JP3370233B2 - 流体継手用流体組成物 - Google Patents

流体継手用流体組成物

Info

Publication number
JP3370233B2
JP3370233B2 JP15486796A JP15486796A JP3370233B2 JP 3370233 B2 JP3370233 B2 JP 3370233B2 JP 15486796 A JP15486796 A JP 15486796A JP 15486796 A JP15486796 A JP 15486796A JP 3370233 B2 JP3370233 B2 JP 3370233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
atom
weight
general formula
fluid composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15486796A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09316477A (ja
Inventor
智浩 加藤
正彦 早舩
智和 日浦
布治 馬守
誠 神原
良信 中村
高義 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Tonen General Sekiyu KK
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tonen General Sekiyu KK, Toyota Motor Corp filed Critical Tonen General Sekiyu KK
Priority to JP15486796A priority Critical patent/JP3370233B2/ja
Publication of JPH09316477A publication Critical patent/JPH09316477A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3370233B2 publication Critical patent/JP3370233B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の属する技術分野】本発明は、流体継手用流体
組成物に関するものであり、さらに詳しくは、流体継手
装置内シール部に使用されているゴムに対する適合性を
低下させることなく粘度安定性、トルク安定性およびゲ
ル防止性能の耐久性を改善した流体継手用流体組成物に
関するものである。本発明の流体組成物は特にビスカス
カップリング用の粘性流体として好適である。
【0002】
【従来の技術】流体継手は流体を利用する動力伝達装置
であり、各種の構造と作用を有するものがあるが、動力
の伝達に流体の粘性を利用するビスカスカップリングが
自動車の差動制御装置、四輪駆動車の差動歯車または自
動車用内燃機関の冷却ファンの伝動装置等に使用されて
いる。
【0003】ビスカスカップリングは、滑らかなすべり
を許す一種の液体クラッチであり、その具体的な構造と
しては、駆動軸(入力軸)側に移動可能なように配列さ
れた複数枚のインナープレートと、被駆動軸(出力軸)
側にセパレートリングなどのスペーサーによって、交互
に組み合わされた各プレート間が一定間隔を保つように
された複数枚のアウタープレートとを交互に組み合わ
せ、ハウジング内に収容し、これにトルク伝達用の粘性
流体を充填して構成したものが代表的なものである。粘
性流体は、上記の多数のプレート間に充填されている。
ビスカスカップリングは、駆動軸側と被駆動軸側とに回
転速度差が生じると、プレート内に粘性トルクが発生
し、回転トルク差に比例したトルクが被駆動軸側に伝達
される。
【0004】粘性流体としては、一般に高粘度のシリコ
ーン油が使用されている。シリコーン油として、具体的
には、ジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシ
ロキサンなどのポリオルガノシロキサンが使用されてい
る。これらのポリオルガノシロキサンは、他の基油と比
較して耐熱性および耐酸化性が良好であると共に、温度
−粘度特性も広い範囲にわたって良好で、高い粘度指数
(VI)を有する。しかしながら、ビスカスカップリン
グの使用条件によっては、油温が100℃〜180℃程
度にまで上昇し、例えば、ハンプースタックの繰り返し
のような苛酷な条件下では、200℃を超えるような高
温になるため、ポリオルガノシロキサンの安定性が低下
して、プレートの異常摩耗やポリオルガノシロキサンの
ゲル化が起こる。ポリオルガノシロキサンのゲル化は、
ポリマーの重合反応が起こって増粘すると考えられてい
る。したがって、ゲル化にともない粘度安定性も損なわ
れる。
【0005】このように、ポリオルガノシロキサンは高
温下における安定性が低く、苛酷な使用条件下で長期に
わたって安定的にトルク伝達性能を維持することが困難
である。従来、これらの対策として、酸化防止剤や極圧
剤などの各種添加剤を配合することが提案されている。
例えば、特開昭64−65195号には、ポリオルガノ
シロキサンに特定のイオウ系化合物やジアルキルジチオ
カルバミン酸金属塩を配合したビスカスカップリング用
流体組成物が提案されている。また、特開平2−911
96号には、ポリオルガノシロキサンに特定のリン系化
合物を配合したビスカスカップリング用流体組成物が提
案されている。さらに、特開平3−269093号に
は、ポリオルガノシロキサンに金属不活性化剤を0.0
1重量%〜1.0重量%の割合で配合したビスカスカッ
プリング用流体組成物が開示されている。しかし、これ
ら従来の流体組成物は、ゲル化防止性能、粘度安定性お
よびトルク安定性の改善が図られているが、ゴム適合性
の点では十分でなかった。ビスカスカップリングには、
シール部などにフッ素ゴムなどのゴム製品が使用されて
いるが、流体組成物のゴム適合性が悪いと、ゴム製品が
劣化し、その結果、オイル漏れや外部のギヤ油の混入等
が起こり、ビスカスカップリング自体の耐久性が低下す
るという問題が生ずる。従って、本発明者らは、先きに
ポリオルガノシロキサンにチアジアゾール誘導体0.0
5重量%〜0.15重量%およびリン系化合物0.1重
量%〜0.3重量%を含有させることにより、粘度安定
性、トルク安定性およびポリオルガノシロキサンのゲル
化防止性能と共にシール部ゴム製品に対する適合性に優
れた流体組成物を提案した(特開平7−278584
号)。しかしながら、ゴム適合性は流体組成物の実用上
