JPH06262997A - テンションレスインフレータブルシートベルト装置 - Google Patents

テンションレスインフレータブルシートベルト装置

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JPH06262997A
JPH06262997A JP5078626A JP7862693A JPH06262997A JP H06262997 A JPH06262997 A JP H06262997A JP 5078626 A JP5078626 A JP 5078626A JP 7862693 A JP7862693 A JP 7862693A JP H06262997 A JPH06262997 A JP H06262997A
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JP
Japan
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gas
inflatable
tongue
tensionless
seat belt
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Application number
JP5078626A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Tanaka
良彦 田中
Tsuneo Chikaraishi
恒雄 力石
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Takata Corp
Original Assignee
Takata Corp
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルト部分に弾性膨張体を備えたシートベル
ト装置の装着時の拘束感を除去する。 【構成】 肩ベルト2の膨張構造体に取着されたタング
3をバックル装置4に嵌合係止した状態でインフレータ
のガス導入路を切り換えてプレインフレートガス源Bか
らガスを導入し、前記膨張構造体の一部2cを湾曲膨張
させ、該膨張構造体と乗員の肩部分とに離隔が生じるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はテンションレスインフレ
ータブルシートベルト装置に係り、特に通常装着時にお
いて乗員の胸部から肩部にかけて筒状に膨張しアーチ状
に自立して湾曲した状態で乗員に接しないように保持さ
れるとともに、車両衝突時等にガス発生手段から導入さ
れたガスにより所定形状に膨張する弾性膨張体を備え、
装着時の拘束感を取り除くとともに、乗員を有効に拘束
保護できるようにしたテンションレスインフレータブル
シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、シートベルト装置は衝突時に生じ
る加速度や衝撃力による乗員の急激な移動を拘束し、乗
員の身体の安全を図る装置として、自動車等において不
可欠な装置となっている。この種のシートベルト装置
は、通常ウェビング(以下、本明細書では日本工業規格
に規定されているような幅50mm程度の通常の繊維材
料からなる織りベルトをウェビングと呼ぶ。)と、この
ウェビングをバネ力により巻回して内部に引き込むとと
もに、衝突により衝撃が作用した時にのみウェビングの
引き出しをロックして乗員を拘束するリトラクタ(以
下、ELR:Emergency Locking Retractorと記す。)
と、乗員の身体にフィットするように装着させるために
ウェビングを適正な位置に設置されたバックル装置、タ
ング、アンカー等により構成されている。
【0003】このようなシートベルト装置は衝突時の乗
員拘束性能が十分高いとともに、乗員が搭乗した際に、
必ず装着されることが必要であり、そのために通常装着
時の拘束感を最小限にすること、装着時の操作性を向上
することが重要である。
【0004】ここで、通常装着時のシートベルト装置に
よる拘束感について考えてみると、従来のシートベルト
装置では通常の装着時においても、ウェビングの端部が
ELR等の巻回装置により所定の張力で巻き取られてい
るので、ウェビングが乗員の腰部と胸部とに密着する。
図15は肩ベルト101とラップベルト102がウェビ
ングで構成されたシートベルト装置を正しい着座姿勢に
ある乗員Dが装着した状態を模式的に示した説明図であ
る。図示したようにウェビングの端部がELR等の巻回
装置により所定のテンションで巻き取られているため、
通常の装着時においても乗員Dは掛け渡された肩ベルト
101のウェビングにより胸部等に圧迫感を受け、身体
が拘束される感じを受ける。そのため乗員はその拘束感
を嫌い、シートベルト装置を装着しないというケースも
多々ある。
【0005】そこで、最近では通常時のシートベルト装
置の拘束感をなくすために巻回装置内に組み込まれた巻
回用のリターンスプリングの巻回動作を規制して通常装
着時のウェビングをフリー状態にできるテンションレス
ELRや、強弱2種類のスプリングを使用し、通常装着
時では弱いスプリングでウェビングの弛みのみをとるよ
うにしたテンションレデューサを備えたELRも提案さ
れている。
【0006】一方、従来の織りベルトのウェビングに比
べ、乗員拘束性能を向上させるための改良もされてい
る。たとえばウェビングの一部を織布により袋状に形成
し、通常装着時はこの袋状部分を扇状等に折り畳んで弱
い接着を施し帯状に保形したり(ファンホールドタイ
プ)、折り返し部分をファスナー等の係止手段により帯
状に保形しておき、衝撃作用時にはウェビングに連結さ
れたガス発生手段からの噴出ガスにより袋状部分を膨張
