JP3329154B2 - フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

フィルムおよびその製造方法

Info

Publication number
JP3329154B2
JP3329154B2 JP23674395A JP23674395A JP3329154B2 JP 3329154 B2 JP3329154 B2 JP 3329154B2 JP 23674395 A JP23674395 A JP 23674395A JP 23674395 A JP23674395 A JP 23674395A JP 3329154 B2 JP3329154 B2 JP 3329154B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
aqueous solvent
plane
modulus
young
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP23674395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0977885A (ja
Inventor
賢一 大久保
佃  明光
伸明 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17005137&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3329154(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP23674395A priority Critical patent/JP3329154B2/ja
Publication of JPH0977885A publication Critical patent/JPH0977885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3329154B2 publication Critical patent/JP3329154B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は無欠点性の優れたフ
ィルム、特に磁気記録媒体用、さらにはコンピュ−タの
メモリ−用途であるデジタルデ−タストレ−ジ用に好適
に用いられるフィルムおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオテ−プ、デ−タメモリ−用
テ−プなどの磁気記録媒体では高密度記録化が要求さ
れ、特公平3−26453号公報などの方法が提案され
ている。またそのベ−スフィルムについては平坦性、無
欠点性などが特に要求され、例えば特開昭58−155
940号公報などが提案されている。また特に近年、テ
−プは長時間化の傾向にあり、そのベ−スフィルムの薄
膜化および高弾性化が望まれており、例えば特公平2−
51463号公報などに芳香族ポリアミドを用いた磁気
記録媒体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
手段を用いる場合に以下の問題がある。第1に、デジタ
ルデ−タストレ−ジ用途など高密度磁気記録媒体は、ヘ
ッドタッチ性向上が求められるため、その基材フィルム
は高弾性化が求められるが、従来のオ−ディオ用あるい
は一般ビデオ用テ−プ用途の基材フィルムではその要求
に答えられない。第2に、高密度磁気記録媒体では出力
変動を極力押さえる必要があるが、その基材フィルムの
「平面性」が不良であれば、例えば磁性層を施した際に
磁性層の厚みムラを引き起こし、テ−プ化してリ−ル状
に巻いた際のリ−ル変形を引き起こしたり、出力変動を
引き起こす原因となる懸念があり、その改善が必要とな
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる問題点を解決する
ために、本発明は以下の構成からなる。
【0005】すなわち、本発明は、有機高分子体からな
るフィルムにおいて、該フィルムを平面に広げた際の該
平面に対する非接触部分の面積の割合A(%)が30未
満であることを特徴とするフィルムとするものである。
【0006】また、本発明は、有機高分子体からなるフ
ィルムにおいて、該フィルムを平面に広げた際の該平面
に対する非接触部分の面積の割合をA(%)、該フィル
ムの厚みをt(mm)、長手方向のヤング率をEMD(M
Pa)、および幅方向のヤング率をETD(MPa)とし
たとき、これらが下記式(1) を満足することを特徴とす
るフィルムとするものである。
【0007】 0≦A/(t3 ×EMD×ETD)≦2.0 (1)
【0008】さらに本発明は、水系溶剤を充填した水槽
にフィルムを通過せしめる工程を有する溶液製膜方法に
よるフィルムの製造方法において、該水槽のうち少なく
とも一つに水系溶剤の撹拌設備を具備してなることを特
徴とするフィルムの製造方法とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の有機高分子体からなるフ
ィルムには、従来公知の有機高分子体が使用されるが、
主としてポリエチレンテレフタレ−トやポリエチレン−
2,6−ナフタレ−トなどのポリエステル、あるいは芳
香族ポリアミド、または芳香族ポリイミドフィルムが好
ましく、さらに好ましくは、主として芳香族ポリアミド
または芳香族ポリイミドである。ここで「主として」と
は、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドを50モ
ル%以上含むことを指す。
【0010】ここで、芳香族ポリアミドとは、次の一般
式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返
し単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上含
むものからなる。
【0011】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここでAr1、Ar2、Ar3は、例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは−O−、−CH2 −、−CO
−、−SO2 −、−S−、−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素な
どのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、アルキル基、
アルコキシル基などの置換基で置換されているものも含
み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の
置換基によって置換されているものも含む。なお、Ar
1、Ar2、Ar3は同じかまたは異なってもよい。ま
たこれらは2種以上の共重合体であっても良いし、混合
体であっても良い。さらに上記以外の芳香族または脂肪
族の共重合成分を50モル%未満の割合で共重合されて
いても良い。ここで共重合可能な成分としてはシクロヘ
キシレンなどの脂環族化合物、ヘキシレンなどの脂肪族
化合物を挙げることができる。また上記の芳香環がパラ
位で結合されたものが、全芳香環の50モル%以上、好
ましくは75モル%以上をを占める重合体が、フィルム
のヤング率が高く耐熱性も良好となるため好ましい。ま
た芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に塩素)
で置換された芳香環が全体の30モル%以上であると耐
湿性が向上し、吸湿による寸法変化、剛性低下などの特
性が改善されるために好ましい。なお、芳香族ポリイミ
ドとは、重合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環
を1つ以上含むものであり、一般式(III )および/ま
たは一般式(IV)で表される繰り返し単位を50モル%
以上、好ましくは70モル%以上含むものである。
【0012】一般式(III )
【化4】 一般式(IV)
【化5】 ここでAr4、Ar6は少なくとも1個の芳香環を含
み、イミド環を形成する2つのカルボニル基は芳香環上
の隣接する炭素原子に結合している。このAr4は、芳
香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に由来する。
代表例としては次のようなものが挙げられる。
【0013】
【化6】 ここでZは−O−、−CH2 −、−CO−、−SO
2 −、−S−、−C(CH3 2 −等から選ばれるが、
これに限定されるものではない。またAr6は無水カル
ボン酸あるいはこのハライドに由来する。Ar5、Ar
7は例えば
【化7】 などが挙げられ、X、Yは−O−、−CH2 −、−CO
−、−SO2 −、−S−、−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素な
どのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、アルキル基、
アルコキシル基などの置換基で置換されているものも含
み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の
置換基によって置換されているものも含む。また本発明
の芳香族ポリイミドには他の繰り返し単位が共重合、あ
るいは単に混合されていても良い。
【0014】なお本発明のフィルムの製造方法は、溶液
製膜方法であって、湿式法、乾湿式法あるいは半乾半湿
式法であることが好ましい。すなわち、製膜途中のフィ
ルムを水系溶剤を充填した水槽に通過せしめる工程、い
わゆる湿式工程を経ることによって、フィルム中の溶媒
や無機塩などの抽出が可能となるからである。ここで水
系溶剤とは、水が50重量%以上である液体を指す。
【0015】また本発明の有機高分子体には、フィルム
の物性を損なわない程度に滑剤、酸化防止剤、帯電防止
剤その他の添加剤等が添加されていても良い。
【0016】本発明の有機高分子体からなるフィルムの
少なくとも一方向のヤング率が8800MPa以上であ
ることが好ましい。すなわち磁気テ−プの出力は、テ−
プと磁気ヘッドのヘッドタッチ性の向上に伴って上がる
が、そのために基材フィルムの高ヤング率が求められ
る。記録方法が固定ヘッド方式の場合は長手方向の、ヘ
リカルスキャン方式の場合は幅方向の高ヤング率が特に
必要であり、基材フィルムのいずれの方向のヤング率も
8800MPa未満であれば、いずれの記録方式を採用
しても高出力は得られないので好ましくない。なお基材
フィルムの少なくとも一方向のヤング率は、好ましくは
9900MPa以上、特に好ましくは11000MPa
以上である。なお、すべての方向のヤング率が8800
MPa以上であることが好ましいのは言うまでもない。
なお、本発明のヤング率を達成するため、有機高分子体
からなるフィルムに非磁性あるいは磁性金属の層を設け
ても良い。
【0017】本発明の有機高分子体からなるフィルムの
一方の面は、電磁変換特性の向上のため平滑な面である
ことが好ましく、中心線平均粗さRaが0.010μm
未満、より好ましくは0.008μm未満、さらに好ま
しくは0.006μm未満であることが好ましい。な
お、他方の面は電磁変換特性の向上と走行性向上の両方
を満たすため、中心線平均粗さRaで0.005〜0.