極めて重要であり、ゴムに対する適合性を低下させるこ
となく、粘度安定性、トルク安定性およびゲル化防止性
能の耐久性を向上させた流体組成物の開発がさらに切望
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な開発状況に鑑み、ゴムに対する適合性が改良され、か
つ、長期間の使用によっても劣化が抑制され、粘度安定
性、トルク安定性およびゲル化防止性能の耐久性に優れ
た流体継手用流体組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポ
リオルガノシロキサンに、特定のチアジアゾール誘導
体、チオリン酸エステルおよびリン酸エステルを、各
々、特定量添加することにより、上記の本発明者らが提
案した流体組成物をさらに改良し、究極の高品質流体組
成物を提案できることを見い出し、この知見に基いて本
発明に想到した。
【0008】すなわち、本発明は、25℃における粘度
が50mm2 /s〜1,000,000mm2 /sのポ
リオルガノシロキサンに流体組成物全重量基準で、 a)下記一般式[I]〜[III]
【0009】
【化7】
【0010】
【化8】
【0011】
【化9】 (上記一般式[I]〜[III]において、R1 および
2 は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよ
く、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子および硫
黄原子からなる群から選択される少なくとも一種から構
成された飽和または不飽和の一価の基または原子であ
る。ただし、上記各一般式において、R1 およびR2
少なくとも一つは、下記一般式[IV]
【0012】
【化10】 (上記一般式[IV]において、R3 は炭素原子、水素
原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群か
ら選択される少なくとも一種から構成された飽和または
不飽和の一価の基または原子であり、xは1以上の整数
である。)で表される一価の基である。)で表される化
合物からなる群から選択される少なくとも一種のチアジ
アゾール誘導体0.05重量%〜0.15重量%、 b)下記一般式[V]
【0013】
【化12】 (上記一般式[V]において、R4 、R5 およびR6
は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、
炭素数〜20のアリール基、アラルキル基またはアル
アリール基である。)で表されるチオリン酸エステル
0.1重量%〜0.3重量%、および c)下記一般式[VI]
【0014】
【化13】 (上記一般式[VI]において、R7 、R8 およびR9
は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、
炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表されるリン
酸エステル0.6重量%〜0.7重量%を含有させたこ
とを特徴とする流体継手用流体組成物(但し、次の一般
式[XII]で表される硫黄原子含有化合物を含むもの
を除く
【化14】 式[XII]中、nは、1以上の整数であり、R 10
びR 11 は、それぞれ独立に一価の基であり、該一価の
基を構成する原子として、炭素原子、水素原子、酸素原
子、窒素原子、硫黄原子、及び珪素原子から選ばれる1
種または2種以上を含有し、かつ、その少なくとも一方
は、珪素原子を含む一価の基であり、さらに、これらの
一価の基は、互いに結合して環状構造を形成していても
よい。)に関するものである。
【0015】さらに、本発明は、好ましい実施の態様と
して、25℃における粘度が5,000mm2 /s〜
1,000,000mm2 /sのポリオルガノシロキサ
ンに、流体組成物全重量基準で、 a)下記一般式[I]
【0016】
【化13】 (上記一般式[I]において、R1 およびR2 は、各
々、互いに、同一であっても異なっていてもよく、少な
くとも一つが下記一般式[IV]
【0017】
【化14】 (上記一般式[IV]においてR3 は炭素原子、水素原
子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から
選択される少なくとも一種から構成された飽和または不
飽和の一価の基または原子であり、xは1〜3の整数で
ある。)で表される一価の基であり、他の一つが炭素原
子、水素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から
なる群から選択される少なくとも一種から構成された飽
和または不飽和の基または原子である。)で表されるチ
アジアゾール誘導体0.05重量%〜0.15重量%、 b)下記一般式[V]
【0018】
【化15】 (上記一般式[V]においてR4 、R5 およびR6 は、
各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素
数1〜20の炭化水素基である。)で表されるチオリン
酸エステル0.1重量%〜0.3重量%および c)下記一般式[VI]
【0019】
【化16】 (上記一般式[VI]において、R7 、R8 およびR9
は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、
炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表されるリン
酸エステル0.6重量%〜0.7重量%を含有させてな
る流体継手用流体組成物を提供することができる。
【0020】本発明は、さらに好ましい実施の態様とし
て、上記流体組成物に、酸化防止剤を0.01重量%〜
2重量%の割合で含有させてなる流体継手用流体組成物
を提供することができる。
【0021】本発明の特異性の一つは、ポリオルガノシ
ロキサン基油に特定のチアジアゾール誘導体、チオリン
酸エステルおよびリン酸エステルを各々特定量含有させ
た点にあり、ゴム適合性と品質耐久性の本来両立困難な
相反する性能を同時に達成し得た流体継手用流体組成物
を提供することにある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0023】基油 本発明で使用する基油は、25℃で測定した粘度が50
mm2 /s〜1,000,000mm2 /s(cSt)
のポリオルガノシロキサンである。好ましい粘度は5,
000mm2 /s〜1,000,000mm2 /sであ
り、より好ましくは、5,000mm2 /s〜500,
000mm2 /sである。このようなポリオルガノシロ
キサンとしては、下記の一般式[VII]で表されるポ
リマーが代表的なものである。
【0024】
【化17】 上記一般式中[VII]において、各Rは、各々、互い
に同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の炭化
水素基である。この炭化水素基は、所望によりハロゲン
原子で置換されたものであってもよい。nは、1〜30
00、好ましくは400〜1500の整数である。上記
炭化水素基としては炭素数1〜18の直鎖状または分岐
状アルキル基;炭素数6〜18のアリール基、アラルキ
ル基、アルアリール基等を用いることができ、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オ
クタデシル基のようなアルキル基;フェニル基、ナフチ
ル基のようなアリール基;ベンジル基、1−フェニルエ
チル基、2−フェニルエチル基のようなアラルキル基;
o−,m−,p−ジフェニル基のようなアルアリール
基;o−,m−,p−クロルフェニル基、o−,m−,
p−ブロムフェニル基、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびヘ
プタフルオロ−n−プロピル基のようなハロゲン化炭化
水素基を例示することができる。特に、脂肪族不飽和基
を除く炭素数1〜8のフッ素化炭化水素基、メチル基お
よびフェニル基が好ましい。また、メチルポリシロキサ
ンとフェニルポリシロキサンの混合物を使用してもよ
い。
【0025】チアジアゾール誘導体 本発明の流体継手用流体に用いられる必須成分としての
チアジアゾール誘導体は、上記一般式[I]、[II]
および[III]で表される化合物からなる群から選択
される少なくとも一種の化合物である。
【0026】一般式[I]〜[III]において、R1
およびR2 が各々、互いに同一であっても異なっていて
もよく、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子およ
び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも一種か
ら構成された飽和もしくは不飽和の一価の基または原子
である化合物である。ただし、一般式[I]〜[II
I]のR1 およびR2 の少なくとも一つは、下記一般式
[IV]
【0027】
【化18】 で表される一価の基である。
【0028】上記一般式[IV]において、R3 は、炭
素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子
からなる群から選択される少なくとも一種から構成され
た飽和または不飽和の一価の基または原子であり、xは
1以上、好ましくは2または3の整数である。
【0029】R3 の具体例としては、炭素数1〜20の
炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;2−
フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等の置換ア
ルキル基;ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のア
リール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基
等を挙げることができ、これらの基は、カルボキシル
基、エステル、アルコール、アミノ基を有するものでも
よい。
【0030】上記一般式[I]〜[III]のR1 およ
びR2 の一価の基としては−Sx−R3 基以外、例え
ば、炭素数1〜20の炭化水素基を挙げることができ
る。炭化水素基としては具体的には例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等
のアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプ
ロピル基等の置換アルキル基;ビニル基、プロペニル基
等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチ
ル基等のアラルキル基を例示することができ、さらに、
これらの基は、カルボキシル基、エステル、アルコー
ル、アミノ基等を含むことができる。また、R1 および
2 は、チアジアゾール誘導体であってもよい。
【0031】上記一般式[IV]において、R3 の一価
の基は炭素数1以上の炭化水素基であり、具体的には、
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基等のアルキル基;2−フェニルエチル
基、2−フェニルプロピル基等の置換アルキル基;ビニ
ル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ト
リル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベン
ジル基、フェネチル基等のアラルキル基等を挙げること
ができ、さらに、これらの基はカルボキシル基、エステ
ル、アルコール、アミノ基等を含むことができる。
【0032】本発明の流体継手用流体組成物に用いられ
るチアジアゾール誘導体の具体例としては、2,5−ジ
メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカ
プト−5−メチルメルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ール、ジ−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル)ジスルフィド、2,5−ビス(n−オ
クチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−ア
ミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、
これらの化合物の誘導体(例えば、メルカプト基をアル
キル化したアルキル化誘導体)およびこれらの二種以上
の混合物が挙げられる。これらのチアジアゾール誘導体
のうち2,5−ジオクチルメルカプト−1,3,4−チ
アジアゾールが、ゲル化防止の作用効果が優れているた
め、特に好ましい。
【0033】上記特定のチアジアゾール誘導体を使用す
ることにより、高温条件下であっても、基油のポリオル
ガノシロキサンのゲル化を抑制し、粘度変化やトルク変
化が小さい流体組成物を得ることができる。チアジアゾ
ール誘導体は、流体組成物全重量基準で、0.05重量
%〜0.15重量%、好ましくは0.07重量%〜0.
13重量%の割合で使用する。チアジアゾール誘導体と
特定のリン系化合物を併用すると、このような極めて限
定された少量のチアジアゾール誘導体を添加するだけ
で、高温条件下であっても、特にゴム適合性およびポリ
オルガノシロキサンのゲル化防止性能に優れた流体組成
物を得ることができる。
【0034】しかも、0.05重量%〜0.15重量%
という限定された少量のチアジアゾール誘導体を添加す
ると、シール部などのゴム製品に対する適合性が顕著に
改善された流体組成物を得ることができる。従って、本
発明の流体組成物を用いると、ビスカスカップリング装
置の耐久性が顕著に改善される。チアジアゾール誘導体
の含有量が、0.05重量%未満であると、十分な安定
化効果が得られず、逆に、0.15重量%を超えると、
ゴム適合性が急激に低下する。
【0035】チオリン酸エステル 本発明の流体継手用流体組成物に用いられるチオリン酸
エステルは、上記のチアジアゾール誘導体と共に用いら
れ上記一般式[V]で表される化合物である。上記一般
式[V]において、R4 、R5 およびR6 は、各々、互
いに同一であっても異なるものであってもよく、炭素数
1〜20の炭化水素基である。炭化水素基としては、例
えば、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル
基;炭素数2〜20の直鎖状または分岐状アルケニル
基;炭素数6〜20のアリール基;アラルキル基、アル
アリール基等を挙げることができ、またこれらのハロゲ
ン化物も用いることができる。好ましい炭化水素基はア
リール基であり、具体的には、フェニル基、クレジル
基、キシレニル基、イソオクチルフェニル基、エチルフ
ェニル基、プロピルフェニル基等を例示することがで
き、特に、フェニル基、クレジル基、キシレニル基が好
ましい。一般式[V]で表される化合物としては、トリ
アリールホスホロチオネート、アルキルジアリールホス
ホロチオネート等を挙げることができ、具体的にはトリ
フェニルホスホロチオネートを用いることができる。特
に、トリアリールホスホロチオネートの構造を有する化
合物が熱安定化効果の点で好ましい。
【0036】本発明の流体継手用流体組成物には上記一
般式[V]で表される化合物を流体組成物全重量基準で
0.1重量%〜0.3重量%、好ましくは、0.15重
量%〜0.25重量%含有させることができる。その含
有量が0.1重量%未満では、十分な作用が得られず、
0.3重量%を超えても増量に応じた効果が得られな
い。
【0037】本発明のチオリン酸エステルは、摩耗防止
剤として作用するものであるが、本発明の流体組成物に
おいては、チアジアゾール誘導体の有する粘度安定化、
トルク安定化およびポリオルガノシロキサンのゲル化防
止の作用効果を高める働きをする。
【0038】本発明の流体継手用流体組成物の必須成分
のリン酸エステルとしては一般式[VI]で表される化
合物を用いることができる。一般式[VI]において、
7、R8 およびR9 は、各々、同一であっても異なる
ものであってもよく、炭素数1〜20の炭化水素基であ
り、例えば、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜
20のアリール基、アラルキル基、アルアリール基を挙
げることができ、これらのハロゲン化物も用いることが
できる。炭化水素基としては、アリール基、アラルキル
基、アルアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、
クレジル基、キシレニル基、イソオクチルフェニル基等
を挙げることができる。一般式[VI]で表される化合
物としてはトリアリールホスフェートを挙げることがで
き、具体的には、ベンジルジフェニルホスフェート、ア
リルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、エチルジフェニルホス
フェート、トリブチルホスフェート、クレジルジフェニ
ルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、エ
チルフェニルジフェニルホスフェート、ジエチルフェニ
ルフェニルホスフェート、プロピルフェニルジフェニル
ホスフェート、ジプロピルフェニルフェニルホスフェー
ト、トリエチルフェニルホスフェート、トリプロピルフ
ェニルホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフ
ェート、ジブチルフェニルフェニルホスフェート、トリ
ブチルフェニルホスフェート、プロピルフェニルフェニ
ルホスフェート混合物、ブチルフェニルフェニルホスフ
ェート混合物等のリン酸エステルを用いることができ
る。
【0039】上記一般式[VI]で表される化合物は、
流体組成物中に組成物全重量基準で、0.6重量%〜
0.7重量%含有させることができる。含有量が0.6
重量%未満の場合、保存時分離現象が現われ、一方、
0.7重量%を超えると同様に沈澱生成等が生じ、実用
に供することができなくなるおそれが生ずる。
【0040】酸化防止剤 本発明の流体継手用流体組成物の耐久性を確保するため
に、上記のa)〜c)の必須成分に加えて、酸化防止剤
を配合することが好ましい。
【0041】酸化防止剤としては、下記一般式[VII
I]
【0042】
【化19】 または下記一般式[IX]
【0043】
【化20】 で表されるアミン系化合物、下記一般式[X]
【0044】
【化21】 または下記一般式[XI]
【0045】
【化22】 で表されるフェノール系化合物を用いることができる。
【0046】上記一般式[VIII]〜[XI]におい
て、Rはすべて同一であっても異なっていてもよく、炭
素数1〜18の炭化水素基であり、xは、アルキレン基
または硫黄原子である。炭化水素基としては、例えば、
炭素数1〜18のアルキル基;炭素数2〜18のアルケ
ニル基;炭素数6〜18のアリール基であり、アリール