展開させるようにしたシートベルト装置も提案されてい
る(米国特許第3,865,398号公報等参照)。
【0007】この種の膨張可能な袋状部を備えたシート
ベルト装置(以下、インフレータブルシートベルト装置
と記す。)によれば、乗員に作用する荷重を従来のウェ
ビングより広い面積に分散させることができるので、乗
員の受ける荷重を低減させることができ、安全性をより
高めることができる。
【0008】また、インフレータブルシートベルト装置
はリヤシートにおいて、特にその効果が期待できる。す
なわち、リヤシートの乗員のためにエアバッグ装置を設
置するためには通常フロントシートの後部にエアバッグ
装置を装備する。このリヤシートのためのエアバッグ装
置を適正に作動させ、乗員を効果的に拘束し保護するた
めにはフロントシート構造が高い剛性を有する必要があ
る。このためエアバッグ装置を備えると、可動部のある
リクライニング機能をフロントシートにもたせることが
難しい等の制約が生じる。したがってシートに単独で装
備でき、前述のような制約のないインフレータブルシー
トベルト装置がリヤシートにおいて大変有効となる。
【0009】出願人はすでに前述のインフレータブルシ
ートベルト装置として前記袋状部分を編布構造で構成
し、内部にゴムチューブの膨張体を挿入した発明と、前
記袋状部分を緯糸(よこ糸)が十分伸長する構造の織布
構造で構成し、内部にゴムチューブの膨張体を挿入した
発明とを開示している。これらの発明によれば、シート
ベルト装置は通常の装着時において、厚手の生地からな
る織布構造を折り畳んだタイプに比べ、比較的薄い形状
の帯状に保形され、しかも緊急時には袋状部分を確実か
つ迅速に膨張展開させることができるという効果が得ら
れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のイン
フレータブルシートベルト装置では、ベルト収納時に袋
状の肩ベルト部分もピラー内の下方位置に装備されたE
LRに巻回されることになる。ところが、編布構造のベ
ルト部分は引張強度が小さいので、所定の強度を得るた
めに編糸の径を太くしてあり、編布も織布に比べ多少の
厚みがある。このためこのような厚みのある編布ベルト
を巻回でき、かつ前述のようなテンションレス機構を組
み込んだ特別なELRを新たに装備しなくてはならな
い。
【0011】また、シートベルト装置には、装着時にE
LRから引き出されたベルトの向きを変えるためにピラ
ーアンカー部分にスリップガイドが装備されている。こ
のスリップガイドはベルトを挿通させる案内開口を有す
るが、この案内開口はベルトのねじれや反転を防止する
ためにその開口幅等が制限されており、厚みのあるベル
トを滑らかに通過させるのが難しく、テンションレスE
LR等のベルト張力の解放の機能が有効に発揮できない
という問題もある。さらに、前述のインフレータブルシ
ートベルト装置では、何らかの原因でチューブが損傷を
受けることが考えられる。
【0012】シートベルト装置の機能としては、前述の
ようにチューブの一部に損傷がある状態でも全体として
ウェビングが挿通されているので、通常のシートベルト
装置としての機能は果たすことができる。しかし、衝突
時にインフレータが作動しその反応ガスの導入によりベ
ルト部分が膨張する場合には、ガスがチューブの破損箇
所から外部に流出してしまい、インフレータブルベルト
としての機能を十分に発揮できないことも考えられる。
このためベルト内に挿入されているチューブ等の弾性膨
張体に傷等がないかを装着時に検査できるようにするこ
とが好ましい。このような場合、車内にガス漏れ検査装
置を持ち込み、シートベルトのタングを注入口として弾
性膨張体にリークテスト用ガスを導入し、ガス漏れを検
査することも可能であるが、乗車時の始業点検としては
ドライバーの作業負担が大きすぎ、結局は検査されない
ようになってしまうことも考えられる。
【0013】そこで、本発明の目的は前述した従来の技
術が有する問題点を解消し、ガス導入によりベルトを自
立膨張させ、通常装着時の拘束感を取り除くとともに、
その際バックル装置内のガス流路を利用して前記ベルト
膨張部分のチューブのガス漏れ検査を自動的に行えるよ
うにしたテンションレスインフレータブルシートベルト
装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、通常装着時は帯状に保形されるととも
に、所定のしきい値を越えた際に作動する第1のガス供
給手段による発生ガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨
張展開する袋状弾性膨張体を有する膨張構造体と、該膨
張構造体が少なくとも乗員に当接する範囲にわたり付設
されたウェビングと、前記膨張構造体の端部に固着され
内部に前記ガス発生手段からのガス導入路を有するタン
グと、内部にガス流通路が形成されるとともに、前記タ
ングが着脱自在に嵌合係止されるバックル装置とを備え
たテンションレスインフレータブルシートベルト装置に
おいて、前記膨張構造体は、前記タングが前記バックル
装置に嵌合係止された状態で前記第1のガス供給手段と
前記ガス導入路を切り換えて第2のガス供給手段から導
入されたガスによりその一部が湾曲膨張し、該膨張構造
体と乗員とに離隔が生じるようにしたことを特徴とする
ものである。
【0015】この場合、前記膨張構造体は、前記膨張状
態で前記袋状弾性膨張体のガス漏れの有無を前記ガス流
通路内に設けられたガス漏れ検知手段により検知し、該
ガス漏れ検知手段による検知結果により前記袋状弾性膨
張体に損傷があると認められた場合には、前記第1のガ
ス供給手段が前記所定のしきい値を越えた際にも作動し
ないようにすることが好ましい。
【0016】また、前記膨張構造体は、前記袋状弾性膨
張体が編布で被覆され、該編布の所定位置の伸び変形が
拘束された状態で前記第2のガス供給手段からガスが供
給され、所定の湾曲形状が形成されるようにすることが
好ましい。
【0017】
【作用】本発明によれば、膨張構造体に取着されたタン
グをバックル装置に嵌合係止した状態で前記第1のガス
供給手段と前記ガス導入路を切り換えて第2のガス供給
手段からガスを導入し、膨張構造体の一部を湾曲膨張さ
せ、該膨張構造体と乗員とに離隔が生じるようにしたの
で、シートベルトを乗員に接することなく装着でき、こ
れにより乗員の通常装着時でのシートベルト装着による
拘束感を取り除くことができる。
【0018】この場合、前記膨張状態で前記袋状弾性膨
張体のガス漏れの有無を前記ガス流通路内に設けられた
ガス漏れ検知手段により検知し、該ガス漏れ検知手段に
よる検知結果により前記袋状弾性膨張体に損傷があると
認められた場合には、前記第1のガス供給手段が前記所
定のしきい値を越えた際にも作動しないようにしたの
で、前記袋状弾性膨張体に孔あき等の損傷があるかどう
かをシートベルト装置を装着するたびに自動的に確認す
ることができ、前記ガス漏れ検知手段による検査で前記
袋状弾性膨張体に損傷があると認められた場合には、前
記所定のしきい値を越えた際にも前記第1のガス供給手
段を作動しないようにすることで、前記袋状弾性膨張体
が破損しているのを知らないで、衝突時に高温の反応ガ
スを導入した際に、その破損箇所からガスが外部に噴出
するという事態を防止できる。
【0019】また、前記袋状弾性膨張体を編布で被覆
し、該編布の所定位置の伸び変形を拘束した状態で前記
第2のガス供給手段からガスを供給し、所定の湾曲形状
を形成するようにしたので、確実に乗員の肩部等の保護
も図ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明によるテンションレスインフレ
ータブルシートベルト装置の一実施例を添付図面を参照
して説明する。図1はテンションレスインフレータブル
シートベルト装置1の全体構成を示した概略斜視図であ
る。なお、同図はフロントシートに組み込まれるテンシ
ョンレスインフレータブルシートベルト装置1の各構成
部品の関係が明確になるように示している。
【0021】同図中、符号2は肩ベルトを示しており、
この肩ベルト2は一端2aにタング3が固着されてお
り、左右のフロントシート間の床部近くの所定位置に固
定されたバックル装置4にタング3を介して係合固定で
きる。すなわちタング3は、その先端に内部にガス流通
孔を有するタングパイプ33を有し、このタングパイプ
33をバックル装置4の図示しないバックル本体の連結
孔に挿入係止させてベルト端部を定着させるようになっ
ている。また、他端2bは図示しないピラー(中間柱)
に上下方向に位置調整可能に取り付けられたピラーアン
カーのスリップガイド5により下方に向け案内され、ピ
ラー内の床近くに設置されたELR6に巻回されるよう
に掛け渡されている。ラップベルト(腰ベルト)7は、
一端がタング3の口金部分に固着されたアンカープレー
ト8に定着され、他端がシート座面を越えてドア側の床
近くに設置固定されたELR9に巻回されている。
【0022】ここで、バックル装置4に内蔵され、シー
トベルト装着時に肩ベルト2の一部に形成された膨張体
(その構成は後述する)にテンションレス機能を持たせ
るための構成要素について説明する。バックル装置4の
内部に設けられた連結孔近傍には、タングパイプ33が
この連結孔に確実に挿入係止されたことを検知するタン
グ接続検知センサ41が装着されている。そしてバック
ル装置4の外部にはタング接続検知センサ41からの検
知信号を受けるプレインフレート制御部42が設けられ
ている。このプレインフレート制御部42はガス源Bと
タングパイプ33との間に設けられた図示しないバルブ
の開閉及び流通方向を制御する役割を果たし、その指令
信号は前記バルブ操作部に出力される。(以下、本明細
書ではこのテンションレスベルトを形成するための膨張
作用動作を衝突時の膨張展開動作(インフレート)に対
して前もって膨張させるという意味で「プレインフレー
ト」と呼ぶ)。
【0023】またガス源Bから膨張体内にプレインフレ
ートガスが導入された際に、この膨張体からのガス漏れ
を検知し、膨張体に孔等があいていないかを検査するた
めの検知部としてリーク検知センサ43が設けられてい
る。さらにこのリーク検知センサ43には表示手段44
が接続されており、この表示手段44は運転席のインス
ツルメントパネルに取り付けられ、リーク検知センサ4
3からのリークの有無を検知して所定の警告メッセージ
を表示することができる。
【0024】図2は、乗員Dが肩ベルト2のタング3を
バックル装置4の連結孔に挿入係止し、シートベルト装
置を装着した状態を示している。この状態において、運
転手である乗員がイグニションスイッチをACCまたは
ON状態にすると、ガス源Bからプレインフレートガス
がタングパイプ33のガス流通路34を通じて肩ベルト
2内の膨張体に導入され、肩ベルト2の膨張体は図示し
たように乗員の肩部分に相当する位置で湾曲した細い直
径の円筒形状をなして膨張する。
【0025】このときの肩ベルトの膨張状態を図示した
のが図3及び図4である。両図に示したように通常のシ
ートベルト装置において、肩ベルト2が乗員Dに接する
部分は、乗員Dの肩口から離れるようにスリップガイド
5にかけて緩い曲率の円弧状あるいは弓状をなして筒状
に湾曲膨張している。このため図3に示したように乗員
の胸部から肩にかけて肩ベルトが自立して乗員との間に
離隔が生じているので、装着時の圧迫感を取り除くこと
ができる。また、図4に示したように肩ベルト2の一端
