JP3336466B2 - 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置 - Google Patents

偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置

Info

Publication number
JP3336466B2
JP3336466B2 JP35416392A JP35416392A JP3336466B2 JP 3336466 B2 JP3336466 B2 JP 3336466B2 JP 35416392 A JP35416392 A JP 35416392A JP 35416392 A JP35416392 A JP 35416392A JP 3336466 B2 JP3336466 B2 JP 3336466B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
empty
needle
sewing machine
sewing
drop position
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35416392A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06178888A (ja
Inventor
俊彦 小島
勝彦 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Original Assignee
Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd filed Critical Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Priority to JP35416392A priority Critical patent/JP3336466B2/ja
Publication of JPH06178888A publication Critical patent/JPH06178888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3336466B2 publication Critical patent/JP3336466B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、針落ち位置の前部に生
地端切断用のメスを備えた偏平縫いミシンにおいて実施
が可能な返し縫い方法、及びこのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シャツの後肩縫い及びブリーフ,ショー
ツの股下合わせ縫いは、一般的に、細幅の筒型ベッドを
備えた偏平縫いミシンを用い、所定形状に裁断された縫
製生地の端縁同士を両側から所定幅に亘って重ね合わせ
て前記ベッドに挿通せしめ、該ベッド上の針落ち位置に
前記重ね部分を送り込むことにより行われる。この縫製
に際しては、縫製生地の重ね幅をミシンの縫い幅に対応
する適正な幅に維持することが重要であり、針落ち位置
の前後に亘ってベッド上に縫製生地を挾圧保持する押え
金として、図1に示す如き特殊な押え金を備えた偏平縫
いミシン(フラットシーマミシン)が、従来から用いら
れている。
【0003】図中Hは、ミシン本体から延設されたヘッ
ド部、同じくBは、縫製のための筒型ベッドであり、該
ヘッド部Hの先端部には、ベッドBの先端側上面に装架
された針板Sに向けて垂下する態様にて針棒10(図2参
照)及び押え棒20が備えられ、針棒10の下端には複数本
の針1,1…を着脱自在に保持する針止め11が、また押
え棒20の下端には押え金2が、夫々固定されている。
【0004】押え金2は、前記針板Sとの間に生地KR,
KLを挾圧保持し、図示しない送り歯の動作により、図中
に白抜矢符にて示す向きの送りを与え、針1,1…の針
落ち位置に送り込む本来の作用に加えて、相互に重ね合
わされて縫製される生地KR,KLの一方又は両方の端縁を
針落ち位置での縫製前に切断し、縫製時における生地K
R,KLの重ね幅を適正に維持する作用をなす。
【0005】図示の如く押え金2は、前縁から針落ち位
置Aの前部に至るまでの間に、生地KR,KLの送り方向に
沿うガイド溝21により幅方向に2分割された小押え部2
2,23を備えており、一方の小押え部22には、ガイド溝2
1側に刃面を臨ませて下メス24が固定され、また他方の
小押え部23には、ガイド溝21側に刃面を臨ませて上メス
25が保持されている。
【0006】上メス25の先端側(刃面側)は、ガイド溝
21内において前記下メス24の上側に重ね合わせてあり、
また、小押え部23の外側に延びる上メス25の基端は、同
側においてヘッド部Hから垂下された作動杆26の下端
に、コイルばね27のばね力により下向きに付勢して取付
けてある。作動杆26は、ミシンの主軸3(図2参照)の
回転を針棒10に伝達する主伝動機構の中途にて分岐され
た伝動機構の動作により駆動され、前記主軸3の回転に
連動して水平面内での長円運動を行うようになしてあ
り、この動作に伴って前記上メス25は、コイルばね27の
ばね力により下メス24の上面との摺接を保ちつつ、両メ
ス24,25の長手方向、即ち、生地KR,KLの送り方向と交
叉する方向に所定ストロークの往復運動を行う。
【0007】以上の如き構成の押え金2を備えた偏平縫
いミシンにおいて、縫製対象となる生地KR,KLは、一方
又は双方(図においては左側の生地KL)の重ね合わせ側
端縁を立てた状態でガイド溝21に挿入され、下メス24及
び上メス25の直前にセットされる。そしてこの状態でミ
シンを駆動すると、針棒10の上下動に伴って前述した送
り動作及び上メス25の動作が生じ、前記生地KR,KLは、
下メス24と上メス25との摺接部において前記端縁を連続
的に切断されて、略一定の重ね幅を有して重ね合わされ
て針落ち位置Aに送り込まれることになり、良好な縫い
姿での縫製が行われる。
【0008】なお小押え部22の上面には、前記切断位置
の後側から斜め後方に向かうガイド溝28が形成してあ
り、下メス24と上メス25とにより切断された生地端は、
このガイド溝28により小押え部22の外側に案内されて排
出されるようになしてある。また、押え金2の上部に
は、小押え部23の前端部内側から略垂直に立ち上がり、
ガイド溝28の終端まで延びる図示しないガイド板が装着
されており、このガイド板もまた切断された生地端の案
内作用を果たし、前記排出が確実に行われるようになっ
ている。
【0009】更に、押え金2の基部両側のブラケット2
9,29には、針落ち位置Aの上方にて上飾り糸ルーパに
所定の糸繰り動作を行わせるためのリンク機構が装着さ
れているが、このリンク機構及び前記ガイド板の図示
は、図面の煩雑化を防止するため省略している。
【0010】図2は、ヘッド部H内に構成された針1,
1…の駆動機構の側面図である。図中に2点鎖線にて示
すヘッド部Hは、略水平な軸心回りに回転駆動される主
軸3を基端側に備えており、またヘッド部Hの先端側に
は、前記針棒10が上下方向への摺動自在に支持されてい
る。針1,1…は、針棒10の下端に固定された針止め11
に保持させてあり、該針棒10に生じる上下動に伴って縫
製のための上下運動を行う。
【0011】主軸3と針棒10との間には、L字形をなし
て屈曲する針棒アーム4が、この屈曲部に嵌着された略
水平な枢支軸5回りでの揺動自在に枢支してある。針棒
アーム4の針棒10側への延設端は、針棒10の中途にこれ
を抱持する態様にて固定された針棒ホルダ12に、夫々に
対する揺動が可能なリンク部材13を介して連結されてい
る。また前記主軸3の中途には、クランク30が構成され
ており、針棒アーム4の主軸3側への延設端は、前記ク
ランク30にその基端を枢支されたクランクアーム31の先
端に、夫々に対する揺動が可能に連結されている。
【0012】而して、主軸3が回転した場合、該主軸3
中途のクランク30に連結された針棒アーム4には、図中
に矢符にて示す如く、枢支軸5回りに所定の角度範囲内
での揺動が生じ、該針棒アーム4の他端に連結された針
棒10には、図中に白抜矢符にて示す如く、上方への引き
上げ力と下方への押し下げ力とが交互に加わり、該針棒
10及びこれに取付けた針1,1…には、主軸3の回転に
応じた周期での連続的な上下動作が生じる。またこのと
き、押え金2一側の前記作動杆26(図1参照)には、針
棒アーム4の揺動に伴って生じる前記枢支軸5の回動が
伝達され、この伝動に応じて作動杆26は、前述した長円
運動を行い上メス25を駆動する。
【0013】図3は以上の如き構成の偏平縫いミシンに
より縫着された生地KR,KLの縫い終わり部分を示す斜視
図である。図示の如く生地KR,KLは、夫々の端縁が所定
幅Wを有して重ね合わされ、この重ね幅Wに対応する幅
内で夫々縦方向に連続する複数の縦糸(針糸)と、これ
らに対して略直交する方向に図示の如く絡み合う横糸
(ルーパ糸及び上飾り糸)とから構成された縫い目Mに
より縫着される。前記各糸は、縫い終わり端Eを過ぎた
後においても生地KR,KLを介在させない状態で絡み合
い、前記縫い目Mに連なる空環M′が連続的に形成さ
れ、図示の如くこの空環M′は、縫い終わり端Eに連な
って送出される。
【0014】生地KR,KLの縫製は、縫い終わり端Eに連
なる空環M′を適長残して切断し、更に、縫い終わり端
Eでの縫い目Mのほつれを防止するため、残された空環
M′は生地KR,KLの裏側に折込み、閂止めミシン又は本
縫いミシンを使用した閂止め作業により、生地KR,KLの
裏面に縫い付けて終了する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】さて、オーバロックミ
シンにおいては、縫い終わり端Eに連なって形成される
前記空環M′を生地の送り込み側に回して切断し、この
切断位置に保持させておき、この状態で次なる生地の縫
製を開始して、縫製初期の縫い目Mの裏側に前記空環
M′を縫い込む、所謂返し縫いが行われており、ほつれ
止めのための閂止め作業を縫い始め側において不要と
し、作業能率の向上が図られている。
【0016】ところが前述した如き偏平縫いミシン(フ
ラットシーマミシン)においては、針落ち位置Aの前側
に生地端切断用のメス(下メス24及び上メス25)が存在
しており、次なる生地KR,KLの縫製は、両メス24,25の
前側、即ち、針落ち位置Aよりも前側に縫い始め端を合
わせた状態で縫いを開始する必要があり、縫い始め端が
針落ち位置Aに到達するまでの間に数回の運針が生じ
る。この結果、生地KR,KLの縫い始め端E′には、前記
図3に示す縫い終わり端Eのそれとは逆に、まず前記運
針により空環M′が形成され、針落ち位置Aへの縫い始
め端E′の到達後に前記空環M′に連なる態様にて正規
の縫い目Mが形成され始める。
【0017】従って、フラットシーマミシンにおいてオ
ーバロックミシンと同様の返し縫いを実施しようとする
場合、縫い始め端E′の前に形成される空環M′が、そ
のままの状態、又は不完全な縫い込みがなされた状態で
残り、この空環M′の始末のための閂止め作業が必要と
なり、作業能率の向上効果が得られないのが実情であっ
た。
【0018】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、針落ち位置の前部に生地端切断用のメスを備え
た偏平縫いミシンにより実施可能な返し縫い方法、及び
このための装置を提供し、縫い始め側でのほつれ止め作
業を不要とし、作業能率の向上を図ることを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る偏平縫いミ
シンの返し縫い方法は、主軸の回転を針棒に伝達する主
伝動機構の中途にて分岐された伝動機構により、針落ち
位置の前部に配したメスを駆動し、該メスの動作により
生地の端縁を連続的に切断しつつミシンベッド上の針落
ち位置に送り込み、該生地の縫製を行う偏平縫いミシン
を用いて実施される返し縫い方法であって、縫い終わり
端に適長の空環を形成して先行生地の縫製を終えた後、
前記空環に連なる空糸を針落ち位置の後側に引き出して
切断し、ミシンベッド上に残る空糸を針落ち位置の前側
に保持させておき、次なる生地の縫い始め端を前記メス
の前側に合わせ、前記主伝動機構による針棒への伝動を
遮断すると共に針を上死点近傍に拘束した状態で前記主
軸を回転駆動する空縫いを実施し、この空縫いを前記縫
い始め端が針落ち位置の近傍に達した時点で解除して、
この後に形成される縫い目中に前記空糸を縫い込むこと
を特徴とする。
【0020】更に加えて、前記空糸の引き出し前に、前
記空縫いを実施することを特徴とする。
【0021】また、これらの方法の実施に用いる本発明
に係る返し縫い装置は、主軸の回転を針棒に伝達する主
伝動機構の中途にて分岐された伝動機構により、針落ち
位置の前部に配したメスを駆動し、該メスの動作により
生地の端縁を連続的に切断しつつミシンベッド上の針落
ち位置に送り込み、該生地の縫製を行う偏平縫いミシン
に適用される返し縫い装置であって、前記主伝動機構に
よる針棒への伝動を遮断すると共に針を上死点近傍に拘
束する針棒停止装置と、該針棒停止装置の作動状態にて
前記主軸を回転駆動する空縫い手段と、先行生地の縫い
終わり端に連なって針落ち位置の後側に引き出される
糸を切断する切断装置と、ミシンベッド上に残る空糸を
針落ち位置の前側に保持する保持装置と、前記メスの前
側に合わせた次なる生地の縫い始め端が前記針落ち位置
の近傍に達するまでの間、前記空縫い手段を動作させ、
所定の運針数の空縫いを行わせる手段とを具備すること
を特徴とする。
【0022】更に加えて前記切断装置が、前記空糸の引
出し経路上に配された固定メスと、これに対向配置され
た可動メスと、該可動メスを駆動し、前記固定メスに衝
突せしめて前記空糸を切断する駆動手段とを備えるこ
と、また前記固定メスの後側に配設してあり、該固定メ
ス上に引き出された前記空糸を所定の経路上に誘導する
案内手段を備えること、またミシンベッド上に残る前記
空糸にエアを吹き付け、前記保持装置による保持が可能
な位置に転回せしめる空糸転回手段を備えること、更に
前記保持装置が、針落ち位置前側のミシンベッド上に開
口を有し、前記空糸を吸引保持する吸引パイプを備える
ことを夫々特徴とする。
【0023】
【作用】本発明においては、先行生地の縫製を終了した
後、縫い終わり端に連なり、針糸及びルーパ糸が相互に
絡み合わない空糸を引き出し、これを針落ち位置の後側
において切断し、この切断によりミシンベッド上に残る
空糸を針落ち位置の前側に回して保持させておく。この
状態で次なる生地をメスの前側にセットし、針を上死点
近傍に拘束して針棒への伝動を遮断して、メスの動作及
び送り動作等、主軸の回転に応じた他の各部の動作を止
めずに、針棒の動作による針の上下動のみを停止させる
空縫いを実施し、生地の側端を切断しつつ縫い始め端を
針落ち位置に送り込み、縫い始め端が針落ち位置の近傍
に到達した時点で針棒の停止を解除し、正規の縫製を開
始して、前述した如く保持させてある空糸を、縫い始め
端から形成し始められる縫い目中に縫い込む。
【0024】また、先行生地の縫製を終えた後、空環を
引き出す前に空縫いを実施して、針板下部のルーパを動
作させ、該ルーパから針糸を抜け出させておき、空糸の
状態での引出しを可能とする。
【0025】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。本発明に係る偏平縫いミシンの返し縫い方
法(以下本発明方法という)は、図1に示す如き押え金
2を備えた偏平縫いミシン、即ち、針落ち位置Aの前部
に下メス24及び上メス25を有し、ヘッド部H内側の主軸
3の回転を伝えて前記上メス25を往復動作させ、重ね合
わせて縫製される生地KR,KLの端縁を針落ち位置Aに至
る前に切断し、常に適正な重ね幅での縫い合わせをなし
得るようにした偏平縫いミシンに適用される方法であ
り、本発明方法の実施においては、生地KR,KLの送り動
作及び前記上メス25の動作を維持したまま、前記主軸3
の回転に応じた針棒10の上下動のみを一時停止させるこ
とを可能とする針棒停止装置が必要である。
【0026】この針棒停止装置は、図4に分解斜視図を
示す如く、主軸3から針棒10への伝動機構の中途に構成
されている。図中3は主軸であり、また10は針棒であ
る。図2に示す従来のそれと同様、前者は、ヘッド部H
の基端側、即ちミシン本体との連設側に支承され、図示
しない駆動源により軸心回りに回転駆動されており、ま
た後者は、ヘッド部Hの先端側に上下方向への摺動自在
に支持されている。また、針棒10の下端には、図2に示
すそれと同様、針止め11を介して複数本の針1,1…が
取付けてあり、これらの針1,1…は、主軸3からの伝
動に伴う針棒10の上下動に応じて上下動作をなし、図1
に示す針落ち位置Aにおいて生地KR,KLの縫製が行われ
る。
【0027】針棒10への伝動機構は、主軸3の回転を縫
製のための上下運動に変換するものであり、主軸3側
に、これの中途に形成されたクランク30と、該クランク
30にその基端を枢支されたクランクアーム31とを、また
針棒10側に、これの中途を抱持する針棒ホルダ12と、該
針棒ホルダ12にその一端を枢支されたリンク部材13と
を、更に主軸3と針棒10との間に、その中間部を枢支軸
5により揺動自在に枢支された針棒アーム4を夫々備
え、クランクアーム31の先端とリンク部材13の他端とを
針棒アーム4により連結してなる。
【0028】針棒アーム4は、主軸3側の第1アーム41
と、針棒10側の第2アーム42とに分離構成されている。
第1アーム41両端には、止めねじの締め付けにより軸体
の抱持が可能な抱持環 41a,41bが、また第2アーム42の
両端には、軸体の挿通が可能な挿通環 42a,42bが夫々備
えられている。第1アーム41の基端は、同側の抱持環41
a に抱持せしめた中空の連結ピン32により、前記クラン
クアーム31の先端に連結されており、また第2アーム42
の先端は、同側の挿通環 42aに挿通されてねじ止め固定
された中空の連結ピン14により前記リンク部材13の他端
に連結されている。第1アーム41先端側の抱持環 41bと
第2アーム42基端側の挿通環 42bとは、両者の中間部に
おいて同軸的に整合され、この整合部に前記枢支軸5が
嵌挿されている。
【0029】枢支軸5は、図示の如き中空軸であり、前
記抱持環 41aにおける止めねじ43,43の締め付けにより
第1アーム41と一体化され、クランクアーム31及び第1
アーム41を介して伝達される主軸3の回転に応じて所定
の角度範囲内にて回動するようになしてある。枢支軸5
はまた、一端に固設された連結ブラケット5a、及びこれ
に連設された図示しない伝動機構を介して、押え金2に
付設された前記上メス25(図1参照)駆動用の作動杆26
に連結されており、該作動杆26への伝動軸としても機能
する。即ち、前記作動杆26には、主軸3の回転に伴う針
棒アーム4の揺動が前記枢支軸5により分岐された伝動
機構を介して伝達されることになり、該作動杆26は、針
棒アーム4の揺動に応じて前述した長円運動を行い、上
メス25を駆動する。
【0030】このように主軸3に連動する枢支軸5の中
空部内には、軸長方向への摺動自在に操作杆6が嵌挿さ
れている。図5に示す如くこの操作杆6は、枢支軸5の
内径と略等しい外径を有する大径部60の一側に緩やかに
縮径するテーパ部62を介して適宜長さの小径部61を連設
してなり、枢支軸5への挿入は、小径部61の先端を内奥
側として行われている。
【0031】一方、第2アーム42基端の挿通環 42bは、
前記枢支軸5に相対回転が可能に嵌挿されている。この
嵌挿により軸長方向に整合する部位には、夫々の周壁を
半径方向に貫通する係止孔44と保持孔50とが形成され、
前記嵌挿は、枢支軸5側の保持孔50に係止球51,51を嵌
め込んで行われている。これらの係止球51,51は、保持
孔50よりもやや小さく、挿通環 42b側の係止孔44よりも
大きい直径を有する球体であり、枢支軸5の中空部に嵌
入する操作杆6の摺動に応じて、後述の如き動作をな
し、この動作により、第2アーム42と枢支軸5との連
結、即ち、主軸3から針棒10への伝動が係断される。
【0032】図5は、係断動作の説明図である。枢支軸
5に対する操作杆6の摺動は、保持孔50の内側にテーパ
部62の中途が整合する図5(a)に示す位置と、保持孔
50の内側に小径部61が整合する図5(b)に示す位置と
の間にて行われる。
【0033】図5(a)中に白抜矢符にて示す如く、操
作杆6に枢支軸5への差し込み力が加えられた場合、保
持孔50に嵌入された係止球51,51は、これらの内側に整
合するテーパ部62の傾斜により外向きに押圧されること
になり、枢支軸5に外嵌された挿通環 42bが所定の回転
位置にあり、該挿通環 42bに形成された係止孔44と保持
孔50とが周方向に一致したとき、前記押圧に応じて半径
方向外向きに移動し、前記係止孔44に係合して、枢支軸
5と挿通環 42b、即ち、枢支軸5と第2アーム42とを連
結する動作をなす。
【0034】図6は係止球51と係止孔44との係合部を拡
大して示す横断面図である。前述した如く、枢支軸5と
挿通環 42bとは相対回転が可能に嵌合しており、枢支軸
5には主軸3の回転が伝達されていることから、前述し
た係合状態にある係止球51には、係止孔44の内側角部と
の当接面に直交する向きの押圧力Fが常に作用し、該係
止球51は前記押圧力Fの半径方向分力により内向きに押
圧されている。
【0035】従って、図5(b)中に白抜矢符にて示す
如く、操作杆6に引抜き力が加えられた場合、保持孔50
の内側に小径部61が整合し、係止球51,51が内向きに移
動し得る状態となることから、これらの係止球51,51
は、係止孔44との当接部に加わる前述した半径方向分力
により内向きに押し込まれ、この結果、係止孔44との係
合が解除されて、枢支軸5と挿通環 42b、即ち、枢支軸
5と第2アーム42との連結が遮断される。
【0036】以上の如く、枢支軸5と挿通環 42bとは、
即ち枢支軸5と第2アーム42とは、該枢支軸5に対する
操作杆6の差し込み又は抜き出し操作に伴って生じる係
止球51,51の移動により係断される。従って、主軸3か
らの伝動による針棒10及び針1,1…の上下動は、操作
杆6が差し込み状態にある場合に生じ、抜き出し状態に
ある場合には生じない。
【0037】図7は、前記操作杆6の抜き差し操作のた
めの操作手段の一例を示す斜視図である。図示の如く操
作杆6の大径部60は、ヘッド部Hの外側に突出させてあ
り、この突出部の上方に位置してヘッド部Hの上面に固
設された基台7には、操作杆6の抜き差し操作用のエア
シリンダ70、及び針棒10の拘束のためのエアシリンダ71
が取付けてある。エアシリンダ70の取付けは、出力ロッ
ド72の進退方向を前記大径部60の軸長方向に一致させて
なされ、出力ロッド72と大径部60とは、両者の先端部間
に架設された連結板73により連結されている。またエア
シリンダ71の取付けは、出力ロッド74の先端をヘッド部
Hの上面に突出する針棒10に臨ませてなされ、出力ロッ
ド74の先端には、ゴム等の弾性材料からなるストッパ75
が固定されている。
【0038】而して、操作杆6の抜き差し操作は、エア
シリンダ70の進退動作により大径部60に抜き差し力を加
えて行われ、またエアシリンダ71を進出動作させた場
合、出力ロッド74先端のストッパ75が針棒10に押し当て
られ、該針棒10の動作が拘束される。即ち、以上の如き
構成の針棒停止装置においては、適宜のタイミングにて
エアシリンダ70及び71を進出動作させることにより、生
地KR,KLの送り動作及び上メス25の動作等、他の部分の
動作を継続せしめたまま、針棒10及び針1,1…の上下
動のみを一時停止させることができる。
【0039】なお図中の20は、ヘッド部Hの下方への突
出端に図1に示す如く押え金2が取付けられた押え棒で
あり、該押え棒20の上端のねじ 20aの長さ調節により、
針板Sへの押え金2の押し付け力、即ち、生地KR,KLの
押え力の調節が可能に構成されている。
【0040】また一方、本発明方法の実施に用いられる
偏平縫いミシンは、空糸切断装置8及び空糸保持装置9
を備えている。図8は、ベッドBの先端近傍の拡大斜視
図、図9は、ベッドB及びこれの上部のヘッド部Hを示
す正面図であり、前記空糸切断装置8及び空糸保持装置
9の構成は、図8及び図9に明らかである。
【0041】まず空糸切断装置8の構成について述べ
る。空糸切断装置8は、図9に示す如く、ベッドBの先
端部に固定された固定メス81と、これの後側上方に対向
配置された可動メス83とを備えてなる。固定メス81は、
ベッドBの先端面に押え部材82により挾持固定された平
板であり、図8に示す如く、針板Sの表面に沿う上面の
後縁に、微小な面取りを施してなる刃部 81aを備えてい
る。またこの固定メス81を挾持する前記押え部材82の上
部には、刃部 81aの幅方向の略中央を底とするV溝 82a
が形成してあり、このV溝 82aは、後述の如く針板S上
に後側(ベッドBの先端側)に向けて引き出される空糸
Nを、図8中に実線により示すように、固定メス81の刃
面 81aの略中央に集める案内手段としての作用をなす。
【0042】一方前記可動メス83は、図9に示す如く、
空糸切断シリンダ87の出力ロッドの先端に固設されて前
記固定メス81の刃面 81aに臨ませてある。空糸切断シリ
ンダ87は、ヘッド部Hの先端側の側面にブラケット85を
介して固定されており、後述する如く、制御部15が発す
る動作指令に応じて、前下方に固定された前記固定メス
81に向けて進出し、その後速やかに退入するエアシリン
ダであり、この動作に応じて前記可動メス83は、図9中
に破線にて示す如く進出して固定メス81の刃面81a に衝
突し、後述の如く刃面 81a上に引き出された空糸Nを切
断する。
【0043】また、ヘッド部Hの前記側面のブラケット
85の固定位置の近傍には、エアパイプ88が固定してあ
る。このエアパイプ88は、エアホース89を介して図示し
ないエア源に接続してあり、該エア源からの給気は、エ
アパイプ88の先端から噴出し、図中に矢符にて示す如
く、押え金2のやや後側の針板S上に吹き付けられるよ
うになっている。
【0044】次に空環保持装置9の構成について述べ
る。空環保持装置9は、図8に示す如く、ベッドBの一
側上縁に沿わせて固設した吸引パイプ90の先端を、針板
Sの一側から該針板Sの下部に延設し、針孔S1 の直前
に開口する吸引口91に接続してなる。吸引パイプ90の基
端は、図示しない吸気源に接続されており、前記空糸切
断装置8の動作により切断された空糸Nは、図8中に2
点鎖線にて示す如く、吸引口91を経て吸引パイプ90中に
吸込まれて保持される。
【0045】さて、以上の如き構成の針棒停止装置を備
えた偏平縫いミシンを用いて実施される本発明方法は、
図10〜図15に示す手順にて実施される。図10は、縫い終
わりの状態を示しており、前述した如く生地KR,KLの縫
製は、生地KR,KLの縫い終わり端Eにおける正規の縫い
目Mに連なる態様にて適長の空環M′を生ぜしめ、ミシ
ンの動作を一旦停止して終了する。このとき、後述の如
く、針棒10が上死点近傍に移動し、エアシリンダ70及び
エアシリンダ71が進出動作して、主軸3から針棒10への
伝動が遮断されると共に、針棒10及び針1,1…が上死
点近傍に拘束される。この状態でミシンを駆動した場
合、針棒10及びこれに取付けた針1,1…の上下動は生
じないが、針板S下での送り歯及びルーパの動作、並び
に押え金2に付設された上メス25の動作等、主軸3の回
転に伴う他の各部の動作は正常に行われる。
【0046】その後、押え金2を上げて生地KR,KLを後
側(ベッドBの先端側)に引出し、前記空環M′に連な
って引き出される空糸Nの中途部を、ベッドBの先端に
固定された固定メス81上に位置させ、この状態で生地K
R,KLを下向きに引くと、前記空糸Nは、前記押え部材8
2に形成されたV溝 82aの底部に誘導され、図11に示す
如く、固定メス81の略中央に集中する。なお、このよう
な空糸Nの引出しに先立って、望ましくは、所定の運針
分だけミシンを駆動する。前述の如くこのとき、主軸3
から針棒10への伝動が遮断され、また針棒10及び針1,
1…が上死点近傍に拘束された状態にあるため、主軸3
の回転に応じて、針1,1…を除く各部の動作が生じる
空縫いが行われ、針板S下でのルーパの動作により、該
ルーパに絡んでいた針糸が抜け落ち、空環M′に連なる
空糸Nの引出しが容易となる。なお前記空縫いの回数
、針1,1…の1〜2回の上下動分、即ち、1〜2回
の運針分で十分である。
【0047】次いで、図12に示す如く、固定メス81上に
引き出された空糸Nを切断する。この切断は、前述した
如く、空糸切断装置8の空糸切断シリンダ87の動作によ
り可動メス83を進出させ、図12中に 83aとして示す如
く、固定メス81の刃面 81aの略中央に衝突せしめて行わ
れる。このとき空糸Nは、前記V溝 82aの作用により固
定メス81の略中央に集中しているから、前記切断は確実
に行われる。
【0048】更にこのとき、空糸切断装置8に付設され
たエアパイプ88からエアを噴出せしめ、図12中に 88aと
して示す位置に吹き付ける。この吹き付けは、前述した
如きエアパイプ88の取り付けにより、針落ち位置Aの
側から側に向けて行われ、前記吹き付け位置 88aに残
存する切断された空糸Nは、針落ち位置Aの前側に転回
せしめられ、図12中に2点鎖線により示す如く位置す
る。
【0049】図13は、その後空糸保持装置9を動作させ
た状態を示しており、この動作により、前述の如く針落
ち位置Aの前側に転回した空糸Nは、空糸保持装置9、
より詳細には、吸引口91を経て吸引パイプ90中に吸込ま
れて保持される。なお、図13においては図示の都合上、
空糸Nの吸い込みが押え金2の更に前側において行われ
ているかの如くであるが、実際の吸引口91は、前記図8
に示す如く、針落ち位置Aとなる前記針孔S1 の直前に
開口させてあり、空糸保持装置9に保持された空糸Nが
針板S上に殆ど現れないようにしてある。このことによ
り、後述する縫い込みを確実化することができる。
【0050】以上の如く空糸Nを切断し、空糸保持装置
9に保持させた後、図14に示す如く、次に縫製する生地
KR,KLをベッドB上にセットする。このセットは、前記
生地KR,KLの縫い始め端E′を下メス24及び上メス25の
前縁に対応する針板S上の所定位置に合わせ、この状態
で押え金2を下降させて、この押え金2と針板Sとの間
に生地KR,KLを挾圧保持せしめて行われる。このとき、
図1に示す如く、前記生地KR,KLの一方又は双方の重ね
合わせ側端縁を立てて押え金2のガイド溝21に挿入して
おく。
【0051】このようにして生地KR,KLのセットを終了
した後ミシンを駆動する。このとき前記エアシリンダ70
及び71は進出状態にあることから、針棒10は、前述の如
く上死点近傍での停止状態を維持し、ベッドB内での送
り歯及びルーパの動作、並びに押え金2に付設された上
メス25の動作等、主軸3の回転に伴う他の各部の動作の
みが生じる空縫いが行われる。従って、前記生地KR,KL
は、上メス25と下メス24とにより側端縁を切断され、所
定幅をだけ重ね合わされて針落ち位置Aに送り込まれる
が、針1,1…の上下動作は行われず、空環は形成され
ない。
【0052】この空縫い状態は、図15に示す如く、生地
KR,KLの縫い始め端E′が針落ち位置Aに達した時点で
解除される。この解除は、エアシリンダ70及びエアシリ
ンダ71を退入動作させることによりなされ、エアシリン
ダ71の退入に伴うストッパ75の離反により針棒10の拘束
が解かれ、またエアシリンダ70の退入により操作杆6が
枢支軸5に差し込まれる結果、図5(a)に示す如く、
係止球51,51と係止孔44との係合が生じ、枢支軸5と第
2アーム42とが連結されて、第2アーム42の先端に連結
された針棒10に主軸3の回転が伝達され、針棒10及びこ
れの下端に針止め11を介して保持させた針棒1,1…の
上下動が生じるようになる。
【0053】以上の如く本発明方法においては、生地K
R,KLの縫い始め端E′が、生地端切断用の下メス24及
び上メス25の配設位置に合わされたセット状態から針落
ち位置Aに達するまでの間、針棒10及び針1,1…の上
下動が生じず、縫い始め端E′の前に図3に示す如き空
環M′が形成される虞はない。従って、先行生地KR,KL
の縫い終わり端Eに連なって引き出され、空糸保持装置
9に保持させた空糸Nの末端に連なる態様にて正規の縫
い目Mが形成され始め、前記空糸Nは、以後の縫いの進
行に伴って縫い目M中に縫い込まれる。
【0054】更に、図8に示す如き構成の空糸保持装置
9を備えた場合、針落ち位置Aの直前に開口する吸引口
91から空糸Nを引き出しつつ縫いが進行するから、前記
空糸Nは、図3に示す如く形成される縫い目Mの幅方向
中央に確実に縫い込まれる。このように本発明方法の実
施により、縫い始め端E′における閂止め作業が不要と
なり、作業能率の向上が図れる。
【0055】針棒10の停止解除のためのエアシリンダ7
0,71の退入動作は、作業者による適宜のスイッチ操作
により行わせてもよいが、ミシンの駆動開始からの運針
数をカウントしておき、所定の運針数(数回)に達した
時点において自動的に行わせるのが望ましい。なおこの
とき、針1,1…の上下動が実際には生じていないこと
から、前記運針数は仮想値であり、例えば、主軸3の回
転数を媒介としてカウントされる。
【0056】図16は、本発明方法の実施を自動的に行わ
せるための制御系のブロック図である。図中15は、マイ
クロプロセッサを用いてなる制御部であり、該制御部15
の入力側には、ミシンの操作ペダルに付設されたペダル
スイッチ 16a,16bと、空糸切断装置8及び空糸保持装置
9の動作を行わせるための空糸切断スイッチ17とが接続
されており、また、前記生地KR,KLの縫い終わり端の通
過を検出する生地端センサ18の出力が与えられている。
【0057】ペダルスイッチ 16a,16bは、作業者による
図示しない操作ペダルの踏圧に応じてオンオフするスイ
ッチであり、前者は、操作ペダルの踏込みによりオン
し、また後者は、操作ペダルの踏み返しによりオンする
ようになしてある。また空糸切断スイッチ17は、例え
ば、作業者の膝による押圧操作により一旦オンし、その
後オフ状態に自動復帰するスイッチである。制御部15
は、ペダルスイッチ 16a,16bからの入力により操作ペダ
ルの操作状態を知ることができ、この操作状態と前記空
糸切断スイッチ17の操作状態とに応じて後述する動作を
なす。
【0058】一方、生地端センサ18は、図8及び図10〜
図15に示す如く、針板S前方のベッドBの上面に配設さ
れた光センサであり、例えば、配設位置の上部が生地K
R,KLにより覆われているときはローレベルの出力を、
覆われていないときにハイレベルの出力を夫々発するよ
うになしてあり、制御部15は、生地端センサ18からの入
力がハイレベルに転換することにより、生地KR,KLの縫
い終わり端がベッドB上の所定位置(生地端センサ18の
配設位置)を通過したことを認識できる。
【0059】また制御部15の出力は、押え金2の昇降用
駆動源である押え上げシリンダ2a、主軸3の駆動源であ
る主モータ3a、針棒停止装置のエアシリンダ70,71、空
糸切断装置8の空糸切断シリンダ87、空糸保持装置9の
吸引パイプ90の中途を開閉する開閉弁92、及び空糸切断
装置8のエアパイプ88への給気経路の中途を開閉する開
閉弁93に夫々与えられている。前記押え上げシリンダ2a
としては、エアシリンダが用いられており、この押え上
げシリンダ2a、並びに、エアシリンダ70,71及び空糸切
断シリンダ87への制御部15の出力は、実際には、これら
を給気源に接続するエア回路の各別のエアバルブを開閉
するための信号として与えられる。
【0060】図17は、制御部15の動作により、先行生地
の縫い終わりから次なる生地の縫い始めまでの間に生じ
る各部の動作内容を示すタイムチャートである。図示の
如く生地の縫製は、操作ペダルを踏み込み操作して行わ
れており、この間前記制御部15は、生地端センサ18から
の入力を監視し、これがハイレベルに転換した後、内蔵
するカウンタC 1 による運針数のカウント値が所定値に
達した時点で主モータ3aに停止指令を発し、同時にエア
シリンダ70,71に進出指令を発する。
【0061】カウンタC 1 によるカウント値との比較に
用いる前記所定値は、生地KR,KLの縫い終わり端Eが生
地端センサ18の配設位置を通過した後、押え金2を更に
通過し、図8に示す如く、縫い終わり端Eの後側に所定
長の空環M′が形成されるまでの運針数を基準として設
定されており、制御部15から主モータ3aへの停止指令に
より主軸3は、針棒10を上死点近傍に移動させた状態で
停止し、これと共にエアシリンダ70,71が進出する結
果、針棒10は上死点近傍にて拘束される。
【0062】一方作業者は、主軸3の停止及び針棒10の
拘束により縫製が終了したことを知り、操作ペダルを一
旦中立位置に戻し、更に踏み返し操作を行う。制御部15
は、この踏み返し操作をペダルスイッチ 16bのオンによ
り認識し、押え上げシリンダ2aに動作指令を発する。こ
れにより押え金2が上昇し、空環M′及び空糸Nの引き
出しが可能となる。また一方、制御部15は主モータ3aに
動作指令を発し、主軸3を所定量回転せしめる。このと
き針棒10は停止状態にあることから、前記主軸3の回転
により数回の運針分の空縫いが行われ、ルーパから針糸
が抜け出し、前記空糸Nの引き出しが容易化される。
【0063】次いで作業者は、空糸切断スイッチ17をオ
ン操作する。制御部15は、対応する入力ポートが一旦ロ
ーレベルに転換した後ハイレベルに復帰することにより
認識し、この認識がなされた時点で空糸切断シリンダ87
に動作指令を発し、前述した如き空糸Nの切断を行わ
せ、また、略同一のタイミングにて開閉弁93に所定時間
の開指令を発し、エアパイプ88からエアを噴出して、針
板S上に残る空糸Nに吹き付け、該空糸Nを針落ち位置
Aの前側に転回させる。
【0064】更にこの後、わずかに遅れたタイミングに
て前記開閉弁92に開指令を発する。これにより、空糸保
持装置9の吸引パイプ90が前記吸気源に連通される結
果、前述の如く転回せしめられた空糸Nは、針板S上に
開口する吸引口91を経て吸引パイプ90中に吸込まれて保
持される。なおこれらの動作中、操作ペダルの踏み返し
により押え金2は上昇位置にあるから、エアパイプ88か
らのエアの吹き付けによる空糸Nの転回、及び押え金2
の下位置に開口する前記吸引口91への空糸Nの吸込みは
支障なく行われる。
【0065】その後、次なる生地KR,KLの縫製開始に際
し、作業者は、生地KR,KLの縫い始め端E′を前述した
如くセットし、操作ペダルを一旦中立位置に戻した後、
連続的に踏み込む操作を行う。制御部15は、新たな生地
KR,KLのセット完了をペダルスイッチ 16bのオフにより
認識し、前記押え上げシリンダ2aへの動作指令を解除す
る。これにより押え金2が下降し、針板Sとの間に前記
生地KR,KLが挾持される。その後の操作ペダルの踏み込
みは、ペダルスイッチ 16aのオンにより認識され、この
認識に応じて制御部15は、主軸3の主モータ3aに動作指
令を発し、主軸3を回転せしめる一方、内蔵するカウン
タC2 による運針数のカウントを始め、カウント値が所
定値に達した時点で主モータ3aに短時間の停止指令を発
し、略同時に針棒停止装置のエアシリンダ70,71に退入
指令を発し、その後主モータ3aに連続的な動作指令を発
し、略同時に前記開閉弁92に閉指令を発する。
【0066】カウンタC2 のカウント値は、前述の如く
セットされた生地KR,KLが針落ち位置Aの近傍に達する
までの所要運針数に設定してあり、制御部15の前述した
動作により、縫い始め端E′が針落ち位置Aの近傍に達
するまでの間は、針棒10が停止された状態のまま主軸3
が回転する空縫いが行われる。そして、針落ち位置Aへ
の到達後には、エアシリンダ70,71の退入により針棒10
の停止が解除され、次いで主軸3が連続的に回転せしめ
られて正規の縫製が開始される。なお生地KR,KLのセッ
トが前述した位置に正確に行われている場合には、前記
空縫いは、縫い始め端E′が針落ち位置Aに達した時点
で略正確に解除されるが、人手により行われる生地KR,
KLのセットにはある程度の誤差が避けられないことか
ら、実際の空縫いは、前述の如く縫い始め端E′が針落
ち位置Aの近傍に達した時点、具体的には、針落ち位置
Aの前後に前記送り歯による1ストロークの送り量程度
の誤差を含んだ位置に達した時点で解除され、正規の縫
製が開始されることになる。更に、この縫製開始と共に
生じる開閉弁92の閉止により、空環保持装置9の吸引パ
イプ90と吸気源との連通が遮断される結果、吸引パイプ
90中に保持された空糸Nは、生地KR,KLの進行に伴って
抵抗なく引き出されて、縫い始め端E′から形成され始
める縫い目Mに確実に縫い込まれる。
【0067】なお、この縫製が所定長進行し、縫い始め
端E′がその配設位置に達した時点で生地端センサ18の
出力がハイレベルに転換する。前記カウンタC 1 は、こ
の転換に応じてカウント動作を開始するようになしてあ
る。
【0068】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明方法及び装置に
おいては、先行生地の縫製を終えた後に、この生地の縫
い終わり端に連なる空糸を引き出して切断し、ミシンベ
ッド上の針落ち位置の前側に保持させておき、次なる生
地をメスの前側にセットし、まず針棒の動作を停止して
空縫いを実施し、縫い始め端が針落ち位置の近傍達した
時点で正規の縫製を行わせるから、縫い始め端の前側に
無為な空環が形成されることがなく、前述した如く保持
させてある空糸を、縫い始め端から逐次形成される縫い
目中に確実に縫い込ませることができる。
【0069】また、空糸の引き出し前にも空縫いを実施
し、針板下部のルーパを動作させ、該ルーパから針糸を
抜け出させておくから、前述した空糸の引出しが容易に
行える。また、空糸の引出し経路上に配された固定メス
と、これに対向配置された可動メスとにより空糸を切断
し、更にこのとき、固定メス上に引き出された空糸が案
内手段により所定の経路上に誘導されるから、空糸の切
断が自動的にしかも確実に行われる。
【0070】また切断後にミシンベッド上に残る空糸を
保持せしめるべく行われる針落ち位置の前側への転回
が、エアの吹き付けにより、更にこの後の空糸の保持
が、針落ち位置の前側に開口を有する吸引パイプへの吸
引により、夫々、自動的にしかも確実に行われる。これ
らのことから、偏平縫いミシンにおける縫い始め端での
返し縫いが確実に行われて、作業能率の大幅な向上が達
成される等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】生地端切断用のメスを有する押え金を備えた偏
平縫いミシンの針落ち位置近傍の斜視図である。
【図2】従来の偏平縫いミシンにおける針の駆動機構の
側面図である。
【図3】偏平縫いミシンによる縫着生地の縫い終わり部
分を示す斜視図である。
【図4】本発明方法の実施に必要な針棒停止装置の一例
を示す斜視図である。
【図5】針棒停止装置の動作説明図である。
【図6】針棒停止装置の動作説明図である。
【図7】針棒停止装置の操作手段の一例を示す斜視図で
ある。
【図8】本発明方法の実施に必要な空糸切断装置の一部
及び空糸保持装置を示す斜視図である。
【図9】本発明方法の実施に必要な空糸切断装置の構成
を示す正面図である。
【図10】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図11】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図12】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図13】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図14】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図15】本発明方法の実施手順の説明図である。
【図16】本発明に係る返し縫い装置の制御系のブロッ
ク図である。
【図17】制御部の動作に伴うミシン各部の動作内容を
示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 針 2 押え金 2a 押え上げシリンダ 3 主軸 3a 主モータ 4 針棒アーム 5 枢支軸 6 操作杆 8 空糸切断装置 9 空糸保持装置 10 針棒 15 制御部 16a ペダルスイッチ 16b ペダルスイッチ 17 空糸切断スイッチ 18 生地端センサ 20 押え棒 24 下メス 25 上メス 26 作動杆 30 クランク 31 クランクアーム 41 第1アーム 42 第2アーム 44 係止孔 50 保持孔 51 係止球 70 エアシリンダ 71 エアシリンダ 73 連結板 75 ストッパ 81 固定メス 82 押え部材 82a V溝 83 可動メス 87 空糸切断シリンダ 88 エアパイプ 90 吸引パイプ 91 吸引口 A 針落ち位置 B ベッド H ヘッド部 KL 生地 KR 生地 M 縫い目 M′ 空環 N 空糸 S 針板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−171597(JP,A) 特開 平1−299590(JP,A) 特開 昭56−104694(JP,A) 実開 昭63−88281(JP,U) 実開 昭49−44466(JP,U) 特表 平5−505547(JP,A) 西独国特許出願公開2552940(DE, A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05B 1/00 - 97/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸の回転を針棒に伝達する主伝動機構
    の中途にて分岐された伝動機構により、針落ち位置の前
    部に配したメスを駆動し、該メスの動作により生地の端
    縁を連続的に切断しつつミシンベッド上の針落ち位置に
    送り込み、該生地の縫製を行う偏平縫いミシンを用いて
    実施される返し縫い方法であって、縫い終わり端に適長
    の空環を形成して先行生地の縫製を終えた後、前記空環
    に連なる空糸を針落ち位置の後側に引き出して切断し、
    ミシンベッド上に残る空糸を針落ち位置の前側に保持さ
    せておき、次なる生地の縫い始め端を前記メスの前側に
    合わせ、前記主伝動機構による針棒への伝動を遮断する
    と共に針を上死点近傍に拘束した状態で前記主軸を回転
    駆動する空縫いを実施し、この空縫いを前記縫い始め端
    が針落ち位置の近傍に達した時点で解除して、この後に
    形成される縫い目中に前記空糸を縫い込むことを特徴と
    する偏平縫いミシンの返し縫い方法。
  2. 【請求項2】 前記空糸の引き出し前に、前記空縫いを
    実施する請求項1記載の偏平縫いミシンの返し縫い方
    法。
  3. 【請求項3】 主軸の回転を針棒に伝達する主伝動機構
    の中途にて分岐された伝動機構により、針落ち位置の前
    部に配したメスを駆動し、該メスの動作により生地の端
    縁を連続的に切断しつつミシンベッド上の針落ち位置に
    送り込み、該生地の縫製を行う偏平縫いミシンに適用さ
    れる返し縫い装置であって、前記主伝動機構による針棒
    への伝動を遮断すると共に針を上死点近傍に拘束する針
    棒停止装置と、該針棒停止装置の作動状態にて前記主軸
    を回転駆動する空縫い手段と、先行生地の縫い終わり端
    に連なって針落ち位置の後側に引き出される空糸を切断
    する切断装置と、ミシンベッド上に残る空糸を針落ち位
    置の前側に保持する保持装置と、前記メスの前側に合わ
    せた次なる生地の縫い始め端が前記針落ち位置の近傍に
    達するまでの間、前記空縫い手段を動作させ、所定の運
    針数の空縫いを行わせる手段とを具備することを特徴と
    する偏平縫いミシンの返し縫い装置。
  4. 【請求項4】 前記切断装置は、前記空糸の引出し経路
    上に配された固定メスと、これに対向配置された可動メ
    スと、該可動メスを駆動し、前記固定メスに衝突せしめ
    て前記空糸を切断する駆動手段とを備える請求項3記載
    の偏平縫いミシンの返し縫い装置。
  5. 【請求項5】 前記固定メスの後側に配設してあり、該
    固定メス上に引き出された前記空糸を所定の経路上に誘
    導する案内手段を備える請求項4記載の偏平縫いミシン
    の返し縫い装置。
  6. 【請求項6】 ミシンベッド上に残る前記空糸にエアを
    吹き付け、前記保持装置による保持が可能な位置に転回
    せしめる空糸転回手段を備える請求項3ないし請求項5
    記載の偏平縫いミシンの返し縫い装置。
  7. 【請求項7】 前記保持装置は、針落ち位置前側のミシ
    ンベッド上に開口を有し、前記空糸を吸引保持する吸引
    パイプを備える請求項3ないし請求項6記載の偏平縫い
    ミシンの返し縫い装置。
JP35416392A 1992-12-14 1992-12-14 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置 Expired - Fee Related JP3336466B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35416392A JP3336466B2 (ja) 1992-12-14 1992-12-14 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35416392A JP3336466B2 (ja) 1992-12-14 1992-12-14 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06178888A JPH06178888A (ja) 1994-06-28
JP3336466B2 true JP3336466B2 (ja) 2002-10-21

Family

ID=18435713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35416392A Expired - Fee Related JP3336466B2 (ja) 1992-12-14 1992-12-14 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3336466B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI489020B (zh) * 2012-12-27 2015-06-21 Shing Ray Sewing Machine Co Ltd Sewing machines with double-sided webbing at the same time

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6327425B2 (ja) * 2016-03-16 2018-05-23 ヤマトミシン製造株式会社 生地の縫製方法及び二重環縫いミシン
CN109468758B (zh) * 2018-11-08 2024-04-02 苏州澳拓美盛自动化设备有限公司 防弹衣自动缝工作站

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI489020B (zh) * 2012-12-27 2015-06-21 Shing Ray Sewing Machine Co Ltd Sewing machines with double-sided webbing at the same time

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06178888A (ja) 1994-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20080045071A (ko) 재봉기
US8015934B2 (en) Thread cutting device of sewing machine
JP6560913B2 (ja) ミシン
JP3318482B2 (ja) 縫い目ほつれ防止方法及び装置
JP3372613B2 (ja) 環縫いミシンの空環縫込み装置
JP2640307B2 (ja) 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置
JP3336466B2 (ja) 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置
JP2628387B2 (ja) テープ付け空環縫込み装置
CN112703283A (zh) 能够缝制线材的缝纫机及线切割装置
JPH1157268A (ja) 縫い目ほつれ防止方法及び装置
WO2015033996A1 (ja) ミシン
JP3527835B2 (ja) 二重環縫いミシンの縫目ほつれ防止方法及びその装置
JP3790894B2 (ja) 空環縫い込み方法及び装置
JPS6029183A (ja) 縁かがり縫いミシンに用いる空環縫い込み装置
JP4722274B2 (ja) ミシンの糸切り装置
JP3354186B2 (ja) 縁かがり縫いミシンの空環返し縫い装置
JP3567274B2 (ja) 縁かがり縫いミシンの空環縫い込み装置
JPH06503008A (ja) 本縫いミシンにおいて縫製開始時に上糸端の長さを短縮させる方法及び装置
US1878480A (en) Thread-cutting mechanism for sewing machines
JP4862322B2 (ja) 鳩目穴かがり縫いミシンの芯糸供給装置
JPH07148374A (ja) 単環縫ミシン用ルーパー並びにこれを有するミシン
JPH03198895A (ja) ミシンの糸切り装置
JP3671664B2 (ja) サイクルミシンの上糸張力調整装置
JP6327425B2 (ja) 生地の縫製方法及び二重環縫いミシン
JPH01250297A (ja) 縁かがり縫いミシンにおける空環縫い込み装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080809

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090809

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090809

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100809

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100809

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110809

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees