JP2013249143A - ポリエステルモノフィラメントパッケージ - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒケや織り段などの欠点が発生しない良好な品質の印刷用スクリーン紗が得られるポリエステルモノフィラメントパッケージを提供する。
【解決手段】本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージ1は、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルモノフィラメントが巻き取られたパッケージであって、下記要件(a)〜(c)を全て満たすモノフィラメントパッケージである。(a)パッケージ端部がテーパー形状であり、テーパー角θが75°以下、(b)パッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差が1.0mm以下、(c)パッケージ内層の巻厚1mm部分のポリエステルモノフィラメントの湿熱収縮応力変動が2.0cN/dtex以下。
【選択図】図1

Description

本発明は、好適には印刷用スクリーン紗に用いることにより良好な品質が得られるポリエステルモノフィラメントパッケージに関するものである。
従来、スクリーン印刷用織物としては、シルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきた。しかしながら、近年は、柔軟性、耐久性およびコストパフォーマンスに優れた合成繊維メッシュ織物が広く用いられている。中でも、ポリエステルからなるモノフィラメントは、寸法安定性に優れるなどの理由からスクリーン紗適性が高い。このため、ポリエステルからなるモノフィラメントのスクリーン紗は、コンパクトディスクのレベル印刷など、グラフィックデザイン印刷や電子基板回路印刷などにも使用されている。
また近年、電子機器の高性能化やコンパクト化が著しく進行している。そのため、電子機器を構成する電子基板のコンパクト化や基板回路の精密化の要求に応えるべく、よりハイメッシュ、ハイモジュラスで、かつ織物欠点が少ないスクリーン紗への要求が高まっている。従って、これらのスクリーン紗要求特性を満足するポリエステルモノフィラメントとして、より細繊度かつハイモジュラスであることの他、スクリーン紗製造時にヒケや織段等の欠点が生じないことが特に重要である。
通常の合成繊維(マルチフィラメントの単糸)と比較して単糸繊度が太く、ハイモジュラスであるモノフィラメントは、巻き取り時に糸落ちやフォーム不良が発生し易いことに加えて、スクリーン紗の製織においてヒケ等の欠点を生じ易い。そのため、これらを改善するパッケージの技術確立が待ち望まれている。
スクリーン紗の寸法安定性に優れた高強度で高モジュラスのポリエステルモノフィラメントを、パッケージの両端部がテーパー状になるように巻き上げ、糸落ち、糸削れおよびパーン引けなく容易に効率的に製造するポリエステルモノフィラメントの製造方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、スクリーン印刷用途に使用されるポリアミドモノフィラメントをドラム状に巻き上げ、ドラム端部の巻径とドラム最小巻径の差を規定し、糸解舒時の瞬間張力変動を抑制し、スクリーン紗の製織においてヒケの発生を抑制したパッケージが提案されている(特許文献2参照。)。
特開2004−225224号公報(特許請求の範囲) 特開2010−222112号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1で提案のパッケージは、ポリエステルモノフィラメントパッケージ形状に関して、パッケージの両端部がテーパー状であり、テーパー角が30℃以下であることが記載されているのみである(特許請求の範囲)。
また、特許文献2には、後述する高精度の印刷用途に求められるスクリーン紗の製織におけるヒケと織段などの欠点を抑制するためのパッケージ品質および形態については記載されていない。さらに、特許文献2には、このようなパッケージ品質および形態に重要な指標となるパッケージ巻幅方向の巻径のばらつきについても記載がない。特許文献2に提案されているポリアミドモノフィラメントパッケージは、スクリーン紗の製織時における要求特性を満足できるものではない。
また、特許文献2で提案のポリアミドモノフィラメントのドラム形状のパッケージは、ドラム端部の巻径とドラム最小巻径の差を規定し、ヒケの発生を抑制したパッケージとしているが、伸度が30〜50%を有し比較的弾性を有する糸のため、ドラム形状で巻き取ることができる。しかしながら、高精度印刷に求められる寸法安定性に優れた低弾性かつ高強度のポリエステルモノフィラメントの場合は、ドラム状で巻き取ると、パッケージ端面で糸落ちが発生し、安定して巻き取ることができない。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、スクリーン紗の製織においてヒケおよび織段などの欠点が発生しないポリエステルモノフィラメントパッケージを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージは、下記要件(a)〜(c)を全て満たすポリエステルモノフィラメントパッケージである。
(a)パッケージ端部がテーパー形状であり、テーパー角θが75°以下、
(b)パッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差が1.0mm以下、(c)パッケージ内層の巻厚1mm部分のポリエステルモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が2.0cN/dtex以下。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、パッケージ巻幅1mm毎の巻径Dimmと巻径平均値Davemmは、次式を満たすことである。
|Dave−Di|≦0.5mm