がタング3を介してバックル装置4に定着され、他端が
スリップガイド5を介して図示しないELRに引き込ま
れ、矢印A方向にベルトに張力が加わっても、肩ベルト
2の湾曲部分2cは自立した湾曲形状を保持している。
この自立状態を保持するために膨張体を構成する各構成
部材の伸び変形性状が異なるように設定されている。
【0026】ところで、前述したように通常装着時に肩
ベルトに所定容量のプレインフレートガスを導入して所
定の湾曲筒状に膨張させることができるので、この膨張
状態で一旦ガス導入を停止し、内圧状態を保持してガス
リークの有無をテストすることも可能である。この目的
を達成するために本実施例では図1及び図2に示したよ
うにバックル装置4内にリーク検知センサ43が内蔵さ
れている。そしてリーク検知センサ43によりチューブ
からのガス漏れが検知され、ガス漏れがある場合には表
示手段44に所定の警告メッセージが表示される。
【0027】ここで、肩ベルトに設けられた膨張体の各
構成の詳細について図5及び図6を参照して説明する。
肩ベルト2は、図1に示したように一端2bがELR6
内に巻回収容され、他端2aにタング3が連結された1
本のウェビング10を通し材として構成されている。本
実施例では、ウェビング10としてポリエステル加工糸
を密に綾織、平織等により織り上げた幅約50mm、厚
さ1.6mm程度の帯状ベルトが使用されているが、こ
のウェビング10は通常のシートベルト装置に使用され
ているものと同等品である。また乗員の身体に当接する
腹部から右肩部にかけての部分には、筒状の布製カバー
20で被覆されたやや肉厚な部分が形成されている。こ
の肉厚部分の内部には図5に示したような各種の袋状構
造体が重層的に収容されている。
【0028】図5において、符号10aは前述のウェビ
ング10がカバー20の内部に位置した状態を示してい
る。以下、機能上の区別からこの部分のベルトを「イン
ナーベルト」と呼び、外部に露出してELR6に巻回さ
れる部分のベルトを「ウェビング」と呼び、それぞれに
異なった符号10、21を付して説明する。インナーベ
ルト21は図5に示したようにシリコーンゴム製の薄膜
状のチューブ22内に偏平な状態のまま挿入されてい
る。このシリコーンゴム製のチューブ22は筒状をな
し、その端部22aは図7(b)に示したようにインナ
ーベルト21の所定位置に気密性を保持するように固着
されている。このためチューブ22内にガスが導入され
ると、細長い筒状に膨張する。
【0029】また、このチューブ22は、これより僅か
に大きな寸法に編まれた筒状で偏平な編布23内に収容
されている。この編布23は本実施例ではポリエステル
加工糸(1500d)を使用した丸編ニットにより構成されて
おり、この丸編ニットの編布23はベルト長手方向(編
地の経方向:たて方向)に伸びにくく、筒形状の円周が
大きくなるような方向(編地の緯方向:よこ方向)に伸
びやすい性質をもっている。
【0030】さらにこの筒状の編布23全体を覆うよう
に前述の布製カバー20が取り付けられ、図7(b)に
示したように編布23とカバー20とは型縫いによって
インナーベルト21に堅固に縫着されている。なお、カ
バー20は乗員が直に手にし、また乗員の衣服に直接接
する部分であるため、その材質としては皺が目だちにく
く、手触りの良い生地が好ましく、本実施例ではポリエ
ステル加工糸を経編みしたトリコットが使用されてい
る。
【0031】以上述べたように、この肉厚部分はインナ
ーベルト21を芯として膨張可能なチューブ22を有す
るが、その一端はタング3を介してガス発生手段に連結
されており、衝突時に導入されるガスにより膨張展開
し、乗員の移動を有効に拘束することができる。以下、
本明細書ではこの膨張部位全体をさす場合、「膨張構造
体」と呼ぶ。
【0032】また、この膨張構造体の構成要素につい
て、前述の実施例に加えて以下の変形例を挙げることが
できる。まずチューブ22としては、肉厚が比較的薄く
でき、内部に高温ガスが充満することから耐熱性があ
り、急激な膨張に対しても十分な弾性を示すゴム質材料
が適している。たとえばゴム弾性の顕著な種々の熱可塑
性エラストマーの他、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ゴム
/ゴムブレンド品等が使用できる。
【0033】前述の編布23の実施例では、筒状とする
ための縫い目の無い緯編み(よこ編み)の丸編ニットが
用いられているが、その基本組織としては平編み、ゴム
編み(リブ編み)、パール編み、インターロック(両面
編み)等の種々の編みにより構成できる。このときよこ
編みループのコース(C)の密度をたて方向に変化させ
ることにより編布23のよこ方向の伸びを変えることも
できる。平編みでは平らな編地が作られるが、2枚の細
長い編地を重ね合わせて端部を縫着して筒状を形成した
り、1枚の編地の両端を輪状に縫着してもよい。また、
カバー20に使用される布地としてはナイロン糸、ポリ
エステル糸を使用した平織り生地も使用することができ
る。なお、実施例、変形例にあるような布地以外でも、
手触り、強度、耐久性等の要件を満足すれば、樹脂フィ
ルム、人工皮革等の材質のものをカバーとして使用する
こともできる。
【0034】図6は図5に示した膨張構造体の内部が分
かるようにテンションレスインフレータブルシートベル
ト装置のプレインフレート時の膨張状態を示した分解斜
視図である。同図に示したようにチューブ22が導入ガ
スにより筒状に膨張する。このとき導入ガス量はテンシ
ョンレス効果が得られるのに必要な程度の容積に抑えら
れているので、カバー20の縫い目20bは内圧が作用
しても破断しないようになっている。このため膨張構造
体全体としては細い円筒形状(本実施例では直径約3.
6cm程度になる。)にしか膨張しない。
【0035】次に、本実施例における膨張構造体25と
ガス導入口を備えたタング3との取り合いの構造の詳細
及びバッグフィルタの構成について図7を参照して説明
する。図7(a)はタング3が定着された膨張構造体2
5の配置状態を示した縦断面図である。膨張構造体25
の端部25aは偏平四角形状断面をなす金属製の端部金
具31を覆うように定着され、その外周をさらに覆うよ
うにかしめ金具32により堅固に固定されており、膨張
構造体25が端部金具31から容易に離脱しないように
なっている。
【0036】端部金具31の先端部には図示しないバッ
クル装置4のバックル本体に挿入係合されるタングパイ
プ33が固定されている。このタングパイプ33は内部
にガス流通孔34が形成されており、このガス流通孔3
4と端部金具31の内部を介して膨張構造体25内に図
示しないインフレータからのガスが導入される。このよ
うに本実施例によるタング3は、端部金具31とかしめ
金具32とタングパイプ33とを組み合わせることによ
り一体的に構成されている。またタングパイプ33の根
元部にはラップベルトアンカープレート8が嵌着されて
おり、通常のウェビングからなるラップベルト7の端部
7aが定着できるようになっている。
【0037】同図に示したように膨張構造体25の各部
(インナーベルト21、バッグフィルタ26、チューブ
22、編布23、カバー20)はゴム被覆31aされた
端部金具31の外周部分に互いが密着するように重層的
に被着され、その外周部分には内面がゴム被覆32aさ
れたかしめ金具32が嵌着されている。(図5ではかし
め金具32は分離した状態で示されている。)このよう
な構成をとることにより膨張構造体25は、その端部2
5aにおいて気密性が保持されるとともに、導入ガスが
膨張構造体25内に急激に導入されても、端部金具31
が離脱、破損することがない。
【0038】ここで、バッグフィルタ26の構成につい
て詳細に説明する。このバッグフィルタ26はインナー
ベルト21とほぼ等しい幅で筒先が閉塞された封筒状に
縫製された通気性の高い布製フィルタであり、チューブ
22内に挿入され、その一端がタング3に定着されてい
る。さらにバッグフィルタ26の長さの1/3程度の長
さのスカート27がその内部に挿入されている。このス
カート部27は筒先が開放された筒状をなし、本実施例
ではバッグフィルタ26と同じ材質の布が使用されてい
る。
【0039】本実施例のバッグフィルタ26とスカート
27には耐熱性のあるアラミド繊維が使用されている。
このアラミド繊維は商品名ケブラー(登録商標)で知ら
れている高強度、高弾性を示す繊維であるが、耐熱性、
防炎性にも優れ、炭化開始温度が500℃程度で、高温
においても自己溶融、自己燃焼しない。なお、本実施例
で使用したケブラーはパラ結合アラミド繊維であるが、
耐熱性の観点からはメタ結合アラミド繊維を使用するこ
とも当然可能であり、繊維形態も、織物としてだけでな
く不織布を使用し、フィルタを構成することも可能であ
る。
【0040】このバッグフィルタ26はインフレータか
ら噴出するガスで膨張するとともに、通気性があるため
その内面にある程度以上の大きさの燃え滓を付着させる
ことができる。そしてバッグフィルタ26を通過したガ
スがチューブを膨らます。このときガス温度も十分低下
するのでフィルタとしての効果とディフューザとしての
効果を発揮する。また、スカート27は筒内の最高温度
の位置分布を考慮してタング近傍を二重にして十分耐熱
効果が発揮できるように配置されている。なお、バッグ
フィルタ26の生地の厚さをタング側と筒先とで変えた
り、タング側のバッグフィルタ26の内面に金属コーテ
ィングを施すことにより一重のバッグフィルタとするこ
ともできる。
【0041】以上のように本実施例ではアラミド繊維を
使用したが、アラミド繊維以外の繊維としては耐熱性の
高い繊維として炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊
維、ガラス繊維等が使用できる。このうち、炭素繊維は
有機繊維を焼成炭化したものであるため、耐熱性は抜群
であり、本発明のように強度負担のないディフューザと
して使用する場合には2000℃程度までの耐熱性を期
待できる。また酸化物系無機材料であるアルミナ繊維も
極めて耐熱性が高く、織布としての使い勝手も良い。
【0042】図7(b)は膨張構造体25とウェビング
10(前述のように膨張構造体25内にある場合はイン
ナーベルト21と呼ぶ)とのスリップガイド5側の端末
処理の状態を示した断面図である。ここで再度その構成
をまとめて説明すると、丸編ニットの編布23の端部は
カバー20の端部20dとともに一体的に接着剤で接着
された上に型縫いによりウェビング10に堅固に縫着さ
れる。そしてその型縫い部分の内側の編布23内のイン
ナーベルト21にシリコーンゴム製のチューブ22の端
部22aが溶着あるいは接着されている。さらにチュー
ブ22の内部には前述のバッグフィルタ26の筒先が延
びている。
【0043】図7(b)において、変形例としてチュー
ブ22内のインナーベルト21を端部22aで切断する
ことも可能である。すなわちこの場合にはチューブ22
内には前述の機能を果たす筒状のバッグフィルタ26の
みが収容される。本変形例では、ガス発生手段が動作し
ないような軽微な衝突等に対しては、膨張構造体25自
体が『ウェビング』として機能する。すなわち、膨張構
造体25は使用されている編布23の伸び性状から長手
方向にほとんど伸びないので、通常のウェビング10と
同様にベルトの作用張力を負担でき、乗員を適正に拘束
することが可能である。また、衝突時には、図7
(a)、(b)に示した実施例と同様に膨張構造体25
が適正な形状で膨張するので、乗員を膨張構造体の広い
面積部分で拘束保護することができる。
【0044】ここで、前述の膨張構造体を構成する各部
位の伸び変形性状を異ならせた実施例について、図8及
び図9を参照して説明する。同図(a)は偏平状態にあ
る編布23を抽出して示した概略図である。本実施例で
はこの編布23は前述の丸編ニット構造をしている。同
図において、下面23a(シートベルト装置として装着
した時に乗員に面する側)及びプレインフレート時に湾
曲させない上面(前記下面の反対面)23cは、接着剤
による弱い接着力によりプレインフレート時におけるそ
の編目の伸びが拘束されている。したがって同図(b)
に示したようにプレインフレートガスGが導入される
と、乗員の肩口に相当する部分のみが湾曲し、図3及び
図4に示したようにこの部分が乗員の肩から離れ、シー
トベルト装置の装着時において、その拘束感を取り除く
ことができる。
【0045】同図(c)は編布23の下面23a全体の
編目の伸びを拘束した変形例を示したものである。この
ように伸びが拘束された状態でプレインフレートガスG
が導入されると、同図(d)に示したように全体が略円
弧状に湾曲する。したがって乗員の体型等を考慮して大
きな湾曲形状が必要な場合には、工場出荷時等にこのタ
イプのベルトを搭載することも可能である。この場合、
乗員と肩ベルトとの間には全体にわたり隙間ができてい
るが、衝突時において、この肩ベルトがほとんど瞬間的
に所定の紡錘形状に膨張し、ベルト全長が所定量だけ短
くなるので、ベルトの弛みを一挙に吸収してしまう。こ
のようにベルトに弛みがあっても、衝突と同時に乗員を
拘束するいわゆるプリズムテンション効果が発揮される
ので、乗員の拘束が確実に行われる。
【0046】図9は他の変形例として、シリコーンゴム
製のゴムチューブ22を2重構造とした例を示したもの
である。同図には衝突時に図示しないインフレータから
の反応ガスを導入して膨張展開するチューブ22とプレ
インフレートガスが導入されるインナチューブ24とが
示されている。インナチューブ24はタング側が細径の
肉厚チューブ24aから構成され、図8(a)の湾曲部
には下面(前記と同義)に補強繊維布24cが貼着され
た薄いゴム厚の膨張部24bが肉厚チューブ24aと一
体的に形成されている。この状態でタングパイプ33か
ら弱いガス圧のプレインフレートガスが導入されると、
ゴムチューブ22内に挿入されたインナチューブ24の
筒先の膨張部24bのみが膨張する。このとき補強繊維
布24cが片面のみに貼着されているので、この膨張部
分では伸び変形が片面で拘束され、筒先のみが湾曲変形
する。なお、前記補強繊維布24cは伸び拘束が可能な
材料や手段であれば、補強布を貼着する手段に限定され
ることはない。
【0047】このとき同図(a)に示した筒先部分では
インナチューブ24の端部とゴムチューブ22の端部と
が所定の接着力で貼り合わされた接合部24dが形成さ
れている。この接合部24dはプレインフレートガスが
導入される程度のガス圧では裂けないが、高圧ガスが導
入されると、裂けるようになっている。これにより衝突
時にインフレータから反応ガスが瞬間的に導入される
と、この接合部24dが裂け、タングパイプ33から導
入され、肉厚チューブ24aを経由した導入ガスは同図
(b)に示したようにゴムチューブ22全体に広がり、
前述のカバー20の作用により一点鎖線で示したような
略紡錘形状に膨張することができる。
【0048】次に、本発明によるテンションレスインフ
レータブルシートベルト装置において、衝突時のインフ
レータ点火動作のための制御部と、通常装着時のプレイ
ンフレートガス導入とリークテスト実行動作のための制
御部及び各種センサとの関係を図10を参照して説明す
る。同図において、破線Cで囲まれた制御部Cはプレイ
ンフレート制御部42と、点火判定回路45と、診断回
路46とから構成されている。
【0049】プレインフレート制御部42にはシートベ
ルト装着時にタングがバックル装置4に確実に固定され
ていることを検知するタンク接続検知センサ41と、タ
ング3を介して膨張構造体25を構成するシリコーンゴ
ムチューブ22内にプレインフレートガスを導入するガ
ス源Bと、ガス導入段階に応じてガス流通方向を規制す
る流路切換手段48と、リークの有無を検知するリーク
検知センサ43と、テンションレス機能のステイタス表
示及びリーク検査の結果を表示する警告灯からなる表示
手段44が接続されている。
【0050】点火判定回路45は、車体の複数箇所に搭
載されている加速度センサGから出力された加速度波形
等を演算処理し、インフレータ47を点火動作させるか
否か、あるいはその点火時期を判定し、インフレータ4
7に動作あるいは不動作信号を与える。診断回路46
は、テンションレスインフレータブルシートベルト装置
の制御回路全体の異常の有無を常時監視し、異常時に警
告灯等により乗員にその異常箇所とその内容を知らせる
とともに、EEPROM等の記憶手段49にその異常内
容を記憶させるようになっている。また、プレインフレ
ートの動作信号の出力と、リークテストの始動信号の出