030μmの範囲が好ましく、より好ましくはは0.0
05〜0.020μmの範囲である。この表面粗さを達
成するために、本発明のフィルムに粒子を含有せしめて
も良い。すなわち粒子径が10〜500nm、さらに好
ましくは50〜400nmの範囲であり、材料として
は、有機高分子からなる粒子、あるいは無機粒子、ある
いは表面に有機高分子の被膜を施した無機粒子あるいは
有機粒子が挙げられる。該粒子の形状については球状粒
子であることが好ましい。またフィルム表面に形成する
突起の高さをそれぞれ均一にするために、該粒子の粒度
分布が相対標準偏差で0.5以下であることが特に好ま
しい。該粒子の含有量は0.001〜3重量%、好まし
くは0.01〜1重量%である。該粒子を含有せしめる
方法としては、重合前、重合中、重合後のいずれに添加
しても良い。なお、本発明の有機高分子体からなるフィ
ルムは、少なくとも2層以上からなる積層フィルムであ
ることが好ましい。なお、本発明の有機高分子体からな
るフィルムの少なくとも一つの面に水溶性高分子や、コ
ロイダルシリカ等の微細粒子、あるいはその両方とから
なる水性塗液を塗布せしめてなる塗膜を形成しても良
い。
【0018】本発明における有機高分子体からなるフィ
ルムは、該フィルムを平面に広げた際の該平面に対する
非接触部分の面積の割合A(%)が30未満である必要
がある。すなわち、平面に対する非接触部分の面積の割
合A(%)が30以上であれば、例えば磁気記録媒体に
する際に磁性層の塗布厚みムラとなり出力低下を引き起
こしたり、リ−ル状にスリットした際のリ−ル変形を引
き起こすので好ましくない。なお好ましくは、平面に広
げた際の該平面に対する非接触部分の面積の割合A
(%)が10未満であることである。
【0019】また本発明における有機高分子体からなる
フィルムは、該フィルムを平面に広げた際の該平面に対
する非接触部分の面積の割合をA(%)、該フィルムの
厚みをt(mm)、長手方向のヤング率をEMD(MP
a)、および幅方向のヤング率をETD(MPa)とした
とき、これらが下記式(1) を満足する必要がある。
【0020】 0≦A/(t3 ×EMD×ETD)≦2.0 (1) すなわち、平面性不良やヤング率が低いことによりA/
(t3 ×EMD×ETD)>2.0となれば、磁気記録媒体
にする際に磁性層の塗布厚みムラとなり出力低下やリ−
ル変形となったり、あるいは磁気記録再生での出力不足
となり本発明の目的を達成できないためである。また高
密度磁気記録媒体では記録密度アップのため基材フィル
ムは薄物化の傾向にあるが、薄物であるほど平面性の影
響がテ−プに反映され易いため、フィルム厚みは上記式
(1) の関係を満足せねばならない。なお好ましくは、該
フィルムを平面に広げた際の該平面に対する非接触部分
の面積の割合A(%)、該フィルムの厚みt(mm)、
長手方向のヤング率EMD(MPa)、および幅方向のヤ
ング率ETD(MPa)が下記式(2) を満足することであ
る。
【0021】 0≦A/(t3 ×EMD×ETD)≦1.5 (2) なおフィルムの平面性を向上するため、本発明の水系溶
剤を充填した水槽にフィルムを通過せしめる工程を有す
るフィルムの製造方法において、該水槽のうち少なくと
も一つに水系溶剤の撹拌設備を具備してなる必要があ
る。すなわち、撹拌設備を具備していなければ、水系溶
剤中の溶媒や無機塩の濃度差が生じ、該水系溶剤による
抽出ムラが起こり、結果としてフィルムの平面性の悪化
を引き起こすためである。なお水系溶剤の撹拌設備とし
ては、例えば回転翼や櫓等の狭義の撹拌設備、水槽自体
が動いて水系溶剤を動かす振動設備、ポンプ等の循環設
備、水系溶剤の供給装置および排出装置による水系溶剤
の更新設備、あるいはこれらの2種類以上の組み合わせ
からなる設備が好ましく、特にポンプ等による循環設備
が実際的で好ましい。なお、循環設備による水系溶剤の
循環回数が1時間当たりに1回以上であることが好まし
い。すなわち、水系溶剤の循環回数が1時間当たりに1
回未満であれば、水系溶剤中の溶媒や無機塩の濃度差の
緩和が不十分となるためである。なお好ましくは、循環
設備による水系溶剤の循環回数が1時間当たりに3回以
上、より好ましくは5回以上、さらに好ましくは10回
以上である。なお、ここで「循環回数」とは、水系溶剤
の1時間当たりの移動量を水槽の容積で割った値であ
る。
【0022】本発明のフィルムの製造法において、フィ
ルムが通過する水槽が少なくとも2槽以上あることが好
ましい。すなわち、2槽以上あれば、第1の水槽でフィ
ルム中の大部分の溶媒やその他の化合物の抽出し、第2
以降の水槽での水系溶媒中の抽出能力の低下を防ぐこと
が可能となり、より十分な抽出が可能となるためであ
る。なお全ての水槽について、上記の水系溶剤の撹拌設
備を具備することが好ましいことは言うまでもない。
【0023】なお、本発明のフィルムの製造方法におい
て、水槽の少なくとも1つが、フィルム出口部にフィル
ム表面に付着の水系溶剤の除去設備を具備してなること
が好ましい。すなわち、フィルム出口部にフィルム表面
に付着の水系溶剤の除去設備がなければ、フィルム表面
が運搬してくる溶媒や無機塩などのより高濃度な水系溶
剤が次の水槽、特に次の水槽の入口付近に入り、溶媒や
無機塩の濃度が局所的に上がり、結果的に抽出能力ムラ
となりフィルムの平面性が悪化するためである。なお、
該水系溶剤の除去設備は、ニップロ−ル、エアナイフ、
メタリングバ−、拭取り装置および吸引装置から選ばれ
た少なくとも1種類以上の設備であることが好ましい。
すなわち、上記の設備であれば、除去した該水系溶剤を
設備系外に排除可能であり、水除去の能力が長時間維持
出来るためである。なお全ての水槽について、上記の水
系溶剤の除去設備を具備することが好ましいことは言う
までもない。
【0024】本発明のフィルムの製造方法において、水
系溶剤の蒸発残留物量が200mg/リットル未満のク
リ−ンな水であることが好ましい。なお、水系溶剤の蒸
発残留物量の測定方法については、日本工業規格「工業
用水試験法」JIS K0101に記載の方法にて測定
する。
【0025】なお、本発明のフィルムはポリマ−の溶液
状態にて、濾過精度4μm未満のフィルタ−を通過せし
めて、ポリマ−中の粗大異物を除去せしめても良い。
【0026】また、キャスティングおよび延伸装置の雰
囲気を、周囲をエアフィルタ−にて覆う方法、あるいは
いわゆるクリ−ンル−ム化を採用しても良い。この際の
雰囲気のクリ−ン度は、好ましくはアメリカ連邦規格F
ed.Std.209Bに定めるクリ−ンル−ム規格
で、クラス1000よりクリ−ンであることである。
【0027】次に本発明フィルムの製造方法について述
べるがこれに限定されるものではない。まず、有機高分
子体として芳香族ポリアミドを使用する場合は、N−メ
チルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの非プロト
ン性有機溶媒中で酸クロライドとジアミンの溶液重合に
て得る。この際に発生する塩化水素は水酸化カルシウ
ム、炭酸カルシウム、水酸化リチウム、炭酸リチウムな
どの無機の中和剤あるいはエチレンオキサイド、トリエ
チルアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機の中和剤に
よって中和する。これらのポリマ溶液はそのまま製膜原
液として使用しても良く、また、一旦単離したのち有機
溶剤あるいは硫酸などの無機溶剤に再溶解して用いても
良い。また表面粗さの調整などのため、粒子を添加する
場合は、この際に添加することが好ましい。なお添加方
法および希釈方法は公知の方法が適用できる。このよう
にして得られた製膜原液を、いわゆる溶液製膜法によっ
てフィルム化する。なお、溶液製膜法には乾湿式法、乾
式法、湿式法、半乾半湿式などがあり、特に乾湿式法、
湿式法、半乾半湿式など、途中に湿式工程を経る方法が
好ましい。なおここでは乾湿式法を例にとって説明す
る。まず製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト
等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜
層から溶媒を飛散させ薄膜自体が自己支持性を持つまで
乾燥する。続いて該薄膜を支持体から剥離し、第1の水
槽を通過させ、その後にフィルム表面の付着水をニップ
ロ−ル、メタリングバ−、吸引装置等で除去し、その後
に第2の水槽に通過させ、その後に再びフィルム表面の
付着水を除去する。脱塩、脱溶媒が十分となるまで水槽
への通過および付着水を除去を繰り返す。この際の水槽
の水はポンプあるいは撹拌装置などで循環回数が1時間
当たり1回以上となるよう循環させておく。この際に該
薄膜の延伸を行っても良い。
【0028】全ての水槽を通過させた後、ステンタ−に
て該薄膜の両端を把持した状態で、該薄膜の内部の水分
の乾燥、および幅方向の延伸を実施し、さらに100〜
400℃の温度範囲で5秒間以上熱処理し、最終的には
所定の幅に裁断し製品とする。
【0029】なお磁気記録媒体とするには、該フィルム
の表面に磁性体粉末を含んだ高分子バインダ−を塗布す
る方法、あるいはコバルト等の磁性金属を減圧下で蒸着
する方法によって磁性体を施し、表面処理などを施した
後に所定の幅に裁断し、カセット等に組み込み製品とす
る。このようにして得られたテ−プは、高密度磁気記録
媒体、特にコンピュ−タメモリ−用のデジタルデ−タス
トレ−ジ用途に特に好適である。
【0030】
【特性の測定法】本発明の特性値は次の測定法、評価基
準によるものである。
【0031】フィルムの厚み アンリツ(株)製電子マイクロ厚み計にてフィルムの任
意の5点について厚みを測定し、その平均値として求め
た。
【0032】ヤング率の測定 フィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切断し、
チャック間100mmにして引張速度300mm/分、
チャ−ト速度500mm/分にて、インストロンタイプ
の万能引張試験装置で引張る。得られた荷重−伸び曲線
の立上がり部の接線よりヤング率を求める。
【0033】表面粗さ(Ra) 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定
の平均値をもって値とした。
【0034】・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :0.5mm ・カットオフ値:0.08mm なお、Raの定義は、たとえば奈良治郎著「表面粗さの
測定・評価法」(総合技術センタ−、1983)に示さ
れているものである。
【0035】平面に広げた際の該平面に対する非接触
部分の面積の割合Aの測定 室温25℃、相対湿度60%の条件で、平板に厚手の東
レ(株)製エクセ−ヌ(商品名)を広げ、その上に得ら
れたフィルムを乗せ、ブラシで全面に広げていく。広げ
て15分後、エクセ−ヌに接触せずに膨らんでいる部分
をマ−キングし、その面積を求め、フィルム全面積で割
りパ−セントでAを求める。
【0036】スリット性 得られたフィルムの磁性面側に、以下の組成からなる磁
性塗膜を乾燥後の膜厚で2μmとなるように塗設した。
【0037】・γ−Fe2 3 微粉末:200重量部 ・ポリウレタン樹脂 : 30重量部 ・ニトロセルロ−ス : 10重量部 ・塩化ビニル : 10重量部 ・ポリイソシアネ−ト : 5重量部 (溶媒:メチルエチルケトン)このようにして得られた
磁性層塗設後のフィルムを、1/2インチにスリット
し、3000mの長さにリ−ル状に巻き取った。スリッ
ト性の評価は、得られたテ−プ端部の顕微鏡による観
察、およびリ−ル形状について下記基準により判定し
た。なおスリット性は○が良好であり、×が不良、△は
これらの中間である。
【0038】 (エッジ端部の判定基準) ・端部の盛り上がりやバリが見られない :○ ・やや端部の盛り上がり、あるいはバリが見られる :△ ・端部の盛り上がり、およびバリが一目でわかる :× (リ−ル形状の判定基準) ・リ−ル端面の歪み、および巻きずれがない :○ ・軽度のリ−ル端面の歪み、あるいは部分的に巻きずれがある :△ ・リ−ル端面の歪みが一目で分かる、あるいは全面的に巻きずれがある:×
【0039】磁気テ−プ特性 にて得られた磁性層塗設後のフィルムを、1/2イン
チにスリットし、松下電器(株)製NV−3700型ビ
デオデッキにより、常速にて下記の磁気テ−プ特性を評
価した。
【0040】イ.VTRヘッド出力:シンクロスコ−プ
により測定周波数4メガヘルツに於けるVTRヘッド出
力を測定し、基準サンプルに対する相対値をデシベル
(dB)で表示した。
【0041】ロ.ドロップアウト:4.4メガヘルツの
信号を記録し、該テ−プを再生し、大倉インダストリ−
(株)製ドロップアウトカウンタ−にて15μsec−
20dBにおけるドロップアウト数を20分間測定し、
1分間当たりのドロップアウト数(個/分)に換算し
た。
【0042】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明
する。
【0043】(実施例1)N−メチルピロリドン(NM
P)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する
2−クロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相
当する4、4´−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解
させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフ
タル酸クロリド部を添加し、2時間撹拌し重合した。こ
れを水酸化リチウムで中和して、ポリマ−濃度10重量
%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得
た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリ
マ当たり2重量%添加した。
【0044】このようにして得られたポリマ−溶液を用
いて、クリ−ン度がクラス1000の製膜室内で製膜し
た。まずこのポリマ−溶液を濾過精度4μmのフィルタ
−で濾過した後にベルト上に流延し、180℃の熱風で
2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己支持性を得たフィ
ルムをベルトから連続的に剥離した。
【0045】次に循環ポンプによる循環回数が1時間当
たり3回である第1の水槽にフィルムを通過させる。第
1の水槽を通過したのち、ニップロ−ルにてニップ圧4
20Kg/m、フィルム速度13m/分の条件にてフィ
ルム表面の付着水分を除去し、続いて循環ポンプによる
循環回数が1時間当たり4回である第2の水槽にフィル
ムを通過させ、通過後にニップロ−ルにてニップ圧42
0Kg/m、フィルム速度14m/分の条件にてフィル
ム表面の付着水分を除去し、最後に循環ポンプによる循
環回数が1時間当たり5回である第3の水槽にフィルム
を通過させ、通過後にニップロ−ルにてニップ圧420
Kg/m、フィルム速度15m/分の条件にてフィルム
表面の付着水分を除去し、残存溶媒と中和で生じた無機
塩の水抽出を行った。なおベルトからの剥離から第3の
水槽までの間にフィルムの長手方向に1.2倍に延伸を
実施した。
【0046】水抽出終了後、280℃のステンタ−にて
乾燥、幅方向に1.3倍に延伸、および熱処理を、合計
1.5分間行い、20℃/秒の速度で徐冷した。最終的
に、厚さ5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0047】得られたフィルムは平面に対する非接触面
積の割合が8%であった。なお磁性層を施してスリット
した際のリ−ルの変形もなく、また高出力、低ドロップ
アウトと良好であった。
【0048】(実施例2)実施例1の方法において、循
環ポンプによる1時間当たりの循環回数をそれぞれ第1
の水槽を5回、第2の水槽を5回、および第3の水槽を
5回とする他は、実施例1と同じ方法で本発明を実施し
た。得られたフィルムは平面に対する非接触面積の割合
が4%であった。実施例1と同様に、磁性層を施してス
リットした際のリ−ルの変形もなく、また高出力、低ド
ロップアウトと良好であった。
【0049】(実施例3)実施例1の方法において、フ
ィルム長手方向の1.2倍の延伸に対して1.15倍の
延伸に、幅方向の1.3倍の延伸に対して1.4倍延伸
する他は、実施例1と同じ方法で本発明を実施した。実
施例1に比べ、幅方向の高ヤング率が得られ、フィルム
の平面に対する非接触面積の割合が9%であった。実施
例1と同様に、磁性層を施してスリットした際のリ−ル
の変形もなく、また実施例1に比べ高出力であった。ま
た低ドロップアウトと良好であった。
【0050】(実施例4)実施例1の方法において、ニ
ップロ−ルで表面の付着水分を除去する代わりに、エア
ナイフを用いて水除去する他は、実施例1と同じ方法で
本発明を実施した。得られたフィルムは平面に対する非
接触面積の割合が11%であった。実施例1に比べ、磁
性層を施してスリットした際のリ−ルの変形がややあっ
た。
【0051】(実施例5)実施例1の方法において、循
環ポンプにて水を循環させる代わりに、全ての水槽につ
いて回転翼を用いて水を循環させる他は、実施例1と同
じ方法で本発明を実施した。得られたフィルムは平面に
対する非接触面積の割合が9%であった。なお磁性層を
施してスリットした際のリ−ルの変形は少なかった。ま
た高出力、低ドロップアウトと良好であった。
【0052】(実施例6)実施例1の方法において、循
環ポンプによる1時間当たりの循環回数をそれぞれ第1
の水槽を0.5回、第2の水槽を0.5回、および第3
の水槽を0.5回とする他は、実施例1と同じ方法で本
発明を実施した。得られたフィルムは平面に対する非接
触面積の割合が24%であった。実施例1に比べ、磁性
層を施してスリットした際のリ−ルの変形があった。
【0053】(比較例1)実施例1の方法において、全
ての水槽について水の循環を行わない他は、実施例1と
同じ方法で本発明を実施した。得られたフィルムは平面
に対する非接触面積の割合が47%であった。実施例1
に比べ、磁性層を施してスリットした際のリ−ルの変形
が大きく、また出力が低かった。
【0054】(比較例2)実施例1の方法において、全
ての水槽について水の循環を行わなず、かつニップロ−
ルによる水の除去を行わない他は実施例1と同じ方法で
本発明を実施した。得られたフィルムは平面に対する非
接触面積の割合が58%であった。比較例1に比べて
も、スリットした際のリ−ルの変形が大きく、また出力
が低かった。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明フィルムは、有機高分子からなる
無欠点性の優れた基材フィルムにより、ドロップアウト
の少ない、特に詳しくはデ−タストレ−ジ用途に適した
フィルムを提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−31025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子体からなるフィルムにおい
    て、該フィルムを平面に広げた際の該平面に対する非接
    触部分の面積の割合A(%)が30未満であることを特
    徴とするフィルム。
  2. 【請求項2】 有機高分子体からなるフィルムにおい
    て、該フィルムを平面に広げた際の該平面に対する非接
    触部分の面積の割合をA(%)、該フィルムの厚みをt
    (mm)、長手方向のヤング率をEMD(MPa)、およ
    び幅方向のヤング率をETD(MPa)としたとき、これ
    らが下記式(1)を満足することを特徴とするフィルム。 0≦A/(t3 ×EMD×ETD)≦2.0 (1)
  3. 【請求項3】 該フィルムの少なくとも一方向のヤング
    率が8800MPa以上であることを特徴とする請求項
    1あるいは2に記載のフィルム。
  4. 【請求項4】 該フィルムが主として芳香族ポリアミド
    または芳香族ポリイミドからなることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 【請求項5】 該フィルムを平面に広げた際の該平面に
    対する非接触部分の面積の割合A(%)が10未満であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフ
    ィルム。
  6. 【請求項6】 該フィルムが磁気記録媒体用途であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 該フィルムが高密度磁気記録媒体用途で
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    フィルム。
  8. 【請求項8】 水系溶剤を充填した水槽にフィルムを通
    過せしめる工程を有する溶液製膜方法によるフィルムの
    製造方法において、該水槽のうち少なくとも一つに水系
    溶剤の撹拌設備を具備してなることを特徴とするフィル
    ムの製造方法。
  9. 【請求項9】 水系溶剤の撹拌設備が循環設備であるこ
    とを特徴とする請求項8に記載のフィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 循環設備による水系溶剤の循環回数が
    1時間当たりに1回以上であることを特徴とする請求項
    9に記載のフィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 フィルムが通過する水槽が少なくとも
    2槽以上あることを特徴とする請求項8〜10のいずれ
    かに記載のフィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 水槽の少なくとも1つが、フィルム出
    口部にフィルム表面に付着している水系溶剤の除去設備
    を具備してなることを特徴とする請求項8〜11のいず
    れかに記載のフィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 水系溶剤の除去設備が、ニップロー
    ル、エアナイフ、メタリングバー、拭取り装置および吸
    引装置から選ばれた少なくとも1種類以上の設備である
    ことを特徴とする請求項12に記載のフィルムの製造方
    法。
JP23674395A 1995-09-14 1995-09-14 フィルムおよびその製造方法 Expired - Lifetime JP3329154B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23674395A JP3329154B2 (ja) 1995-09-14 1995-09-14 フィルムおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23674395A JP3329154B2 (ja) 1995-09-14 1995-09-14 フィルムおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0977885A JPH0977885A (ja) 1997-03-25
JP3329154B2 true JP3329154B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=17005137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23674395A Expired - Lifetime JP3329154B2 (ja) 1995-09-14 1995-09-14 フィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3329154B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0977885A (ja) 1997-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100445119B1 (ko) 방향족폴리아미드필름,그제조방법및그것을이용한자기기록매체
US4952449A (en) Biaxially oriented polyester film
JPS62117138A (ja) 磁気記録テ−プ
JP3329154B2 (ja) フィルムおよびその製造方法
JP3322105B2 (ja) 磁気記録媒体用基材フィルム、その製造方法およびそれを用いてなる磁気記録媒体
EP0551905A1 (en) Base film of digital compact cassette tape
JP3728892B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム、その製造方法およびそれを用いた磁気記録媒体
US6124021A (en) Biaxially oriented laminate film of wholly aromatic polyamide and magnetic recording media
JP3173348B2 (ja) フィルム
EP0716414A1 (en) Magnetic recording medium
JP2616711B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3000925B2 (ja) 芳香族ポリアミド又は芳香族ポリイミドからなるフィルム
JPH0845060A (ja) 磁気記録媒体
JP3243966B2 (ja) 磁気記録媒体用ベースフィルム
JPH0564594B2 (ja)
JPS6057130B2 (ja) 重層磁気記録テ−プの製法
JP2000264983A (ja) フィルムおよび磁気テープ
JP3134700B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2000271998A (ja) フィルムおよび磁気記録媒体
JP3277671B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JPH08279139A (ja) 磁気記録媒体
JP2953271B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPS63202451A (ja) 易接着性ポリエチレンテレフタレ−トフイルム
JP3082617B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム
JP2002361662A (ja) 芳香族ポリアミドフィルムおよびその製造方法、ならびに磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
RVTR Cancellation of determination of trial for invalidation