上に並ぶように、各ギヤーと係止面38との
相対関係が構成されている。すなわち、クラッチカム3
6が図中、MB方向に回転するときは、上記遊星ギヤー
32は上記各駆動系の伝達時の噛合位置を通過しながら
公転するようになっている。
【0066】なお、上記遊星ギヤー32に付加されてい
るフリクションは、ごく微少であればクラッチカム36
がクラッチレバー37をバネ力に抗しリフトしようとし
た場合、スリップして公転不可となり、該遊星ギヤー3
2の自転のみの動作となってしまう。
【0067】また、上記フリクションを必要以上に増大
させると、上述したスリップは皆無となるが、各駆動系
を駆動する際にも、フリクションは伝達ロスとして関与
するためモータパワーに対する損失エネルギーが大きく
なり、駆動効率は著しく低下する。
【0068】図20は、上記遊星ギヤー32の拡大断面
図である。
【0069】本実施例では該図20に示すように、クラ
ッチカム36に接着等により固定された遊星ギヤー32
の軸32aに対しコイルバネ32bによって該遊星ギヤ
ー32をバネ付勢することで安定したフリクションを得
ている。
【0070】図21は、上記遊星ギヤー32の他の例を
示した拡大断面図である。
【0071】この図21に示すように該遊星ギヤー32
の他の例として、上記コイルバネ32bの代りにワッシ
ャーにわん曲を与えたウェーブワッシャー32cや皿ば
ねを用いて、フリクションを得ることも可能である。
【0072】図16ないし図19は、上記図13で説明
した、動力ユニット22内に配置されている本実施例の
クラッチ部上面モデル図である。
【0073】原理を説明した上記図15とはカムの回転
方向(駆動側と切換側)が逆になっているが、図15同
様に3系統の駆動系を有している。
【0074】まず、図16は巻戻系を駆動している状態
であり、太陽ギヤー41は矢印方向へ回動し、遊星ギヤ
ー43はクラッチカム42の係止面がクラッチレバー4
7にPB点にて当接しているため、該クラッチカム42
の公転が規制され巻戻系44を矢印方向へ駆動してい
る。
【0075】上記クラッチレバー47はクラッチカム4
2方向にバネ付勢されており、PA点において該クラッ
チカム42に当接している。すなわち、クラッチレバー
47の位置はPA点に対応するクラッチカムのカム形状
により決定される。
【0076】今、巻戻しが終了し、シャッター・ミラー
系を次いで駆動する場合について考えてみる。
【0077】モータは停止後、クラッチの切換のため逆
転する。図17に示すように太陽ギヤーも矢印の方へ回
動を始める。
【0078】遊星ギヤー43には上記図20および図2
1において示したように、上記遊星ギヤー32と同様な
フリクションが内蔵されており、これにより、クラッチ
カム42は矢印方向へ公転する。すなわち、遊星ギヤー
43は巻戻系の初段ギヤー44との噛合を解除しシャッ
ター・ミラー系の初段ギヤー45側へ公転していく。
【0079】この際、クラッチレバー47は図17に示
すようにクラッチカム42のカム面によりPA点側より
リフトされていく。
【0080】上記遊星ギヤー43がシャッター・ミラー
系の初段ギヤー45との噛合位置を通過するとほぼ同時
に、クラッチレバー47は上死点からはずれ、次のカム
面(下死点)へバネにより押圧される。このとき、これ
らのレバーやクラッチの状態は後述するセンサーにより
検知され、クラッチ切換側に回動されていたモータは、
停止する。
【0081】この状態が図18であり、モータの特性
上、若干のオーバーランはあるため、クラッチレバーの
係止面側はまだクラッチカムに当接していない。
【0082】次いで、モータは駆動側へ回動する。これ
によりオーバーランしていたクラッチカム42は図19
において矢印側に公転しPD点においてクラッチレバー
47により係止される。このとき、該クラッチレバー4
7はクラッチカム42の下死点に相当するPC点にてバ
ネ押圧され位置を規制されている。よって、太陽ギヤー
41の回動は図19において、シャッター・ミラー系の
初段ギヤー45への矢印方向への回動として伝達され、
一連のクラッチ動作が成立する。
【0083】このようにして、シャッター・ミラー系の
初段ギヤー45から、巻上系の初段ギヤー46へ移動す
る場合にも同様な切換動作が行なわれる。また、切換は
隣接する駆動系のみに行なわれるわけではなく必要に応
じ、たとえばシャッター・ミラー系から巻上系で停止せ
ずに、巻戻系へ切換えることも可能なように構成されて
いる。
【0084】なお、不図示のセンサーおよび、位置検出
の方式に関しては、後に詳述するが、概念のみを、図4
3において説明する。
【0085】図43は既述したクラッチカムのカム面を
含む円周を展開した展開図である。
【0086】この図に示すように、3カ所の係止位置
を、それぞれの駆動系に対応した位置として明記してあ
る。
【0087】本実施例では、シャッター・ミラー系をカ
メラの通常のスタンバイ時の初期位置としている。そし
て、クラッチカムにおいてはそれぞれの係止面から次な
る係止面へ切換える際の上死点すなわち最大リフト位置
は同一半径に設定されている。しかし、該上死点に至る
までのリフト量は2種に別れている。
【0088】図43においてはリフト量をh1 ,h2 で
示すが、これにより明らかなように、初期位置に相当す
るシャッター・ミラー系を係止しているときには、クラ
ッチレバーは上死点よりもh2 だけダウンした位置に、
その他の位置を係止しているときにはh1 だけダウンし
た位置に安定しているわけである。
【0089】これにより、クラッチレバーの相対位置の
差により、3種の係止位置の中から初期位置の判定を、
また、初期位置から何番目の係止位置かを判定すること
で他の係止位置の判定を可能としていることが本実施例
の位置検出の概要である。
【0090】さて、次に本実施例の動力部分について以
下詳細に説明する。主として図13にて説明した動力ユ
ニット22の内部構造について詳述する。
【0091】図22は、モータから既述したクラッチ部
までのギヤー列展開斜視図である。
【0092】本図は構成を明確にするため、上下方向に
展開し要部のみ図示しているが、実際には隣接するギヤ
ー同士が噛合している。
【0093】ピニオンギヤー51はモータのシャフトに
圧入されたギヤーであり、本実施例の動力源である。該
ピニオンギヤー51にはギヤー52,53,54で構成
されるギヤー列が順次噛合し、クラッチ部の入力側であ
る太陽ギヤー41を回動させる。本実施例ではモータの
パワーに対し駆動物がフィルムやシャッター等であるた
め、ダイレクトには駆動できず、適宜減速して使用する
ことが必要である。
【0094】また、クラッチカム42の公転を司るもの
として図20,図21にてコイルバネ32bやウェーブ
ワッシャー32cのフリクションを説明したが、該フリ
クションも公転時はロスにならないが、遊星ギヤーの自
転時にはロスとなるため、モータの出力軸に対しある程
度の減速を行なわないと、モータパワーに対するロスの
比率が大きくなり、機構全体の効率を著しく低下させて
しまう。
【0095】したがって、本実施例では図22のピニオ
ンギヤー51から太陽ギヤー41までの4段ギヤーの噛
合により約30の減速比を確保することで、ロスの非常
に少なく高速切換が可能なクラッチ機構を実現している
(より減速比を大きくしていくとロスはさらに小さくな
るが切換えに必要な時間が増大する)。
【0096】また、上記クラッチカム42の外周には図
16等にて説明した3種の動力系がレイアウトされてい
る。
【0097】次いで図23以下により上記各動力系につ
いて詳述する。
【0098】図23は、上記シャッター・ミラー系にお
けるギヤー列の展開斜視図である。
【0099】この図において、ギヤー55は上記遊星ギ
ヤー43が噛合しうる相手であり図16においては、シ
ャッター・ミラー系の初段ギヤー45と示されたギヤー
に相当する。該ギヤー55はギヤー56,57へ順次噛
合し、ギヤー57が、本駆動系のレバー駆動源であるシ
ャッター・ミラー用のカムギヤー58(以下SMカムギ
ヤー58)に噛合する。
【0100】上記SMカムギヤー58は、その上側にミ
ラー系を駆動するミラーカム58aを、また、下側にシ
ャッター系をチャージするシャッターチャージカム58
bを一体に有し、これらカム58a,58bの停止位置
により、ミラーアップ状態やシャッターチャージ完了状
態となる。
【0101】したがって、SMカムギヤー58と対応し
た信号を出力するために該SMカムギヤー58には同一
歯数のタイミングギヤー59が噛合し、該タイミングギ
ヤー59に固定された摺動切片が、タイミング基板60
のパターン上を回動することにより、SMカムギヤー5
8の相対位置を検出しうるよう構成されている。
【0102】次に、上記SMカムギヤー58に設けられ
ているカムを図24ないし図26により詳述する。
【0103】図24は、上記SMカムギヤー58の側面
図であり、これをA−A’,B−B’の断面にて示した
ものがそれぞれ図25,図26である。
【0104】図25(A−A’断面)はミラー駆動用の
カム58aを示した断面図であり、円周の約2/3が同
一半径のR1で形成されており、一部分が上死点である
R2により形成されている、R1とR2を結ぶ部分はR
1,R2をなめらかに連結している。ここでR2の上死
点範囲は、カメラの状態としてはミラーがアップした状
態に相当する。
【0105】図26(B−B’断面)はシャッターチャ
ージ用カム58bを示した断面図であり、R4で示され
る上死点範囲とR3で示される最小半径との間をなめら
かなカムにより形成されている。
【0106】図24ないし図26に示したカムはSMカ
ムギヤー58のギヤー部と同軸上に一体成型されたモー
ルド部品にて構成されている。
【0107】次いで、該SMカムギヤー58が、ミラー
・シャッターを駆動するレバー機構について説明する。
【0108】図29は、本実施例におけるミラー系の要
部斜視図である。
【0109】ミラーレバー61は回動中心に対し回動可
能なレバーであり、その一端部61AはSMカムギヤー
58に当接するようになっている。また、他端部61B
は側板レバー62に当接している。該側板レバー62も
回動中心を有する回動可能なレバーである。
【0110】上記側板レバー62の他端には側板レバー
63が当接している。該側板レバー63もまた回動可能
なレバーである。ミラー64には上端側に回動中心軸が
設けられ、この回動中心が不図示のミラーユニットに保
持されることにより、45°の範囲を回動可能となる。
ミラー64は、その側面(側板レバー側)にマスク枠ピ
ン65が、該ミラー63と一体となるよう固定されてお
り、該マスク枠ピン65が上記側板レバー63の側板レ
バー62に対する他端に当接している。
【0111】以上の構成により、ミラー64はマスク枠
ピン65をミラーアップ方向へ駆動することにより通常
位置(ダウン位置)からアップ位置へ移動が可能とな
る。
【0112】図30,図31は上述したミラー動作を各
レバーをモデル化した説明図であり、図29と同一機能
を有するものには同一番号を付記してある。
【0113】図30は、通常状態(ミラーダウン状態)
を示しており、ミラー64は不図示のバネにより下方へ
押圧されている。これにより、マスク枠ピン65は側板
レバー63に当接し、その押圧力はさらに側板レバー6
2へと伝達されている。
【0114】図31はミラーアップ状態を示しており、
SMカムギヤー58の回動によりミラーレバー61が矢
印方向へ移動することで側板レバー62,63がそれぞ
れ回動するようになっている、これによりマスク枠ピン
65がバネ力に抗して上方へリフトされるようになって
いる。
【0115】上記図31の状態は、SMカムギヤー58
が図25において説明した上死点位置にミラーレバー6
1を最大リフトした状態である。ミラー64がダウンす
る場合には、SMカムギヤー58の回動によりミラーレ
バー61が退避回能な位置になれば、該ミラー64のバ
ネ力により各レバーが図30の状態に復帰することは言
うまでもない。
【0116】図27,図28は、上記SMカムギヤー5
8とミラーレバー61との関係を示した説明図であり、
側板レバー62を押圧するミラーレバー61をミラー駆
動用カムがリフトする状態を示している。そして、図2
7が通常の停止位置(ミラーダウン位置)、図28がミ
ラーアップ位置(図31と同等)を示している。
【0117】次に図32ないし図34を用いシャッター
のチャージ動作について説明する。
【0118】図32は、上記図1に示すカメラに用いら
れているフォーカルプレーンシャッターを被写体側より
見た概略図である。
【0119】図に示すように、マスク部70の一側方に
はマグネット部72が設けられていて、先幕,後幕のマ
グネットはシャッターレバー71を実線のフリー状態か
ら破線のチャージ状態へストロークLだけ移動させるこ
とによりチャージされるようになっている。
【0120】このチャージ状態でマグネット部72に通
電することにより、該マグネットは吸着されマグネット
をオフするタイミングにて秒時を形成する本実施例では
このシャッターレバー71がSMカムギヤー58により
チャージされるようになっている。
【0121】図33,図34は、上記チャージ状態をよ
り明確にした、上記図24のB−B′断面近傍において
カメラの上側より見た上面図である。
【0122】図33はフリー状態すなわちシャッターが
チャージされていない状態であり、シャッターレバー7
1は、上記マグネット部72に付随したバネ力により図
中、矢印方向へ付勢されている。シャッターチャージレ
バー26は、一端においてバネ力に押圧されると共に回
動自在に設けられており、他端がSMカムギヤー58の
カム面に当接している。この図33の状態は、本カメラ
では露光が終了した直後に相当する。
【0123】上記図33においてモータによりシャッタ
ーをチャージしようとすると、SMカムギヤー58は右
回りに回動する。これによりシャッターは徐々にチャー
ジされ図34のチャージ完了状態に至る。
【0124】ここでは既述したSMカムギヤー58のカ
ム上の上死点範囲にシャッターチャージレバー26が当
接しており、したがってモータが停止しても、シャッタ
ーレバー71からのバネ力により該シャッターチャージ
レバー26がSMカムギヤー58を回動させてしまうこ
とはない。
【0125】上記図23の説明においてSMカムギヤー
58の停止位置を確保するのはタイミングギヤー59と
タイミング基板60であることは述べたが、該タイミン
グ基板60の構成を図35により詳述する。
【0126】図35は、上記図23におけるタイミング
基板を下面側より見た下面図である。
【0127】図中、領域Wa,Wb,Wcは、導電性の
あるパターン部分である。上記図23に示されたタイミ
ングギヤー59に一体に固定された摺動接片は図35の
パターンの最小半径R1から最大半径R2を包括するだ
けの幅を有している。
【0128】上記パターン部は、図35に示すように、
Wa部,Wb部,Wc部の3カ所に分割されており、そ
れぞれは不図示のパターンにより検出部に入力されてい
る。
【0129】上記摺動接片は、回転中心に対し同一線上
に接触端が設けられており、上記パターン部上を回動す
る。したがって、該摺動接片が領域Wb範囲、あるいは
Wc範囲に位置しているときに、それぞれ領域Waと領
域Wb、領域Waと領域Wcが導通し、上記摺動接片が
領域Wbの範囲あるいは領域Wcの範囲に存在している
ことを検出しうるようになっている。
【0130】ここで上記領域Wb範囲は、図34に相当
するシャッターのチャージが完了した状態、領域Wc範
囲は図28に相当するミラーがアップした状態に対応し
ている。
【0131】モータの制御上はシャッターチャージの際
には領域Waと領域Wbとが導通したときにブレーキ
を、ミラーアップの際には領域WaとWcとが導通した
ときにブレーキをそれぞれかけることで安定した停止動
作を得ているが、詳細は追ってタイミングチャートを参
照して説明する。
【0132】次に、本実施例における巻上系のギヤー列
を説明する。
【0133】図36は、上記巻上系のギヤー列を示した
展開斜視図である。
【0134】この巻上系のギヤー列は、上記シャッター
・ミラー系のギヤー列と同様に、上下方向に展開されて
いるが、それぞれ隣接するはギヤー同士は噛合してい
る。
【0135】図中、ギヤー81は、遊星ギヤーが巻上系
駆動時に噛合する初段ギヤーであり、上記図16におい
て巻上系の初段ギヤー46で示されたギヤーに相当す
る。上記図13において本実施例のユニット構成を述べ
たが、動力ユニットにおいて巻上系は撮影光軸に対し、
モータと対向する側に伝達せねばならないため、本体の
下面側を伝達していくギヤー列が必要となる。
【0136】図36においてはギヤー81から一連のア
イドルギヤー82〜86を介して本体の下側から二段ギ
ヤー87が回動されるようになっている。フィルムを保
持し巻上げるスプールには一体に構成されたツメ部とギ
ヤー部が設けられており、これらの一連のギヤー列の噛
合によりスプールが回動するようになっている。なお、
上記スプールの上側突起部分は、本体ユニットに設けら
れているスプール室の上部に回動自在に嵌合するように
なっている。
【0137】次に、本実施例における巻戻系のギヤー列
を説明する。
【0138】図37は、上記巻戻系のギヤー列の展開斜
視図である。
【0139】図中、ギヤー91は、遊星ギヤーが巻戻系
駆動時に噛合する初段ギヤーであり、上記図16におい
て巻戻系の初段ギヤー44で示されたギヤーに相当す
る。また、該ギヤー91は2段ギヤー92に噛合し、そ
の後、フォーク93のギヤー部に噛合する。該フォーク
93は先端のフォーク部が、装填されたフィルムパトロ
ーネのパトローネ軸部に対応し回転を伝達するものであ
り、該フォーク部は本体ユニットに設けられているパト
ローネ室と同軸であり、かつ、フォーク部は、パトロー
ネ挿入時に進退可能なように、図中、矢印方向へバネ付
勢されている。
【0140】ここでモータのパワーを有効に利用するた
め、巻上系はモータからの総減速比を約240に、ま
た、巻戻系は同じく総減速比を約150に設定されてい
る。
【0141】以上により各駆動系の内部構成を説明し、
動力ユニットに設けられた1つのモータでクラッチ部を
介することによりシャッターチャージ、ミラー駆動、フ
ィルム巻上げ、フィルム巻戻しを可能としているメカニ
ズムを示した。
【0142】次に、上記カメラの位置検出装置を応用し
た例として、カメラのシーケンスモータの制御に用いた
例について説明する。
【0143】図45は、上記第1実施例のクラッチ機構
における位置検出装置の応用例を示したブロック図であ
る。
【0144】この図45において、CPU120は内部
ROMに記憶されたプログラムを逐次実行していき、周
辺のIC等の制御を行なうようになっている。AFIC
134はオートフォーカス用のICである。なお、本カ
メラではオートフォーカス方式はTTL位相差検出方式
を採用している。
【0145】上記AFIC134は、まず始めにCPU
120よりAFICのリセット信号(AFRES)Si
g101が送られリセットされる。被写体からの光は撮
影レンズを通りAFIC134上面に配置されたフォト
センサアレイ上に達する。すると、AFIC134内部
では、光量積分、量子化といった処理が行なわれる。そ
して測距情報としてピントのズレ量が算出される。
【0146】光量積分が終了すると、光量積分が終了し
たことを示す信号(AFEND)Sig102がCPU
120へ送られる。測距情報はAFIC134とCPU
120間の通信を行なうことを示す信号(AFCEN)
Sig103、データ信号(DATA)Sig104、
同期用クロック信号(CLK)Sig105にて、CP
U120へ転送される。
【0147】ところで、上記フォトセンサアレイの各素
子の特性にばらつきがあると、そのままでは正確な測距
情報を得ることができない。そこで不揮発性記憶素子で
あるEEPROM135に予めフォトセンサアレイのば
らつき情報を記憶させておき、AFIC134から得ら
れる測距情報の補正演算をCPU120にて行なう。そ
の他EEPROM135には機械的なばらつき、各種素
子の電気的特性のばらつき等、様々な調整値を記憶させ
てある。これらの調整値は必要に応じてEEPROM1
35を活性化する、つまり通信可能な状態にする信号
(EPCEN)Sig107、およびデータ信号(DA
TA)Sig108、同期クロック信号(CLK)Si
g109により読み出しが可能となる。なお、CPU1
20,AFIC134,EEPROM135の間でのデ
ータの授受はシリアル通信にて行なわれる。
【0148】デートモジュール137はCPU120か
らの写し込み信号Sig110によりフィルムに日付け
の写し込みを行なう。写し込みランプの発光時間はフィ
ルムISO感度によって段階的に変化する。インターフ
ェイスIC(以下IFIC)138はCPU120から
のIFIC起動信号(IFCENb)Sig111によ
って起動され、CPU120とラッチ信号(LATC
H)Sig112、4bitバスライン信号(D0b〜
D3b)Sig113〜Sig116、D/Ab信号S
ig117を用いてパラレル通信を行ない、被写体輝度
の測定、カメラ内温度の測定、フォトインタラプタ等の
出力信号の波形整形、モータの定電圧駆動制御、温度安
定電圧の生成、温度比例電圧の生成、バッテリーの残量
チェック、赤外光リモコンの受信、モータドライバIC
の制御、各種LEDの制御、電源電圧の低電圧監視、昇
圧回路の制御等が行なわれる。
【0149】なお、ラッチ信号Sig112は、バスラ
イン上の信号を読み取るタイミングをとるための信号で
ある。D/Ab信号は4bitバスライン信号Sig1
13〜Sig116がアドレスを示すものなのか、また
はデータを示すものなのかを表す信号である。D/Ab
信号が“L”のときは4bitバスライン信号Sig1
13〜Sig116はアドレスを表し、D/Ab信号が
“H”のときは4bitバスライン信号Sig113〜
Sig116はデータを表す。
【0150】被写体輝度の測定は2分割のシリコンフォ
トダイオード170を用いて行なう。該センサの受光面
は画面中央部分とその周辺部分というように2分割され
ており、画面中央の一部分のみで測光を行なうSPOT
測光と、画面全体を使用して測光するアベレージ測光と
2通りの測光を行なうことができる。該測光センサは被
写体輝度に応じた電流をIFIC138に出力する。I
FIC138では測光センサからの出力を電圧に変換し
てCPU120へ転送する。上記CPU120ではその
電圧情報をもとに、露出演算、逆光判断等を行なう。
【0151】カメラ内温度の測定は、IFIC138に
内蔵された回路により絶対温度に比例した電圧が出力さ
れ、その信号をCPU120にてA/D変換を行なうこ
とで値を得る。得られた測温値は温度によって状態が変
化する機械部材や電気信号の補正等に用いる。フォトイ
ンタラプタ等の波形整形は、フォトインタラプタ、ある
いはフォトリフレクタ等の出力の光電流を基準電流と比
較し、矩形波としてIFIC138より出力する。この
とき、基準電流にヒステリシスをもたせることによって
ノイズ除去を行なっている。また、CPU120との通
信により、基準電流およびヒステリシス特性を変化させ
ることができる。
【0152】バッテリーの残量チェックは、バッテリー
の両端に低抵抗を接続して、電流を流したときのバッテ
リー両端の電圧をIFIC138内部で分圧してCPU
120へ出力し、該CPU120にてA/D変換を行な
い電圧値を得る。赤外光リモコンの受信は、リモコン送
信用ユニット140の投光用LED141より変調され
た赤外光が発せられ、その赤外光を受光用シリコンフォ
トダイオード142にて受信する。シリコンフォトダイ
オード142の出力はIFIC138内部で波形整形等
の処理が行なわれCPU120へ転送される。
【0153】電源電圧の低電圧監視はIFICに専用端
子が設けられており、ここに入力される電圧が規定値よ
り低下すると、IFIC138からリセット信号がCP
U120へ出力され、CPU120の暴走等を未然に防
止している。昇圧回路の制御は、電源電圧が所定値より
低下したときに昇圧回路を作動させるというものであ
る。また、IFIC138にはAF測距終了、ストロボ
発光警告等のファインダ内表示用LED143、あるい
はフォトインタラプタ等に使用されているLEDが接続
されている。
【0154】これらのLEDのオン,オフおよび発光光
量の制御はCPU120およびEEPROM135、I
FIC138間で通信を行ない、IFIC138が直接
制御する。制御するものは、SCPI147のLED電
流Sig131、LDPI148のLED電流Sig1
32、ZMPR172のLED電流Sig133、ZM
PI173のLED電流Sig134、AVPI152
のLED電流Sig135、WPR178のLED電流
Sig146およびファインダー内表示用LED143
のオン,オフである。
【0155】モータの定電圧駆動制御においてはCPU
120との通信により、駆動電圧を段階的に設定するこ
とができる。モータドライバIC139はフィルム給送
およびシャッターのチャージ、ミラー駆動を行ない上記
図8にてモータ14に相当するモータ144(以下他の
モータと区別するため、シーケンスモータとする)、フ
ォーカス調整のためのレンズ駆動用LDモータ145、
鏡枠のズーミング用のZMモータ146の3つのモータ
の駆動、および昇圧回路の駆動、セルフタイマー動作表
示用のLED171の駆動と、フォーカルプレーンシャ
ッターの先幕を吸着保持する先幕マグネット(MGF)
176、フォーカルプレーンシャッターの後幕を吸着保
持する後幕マグネット(MGS)177の制御等を行な
うようになっている。
【0156】これらの動作制御、たとえば、どのデバイ
スを駆動するか、モータは正転させるか逆転させるか、
制動をかけるか、等はCPU120の信号をIFIC1
38が受け、IFIC138がモータドライバ139の
各トランジスタをオン,オフする信号Sig118によ
って制御する。シーケンスモータ144がシャッターチ
ャージ、フィルム巻上げ、フィルム巻戻しのどの状態に
あるかは検出用のフォトインタラプタであるSCPI1
47で検出し、その信号Sig119はCPU120へ
出力される。
【0157】レンズの繰り出し量はLDモータ145に
取付けられたフォトインタラプタLDPI148で検出
し、その出力Sig120はIFIC138で波形整形
した後にCPU120へ送られる。鏡枠のズーミングの
状態は鏡枠に内蔵されたフォトインタラプタZMPI1
73およびフォトリフレクタZMPR172で検出す
る。鏡枠がTELEからWIDEの間にあるとき、鏡枠
に設けられた高反射部がZMPR172に対向するよう
に構成されまたそれ以外の範囲では無反射部が対向する
ように構成されている。
【0158】これによりZMPR172の出力Sig1
21をCPU120へ入力することで、TELE端、W
IDE端の検出が可能となる。ZMPI173は、ZM
モータ146に取り付けられ、その出力Sig122は
IFIC138で波形整形されたのちCPU120へ入
力され、TELE端またはWIDE端からのズーミング
量を検出するようになっている。
【0159】モータドライバIC150は、絞り調整ユ
ニット駆動用のステッピングモータ、AVモータをCP
U120からのオン,オフ信号(ENA)Sig136
および正転、逆転信号(IN)Sig123により駆動
するようになっている。AVPI152は、その出力S
ig124をIFIC138で波形整形してCPU12
0へ入力され、絞り開放位置の検出を行なうようになっ
ている。
【0160】液晶表示パネル136は、CPU120か
ら送られるセグメント信号(SEG)Sig125、コ
モン信号(COM)Sig126により、フィルム駒
数、撮影モード、ストロボモード、絞り値、電池残量等
の表示をするようになっている。
【0161】ストロボユニット179は、撮影時または
オートフォーカス測距時、被写体の輝度が不足していた
ときに、発光管を発光させて必要な輝度を被写体に与え
るためのもので、CPU120からの信号にてIFIC
138のストロボ充電信号(STCHG)Sig12
7、ストロボ発光開始信号(STON)Sig128、
ストロボ発光を停止させる信号Sig129の各信号に
て制御されるようになっている。また、ストロボの充電
電圧はVST信号Sig130としてCPU120に送
られるようになっている。
【0162】WPR178は、フィルムの給送量を検出
するためのフォトリフレクタである。このWPR178
はフィルムのパーフォレーションに対向するように配置
されている。フィルム面とパーフォレーションの部分で
は光の反射率が異なるため、該WPR178の出力はそ
れぞれに対応したときに異なる。フィルム給送時には該
WPR178はフィルム面とパーフォレーションと交互
に対向するため、WPR178の出力Sig147はパ
ルス状になり、その数をカウントすることでフィルム1
コマ分の移動量を検出することができる。
【0163】キー信号0〜5(KEY0〜KEY5)S
ig137〜Sig142およびキーコモン0〜2(K
EYCOM0〜2)Sig143〜Sig145は、ス
イッチ121〜スイッチ133のどのスイッチがオンし
ているかの検出に用いる。
【0164】上記KEY0〜KEY5は通常、CPU1
20内部でプルアップされているため信号レベルは
“H”状態にある。ここで、例えばKEYCOM0Si
g143を“L”、KEYCOM1Sig144を
“H”、KEYCOMSig145を“H”としたとす
る。この時点でR1SW121をオンすれば、KEY0
Sig137が“H”から“L”に変化する。したがっ
てKEYCOM0〜2Sig143〜Sig145の信
号レベルと、KEY0〜5Sig137〜Sig142
の信号レベルがわかれば、スイッチ121〜スイッチ1
33のうちのどれがオンとなっているかを知ることがで
きる。なお、KEYCOM0〜2Sig143〜Sig
145は同時に2つ以上“L”にすることはできない。
【0165】ファーストレリーズスイッチ(R1SW)
121はレリーズボタンが半押しされた状態のときにオ
ンとなり、測距動作を行なう。セカンドレリーズスイッ
チ(R2SW)122はレリーズボタンが全押しされた
状態のときにオンとなり、各種測定値をもとに撮影動作
が行なわれる。ズームアップスイッチ(ZUSW)12
3およびズームダウンスイッチ(ZDSW)124は鏡
枠のズーミングを行なうスイッチでZUSW123がオ
ンすると長焦点方向に、ZDSW124がオンすると短
焦点方向にズーミングする。
【0166】セルフスイッチ(SELFSW)125が
オンとなると、セルフタイマー撮影モード、またはリモ
コンの待機状態となる。この状態においてR2SW12
2がオンされればセルフタイマー撮影が行なわれ、リモ
コン送信機にて撮影操作を行えば、リモコンによる撮影
を行なう。スポットスイッチ(SPOTSW)126を
オンすると、測光を撮影画面の中央の一部のみで行なう
スポット測光モードとなる。なお、SPOTSW126
がオフでの通常の測光は撮影画面全体を用いて行なう。
【0167】ピクト1スイッチ(PCT1SW)127
〜ピクト4SW(PCT4SW)130およびプログラ
ムスイッチ(PSW)131はプログラム撮影モードの
切換スイッチで、撮影条件に合わせて撮影者がモード選
択を行なう。PCT1SW127をオンすると、ポート
レートモードとなり、適正露出範囲内で被写界深度が浅
くなるように絞り、およびシャッタースピードを決定す
る。PCT2SW128をオンすると、夜景モードとな
り、通常撮影時の適正露出の値よりも一段アンダーに設
定する。PCT3SW129をオンすると、風景モード
となり、適正露出範囲内で被写界深度ができるだけ深く
なる様に絞り、およびシャッタースピードの値を決定す
る。
【0168】PCT4SW130をオンすると、ストッ
プモーションモードとなり、シャッタースピードができ
るだけ速くなるように設定される。また、このときはス
トロボモードの赤目防止モードは使用できなくなる。
【0169】以上のPCT1SW127〜PCT4SW
130は、同時に2つ以上選択することはできない。
【0170】PSW131は通常のプログラム撮影モー
ド用スイッチである。このPSW131を押すことで、
PCT1SW127〜PCT4SW130のリセットお
よび後述するAV優先プログラムモードのリセットを行
なう。
【0171】において、AV優先スイッチ(AVSW)
133をオンすると、撮影モードが絞り優先プログラム
モードとなる。このモードはAV値を撮影者が決定し、
そのAV値に合わせてプログラムでシャッタースピード
を決める。このモードになると、PCT2SW128と
PCT4SW130は前述の機能はなくなりAV値の設
定スイッチとなる。PCT2SW128はAV値を大き
くするスイッチで、PCT4SW130はAV値を小さ
くするスイッチである。
【0172】ストロボスイッチ(STSW)132はス
トロボの発光モードの切換スイッチで、通常自動発光モ
ード(AUTO)、赤目軽減自動発光モード(AUTO
−S)、強制発光モード(FILL−IN)、ストロボ
オフモードを切換えるスイッチである。
【0173】パワースイッチ(PWSW)153は、本
カメラのメインスイッチである。
【0174】パノラマスイッチ(PANSW)154は
撮影状態が、パノラマ撮影か通常撮影かを検出するため
のスイッチでパノラマ撮影時にオンとなる。
【0175】裏蓋スイッチ(BKSW)155は裏蓋の
状態を検出するためのスイッチで、裏蓋が閉じている状
態がオフ状態となる。BKSW155がオンからオフへ
状態が移行すると、フィルムのローデングを開始する。
【0176】シャッターチャージスイッチ(SCSW)
156はシャッターチャージを検出するためのスイッチ
である。
【0177】ミラーアップスイッチ(MUSW)157
はミラーアップを検出するためのスイッチでミラーアッ
プでオンとなる。
【0178】DXスイッチ(DXSW)158はフィル
ムのパトローネに印刷されているフィルム感度を示すD
Xコードを読み取るため、およびフィルム装填の有無を
検出するためのスイッチで、図示していないが5つのス
イッチ群で構成されている。
【0179】ポップアップスイッチ(PUPSW)15
9はストロボを制御するスイッチである。PUPSW1
59はストロボ発光部の動きに連動しており、発光部が
上がった状態でPUPSW159はオン状態となり、ス
トロボ充電を行なう。また被写体が低輝度で、ストロボ
モードがAutoとなっているときにPUPSW159
がオンならばストロボ発光を許可する。
【0180】巻戻しスイッチ(RWMSW)160はフ
ィルムの強制巻戻しを行なうためのスイッチである。R
WMSW160がオンでフィルムを強制巻戻しを行な
う。
【0181】XSW174はストロボ発光のタイミング
をとるためのスイッチでシャッターの先幕が走行を終了
した時点でオンし、シャッターチャージ完了時にオフと
なる。
【0182】圧電ブザー(PCV)175はオートフォ
ーカス時の合焦時、およびスイッチの操作時に音を発す
る。
【0183】次に、本実施例に用いられているクラッチ
部の検出方式について図38ないし図44を参照して説
明する。
【0184】上述したように上記クラッチ部は複数のカ
ムと係止面により構成されているため、それを係止する
クラッチレバーとクラッチカムとの関係が問題となる。
すなわちクラッチ切換え方向のモータ回転からどのタイ
ミングで、駆動側のモータ回転方向に切換えれば、どの
駆動系に動力が伝達されるかを、確実にかつ、瞬時に判
定する必要がある。このため、本実施例では以下の方式
により、クラッチカムの位置検出を可能としている。
【0185】上記図43において、クラッチカムの展開
図は説明したが、シャッター・ミラー駆動位置の係止面
と巻上げ、巻戻し係止面ではリフト量がh2 ,h1 と異
なる。すなわち、シャッター・ミラー駆動位置を係止し
うる状態は切換え方向にクラッチカムが回転していると
き、リフト量h2 分が上死点からダウンした瞬間から、
次の上死点を乗り越えてダウンするまでの間である。し
たがって、クラッチカムが1回転する間にこのh2 のダ
ウンは1カ所しか存在しないため、この場所にてカム面
もしくはレバーの状態を検出することにより絶対位置の
把握が可能となる。本実施例では、カムに当接している
クラッチレバーの位置を検出する方式にて絶対位置検出
を行なう方式を以下に詳述する。
【0186】図38は、上記クラッチカムとクラッチレ
バーの関係を示したものであり、レバーは矢印方向へバ
ネ付勢されている。
【0187】図16等により説明した概念図と異なる点
は検出部(図中、上側)が一体に構成されている点であ
る。矢印にて示したセンサー監視位置(SE点)が本ク
ラッチ中の唯一の光電センサーの検出ポイントであり、
本実施例ではフォトインタラプタ(以下SCPI)によ
りクラッチレバー47の状態を検出し得る場所である。
【0188】図44は、上記SCPIおよびクラッチレ
バー47の関係を示した要部拡大斜視図である。
【0189】さて、図38は今、シャッター・ミラー位
置を係止している状態を示している。すなわちクラッチ
レバー47はクラッチカム42の最外周よりh2 だけダ
ウンした位置にある。SE点には、クラッチレバー47
中のXd部が対応しているが、ここで、Xd部がいかな
るものかを説明するため、断面C−C′を図42に示
す。
【0190】検出部分の肉厚はLであるが、今、SE点
に対応しているXd部の肉厚はL1である。そして、図
38においてクラッチレバー47がクラッチカム42に
よりリフトされれば明らかなようにSE点に対応する検
出面はXe、そしてXfへと移動する。上記Xe部は肉
厚L2 で構成され、Xf部には孔が穿設されており、フ
ォトインタラプタを遮閉するものは存在しない。ここ
で、クラッチレバー47は係止部や検出部が一体に成型
されたモールド部材である。
【0191】上記フォトインタラプタSCPIは投光さ
れた赤外光を受光するものであるため、一体成型された
クラッチレバー47であっても厚みの異なるXd部とX
e部の透過率が異なれば異なった出力が得られる。具体
的には本実施例ではXd部は透過率をほぼ0に、Xe部
は約25%に、Xf部は孔のため100%に設定してあ
る。そのためにクラッチレバー47の肉厚はL1 :0.