Dave=ΣDi/i (iは、1、2、3・・・)。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、巻き取られたポリエステルモノフィラメントの単糸繊度は3〜40dtexである。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、巻き取られたポリエステルモノフィラメントの単糸繊度は3〜15dtexである。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、巻き取られたポリエステルモノフィラメントの10%伸張時の応力(10%モジュラス)は3.6cN/dtex以上である。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、巻き取られたポリエステルモノフィラメントが芯鞘型複合糸であり、かつ前記芯鞘型複合糸の芯成分および鞘成分がポリエチレンテレフタレートからなることである。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの好ましい態様によれば、巻き取られた芯鞘型複合糸の芯成分の固有粘度(IV)は0.70以上、鞘成分の固有粘度(IV)は0.4以上であり、かつ前記鞘成分の固有粘度(IV)は前記芯成分の固有粘度(IV)より0.2以上低く、前記ポリエステルモノフィラメントの10%モジュラスは5.0cN/dtex以上である。
本発明により、印刷用スクリーン紗に好適なポリエステルモノフィラメントパッケージが得られ、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージから、ヒケや織り段などの欠点が発生しない良好な品質の印刷用スクリーン紗が得られる。
図1は、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの概略正面図である。 図2は、トラバースガイドにより、供給された糸条を左右に往復させながら巻き取る方式を説明するための正面図である。 図3は、綾振り支点からトラバースガイドまでの距離を変えたときの糸長差を比較し説明するための正面図である。 図4は、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置を説明するための正面図である。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージは、(a)パッケージ端部がテーパー形状で、テーパー角θが75°以下であり、(b)パッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差が1.0mm以下であり、(c)パッケージ内層の巻厚1mm部分のポリエステルモノフィラメントの湿熱収縮応力変動が2.0cN/dtex以下のポリエステルモノフィラメントパッケージである。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージを形成するモノフィラメントは、ポリエステルからなるものであり、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等が挙げられ、中でも、強度の観点から、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
本発明で好適に用いられるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)は、繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレートであるものを対象とする。
また、本発明で用いられるPETの固有粘度(IV)は、高強度化およびハイモジュラス化という観点から0.7以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.8以上である。一方、溶融紡糸における溶融ポリマーの流動性という観点からは1.4以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.3以下である。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージを形成するポリエステルモノフィラメントは、高強度、ハイモジュラスおよび耐磨耗性を満足させる目的で芯鞘状の複合糸としても構わない。通常、PET繊維の高強度化には、繊維の配向度および結晶化度を向上させる必要があるため、同時にフィブリル状の削れ(スレ毛羽)が発生しやすくなる。そのため、強度6cN/dtex以上を求める場合、芯鞘型複合糸とすることが好ましい。
本発明においては、芯鞘型複合糸を構成する芯成分と鞘成分として、共にポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
芯鞘型複合糸では、強度を担う芯成分PETの固有粘度(IV)は、好ましくは前述のとおりの0.7以上1.4以下とすることができる。これに対し、鞘成分のPETは、芯成分PETの固有粘度(IV)よりも0.2以上小さくすると、スレ毛羽が発生し難くなるので好ましい態様である。鞘成分の固有粘度(IV)は、溶融押出機や紡糸口金内での安定計量性の観点から、0.4以上1.2以下であることが好ましい。鞘成分のPETは、ポリエステルモノフィラメントの耐磨耗性を担うため、酸化チタンに代表される無機粒子を0.1〜0.5質量%程度添加させることが好ましい。
また、芯鞘型複合糸とする際の糸横断面における芯成分と鞘成分の面積比(芯成分/鞘成分)は、60/40〜95/5であることが好ましい。前述のとおり、芯成分は強度を担い、鞘成分は耐磨耗性を担うため、このような面積比の範囲であればいずれも損なうことなく両立させることができる。芯成分と鞘成分の面積比は、さらに好ましくは70/30〜90/10である。
また、いずれのPETにも、本発明の効果を損なわない限り共重合成分を加えてもよい。共重合成分の例として、酸成分にはイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、オキシエトキシ安息香酸等の二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸等の二官能性脂肪族カルボン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
グリコール成分には、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。さらに、添加物として酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
本発明で用いられるポリエステルモノフィラメントの単糸繊度は、3〜40dtexであることが好ましい。スクリーン紗を精密印刷に適したメッシュ数に設計するには、単糸繊度は40dtex以下であることが好ましく、より好ましくは18dtex以下であり、さらに好ましくは15dtex以下である。一方、製織性、特に緯糸飛走性を十分とするためには、単糸繊度は3dtex以上であることが好ましく、より好ましくは4dtex以上である。
本発明においては、ポリエステルモノフィラメントからスクリーン紗を得る製織工程での負荷や、スクリーン印刷にかかる負荷に耐えるという観点から、本発明で用いられるポリエステルモノフィラメントの強度は、5cN/dtex以上であることが好ましい。スクリーン紗としての強力レベル確保の点で単糸繊度が細いほど強度は高い方がよく、例えば、単糸繊度が18dtex以下では、強度は5.5cN/dtex以上であることが好ましい。また、単糸繊度10dtex以下では、強度は6cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは7.2cN/dtex以上であり、最も好ましくは8.5cN/dtex以上である。強度は高ければ高いほどよいが、一般的に高強度に伴い伸度が低下するので、製織性良好な伸度を確保する観点から10cN/dtex以下であることが好ましい。強度の値は、必要なスクリーン紗特性によって適宜調整すればよい。
本発明においては、スクリーン紗の印刷精度を向上させる観点から、ポリエステルモノフィラメントの10%モジュラスは3.6cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは5.0cN/dtex以上である。10%モジュラスとは、引張試験における10%伸長時の荷重を繊度で除したものであり、モノフィラメントの剛性を表す。繊度が細いほど10%モジュラスは高い方が、すなわちハイモジュラスの方がよく、例えば、単糸繊度が18dtex以下では、10%モジュラスは4.0cN/dtex以上とすることが好ましい。また、単糸繊度が10dtex以下では、10%モジュラスは5.0cN/dtex以上が好ましく、さらに好ましくは6.0cN/dtex以上であり、最も好ましくは7.5cN/dtex以上である。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージは、端面テーパー角θが75°以下である。端面テーパー角とは、ポリエステルモノフィラメントパッケージを側面から観察した際に、巻心の中心軸方向と端面の傾斜線方向とがつくる角度(鋭角)である。
図1は、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの概略正面図であり、ボビン2に糸条(ポリエステルモノフィラメント)が巻き取られ、ポリエステルモノフィラメントパッケージ1が形成されている。端面テーパー角θは、具体的には、図1のθに該当する角度である。
モノフィラメントは、いわゆる通常の繊維に比較して単糸繊度が太く、ハイモジュラスであるため、パッケージ端面部で糸落ちが発生し易い。そのため、テーパー角θを75°以下として糸落ちを抑制する。端面テーパー角θは、好ましくは60°以下であり、より好ましくは45°以下である。テーパー角θの下限は、5°以上であればパッケージ当りの巻取可能糸量が多くなるため工業生産上好ましい態様である。
本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージは、パッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差が1.0mm以下である。一般的にモノフィラメントは、糸品質の安定化の観点から、巻取張力をあらかじめ設定した巻取張力になるように巻取機の回転数を制御して巻き取られる(張力制御)。しかしながら、パッケージの巻幅内において部分的に巻径差があると、実質、張力制御が追従しきれないため、巻径が大きい部分で巻取速度が速くなり、一方、巻径が小さい部分では巻取速度が遅くなり、巻取張力が異なった状態で巻き取られると、高精度印刷用スクリーン紗に用いられるポリエステルモノフィラメントとして重大な糸品質の差が生じる。特に、高精度印刷が求められる高強度でハイモジュラスのポリエステルモノフィラメントにおいては、この傾向が顕著となる。
巻幅端部は、トラバースの折り返し部となるため、糸がパッケージ上で少なからず滞留するため巻径が大きくなる傾向にあり、また、トラバースの折り返し部は、糸を巻幅に沿って案内する部材が急激に減速した後、逆方向に急加速するため機械的な振動が生じやすく、所望の位置に糸が巻かれず、巻径の差が生じやすい。よって、巻幅端部部と巻幅中央部の巻径差を小さくすることが重要である。ここで述べる巻幅中央部とは、パッケージ最外層巻幅の中心であり、巻幅端部とは、パッケージ最外層巻幅の巻幅最端から巻幅中央部側に1mmの位置を示す。よって、好ましくは、パッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは、0.1mm以下であり、更に好ましくは、0.05mm以下である。
また、下限値の特定は難しいが、実質0.02mm程度である。
巻幅端部と巻幅中央部の巻径差を所望の値にするために、糸を巻幅にそって案内する部材のトラバース折り返し後の振動値(ピークtoピーク値)は、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以内である。また、下限値の特定は難しいが、実質5μm程度である。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージは、パッケージ最外層のパッケージ巻幅1mm毎の巻径Dimmと巻径平均値Davemmが、好ましくは次式を満たすものである。
|Dave−Di|≦0.5mm
Dave=ΣDi/i (i=1、2、3・・・)。
巻幅端部で、巻径が大きくなる傾向にあることは既に述べたが、高精度印刷用スクリーン紗に用いられるポリエステルモノフィラメントを得るためには、巻幅端部だけではなく、巻幅全域にわたり、品質を良好なものにする必要がある。パッケージ最外層の巻径の平均値Daveに対して、パッケージ巻幅1mm毎の巻径を0.5mm以下にすることが好ましい態様である。より好ましくは0.25mm以下であり、さらに好ましくは0.05mm以下であり、特に好ましくは0.03mm以下である。特に、前述のトラバース折り返し時の振動が大きい場合は、トラバースが巻幅端部で折り返した後、巻幅中央部までその振動が残存するため、その結果、巻幅中央部でも巻径差が生じることがある。
また、実際の巻取機においては、トラバースの折り返し時に発生する振動を、該トラバース部に振動計を設置し測定することが可能である。所望のパッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差、および|Dave−Di|を得るための、許容されるトラバース折り返し時の振動値を予め測定し、その範囲内で、トラバース速度と折り返し加減速時間を設定しておくとよい。更に好ましい態様としては、トラバース折り返し毎の振動を測定し、許容される振動値から外れた場合には、次のトラバースの折り返しの際の、トラバース速度を小さくすること、または、折り返し加減速時間を大きくする制御をすることが有効である。これは、パッケージが巻き太るに従いパッケージが重くなり、トラバースの折り返し時の振動が大きくなるため、特に有効である。なおトラバース速度とは、パッケージ中央部のトラバース速度を示し、すなわち、トラバース折り返し時のトラバース減速中およびトラバース加速中の速度を示すものではない。トラバース速度は、トラバース折り返し後の振動値(ピークtoピーク値)を前述した所望の振動値内であれば、いかなる値でも構わないが、経験的には、3.0m/min以下が好ましい。より好ましくは2.5m/min以下であり、さらに好ましくは、2.0m/min以下である。下限値の特定は難しいが、実質1.0m/min以上である。
本発明におけるポリエステルモノフィラメントパッケージは、パッケージ内層の巻厚1mm部分のポリエステルモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が2.0cN/dtex以下である。
ここで繊維長手方向の湿熱収縮応力変動とは、10m/分の速度で走行する2対のローラ間に湿熱を付与する部位と張力計を設けた装置で、トラバース1往復分以上の糸長を連続的にモニターした張力の最大値と最小値の差を糸条の繊度で除した値を指す。通常の繊維よりも高強度でハイモジュラスのスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、PET非晶部位の配向度が大きいため、巻取り後に応力緩和(収縮)が発生し易い。その応力緩和によって糸が収縮しパッケージの中心に向かって巻締まりが発生する。この巻締まりがパッケージ全体で均一に進まず、モノフィラメント長手方向に差異が生じると、スクリーン紗のヒケ状の欠点の原因となる。その応力緩和の状態は、その繊維を湿熱収縮させた際に発生する応力を測定することで確認することができる。
その湿熱収縮時の応力が繊維長手方向で差異が認められるということは、ある部分は応力緩和が進んでおり、一方ある部分は応力緩和が進んでいないことを示している。パッケージの巻径が部分的に異なり巻取張力が異なった状態で巻き取られると、PET非晶部位の配向度自体に差が生じる。巻径が大きい部分は、巻取張力が高くなるため、配向度が高くなり、その結果、十分な応力緩和(収縮)を必要とする。しかしながら、巻径が大きい部分、すなわち密に巻かれた部分であるため、十分な応力緩和ができない。一方、巻径が小さい部分は、巻取張力が低くなるため、配向度が低くなり、その結果、応力緩和(収縮)が小さくなる。巻径が小さい部分、すなわち疎に巻かれた部分であるため、応力緩和が進みやすい。よって、巻径が大きい部分と小さい部分で、応力緩和の差が顕著とりなり、その結果、湿熱収縮応力変動が大きくなる。
本発明において、巻厚1mm、すなわちパッケージ最内層で湿熱収縮応力変動を測定する理由は、次のとおりである。パッケージの巻径差は、巻厚1mm巻き取ることですぐに現れる。パッケージ最内層の糸は、そのすぐ内層側にボビンが存在するため、糸の収縮が阻害され、パッケージの中で最も繊維長手方向の収縮応力変動が大きくなる。そのため、このパッケージ最内層の湿熱収縮応力変動を、スクリーン紗の製織時の要求特性にあわせて規定する必要がある。この湿熱収縮時の応力差が2.0cN/dtexを超えるとヒケが発生しやすくなる。湿熱収縮時の応力差は、好ましくは1.5cN/dtex以下であり、さらに好ましくは0.8cN/dtex以下であり、特に好ましくは0.3cN/dtex以下である。また、下限値の特定は難しいが、実質0.01cN/dtex以上程度である。
次に、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの製造方法について説明する。ポリエステルモノフィラメントパッケージの製造工程は、主にPET等ポリエステルを溶融させ、口金から吐出、冷却させた上、一定速度のローラで引き取る紡糸工程、引き取られた未延伸糸を延伸・熱処理する延伸工程、および延伸された糸条を巻き取りパッケージ形成する巻取工程、の3つの工程に分かれる。
紡糸工程は、公知の溶融紡糸方法を採用すればよく、押出機によって溶融させたポリエステルを所望の単糸繊度となるように計量ポンプを用いて紡糸口金に供給し糸条を吐出させる。溶融紡糸温度は、ポリエステルがPETの場合、PETを十分に溶融させ、かつ過度の熱付与による熱分解を抑制するという観点から、280〜310℃とすることが好ましい。
芯鞘型複合糸とする場合は、2台の押出機を用いて芯成分と鞘成分を別々に溶融、計量させ、公知の芯鞘複合口金により両成分を複合させた後に吐出させる。糸条の配向抑制と配向均一化を目的とし、吐出された糸条が冷却されるまでの部位に加熱筒を用いてもよい。加熱筒を使用する場合、加熱筒内雰囲気温度は200〜330℃とすることが好ましい。加熱筒内雰囲気温度が200℃以上であれば加熱筒の効果が十分得られる。加熱筒内雰囲気温度が330℃以下であれば糸長手方向の繊径ムラが抑制される。
また、冷却方式は、チムニーエアーによる冷却を採用することが好ましい。チムニーエアーによる冷却は、例えば、糸条の走行方向に対して略直角方向かつ一方向から吹き付ける方式や、糸条の走行と略直角方向かつ全周方向から吹き付ける方式を用いることができる。
冷却した糸条をローラで引き取る前に、紡糸油剤を付与することが好ましい。紡糸油剤の組成は、平滑性を向上せ、スクリーン紗製織時のスレ毛羽を抑制する観点から、脂肪酸エステル系平滑剤を30質量%以上含有する油剤を用いることが好ましい。また、油剤中にポリエーテル変性シリコーンを0.1〜5質量%程度添加すると、さらに平滑性を向上させることができる。油剤は、水と混合・エマルション化し、給油ガイドやオイリングローラによって糸条に付与すればよい。その際の給油量は、延伸糸に対し油剤付着量が0.1〜2.0質量%とすれば、平滑性が良好で、かつ、パッケージ形成の際の糸落ちと崩れが抑制されるため好ましい態様である。給油された糸条は、好ましくは表面速度300〜3000m/分の引取りローラで引取られる。その後、一旦未延伸糸として巻き取ってから延伸する二工程法、そのまま延伸工程に給糸する直接紡糸延伸法のどちらを用いてもよい。生産効率や得られるモノフィラメントの配向均一性の観点から、直接紡糸延伸法の方が好ましい態様である。
延伸工程では、均一延伸を目的に、糸条をガラス転移点以上に加熱するホットローラと、このホットローラよりも表面速度が速く、結晶化温度以上に加熱するホットローラに順次引き回し延伸を施す方法が好ましく用いられる。ホットローラの温度や延伸倍率は、目標とする物性によって選択すればよい。例えば、高強度でハイモジュラスを求める場合、最終ホットローラの表面温度を好ましくは120℃以上、さらに好ましくは200℃以上とし、延伸倍率を4〜6倍とすることが好ましい。
また、そのホットローラ間に、さらに別のホットローラを設置し、いわゆる多段延伸とすれば、延伸均一性が向上する。多段延伸の場合、1段目の延伸倍率は、好ましくは総延伸倍率の0.5〜0.9倍とする。また、最終ホットローラから巻き取り部の間に冷ローラを設けてもよい。最終ホットローラよりも冷ローラの速度が速い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは高くなるため、スクリーン紗の印刷精度が向上し易い。最終ホットローラよりも冷ローラの速度が遅い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは低下するが、湿熱収縮時の応力差が低減し、また製織時のスレ毛羽が発生しにくくなる。最終ホットローラと冷ローラとの速度産は、所望の特性に応じて調整すればよい。最終ホットローラの速度に対し、冷ロールの速度は、好ましくは−7〜2%である。
巻き取り工程では、延伸されたモノフィラメントを、次の巻き取り方法で巻き取り、所望のパッケージを得る。まず、パッケージ端面をテーパー形状とする手法としては、例えば、特開2002−284447号に記載の巻取方法が挙げられる。具体的には、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、この糸条をトラバースガイドによってボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取機において(請求項1)、スピンドル側を静置し、糸条をトラバースガイドを介して往復トラバースさせる方法(請求項4)や、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする方法(請求項5)である。いずれも、巻き始めから巻き終わりにかけて所望のテーパー角になるように、巻太るに従いトラバースの往復幅を漸減させ、ボビン上にパーン上のパッケージを形成する(段落[0015])。
本発明において、ポリエステルモノフィラメントを巻き取る際の巻き取り張力は、繊維長手方向における湿熱収縮時の応力差を低減させる観点で、0.1〜0.7cN/dtexであることが好ましい。これは、前述のとおり、本発明で用いられるポリエステルモノフィラメントは、通常の繊維よりも巻き取り後に応力緩和(収縮)が発生し易いため、巻き取り張力が高いと、応力差も大きくなるためである。巻き取り張力は、より好ましくは0.1〜0.5cN/dtex、さらに好ましくは0.1〜0.3cN/dtexである。
本発明で用いられるポリエステルモノフィラメントは、巻き取り中にパッケージ表面を押圧しないことが好ましい。本発明で用いられるポリエステルモノフィラメントは、前述のとおり、パッケージ端面で糸落ちが発生しやすいため、巻き取り中にパッケージ表面を押圧すると、糸落ちを助長することになる。しかしながら、やむを得ず、巻き取り中のパッケージ表面に、ボビンの回転軸に略平行な回転軸をもつローラ、いわゆるタッチローラやローラベイルなどで押圧させる場合は、巻き始めから巻き終わりにかけて、パッケージ表面とローラの接触長の単位長さあたりの押圧力を、60gf/cm以下とすることが好ましい。押圧力は、より好ましくは30gf/cm以下である。本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージの端部はテーパー形状であるため、巻き太るに従い、パッケージ表面とローラの接触長は、次第に短くなる。したがって、ローラの押圧力を好ましい押圧力範囲に収めるために、巻き取り中に押圧力を連続的もしくは段階的に調節させてもよい。
さらには、供給糸条を、ローラの表面を経由して、ボビンに巻き取る場合においては、ローラを電動機と直接的もしくは間接的に連結し、ボビンホルダとは別に積極駆動させることが好ましい。ローラの駆動速度は、ローラの表面速度をパッケージ表面速度×1.00〜1.10とすることが望ましい。さらに望ましくは、パッケージの表面速度×1.05〜1.08である。ローラの表面速度がパッケージ速度×1.00未満の場合、例えば、ローラが電動機と連結されておらず、いわゆるパッケージ表面とローラ表面の摩擦力だけでローラが回転する方式では、実質的には、パッケージ表面とローラ表面の間で滑りが生じるため、ローラ表面速度がパッケージ表面速度よりも小さくなる。そのため、ローラ表面を経由してボビンに巻き取られる糸条は、ローラとパッケージ間で延伸されるため巻取張力が高くなり、前記のとおり、湿熱収縮時の応力差が大きくなる。逆に、ローラ表面速度がパッケージ表面速度×1.10より速いと、ローラとパッケージの間の張力が低くなり過ぎ、ゆるく巻き取られるため、巻き取り中にパッケージが崩れる恐れがある。
また、図2は、トラバースガイドにより、供給された糸条を左右に往復させながら巻き取る方式を説明するための正面図である。
本発明で用いられるポリエステルモノフィラメント(糸条Y)を、図2に示すような綾振り支点3を中心とし、トラバースガイド4により供給された糸条Yを左右に往復させながら巻き取る方式で巻き取る場合には、綾振り支点3とトラバースガイド4間の距離L2を、パッケージの最内層巻き幅L1の4倍以上とすることが好ましい。本発明で用いられるポリエステルモノフィラメント(糸条Y)は、前述のとおり10%モジュラスが高いため、工程中のわずかな糸長差により大きく巻取張力が変化し、繊維長手方向における湿熱収縮時の応力差が大きくなる。
図3は、綾振り支点からトラバースガイドまでの距離を変えたときの糸長差を比較し説明するための正面図である。
図3(1)は、綾振り支点3とトラバースガイド4までの距離L2が長い場合であり、図3(2)は、距離L2が短い場合を示している。図3に示すように、綾振り支点3からトラバースガイド4までの距離L2が短いと、巻き取り中のトラバースガイド4がパッケージ中央位置のときと、パッケージ端部のときとで、綾振り支点3からトラバースガイド4まで糸長差(巻き取り中のトラバース位置による糸長差L3)がより大きく生じ、その結果、より湿熱応力差が大きくなる。距離L2は長ければ長い方がよいが、レイアウトの制約上、ポリエステルモノフィラメントパッケージ1の最内層の巻き幅L1の4〜10倍が妥当であり、より好ましくは8〜10倍である。また、このような観点からすれば、綾振りを行わないで巻き取る方法、すなわち、前述の特開2002−284447号の請求項5記載の巻き取り方法が好ましい。
この糸条巻取装置は、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、糸条をサーボ機構によりボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置において、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置である。
次に、本発明のポリエステルモノフィラメントパッケージについて、実施例により詳細に説明する。実施例中の評価は、次の方法に従った。
(1)固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に、試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式(1)により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式(2)により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0) ・・・・・・(1)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634 ・・・(2)
ここで、
・η:ポリマー溶液の粘度
・η0:o−クロロフェノールの粘度
・t:溶液の落下時間(秒)
・d:溶液の密度(g/cm
・t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)
・d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm)。
(2)湿熱収縮応力変動
東レ(株)製フィラメントサーマルアナライスシステム(略称:FTA−500)を用い、巻厚1mmの層から解舒する糸条について下記の測定条件で測定を行い、熱収縮により繊維に発生する収縮応力を張力計で連続的に測定し、チャート化した。チャート上の最大応力と最小応力の差異(cN)を読みとり、その数値を繊度で割った値(cN/dtex)が湿熱収縮応力変動である。
・湿熱温度:100℃
・給糸速度:10m/min
・給糸糸長:400m。
(3)単糸繊度
糸条(ポリエステルモノフィラメント)を500mかせ取りし、かせの質量に20を乗じた値を単糸繊度とした。
(4)パッケージ径
ミツトヨ製ノギスCD−100Cを用いて、パッケージの外径を測定した。
(5)強度と10%モジュラス
JIS L1013(1999)に従い、オリエンテックス製テンシロンUCT−100を用いて測定した破断時の荷重を単糸繊度で除した値を強度とし、10%伸張時の荷重を単糸繊度で除した値を10%モジュラスとした。
(6)解舒性
巻き上がったポリエステルモノフィラメントパッケージ10本を30cm間隔のクリールに並べ、パッケージ端部側から引き出した解舒糸条を筬に導き等間隔で5mm幅に並べ、100m/分の速度のローラで引き取った。10hr連続で解舒した際の解舒糸切れ回数や筬出口以降の糸寄付き状態を下記基準で評価した。合格レベルはA、BまたはCである。
A:寄付きなし、かつ糸切れなし。
B:糸条が振動するが寄付きは発生しない、かつ糸切れなし。
C:糸条が寄付き易いが直ぐに回復する、かつ糸切れなし。
D:糸条がほとんど寄付いた状態のまま、もしくは糸切れが発生する。
(7)パッケージ糸落ち
巻き上がったポリエステルモノフィラメントパッケージの両端面を目視にて検査し、パッケージ当りの平均糸落ち数(N=10)を数えた。合格レベルはA、BまたはCである。
A:糸落ちなし。
B:長さ1cm未満の軽微な糸落ち1〜2箇所。
C:長さ1cm未満の軽微な糸落ち3〜5箇所。
D:長さ1cm以上の糸落ちあり、もしくは長さ1cm未満の軽微な糸落ち6箇所以上。
(8)ヒケと織段
スルーザ型織機により、織機の回転数120回転/分で幅2.54m、全長30mの次の3種のメッシュ織物(スクリーン紗)を製作した。得られたスクリーン紗を検反し、目視でヒケと織段の評価(次のA〜D)を行った。合格レベルは、A、BまたはCである。
・単糸繊度13dtex :織密度300本/2.54cm
・単糸繊度8dtex :織密度380本/2.54cm
・単糸繊度5dtex :織密度420本/2.54cm
A:ヒケ・織段が全くない。
B:軽微なヒケ・織段があり、全長の0%超10%以下が製品にならない。
C:軽微なヒケ・織段があり、全長の10%超30%以下が製品にならない。
D:強いヒケ・織段が存在する、もしくは軽微なヒケ・織段があり、全長の30%超が製品にならない。
(9)印刷評価
実施例1〜9で得られたポリエステルモノフィラメントパッケージを用いて上記(6)と同じメッシュ織物を織製した。得られたメッシュ織物を、30cm×30cmの版枠に紗張りした。そして、次の幅のストライプパターンを印刷した。印刷状態(次のA〜C)を、走査型電子顕微鏡を用いて確認した。
<ストライプライン幅>
・単糸繊度13dtex:200μm
・単糸繊度5dtex、8dtex:100μm
A:ライン太さのバラツキがストライプライン幅の10%未満、
B:ライン太さのバラツキがストライプライン幅の10%以上〜20%未満、
C:ライン太さのバラツキがストライプライン幅の20%以上〜30%未満。
(実施例1)
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.78で酸化チタンを0.5質量%含有するPETをエクストルーダーによって溶融させた。その後、溶融させたポリマー(PET)を、295℃の温度に保温されたスピンブロック内に設けた配管および所望のポリマー流量に計量する計量ポンプを通過させ、スピンパックに導いた。スピンパック内には、順にフィルタと公知の紡糸口金が設けられている。この紡糸口金から、糸条を紡出させた。
このとき、紡糸口金面から加熱筒下端までの距離191mm、加熱筒軸心方向の長さ100mm、加熱筒内径89mm、加熱筒内雰囲気温度273℃の加熱筒を配設し、紡糸口金から紡出された糸条を通過させた。その後、糸条に対し冷却機を用いて略直角かつ1方向から25℃の温度のエアーを20m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化させた。冷却固化された糸条に、オイリングロールにより紡糸油剤を延伸糸に対して0.3質量%となるように給油した。油剤の成分は、公知の脂肪酸エステル系平滑剤50質量%、水溶性ポリエーテル変性シリコーンを1質量%、その他公知の金属磨耗剤、制電剤および界面活性剤からなる混合油剤を蒸留水に対して10%の濃度でエマルション化したものである。給油後の糸条は、そのまま表面速度800m/分の引取ロールで引き取った。その後、一旦巻き取ることなく、表面速度808m/分、表面温度90℃の第1ホットロール、表面速度2840m/分、表面温度90℃の第2ホットロール、表面速度3520m/分、表面温度140℃の第3ホットロール、および表面速度3520m/分のゴデットロールを介した後、巻取張力0.2cN/dtex、トラバース速度2.5m/minで制御された糸条巻取装置を用いて巻き取った。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度が13dtexで、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°で、巻量が2.0kgであった。
糸条巻取装置は、特開2002−284447号の請求項5記載の糸条巻取装置を使用した。この糸条巻取装置は、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、糸条をサーボ機構によりボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置において、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置である。
具体的には、図4に示すように、スピンドル42は誘導モータ41およびトラバース駆動装置に連結され、そのスピンドル42にボビン2が装着されている。糸条Yの給糸位置を糸道ガイド33によって固定し、誘導モータ41によりスピンドル42が回転駆動され、かつスピンドル42がトラバース駆動装置によりボビン軸方向にトラバースされると、ボビン2の上に糸条Yが巻き付けられる。上記スピンドル42に連結されたトラバース駆動装置の駆動源として、正転、逆転を交互に行うサーボモータ35が設けられている。サーボモータ35にはカップリング40を介してボールねじ36が連結され、ボールナット37は両端部がボールベアリング(図示せず)を介してブラケット39に回転自在に支持されている。ボールねじ36には、ボールナット37が螺合して軸方向に移動可能になっており、そのボールナット37に誘導モータ41が取り付けられている。そのボールナット37は、ボールねじ36と平行に設けられた2本の案内ガイド38に摺動自在に支持されている。各案内ガイド38の両端部はブラケット39に固定されている。サーボモータ35が正逆に回転するとボールねじ36が正逆に回転し、正転か逆転かに応じてボールナット37がボールねじ36の軸方向に往復移動する。したがって、ボールナット上の誘導モータ41に連結されたスピンドル42は、ボビン2の軸方向に往復トラバースし、給糸位置が固定された糸条Yは、そのボビン2の上に巻き取られる。このようにスピンドルが往復トラバースするトラバース区間は、糸条Yの巻取中において変化するように制御され、ボビン上にパーン状のポリエステルモノフィラメントパッケージが形成される。
(実施例2)
引取りロールの表面速度を1000m/分、第1ホットロールの表面速度を1010m/分、第2ホットロールの表面速度を3200m/分、第3ホットロールの表面速度を4000m/分、ゴデットロールの表面速度4000m/分に変更し、得られるモノフィラメントの繊度が13dtexとなるように計量ポンプからの吐出量を調整したこと以外、実施例1と同じ方法でポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度が13dtexで、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°で、巻量が2.0kgであった。
(実施例3)
引取りロールの表面速度を1100m/分、第1ホットロールの表面速度を1111m/分、第2ホットロールの表面速度を3280m/分、第3ホットロールの表面速度を4100m/分、ゴデットロールの表面速度4100m/分に変更し、得られるモノフィラメントの単糸繊度が13dtexとなるように計量ポンプからの吐出量を調整したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度が13dtexで、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°で、巻量が2.0kgであった。
(実施例4)
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.78のPETを芯成分とし、固有粘度(IV)=0.51で酸化チタンを0.3質量%含有するPETを鞘成分となるように、それぞれのPETを個別のエクストルーダーによって溶融させた。その後、溶融させたポリマー(PET)を295℃の温度に保温されたスピンブロック内に設けた配管および所望のポリマー流量に計量する計量ポンプを通過させ、スピンパックに導いた。スピンパック内には、順にフィルタと公知の芯鞘型複合紡糸口金が設けられている。この紡糸口金から、芯成分と鞘成分の面積比(芯成分/鞘成分)が80/20となるよう芯鞘型複合糸条を紡出させた。次いで、得られた芯鞘型複合糸条を実施例1と同様の加熱筒を通過させ、エアーによる冷却と給油を行った後、表面速度1200m/分の引取ロールで引き取った。さらに一旦巻き取ることなく、表面速度1212m/分、表面温度90℃の第1ホットロール、表面速度3930m/分、表面温度90℃の第2ホットロール、表面速度4910m/分、表面温度140℃の第3ホットロール、表面速度4860m/分のゴデットロールを介した後、実施例1と同様の糸条巻取方法で巻き取った。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度8.0dtex、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°、巻量2.0kgであった。
(実施例5)
第2ホットロールの表面速度を3650m/分、第3ホットロールの表面速度を4560m/分、ゴデットロールの表面速度4510m/分に変更し、得られるモノフィラメントの単糸繊度が8.0dtexとなるように計量ポンプからの吐出量を調整したこと以外は、実施例4と同じ方法で、ポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度8.0dtex、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°、巻量2.0kgであった。
(実施例6)
芯成分のPETを固有粘度(IV)=1.00とし、引取りロールの表面速度を1000m/分、第1ホットロールの表面速度を1010m/分、第2ホットロールの表面速度を3150m/分、第3ホットロールの表面温度200℃、表面速度を4500m/分、ゴデットロールの表面速度4450m/分に変更し、得られるモノフィラメントの単糸繊度が8dtexとなるように計量ポンプからの吐出量を調整したこと以外は、実施例4と同じ方法で、ポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度8.0dtex、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°、巻量2.0kgであった。
(実施例7)
引取りロールの表面速度を500m/分、第1ホットロールの表面速度を505m/分、第2ホットロールの表面速度を1800m/分、第3ホットロールの表面速度を2850m/分、ゴデットロールの表面速度2850m/分に変更し、得られるモノフィラメントの単糸繊度が5dtexとなるように計量ポンプからの吐出量を調整したこと以外は、実施例4と同じ方法で、ポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。得られたポリエステルモノフィラメントパッケージは、単糸繊度5.0dtex、パッケージの端部がテーパー形状であり、そのテーパー角が40°、巻量2.0kgであった。
(実施例1〜7の評価)
実施例1〜7の結果を表1に示す。実施例1〜3の比較および実施例4〜6の比較のいずれにおいても、よりモジュラスの高いものほど印刷精度が高く、繊度が細いものほど細いラインの再現が可能であった。実施例7は最も単糸繊度が細く、モジュラスが高いため、内層収縮応力変動ともにやや大きく、得られたメッシュ織物に軽微なヒケや織段があったが、極めて良好な印刷精度を有していた。
Figure 2013249143
(実施例8〜9,比較例1)
テーパー角を表2のとおり55°、70°および80°に変更したこと以外は、実施例4と同じ方法でポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。
(比較例2)
テーパー角を表2のとおり80°に変更したこと以外は、比較例1と同じ方法でポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。
(比較例3〜4)
トラバース速度を表2のとおり、3.0m/minと4.5m/minに変更したこと以外は、実施例4と同じ方法でポリエステルモノフィラメントパッケージを得た。
(実施例8〜9、比較例1〜4の評価)
実施例8〜9と比較例1〜4の結果を表2に示す。実施例8と9、比較例1と2はテーパー角の増加と共に糸落ちが発生し易くなる傾向にあり、比較例1と2では解舒糸切れが多発した。また、テーパー角を大きくすることにより、巻幅中央部と巻幅端部の巻径差が大きくなり、湿熱収縮応力変動が大きくなった結果、製織時の織段とヒケが顕著となった。比較例3と4はトラバース速度の増加に従い、実質、トラバース折り返し時の振動が大きくなり、ポリエステルモノフィラメントパッケージの巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差、および|Dave−Di|が大きくなり、湿熱収縮応力変動が大きくなった結果、製織時の織段とヒケが顕著となり、満足するポリエステルモノフィラメントパッケージを得ることができなかった。
Figure 2013249143
1:ポリエステルモノフィラメントパッケージ
2:ボビン
3:綾振り支点
4:トラバースガイド
33:糸道ガイド
35:サーボモータ
36:ボールねじ
37:ボールナット
38:案内ガイド
39:ブラケット
40:カップリング
41:誘導モータ
42:スピンドル
θ:テーパー角
L1:パッケージ最内層の巻き幅
L2:綾振り支点とトラバースガイド間の距離
L3:巻き取り中のトラバース位置による糸長差
d:パッケージ最内層の巻径
Y:糸条
A:トラバースガイドの往復方向
B:スピンドルの往復方向

Claims (7)

  1. ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルモノフィラメントが巻き取られたパッケージであり、下記要件(a)〜(c)を全て満たすポリエステルモノフィラメントパッケージ。
    (a)パッケージ端部がテーパー形状であり、テーパー角θが75°以下、
    (b)パッケージ最外層の巻幅中央部の巻径と巻幅端部の巻径の差が1.0mm以下、
    (c)パッケージ内層の巻厚1mm部分のポリエステルモノフィラメントの繊維長手方向の湿熱収縮応力変動が2.0cN/dtex以下。
  2. パッケージ巻幅1mm毎の巻径Dimmと巻径平均値Davemmが、次式を満たす請求項1記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
    |Dave−Di|≦0.5mm
    Dave=ΣDi/i (iは、1、2、3・・・)
  3. 巻き取られたポリエステルモノフィラメントの単糸繊度が3〜40dtexである請求項1または2記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
  4. 巻き取られたポリエステルモノフィラメントの10%伸張時の応力(10%モジュラス)が3.6cN/dtex以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
  5. 巻き取られたポリエステルモノフィラメントが芯鞘型複合糸であり、かつ前記芯鞘型複合糸の芯成分および鞘成分がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
  6. 巻き取られた芯鞘型複合糸の芯成分の固有粘度(IV)が0.70以上、鞘成分の固有粘度(IV)が0.4以上であり、かつ前記鞘成分の固有粘度(IV)が前記芯成分の固有粘度(IV)より0.2以上低く、前記ポリエステルモノフィラメントの10%モジュラスが5.0cN/dtex以上である請求項5記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
  7. 巻き取られたポリエステルモノフィラメントの単糸繊度が3〜15dtexである請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルモノフィラメントパッケージ。
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