JP3352136B2 - インフレータブルシートベルト装置 - Google Patents

インフレータブルシートベルト装置

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JP3352136B2
JP3352136B2 JP07862393A JP7862393A JP3352136B2 JP 3352136 B2 JP3352136 B2 JP 3352136B2 JP 07862393 A JP07862393 A JP 07862393A JP 7862393 A JP7862393 A JP 7862393A JP 3352136 B2 JP3352136 B2 JP 3352136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインフレータブルシート
ベルト装置に係り、特に乗員を拘束するように装着され
たシートベルト装置のウェビングの一部が袋状の膨張構
造体で形成され、該膨張構造体は通常装着時においては
帯状に保形され、車両衝突時等に接続されたガス発生手
段からの噴出ガスにより所定形状に膨張するようなイン
フレータブルシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、シートベルト装置は衝突時に生じ
る加速度や衝撃力による乗員の急激な移動を拘束し、乗
員の身体の安全を図る装置として、自動車等において不
可欠な装置となっている。この種のシートベルト装置
は、通常ウェビング(以下、本明細書では日本工業規格
に規定されているような幅50mm程度の通常の繊維材
料からなる織りベルトをウェビングと呼ぶ。)と、この
ウェビングをバネ力により巻回して内部に引き込むとと
もに、衝撃が作用した時にのみウェビングの引き出しを
ロックして乗員を拘束するリトラクタ(以下、ELR:
Emergency Locking Retractorと記す。)と、乗員の身
体にフィットするように装着させるためにウェビングを
適正な位置に設置されたバックル装置、タング、アンカ
ー等により構成されている。
【0003】従来、前述のシートベルト装置では、衝突
時にウェビングの引き出しがELRによりロックされ、
この状態で乗員の移動が拘束されるようになっている。
また、最近ではこの乗員拘束性能を向上させるために、
ウェビングの一部を袋状に形成し、通常装着時はこの袋
状部分を扇状等に折り畳んで弱い接着を施し帯状に保形
したり(ファンホールドタイプ)、折り返し部分をファ
スナー等の係止手段により帯状に保形しておき、衝撃作
用時にはウェビングに連結されたガス発生装置からの噴
出ガスにより袋状部分を膨張展開させるようにしたシー
トベルト装置も提案されている(米国特許第3,86
5,398号公報等参照)。
【0004】この種の膨張可能な袋状部を備えたシート
ベルト装置(以下、インフレータブルシートベルト装置
と記す。)によれば、乗員に作用する荷重を従来のウェ
ビングより広い面積に分散させることができるので、乗
員の受ける荷重を低減させることができ、安全性をより
高めることができる。また、インフレータブルシートベ
ルト装置はリヤシートにおいても、その効果が期待でき
る。すなわち、リヤシートの乗員のためにエアバッグ装
置を設置するためには通常フロントシートの後部にエア
バッグ装置を装備する。このリヤシートのためのエアバ
ッグ装置を適正に作動させ、乗員を効果的に拘束し保護
するためにはフロントシート構造が高い剛性を有する必
要がある。このためエアバッグ装置を備えると、可動部
のあるリクライニング機能をフロントシートにもたせる
ことが難しい等の制約が生じる。したがってシートに単
独で装備でき、前述のような制約のないインフレータブ
ルシートベルト装置がリヤシートにおいて有効となる。
【0005】ところで、前述のように袋状部分を折り込
んで所定幅の帯状ベルトを形成するタイプのインフレー
タブルシートベルト装置では、袋状部分の折り畳みしろ
が厚くなってかさばるので、装着時にベルトが乗員の身
体にフィットしにくく、またピラーアンカー部のスリッ
プガイドを滑らかに通過しにくい。このためベルト装着
に違和感を感じ、装着率が低下してしまうおそれもあ
る。また、折り畳み部分が接着止めされているので、膨
張展開時に噴出ガスが袋状部分に導入されても膨張部分
がスムーズに展開しにくいという問題もある。
【0006】そこで、出願人はこれらの問題点を解消し
たインフレータブルシートベルト装置をすでに提案して
いる(特願平4−210353号、特願平4−2103
55号出願参照)。同出願において、出願人は前記袋状
部分を編布構造で構成するようにした発明と、前記袋状
部分に緯糸(よこ糸)が十分伸長する構造の織布構造を
採用した発明とを開示している。これらの発明によれ
ば、シートベルト装置は通常の装着時において、比較的
薄い形状の帯状に保形され、しかも緊急時には袋状部分
を確実かつ迅速に膨張展開させることができるという効
果が得られる。
【0007】図16(a)は、肩ベルトの一部分を筒状
の編布構造とし、その内部に袋状のゴム製チューブを挿
入させたインフレータブルシートベルト装置の一例を模
式的に示したものである。図中符号51はタングを示し
ており、このタング51は、ベルト52内のゴム製チュ
ーブへのガス導入口となるガス流通孔53を内部に有し
ている。このガス流通孔53はベルト端部52aを車体
に固定するためにタング51がバックル装置54に係合
締結された際に、バックル装置54内に連結された図示
しないガス発生手段(ガスジェネレータ)のガス流通孔
と連通するようになっている。
【0008】このような構成からなるインフレータブル
シートベルト装置のベルト部分に所定のガス内圧をかけ
た状態を模式的に示したのが図16(b)である。同図
に示したように前記ゴム製チューブにガス内圧が作用し
てチューブが膨張すると、このチューブを包む袋状の編
布構造により全体の形状が整えられ、細長い紡錘形状に
なる。このように乗員の胸部等に接するベルト部分の面
積が増加するので、人体に加わる衝撃が緩和され、乗員
を有効に保護することができる。
【0009】また、袋状の膨張部分が半径方向に膨張す
ることによりベルト長手方向の長さがΔLだけ短くな
る。これにより乗員をさらに有効に保護するプリテンシ
ョン効果を期待できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フルサイズ
ダミーを用いて行った前述のタイプのインフレータブル
シートベルト装置の各種の模型実験や実車衝突実験から
以下のような問題点が明らかになった。すなわち、図1
7に示したように、衝突が起って肩ベルト52の編布構
造部分が有効に膨張展開した状態でダミーDの移動を拘
束しようとすると、肩ベルト52のチューブ内のガスが
ダミーDの胸部位置から、床面近くにあるバックル装置
とダミーDの腰部との間の空間側52bと、ピラーアン
カー55とダミーDの肩部との間の空間側52cに逃
げ、肩ベルト52がひょうたん形に膨らんでしまうこと
が判明した。この状態では肝心なダミーDの胸部位置に
当たる肩ベルト52が十分な面積に膨張せず、肩ベルト
52に膨張体を使用するメリットが活かされない。
【0011】また、チューブが長手方向の全範囲にわた
り膨張するので、膨張容積が大きくなり、チューブ内の
ガス圧が十分に上がらず、また半径方向へ十分膨張しな
いので、ベルト長手方向の短縮量も小さく、前述のプリ
テンション効果が十分に得られない。
【0012】一方、装着時の不具合も挙げられる。すな
わち、前述のインフレータブルシートベルト装置では、
ベルト収納時に袋状の肩ベルト部分もピラー内の下方位
置に装備されたELRに巻回されることになる。ところ
が、編布構造のベルト部分は織布構造のベルトに比べ多
少の厚みがある。このためこのような厚みのある編布ベ
ルトを巻回できる特別なELRを新たに装備しなくては
ならない。また、シートベルト装置には、装着時にEL
Rから引き出されたベルトの向きを変えるためにピラー
アンカー部分にスリップガイドが装備されている。この
スリップガイドはベルトを挿通させる案内開口を有する
が、この案内開口はベルトのねじれや反転を防止するた
めにその開口幅等が制限されており、厚みのあるベルト
を滑らかに通過させるのが難しい。
【0013】その反面、単にベルト厚を薄くしたような
場合には、装着時に乗員がウェビングを手に取った際
に、頼りない感じを受けることが考えられる。そこで、
ベルトを握った時にある程度の手応えが得られるような
硬さと形状に保形されていることも必要である。また、
編布表面の摩耗防止にも配慮する必要がある。
【0014】そこで、本発明の目的は前述した従来の技
術が有する問題点を解消し、膨張展開時に乗員の移動を
拘束する際に、適正な膨張形状と内圧とを保持するとと
もに、装着時にフィット感が良く、また通常の繰り返し
装着使用において、十分耐久性のあるインフレータブル
シートベルト装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1の発明は、通常装着時は帯状に保形されるとと
もに、所定のしきい値を越えた際に作動するガス発生手
段により発生したガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨
張展開する袋状部を有する膨張構造体と、該膨張構造体
が少なくとも乗員に当接する範囲にわたり付設されたウ
ェビングと、前記膨張構造体の端部に固着されるタング
と、内部に前記ガス発生手段からのガス導入路を有し、
前記タングと着脱自在に嵌合係止されるバックル装置と
を備えたインフレータブルシートベルト装置において、
前記膨張構造体は、長手方向に接合部が延在する筒状カ
バーで被覆された編布からなる袋状部がガス導入により
膨張展開する際に、前記筒状カバーの接合部が前記乗員
の胸部およびその近傍に当接する範囲で解離し、前記編
布が編目緯方向に伸長して膨張する一方、前記範囲以外
の接合部では接合が保持され、前記範囲以外では編目緯
方向の伸長が抑止される膨張規制手段を備えたことを特
徴とする。
【0016】第2の発明は、乗員に当接する範囲に形成
され、通常装着時は帯状に保形されるとともに、所定の
しきい値を越えた際に作動するガス発生手段により発生
したガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨張展開する袋
状部を有する膨張構造体と、該膨張構造体にその一端が
接続され他端が巻回手段に巻回収容されるウェビング
と、前記膨張構造体の前記ウェビングとの接合端でない
側の端部に固着されるタングと、内部に前記ガス発生手
段からのガス導入路を有し、前記タングと着脱自在に嵌
合係止されるバックル装置とを備えたインフレータブル
シートベルト装置において、前記膨張構造体は、長手方
向に接合部が延在する筒状カバーで被覆された編布から
なる袋状部がガス導入により膨張展開する際に、前記筒
状カバーの接合部が前記乗員の胸部およびその近傍に当
接する範囲で解離し、前記編布が編目緯方向に伸長して
膨張する一方、前記範囲以外の接合部では接合が保持さ
れ、前記範囲以外では編目緯方向の伸長が抑止される膨
張規制手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
【0018】また、前記筒状カバーの接合部は、縫着に
より形成することが好ましい。さらに、前記袋状部は、
丸編構造により形成することが好ましい。
【0019】第1の発明において、前記ウェビングは、
一端が前記膨張構造体とともに前記タングに固着され、
他端が巻回手段に巻回収容されるとともに、前記膨張構