基は置換基として炭素数1〜12のアルキル基を有して
いてもよい。好ましい炭化水素基は炭素数1〜10のア
ルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基等を挙げることができる。具体的には、
化合物として、例えば、p,p’−ジブチルジフェニル
アミン、p,p’−ジペンチルジフェニルアミン、p,
p’−ジヘキシルジフェニルアミン、p,p’−ジヘプ
チルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニ
ルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、モノ
オクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミ
ン、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジ
フェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テ
トラノニルジフェニルアミン、炭素数4〜9の混合アル
キルジフェニルアミン等のアルキルジフェニルアミン、
フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチ
ルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキ
シルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル
−α−ナフチルアミン等のアルキルフェニル−α−ナフ
チルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチ
アジン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミ
ン、アクリジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチ
ルフェノチアジン、ジピリジルアミン、ジフェニルアミ
ン、フェノールアミン、2,6−ジ−t−ブチル−α−
ジメチルアミノパラクレゾール等のアミン系化合物;
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ
−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4
−エチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6
−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール系化合物
を用いることができる。また、鉄オクトエート、フェロ
セン、鉄ナフトエート等の有機鉄塩;セリウムナフトエ
ート、セリウムトルエート等の有機セリウム塩;ジルコ
ニウムオクトエート等の有機ジルコニウム塩等の有機金
属化合物系化合物;およびこれらの二種以上の混合物を
用いることもできる。酸化防止剤は、流体組成物全重量
基準で、通常、0.01重量%〜2重量%、好ましくは
0.05重量%〜1重量%の割合で使用する。この含有
量が過小では、添加効果が小さく、逆に、過大である
と、経済的ではなく、物性が低下するおそれもある。
【0047】その他の添加剤 本発明の流体継手用流体組成物には、本発明の目的を損
なわない範囲内において、所望により各種添加剤を配合
することができる。このような添加剤としては、例え
ば、(1)イソステアレート、n−オクタデシルアンモ
ニウムステアレート、N,N’−テトラアルキルプロピ
レンジアミン、ナフテン酸鉛、ソルビタンオレート、ペ
ンタエリスルット・オレート、オレイルザルコシン、ア
ルキルこはく酸、アルケニルこはく酸、およびこれらの
誘導体、(2)ビスリン酸エステル系化合物、ビスチオ
リン酸エステル系化合物、ビスジチオリン酸エステル系
化合物、(3)ジ−n−ブチルヘキシルホスフォネー
ト、n−ブチル−n−ジオクチルホスフィネート、ヘキ
サメチルホスフォリックトリアミド、ジブチルホスフォ
ロアミデートなどのリン系化合物、(4)ジフェニルス
ルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジ−n−ブチルス
ルフィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−t−ドデ
シルジスルフィド、ジ−t−ドデシルトリスルフィド等
のスルフィド類、(5)硫化パームオイル、硫化ジペン
テン等の硫化油脂類、(6)キサンチックジサルファイ
ド等のチオカーボネート類、(7)一級アルキルチオリ
ン酸亜鉛、二級アルキルチオ硫酸亜鉛、アルキル−アリ
−ルチオリン酸亜鉛、アリルチオ酸亜鉛等のチオ燐酸亜
鉛、(8)カルパメート系化合物等を挙げることができ
る。これらの添加剤は、粘度安定性、トルク安定性、摩
耗粉量の減少等、流体組成物の品質を向上させるため
に、0.001重量%〜5重量%の範囲内で、各適量を
使用することができる。
【0048】ゴム適合性 本発明の流体継手用流体組成物は、広範な種類のゴムに
対する適合性に優れているが、特にその効果が良好に表
れるゴムの種類としては、スチレンブタジエンゴム、ア
クリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソ
プレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリ
エチレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリ
コーンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、
アクリルゴム等が挙げられ、これらの中でも特に顕著に
効果が表れるものとしては、フッ素ゴムが挙げられる。