力と、初期チェックとしての加速度センサG、点火判定
回路45へのダミー信号の出力とは、乗員がシートベル
トのタングをバックル装置に固定し、イグニションスイ
ッチSWをACCまたはONの位置にしたとき実行され
るように設定されている。
【0051】図11は前述のバックル装置4の内部の構
成と、制御部Cのうちプレインフレート及びリークテス
トにかかわる部分の制御ブロックとの関係を模式的に示
した概略構成図である。肩ベルト2の端部に堅固に取着
されたタング3のタングパイプ33はバックル装置4内
のバックル本体53の連結孔53aに挿入された状態で
ワンタッチ構造のロック機構により係止され、確実に連
結されるようになっている。このときタングパイプ33
内にはガス流通路34が形成されており、タングパイプ
33とバックル本体53内の連結孔53aが接続される
と、バックル装置4内に収容されたインフレータ47に
接続されたガス流通路52とタングパイプ3とが連通す
る。またこのガス流通路52の所定位置にはガスの流路
を切り換えるバルブ48が装着されている。さらにバル
ブ48にはガス源Bから延設されたガス供給管50と、
ガスを外部に排出するガス排出管51とが接続されてい
る。
【0052】バルブ48はプレインフレート制御部42
からの作動指令により以下のようにガス流路を切り換え
ることができる。 ・インフレータ47→シートベルトのタングパイプ33
(衝突時膨張展開用ガス導入) ・ガス源B→シートベルトのタングパイプ33(プレイ
ンフレート及びリークテスト用ガス導入) ・シャット状態(ガスリーク検知時) ・シートベルトのタングパイプ33→ガス排出管51
(テンションレス機能解除時のガス排出) なお、タングパイプ33が挿入された際に先端が当接す
るバックル本体53の端部位置にはタング接続検知セン
サ41が装着されており、タングがバックル装置に確実
に接続されたかが検知される。
【0053】また、ガス流通路52のタング接続検知セ
ンサ41とバルブ48との間にはリーク検知センサ43
がその検知部をガス流通路52の内面に向けて装着され
ている。本実施例ではリーク検知センサ43には微小圧
力変化を検知可能な電子式圧力センサが用いられている
が、シリコンダイヤフラム式半導体歪みゲージを使用し
たセンサが使用可能である。
【0054】プレインフレート用及びリークテスト用の
ガス源Bとしては小型の圧縮空気、炭酸ガスボンベを搭
載するようにしても良い。また、排ガスの一部を導いて
フィルタを通過させて燃焼生成物を除去し、コンプレッ
サ等によりボンベに充填することも可能である。このよ
うに排ガスを利用する場合にはボンベの交換が不要とな
るが、ガス排出管51は燃焼機関の排ガス経路に戻すこ
とが必要となる。
【0055】図12は、図11に示した構成のうちバル
ブ48をなくした変形例を示したものである。同図にお
いて、ガス流通路52の内部にはインフレータからのガ
ス流入を妨げない程度のオリフィス部54が形成されて
おり、このオリフィス部54にタング3側に向けてガス
流入路50aが穿設されている。このガス流入路50a
はガス流通路52に外部にあるガス供給管50と連通
し、プレインフレート及びリークテスト用ガスをガス源
Bからガス流通路52内に導入できる。またガス流入路
50aの吐出口には逆止弁56が取着されており、リー
ク検知の際、ガスがガス源に逆流しないようになってい
る。その他の構成は図6に示したバックル装置4と同様
である。なお、バルブがないので、テンションレス用の
ガスはタング3をバックル装置4からの解放した際にタ
ングパイプ33から直接排気される。
【0056】次に、通常装着時のテンションレス状態か
ら衝突が起こり、インフレータが作動したときの膨張構
造体の膨張展開動作とその形状とについて図13及び図
14を参照して説明する。図13は図5に示した膨張構
造体の内部が分かるように膨張展開時の状態を示した分
解斜視図である。同図に示したようにチューブ22がイ
ンフレータの燃焼により発生した導入ガスにより膨張す
ると丸編ニットからなる編布23がよこ方向に伸び、筒
状に膨らむ。そして所定の内圧が作用した段階でカバー
20の生地を縫い合わせた部分の縫糸の一部が破断す
る。そしてカバー20の縫い目20aが口をあけるよう
に広がり、丸編ニットの編布23に包まれたチューブ2
2がその部分からはみ出すように紡錘形状に膨張する。
【0057】一方、ピラーアンカー側の膨張構造体25
の所定範囲と、タング3側の所定範囲ではカバー20の
縫い目20bが堅固に縫着されているので、チューブ2
2の膨張がカバー20部分20cで拘束され、このカバ
ー部分20cは細い円筒形状にしか膨張しない。また、
膨張構造体25が紡錘形状に膨張展開することによりベ
ルトの長手方向の長さが短くなる。このとき膨張構造体
25の丸編ニットの編布23がベルトの長手方向の張力
を負担するので、インナーベルト21には張力は作用せ
ず、インナーベルト21は緩んだ状態になる。
【0058】図14は、本発明によるテンションレスイ
ンフレータブルシートベルト装置の膨張展開実験をフル
サイズダミーDuを使用して行った結果を示した概略側
面図である。縫い目の強度を調整して縫製したカバー2
0を装着したテンションレスインフレータブルシートベ
ルト装置によれば、ダミーDuの胸部を中心として膨張
構造体25が膨張する。このときダミーDuの胸部では
通常のウェビング10のシートベルト装置に比べて1.
