JP3340797B2 - 芯鞘複合繊維の溶融紡糸方法 - Google Patents

芯鞘複合繊維の溶融紡糸方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高弾性率を有し、吸湿
時の物性低下も少なく、各種複合材料の補強用繊維とし
て好適な芯鞘複合繊維の改良された溶融紡糸方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般にポリアミドは、その優れた特性を
利用し、繊維素材や一般成形材料、構造材料などに広く
用いられている。ポリアミド繊維としては、ナイロン6
やナイロン66等が一般的であるが、これらは、50℃
前後にガラス転移温度を有しており、ガラス転移温度を
越した温度領域においては、急激に弾性率が低下すると
いう欠点を有している。また、これらは、吸水速度が速
く、飽和吸水率も高いために、吸湿時の機械的強度や剛
性率の低下が大きいという欠点も有している。
【0003】従って、高温領域あるいは吸湿下における
物性低下が問題となる各種資材用途等には、これまで、
一般のポリアミド繊維を用いることが極めて困難であっ
た。また、ナイロン12等は、吸水性が低いものの、や
はりガラス転移温度が低いために、例えば50℃以上と
いった高温領域では、弾性率が大きく低下してしまう。
【0004】一方、非晶性ポリアミドは、透明性ととも
に機械的強度、耐衝撃性、耐摩耗性、耐溶剤性、寸法安
定性、絶縁性などに優れているため、各種の機械部品、
電気機器部品などに用いられているが、非晶性であるが
ゆえの溶融曳糸性の乏しさのために、これまで、繊維と
して、特にマルチフィラメントとして用いられることは
実質上ほとんどなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな点に鑑み、各種の資材分野等に広く用いることので
きる高弾性率を有し、特に、各種複合材料の補強用繊維
として好適に用いることのできる芯鞘複合繊維を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決するために、以下の構成を有する。すなわち、本発
明は、ナイロン12を鞘成分とし、(a)イソフタル
酸、(b)4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジ
シクロヘキシレンメタン、及び(c)ω−ラウロラクタ
ムのモノマーより合成される非晶性ポリアミドを芯成分
として、紡糸温度250〜320℃で、紡糸口金より芯
鞘複合繊維を吐出し、空気と接触させる以前に、50〜
200℃の不活性ガス雰囲気中を通過させて引き取るこ
とを特徴とする芯鞘複合繊維の溶融紡糸方法である。
【0007】本発明の第1の要件は、芯成分を構成する
ポリマーのTgが100℃以上と非常に高い為、紡糸温
度を適切に保つことである。紡糸温度が250℃未満で
あると溶融粘度が高くなるために、紡糸不可能となり、
また紡糸温度が320℃を越えると、ポリマーが紡糸口
金で吐出されるまでに劣化し、糸切れの原因となる。
【0008】本発明の第2の要件は、紡糸口金より吐出
された芯鞘複合繊維を空気と接触させる以前に50〜2
00℃の不活性ガス雰囲気中を通過させることである。
紡糸口金直下を不活性雰囲気に保つことによってポリマ
ーの劣化を抑制することが可能となり、口金直下の不活
性ガス雰囲気温度を50〜200℃の範囲に保つことに
よって、紡出繊維に対し緩慢な冷却を行うことが可能と
なり、紡出繊維の均一な繊維構造形成及び繊維細化を容
易にし、糸切れを防止することができる。ここで用いら
る不活性気体は、窒素、アルゴン等が好ましい。また不
活性気体の流量は不活性雰囲気を保つことが可能な範囲
で少ない方が、紡出繊維に対する糸揺れなどの悪影響が
少なくなるので好ましい。ただし、流量が0では、紡糸
口金直下に空気が流れ込み悪影響を及ぼす。
【0009】本発明でいう非晶性ポリアミドとは、ナイ
ロン6やナイロン66のような直鎖脂肪族ナイロンとは
異なり、ポリマーの結晶化がほとんど起こらないか、あ
るいは、結晶化速度が極めて小さいポリアミドを指す。
また、非晶性ポリアミドは、透明ポリアミド(透明ナイ
ロン)ともいわれ、通常の溶融成形条件下で透明な成形
品を与え、かつその成形品が、熱処理、吸水処理時にも
後結晶化による失透を起こさないようなポリアミドであ
る。
【0010】本発明でいう「非晶性」とは、示差走査熱
量分析装置(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度
で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示さ
ないものをいう。また、本発明でいう「結晶性」とは、
示差走査熱量分析装置を用いて、10℃/minの昇温
速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を
示すものをいう。また、本発明でいう「ガラス転移温
度」は、同様に示差走査熱量分析装置により一般的に求
めることができる。
【0011】さらに、本発明を図面にて詳しく説明す
る。図1は、本発明の実施に使用する溶融紡糸装置の1
例を示す側面図であり、図1において、窒素供給口11
より供給された常温の窒素は、フィルター及び一次減圧
弁12を通過した後、窒素流量調節弁13により、溶融
紡糸条件毎に各々適切な流量となるようにコントロール
される。その後、流量がコントロールされた窒素は加熱
装置10に導かれ、温度調節器14により、所定温度と
なるように加熱される。
【0012】このようにして、流量と温度を制御された
加熱窒素は、図2に示した加熱窒素供給口15より加熱
筒5内に導かれ、粗い整流板16と密な整流板17の二
重構造を有するフィルターを通して、紡糸中の繊維に対
して円周方向から均一かつマイルドに供給される。
【0013】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。実施例中、糸切れ回数は連続紡糸24時間におけ
る糸切れ回数であり、表中の◎、○、△、×、××印は
各々、極めて良好、良好、やや不良、不良、極めて不良
であることを示す。本実施例の複合繊維の芯成分を構成
するポリマーの乾燥状態と吸水状態における貯蔵剪断弾
性率G′測定結果を図3に示した。また、乾燥状態にお
ける、本実施例の複合繊維の芯成分を構成するポリマー
のG′と鞘成分を構成するポリマーのG′とを比較した
例を図4に示した。
【0014】(乾燥状態における貯蔵剪断弾性率G′)
幅12mm、厚み2mm、長さ60mmの試験片を、ま
ず、100℃において3時間真空乾燥させ、レオメトリ
ックス社製、動的粘弾性測定装置、RDA−700によ
り、実質測定試料長42mm、昇温速度5℃/ステップ
により測定した。
【0015】(吸水状態における貯蔵剪断弾性率G′)
幅12mm、厚み2mm、長さ60mmの試験片を、ま
ず、94℃の沸とう水中に24時間浸漬処理し、その後
直ちに室温の水中に試験片が室温となるまで浸漬し、測
定の直前に試料表面の付着水をふき取って、乾燥状態と
同様に測定した。
【0016】(実施例1〜3)イソフタル酸と4,4′
−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシレンメ
タン及びω−ラウロラクタムとから成る非晶性ポリアミ
ドであるTR55(EMS社製;ガラス転移温度155
℃)ポリマーチップを、120℃で14時間、真空乾燥
を行った後、第1の抽出機を用いて溶融させ、一方、ナ
イロン12(ダイセル・ヒュルス社製,L2140,ガ
ラス転移温度41℃,23℃の水中に24時間浸漬処理
した時の吸水率が0.25%)ポリマーチップを、80
℃で12時間真空乾燥を行った後、第2抽出機を用いて
溶融させた。各々の溶融流を紡糸頭に導き、TR55を
芯成分、ナイロン12を鞘成分として芯成分が鞘成分の
比率が80/20となるように複合流を形成させた後、
孔形0.6mmの円形紡糸口を24個設けた紡糸口金よ
り紡出された繊維を、口金直下にあらかじめ設けた、図
1及び図2に示したような加熱窒素供給装置を使用し、
窒素温度及び流量を各々表1に記載したように設定し、
空気と接触させる以前に、加熱窒素雰囲気中を通過さ
せ、その後、給油し、各々表1記載の紡糸速度で引取
り、パッケージに巻上げるように実施した。
【0017】尚、芯/鞘成分比率は、繊維断面における
芯鞘各成分ポリマーの断面積比を意味し、各実施例にお
ける複合繊維のデニールは全て150デニールとなるよ
うに、各実施例毎に各成分ポリマーの吐出量を調節し、
150デニール/24フィラメントのマルチフィラメン
トを得た。24時間連続紡糸した時の、結果を、表1に
示した。
【0018】(比較例1〜3)加熱窒素供給装置を用い
ないで実施した以外は、実施例1〜3と同様に実施し
た。結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明の溶融紡糸方法によれば、口金面
でのポリマー劣化を抑制し、紡糸中の糸切れを極めて少
なくすることができ、しかも、紡出繊維の細化に伴う繊
維構造形成を適正化でき、本発明の芯鞘複合繊維の芯成
分を構成する非晶性ポリアミドのような溶融曳糸性すな
わち繊維形成能に劣るポリマーを一成分とする芯鞘複合
繊維を安定に溶融紡糸することができる。
【0021】また、本発明によって得られる繊維は、マ
ルチフィラメントとすることができるために、従来困難
であった製編織等の後加工が極めて容易となって、種々
の形態を有する繊維構造体が容易に得られる。従って、
構成ポリマー自身が有する優れた特性に加えて、繊維構
造体としての特性をも生かした様々な工業分野への広い
応用が可能となる。
【0022】更に、本発明によって得られる芯鞘複合繊
維は、各種複合材料、特に、エポキシ樹脂をマトリック
スとした炭素繊維複合材料の補強用繊維として極めて好
ましく用いることができる。複合材料の弾性率を低下さ
せずに、耐衝撃性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用される溶融紡糸装置の一例
を示す側面図である。
【図2】本発明の実施に使用される加熱窒素供給装置の
うち、口金直下に設けられた加熱筒部分の一例を示す断
面図である。
【図3】本発明の実施例で得られた芯鞘複合繊維の芯成
分を構成するポリマーの貯蔵剪断弾性率G′測定結果の
一例を示す図である。
【図4】乾燥状態における、本発明の実施例で得られた
芯鞘複合繊維の芯成分を構成するポリマーの貯蔵剪断弾
性率G′と、鞘成分を構成するポリマーのG′とを比較
した例を示す図である。
【符号の説明】
1 押出機 2 ギヤポンプ 3 紡糸頭 4 紡糸口金 5 加熱筒 6 給油装置 7 第1引取ローラー 8 第2引取ローラー 9 捲取機 10 窒素加熱装置 11 窒素供給口 12 一次減圧弁 13 窒素流量調節弁 14 温度調節器 15 加熱窒素供給口 16 整流板(粗) 17 整流板(密) A 乾燥状態の貯蔵剪断弾性率G′ B 吸水状態の貯蔵剪断弾性率G′(94℃の沸と
う水中に24時間浸漬後) C 乾燥状態における鞘成分の貯蔵剪断弾性率G′

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン12を鞘成分とし、(a)イソ
    フタル酸、(b)4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメ
    チルジシクロヘキシレンメタン、及び(c)ω−ラウロ
    ラクタムのモノマーより合成される非晶性ポリアミドを
    芯成分として、紡糸温度250〜320℃で、紡糸口金
    より芯鞘複合繊維を吐出し、空気と接触させる以前に、
    50〜200℃の不活性ガス雰囲気中を通過させて引き
    取ることを特徴とする芯鞘複合繊維の溶融紡糸方法。
  2. 【請求項2】 任意の繊維断面における芯成分ポリマー
    と鞘成分ポリマーの断面積比が芯/鞘=30/70〜9
    5/5の範囲である、請求項1記載の芯鞘複合繊維の溶
    融紡糸方法。
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