造体が該ウェビングを心材としてウェビングを包囲する
ように少なくとも乗員に当接する範囲にわたり形成する
ことが好ましい。
【0020】以上の発明において、前記膨張構造体は、
内部に前記ガスの導入により膨張可能なチューブ状膨張
体を挿入させることが好ましい。
【0021】第1及び第2の発明において、前記膨張規
制手段は、ガス導入により膨張可能なチューブ状膨張体
の表面に膨張規制部を巻回し、該チューブ状膨張体の膨
張形状を規制し、前記袋状部の編目の伸長を抑止するよ
うにすることが好ましい。
【0022】
【作用】 第1の発明によれば通常装着時は帯状に保形
されるとともに、所定のしきい値を越えた際に作動する
ガス発生手段により発生したガスを内部に導入し、略紡
錘形状に膨張展開する袋状部を有する膨張構造体と、該
膨張構造体が少なくとも乗員に当接する範囲にわたり付
設されたウェビングと、前記膨張構造体の端部に固着さ
るタングと、内部に前記ガス発生手段からのガス導入
路を有し、前記タングと着脱自在に嵌合係止されるバッ
クル装置とを備えたインフレータブルシートベルト装置
において、前記膨張構造体は、長手方向に接合部が延在
する筒状カバーで被覆された編布からなる袋状部がガス
導入により膨張展開する際に、前記筒状カバーの接合部
が前記乗員の胸部およびその近傍に当接する範囲で解離
し、前記編布が編目緯方向に伸長して膨張する一方、
記範囲以外の接合部では接合が保持され、前記範囲以外
では編目緯方向の伸長が抑止される膨張規制手段を備え
たことにより、前記筒状カバーの接合部が前記乗員の胸
部およびその近傍に当接する範囲で解離し、前記編布が
編目緯方向のみに伸長して膨張し、これにより乗員の胸
部を中心として広い接触面積で移動を拘束することがで
きるとともに、膨張容積を必要容量にとどめられ、膨張
構造体の内圧を高めることができ、ウェビングが長手方
向に確実に短縮し、シートベルト装置としてのプリテン
ション効果を発揮でき、乗員をより有効に拘束保護でき
る。
【0023】第2の発明によれば、乗員に当接する範囲
に形成され、通常装着時は帯状に保形されるとともに、
所定のしきい値を越えた際に作動するガス発生手段によ
り発生したガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨張展開
する袋状部を有する膨張構造体と、該膨張構造体にその
一端が接続され他端が巻回手段に巻回収容されるウェビ
ングと、前記膨張構造体の前記ウェビングとの接合端で
ない側の端部に固着されるタングと、内部に前記ガス発
生手段からのガス導入路を有し、前記タングと着脱自在
に嵌合係止されるバックル装置とを備えたインフレータ
ブルシートベルト装置において、前記膨張構造体は、
手方向に接合部が延在する筒状カバーで被覆された編布
からなる袋状部がガス導入により膨張展開する際に、
記筒状カバーの接合部が前記乗員の胸部およびその近傍
に当接する範囲で解離し、前記編布が編目緯方向に伸長
して膨張する一方、前記範囲以外の接合部では接合が保
持され、前記範囲以外では編目緯方向の伸長が抑止され
る膨張規制手段を備えたことにより、膨張構造体の厚み
を薄くでき、ベルト装着時や収納時にベルトの取扱いや
すさが向上するとともに、衝突時においては、第1の発
明と同様に前記膨張構造体が膨張展開する際に、前記筒
状カバーの接合部が前記乗員の胸部およびその近傍に当
接する範囲で解離し、前記編布が編目緯方向のみに伸長
して膨張し、これにより乗員の胸部を中心として広い接
触面積で移動を拘束することができるとともに、膨張容
積を必要容量にとどめられるので、膨張構造体の内圧を
高めることができ、ウェビングが長手方向に確実に短縮
し、シートベルト装置としてのプリテンション効果を発
揮でき、乗員をより有効に拘束保護できる。
【0024】
【0025】また、前記筒状カバーの接合部は、縫着に
より形成することにより糸種類、縫い方を変えることで
容易に縫い合わせの強度を調整できる。さらに、前記袋
状部は、丸編構造により形成することにより膨張構造体
を適正な形状に膨張させることできる。
【0026】第1の発明において、前記ウェビングの一
端を前記膨張構造体とともに前記タングに固着し、他端
を巻回手段に巻回収容させるとともに、前記膨張構造体
を該ウェビングを心材としてウェビングを包囲するよう
に少なくとも乗員に当接する範囲にわたり形成すること
で、膨張構造体内を挿通されているウェビングを心材と
して取扱い時にも手応えのある質感あるベルトを得るこ
とができる。
【0027】以上の発明において、前記膨張構造体は、
ガス導入により膨張可能なチューブ状膨張体を内部に挿
入させることで、該ガスを利用して有効かつ確実に前記
膨張構造体を膨張させることができる。
【0028】第1及び第2の発明において、前記膨張規
制手段は、ガス導入により膨張可能なチューブ状膨張体
の表面に膨張規制部を形成し、該チューブ状膨張体の膨
張形状を規制し、前記袋状部の膨張を抑止することによ
り、あらかじめ膨張可能な部分の形状を規定して膨張構
造体を膨張形状を設定することが可能になるので、乗員
の体型や伸長の違いに応じた膨張構造体を揃えることも
可能である。
【0029】
【実施例】以下、本発明によるインフレータブルシート
ベルト装置の一実施例を添付図面を参照して説明する。
図1はインフレータブルシートベルト装置1の全体構成
を示した概略斜視図である。なお、同図は右側フロント
シートに組み込まれるインフレータブルシートベルト装
置1の各構成部品の関係が明確になるように示してい
る。
【0030】同図中、符号2は肩ベルトを示しており、
この肩ベルト2は一端2aにタング3が固着されてお
り、左右のフロントシート間の床部近くの所定位置に固
定されたバックル装置4にタング3を介して係合固定さ
れ、他端2bが図示しないピラー(中間柱)に上下方向