【0049】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明を
さらに具体的に説明する。
【0050】試作油の性能を次の方法により評価した。 (1)耐久性 試作油を100枚の円盤を有するビスカスカップリング
中に25℃で、85容量%の充填率で充填した。ビスカ
スカップリングを150℃の高温に保持された浴中に配
置し、回転数差30rpmで500時間〜1,000時
間運転した。運転時間経過後、粘度変化とトルク変化を
測定した(表1の運転条件参照。)。 (2)ゴム適合性 試作油を用いて、200℃で96時間の条件でゴム浸漬
試験を行い、ゴム試料の伸び変化率及び引張強度変化率
を測定した。ゴム試料にはフッ素ゴムを使用した。ま
た、測定法はJIS K−6301に準拠して行った。
【0051】実施例1 基油としてのジメチルシリコーン(25℃での動粘度
8,000mm2 /s)にジフェニルアミンを0.3重
量%、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ールを0.1重量%、トリフェニルホスフォロチオネー
トを0.3重量%、およびトリクレジルホスフェートを
0.6重量%になるように各成分を各々添加して流体組
成物を調製し、試作油1とした。上記の品質耐久性の評
価に供し、粘度変化およびトルク変化を測定した。その
結果を表1に示す。
【0052】比較例1 トリフェニルホスフォロチオネートおよびトリクレジル
ホスフェートを添加しなかったこと以外すべて実施例1
と同様にして流体組成物を調製し、試作油aとした。試
作油aは、実施例1と同一の条件で性能評価に供した。
【0053】比較例2 トリクレジルホスフェートの添加量を0.3重量%と半
減させたことを除いてすべて実施例1と同様にして流体
組成物を調製し、試作油bとした。性能評価の結果を表
1に示す。
【0054】比較例3〜6 トリフェニルホスフォロチオネートを欠如(比較例
3)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ールを欠如(比較例4)、トリクレジルホスフェートを
欠如(比較例5)、トリクレジルホスフェートを0.9
重量%に増量(比較例6)したこと以外すべて実施例1
と同様にして、各々、流体組成物を調製し、各々、試作
油c、試作油d、試作油eおよび試作油fとした。性能
評価結果を表1に示す。ただし、2,5−ジメルカプト
−1,3,4−チアジアゾールを欠如した流体組成物試
作油d(比較例4)は、トルクが著しく上昇したので性
能評価を停止した。また、トリクレジルホスフェートを
特定量以上に増量した流体組成物試作油f(比較例6)
は、保存時に分離したので性能評価はできなかった。
【0055】実施例2 基油として25℃における動粘度8,000cStのジ
メチルシリコーンの代わりに、15,000cStのジ
メチルシリコーンを用いたことおよびトリクレジルホス
フェートの代わりにキシレニルジフェニルホスフェート
を用いたこと以外すべて実施例1と同様にして流体組成
物を調製し、試作油2とした。性能評価結果を表1に示
す。
【0056】実施例3 ジフェニルアミンを用いなかったこと以外すべて実施例
2と同様にして流体組成物を調製し、試作油3とした。
性能評価結果を表1に示す。
【0057】比較例7 トリクレジルホスフェート0.6重量%の代わりにキシ
レニルジフェニルホスフェートを0.4重量%用いたこ
と以外すべて実施例2と同様にして流体組成物を調製
し、試作油fとした。性能評価結果を表1に示す。
【0058】実施例4 基油として、25℃における動粘度が100,000c
Stのジメチルシリコーンにジフェニルアミンを0.1
重量%、2,5−ジメルカプト−1,3−チアジアゾー
ルを0.1重量%、トリフェニルホスフォロチオネート
を0.3重量%およびキシレニルジフェニルホスフェー
トを0.6重量%になるように各成分を各々添加して流
体組成物を調製し、試作油4とした。性能評価を表1に
示す。
【0059】比較例8 2,5−ジメルカプト−1,3−チアジアゾールを0.
1重量%から0.5重量%に増量し、キシレニルジフェ
ニルホスフェートを0.6重量%から0.4重量%に減
量したこと以外すべて実施例4と同様にして流体組成物
を調製し、試作油hとした。性能評価の結果を表1に示
す。
【0060】比較例9 トリフェニルホスフォロチオネートを0.3重量%から
特定量以上の0.6重量%に増量したことおよびキシレ
ニルジフェニルホスフェートを0.6重量%から特定量
以下の0.4重量%に減量させたこと以外すべて実施例
4と同様にして流体組成物を調製し、試作油iとした。
試作油iは保存時に沈殿が発生したので性能評価はでき
なかった。
【0061】実施例5 基油としてのジメチルシリコーン(25℃における動粘
度500,000cSt)にジフェニルアミンを0.5
重量%、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジア
ゾールを0.1重量%、トリフェニルホスフォロチオネ
ートを0.3重量%、キシレニルジフェニルホスフェー
トを0.6重量%になるように各成分を各々添加し流体
組成物を調製し、試作油5とした。
【0062】比較例10 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを
0.1重量%から0.5重量%に増量したことおよびキ
シレニルジフェニルホスフェートを添加しなかったこと
以外すべて実施例5と同様にして流体組成物を調製し、
試作油jとした。トルクが著しく上昇したので性能評価
を停止した。
【0063】実施例6 チアジアゾール誘導体を0.1重量%から0.15重量
%、0.25重量%、0.5重量%へと増量させたこと
以外すべて実施例1と同様にして各々のチアジアゾール
誘導体の含有量の異なる流体組成物を調製した。ゴム適
合性評価結果を表2、図1および図2に示す。
【0064】比較例11 チアジアゾール誘導体の含有量を0.1重量%から0.
15重量%、0.25重量%、0.5重量%へと増量さ
せたこと以外すべて比較例5と同様にして、チアジアゾ
ール誘導体の含有量の異なる流体組成物を調製し、試作
油kとした。試作油kのゴム適合性評価結果を表2、図
1および図2に示す。
【0065】実施例7 チアジアゾール誘導体の含有量を0.1重量%から0.
15重量%、0.25重量%、0.5重量%へと増量さ
せたこと以外すべて実施例5と同様にしてチアジアゾー
ル誘導体の含有量の異なる流体組成物を調製し、試作油
7とした。試作油7のゴム適合性評価結果を表3、図3
および図4に示す。
【0066】比較例12 チアジアゾール誘導体の含有量を0.5重量%から0.
1重量%、0.15重量%、0.25重量%に変化させ
たこと以外すべて比較例10と同様にしてチアジアゾー
ル誘導体の含有量の異なる流体組成物を調製し、試作油
lとした。試作油のゴム適合性評価結果を表3、図3お
よび図4に示す。
【0067】
【表1】 注記) *1:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ール *2:アルキルジフェニルアミン *3:XDP(大八化学工業株式会社) *4:PX−110(大八化学工業株式会社)
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】 以上説明した実施例および比較例から、a)チアジアゾ
ール誘導体、b)チオリン酸エステルおよびc)リン酸
エステルを必須成分とし、各々、特定量用いた流体組成
物がゴム適合性を低下させることなく、耐久性を向上で
きることが明らかである。
【0070】実施例1によれば、a)〜c)の三成分の
相乗効果により、1000時間の実機運転後の粘度変化
3%、トルク変化−1%の極めて良好な耐久性を示し
た。これに対し、チオリン酸エステルおよびリン酸エス
テルを欠如した試作油は粘度変化が17%、トルク変化
が15%と悪化し(比較例1)、必須三成分を含有して
いてもリン酸エステルの含有量が0.3重量%と少ない
場合、粘度変化、トルク変化共に、各々、13%、14
%と悪化し(比較例2)、一方、リン酸エステルの含有
量が0.9重量%と多過ぎる場合は保存時分離現象が生
じた(比較例6)。これらの点からリン酸エステルの含
有量0.6重量%〜0.7重量%は耐久性改善にとって
臨界的な範囲であることが明らかとなった。また、チア
ジアゾール誘導体およびチオリン酸エステルの含有量も
多過ぎると、流体組成物の耐久性を低下させることも示
されている(比較例8および9)。このような結果か
ら、チアジアゾール誘導体の添加量を制御することによ
り、流体組成物のゴム適合性を維持しながら耐久性を改
善できることが明らかとなった。また、チアジアゾール
誘導体はゴム適合性の観点から添加量に制限があり、一
方、リン酸エステルを増量してもゴム適合性に影響を与
えないことも明らかになった(実施例6および7、比較
例11および12)。
【0071】
【発明の効果】本発明は、オルガノポリシロキサン基油
に必須成分としてチアゾール誘導体、チオリン酸エステ
ルおよびリン酸エステルの特定量を添加することによ
り、ゴム適合性を低下させることなく、粘度安定性、ト
ルク安定性およびゲル防止性能の耐久性を改善した流体
継手用流体組成物を提供することができる。従って、本
発明の流体組成物をビスカスカップリング用流体組成物
として使用すると、シール部等のゴム製品に対する適合
性を維持しながら、長期耐久性を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6および比較例11の流体組成物にお
いて、チアジアゾール誘導体の添加量とゴム浸漬試験後
のフッ素ゴム試料の伸び変化率(%)との関係を示すグ
ラフである。
【図2】 実施例6および比較例11の流体組成物にお
いて、チアジアゾール誘導体の添加量とゴム浸漬試験後
のフッ素ゴム試料の引張強度変化率(%)との関係を示
すグラフである。
【図3】 実施例7および比較例12の流体組成物にお
いて、チアジアゾール誘導体の添加量とゴム浸漬試験後
のフッ素ゴム試料の伸び変化率(%)との関係を示すグ
ラフである。
【図4】 実施例7および比較例12の流体組成物にお
いて、チアジアゾール誘導体の添加量とゴム浸漬試験後
のフッ素ゴム試料の引張強度変化率(%)との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 137:04) C10N 20:02 C10N 20:02 30:00 Z 30:00 30:10 30:10 40:04 40:04 (72)発明者 早舩 正彦 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 日浦 智和 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 馬守 布治 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 神原 誠 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 中村 良信 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 中田 高義 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−73879(JP,A) 特開 平7−278584(JP,A) 特開 平4−59895(JP,A) 特開 平5−78684(JP,A) 特開 平7−90289(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 169/04 C10M 107/50 C10M 135/36 C10M 137/10 C10M 137/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃における粘度が50mm2
    /s 〜1, 000,000mm2 /sのポリオルガノ
    シロキサンに、 流体組成物全重量基準で、 a)下記一般式[I]〜[III] 【化1】 【化2】 【化3】 (上記一般式[I]、[II]および[III]におい
    て、R1 およびR2 は、各々、互いに同一であっても異
    なっていてもよく、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒
    素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なく
    とも一種から構成された飽和または不飽和の基または原
    子である。ただし、各一般式において、R1 およびR2
    の少なくとも一つは下記一般式[IV] 【化4】 (上記一般式[IV]において、R3 は、炭素原子、水
    素原子、 酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択
