JP3329483B2 - 食用硬化油 - Google Patents
食用硬化油Info
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Description
は、製菓用に適する食用硬化油に関する。
乳脂は、風味の面から油脂加工技術の応用がほとんどさ
れていなかった。しかし、近年、コレステロールの除
去、あるいはソフトタイプのバターやマーガリンの製造
のため、乳脂を分別、ウインタリングしてソフト化ある
いはハード化したり、新しい技術である超臨界抽出の技
術開発が進められている。また、乳脂を水添(硬化)し
て、保型性を高めたり、チョコレートの抗ブルーム添加
剤(アンチブルーム剤)としての応用検討が既になされ
ている。
く、水添されるとさらに飽和酸が増加し、硬化油の融点
のわりには、口溶けが悪くかつ食感がザラつく欠点があ
る。一般に、乳脂のように沃素価が低い(即ち構成脂肪
酸の不飽和度が低い)油脂を水添する場合、通常の水添
で得られる油脂とトランス異性化水添のような特殊な水
添で得られる油脂との物性の差は小さいか、又はほとん
ど無いと考えられていた。そこで、従来知られている異
性化水添もほとんどが沃素価40以上の油脂に適用され
ており(特公昭57−24839号公報参照)、乳脂の
ように沃素価の低い油脂に適用する試みはなされておら
ず、わずかにラウリン脂肪(パーム核脂肪)という特殊
な油脂に適用されているだけである(特開昭64−60
326号公報参照)。
かつ酸化安定性、保型性及び耐ブルーム性に優れた食用
硬化油を提供することにある。
用が増える傾向のある乳脂を硬化して高度に利用する方
法を鋭意検討した結果、乳脂を、異性化水添することに
より上記目的が達成されることを知見した。本発明は、
上記知見に基づいてなされたもので、沃素価が28〜4
0の乳脂を異性化水添した乳脂であって、異性化水添に
より実質的に生成したトランス酸についての〔トランス
/(シス+トランス)〕値の、トランス平衡値に対する
割合が、65〜98%であり、且つ融点が32〜38℃
である食用硬化油を提供するものである。
説明する。本発明の食用硬化油は、異性化水添によりト
ランス酸を多量に含む硬化乳脂である。
沃素価が28〜40の乳脂を使用する。
性化水添の反応触媒としては、一般に使用されているニ
ッケル触媒、イオウ被毒触媒等広範囲のものが使用で
き、例えば、ニッケル触媒、銅・ニッケル触媒、銅・ク
ロム・マンガン触媒等公知の水添触媒が挙げられる。上
記水添触媒の使用量は、原料油脂に対して、好ましくは
0.05〜3.0wt%、更に好ましくは0.1〜2.
0wt%である。一方、被毒物質として、含硫アミノ
酸、例えば、メチオニンを用いることが好ましい。上記
被毒物質の使用量は、原料油脂に対して、好ましくは4
0〜500ppm、更に好ましくは50〜250ppm
である。尚、上記反応触媒としては、上記ニッケル触媒
に上記含硫アミノ酸(被毒物質)を少量添加したもの
が、効率的であり、好ましい。
料油脂の異性化水添は、上記反応触媒の存在下に、通
常、好ましくは180〜240℃程度の温度で、水素を
常圧下または加圧下に、原料油脂と接触せしめて実施す
ることができる。
により実質的に生成したトランス酸は、異性化水添乳脂
中のトランス酸から原料油脂(乳脂)中のトランス酸を
除いたものである。ここで、T=トランス/(シス+ト
ランス)は、全二重結合中に含まれるトランス二重結合
の割合を表すものとして、トランス酸量100%である
トリエライジンの沃素価(86.0)から、次の〔数
1〕によって計算することができる〔鈴木ら、油化学、
31、10、(1982)等参照〕。
イジンの沃素価/乳脂の沃素価)=乳脂中のトランス酸
量(%)×(86.0/乳脂の沃素価)
ンス酸量を測定すれば、その乳脂のT値を求めることが
でき、この沃素価及びトランス酸量は、例えば、GLC
法〔鈴木ら、油化学,30,29,(1981)等参
照〕等により測定することができる。
Tmax )は、経験的に約70%であることから、異性化
水添乳脂のT値のTmax に対する割合(r)は、次の
〔数2〕で表せる〔鈴木ら、油化学,30,29,(1
981)等参照〕。
ノ酸(被毒物質)の添加量を調節することにより、水素
添加された乳脂のトランス体含量をコントロールするこ
とができるが、異性化水添により実質的に生成するトラ
ンス酸量についての〔トランス/(シス+トランス)〕
値が、上記トランス平衡値に対して65〜98%、好ま
しくは75〜95%となるように異性化水添が行われ
る。
性化水添操作の調節により、融点をある程度任意に調整
することができるが、該融点は、32〜38℃、好まし
くは33〜36℃に調整される。本発明の食用硬化油
は、異性化水添後、通常の操作により脱臭油等としても
よく、例えば、製菓用等の用途に用いられる。
を添加して用いても良く、これらの油脂としては、例え
ば、乳脂、分別乳脂等が挙げられる。上記油脂は、該油
脂の種類及び用途等により異なるが、通常、該油脂と本
発明の食用硬化油との比が、(前者)/(後者)=95
〜0/5〜100(重量基準)となるように添加するこ
とが好ましい。
明の食用硬化油を具体的に説明する。
テンレス製オートクレーブにとり、水添触媒(日産ガー
ドラー(株)製G−95E)を油脂(精製乳脂)に対し
0.15wt%添加し、同時にメチオニンを130pp
m添加し、水素を2Kg/cm2 Gの圧力で0.05リ
ットル/minで流して反応させた。この際の反応温度
は210℃、攪拌は500rpmであった。反応時間3
00分で沃素価が29.1の異性化水添乳脂(A)が得
られた。触媒をろ過した後、白土を0.5%添加し、1
10℃で30分間脱色し、ろ過して得られた脱色油を2
50℃で1時間水蒸気蒸留を行い脱臭油を得た。なお、
得られた脱臭油には酸化防止のためトコフェロールを1
00ppm添加した。融点は、32.7℃、トランス体
の割合は、27.4%、また、実質的に生成したトラン
ス酸についてのT値の割合rは、平衡値(Tmax )に対
して89%であった。更に、水添触媒の添加量を0.2
wt%、メチオニンの添加量を200ppmに変えた他
は、上記(A)の製造と同様にして水添反応を行い、反
応時間300分で、沃素価28.3、融点35.0℃の
異性化水添乳脂(B)を得た。得られた異性化水添乳脂
(B)についても、上記(A)と同様にして脱臭油を得
た。
ートクレーブにとり、水添触媒(日産ガードラー(株)
製、G−95E)を油脂に対して0.1wt%添加し、
0.14リットル/min,2Kg/cm2 Gの条件で
水素を供給した。反応温度は180℃、攪拌は500p
pmで実施した。反応時間22分で、沃素価が27.5
の通常水添乳脂(C)が得られた。トランス体の割合は
10.5%であった。さらに反応時間35分で沃素価が
26.1の通常水添乳脂(D)が得られた。トランス体
の割合は、11.7%であった。(C)、(D)共に、
触媒ろ過後の脱色、脱臭は実施例−1に準じた。また、
酸化防止のためトコフェロールを100ppm添加し
た。下記〔表1〕に、精製乳脂および実施例−1で得ら
れた異性化水添乳脂(A,B)及び比較例−1で得られ
た通常水添乳脂(C,D)の物性を示した。通常水添乳
脂はSFCの値は特に35℃以上で高く、口溶けの点で
問題があった。これに対し、異性化水添乳脂は35℃以
上でのSFCは小さく、口溶けが優れていた。
び通常水添乳脂(A)(B)(C)(D)をそれぞれ下
記〔表2〕に示した配合でチョコレートを試作し、20
℃/30℃それぞれ3.2時間のサイクルによりブルー
ム耐性試験を行った。下記〔表3〕及び〔表4〕に、ブ
ルーム耐性試験の結果を示した。この結果から、乳脂を
添加したチョコレートは、試験期間中でもブルームの発
生が認められ、また、通常水添乳脂を添加したチョコレ
ートも僅かにブルームの発生が認められた。これに対し
て、異性化水添乳脂(本発明の食用硬化油)を添加した
チョコレートは、ブルームの発生が認められず、耐ブル
ーム効果が認められた。
かつ酸化安定性、保型性、耐ブルーム性に優れた油脂で
あるため、現在まで使用が制限されていた製菓用油脂に
配合することにより物性的に優れた組成物等の用途に利
用することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 沃素価が28〜40の乳脂を異性化水添
した乳脂であって、異性化水添により実質的に生成した
トランス酸についての〔トランス/(シス+トラン
ス)〕値の、トランス平衡値に対する割合が、65〜9
8%であり、且つ融点が32〜38℃である食用硬化
油。 - 【請求項2】 請求項1記載の食用硬化油5〜100重
量%、その他の油脂95〜0重量%からなる製菓用脂
肪。 - 【請求項3】 その他の油脂が乳脂及び/又は分別乳脂
である請求項2記載の製菓用脂肪。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08858592A JP3329483B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 食用硬化油 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08858592A JP3329483B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 食用硬化油 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05287296A JPH05287296A (ja) | 1993-11-02 |
JP3329483B2 true JP3329483B2 (ja) | 2002-09-30 |
Family
ID=13946923
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08858592A Expired - Lifetime JP3329483B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 食用硬化油 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3329483B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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---|---|---|---|---|
JP5506146B2 (ja) * | 2007-10-11 | 2014-05-28 | 日清オイリオグループ株式会社 | 低トランス脂肪酸油脂組成物 |
TW201350022A (zh) * | 2012-04-24 | 2013-12-16 | Meiji Co Ltd | 抑制油脂轉移之烘焙複合甜點 |
WO2013161807A1 (ja) * | 2012-04-25 | 2013-10-31 | 株式会社明治 | 焼成複合菓子およびその製造方法 |
JP6622576B2 (ja) * | 2015-08-28 | 2019-12-18 | ミヨシ油脂株式会社 | 油脂組成物とその製造方法および乳化油脂組成物 |
-
1992
- 1992-04-09 JP JP08858592A patent/JP3329483B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
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