7mm、L2 :0.2mmと設定され、また全幅:Lは
フォトインタラプタSCPIのパッケージの間隔より
0.8mmに設定されている。
【0192】上記SCPIのスイッチ部に対するクラッ
チレバー47の位置関係を明確にするため図44にクラ
ッチレバーとSCPIの斜視図を示す。尚、SCPIの
信号は不図示のフレキシブル基板により検出部に導かれ
ている。
【0193】これらの構成により、SCPIは、クラッ
チレバー47のリフト量を最大、h1 ダウン、h2 ダウ
ンの3つの状態について常に把握できるわけである。
尚、ここでクラッチレバーの素材がモールドであること
は述べたが、その単体の特性は約0.7mmのプレート
にてほぼ完全に遮光できる色調であることは言うまでも
ない。また、本実施例においては肉厚0.2mmにて2
5%透過の素材を用いているが、肉厚は特にこれに限定
されたものではなく、必要に応じ適宜変更しても機構上
は問題ない。
【0194】さて、カムの全周中にh2 のダウンがある
範囲は1カ所しか存在しないため、絶対位置検出が可能
であることを述べたが、次に切換時のクラッチカム42
とクラッチレバー47の挙動を図38ないし図41によ
り詳述する。
【0195】図38はシャッター・ミラー位置を係止し
ている状態、すなわち通常のスタンバイ位置である。
今、実際の撮影動作を考えると、本カメラは露光終了後
巻上げ、シャッターチャージの順で駆動系を駆動する。
【0196】したがって、クラッチ部も、露光終了後
(ミラーダウンまでを含む)すみやかに切換えを行な
い、巻上駆動系に動力伝達せねばならない。図38の状
態でミラーダウンが終了した後、モータは逆転を開始す
る。ここでの逆転とはクラッチ切換方向の回動を意味す
るため、クラッチカム42は係止面からはずれ、図中、
右回りに回動する。
【0197】これが図39の状態であり、クラッチレバ
ーはバネ付勢力に抗してリフトされていく。リフトが終
了し、カムの上死点にまで回動が進行した状態が図39
の瞬間であり、センサー面、すなわちSE点には、孔部
であるXf部が対応している。
【0198】今、この状態のセンサーの出力レベルをH
igh(以下Hレベル)とする。また、図38に対応し
た遮光部の出力レベルをLow(以下Lレベル)とす
る。さらに、中間のXe部に対応した出力レベルをMi
d(以下Mレベル)とする。但し、ここでの出力とはS
CPI単体より出力される波形の内、安定した状態すな
わち切換え途中で一瞬出力される値を含まないものにつ
いて考える。したがって、クラッチレバー47が切換え
中に例えばXd→Xfに移動する場合途中にて一瞬Xe
の出力が得られるわけであるが、ここでの説明ではその
部分は便宜上省略する。
【0199】図39の状態の後、モータはさらに回転を
続けるため、カムは右回転を続け、上死点範囲が終了し
た時点で、h1 のダウンを行なう。これにより、クラッ
チレバー47もクラッチカム42に追従して回動し、S
E点に対応した検出部はXe部となる。このXe部を判
定しモータは停止する。すなわち、メカ系駆動方向への
モータ回動にて、巻上系が駆動されることが、このXe
部の判定により保証される。
【0200】図40は、モータが停止した瞬間の状態を
示している。
【0201】Mレベル判定によりブレーキをかけられた
モータも若干はオーバーランするため、この状態ではク
ラッチカム42の係止面はクラッチレバー47に当接し
ていない。本カメラでは露光〜巻上は一連の動作である
ため図40の状態は一瞬であり、モータは駆動方向の回
転に切換わる。そして、クラッチカム42が係止され、
巻上系が駆動されている状態が図41である。
【0202】以上により、シャッター・ミラー系から巻
上系への切換えについて説明した。ここで、Xe部を検
出するためにMレベルの判定を行なったが、本実施例の
特徴としてMレベルの出力が出される範囲は、2カ所存
在するため、絶対位置検出はできない。してがって実際
には、レベルの判定とレベルのカウント(何回目のMレ
ベルか)を判定する必要がある。本カメラでは初期位置
に対し最初のMレベルが巻上部、2番目のMレベルが巻
戻部、であると判断することで、レベル的には等価な2
カ所を判定している。したがって、撮影途中にて強制的
に巻戻しを行ないたい場合には初期位置(シャッター・
ミラー位置)より回動したクラッチは巻上系を通過し、
2つ目のMレベル判定で停止することで、いかなる状態
からの任意巻戻も可能としている。
【0203】次に全体の動作の説明に先立ち、図46に
示すタイミングチャートを参照して、一連の撮影動作中
の上記クラッチ機構について説明する。尚、本実施例の
クラッチ機構が適用されるカメラは鏡枠ユニット内にズ
ーム機構やオートフォーカス機構を内蔵することは述べ
たが、タイミングチャートではカメラ本体の動力系と直
接関連のない、これらのアクチュエータの挙動は省略す
る。
【0204】本カメラは2段ストロークのレリーズを具
備しており、1st.レリーズにて測距、レンズ繰出し
等を行なう。この動作はタイミング:T01とT02の
間にて行なわれ、通常は合焦評価が得られない場合は警
告等を発しT02以降の動作へは移行しない。T02に
て2nd.レリーズが許可されるとモータはまずCW方
向へ電圧を印加される。CW方向とは既述の概念図等に
おいて、いずれかの動力系を駆動しうる回転方向であ
る。
【0205】クラッチ部の初期位置はシャッター・ミラ
ー系であるため、T02よりのモータ回転はSMカムギ
ヤー58に伝達され該カムギヤーと一体であるシャッタ
ーチャージカム部58b(チャージカム)とミラー駆動
カム部58a(ミラーカム)とがそれぞれ変化する。T
02においてモータがオンされた瞬間はカメラはシャッ
ターのチャージを完了した状態でスタンバイしているた
め、SMカムギヤー58の位相検出のため、該SMカム
ギヤー58と噛合しているタイミングギヤー59および
タイミング基板60により形成される2つのスイッチの
状態は次のように変化する。
【0206】まず、T02のとき、タイミングSWチャ
ージ(以下SCSW)はオンタイミングSWミラー(以
下MUSW)はオフである。SMカムギヤー58は回動
し、チャージカムは下死点へとダウンする(T04)。
ここで、SCSWはカムが確実に上死点に存在している
ことを判定するSWであるため、チャージカムのダウン
が始まる以前にT03のタイミングにて、オフへ移行す
る。ミラーカムはチャージカムのダウンとほぼ同時にリ
フトを開始する。ミラーは上昇を続けT05にて上死点
に到達する。
【0207】すなわち、この時点で撮影光路上からミラ
ーは退避し露光が可能となるわけである。実際のミラー
上昇が完了したT05の直後にMUSWはオンに移行
(T06)しミラー駆動の終了を判定可能とする。T0
6を受けモータは停止する。実際にはモータを高速か
つ、正確に停止させるため、停止の際には逆転ブレーキ
とショートブレーキを組み合わせた制御が行なわれる
が、ここではモータはT06後若干のオーバーランにて
停止したものと考える。もちろん、このオーバーランと
はミラーカムの上死点範囲に対しては十分狭いものであ
る。モータが停止した時点で、露光が行なわれる。
【0208】タイミングチャート上でT07はミラーダ
ウンのためのモータスタートであるから、露光はT06
とT07の間で完了しているわけであるが、ここではそ
の説明は省略する。但し、シャッター部にて吸着されて
いる先幕、後幕のマグネットのオフタイミングをそれぞ
れコントロールして必要な露光時間を形成する方式は既
知の方式と何ら変わるものではない。さて、露光が終了
すると、ミラーダウンの動作が開始されるT07がその
開始に相当しミラーアップ時に駆動した動力系と同一の
SMカムギヤーを回動させるわけであるからモータはC
W回転を行なえばよいことになる。
【0209】カムが回動を始めるとMUSWはT22に
てオフとなる。MUSWは、ミラーのアップ状態を確実
に検出するものであるから、ミラーカム上死点のT05
からT23の範囲内に、T06からT22が包括される
ように構成されている。ミラーカムは、T23より下降
を開始し、T09にて通常の45°ダウン位置へ復帰す
る。ここで、本実施例では、センサー類を必要最小限に
抑えるため、ミラーダウン完了のタイミングは検出して
いない。よって、制御上はT22より一定のタイマーが
スタートし設定時間にてT08でモータを停止させるこ
とで、ミラーダウンを行なっている。
【0210】T08のタイミングはT09より若干前に
設定されているが、モータのオーバーランによりモータ
停止状態では確実にT09の状態が確保されるようタイ
マーは設定されている。
【0211】ここまでの説明によりレリーズからミラー
アップ、露光、ミラーダウンの一連の動作が完了した。
【0212】本実施例では、次いで、巻上げが行なわれ
る。巻上げは駆動系が異なるため、クラッチ切換えが必
要となる。T10が、クラッチ切換え開始であり、モー
タのCCW回転が始まる。これにより、今まではチャー
ジ位置に係止されていた、クラッチカム42が巻上位置
へと回動していく。クラッチレバー47も該カム42に
よりリフトされていくが、T10の開始タイミングでは
シャッターミラー系を係止していたわけであるから、ク
ラッチフォトインタラプタの出力はLowである。モー
タの回動により、クラッチレバー47がリフトされると
該フォトインタラプタ出力はLレベルからMレベルを通
過しHレベルとなる。このHレベルの範囲の後の立下が
りのタイミングが次の係止面への移行を意味することに
なる。
【0213】巻上系は出力レベルがMレベルであるから
カムダウンに追従したクラッチレバー47はT11にて
Mレベルをフォトインタラプタから出力させる。これに
より、モータは停止するが、若干オーバーランがあるた
め、クラッチカム42はやや巻戻側に回動しており、係
止面にクラッチレバー47は当接してはいない。T11
の後、T12にてモータはCW回転を開始する。このC
W回転はまず、クラッチカム42を巻上げの係止面に当
て付け、そのまま、巻上系を駆動する回転となる。
【0214】すなわち、T13よりスプールが巻上方向
の回転を開始する。本実施例では、フィルムの送り量検
出(給送検出)にはフォトリフレクター(給送PR)を
用い、フィルムのパーフォレーションをダイレクトにカ
ウントする方式を使用している。よって、1コマ分のパ
ーフォレーション、すなわち8パルスの出力が、給送フ
ォトリフレクタより出力される。T12から1つ目のパ
ルスがT14であり、順次フォトリフレクタ出力の立上
がりをカウントしていく。T15にて8パルス目を判定
したとき、即座にモータは停止する。
【0215】尚、実際にはフィルムの停止精度を安定さ
せるため、8パルス目をカウントする手前より、駆動方
式を制御しているが、ここでは詳細は省略する。1コマ
分の巻上げにより次なる撮影の準備がフィルム側は完了
した。
【0216】最後に、シャッターをチャージし、一連の
動作を完了する。まず、T16によりモータは再びCC
W回転を行なう。今回は、巻上げからシャッター・ミラ
ー系への切換え動作となる。
【0217】既述した場合と同様に上記SCPIの出力
にて停止のタイミングを判定するわけであるが、巻上げ
からクラッチが回動するとまず巻戻しの位置にて一旦M
レベルが出力される。もちろん、ここでモータをCW回
転させればフィルムは巻戻しされてしまう。よって、判
定部はこのMレベルを通過し、CW回転を連続させる。
これにより、クラッチレバーは2度目のリフトを行ない
T18のタイミングにて、SCPIよりLレベルを出力
させる。但し、クラッチカム42はオーバーランした分
だけ巻上側に回動しているため、係止面に当接してはい
ない。
【0218】モータはT19より、CW回転を開始す
る。この回転により、クラッチカム42はシャッター・
ミラー位置に当て付き、SMカムギヤー58を回動させ
る。該SMカムギヤー58は巻上前の動作にて、ミラー
ダウンまで回動されており、カムはチャージカムのチャ
ージ領域に移行する。チャージカムにより、シャッター
はチャージされその上死点T20のタイミングにて、シ
ャッターチャージが完了する。
【0219】シャッターのチャージ完了を判定するのは
チャージSWであるので該SWはT20よりわずかに遅
れたT21にてオンへ移行する。この判定を受けモータ
は即座に停止する。もちろん、この際のオーバーラン量
はチャージカムの上死点範囲に対しては十分狭くSCS
Wのオン範囲に対しても十分狭くなるよう構成されてい
る。
【0220】以上のシーケンスによって次の撮影の準備
が完了し、通常撮影のシーケンスが完了した。
【0221】さて図46のタイミングチャートでは、S
CPIの直接の出力がLowレベルからHighレベル
の間で変化することを利用して絶対位置を検出する原理
を説明した。しかし、実際には該SCPIの出力は処理
回路等を介しCPUにて判定される。以下にその回路構
成を詳述する。
【0222】図47は、上記カメラにおける位置検出機
構の電気的な回路の構成を示す電気回路図である。
【0223】図47中、符号191はクラッチレバー、
符号192は検出用フォトインタラプタSCPI、符号
194は上記フォトインタラプタ192に内蔵されるL
ED195に流れる電流を切換え、該LED195の輝
度を変化させるための電流源、符号193はフォトトラ
ンジスタ196の光電流を電圧に変換するための抵抗で
ある。
【0224】次に上記位置検出方法について説明する。
【0225】上記図38ないし図41において説明した
ように、モータが切換え動作を行なうと、クラッチレバ
ー47は移動する。このとき該クラッチレバー47の移