に位置調整可能に取り付けられたピラーアンカーのスリ
ップガイド5により下方に向け案内され、ピラー内の床
近くに設置されたELR6に巻回されるように掛け渡さ
れている。また、ラップベルト(腰ベルト)7は、一端
がタング3の口金部分に固着されたアンカープレート8
に定着され、他端がシート座面を越えてドア側の床近く
に設置されたELR9に巻回されている。
【0031】以下において、肩ベルト、タング回り、バ
ックル装置の各構成の詳細について説明する。肩ベルト
2は、図1に示したように一端2bがELR6内に巻回
収容され、他端2aにタング3が連結された1本のウェ
ビング10を通し材として構成されている。本実施例で
は、ウェビング10としてポリエステル加工糸を密に綾
織、平織等により織り上げた幅約50mm、厚さ1.6
mm程度の帯状ベルトが使用されているが、このウェビ
ング10は通常のシートベルト装置に使用されているも
のと同等品である。また乗員の身体に当接する腹部から
右肩部にかけての部分には、筒状の布製カバー20で被
覆されたやや肉厚な部分が形成されている。この肉厚部
分の内部には図2に示したような各種の袋状構造体が重
層的に収容されている。
【0032】図2において、符号10aは前述のウェビ
ング10がカバー20の内部に位置した状態を示してい
る。以下、機能上の区別からこの部分のベルトをインナ
ーベルト21と呼び、外部に露出してELR6に巻回さ
れる部分のベルトをウェビング10と呼び、それぞれに
異なった符号10、21を付して説明する。インナーベ
ルト21は図2に示したようにシリコーンゴム製の薄膜
状のチューブ22内に偏平な状態のまま挿入されてい
る。このシリコーンゴム製のチューブ22は筒状をな
し、その端部22aは図4に示したようにインナーベル
ト21の所定位置に気密性を保持するように固着されて
いる。このためチューブ22内にガスが導入されると、
細長い筒状に膨張するようになっている。
【0033】また、このチューブ22は、これより僅か
に大きな寸法に編まれた筒状で偏平な編布23内に収容
されている。この編布23は本実施例ではポリエステル
加工糸(1500d)を使用した丸編ニットにより構成されて
おり、この丸編ニットの編布23はベルト長手方向(編
地の経方向:たて方向)に伸びにくく、筒形状の円周が
大きくなるような方向(編地の緯方向:よこ方向)に伸
びやすい性質をもっている。
【0034】さらにこの筒状の編布23全体を覆うよう
に前述の布製カバー20が取り付けられ、図4に示した
ように編布23とカバー20とは型縫いによってインナ
ーベルト21に堅固に縫着されている。なお、カバー2
0は乗員が直に手にし、また乗員の衣服に直接接する部
分であるため、その材質としては皺が目だちにくく、手
触りの良い生地が好ましく、本実施例ではポリエステル
加工糸を経編みしたトリコットが使用されている。
【0035】以上述べたように、この肉厚部分はインナ
ーベルト21を芯として膨張可能なチューブ22を有す
るが、その一端はタング3を介してガス発生手段に連結
されており、衝突時に導入されるガスにより膨張展開
し、乗員の移動を有効に拘束することができる。以下、
本明細書ではこの膨張部位全体をさす場合、「膨張構造
体」と呼ぶ。
【0036】また、この膨張構造体の構成要素につい
て、前述の実施例に加えて以下の変形例を挙げることが
できる。まずチューブ22としては、肉厚が比較的薄く
でき、内部に高温ガスが充満することから耐熱性があ
り、急激な膨張に対しても十分な弾性を示すゴム質材料
が適している。たとえばゴム弾性の顕著な種々の熱可塑
性エラストマーの他、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ゴム
/ゴムブレンド品等が使用できる。
【0037】前述の編布23の実施例では、筒状とする
ための縫い目の無い緯編み(よこ編み)の丸編ニットが
用いられているが、その基本組織としては平編み、ゴム
編み(リブ編み)、パール編み、インターロック(両面
編み)等の種々の編みにより構成できる。このときよこ
編みループのコース(C)の密度をたて方向に変化させ
ることにより編布23のよこ方向の伸びを変えることも
できる。平編みでは平らな編地が作られるが、2枚の細
長い編地を重ね合わせて端部を縫着して筒状を形成した
り、1枚の編地の両端を輪状に縫着してもよい。また、
カバー20に使用される布地としてはナイロン糸、ポリ
エステル糸を使用した平織り生地も使用することができ
る。なお、実施例、変形例にあるような布地以外でも、
手触り、強度、耐久性等の要件を満足すれば、樹脂フィ
ルム、人工皮革等の材質のものをカバーとして使用する
こともできる。
【0038】図3は図2に示した膨張構造体の内部が分
かるように膨張展開時の状態を示した分解斜視図であ
る。同図に示したようにチューブ22が導入ガスにより
膨張すると丸編ニットからなる編布23がよこ方向に伸
び、筒状に膨らむ。そして所定の内圧が作用した段階で
カバー20の生地を縫い合わせた部分の縫糸の一部が破
断する。そしてカバー20の縫い目20aが口をあける
ように広がり、丸編ニットの編布23に包まれたチュー
ブ22がその部分からはみ出すように紡錘形状に膨張す
る。一方、ピラーアンカー側の膨張構造体25の所定範
囲と、タング3側の所定範囲ではカバー20の縫い目2
0bが堅固に縫着されているので、チューブ22の膨張
がカバー20部分20cで拘束され、このカバー部分2
0cは細い円筒形状(本実施例では直径約3.6cm程
度である。)にしか膨張しない。また、膨張構造体25
が紡錘形状に膨張展開することによりベルトの長手方向
の長さが短くなる。このとき膨張構造体25の丸編ニッ
トの編布23がベルトの長手方向の張力を負担するの
で、インナーベルト21には張力は作用せず、インナー
ベルト21は緩んだ状態になる。
【0039】図4は膨張構造体25とウェビング10
(前述のように膨張構造体25内にある場合はインナー
ベルト21と呼ぶ)とのスリップガイド5側の端末処理
の状態を示した断面図である。ここで再度その構成をま
とめて説明すると、丸編ニットの編布23の端部はカバ
ー20の端部20dとともに一体的に接着剤で接着され
た上に型縫いによりウェビング10に堅固に縫着され
る。そしてその型縫い部分の内側の編布23内のインナ
ーベルト21にシリコーンゴム製のチューブ22の端部
22aが接着されている。
【0040】さらにこのチューブ22内には高温の反応
ガスとともに噴出される炭素粉等の燃え渣(残渣)を捕
捉する筒状のバッグフィルタ26が収容されている。こ
のバッグフィルタ26には高温の細かい燃え滓を捕捉で
きるとともに、ガスを自由に透過させる程度の目の細か
さの布製フィルタが使用されている。フィルタの内面に
は高温の燃え滓が付着するので、フィルタの材質として
は耐熱性を有する生地を使用するのが良い。
【0041】次に、前述のように膨張構造体25の膨張
時の形状と膨張容積とを制御する方法について説明す
る。図5は本実施例に使用した布製カバー20の平面図
を示したものである。この布製カバー20は所定寸法の
編布生地(トリコット等)の端部を縫製し、細長い筒状
としたもので、本実施例では全長約800mmの範囲の
膨張構造体25の縫いしろ部分全長を細糸(60d)で1
回縫いし、さらにタング3側の約300mmの範囲
(A)とスリップガイド5側の約200mmの範囲
(C)を太糸(630d)を用いて細糸の部分より細かいピ
ッチで2回縫いしている。したがって範囲(B)の縫い
合わせ部20aは細糸のみでしか縫着されていない。こ
のときこの細糸の強度はベルト装着時に乗員が縫い目を
引っ張った程度では切れない程度の強さに設定されてい
る。
【0042】また厚さの薄いカバー20生地を使用する
場合には、同図(a)、(b)に示したようなもう1枚
のカバー20Aを(A)の範囲にさらにかぶせて2重に
し、ガスが急激にチューブ22内に導入された際にタン
グ3付近のカバー20eの生地破れが生じないようにす
ることも好ましい。
【0043】図5(c)は同図(a)に示したカバー2
0を装着した膨張構造体25が導入ガスにより膨張展開
した状態を模式的に示した説明図である。膨張構造体2
5の膨張動作としては、まず衝突時のようにあらかじめ
設定されたしきい値以上の速度センサにより急減速が検
知されると、ガス発生装置に作動信号が出力され、これ
によりガス発生装置が作動して、反応ガスが急激に生成
される。そしてこの反応ガスが噴出し、膨張構造体25
の端部に設けられたタング3のガス流通孔を介して膨張
構造体25内に導入される。これにより膨張構造体25
全体が細長い筒状に急激に膨張するが、チューブ22内
が導入ガスにより所定内圧まで高まると、前述のカバー
20の縫い目20aの細糸が破断し、膨張した丸編ニッ
ト部分が範囲(B)の部分で紡錘形状に露出する。この
結果、膨張構造体25は全体として図5(c)のような
形状になる。
【0044】このときの膨張構造体25の膨張容積は図
16に示した同寸法でカバー20のないものの約1/3
程度に抑えることができ、ガス発生装置からの発生ガス
量が一定であることから膨張構造体25の内圧も高くな
り、前述のプリテンション効果を確実に得ることができ
る。
【0045】図6は、本発明によるインフレータブルシ
ートベルト装置の膨張展開実験をフルサイズダミーDを
使用して行った結果を示した概略斜視図である。図5に
示したカバー20を装着したインフレータブルシートベ
ルト装置によれば、ダミーDの胸部を中心として膨張構
造体25が膨張する。このときダミーDの胸部では通常
のウェビング10のシートベルト装置に比べて1.6倍
程度の広い接触面積を確保することができ、これにより
乗員を確実にかつソフトに保護することが可能になる。
このときカバー20の裂け目の位置及びその範囲は、カ
バー20の縫いしろ部分の位置を変えることにより自由
に設定できることはいうまでもない。
【0046】また、図6から明らかなように膨張構造体
25は胸部以外の部位でも細長い筒状に膨張するので、
乗員の鎖骨から肩にかけての範囲と腹部から腰部にかけ
ての範囲も通常のウェビングによる拘束に比べて、十分
にソフトに保護することができる。このように使用する
カバーの縫い合わせの強さを調整することで、膨張構造
体25の膨張範囲をコントロールし、適正な膨張形状と
膨張容積の低減を図ることができる。なお、以上の説明
ではカバーの接合を縫い糸による縫い合わせを例に説明
したが、接合部を接着してその接着面積等を変えて接着
強度に差をつけたり、機械的係止部品によりその係止強
さを調整したりして同様の効果を出すことも可能であ
る。
【0047】以下において、カバー20に代えて膨張構
造体25の膨張範囲を規制する変形例について図7及び
図8を参照して説明する。図7(a)は丸編ニットから
なる編布23を示したもので、この編布23は樹脂を含
浸させて編目の一部23aが固められており、内部に挿
入されたチューブ22が膨張してもその部分の編目が伸
びないようになっている。
【0048】また、この編布23は全面にわたり弱い接
着性を示す樹脂コーティング23cが施され、通常の装
着時に編布を引っ張った程度では編目が伸びないように
なっている。そして、チューブ22が導入ガスにより膨
張し内圧が作用すると、編目間に滲み込んだ樹脂コーテ
ィングの接着が剥離し、速やかに膨張する。このとき樹
脂コーティングが強固に施されている両端部分23aは
チューブ22膨張時にも編目が接着されたままで変形し
ないので、ガス流通路部分のみが細長い筒状に膨張する
にとどまる。この変形例においても図6に示した状態に
近い膨張変形を実現することができる。また、この変形
例によれば、編布自体により膨張範囲をコントロールで
きるとともに、弱い樹脂コーティングにより通常の装着
時に編目が伸びたりしないので、カバー20を省略する
ことができるという利点がある。
【0049】同図(b)は挿入されたインナーベルト2
1とシリコーンゴム製のチューブ22の端部とをガス流
通路22Gが形成されるように側部22bを溶着あるい
は接着し、このチューブ22を丸編ニットからなる編布
23内に挿入し、膨張構造体25を構成した変形例を示
したものである。この変形例によってもチューブ22の
溶着あるいは接着された側部22bの膨張変形が拘束さ
れるので、図6に示した状態に近い形状の膨張変形を実
現することができる。
【0050】同図(c)はシリコーンゴム製のチューブ
22の端部に補強糸22cを螺旋状に巻回して巻回部分
の膨張変形を規制するようにした変形例を示している。
本変形例ではポリエステル加工糸を補強糸22cとして
使用し、チューブ22の外周に所定ピッチで巻回し、接
着剤等でチューブ22表面に固着しているので、この部
分ではガスが導入されてもチューブ22外径が拡径しな
い。このとき補強糸22cの巻回ピッチを変化させるこ
とによりチューブ22の膨張変形状態を自由に設定する
ことも可能である。またこの補強糸は製造されたチュー
ブ22の表面に巻回するだけでなく、チューブ22製造
時に心材としてチューブ22内に埋設させて組み込むこ
とも可能である。
【0051】図8は他の変形例として丸編ニットの編目
の構成を変えて膨張構造体25の膨張変形をコントロー
ルするようにした例を示している。同図は平編みの表目
パターンを模式的に示したものであるが、このような編
目構成において緯糸(よこ糸)ループ23dのコース
(C)と等しくあるいは適当な間隔をもって緯糸ループ
23dとは別のよこ糸23eを挿入することにより緯方
向の膨張変形を調整することができる。すなわち伸縮す
る編地に関係なく挿入されるよこ糸23eの本数やピッ
チあるいは太さ、種類を変えることにより編布23の各
位置でのよこ方向伸び量を自由に設定できる。この方法
はゴム編み、パール編み等の他の丸編の場合にも適用で
きることはいうまでもない。
【0052】次に、本実施例における膨張構造体25と
ガス導入口を備えたタング3との取り合いの構造の詳細
について図9と図10を参照して説明する。図9はタン
グ3と膨張構造体25との接合部を示した斜視図であ
る。図9、10において膨張構造体25の端部25aは
偏平四角形状断面をなす金属製の端部金具31を覆うよ
うに定着され、その外周をさらに覆うようにかしめ金具
32により堅固に固定されており、膨張構造体25が端
部金具31から容易に離脱しないようになっている。ま
た端部金具31の先端部には図示しないバックル装置4
のバックル本体に挿入係合されるタングパイプ33が固
定されている。このタングパイプ33は内部にガス流通
孔34が形成されており、このガス流通孔34と端部金
具31の内部を介して膨張構造体25内に図示しないガ
ス発生手段からの反応ガスが導入される。このように本
実施例によるタング3は、端部金具31とかしめ金具3
2とタングパイプ33とを組み合わせることにより一体
的に構成されている。またタングパイプ33の根元部に
はラップベルトアンカープレート8が嵌着されており、
通常のウェビングからなるラップベルト7の端部7aが
定着できるようになっている。
【0053】図10は膨張構造体25の各構成要素とタ
ング3との取り合い部分を示した縦断面図である。同図
に示したように膨張構造体25の各部(インナーベルト
21、バッグフィルタ26、チューブ22、編布23、
カバー20)はゴム被覆31aされた端部金具31の外
周部分に互いが密着するように重層的に被着され、その
外周部分には内面がゴム被覆32aされたかしめ金具3
2が嵌着されている。(図10ではかしめ金具32は分
離した状態で示されている。)このような構成をとるこ
とにより膨張構造体25は、その端部25aにおいて気
密性が保持されるとともに、高圧の反応ガスが膨張構造
体25内に急激に導入されても、端部金具31が離脱、
破損することがない。
【0054】図11〜図13はバックル装置の実施例を
示した説明図である。このバックル装置4はタングパイ
プ33を固定支持するとともに、ガス発生手段を内蔵
し、このガス発生手段からの噴出ガスをタングパイプ3
3内のガス流通孔34を介して膨張構造体25に導入す
る役割を果たす。なお、このバックル装置4とタング3
との連結は、タングパイプ33の先端部33aの外周面
に形成された環状溝33bと、バックル装置4に形成さ
れた連結孔44a内面に一部が突出するように埋設され
た金属球47との係止により行われる。図11におい
て、符号41はハウジングを示しており、バックル装置
4はこのハウジング41内にその一部が固着されたフラ
ンジプレート42により図示しない車体の床面近くに固
定されるようになっている。またハウジング41内にお
いてフランジプレート42にはガス発生手段であるガス
ジェネレータ43が固定されており、このガスジェネレ
ータ43にはガス流通パイプを兼ねるバックル本体44
が堅固に連結されている。
【0055】同図には前述のタングパイプ33が係合さ
れた状態が示されている。図示したようにタングパイプ
33がバックル本体44の連結孔44aに嵌合係止され
た状態では、タングパイプ解放リング45がスプリング
46の付勢力に抗してタングパイプ先端33aに押圧さ
れ矢印A方向に押し込まれる。一方、バックル本体44
の外周面の先端にはテーパ孔44bが所定間隔で形成さ
れており、各テーパ孔44bには連結孔44aの内周面
にその一部が突出するように、バックル本体44の外周
面側から金属球47が遊嵌されている。この金属球47
はタングパイプ33係止時はスプリング48により矢印
B方向に付勢された脱着操作リング49によりバックル
本体44の外周面側から押圧され、これにより金属球4
7の一部がタングパイプ33の外周面に形成された環状
溝33b内に突出し、タングパイプ33の環状溝33b
を押圧挟持し、タングパイプ33が連結孔44a内に固
定係止される。
【0056】一方、このタングパイプ33を解放するに
は図12に示したようにハウジングの一部に設けられた
プレスボタン50を矢印C方向に押せば良い。このプレ
スボタン50は非包囲タイプの操作ボタンで、図13に
示したようにハウジングの上部前面位置に押面50aが
向いており、乗員がワンタッチで操作できるようになっ
ている。
【0057】以下、簡単にタング3をバックル装置4か
ら解放する機構を説明する。図12に示したようにプレ
スボタン50が矢印C方向に押されると、プレスボタン
に突設された操作アーム50bにより脱着操作リング4
9の突起部49aがスプリング48の付勢力に抗して矢
印C方向にスライドし、脱着操作リング49からの押さ
えがなくなり、金属球47がフリーになり、金属球47
のタングパイプ33の環状溝33bでの押圧挟持が解か
れる。この結果、バックル本体44内のタングパイプ解
放リング45がスプリング46により矢印D方向に付勢
され、タングパイプ33をバックル本体44内から矢印
D方向に押し出し、タング3はバックル装置4から解放
される。
【0058】次に、前記発明(第1の発明と記す。)を
特定発明とした関連発明(第2の発明と記す。)の実施
例について、図14及び図15を参照して説明する。図
14は第2の発明を説明するために、第1の発明の実施
例の図4に対応させた膨張構造体25のスリップガイド
5側の型縫い部を示した断面図である。図14に示した
丸編ニットの端部は、図4と同様にカバー20の端部2
0dとともに一体的に接着剤で接着され、型縫いにより
ウェビング10の所定位置に堅固に縫着されている。さ
らに型縫い部分の内側位置でインナーベルト21(ここ
でも特定発明と同様にウェビング10の膨張構造体25
内の延長部分をさしている。)にシリコーンゴム製のチ
ューブ22の端部が溶着あるいは接着されている。この
インナーベルト21はシリコーンゴム製のチューブ22
が固着された端部22aで切断されており、チューブ2
2内には前述と同様の機能を果たす筒状のバッグフィル
タ26のみが収容されている。
【0059】このように構成された第2の発明によるイ
ンフレータブルシートベルト装置では、ガス発生手段が
動作しないような軽微な衝突等に対しては、膨張構造体
25自体が『ウェビング』として機能する。すなわち、
膨張構造体25は使用されている編布23の伸び性状か
ら長手方向にほとんど伸びないので、通常のウェビング
10と同様にベルトの作用張力を負担でき、乗員を適正
に拘束することが可能である。また、衝突時には、第1
の発明と同様に膨張構造体25が適正な形状で膨張する
ので、乗員を膨張構造体の広い面積部分で拘束保護する
ことができる。
【0060】さらに、以上の構成からなる膨張構造体2
5ではインナーベルト21がないので、膨張構造体25
の膨張範囲の調整のためにシリコーンゴム製のチューブ
22に対して図15に示したような加工をすることも可
能である。同図(a)はガス流通路22Gのみを残して
溶着または接着によりチューブ22の一部の変形を拘束
するようにした変形例を示している。また同図(b)で
はガス導入口付近の直径をガス流通路22G程度まで縮
径した形状に成形し、その状態で補強糸22cをチュー
ブ22の外周に巻回するようにした変形例を示してい
る。同図(c)はガス導入口付近の直径をガス流通路程
度まで縮径し、その部分の肉厚を増した形状に成形し、
ガス導入時にこの部分を膨張させないようにしている。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第1の
発明によれば、通常の装着時には従来のウェビングが備
えた拘束性能を発揮するとともに、衝突時等には膨張構
造体が適正な膨張形状をなして膨らむので、該膨張構造
体により乗員の胸部を中心として広い接触面積で有効に
拘束保護することができ、また膨張に伴うベルトのプリ
テンション効果を有効に引き出せる等の効果を奏する。
【0062】第2の発明によれば、膨張構造体の厚さが
比較的薄くなるので、ベルト装着時や収納時にベルトの
取扱いやすさが向上するとともに、衝突時においては、
第1の発明と同様に前記膨張構造体が膨張展開する際
に、乗員の胸部を中心として広い接触面積で移動を拘束
することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明によるインフレータブルシートベル
ト装置の一実施例を示した概略構成図。
【図2】図1に示したインフレータブルシートベルト装
置の部分を拡大し、通常装着時の膨張構造体の内部を模
式的に示した部分分解斜視図。
【図3】図2に示したインフレータブルシートベルト装
置の膨張展開時の膨張構造体の内部を模式的に示した部
分分解斜視図。
【図4】膨張構造体のスリップガイド側の端末処理の構
造を示した部分縦断面図。
【図5】膨張構造体のカバーの縫製状態と、該カバーに
より膨張形状が規制された膨張構造体の膨張状態とを示
した説明図。
【図6】本発明によるインフレータブルシートベルト装
置をダミーを使用して膨張展開させた実験結果を概略的
に示した斜視図。
【図7】膨張構造体の膨張形状を規制するための部材の
変形例を示した斜視図。
【図8】編布構造の変形例を示した平編みパターン図。
【図9】タング及び膨張構造体端部の取り合い構造を示
した斜視図。
【図10】図9に示した取り合い構造の断面状態を示し
た縦断面図。
【図11】バックル装置の係止部の概略構造を示した平
断面図。
【図12】バックル装置のプレスボタンによるタング解
放動作を示した縦断面図。
【図13】バックル装置を正面から見た端面図。
【図14】第2の発明による膨張構造体のスリップガイ
ド側の端末処理の構造を示した部分縦断面図。
【図15】第2の発明における膨張構造体の膨張形状を
規制するための部材の変形例を示した斜視図。
【図16】従来の編布構造の膨張体を有するインフレー
タブルシートベルト装置の膨張形状の一例を示した説明
図。
【図17】図16に示したインフレータブルシートベル
ト装置をダミーを使用して膨張展開させた実験結果を概
略的に示した斜視図。
【符号の説明】
1 インフレータブルシートベルト装置 2 肩ベルト 3 タング 4 バックル装置 5 スリップガイド 6、9 リトラクタ(ELR) 7 ラップベルト 10 ウェビング 20 カバー 21 インナーベルト 22 チューブ 23 編布 25 膨張構造体 26 バッグフィルタ 31 端部金具 32 かしめ金具 33 タングパイプ 41 ハウジング 43 ガスジェネレータ 44 バックル本体 50 プレスボタン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−258239(JP,A) 特開 昭49−37325(JP,A) 特開 平5−278543(JP,A) 特開 平6−144138(JP,A) 特開 平6−56001(JP,A) 実開 昭60−99157(JP,U) 特許3110882(JP,B2) 米国特許3929348(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 21/16 - 21/32 B60R 22/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通常装着時は帯状に保形されるとともに、
    所定のしきい値を越えた際に作動するガス発生手段によ
    り発生したガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨張展開
    する袋状部を有する膨張構造体と、該膨張構造体が少な
    くとも乗員に当接する範囲にわたり付設されたウェビン
    グと、前記膨張構造体の端部に固着されるタングと、
    部に前記ガス発生手段からのガス導入路を有し、前記タ
    ングと着脱自在に嵌合係止されるバックル装置とを備え
    たインフレータブルシートベルト装置において、前記膨
    張構造体は、長手方向に接合部が延在する筒状カバーで
    被覆された編布からなる袋状部がガス導入により膨張展
    開する際に、前記筒状カバーの接合部が前記乗員の胸部
    およびその近傍に当接する範囲で解離し、前記編布が編
    目緯方向に伸長して膨張する一方、前記範囲以外の接合
    部では接合が保持され、前記範囲以外では編目緯方向の
    伸長が抑止される膨張規制手段を備えたことを特徴とす
    るインフレータブルシートベルト装置。
  2. 【請求項2】乗員に当接する範囲に形成され、通常装着
    時は帯状に保形されるとともに、所定のしきい値を越え
    た際に作動するガス発生手段により発生したガスを内部
    に導入し、略紡錘形状に膨張展開する袋状部を有する膨
    張構造体と、該膨張構造体にその一端が接続され他端が
    巻回手段に巻回収容されるウェビングと、前記膨張構造
    体の前記ウェビングとの接合端でない側の端部に固着さ
    るタングと、内部に前記ガス発生手段からのガス導入
    路を有し、前記タングと着脱自在に嵌合係止されるバッ
    クル装置とを備えたインフレータブルシートベルト装置
    において、前記膨張構造体は、長手方向に接合部が延在
    する筒状カバーで被覆された編布からなる袋状部がガス
    導入により膨張展開する際に、前記筒状カバーの接合部
    が前記乗員の胸部およびその近傍に当接する範囲で解離
    し、前記編布が編目緯方向に伸長して膨張する一方、
    記範囲以外の接合部では接合が保持され、前記範囲以外
    では編目緯方向の伸長が抑止される膨張規制手段を備え
    たことを特徴とするインフレータブルシートベルト装
    置。
  3. 【請求項3】前記筒状カバーの接合部は、縫着により形
    成されていることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のインフレータブルシートベルト装置。
  4. 【請求項4】前記袋状部は、丸編構造の編布からなる
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインフ
    レータブルシートベルト装置。
  5. 【請求項5】前記ウェビングは、一端が前記膨張構造体
    とともに前記タングに固着され、他端が巻回手段に巻回
    収容されるとともに、前記膨張構造体が該ウェビングを
    心材としてウェビングを包囲するように少なくとも乗員
    に当接する範囲にわたり形成されたことを特徴とする請
    求項1記載のインフレータブルシートベルト装置。
  6. 【請求項6】前記膨張構造体は、ガス導入により膨張可
    能なチューブ状膨張体が内部に挿入されたことを特徴と
    する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のイン
    フレータブルシートベルト装置。
  7. 【請求項7】前記膨張規制手段は、ガス導入により膨張
    可能なチューブ状膨張体の表面に膨張規制部を形成し、
    該チューブ状膨張体の膨張形状を規制することで前記袋
    状部の膨張を抑止するようにしたことを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載のインフレータブルシートベ
    ルト装置。
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