6倍程度の広い接触面積を確保することができ、これに
より乗員を確実にかつソフトに保護することが可能にな
る。このときカバー20の裂け目の位置及びその範囲
は、カバー20の縫いしろ部分の位置を変えることによ
り自由に設定できることはいうまでもない。
【0059】また、図14から明らかなように膨張構造
体25は胸部以外の部位でも細長い筒状に膨張するの
で、乗員の鎖骨から肩にかけての範囲と腹部から腰部に
かけての範囲も通常のウェビングによる拘束に比べて、
十分にソフトに保護することができる。このように使用
するカバーの縫い合わせの強さを調整することで、膨張
構造体25の膨張範囲をコントロールし、適正な膨張形
状と膨張容積の低減を図ることができる。なお、以上の
説明ではカバーの接合を縫い糸による縫い合わせを例に
説明したが、接合部を接着してその接着面積等を変えて
接着強度に差をつけたり、機械的係止部品によりその係
止強さを調整したりして同様の効果を出すことも可能で
ある。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、通常の装着時には装着による拘束感を取り除
くとともに、従来のウェビングが備えた拘束性能を発揮
し、膨張構造体の損傷等によるリーク検査をベルト装着
と同時に、かつ自動的に行え、また衝突時等においてイ
ンフレータから発生する高温ガスを安全に膨張構造体内
に導入でき、またこの膨張構造体を適正な形状に膨せら
れるので、乗員を有効に拘束保護することができるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるテンションレスインフレータブル
シートベルト装置の一実施例を示した概略構成図。
【図2】図1に示したテンションレスインフレータブル
シートベルト装置をバックル装置に固定し、テンション
レス効果を利用した状況の一例を示した概略構成図。
【図3】図2に示したテンションレス効果の状態を示し
た概略側面図。
【図4】図2に示したテンションレス効果の状態を示し
た概略平面図。
【図5】図1に示したテンションレスインフレータブル
シートベルト装置の部分を拡大し、膨張構造体の内部を
模式的に示した部分分解斜視図。
【図6】図1に示したテンションレスインフレータブル
シートベルト装置の部分を拡大し、テンションレス効果
を発揮したプレインフレート状態での膨張構造体の内部
を模式的に示した部分分解斜視図。
【図7】本発明によるインフレータブルシートベルト装
置の膨張構造体一例の内部構成を示した縦断面図。
【図8】本発明によるテンションレスインフレータブル
シートベルト装置の膨張構造体内に挿入される編布の実
施例を示した概略斜視図。
【図9】図8に示した膨張構造体内に挿入されるゴムチ
ューブの変形例を示した概略斜視図。
【図10】本発明によるテンションレスインフレータブ
ルシートベルト装置の制御部と各種センサとの関係を示
した概略ブロック構成図。
【図11】本発明に用いられるバックル装置の構造とプ
レインフレートガス導入及びリークテストのための制御
部との関係の一実施例を示したバックル装置及び制御部
の概略構成図。
【図12】図11に示したバックル装置及び制御部の変
形例を示した概略構成図。
【図13】図5に示したインフレータブルシートベルト
装置の膨張展開時の膨張構造体の内部を模式的に示した
部分分解斜視図。
【図14】本発明によるインフレータブルシートベルト
装置をダミーに装着し、衝突実験により膨張展開させた
結果を概略的に示した側面図。
【図15】従来のウェビングを用いたシートベルト装置
の一例を装着した状態を概略的に示した側面図。
【符号の説明】
1 テンションレスインフレータブルシートベルト装置 2 肩ベルト 3 タング 4 バックル装置 6、9 リトラクタ(ELR) 7 ラップベルト 10 ウェビング 20 カバー 21 インナーベルト 22 チューブ 23 編布 25 膨張構造体 26 バッグフィルタ 33 タングパイプ 41 タング接続検知センサ 42 プレインフレート制御部 43 リーク検知センサ 44 表示手段 45 点火判定回路 46 診断回路 47 インフレータ 48 バルブ 50 ガス供給管 52 ガス流通路 53 バックル本体 B ガス源 C 制御部 D 乗員 Du フルサイズダミー G 加速度センサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通常装着時は帯状に保形されるとともに、
    所定のしきい値を越えた際に作動する第1のガス供給手
    段による発生ガスを内部に導入し、略紡錘形状に膨張展
    開する袋状弾性膨張体を有する膨張構造体と、該膨張構
    造体が少なくとも乗員に当接する範囲にわたり付設され
    たウェビングと、前記膨張構造体の端部に固着され内部
    に前記ガス発生手段からのガス導入路を有するタング
    と、内部にガス流通路が形成されるとともに、前記タン
    グが着脱自在に嵌合係止されるバックル装置とを備えた
    テンションレスインフレータブルシートベルト装置にお
    いて、 前記膨張構造体は、前記タングが前記バックル装置に嵌
    合係止された状態で前記第1のガス供給手段と前記ガス
    導入路を切り換えて第2のガス供給手段から導入された
    ガスによりその一部が湾曲膨張し、該膨張構造体と乗員
    とに離隔が生じるようにしたことを特徴とするテンショ
    ンレスインフレータブルシートベルト装置。
  2. 【請求項2】前記膨張構造体は、前記膨張状態で前記袋
    状弾性膨張体のガス漏れの有無を前記ガス流通路内に設
    けられたガス漏れ検知手段により検知し、該ガス漏れ検
    知手段による検知結果により前記袋状弾性膨張体に損傷
    があると認められた場合には、前記第1のガス供給手段
    が前記所定のしきい値を越えた際にも作動しないように
    したことを特徴とする請求項1記載のテンションレスイ
    ンフレータブルシートベルト装置。
  3. 【請求項3】前記膨張構造体は、前記袋状弾性膨張体が
    編布で被覆され、該編布の所定位置の伸び変形が拘束さ
    れた状態で前記第2のガス供給手段からガスが供給さ
    れ、所定の湾曲形状を形成するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載のテンションレスインフレータブルシ
    ートベルト装置。
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