動部が該フォトインタラプタ192の凹部形状の検出部
において移動する。このとき、該クラッチレバー47の
移動部は、上記図42に示したXd,Xe,Xf部が往
復運動することになる。
【0226】上記クラッチレバー47のXd,Xe,X
fの部分はそれぞれ透過率が異なるため、その透過率に
応じた出力信号が得られる。すなわち、図48に示すよ
うにクラッチレバー47の遮光部Xd上に上記フォトイ
ンタラプタ192(SCPI)が対応している場合、該
出力信号のレベルはV1 になる。
【0227】また、クラッチレバー47の半透過部Xe
上に該フォトインタラプタ192(SCPI)が対応し
ている場合は出力信号のレベルはV2 に、さらに、クラ
ッチレバー47の全透過部Xf上に該SCPIが対応し
ている場合は出力信号のレベルはV3 になる。
【0228】ところで本実施例においては、クラッチレ
バー47の動きは、フォトインタラプタ192(SCP
I)が該クラッチレバー47のどの部分に対応するかで
説明すると、Xd→Xf→Xe→Xf→Xe→Xdを1
サイクルとして動く。したがって該クラッチレバー47
を動作させているときの出力信号波形は図49に示すよ
うな波形になる。
【0229】ここで初期位置検出を行なう場合には、L
ED195に流れている電流を適当な値に調整してやる
と、図50に示すような出力信号の波形が得られる。こ
の時点において出力レベルV’3 からV’1 への立下が
りの部分を検出することにより、クラッチレバー47が
初期位置にあることを検出する。
【0230】次に状態2、状態3を検出する場合には、
再びLED電流の調整を行ない、図51に示すような出
力信号波形が得られるようにする。この信号波形のV3
″からV2 ″への立下がりをカウントすることによ
り、クラッチレバーの位置を検出することができる。
【0231】ところで、ロータリータイプのクラッチの
場合、ギヤーの形状が不適切であると、切換時に歯先同
士の干渉が生じることが知られている。
【0232】このため、一般的には遊星クラッチ機構に
おいては歯先の歯厚をできる限り小さくすることが行わ
れており、特に金属製のギヤーにおいてはインボリュー
ト歯形を尖り限界となるよう転位を設定し干渉を防止し
ている。
【0233】また、先端に若干ではあるがR部が残るモ
ールドギヤーにおいては、例えば本出願人が特願平4−
317421号にて提案した、位置規制部材を設け、公
転時に歯同士が接触を開始するポイントにおける位相を
コントロールする方法が有効である。
【0234】しかし、該方式も歯厚をある程度尖らす必
要があり、また位置規制部材を設けるためにレイアウト
上の制約もあった。
【0235】本実施例は、これらの事情に鑑みなされた
ものであり、歯厚を尖らす必要もなく位置規制部材も必
要ない、干渉防止機構を提供するものである。
【0236】まずこれらの干渉のメカニズムを詳述する
ため、図52以降により説明する。
【0237】図52は、上記図16〜図19にて概念的
に説明したロータリークラッチを詳細に示した説明図で
ある。
【0238】この図52においては、本カメラのチャー
ジ系(シャッター,ミラー系)を駆動している状態を示
し、中央の太陽ギヤー501が矢印方向に回動すること
でギヤー510の先に噛合していく不図示のチャージ系
が駆動されている。
【0239】この駆動状態において、太陽ギヤー50
1,遊星ギヤー503,ギヤー505はその回転中心が
略直線上に並んでおり、それらの間隔は、適当なバック
ラッシを有した量となっている。上記遊星ギヤー503
はクラッチカム502にフリクション付にて保持されて
おり、このフリクション力によりクラッチカムは太陽ギ
ヤー501と同じく図中、矢印方向への回動力を受け
る。しかしながら、クラッチレバー504は不図示のバ
ネによりクラッチカム502方向へバネにより付勢され
ている。よって該クラッチレバー504のストッパ部5
04aはクラッチカム502の外周に設けられたカム面
に当接することとなる。
【0240】上記クラッチカム502には3カ所の係止
部が設けられており、その中の1箇所である、チャージ
系係止位置502aが上記クラッチレバー504に当接
している。このクラッチカム502とクラッチレバー5
04との位置関係は図52の状態において、該クラッチ
カム502の公転をこれ以上許容しないレイアウトとな
っており、これにより遊星ギヤー503は、ギヤー50
5に対し最適な位置で噛合を確保される。
【0241】本図ではクラッチの挙動を明確にするため
ギヤーやレバーを軸支する地板等は省略しているが、各
ギヤーはそれぞれ回動自在に保持されており、レバーも
ギヤーとは上下方向に位置が異なり、クラッチカムのカ
ム部により揺動自在となっている。
【0242】図中、フォトインタラプタ(PI)508
は、そのスリット部に上記クラッチレバー504の被検
出部が挿入されるようになっており、厚みL11,L22お
よび孔504bの部分に該フォトインタラプタのセンサ
ー部が対応するようになっている。
【0243】上記孔504bは、上記フォトインタラプ
タ508のLED光を100%透過する部分であるが、
厚みL11部は、ほぼ0%,L22部は約25%の透過率を
それぞれ有している。
【0244】上記クラッチレバー504は、たとえば、
暗灰色のモールド部材により一体成型された部材であ
り、また、上記遊星ギヤー503が噛合するギヤー50
5には、付勢バネ509が設けられており、この付勢バ
ネ509はギヤー等を支持している不図示の地板の一部
分であるが、この部分に関しては後に詳述する。
【0245】ところで、図52の状態はチャージ系を駆
動している状態であり、いわゆる本カメラにおける初期
位置である。この状態においてミラーアップ,露光,ミ
ラーダウンが終了し巻上に移行する場合を考える。
【0246】モーターが、クラッチ切換方向(図52で
は矢印と反対方向)に回動すると、クラッチカム502
も矢印と反対方向に回動する。該クラッチカム502に
は、3カ所の係止位置の間にそれぞれリフトカムが設け
られている。したがって、該カムの切換方向の公転に従
い、クラッチレバー504はバネに抗して徐々にリフト
され約1/3の公転にて次なる係止位置へ移行する。
【0247】上記クラッチカム502のダウン量は初期
位置と他の2カ所の係止位置で異なり、図52の状態で
は被検出部がL11に対応している他の係止位置(巻上,
巻戻位置)はL22に対応しカムの外周は孔部に対応して
おり既述の方式により位置検出が可能となる。
【0248】次に図53を基に、クラッチ切換時に問題
となる歯先干渉を説明する。
【0249】図53は、本実施例におけるクラッチ機構
の巻戻系のギヤー507方向から遊星ギヤー503が初
期位置へ復帰する直前の状態を示した説明図である。
【0250】クラッチカム502は、クラッチレバー5
04をほぼ上死点までリフトしており、フォトインタラ
プタ508は孔部に対応している。太陽ギヤー501は
矢印方向へ回動している訳であるから、クラッチカム5
02も矢印方向へ回動していく。
【0251】この図53はクラッチカム502の公転に
より遊星ギヤー503の歯先外径とギヤー505の歯先
外径がまさに接した時点を示している。この状態で、上
記両ギヤーのインボリュート曲線(特に説明はしていな
いが、本実施例ではすべてのギヤーはインボリュート歯
形である)同士が接しだすような位相にあれば、クラッ
チカムは、問題なく、さらに公転することができる。
【0252】しかし、上記クラッチは遊星ギヤーの位相
や、ギヤー505の停止時の位相を特に規制はしていな
いため、必ずしも最適な状態にて噛合が始まるとは限ら
ない。上記図53は最悪の状態、すなわち、いずれのギ
ヤーもインボリュート曲線が接触点にならず歯外径同士
が接触した場合を示している。
【0253】次に、上述した状態で、仮にギヤー505
が回動自在ではあるが、その回転中心が不動の場合を考
えてみる。
【0254】図に示すように、上記遊星ギヤー503,
ギヤー505は、共に図中、矢印方向へ回動しようとす
る。すなわち、歯先同士が当接した状態から、該遊星ギ
ヤー503は太陽ギヤー501とギヤー505の間にも
ぐり込もうとする。しかし、歯先同士が干渉している限
り、噛合状態に設定された軸間に遊星ギヤー503が入
り込むことはできないため、どちらかの歯先がすべり落
ちない限りクラッチはメカロック状態となり切換不能と
なる。
【0255】さて、次に、図54に示す状態を考えてみ
る。
【0256】この図54は、初期位置すなわちクラッチ
レバーのL11部を検出しモーターが停止し、チャージ系
を駆動方向へ回動させるため、遊星ギヤー503を正規
の噛合位置へ移動させている状態を示している。
【0257】実際の制御では、上記L11の出力を確認
後、モーターは即座に停止させられるが、オーバーラン
があるため、クラッチカムは、係止位置から若干回動し
た位置で停止する。この状態から、本カメラでは初期位
置にてメカイニシャル(シャッターチャージ等)を行う
ので、太陽ギヤー501は図54において、図中、矢印
方向へ回動し、クラッチカム502も矢印方向へ回動し
ていく。
【0258】ところで、上述した状態においても、図5
3において説明したように、偶然に歯先同士が衝突する
と、遊星ギヤー503は太陽ギヤー501,ギヤー50
5の間にもぐり込むことはできない。この場合、もぐり
込めないとは、ギヤー505の回動中心位置が不変と仮
定した場合である。したがって、図54の状態において
も、どちらかの歯先がすべり落ちない限り、クラッチは
メカロックとなる。
【0259】以上がロータリークラッチの歯先干渉の説
明である。
【0260】なお、上記図52〜図54は、上述した現
象を解説するため、歯先が当接したまますべらない状態
で考えているが、実際には、各ギヤーの歯先を尖り限界
に設定することで、安定した切換を行いうるように構成
されている。
【0261】ところで、上記クラッチを小型、軽量化し
ていこうとした場合、ギヤーの歯数減とモールド化が重
要な課題となる。
【0262】まず、モールド化について考える。
【0263】モールドにより、モジュール0.1〜0.
5程度のギヤーを製作しようとした場合、設計上は諸元
を尖り限界に設定したとしても先端歯幅は放電電極のワ
イヤー径や成型時のショートにより0.03mm程度は
残ってしまう。したがって、いかに歯先干渉を回避しよ
うとしても、ギヤーの諸元のみで行うことは完壁とはい
いがたい。
【0264】また、小型化した場合を考えると、ギヤー
の歯数は10歯前後が必要となる。したがって、小歯数
のギヤーを先端歯幅を小さくするため、大きくプラス転
位させる必要がある。しかし、プラス転位した小歯数ギ
ヤー同士の噛合に関しては歯先と歯底の干渉が問題とな
る。すなわち、成型ギヤーにおいても、歯底径を頂げき
0.25mmとすることが一般的であるが、必要なバッ
クラッシを設定した場合、歯先、歯底が干渉する場合が
ある。
【0265】これはJIS−B1701に歯末たけの修
正量として解説されているように、歯末たけを変更する
必要のあるギヤーの組合せに相当する。しかしながら、
歯末たけの修正は、先端歯幅を大きくすることになり、
結果として、問題を回避したこととはならない。
【0266】以上、説明したように、歯先を尖らすこと
のみでロータリークラッチを成立させようとした場合、
遊星ギヤー503,ギヤー505共に小歯数のギヤーと
するには限界があり、強いてはクラッチ機構全体の小型
化にも限界がある。
【0267】本実施例は、これらの事情を鑑みなされて
おり、たとえ歯先同士が当接しても決してメカロックの
生じない機構を提供するものである。
【0268】メカロック防止策として本実施例の特徴
は、遊星ギヤーが噛合する相手ギヤー(図52ではギヤ
ー505,ギヤー506,ギヤー507)を干渉時のみ
離脱可能としたことを特徴とするものである。
【0269】再び上記図52に戻って説明する。
【0270】本実施例では遊星ギヤー503は歯数Z=
13、ギヤー505は歯数Z=12であり、共に装置の
小型化上、該関係をなしているが、既述の理由により、
転位のみで歯先干渉を回避することは困難である。
【0271】また、本実施例では、不図示の地板に、ギ
ヤー505に対し付勢バネ509が設けられていた。な
お、この付勢バネ509はギヤー505を遊星ギヤー5
03側へ常時付勢するものである。
【0272】ギヤー505は地板にて保持されている
が、地板には固定の軸ではなく、一部分のみ図52に示
した地板に構成される略U字溝部(破線部)が設けられ
ている。
【0273】次に、図55を参照してギヤー505の構
成を詳述する。
【0274】図55は、上記ギヤー505を上下方向に
展開した斜視図である。このギヤー505は、中心部に
嵌合孔を有するタイプではなく、上下に同心にそれぞれ
軸505a,505bを有するタイプである。なお、該
軸部はギヤー歯形部に一体成型されたものであっても、
圧入,接着等により一体化されたものであっても効果は
同等である。
【0275】図55において、ギヤー505の軸部に矢
印において示される力は、上記図52においてギヤー付
勢バネ509により押圧される力である。なお、図52
では、ギヤー505の下側の地板の説明をしたが、実際
には上側の地板も図55のように略U溝部を有し、上側
の軸505aも下側の軸505bと同一方向に付勢力を
受けている。
【0276】上記地板に設けられている略U溝部は、軸
部が溝部内にて摺動移動可能な幅に構成されており、す
なわちギヤー505は、略U溝部内を溝部のフォームに
従い、バネにより付勢力に抗すれば移動することが可能
である。
【0277】図53や図54では本実施例において考え
られる歯先干渉状態を説明したが、該メカロックはギヤ
ー505と太陽ギヤー501の軸間隔が不動のため生じ
るものであった。しかしながら、既述したように本実施
例では、ギヤー505が、バネ付勢力に抗し移動しうる
よう構成されている。
【0278】図56は、上述した歯先衝突が生じた後の
挙動を示した説明図である。
【0279】ギヤー505は遊星ギヤー503の歯先と
干渉したまま、正規の噛合位置付近まで回動が可能とな
る。もちろんギヤー505は、図56においてΔxにて
示したリフト量だけ、付勢バネをリフトしながら移動す
るが、本実施例では遊星ギヤーの回動を妨げないよう
に、付勢力量が設定されている。なお、上記Δxの量
は、本実施例のギヤーの場合、頂げき0.25mで設定
されているので、最大でも2.25mとなる。
【0280】次に、本実施例における略U字溝の形状に
ついて図57を参照して説明する。
【0281】まず、モーターが停止している場合につい
て考える。
【0282】モーターが停止している場合、ギヤー50
5には付勢バネによる力のみが加えられるためギヤー5
05は略U字溝の終端部に押圧され位置規制されてい
る。この位置は、遊星ギヤー503とギヤー505と
が、またギヤー505とギヤー510とが、それぞれ最
適なバックラッシにおいて噛合しうる、唯一の場所であ
る。該U字溝部は、ギヤー505とギヤー510とが最
適なバックラッシにて噛合しうる軸間隔をR1とする
と、ギヤー505とギヤー510とに関しては、このR
1が不変となるよう溝部が形成されている。
【0283】すなわち、図56に示したように、歯先干
渉によりギヤー505がリフトされる場合、ギヤー50
5とギヤー510との軸間隔は不変であり、噛合が確保
されたまま、ギヤー510は移動することになる。
【0284】次に、モーターが動力伝達方向へ回動して
いる場合について考える。
【0285】図57において、太陽ギヤーは、図中、矢
印で示すメカ駆動方向へ回動されており、不図示の係止
部は図52のクラッチカムを係止している状態と考え
る。このとき遊星ギヤーは公転を規制され矢印方向の自
転により動力を駆動系に伝達する。なお、駆動系の初段
ギヤーがギヤー505であり2段目がギヤー510であ
る。そして、上記ギヤー505,ギヤー510はそれぞ
れ矢印方向へ自転し動力を伝達していく。
【0286】次に、上記ギヤー505に作用する力につ
いて同図57を参照して説明する。
【0287】図中、符号511で示す線分は、遊星ギヤ
ー503とギヤー505との基礎円同士の接線を示して
いる。すなわち、遊星ギヤー503からギヤー505へ
の力はこの線分511方向へ作用する。また、ギヤー5
05とギヤー510との基礎円同士の接線は、線分51
2により示される。すなわちギヤー505からギヤー5
10への伝達力はこの線分512方向へ作用する。
【0288】これはギヤー505について考えた場合、
ギヤー510から線分512方向へギヤー505へは反
力が作用することとなる。
【0289】これらを鑑み、ギヤー505に作用するト
ータルの力を合成したものが、図中、矢印513であ
る。なお、該力513を求める際には、ギヤーの伝達効
率等を考慮した力が利用されている。
【0290】図57においてギヤー505は、矢印51
3方向へ付勢されながら動力を伝達していくことにな
る。これは、ギヤー505について考えた場合、ギヤー
510に対し、ギヤー505を略U字溝の終端部に当接
させる方向へ働く力となっていることがわかる。
【0291】このことは、動力伝達時にはバネに抗して
ギヤー505をリフトするような力は生じえないことを
意味しており、付勢バネの力は、干渉にて図56のよう
にリフトされたギヤーが正規の位置へ、再び当て付くた
めに必要な力を発生させればよいこととなる。
【0292】本実施例のように、ギヤー505と一体に
回動する軸を直接押圧している場合、軸部の摩擦損失が
伝達効率に関与するため、上記バネ力を低く設定しうる
ことは、全体の効率アップを考えた場合に重要となる。
【0293】以上、歯先干渉時の離脱原理について、チ
ャージ系であるギヤー505部について詳述した。
【0294】本実施例では、この他に2種の巻上系,巻
戻系の被駆動系を有しているが、これらの初段ギヤーで
ある、上記図52におけるギヤー506,ギヤー507
においても同様の関係が成り立っており、通常はそれぞ
れ不図示のバネ部材により遊星ギヤー側へ付勢された構
成をなしている。
【0295】以上説明したように本構成を用いれば、ロ
ータリークラッチにおいて切換時に問題となりうる歯先
の干渉を、極めて簡単な構成で回避可能であり、装置の
小型化、低コスト化に大きく寄与するものである。
【0296】また、すべての駆動系の初段ギヤーが遊星
ギヤーに対し退避可能なため、ギヤー自体の歯数や転位
係数にも何ら制限が必要なく、設計の自由度を増すこと
が可能となるものである。
【0297】ところで本実施例のように、何れの方向か
ら歯先干渉が生じたとしても退避が可能となるために
は、遊星ギヤーと各駆動系の初段ギヤー,2段目ギヤー
に所定の関係が必要である。
【0298】今、干渉防止原理は上記チャージ系にて詳
述したが、図52に戻ると遊星ギヤー,ギヤー505,
ギヤー510が噛合状態であるが、これら3つのギヤー
の回動中心により定義される角度はクラッチの公転側に
角度αにて示される。
【0299】本実施例では該α=92度に構成されてお
り、そのため、ギヤー505の退避用の長孔は、太陽ギ
ヤー501からギヤー505を結ぶ線分に対し略同方向
となっている訳である。
【0300】本実施例では、3種の駆動系を有している
が、巻上系であるギヤー506について図52において
その関係を示す。
【0301】ギヤー506は巻上系の初段であり、遊星
ギヤーが噛合しうるギヤーであり、ギヤー506bが2
段目であり、チャージ系のギヤー510に相当する。
今、太陽ギヤー501からギヤー506における線分
と、ギヤー506,506bにおける線分のなす角を見
ると、図52上で該角度はβで示される。
【0302】ここでギヤー506bは、ギヤー506,
クラッチレバー504等との関係より最適な位置にレイ
アウトされ、角度βは115度となっている。上記角度
αに対し、該角度βが約25度変化することで、ギヤー
506の退避軌跡は若干異なるが、退避用の溝はどちら
からの回動においても退避が成立する点は同様である。
【0303】次に、巻戻系であるギヤー507について
考えてみる。
【0304】ギヤー507は巻戻系の初段であり、ギヤ
ー507bが2段目のギヤーである。ここで該ギヤー5
07bは、上記チャージ系,巻上系とは異なり、遊星ギ
ヤー503およびギヤー505の約2倍の歯数となって
いる。このため、遊星ギヤーの公転軌跡の外側に配置し
た場合、必然的に3つのギヤーのなす角は大きくなる。
図52上では、角度γにて示され、該角度γは、ここで
は120度に設定されている。ギヤー干渉時の挙動は、
チャージ系とは異なるものの、巻戻系もどちらの方向か
らギヤーが干渉してもギヤー507が退避しうる点は同
等である。
【0305】以上説明したことをまとめると、各駆動系
の初段ギヤーと遊星ギヤーにより定義される線分と、各
駆動系の初段ギヤーと2段目のギヤーにより定義される
線分のなす角度が一定の関係を満たしていれば、両方向
からの干渉に対し退避可能であるということができる。
【0306】本実施例においては上記角度は遊星ギヤー
の公転方向に92度から120度の範囲であった。
【0307】しかし、該角度は上記に限定したものでは
なく、退避用長孔部の摩擦係数を低くすることにより1
50度程度まで退避可能なよう構成できる。また、角度
を小さくしていくと遊星ギヤーの公転軌跡に干渉した
り、初段のギヤーに作用する合力の方向が不適切とな
る。よって、角度を小さくする方は90度程度が限界で
ある。
【0308】すなわち、角度の範囲を90度〜150度
となるように各駆動系をレイアウトすることにより、極
めて安定したクラッチ機構を提供しうるわけである。
【0309】以上にて本実施例における干渉防止の原理
を詳述したが、次いで図46のタイミングチャートにて
解説した、1コマ撮影における作用を図66ないし図6
8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0310】この、図66ないし図68のフローチャー
トは、ミラーアップから絞り込み、シャッターレリーズ
ミラーダウン、絞り開放フィルム巻上げ、シャッターチ
ャージの一連のシャッターレリーズシーケンスを構成す
るサブルーチンである。
【0311】まず、ステップS500で、測光演算の結
果ストロボ発光要求がなければ(F_FLSRQフラグ
が“0”)、ステップS508へジャンプする。また、
ステップS501,ステップS502では、ストロボモ
ードがAUTO−S(赤目軽減モード)でないとき、或
いはピクトモードの内ストップモーションモード(動き
の早い被写体に対するAEモード)のときは、赤目軽減
発光をしないステップS504へジャンプする。
【0312】ステップS503では、赤目軽減プリ発光
を行ない、ステップS504で、赤目プリ発光中にパワ
ーSW153がオフされることもあるので、該パワーS
W153がオフされたらステップS550へジャンプす
る。
【0313】ステップS505では、距離演算の結果か
ら発光GNo.を算出する。ステップS506では、充
電電圧が発光可能な充電電圧かをチェックする。ステッ
プS507では、充電電圧と発光GNo.とからストロ
ボの発光時間を演算する。ステップS508では、シー
ケンスクラッチをミラー位置に切換える。ステップS5
09では、デートモジュール137の写し込み時間をフ
ィルムのISO値から算出する。ステップS510で
は、絞り値とズームエンコーダ値から絞りの初期位置か
らのステッピングモータ151の駆動パルス数を算出す
る。ステップS511では、シャッターの先幕と後幕を
吸着、保持するマグネットの励磁をオンにする。
【0314】次に、ステップS512〜ステップS52
0を説明する前に、図69に示す表1によりF_UTY
3,4のフラグとMiUPとMiRDNサブルーチンの
関係について説明する。
【0315】それぞれのサブルーチンはF_UTY3,
4のフラグで処理内容を切換えられる。F_UTY3を
“1”にしてサブルーチンをCALLするとそれぞれミ
ラーアップ或いはミラーダウンの処理を行なう。F_U
TY4のフラグを“1”にしてサブルーチンコールする
とそれぞれ絞り込み或いは絞り開放の動作を行なう。図
69において、F_UTY3とF_UTY4のフラグの
両方を“1”にしてサブルーチンコールすると、それぞ
れミラーアップしながら絞り込み或いはミラーダウンし
ながら絞り開放と同時に2つの処理を行なうことができ
る。
【0316】ステップS512,513では、F−UT
Y3,4を両方“1”にする。次に、ステップS514
で、順次駆動フラグが“1”になっていたら、ミラーア
ップと絞り込みを別々に行なうために、ステップS51
5で、F_UTY3を“0”にする。
【0317】ここでは、像消失時間を最少にするよう考
慮し、先に絞り込みを行ない、次にミラーアップを行な
う。また、順次駆動フラグは、駆動前に行われるステッ
プS309のバッテリーチェックで設定される。すなわ
ち、予め調整器でEEPROM135に書き込まれた電
源電圧データによりバッテリーチェックで判断し、ミラ
ー駆動と絞り駆動を同時に行なうために必要なエネルギ
ーを電源が供給できない場合に、絞りとミラーの駆動を
別々に切換える指示をするフラグである。
【0318】ステップS516では、F_UTY3,4
の内容に従いミラーアップ或いは絞り込みを行なう。ス
テップS517では、順次駆動フラグが“1”になって
いたら、ステップS516のMiRUPで絞り込みは済
んでいるので、ミラーアップのみを行なうように、ステ
ップS518,ステップS519で、F_UTY3,4
を表1に従い設定する。
【0319】ステップS520で、MiRUPをコール
する。次に、ステップS521で、シャッターレリーズ
処理を行なう。次に、ステップS278測光演算で求め
たシャッター秒時をタイマーで再生し、先幕と後幕の走
行開始のタイミングを求め、シャッターをレリーズす
る。
【0320】ステップS522〜ステップS530で
は、ミラーダウン、絞り開放を行なう。順次駆動時に
は、先にミラーダウンを行ない、次に絞り開放を行な
う。
【0321】ステップS531〜ステップS535で
は、総レリーズ回数をEEPROM135に格納する。
すなわち、予め格納されているデータを読み込んで、1
を加えてからEEPROM135に格納する。
【0322】ステップS536〜ステップS538で
は、フィルムを一駒巻上げるかどうか判断する。すなわ
ち、D−CNDTという8bitのRAMの0,1ビッ
ト目にそれぞれF−CNDT0、F−CNDT1が割り
付けられているので、図70に示す表2に従い判断す
る。そして、オートロード完の場合のみ、フィルムの一
駒巻上げ動作を行なう。
【0323】ステップS539では、シーケンスクラッ
チを巻上げ駆動系に切換える。次に、ステップS540
では、巻上げ中であることを示すフラグF−OWiND
を“1”にして、ステップS541で、EEPROM1
35に格納する。
【0324】ステップS542では、フィルムの一駒巻
上げを行なう。この一駒巻上げサブルーチンではフィル
ムが一駒巻上げられたらフィルム駒数に1を加える。フ
ィルムが所定時間内に一駒巻上げられなかったらF_C
NDT0を“0”に、F−CNDT1を“1”にしてリ
ワインド中にする。
【0325】ステップS543では、シーケンスクラッ
チを初期位置に戻す。次に、ステップS544では、F
_OWiNDを“0”にして巻上げ終了とする。そし
て、ステップS545で、F_OWiNDと、フィルム
カウント、F−CNDT0、F−CNDT1をEEPR
OM135に格納する。
【0326】次に、ステップS546で、シャッターチ
ャージを行なう。そして、ステップS547〜ステップ
S549で、100msec後、ミラーモータ、絞りの
ステッピングモータの励磁を切った後、ステップS55
0リターンする。
【0327】次に、本発明の第2実施例のクラッチ機構
について説明する。
【0328】この第2実施例は、上記第1実施例のクラ
ッチ機構に比べ、遊星ギヤーに対して退避する各ギヤー
の構成が異なっている。
【0329】図58は、本第2実施例のクラッチ機構の
要部上面図である。
【0330】該クラッチ機構の中心部には太陽ギヤー6
06が配置され、該ギヤー606に噛合し不図示のクラ
ッチカムに支持された遊星ギヤー605が自転,公転自
在に設けられている。この構成は上記第1実施例と同等
である。
【0331】遊星ギヤー605には、その公転範囲に3
種の駆動系のそれぞれの初段ギヤー601,609,6
10が配置されており、遊星ギヤー605はいずれの上
記ギヤーにも噛合可能となっている。なお、上記ギヤー
601が本実施例の初期位置において上記遊星ギヤー6
05が噛合している駆動系の初段ギヤーである。また、
ギヤー601にはギヤー608が噛合し、さらにその先
へ動力を伝達するようになっている。
【0332】このような構成をなす本第2実施例におい
て、図59によりギヤー601の構成を説明する。
【0333】図59は、上記図55同様、上下に展開し
た解説図である。
【0334】ギヤー601は、中央に孔を有し、該孔部
に軸602が回動自在に噛合している。この軸602は
ギヤー601の上下にその端部が十分突出するだけの長
さを有しており、該軸径に対し、摺動自在に嵌合させう
るU溝部が上下の地板にそれぞれ設けられている。
【0335】ここで図59はギヤー部を明確にするため
上下方向に展開された図であり、実際の組立状態ではU
溝部604a,603aの間隔は、上記ギヤー601の
歯幅よりも若干広くなるよう構成される。
【0336】図58に戻り、遊星ギヤー605,ギヤー
608,ギヤー601の関係は、第1実施例同様、駆動
時にU溝の端部に力が加わるよう配置されている。地板
に設けられている上下のU溝は破線にて示すが、ギヤー
608とギヤー601との最適な軸間隔を確保しうるR
にて構成されている。なお、他の2カ所にも不図示では
あるが、このような構成にて形成されたU溝部が設けら
れている。
【0337】上記軸602は、ギヤー609,ギヤー6
10に関しても共通であり、ギヤーを回動自在に嵌入さ
せかつ上下の地板より突出するだけの長さを有してい
る。該軸602の外周には、リングバネ607が配置さ
れている。リングバネ607はモールドやゴムなどで形
成された弾性部材であり、3本の軸602の太陽ギヤー
に対する最遠ポイントを当接点とする円形のバネであ
る。
【0338】図60は、組立状態でのギヤー部の拡大斜
視図であり、上下の地板604,603より突出した軸
602の外周に上下に同一形状のリングバネ607が配
置されている。
【0339】バネリング自体は、ゴムやモールドで形成
されており、軸602に対し特に摩擦係数が限定される
ものではない。すなわち、動力の伝達時には、軸602
に対しギヤー601が回動し伝達するが、軸602は、
U溝部により回動中心を規定されるのみで、ギヤー60
1と一体回動する必要はない。
【0340】既述の構成においては第1実施例同様、遊
星ギヤーの公転時に歯先同士の干渉が生じる可能性があ
る。しかし、3カ所に配置されている初段ギヤーはそれ
ぞれリングバネにて付勢されている。したがって、歯先
干渉が生じたとしてもギヤーはU字溝に沿って移動可能
となる。
【0341】図61は、上記遊星ギヤー605とギヤー
601とで歯先干渉が生じ、該ギヤー601が退避した
状態を示す上面図である。ギヤー601は、ほぼ最大量
退避した状態であり、今この退避量Δxは2.25mに
相当する。このとき、ギヤー609,ギヤー610は不
変である。
【0342】また、バネリング607の全長(周長)も
不変とする。よって、図61に示したようにΔxのギヤ
ー退避に対応して、略三角形状に変形する。なお、ギヤ
ー609,ギヤー610もこのとき、通常の付勢力より
も大きな力にて付勢される訳であるが、既に地板のU溝
部に軸は当接しているため、特に移動は生じない。
【0343】また、この干渉状態からさらに公転が進
み、ギヤー同士が正規の噛合に近づけば、バネリング6
07は弾性により初期の円形に復帰する。他の2カ所に
ついて干渉が生じた際も同様にバネリングの変形により
ギヤーは進退し歯形に特に制約を設けなくともロータリ
ークラッチが成立する。
【0344】以上説明したように本構成を用いれば、各
ギヤー系に独立したバネ付勢部材を設けなくとも上下の
リング部材のみにて、各系の付勢を可能としたため、極
めて小型かつ低コストにて歯先干渉を防止することが可
能である。
【0345】次に、本発明の第3実施例のクラッチ機構
について説明する。
【0346】この第3実施例は、上記第1実施例におい
て説明した、それぞれの駆動系に付勢バネを有する構成
において、さらに構成を簡略化した実施例である。
【0347】上記第1実施例では、各駆動系の初段ギヤ
ーに対し、上下2カ所に付勢バネを有する構成を示した
が、常にこのように上下に利用しうるスペースが存在す
るとは限らない。よって本実施例では、片側にのみ地板
と一体に構成された付勢バネが存在する場合について考
慮している。
【0348】図62は、本第3実施例のクラッチ機構に
おける進退可能なギヤーの斜視図である。
【0349】このギヤー551は、上記第1実施例同
様、チャージ系の初段のギヤーである。該ギヤー551
はモールドにおいて一体成型された軸551bを上下に
有しており、その軸の周囲にはほぼギヤー部の歯底付近
まで広がる摺動面551aを表裏に有している。なお、
該摺動面551aは表裏は平行でありかつほぼ同一形状
である。
【0350】図63は、上記ギヤー551を支持する上
側の地板552とギヤー551との関係を示した要部拡
大図である。この状態でギヤー551は、正規の噛合可
能位置に位置している。
【0351】地板552には、付勢バネ552aが設け
られているが、この付勢バネ552aは、モールドの弾
性を利用しバネ性を持たせたアーム部であり、地板55
2に一体成型されている。上記地板552には、U字溝
部552bが設けられギヤー551の軸部551bを回
動自在に支持している。なお、軸部551bは付勢バネ
552aにより押圧されることで、溝の端部に当て付い
ている。
【0352】上記地板552の裏面、すなわちギヤー5
51に対向する面には、図63において2点鎖線で示し
た範囲に摺動面が設けられている。この摺動面はギヤー
551自体に設けられた摺動面551aよりは若干広い
範囲に、設けられており、該ギヤー551が歯先干渉に
より退避した際にも、摺動面551aが他の面に当接し
ないような範囲に形成されている。
【0353】図64は、上記ギヤー551と、その下側
に広がる地板553の関係を示したものである。
【0354】上記地板553にもギヤー551と対向す
る摺動面が設けられているが、地板553側は上側の地
板のように一端が開口した形状ではなく、図64のよう
に長孔の周囲に形成されている。
【0355】摺動面の内側の孔部はギヤー551の軸部
551bを嵌合可能に設定されており、かつその中心の
軌跡は、図中、R1なる半径にて規定されている。な
お、図63に示した地板552側の孔部もR1で定義さ
れている。
【0356】以上のような構成においては、軸部551
bの片側にしかバネ付勢力が作用しないが、摺動面55
1aが上下に十分な範囲を有しているため、歯先干渉が
生じた際にギヤー自体が傾斜し退避不良を生じる危険性
はない。
【0357】よって、本構成を用いれば片側の地板はR
形状の長孔を設けることのみで干渉防止を達成しうるた
めレイアウト上極めて自由度が増し、かつ装置全体の小
型化にも寄与しうるものである。
【0358】なお、本実施例では上側の地板にバネを設
けた例を示したが、下側にバネを設け、上側を長孔にし
ても何ら問題ないことはいうまでもない。
【0359】次に、本発明の第4実施例のクラッチ機構
について説明する。
【0360】図65は、本第4実施例のクラッチ機構を
示した説明図である。
【0361】本第4実施例も被駆動系は3つの系に分割
されており、ギヤー703を初段ギヤーとし、既述の実
施例と同等な機能を有する巻上系,ギヤー705を初段
ギヤーとし撮影レンズの前面に設けられた、いわゆるバ
リアを開閉するバリア系,ギヤー707を初段ギヤーと
し撮影画面を、いわゆるノーマルサイズとパノラマサイ
ズとに切換える画面切換系がそれぞれ設けられている。
【0362】ここで、上記バリア系、画面切換系の詳細
な解説は省略するが、これらは、既知の方式によりモー
ターにて駆動されるよう構成されている。
【0363】上記各駆動系の初段ギヤーは、本実施例で
は、太陽ギヤーに対し、同一距離に配置されており、各
初段ギヤーは図59にて示した上下に貫通した軸を有す
るタイプである。該軸の外周にはバネリング710が配
置されているが、本実施例では、図53にて示した構成
よりもバネリングは数倍の力量で各軸を太陽ギヤー側へ
押圧している。
【0364】各駆動系の必要とする駆動力を比較した場
合、本構成の3種の被駆動系は、巻上系に対して、バリ
ア系,画面切換系は十分弱くかつ安定した力量にて駆動
されるよう構成されている。
【0365】上記各ギヤーは上下の地板709(図65
では一部分のみ破線にて表示)で支持されるが、該地板
にはそれぞれの初段ギヤーが遊星ギヤーに対して退避可
能となるよう長溝が形成されている。
【0366】ところで、既述の実施例では遊星ギヤー,
初段ギヤー,2段目ギヤーの配置を一定の関係とするこ
とにより、極めて弱いバネ付勢力にてギヤー干渉を防止
し、かつ損失の少ない機構を示したが、装置全体の制約
上必ずしも、該条件を満足できない場合もある。しかし
ながら、駆動負荷が十分小さい場合には、それに勝るバ
ネ付勢力を与えることによりクラッチ機構を構成するこ
とが可能となる。
【0367】本実施例では、2つの被駆動系(バリア
系,画面切換系)を十分小さい負荷とすることにより、
レイアウトの自由度を増した例である。なお、遊星ギヤ
ーの公転方向は、図中、矢印で示しているが、公転,自
転また不図示の係止部材の関係は既述の例と同等であ
る。
【0368】今、初段ギヤーと2段目ギヤー、初段ギヤ
ーと遊星ギヤーにより定義される角度を見るとギヤー公
転方向に巻上系では角度はαとなる。ここで角度αは既
述の実施例ではα=90度〜150度の範囲に規定され
ていた。本実施例においても、巻上系は高負荷のため、
角度αは95度に設定されている。
【0369】次に、バリア系について見ると、初段ギヤ
ー705に対しギヤー706は角度βで配置されてい
る。該角度βは、β=250度に設定されており、遊星
ギヤーが本駆動系に駆動力が伝達される場合にはギヤー
705に作用するトータルの力は図65における矢印で
示した方向となる。
【0370】ギヤー705の軸に対しては、その進退用
として、ギヤー706の中心に対してほぼ同一半径上に
長軸が設けられている。よって、今、バネ付勢力がきわ
めて弱い場合を考えてみると、ギヤー705は、遊星ギ
ヤーの自転時にも、矢印方向の作用力により、長溝内を
移動し噛合がはずれてしまう。このため、本実施例では
強いバネ付勢力が必要となる訳であるが、この力を本実
施例では、バネリング710により軸部に付加してい
る。
【0371】次に画面切換系について見ると、初段ギヤ
ー707に対し角度γで2段目のギヤーが配置されてい
る。地板709にはギヤー708の中心よりほぼ同一距
離の長溝が設けられているが、ここで角度γはγ=24
0度に設定されており、遊星ギヤーがギヤー707に噛
合し自転した際にはギヤー707へのトータルの作用力
は長溝を滑り出す方向へ作用する。
【0372】画面切換系も負荷はバネ付勢力に対して十
分弱く設定されているため、実際の駆動においては、ギ
ヤー707は移動せずに動力をギヤー708へ伝達して
いく。
【0373】このような構成においても歯先同士の干渉
は生じえる訳であるが、地板709に設けられた長溝は
どちらの方向からギヤーが干渉しようとも初段のギヤー
は退避しうるような位置関係となっているため、クラッ
チ機構が動作不良を生じてしまう危険はない。
【0374】なお、バネリング710は干渉が終了し正
規の噛合が行われたときには略円形形状に復帰すること
は、いうまでもない。
【0375】図65においては、角度β=250度,γ
=240度に設定された例を説明したが、これらの角度
が180度となれば、初段ギヤーは一方向からの干渉に
しか対処できない。
【0376】以上から、バネ付勢力に対して十分弱い負
荷を駆動する場合には、公転方向から見た角度を210
度〜270度の範囲とすることによっても、両方向から
の歯先干渉を防止することが可能である。
【0377】なお、角度範囲は既述の90度〜150度
においても干渉防止は成立するため、本実施例を用いれ
ばギヤーのレイアウト自由度を大きく増すことが可能と
なる。
【0378】以上説明したように本実施例を用いれば、
ロータリークラッチにおいて各駆動系の初段ギヤーを退
避可能としたため、極めて小型でありながら、歯先干渉
が全く生じえないクラッチ機構を提供することが可能と
なるものである。
【0379】なお、上記各実施例はカメラに適用した例
を開示したが、モータにより駆動されるカメラ以外の分
野においても広く応用可能な機構である。
【0380】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、小
型で、歯先干渉のないクラッチ機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のクラッチ機構を適用した
カメラ上面図である。
【図2】上記図1に示すカメラの正面図である。
【図3】上記図1に示すカメラの下面図である。
【図4】上記図1に示すカメラにおけるストロボを収納
した状態を示す右側面図である。
【図5】上記図1に示すカメラの背面図である。
【図6】上記図1に示すカメラにおいてストロボ写真撮
影を行う際の状態を示した右側面図である。
【図7】上記図1に示すカメラにおけるモード設定部材
を示した要部拡大上面図である。
【図8】上記図1に示すカメラの中央断面上面図であ
る。
【図9】上記カメラにおける撮影光学系のWIDE端、
すなわち焦点距離f=28mmの状態を示した側面図で
ある。
【図10】上記カメラにおける撮影光学系のスタンダー
ド状態、すなわち焦点距離f=70mmの状態を示した
側面図である。
【図11】上記カメラにおける撮影光学系のTELE
端、すなわち焦点距離f=110mmの状態を示した側
面図である。
【図12】上記カメラにおける撮影光学系の沈胴状態を
示した側面図である。
【図13】上記カメラの内部斜視分解図である。
【図14】上記第1実施例のクラッチ機構における動力
ユニット内の動力分配を示したブロック図である。
【図15】上記第1実施例のクラッチ機構におけるシー
ケンスクラッチの原理を示した斜視図である。
【図16】上記第1実施例のクラッチ機構におけるクラ
ッチ部を示したモデル図である。
【図17】上記第1実施例のクラッチ機構におけるクラ
ッチ部を示したモデル図である。
【図18】上記第1実施例のクラッチ機構におけるクラ
ッチ部を示したモデル図である。
【図19】上記第1実施例のクラッチ機構におけるクラ
ッチ部を示したモデル図である。
【図20】上記第1実施例における遊星ギヤーを示した
拡大断面図である。
【図21】上記第1実施例における遊星ギヤーの他の例
を示した拡大断面図である。
【図22】上記第1実施例におけるモータからクラッチ
部までのギヤー列展開斜視図である。
【図23】上記第1実施例におけるシャッター・ミラー
系のギヤー列を示した展開斜視図である。
【図24】上記第1実施例におけるSMカムギヤーを示
した側面図である。58bを示した断面図であ
【図25】上記図24におけるA−A’断面の、ミラー
駆動用のカムを示した断面図である。
【図26】上記図24におけるB−B’断面の、シャッ
ターチャージ用カムを示した断面図である。
【図27】上記第1実施例におけるSMカムギヤーとミ
ラーレバーとが、通常の停止位置(ミラーダウン位置)
にあるときの関係を示した説明図である。
【図28】上記第1実施例におけるSMカムギヤーとミ
ラーレバーとが、ミラーアップ位置にあるときの関係を
示した説明図である。
【図29】上記第1実施例におけるミラー系の要部斜視
図である。
【図30】上記第1実施例におけるミラー系のミラー動
作を各レバーをモデル化した説明図である。
【図31】上記第1実施例におけるミラー系のミラー動
作を各レバーをモデル化した説明図である。
【図32】上記図1に示すカメラに用いられているフォ
ーカルプレーンシャッターを被写体側より見た概略図で
ある。
【図33】上記図24におけるB−B′断面近傍におけ
る、カメラの上側より見た上面図である。
【図34】上記図24におけるB−B′断面近傍におけ
る、カメラの上側より見た上面図である。
【図35】上記図23におけるタイミング基板を下面側
より見た下面図である。
【図36】上記第1実施例における巻上系のギヤー列を
示した展開斜視図である。
【図37】上記第1実施例における巻戻系のギヤー列を
示した展開斜視図である。
【図38】上記第1実施例におけるクラッチカムとクラ
ッチレバーの関係を示した説明図である。
【図39】上記第1実施例におけるクラッチカムとクラ
ッチレバーの関係を示した説明図である。
【図40】上記第1実施例におけるクラッチカムとクラ
ッチレバーの関係を示した説明図である。
【図41】上記第1実施例におけるクラッチカムとクラ
ッチレバーの関係を示した説明図である。
【図42】上記38に示すクラッチレバーのC−C′断
面を示した断面図である。
【図43】上記第1実施例におけるクラッチカムのカム
面を含む円周を展開した展開図である。
【図44】上記第1実施例におけるクラッチレバーとフ
ォトインタラプタSCPIとを示した斜視図である。
【図45】上記第1実施例のクラッチ機構における位置
検出装置の応用例を示したブロック図である。
【図46】上記第1実施例のクラッチ機構における、撮
影動作中のクラッチ機構について説明したタイミングチ
ャートである。
【図47】上記カメラにおける位置検出機構の電気的な
回路の構成を示す電気回路図である。
【図48】上記第1実施例におけるフォトインタラプタ
SCPIの出力信号波形を示した線図である。
【図49】上記第1実施例におけるフォトインタラプタ
SCPIの出力信号波形を示した線図である。
【図50】上記第1実施例におけるフォトインタラプタ
SCPIの出力信号波形を示した線図である。
【図51】上記第1実施例におけるフォトインタラプタ
SCPIの出力信号波形を示した線図である。
【図52】上記図16〜図19にて概念的に説明したロ
ータリークラッチを詳細に示した説明図である。
【図53】上記第1実施例におけるクラッチ機構の巻戻
系の初段ギヤー方向から遊星ギヤーが初期位置へ復帰す
る直前の状態を示した説明図である。
【図54】上記第1実施例における、初期位置、すなわ
ち、遊星ギヤーを正規の噛合位置へ移動させている状態
を示した説明図である。
【図55】上記第1実施例における初段ギヤーの構成を
説明する要部拡大斜視図である。
【図56】上記第1実施例における、遊星ギヤーと初段
ギヤーとの歯先衝突が生じた後の挙動を示した説明図で
ある。
【図57】上記第1実施例における初段ギヤーに作用す
る力についての説明図である。
【図58】本発明の第2実施例のクラッチ機構の要部上
面図である。
【図59】上記第2実施例における初段ギヤーの構成を
説明する要部拡大斜視図である。
【図60】上記第2実施例における初段ギヤーの組立状
態における要部拡大斜視図である。
【図61】上記第2実施例における遊星ギヤーと初段ギ
ヤーとで歯先干渉が生じ、該初段ギヤーが退避した状態
を示す上面図である。
【図62】本発明の第3実施例のクラッチ機構における
進退可能なギヤーの斜視図である。
【図63】上記第3実施例における初段ギヤーを支持す
る上側の地板と該初段ギヤーとの関係を示した要部拡大
図である。
【図64】上記第3実施例における初段ギヤーの下側に
広がる地板と該初段ギヤーとの関係を示した要部拡大図
である。
【図65】本発明の第4実施例のクラッチ機構を示した
上面図である。
【図66】上記第1実施例のクラッチ機構が適用された
カメラにおける、ミラーアップから絞り込み、シャッタ
ーレリーズミラーダウン、絞り開放フィルム巻上げ、シ
ャッターチャージの一連のシャッターレリーズシーケン
スを構成するサブルーチンの一部を示すフローチャート
である。
【図67】上記第1実施例のクラッチ機構が適用された
カメラにおける、ミラーアップから絞り込み、シャッタ
ーレリーズミラーダウン、絞り開放フィルム巻上げ、シ
ャッターチャージの一連のシャッターレリーズシーケン
スを構成するサブルーチンの一部を示すフローチャート
である。
【図68】上記第1実施例のクラッチ機構が適用された
カメラにおける、ミラーアップから絞り込み、シャッタ
ーレリーズミラーダウン、絞り開放フィルム巻上げ、シ
ャッターチャージの一連のシャッターレリーズシーケン
スを構成するサブルーチンの一部を示すフローチャート
である。
【図69】上記第1実施例のクラッチ機構が適用された
カメラにおいて、ミラーアップ,ミラーダウンのサブル
ーチンと該サブルーチン制御のためのフラグF_UTY
3,4と、ミラー,絞り駆動の関係を説明する表1であ
る。
【図70】上記第1実施例のクラッチ機構が適用された
カメラにおいて、フラグF_CNDT0,1とカメラ内
部でのフィルムの状態を説明する表2である。
【符号の説明】
1…撮影レンズ 2…レリーズボタン 11…鏡枠 12…ミラーボックス 13…シャッターユニット 14…モータ 15…パトローネ 16…スプール室 22…動力ユニット 26…シャッターチャージレバー 27…ミラー駆動レバー 31,41…太陽ギヤー 32,43…遊星ギヤー 33,45…シャッター・ミラー駆動系初段ギヤー 34,46…巻上げ駆動系初段ギヤー 35,44…巻戻し駆動系初段ギヤー 36,42…クラッチカム 37,47…クラッチレバー 501…太陽ギヤー 502…クラッチカム 503…遊星ギヤー 504…クラッチレバー 505,506,507…初段ギヤー(被駆動ギヤー) 508…フォトインタラプタ 509…付勢バネ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 17/00 G03B 17/26 - 17/34 G03B 17/38 - 17/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源と、 この駆動源により正逆回転される太陽ギヤーと、 この太陽ギヤーの一方向回転により該太陽ギヤー周りに
    第一方向に一周公転可能で、他方向回転により該太陽ギ
    ヤー周りに第二方向に公転することが可能な遊星ギヤー
    と、上記太陽ギヤーの上記一方向回転による上記遊星ギヤー
    の公転を自由に許容し、上記太陽ギヤーの上記他方向回
    転による上記遊星ギヤーの公転を規制する規制部材と、 上記駆動源による上記太陽ギヤーの回転方向を制御する
    ことで、太陽ギヤーを一方向回転させて該太陽ギヤー周
    りに上記遊星ギヤーを第一方向に公転させた後、上記太
    陽ギヤーを他方向回転させて上記遊星ギヤーを第二方向
    に公転させて、上記規制部材により規制可能な公転軌跡
    上の複数の規制位置から選択した自転位置にて公転を規
    制して、該選択した該自転位置で上記太陽ギヤーの上記
    他方向回転による上記遊星ギヤーの自転をさせるように
    する制御手段と、 上記 遊星ギヤーの自転位置において上記太陽ギヤーと上
    記遊星ギヤーとの中心を結ぶ線分上に回転中心がある状
    態で該遊星ギヤーと噛合するように配置され、上記太陽
    ギヤーの上記他方向回転による上記遊星ギヤーの自転に
    より駆動される複数の被駆動ギヤーと、上記制御手段による上記遊星ギヤーの第一方向及び第二
    方向の公転により上記遊星ギヤーと噛合する複数の被駆
    動ギヤーをそれぞれ、上記太陽ギヤーと上記遊星ギヤー
    との中心を結ぶ線分の略延長線上を、上記遊星ギヤーと
    の噛合位置から噛合離脱位置まで少なくとも全歯タケ量
    分移動可能に支持する移動支持手段と、 上記移動可能に支持された上記複数の被駆動ギヤーを上
    記遊星ギヤーと噛合可能な方向へ常時付勢しておく付勢
    手段と、 を具備する ことを特徴とするクラッチ機構。
  2. 【請求項2】 上記遊星ギヤーが上記被駆動ギヤーと噛
    合している上記自転位置にあるとき、上記被駆動ギヤー
    と上記遊星ギヤーの中心を結んだ線分と、上記被駆動
    ギヤーと該被駆動ギヤーに常時噛合している次段のギヤ
    ーとの中心を結んだ線分との成す角度は、上記太陽ギヤ
    ーの上記一方向回転により上記第一方向に公転する上記
    遊星ギヤーの公転側に90°乃至150°であることを
    特徴とする請求項1に記載のクラッチ機構。
  3. 【請求項3】 上記複数の被駆動ギヤーのうち少なくと
    も一つの被駆動ギヤーは、上記自転位置にて上記遊星ギ
    ヤーと噛合伝達状態にあるとき、 上記被駆動ギヤーと上記遊星ギヤーの中心を結んだ線
    分と、上記被駆動ギヤーと該被駆動ギヤーに常時噛合し
    ている次段のギヤーとの中心を結んだ線分との成す角度
    が、上記太陽ギヤーの上記一方向回転により上記第一方
    向に公転する上記遊星ギヤーの公転側に210°乃至2
    70°になるように配置され、且つ、上記少なくとも一つの被駆動ギヤーにはその駆動
    負荷に勝る付勢力を上記付勢手段により与えられて、上
    記遊星ギヤーとの噛合が維持されるようになっているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の クラッチ機構。
  4. 【請求項4】 上記複数の被駆動ギヤーはそれぞれ、該
    被駆動ギヤーの両面に突出する回転軸部を一体成形され
    て形成され、上記付勢手段は上記回転軸部に当接して付
    勢力を上記被駆動ギヤーに与えていることを特徴とする
    請求項1に記載のクラッチ機構。
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