    される少なくとも一種から構成された飽和または不飽和
    の一価の基または原子であり、xは1以上の整数であ
    る。)で表される一価の基である。)で表される化合物
    からなる群から選択される少なくとも一種のチアジアゾ
    ール誘導体0.05重量%〜0.15重量%、 b)下記一般式[V] 【化5】 (上記一般式[V]において、R4 、R5 およびR6
    は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    炭素数6〜20のアリール基、アラルキル基またはアル
    アリール基である。)で表されるチオリン酸エステル
    0.1重量%〜0.3重量%、 および c)下記一般式[VI] 【化6】 (上記一般式[VI]において、R7 、R8 およびR9
    は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表されるリン
    酸エステル0.6重量%〜0.7重量%を含有させた
    とを特徴とする流体継手用流体組成物(但し、次の一般
    式[XII]で表される硫黄原子含有化合物を含むもの
    を除く。 【化7】 式[XII]中、nは、1以上の整数であり、R10
    びR11は、それぞれ独立に一価の基であり、該一価の
    基を構成する原子として、炭素原子、水素原子、酸素原
    子、窒素原子、硫黄原子、及び珪素原子から選ばれる1
    種または2種以上を含有し、かつ、その少なくとも一方
    は、珪素原子を含む一価の基であり、さらに、これらの
    一価の基は、互いに結合して環状構造を形成していても
    よい。)
  2. 【請求項2】 さらに、前記流体組成物が酸化防
    止剤0.01重量%〜2重量%配合されてなる流体組成
    物である請求項1に記載の流体継手用流体組成物。
  3. 【請求項3】 前記チオリン酸エステルが、トリ
    フェニルホスホロチオネートである請求項1に記載の流
    体継手用流体組成物。
JP15486796A 1996-05-27 1996-05-27 流体継手用流体組成物 Expired - Fee Related JP3370233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15486796A JP3370233B2 (ja) 1996-05-27 1996-05-27 流体継手用流体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15486796A JP3370233B2 (ja) 1996-05-27 1996-05-27 流体継手用流体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09316477A JPH09316477A (ja) 1997-12-09
JP3370233B2 true JP3370233B2 (ja) 2003-01-27

Family

ID=15593664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15486796A Expired - Fee Related JP3370233B2 (ja) 1996-05-27 1996-05-27 流体継手用流体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3370233B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4993821B2 (ja) * 2001-06-13 2012-08-08 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 潤滑油組成物
EP1840399B1 (en) * 2004-12-28 2014-06-18 Nsk Ltd. Collapsible column

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09316477A (ja) 1997-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105814179B (zh) 有机硅氧烷组合物
WO2006057367A1 (ja) 等速ジョイント
US4959166A (en) Fluid composition for use in viscous coupling
DE102004003574B4 (de) Kontrollierte Freisetzung von Antischaumadditiven aus kompoundiertem Gummi, Gummizusammensetzung und deren Verwendung
JP3370233B2 (ja) 流体継手用流体組成物
EP0636682B1 (en) Fluid composition for fluid coupling
EP0719853B1 (en) Fluid composition for use in fluid coupling
CN108699479A (zh) 润滑脂组合物、机械构件和起动器超越离合器
EP0397507B1 (en) Silicone fluids for viscous couplings
EP0465156B1 (en) A hydraulic, lubricating and coupling composition comprising an organopolysiloxane and a phosphorus-containing anti-wear additive
JP3069240B2 (ja) 流体継手用流体組成物
JP2579806B2 (ja) ビスカスカップリング用流体組成物
JPH0631387B2 (ja) グリ−ス組成物
JPH0790289A (ja) 流体継手用流体組成物
JPH0873879A (ja) 流体継手用流体組成物
JPS6210193A (ja) トラクシヨンドライブ用流体組成物
JP2999844B2 (ja) 作動・潤滑・流体継手用組成物
JPH1121443A (ja) オルガノポリシロキサン系流体組成物
JP2930352B2 (ja) ビスカスカップリング用流体
JPH08183984A (ja) 流体継手用流体組成物
US5374363A (en) Viscous coupling fluids
JP3259999B2 (ja) 緩衝器用潤滑油
JPH06287584A (ja) 流体継手用組成物
JPS62250098A (ja) ホスフアゼン含有潤滑グリ−ス組成物
JP2930375B2 (ja) 流体継手用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees