JP2021155854A - 複合ポリエステルモノフィラメントパッケージおよびその製造方法 - Google Patents

複合ポリエステルモノフィラメントパッケージおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 細繊度、高強度、高モジュラスな複合ポリエステルモノフィラメントにおいて、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が小さく、ヒケ状の欠点のない優れた品位のスクリーン紗が得られるパッケージを提供する。【解決手段】 芯成分および鞘成分がポリエステルからなる芯鞘複合モノフィラメントが巻き取られたパッケージであり、下記要件(a)〜(d)を全て満足する複合ポリエステルモノフィラメントパッケージ。(a)繊度が4.0〜13.0dtex、(b)強度が7.0〜9.0cN/dtex、(c)10%伸長時の強度が6.0〜9.0cN/dtex、(d)パッケージ内層の巻厚1mm部分の複合ポリエステルモノフィラメントの湿熱収縮応力変動が0.06cN/dtex以下。【選択図】図1

Description

印刷用スクリーン紗に用いるのに良好な品質が得られる複合ポリエステルモノフィラメントパッケージに関するものである。
スクリーン紗と呼ばれるモノフィラメントを製織した紗織物は、近年、急成長を続けるエレクトロニクス分野において、プリント回路基板のスクリーン印刷用メッシュクロス、なかでも家電や携帯電話、パソコン向けなどの電子回路の印刷分野などにおいて、印刷精度向上に対する要求が厳しくなってきている。メッシュがより細かく、紗張りなどにおいて伸びの少ない寸法安定性に優れたスクリーン紗が要求されてきている。すなわち、より細繊度、高強度、高モジュラスなポリエステルモノフィラメントが要求されている。単糸繊度が太く、高強度、高モジュラスであるので、パッケージ形成過程である巻き取り時に、糸落ちやフォーム不良が発生し、スクリーン紗に製織した際にパッケージ起因のヒケ状の欠点を生じ易い。これらを改善するポリエステルモノフィラメントパッケージの技術確立が望まれている。
ヒケ状の欠点を生じないポリエステルモノフィラメントとして、特許文献1、2では、モノフィラメントを低張力で巻き取ることで、巻き取り後に発生する応力緩和(収縮)の程度を抑えて糸の収縮特性を均一せしめる技術が提案されている。また、特許文献2、3には、パッケージの巻幅端部に生じる糸だまり(耳立ち)を抑制し、張力増加を抑制して糸特性を均一にせしめる技術が提案されている。
また、特許文献1、2では、綾振りを行わないで巻き取る方法を採用することで、繊維長手方向における湿熱収縮時の変動を低減させる技術が提案されている。
国際公開第2011−086954号パンフレット 特開2013−249143号公報 特開2015−59282号公報
しかしながら、特許文献1、2は、低張力巻き取りによる、巻き取り後の応力緩和(収縮)抑制をはかる技術を採用しても、巻き取り時のトラバースの折り返しの瞬間に生じるわずかな屈曲(綾角)により張力が変動してしまい繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなってしまう。
また、特許文献2,3に記載の方法により、パッケージの巻幅端部に生じる糸だまり(耳立ち)を抑制し、張力増加を抑制する技術を採用しても、トラバースの折り返し時に生じるモノフィラメントの加速度変動により、張力に差が生じ、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなってしまう。
また、綾振りを行わないで巻き取る方法(特許文献1、2に記載の巻き取り方法)を採用しても、実質的には、糸速度(巻き取り速度)とスピンドルトラバース速度の比によって、わずかに綾角θが生じてしまう。その結果、わずかに生じた綾角θにより糸が屈曲され、パッケージに残留する応力が大きくなる。それによって巻き取り後に応力緩和が進行し、応力緩和の進行が遅いテーパー部分に応力が残留することで繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなってしまう。
印刷用スクリーン紗に求められる、高強度、高モジュラスなポリエステルモノフィラメントは、巻き取り後に応力緩和(収縮)が発生し易いため、上記の通り特許文献1、2に特許文献3に記載の方法を適用しただけでは、トラバースの折り返しの瞬間に生じるわずかな屈曲による張力変動を抑制することが不十分であり、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動に起因したスクリーン紗のヒケ状の欠点の問題が残されており、さらなる改善が求められていた。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の構成を採用する。
(1)芯成分および鞘成分がポリエステルからなる芯鞘複合モノフィラメントが巻き取られたパッケージであり、下記要件(a)〜(d)を満足することを特徴とする複合ポリエステルモノフィラメントパッケージ。
(a)繊度が4.0〜13.0dtex、
(b)強度が7.0〜9.0cN/dtex、
(c)10%伸長時の強度が6.0〜9.0cN/dtex
(d)パッケージ内層の巻厚1mm部分の複合ポリエステルモノフィラメントの湿熱収縮応力変動が0.06cN/dtex以下。
(2)芯成分ポリエステルの固有粘度が0.95〜2.00の高粘度ポリエステル、鞘成分ポリエステルの固有粘度が0.40〜0.70の低粘度ポリエステルで、芯成分ポリエステルと鞘成分ポリエステルの固有粘度差が0.20〜1.00であって、芯成分・鞘成分を別々に溶融、計量して複合紡糸口金より吐出して、冷却固化した後、得られた未延伸糸を一旦巻き取ることなく連続して延伸倍率5.2〜7.0倍で延伸し巻き取る直接紡糸延伸法により、複合ポリエステルモノフィラメントを製造し、巻き取るに際して、以下の工程条件(e)〜(h)を満足する(1)記載の複合ポリエステルモノフィラメントパッケージの製造方法。
(e)パッケージを巻き取るボビンが装着されたスピンドルの回転軸を、走行する繊維の進行方向と直角となるように配置し、該スピンドルをスピンドル回転軸方向にトラバース動作させることで、スピンドルに装着されたボビン上に繊維を巻き取る。
(f)巻き取り張力が0.1〜0.5g/dtex
(g)パッケージ綾角θ=sin−1{V/VTR}が0.030°以下
(h)トラバース速度VTRが1.5m/分以下
本発明のパッケージは、細繊度、高強度、高モジュラスな複合ポリエステルモノフィラメントにおいて、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が小さく、ヒケ状の欠点のない優れた品位のスクリーン紗が得られ、高精密印刷向けに適した印刷精度に優れるハイメッシュスクリーン紗を提供できる。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントパッケージの概略図である。 巻き取り速度とトラバース速度の関係から生じる綾角を説明する図である。 トラバースガイドにより供給繊維Yを綾振りさせながら巻き取る方式を説明する図である。 実施例1で使用した巻取装置の正面の概略図である。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントについて説明する。
本発明のポリエステルは、ポリエチレンレンテレフタレート(以下、PETと称する)を主成分とするポリエステルである。本発明のPETとしては、テレフタル酸を主たる酸成分としエチレングリコールを主たるグリコール成分とする、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエステルである。
10モル%未満の割合で、他のエステル結合が形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。このような共重合成分としては、例えば、酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、オクトエトキシ安息香酸のような二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、シュウ酸、アジピン酸、ダイマ酸のような二官能性脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボンサン類が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAや、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールなどを挙げられる。
また、艶消剤として二酸化チタン、滑剤としてシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、さらには難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤および着色顔料等を必要に応じて添加することができる。
本発明のパッケージを構成する芯鞘複合モノフィラメントは、芯成分に高粘度ポリエステル、鞘成分に低粘度ポリエステルを用いる。その繊維横断面において、芯成分が鞘成分により覆われ、芯成分が表面に露出していない芯鞘複合モノフィラメントである。かかる構成とすることにより、高精度印刷用モノフィラメントとして要求される、高強度・高モジュラスを実現できる。ここで芯鞘複合とは、芯成分が鞘成分により完全に覆われていればよく、必ずしも同心円状に配置されている必要はない。なお、断面形状については、丸、扁平、三角、四角、五角など幾つもの形状があるが、スクリーン紗の目開きの均一性の観点から丸断面が好ましい。
また、芯成分は、モノフィラメントの強度を主に担うため添加する酸化チタンに代表される無機粒子は0.5wt%以下であることが好ましい。一方、鞘成分は、モノフィラメントの耐スカム性を主として担うため添加する酸化チタンに代表される無機粒子は0.1〜0.5wt%程度が好ましい。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントは、芯成分、鞘成分ともにポリエステルであるため、ポリエステル/ナイロン複合糸に度々発生するような複合界面での剥離という現象は起きにくい。しかしながら鞘成分によるスカム抑制効果と芯成分による高強度化を両立するという点で、芯成分:鞘成分の複合比は60:40〜95:5とすることが好ましく、より好ましい複合比は70:30〜90:10である。ここでいう複合比とは、モノフィラメントの繊維横断面写真において芯成分・鞘成分の横断面積比率である。
次に、本発明のパッケージを構成する複合ポリエステルモノフィラメントの糸物性について述べる。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントは、高精度印刷に適した高強度、高モジュラスなモノフィラメントであり、強度を7.0cN/dtex以上、10%伸長時の強度(モジュラス)を6.0cN/dtex以上とすることにより、ハイテンションよる紗張り後、紗伸びなどの発生を抑え印刷後の経時変化が小さく、高い寸法安定性を得ることができ、印刷精度に優れる。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントの繊度は、4.0〜13.0dtexである。かかる範囲とすることにより、高精密印刷に適した#300(1インチ=2.54cm当たり300本)以上のハイメッシュスクリーン紗が得られる。#300以上のハイメッシュスクリーン紗の場合、1本あたりのメッシュ格子間隔は非常に小さいものとなるため、繊度13dtexを超えると、1格子当たりの目開きが非常に小さくなるため、#300以上のハイメッシュスクリーン紗が得られないこととなる。したがって、繊度の上限としては13.0dtexである。また、繊度の下限としては、製織性、特にスルーザ型織機における緯糸の飛送性の点で4.0dtex以上である。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントの強度は、7.0〜9.0cN/dtexである。強度が7.0cN/dtex未満の場合、ハイテンションによる紗張り後、紗伸びなど発生し、寸法安定性が低下し、目ずれが発生しやすくなるため、紗の目開き均一性が損なわれ、印刷精度が低下する。また、スクリーン紗の強度も不足する。高精密印刷用スクリーン紗の場合、強度を7.5cN/dtex以上とすることがさらに好ましい。また、強度の上限値は、耐スカム性の点で配向や結晶化度を抑える必要があるため、9.0cN/dtex以下である。好ましくは、強度8.8cN/dtex以下である。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントの10%伸長時の強度(モジュラス)は、6.0〜9.0cN/dtexである。モジュラスが6.0cN/dtex未満の場合、ハイテンションによる紗張り後、紗伸びなど発生し、スクリーン紗の寸法安定性が低下し、目ずれが発生しやすくなるため、紗の目開き均一性が損なわれ、印刷精度が低下する。好ましくはモジュラス6.5cN/dtex以上とするのがよい。モジュラスの上限値は、耐スカム性の点で配向や結晶化度を抑える必要があるため、9.0cN/dtex以下である。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントは、パッケージ内層の巻厚1mm部分のモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が0.06cN/dtex以下である。巻厚1mm部分とは、パッケージの中央部分の巻厚Drが1mmとなるまで解舒した状態のパッケージから解舒されるモノフィラメントを指す。 また繊維長手方向の湿熱収縮応力変動とは、10m/分の速度で走行する2対のローラ間に湿熱を付与する部位と張力計を設けた装置で、トラバース1往復分以上の糸長を連続的にモニターした張力の最大値と最小値の差を繊維の繊度で除した値を指す。
高強度、高モジュラスである本発明の複合ポリエステルモノフィラメントは、PET非晶部位の配向度が大きいため巻き取り後に応力緩和(収縮)が発生し易い。また、その応力緩和によって糸が収縮してパッケージの内層に向かって巻締まりが発生する。この巻締まりがパッケージ全体で均一に進まず繊維長手方向に差異が生じると、スクリーン紗のヒケ状の欠点の原因となる。その応力緩和の状態は、その繊維を湿熱収縮させた際に発生する応力を測定することで確認できる。その湿熱収縮時の応力が繊維長手方向で差異が認められるということは、ある部分は応力緩和が進んでおり、一方ある部分は応力緩和が進んでいないことを示している。 なお、巻厚1mm、すなわちパッケージ最内層で湿熱収縮応力変動を測定する理由は次のとおりである。パッケージ最内層の繊維は、そのすぐ内層側にボビンが存在するため糸の収縮が阻害され応力緩和が進みにくく、パッケージの中で最も繊維長手方向の収縮応力変動が大きくなる。そのため、このパッケージ最内層の湿熱収縮応力変動を、スクリーン紗の製織時の要求特性にあわせて規定する必要がある。この湿熱収縮時の変動が0.06cN/dtexを超えるとスクリーン紗のヒケ状の欠点が発生しやすくなる。好ましくは0.04cN/dtex以下である。
本発明のパッケージの形状は、解舒性や型くずれなどと密接な関係があるため、型くずれの防止とヒケ状の欠点発生の防止の観点から、図1に例示のとおり、パッケージの両端部テーパー部とストレート部を有し、そのパッケージ形状を下記(1)式とすることが好ましい。ここで、最内層巻幅Lpはパッケージにおいて糸の巻き取り部分の長さ、テーパー部分長さLtはパッケージにおけるテーパー部分の長さをそれぞれ表している。(1)式は、テーパー部分の割合を意味している。パッケージの巻き取り後に発生する応力緩和(収縮)は、パッケージの中心に向かって巻締まりが発生し、この巻締まりがパッケージ全体で均一に進まず、パッケージの位置によって不均一に生じるため、テーパー部に巻かれている糸ほど応力緩和が進みにくい。従って、応力緩和の進行が遅いテーパー部分の割合を小さくすることにより、この応力緩和の不均一性を小さくすることができる。すなわち(1)式のLtを0.30Lp以下とすることで、ヒケ状の欠点抑制効果が得られて好ましく、0.20Lp以下がより好ましい。
0.10Lp≦Lt≦0.30Lp ・・・式(1)
本発明のパッケージの形状は、端部の耳立ちHが0.5mm以下であることが好ましい。耳立ちとは、パッケージを巻いた際に、巻量が増えるにつれてストレート部の両端面が膨れる現象であり、図1のテーパー形状の場合は、ストレート部の端部の耳立ちHに相当する。 この耳立ちは、糸がパッケージとして巻かれて折り返す左右の両端に発生し、耳立ちが大きくなると、巻径差によっての糸速度差が生じる。その結果、湿熱収縮応力変動が大きくなり、スクリーン紗にヒケ状の欠点が発生する原因となる。耳立ちが0.5mm以下であると、巻取安定性に優れ、かつパッケージ端部での巻径差による糸速度差が低減されるためヒケ状の欠点が発生しない良好なパッケージとなる。より好ましい耳立ちHは0.3mm以下である。
次いで、本発明の複合ポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい製造方法について説明する。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントは、芯成分に高粘度ポリエステル、鞘成分に低粘度ポリエステルを用いる。かかる構成とすることにより、高精密印刷用モノフィラメントとして要求される、高強度・高モジュラス、耐スカム性を実現できる。
鞘成分に用いる低粘度ポリエステルの固有粘度は、芯成分ポリエステルの固有粘度より低くし、固有粘度の差を0.20〜1.00にすることが好ましい。固有粘度の差を0.20以上とすることで鞘成分のポリエステル、すなわち複合ポリエステルモノフィラメント表面の配向度および結晶化度を抑えることができ、良好な耐スカム性を得ることができる。また、溶融紡糸の口金吐出孔内壁面におけるせん断応力を鞘成分が担うため、芯成分が受けるせん断力は小さくなる。これにより芯成分は分子鎖配向度が低く、かつ均一な状態で紡出されるため、最終的に得られる複合ポリエステルモノフィラメントの強度が向上する。固有粘度の差を1.00以下とすることで、鞘成分の配向が適度に進行し、高い強度が得られる。かかる範囲とすることにより7.0cN/dtex以上の強度が得られる。さらに好ましい固有粘度の差は、0.30〜0.70である。
芯成分の高粘度ポリエステルの固有粘度は、0.95〜2.00であることが好ましい。固有粘度を0.95以上とすることにより、高い強度を兼ね備えた複合ポリエステルモノフィラメントが得られる。また、固有粘度の上限は溶融押出し等の成形の容易さの点から2.00以下が好ましく、さらに製造コストや工程途中の熱や剪断力によって起きる分子鎖切断による分子量低下の影響を考慮すると、より好ましくは1.50以下である。かかる範囲とすることにより7.0cN/dtex以上の強度が得られる。
鞘成分の低粘度ポリエステルの固有粘度は、0.40〜0.70であることが好ましい。固有粘度を0.40以上とすることにより安定した製糸性が得られるため好ましい。より好ましい固有粘度は0.50以上である。また、良好な耐摩耗性、すなわち耐スカム性を得るためには、固有粘度の上限は0.70以下であることが好ましい。
本発明の複合ポリエステルモノフィラメントの製造工程は、主にPETを溶融させ、口金より吐出、冷却させた上、一定速度のローラで引き取る紡糸工程、引き取った未延伸糸を延伸・熱処理する延伸工程、延伸した繊維を巻き取りパッケージ形成する巻取工程、の3つに分かれる。
紡糸工程は、公知の溶融紡糸方法を採用すればよく、押出機によって溶融させたポリエステルを所望の繊度となるように計量ポンプを用いて紡糸口金に供給し糸条を吐出させる。溶融紡糸温度としてはポリエステルを十分に溶融させ、かつ過度の熱付与による熱分解を抑制するという観点から280〜310℃とすることが好ましい。芯鞘複合とするためには、2台の押出機を用いて芯鞘別々に溶融、計量させ、公知の芯鞘複合口金により両成分を複合させた後に吐出させる。糸条の配向抑制、配向均一化を目的とし、吐出された糸条が冷却されるまでの部位に加熱筒を用いてもよい。加熱筒を使用する場合、加熱筒内雰囲気温度は200〜330℃とすることが好ましい。加熱筒内雰囲気温度が200℃以上であれば加熱筒の効果が十分得られる。加熱筒内雰囲気温度が330℃以下であれば繊維長手方向の繊径ムラが抑制される。冷却方式はチムニーエアーによる冷却を採用することが好ましい。チムニーエアーによる冷却は、例えば繊維の走行方向に対して略直角方向かつ一方向から吹き付ける方式や繊維の走行と略直角方向かつ全周方向から吹き付ける方式を用いることができる。冷却した繊維をローラで引き取る前に、紡糸油剤を付与することが好ましい。紡糸油剤の組成は特に限定するものではないが、平滑性を向上し、スクリーン紗製織時のスレ毛羽を抑制する観点から脂肪酸エステル系平滑剤を30%以上含有する油剤を用いることが好ましい。また、油剤中にポリエーテル変性シリコーンを0.1〜5%程度添加すると、さらに平滑性が向上するため好ましい。油剤は水と混合・エマルション化し、給油ガイドやオイリングローラによって繊維に付与すればよい。その際の給油量は、延伸糸に対し油剤付着量が0.1〜2.0%とすれば、平滑性が良好かつパッケージ形成の際の糸落ち、崩れを抑制させるため好ましい。給油された繊維は、好ましくは表面速度300〜3000m/分の引取りローラで引取る。その後、そのまま延伸工程に給糸する直接紡糸延伸法を用いる。生産効率や得られるモノフィラメントの配向均一性が良好となる。
延伸工程は、均一延伸を目的に、繊維をガラス転移点以上に加熱するホットローラと、このホットローラよりも表面速度が速く、結晶化温度以上に加熱するホットローラに順次引き回し延伸を施す方法が好ましい。ホットローラの温度や延伸倍率は目標とする物性によって選択すればよい。例えば高強度、高モジュラスを求める場合、最終ホットローラの表面温度を好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上とする。延伸倍率は5.2〜7.0倍とする。また、そのホットローラ間に、さらにホットローラを設置し、いわゆる多段延伸とすれば延伸均一性が向上するためより好ましい。多段延伸の場合、1段目の延伸倍率は総延伸倍率の0.5〜0.9倍とする。また、最終ホットローラから巻き取り部の間に非加熱ローラを設けてもよい。最終ホットローラよりも非加熱ローラの表面速度が速い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは高くなるため、スクリーン紗の印刷精度が向上し易い。最終ホットローラよりも非加熱ローラの表面速度が遅い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは低下するが、湿熱収縮時の変動が低減し、また製織時のスレ毛羽が発生しにくくなる。最終ホットローラと非加熱ローラとの表面速度産は、所望の特性に応じて調整すればよい。最終ホットローラの表面速度に対し、非加熱ロールの表面速度は−7〜8%であることが好ましい。
巻取工程は、延伸されたモノフィラメントを以下の方法で巻き取り、所望のパッケージを得る。本発明のパッケージは、前述の通り細繊度、高強度、高モジュラスの複合ポリエステルモノフィラメントから構成されている。このため工程中に生じるわずかな糸長差でも巻き取り張力が変化しやすく、また巻き取り後に応力緩和(収縮)が発生し易い。そのため、トラバースの折り返しの瞬間に生じるわずかな屈曲による張力変動によって、湿熱収縮応力変動を0.06cN/dtex以下とすることができなかったが、発明者らが鋭利検討した結果、巻き取り張力、綾角、トラバース速度等の巻き取り条件で制御できるに至った。
まず、パッケージ端面をテーパー形状とする手法は特に限定するものではないが、例えば特許文献1に記載の巻取方法が挙げられる。具体的には、パッケージを巻き取るボビンが装着されたスピンドルの回転軸を、走行する繊維の進行方向と直角となるように配置し、該スピンドルをスピンドル回転軸方向にトラバース動作させることで、スピンドルに装着されたボビン上に繊維を巻き取る。
また、パッケージ最内層の巻幅および1トラバースあたりの糸長は、所望の巻幅および糸長となるように、巻き始めのトラバースの往復幅、トラバース速度を設定できることが好ましい。なお、スピンドルを往復トラバースさせる駆動方式としては、サーボモータに限らず、油圧式シリンダーなどその他の駆動方式を採用しても良い。
本発明のパッケージを巻き取る際の巻き取り張力は、0.1〜0.5cN/dtexである。ここで巻き取り張力とは、巻き取り直前に位置する最終ロールとスピンドルの間、すなわち図4の巻き取り張力測定位置15における張力を表している。前述の通り、本発明における複合ポリエステルモノフィラメントは、巻き取り後に応力緩和(収縮)が発生し易いため、巻き取り張力が0.5cN/dtexを超えると、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動も大きくなる。
なお、巻き取り中にパッケージ表面を押圧しないことが好ましい。巻き取り中にパッケージ表面を押圧すると、糸落ちを助長することになるが、パッケージが過度に柔らかくなり、崩れてしまう可能性がある場合等、やむを得ず、巻き取り中のパッケージ表面にボビンの回転軸に略平行な回転軸をもつローラ、いわゆるタッチローラやローラベイルなどで押圧させる場合は、巻き始めから巻き終わりにかけて、パッケージ表面とローラの接触長の単位長さあたりの押圧力を60gf/cm以下とすることが好ましい。より好ましくは30gf/cm以下である。
なお、本発明のパッケージの端部をテーパー形状とした場合、巻き太るに従い、パッケージ表面とローラの接触長は、次第に短くなる。したがって、ローラの押圧力を好ましい押圧力範囲に収めるために、巻き取り中に押圧力を連続的もしくは段階的に調節させてもよい。
さらには、供給繊維を、ローラの表面を経由して、ボビンに巻き取る場合においては、ローラを電動機と直接的もしくは間接的に連結し、スピンドルとは別に積極駆動させることが好ましい。ローラの駆動速度は、ローラの表面速度をパッケージ表面速度×1.00〜1.10とすることが望ましい。さらに望ましくは、パッケージの表面速度×1.05〜1.08である。ローラの表面速度がパッケージ速度×1.00未満の場合、例えばローラが電動機と連結されておらず、いわゆるパッケージ表面とローラ表面の摩擦力だけでローラが回転する方式では、実質的には、パッケージ表面とローラ表面の間で滑りが生じるため、ローラ表面速度がパッケージ表面速度よりも小さくなる。そのため、ローラ表面を経由してボビンに巻き取られる繊維は、ローラとパッケージ間で延伸されるため巻き取り張力が高くなり、前記のとおり、湿熱収縮時の変動が大きくなる。逆に、ローラ表面速度がパッケージ表面速度×1.10より速いと、ローラとパッケージの間の張力が低くなり過ぎ、ゆるく巻き取られるため、巻き取り中にパッケージが崩れる恐れがある。
本発明のパッケージを巻き取る際の綾角θは、0.030°以下である。ここで、綾角とは、糸の巻き取り角度のことであり、図2のθに相当する。綾角θ=sin−1{V/VTR}。綾角が大きいとパッケージ端部を巻き取る際にパッケージ中央位置と比較して糸長差が生じるため、湿熱収縮応力変動が大きくなる。
本発明のパッケージは、綾振りを行わないで巻き取る方法によって得られる。具体的には、パッケージを巻き取るボビンが装着されたスピンドルの回転軸を、走行する繊維の進行方向と直角となるように配置し、該スピンドルをスピンドル回転軸方向にトラバース動作させることで、スピンドルに装着されたボビン上に繊維を巻き取る。
図3に示すような綾振り支点14を中心とし、トラバースガイド13により供給繊維Yを左右に往復させながら巻き取る方式で巻き取る方法を採用してしまうと、巻き取り中のトラバースガイド13がパッケージ中央位置とパッケージ端部の位置とで、綾振り支点14からトラバースガイド13までの距離に糸長差Lが生じ、パッケージ端部巻き取り時に張力が一時的に増加してしまう。その結果、繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなってしまう。
しかしながら上記の通り、綾振りを行わないで巻き取る方法を採用しても、現実には、糸速度(巻き取り速度V)とスピンドルのトラバース速度VTRの比によって、わずかに綾角θが生じてしまう。その結果、わずかに生じた綾角θにより糸が屈曲され、パッケージに残留する応力が大きくなる。それによって巻き取り後に応力緩和が進行し、応力緩和の進行が遅い、特にテーパー部分に応力が残留することで繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなってしまう。そこで、巻き取り速度Vとトラバース速度VTRの両条件の組み合わせについて鋭意検討した結果、巻き取り速度Vとトラバース速度VTRについて規定した綾角θを0.030°以下にすることで、パッケージ内層の巻厚1mm部分のモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動を0.06cN/dtex以下に制御しヒケ状の欠点のないスクリーン紗が得られることを見出した。綾角θが0.030°より大きい場合、すなわち、巻き取り速度Vとトラバース速度VTRが規定を満たさない場合、わずかに生じた綾角θによる糸長差より屈曲され、パッケージに残留する応力が大きくなる。その結果、巻き取り後に応力緩和が進行し、特に応力緩和の進行が遅いテーパー部分に応力が残留することで繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなる。
本発明のパッケージを巻き取る際のスピンドルのトラバース速度VTRは1.5m/分以下とする。かかる範囲とすることにより、パッケージ内層の巻厚1mm部分のモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動を0.06cN/dtex以下に制御し、ヒケ状の欠点のないスクリーン紗が得られる。トラバース速度VTRが1.5m/分を超える場合、トラバース折り返し時の加速度変化によって、折り返しのわずかな瞬間に綾角が大きくなってしまう。その結果、パッケージの端部と巻幅の中央部を巻き取る際の張力に差が生じることで繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が大きくなり、所望の範囲から逸脱する。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例の測定値は、次の方法で測定した。
(1)繊維長手方向の湿熱収縮応力変動
東レ(株)製フィラメントサーマルアナライスシステム(略称:FTA−500)を用い、巻厚1mmの層から解舒する繊維について下記の測定条件にて測定を行い、熱収縮により繊維に発生する収縮応力を張力計で連続的に測定しチャート化した。チャート上の最大応力と最小応力の差異(cN)を読みとり、その数値を繊度で割った値(cN/dtex)が湿熱収縮応力変動である。なお巻厚1mm部分とは、パッケージの中央部分の巻厚Drが1mmとなるまで解舒した状態のパッケージを指し、そこから解舒されるモノフィラメントを測定する。
湿熱温度:100℃
給糸速度:10m/分
給糸糸長:3000m。
(2)固有粘度
定義式のηrは、25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料を0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度、η0:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm)、t0:OCPの落下時間(秒)、d0:OCPの密度(g/cm)。
(3)繊度
モノフィラメントを500mかせ取り、かせの質量(g)に20を乗じた値を繊度とした。
(4)強度(cN/dtex)と10%伸長時の強度(モジュラス)(cN/dtex)
JIS L1013(2010)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT−100を用いて測定した。
(5)耳立ち
各実施例および比較例において得られたパッケージについて、ノギスを用いて図1に示すようなパッケージ中央部の巻径Dcおよびパッケージ端部より中央へ1mmの部分の巻径Deを測定し、下式により耳立ちHを算出した。
H(mm)= De(mm)−Dc(mm) 。
(6)ヒケ
スルーザ型織機により織機の回転数120回転/分にて幅2.54m、全長30mのメッシュ織物を製作した。得られたスクリーン紗を検反し、目視でヒケの評価を行った。合格レベルはA、Bである。
繊度13dtex :密度300本/2.54cm
繊度10dtex :密度350本/2.54cm
繊度4dtex :密度420本/2.54cm
A :ヒケ状の欠点が全くない
B :軽微なヒケ状の欠点があるが、製品として合格範囲内にある。
C :強いヒケ状の欠点が存在する、もしくは軽微なヒケ状の欠点があり、全長の10%超が製品にならない。
(7)印刷精度
(6)で得られたスクリーン紗を30cm×30cmの版枠に紗張りした。そして、以下の幅のストライプパターンを印刷した。印刷状態を走査型電子顕微鏡にて確認した。
ストライプライン幅
繊度13dtex :200μm
繊度4dtex、10dtex :100μm
A :ライン太さのバラツキがライン幅の10%未満
B :ライン太さのバラツキがライン幅の10%以上〜20%未満
C :ライン太さのバラツキがライン幅の20%以上〜30%未満。
(実施例1)
芯成分として固有粘度1.00のPET(ガラス転移温度80℃)と鞘成分として固有粘度0.50のPETとを、エクストルーダーを用いてそれぞれ295℃の温度で溶融後、ポリマー温度280℃で、複合比が芯成分:鞘成分=80:20となるようにポンプ計量を行い、芯鞘型となるよう公知の複合口金に流入させた。
紡糸口金から吐出された芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを紡糸口金直下の雰囲気温度が290℃となるよう、加熱体により積極的に加熱保温し、その後、糸条冷却送風装置により冷却し、油剤付与装置により仕上げ剤を付与した後、550m/分の速度で引き取り、その後、一旦巻き取ることなく所望の強度となるように適宜延伸(延伸倍率5.36倍)、熱セット(最終ホットローラ表面温度190℃)を行い、巻き取り張力0.26cN/dtexで制御された巻取装置にて2950m/分の速度で巻き取った。
巻取装置は、特開2002−284447号の請求項5記載の糸条巻取装置を使用した。この糸条巻取装置は、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、糸条をサーボ機構によりボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置において、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置である。この時トラバース速度VTRを1.5m/分とした。具体的には、図4に示す様に、スピンドル12は誘導モータ11およびトラバース駆動装置に連結され、そのスピンドル12にボビン1が装着されている。糸条Yの給糸位置を糸道ガイド4によって固定し、誘導モータ11によりスピンドル12が回転駆動され、かつスピンドル12がトラバース駆動装置によりボビン軸方向にトラバースされると、ボビン1の上に糸条Yが巻き付けられる。上記スピンドル12に連結されたトラバース駆動装置の駆動源として、正転、逆転を交互に行うサーボモータ5が設けられている。サーボモータ5にはカップリング10を介してボールねじ6が連結され、ボールねじ6は両端部がボールベアリング(図示せず)を介してブラケット9に回転自在に支持されている。ボールねじ6にはボールナット7が螺合して軸方向に移動可能になっており、そのボールナット7に誘導モータ11が取り付けられている。そのボールナット7は、ボールねじ6と平行に設けられた2本の案内ガイド8に摺動自在に支持されている。各案内ガイド8の両端部はブラケット9に固定されている。サーボモータ5が正逆に回転するとボールねじ6が正逆に回転し、正転か逆転かに応じてボールナット7がボールねじ6の軸方向に往復移動する。したがって、ボールナット上の誘導モータ11に連結されたスピンドル12は、ボビン1の軸方向に往復トラバースし、給糸位置が固定された糸条Yは、そのボビン1の上に巻き取られる。このようにスピンドルが往復トラバースするトラバース区間は、糸条Yの巻取中において変化するように制御され、ボビン上にパーン状のパッケージを形成する。なお、巻き取り速度Vとトラバース速度VTRから算出される綾角θは、0.029°であった。
得られたパッケージは端部がテーパー形状であり、最内層巻幅350mm、パッケージ最内層巻径50mmであった。評価結果は表1のとおりである。
(実施例2、3)
吐出量を変えて繊度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表1のとおりである。
(実施例4、5)
延伸条件、巻き取り速度Vとスピンドルトラバース速度VTRから算出される綾角θを表1のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表1のとおりである。
(実施例6)
巻き取り張力を表1のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表1のとおりである。
(実施例7)
巻き取り速度Vとスピンドルトラバース速度VTRから算出される綾角θを表1のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表1のとおりである。
(実施例8)
パーンの形状がLt=0.30Lpとなるようにパッケージを巻き取った以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表1のとおりである。
Figure 2021155854
(比較例1)
延伸条件、巻き取り速度Vとスピンドルトラバース速度VTRから算出される綾角θを表2のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表2のとおりである。
(比較例2)
巻き取り張力を表2のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表2のとおりである。
(比較例3、4、5)
巻き取り速度Vとスピンドルトラバース速度VTRから算出される綾角θを表2のとおり変更したこと以外、実施例1と同様にして製糸し、巻き取った。評価結果は表2のとおりである。
Figure 2021155854
1 :ボビン
2 :パッケージ
3 :糸条の給糸位置
4 :糸道ガイド
5 :サーボモータ
6 :ボールねじ
7 :ボールナット
8 :案内ガイド
9 :ブラケット
10 :カップリング
11 :誘導モータ
12 :スピンドル
13 :トラバースガイド
14 :綾振り支点
15 :巻き取り張力測定位置
θ :綾角
θt :テーパー角
H :耳立ち
Y :繊維
A :スピンドルトラバース方向
B :糸条の巻き取り方向
C :スピンドルの往復方向
D :トラバースガイドの往復方向
De :パッケージ端部の巻径
Dc :パッケージ中央部の巻径
Dr :パッケージ中央部分の巻厚
L :巻き取り中のトラバースガイドの位置による糸長差
Lp :糸の巻き取り部分の長さ(最内層巻幅)
Lt :テーパー部分の長さ

Claims (2)

  1. 芯成分および鞘成分がポリエステルからなる芯鞘複合モノフィラメントが巻き取られたパッケージであり、糸物性の要件(a)〜(d)を満足する複合ポリエステルモノフィラメントパッケージ。
    (a)繊度が4.0〜13.0dtex
    (b)強度が7.0〜9.0cN/dtex
    (c)10%伸長時の強度が6.0〜9.0cN/dtex
    (d)パッケージ内層の巻厚1mm部分の複合ポリエステルモノフィラメントの湿熱収縮応力変動が0.06cN/dtex以下
  2. 芯成分ポリエステルの固有粘度が0.95〜2.00の高粘度ポリエステル、鞘成分ポリエステルの固有粘度が0.40〜0.70の低粘度ポリエステルで、芯成分ポリエステルと鞘成分ポリエステルの固有粘度差が0.20〜1.00であって、芯成分・鞘成分を別々に溶融、計量して複合紡糸口金より吐出して、冷却固化した後、得られた未延伸糸を一旦巻き取ることなく連続して延伸倍率5.2〜7.0倍で延伸し巻き取る直接紡糸延伸法により、複合ポリエステルモノフィラメントを製造し、巻き取るに際して、以下の工程条件(e)〜(h)を満足する請求項1記載の複合ポリエステルモノフィラメントパッケージの製造方法。
    (e)パッケージを巻き取るボビンが装着されたスピンドルの回転軸を、走行する糸条の進行方向と直角となるように配置し、該スピンドルをスピンドル回転軸方向にトラバース動作させることで、スピンドルに装着されたボビン上に糸条を巻き取る。
    (f)巻き取り張力が0.1〜0.5g/dtex
    (g)パッケージの綾角θが0.030°以下
    (h)トラバース速度VTRが1.5m/分以下
    綾角θ=sin−1{V/VTR
    V:巻き取り速度(m/分)
    TR:トラバース速度(m/分)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115025628A (zh) * 2022-05-10 2022-09-09 厦门大学 一种复合纳米纤维空气滤膜及其制备装置和制备方法

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