JP3355230B2 - 超高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエチレンの重合に供した
際、平均分子量が約 150万以上を示す超高分子量ポリエ
チレンを高収率で得られる超高分子量ポリエチレン製造
用固体触媒成分に関する。
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレンは汎用ポリエチ
レンと較べると著しく粘度が高いので成形加工性が悪い
とされている。この成形加工性を向上させるためにはポ
リエチレンパウダ−の粒径が小さく、その粒度分布が狭
くかつ嵩密度が高いこと等の特性を求められ、併せて固
体触媒成分当りの重合体の収量が高いという通常の触媒
性能も必要不可欠である。
【0003】このような超高分子量ポリエチレンを得る
ためには適切な固体触媒成分、有機アルミニウム化合物
を選択することが必要であることは知られている。とり
分け固体触媒成分については 従来 数多くの改良がなさ
れ、提案されている。その主流を占めるものがハロゲン
化マグネシウム、ハロゲン化チタンを必須成分とし、必
要に応じてケイ素化合物等の電子供与性化合物から構成
されているものであるが、ハロゲン化マグネシウムの中
でも特に一般的に用いられている塩化マグネシウムに含
有される塩素は、生成重合体に悪影響を及ぼすと共に、
使用される機器の腐食などに問題が残るため、実質的に
塩素の影響を無視し得るほどの高活性が要求されたり、
或いは塩化マグネシウムそのものの濃度を低く抑えるな
ど、未解決な部分を残していた。
【0004】そこで出発物質として塩化マグネシウムを
用いないものとして特開平2−70710号公報においては、
マグネシウムの含酸素無機化合物、ハロゲン化アルミニ
ウムエ−テラ−ト及びチタン化合物を必須成分として構
成する固体触媒成分が提案されている。
【0005】同公報によれば、超高分子量ポリエチレン
製造に用いられ固体触媒成分として優れた特性を有して
いるが、固体触媒成分当りの重合体の収量(触媒活性)
が低く、一段の改善が望まれるものであった。
【0006】本発明者らは、特開平3−24103号におい
て、ジエトキシマグネシウムを、脂肪族ジハロゲン化炭
化水素の存在下に芳香族ジカルボン酸ジエステル及び四
塩化チタンと、二段階処理することによって得られる固
体触媒成分を提案し、平均分子量が200 万以上の超高分
子量ポリエチレンを高収率で得ることに成功している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、本発明者ら
の開発した前記固体触媒成分を用いることによって得ら
れたポリエチレンは、平均粒径が小さく、その触媒成分
当りの重合体の収量(触媒活性)においても優れた特性
を示したが、粒度分布や嵩密度の点においては充分とは
いえず、更に改善すべき余地を残していた。本発明者ら
は斯る従来技術に残された課題、即ちハロゲン化マグネ
シウムを用いることなく、粒径が小さく、しかも粒度分
布が狭く、かつ嵩密度の高い超高分子量ポリエチレンを
高活性に得られる固体触媒成分を開発するために鋭意検
討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ジエト
キシマグネシウムと(b)テトライソプロポキシチタン
又はテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンを
加熱混合することによって得られる均一な溶液を、不活
性溶媒の存在下に(c)四塩化ケイ素と−20〜10℃の温
度域で接触させた後昇温し、40℃以上該不活性溶媒の沸
点以下で反応させることにより生成する微粒状固体組成
物を、(d)ソルビタン脂肪酸エステルの共存下、
(e)四塩化チタンと接触させ、しかる後に(f)芳香
族ジカルボン酸ジエステルの共存下、40〜130℃の温度
域で処理することによって得られることを特徴とする超
高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分を提供するも
のである。
【0009】本発明において使用される(d)ソルビタ
ン脂肪酸エステル(以下単に(d)物質ということがあ
る。)としては、例えば ソルビタンモノラウレート、
ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレー
ト、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレ
エート等が挙げられる。
【0010】本発明において使用される(f)芳香族ジ
カルボン酸ジエステル(以下単に(f)物質ということ
がある。)としては、フタル酸ジエステル類が好まし
く、例えばジメチルフタレ−ト、ジエチルフタレ−ト、
ジプロピルフタレ−ト、ジブチルフタレ−ト、ジイソブ
チルフタレ−ト、ジアミルフタレ−ト、ジイソアミルフ
タレ−ト、エチルブチルフタレ−ト、エチルイソブチル
フタレ−ト、エチルプロピルフタレ−ト、イソオクチル
フタレ−ト等を挙げることができる。
【0011】本発明における(a)ジエトキシマグネシ
ウム(以下単に(a)物質ということがある。)と
(b)テトライソプロポキシチタン又はテトラキス(2
−エチルヘキシルオキシ)チタン(以下単に(b)物質
ということがある。)との均一な溶液は、(a)物質と
(b)物質とを撹拌下、50〜150℃の温度域で10分以
上、好ましくは1時間以上混合接触することにより形成
する。この際の(a)物質及び(b)物質の使用量比は
任意であるが、通常(a)物質1gに対し、(b)物質
は 0.5〜2.0gの範囲で用いることが好ましい。また、
形成される均一溶液は高粘度を有するが、操作の容易性
を考慮してヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等
の不活性有機溶媒で希釈して用いることが望ましい。
【0012】斯くの如くして得られた均一溶液を、常温
で液体の芳香族炭化水素ないしはハロゲン化炭化水素等
の不活性溶媒の存在下、(c)四塩化ケイ素(以下単に
(c)物質ということがある。)と−20〜10℃の温度域
で接触させることによって、通常一次粒子が1ミクロン
以下の微粒状固体組成物が生成する。この際の各物質の
使用割合は特に限定されないが、通常(a)物質1g当
り 0.5〜100 mlの不活性溶媒の存在下、(c)物質は
(a)物質1g当り 0.5〜50 mlの範囲で用いられる。
【0013】また、該均一溶液と(c)物質との接触は
不活性溶媒の存在下、−20〜10℃の温度域で(c)物質
中に徐々に滴下する方法で行なわれる。均一溶液の滴下
終了後昇温し、40℃以上不活性溶媒の沸点以下の温度域
で反応させることにより、微粒状固体組成物を生成させ
るが、反応時間は10分〜100時間である。この際該均一
溶液と(c)物質との接触温度が10℃を越えたり、接触
終了後の反応温度が40℃未満の場合は、均一性の高い微
粒状固体組成物を得ることが難しく、結果として所期の
目的を達成するに足る固体触媒成分が調製できなくな
る。
【0014】該微粒状固体組成物は、必要に応じヘプタ
ン等の不活性有機溶媒で洗浄後、(d)物質の共存下、
(e)四塩化チタン(以下単に(e)物質ということが
ある。)と接触処理させ、さらに(f)物質の共存下40
〜130℃の温度域で処理することにより、本発明の固体
触媒成分となる。(d)物質に関しては、上述の微粒状
固体組成物側に添加した後(e)物質との接触に供する
か、あるいは(e)物質側に予め添加して用いることが
できる。この際の各物質の使用割合は通常(a)物質1
gに対し、(d)物質は 0.01〜0.5g、(e)物質は
0.1〜10ml、(f)物質は 0.01〜1.0mlの範囲で用いら
れる。(e)物質は接触処理に際し、ヘキサン、ヘプタ
ン、デカン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒で希
釈して用いてもよく、また、(e)物質による接触処理
を繰返し行なうことも 妨げない。
【0015】接触処理温度は40〜130℃の範囲であり、
接触処理時間は10分〜100時間の範囲で適宜に定められ
る。以上の如くして調製された固体触媒成分はヘプタン
等の不活性有機溶媒で洗浄することも可能であり、洗浄
後そのままで或いは洗浄後乾燥した後、有機アルミニウ
ム化合物と組み合わせて超高分子量ポリエチレン製造用
の重合触媒を形成する。
【0016】この際用いられる有機アルミニウム化合物
は、一般式RnAlX3-n(式中Rは炭化水素基、Xはハ
ロゲン原子、1≦n≦3である。)で表されるものであ
り、具体的にはトリエチルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。尚、こ
れ等有機アルミニウム化合物を二種以上混合して用いる
ことも可能である。
【0017】重合触媒を形成する際の有機アルミニウム
化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子のモル
当りモル比で 1〜1000の範囲である。重合温度は 0〜15
0℃、重合圧力は 0〜100kg/cm2・Gである。また、重合
に際してエステル類、ケトン類、アミン類、Si−O−
C結合を有するケイ素化合物等の電子供与性化合物を添
加使用することも可能である。
【0018】
【作用】本発明の固体触媒成分を用いてエチレンの重合
を行なった場合、製造されたポリエチレンは平均分子量
で約 150万以上を示し、平均粒径が小さく、嵩密度が高
くかつ粒度分布も狭く、しかも優れた触媒活性を示して
おり、当該分野の固体触媒成分として極めてバランス良
く作用していることを裏付けている。
【0019】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0020】実施例1 <固体触媒成分の調製>窒素ガスで充分に置換され、撹
拌機を具備した容量 2 lの丸底フラスコにジエトキシ
マグネシウム 100gおよびテトライソプロポキシチタン
130mlを装入して懸濁状態とし、130℃で6時間撹拌し
ながら処理し、これを 90℃まで冷却後、90℃に予め加
熱したトルエン 800mlを加え、1時間撹拌することによ
り均一な溶液を得た。この溶液90mlを、撹拌機を具備し
た 500mlの丸底フラスコに装入した0℃のn−ヘプタン
150mlおよび四塩化ケイ素 50ml中に、系内の温度を0
℃に保ちつつ、撹拌数 400 rpmで撹拌しつつ1時間かけ
て添加した。その後、1時間かけて55℃まで昇温し、1
時間反応させることにより白色の微粒状固体組成物を得
た。次いで、上澄み液を除去した後、トルエン 40mlを
加えてスラリー状とした。この中に、ソルビタンジステ
アレート 0.5gを予め溶解させた室温の四塩化チタン 2
0mlを撹拌しながら添加し、さらにジ−n−ブチルフタ
レ−トを 1.5ml添加後、3時間かけて110℃まで昇温
し、2時間処理を行なった。最後に、室温のn−ヘプタ
ン 100mlで7回洗浄することにより約 10gの固体触媒
成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量は 2.8
重量%であった。
【0021】<重合>エチレンガスで完全に置換された
内容積1500mlの撹拌装置付きステンレス製オ−トクレ−
ブにn−ヘプタン 700mlを装入し、20℃においてエチレ
ンガス雰囲気下に保ちつつトリエチルアルミニウム 0.7
0mmolを装入した。次いで70℃に昇温後、前記固体触媒
成分をチタン原子として 0.0052mmol装入し、系内の圧
力が4kg/cm2・G になるようにエチレンを供給しつつ3
時間重合を行なった。濾別後減圧乾燥したところ、320
gのポリエチレンパウダ−が得られた。触媒活性を、重
合時間3時間における触媒成分1g当りのポリマ−収量
で表すと、36,000g/g-cat.であった。得られたポリ
マ−の嵩密度は0.40g/cm3であり、積算重量50%で表さ
れる平均粒径は 145 ミクロンであった。粒度分布の広
がり(SPAN)を(Dp90−Dp10)/Dp50(ここ
でDpxは積算重量x%における粒径を示す)で示した
場合、SPAN= 0.5 であった。また、このポリマ−
のデカリン(135℃)中における極限粘度から求めた平
均分子量は280万であった。
【0022】実施例2 窒素ガスで充分に置換され、撹拌機を具備した容量 2
lの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム 100g及び
テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン 130ml
を装入して懸濁状態とし、130℃で6時間撹拌しながら
処理し、これを90℃まで冷却後、90℃に予め加熱したト
ルエン 800mlを加え、1時間撹拌することにより均一な
溶液を得た。この溶液 90mlを、撹拌機を具備した 500m
lの丸底フラスコに装入した5℃のn−ヘプタン 150ml及
び四塩化ケイ素 50ml中に、系内の温度を5℃に保ちつ
つ、撹拌数 400 rpmで1時間かけて添加した。その後、
1時間かけて50℃まで昇温し、1時間反応させることに
より白色の微粒状固体組成物を得た。次いで、上澄み液
を除去した後、トルエン 30mlを加えスラリー状とし
た。この中に、ソルビタンセスキオレエート 0.3gを予
め溶解させた室温の四塩化チタン 20mlを撹拌しながら
添加し、さらにジ−n−ブチルフタレートを 1.5ml添加
後、3時間かけて110℃まで昇温し、2時間処理を行な
った。最後に、室温のn−ヘプタン 100mlで7回洗浄す
ることにより約 10gの固体触媒成分を得た。この固体
触媒成分中のチタン含有量は 1.9 重量%であった。こ
のようにして得られた固体触媒成分を用い、実施例1に
記載の条件にしたがって重合を実施し、評価したとこ
ろ、触媒活性は 23,000g/g−cat.、生成ポリマーの
嵩密度は 0.41g/cm3、SPAN=0.4であった。また平
均分子量は 320万であった。
【0023】
【発明の効果】本発明によって得られた固体触媒成分を
用いてエチレンの重合を行なった場合、平均分子量が1
50 万以上の超高分子量ポリエチレンを高収率で得るこ
とができる。それに加えて本発明の特徴とするところ
は、粒径が小さく、しかも粒度分布が狭く、かつ嵩密度
の高い超高分子量ポリエチレンを得ることのできる高活
性固体触媒成分を提供することである。さらに、本発明
において得られる固体触媒成分は、長期間保存しても劣
化することがなく、また、分散性 及び 流動性に優れ、
凝集等により粒度分布が変化することがないという効果
をも奏する。また、触媒調製工程における原料マグネシ
ウム化合物のロスが少ないため、比較的低いコストで固
体触媒成分を製造することができる等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】添付第1図は本発明における固体触媒成分の調
製工程に関するフロ−チャ−トである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−211926(JP,A) 特開 平6−16718(JP,A) 特開 平6−179720(JP,A) 特開 平5−301921(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/65 - 4/658

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ジエトキシマグネシウムと
    (b)テトライソプロポキシチタン又はテトラキス(2
    −エチルヘキシルオキシ)チタンを加熱混合することに
    よって得られる均一な溶液を、不活性溶媒の存在下に
    (c)四塩化ケイ素と−20〜10℃の温度域で接触させた
    後昇温し、40℃以上該不活性溶媒の沸点以下で反応させ
    ることにより生成する微粒状固体組成物を、(d)ソル
    ビタン脂肪酸エステルの共存下、(e)四塩化チタンと
    接触させ、しかる後に(f)芳香族ジカルボン酸ジエス
    テルの共存下、40〜130℃の温度域で処理することによ
    って得られることを特徴とする超高分子量ポリエチレン
    製造用固体触媒成分。
JP20556593A 1993-07-29 1993-07-29 超高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分 Expired - Fee Related JP3355230B2 (ja)

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RU2320410C1 (ru) * 2006-11-16 2008-03-27 Институт Катализа Имени Г.К. Борескова Сибирского Отделения Российской Академии Наук Способ приготовления катализатора и процесс полимеризации этилена с использованием этого катализатора

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