JP3321898B2 - 熱可塑性樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品

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JP3321898B2
JP3321898B2 JP12801093A JP12801093A JP3321898B2 JP 3321898 B2 JP3321898 B2 JP 3321898B2 JP 12801093 A JP12801093 A JP 12801093A JP 12801093 A JP12801093 A JP 12801093A JP 3321898 B2 JP3321898 B2 JP 3321898B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性の熱可塑性樹脂
成形品の表面に、硬度の高い膜を形成させた、耐熱性、
耐候性、耐薬品性、耐熱水性、耐傷性の優れた熱可塑性
樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン誘導体の開環重合体または
この開環重合体を水素添加した水添ノルボルネン系重合
体は、良好な光学的性質、低吸湿性および優れた耐熱性
を有することから、近年、各分野、特に光学用途として
光ディスクや眼鏡レンズとしての応用が期待されてい
る。しかしながら、成形品の耐傷性が充分でないため傷
つきやすく、傷が目立ちやすいという欠点がある。これ
を改良するために、成形品の表面に表面コーティング剤
を塗布するなどの対策がとられている。ところが、既存
の有機シロキサンを主成分とするシリコンハードコート
液を水添ノルボルネン系重合体成形品に直接塗布硬化し
ても、充分な密着性が得られない。例えば、眼鏡レンズ
用途の染色工程で起こる熱水中での加熱後、シリコンハ
ードコート層が剥がれてしまい、実用に供しえないのが
現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、水添ノルボルネン系
重合体成形品の有する透明性などの光学的性質を生かす
ことができ、かつ密着性がよく、耐熱水性、耐摩傷性の
優れた熱可塑性樹脂成形品を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)で表される少なくとも1種のノルボルネン誘導体
よりなる単量体、またはこの単量体およびこれと共重合
可能な共重合性単量体とを開環重合させて得られる開環
重合体を、さらに水素添加して得られる水添ノルボルネ
ン系重合体(A)を主体とする熱可塑性樹脂成形品の表
面に、脂環式(メタ)アクリル化合物(B−ア)0.1
〜99.9重量%、分子中に重合性二重結合を2個以上
含む化合物(B−イ)0.1〜99重量%、および分子
中に重合性二重結合を1個を有する化合物(B−ウ)0
〜99.8重量%〔ただし、(B−ア)+(B−イ)+
(B−ウ)=100重量%〕を含む混合物を主成分とす
るプライマー(B)を塗布し、重合硬化しプライマー層
を形成し、さらにその上に有機シロキサンを主成分とす
るシリコンハードコート液(C)を塗布し硬化した有機
ポリシロキサンを主体とするハードコート層を形成した
ことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品を提供するもので
ある。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、AおよびBは水素原子または炭素
数1〜10の炭化水素基であり、XおよびYは水素原子
または1価の有機基を示し、mは0または1である。)
【0007】まず、水添ノルボルネン系重合体(A)に
ついて説明すると、該重合体を構成する一般式(I)で
表されるノルボルネン誘導体よりなる単量体において、
得られる成形品の耐熱性を高めるために、置換基Xおよ
びYの少なくとも1つは、水素原子および炭化水素基か
ら選ばれる基以外の基であることが好ましい。さらに、
置換基XおよびYの一方が式−(CH2 n COOR1
で表される基(ここで、R1 は炭素数1〜20の炭化水
素基、nは0〜10の整数を示す)であると、該重合体
製造時の水添工程で変化しないという点で好ましく、他
の一方が水素原子または炭化水素基であることが樹脂の
吸水性が高くならないという点で好ましい。また、−
(CH2 n COOR1 で表される基のうち、nの小さ
いものほど水添ノルボルネン系重合体の耐熱性が高くな
るので好ましく、特に式−(CH2n COOR1 にお
いて、nが0であることが前記単量体を合成する上で、
また水添ノルボルネン系重合体の安定性の面からみて好
ましい。R1 は、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族、ま
たは芳香族炭化水素基であるが、炭素数の大きいものほ
ど得られる水添ノルボルネン系重合体の吸水性が低くな
る点では好ましいが、熱分解性は一般に炭素数が大きく
なるほど高くなるので、該重合体の特徴を最大限に生か
すには、炭素数1〜4の鎖状炭化水素基、炭素数5以上
の脂環式炭化水素基、またはフェニル基、置換フェニル
基が好ましい。前記単量体の具体例としては、特開平1
−132626号公報に挙げられるテトラシクロドデセ
ン誘導体およびビシクロ〔2.2.1〕−ヘプテン誘導
体と同様の単量体を挙げることができるが、mが1の8
−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンが好ましい。
【0008】水添ノルボルネン系重合体は、一般式
(I)で表される単量体を2種以上使用し、共重合体と
することもできる。例えば、8−メチル−8−メトキシ
カルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセンと5−メチル−5−メトキシカ
ルボニルビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンを共重
合することもできる。この組み合わせは、5−メチル−
5−メトキシカルボニルビシクロ〔2.2.1〕−2−
ヘプテンが、8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ン製造の中間体として得られるため特に好ましい。ま
た、一般式(I)で表される単量体と共重合可能な共重
合性単量体としては、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ペンタシクロ
〔6.5.1.13,6 .09,7 .09,13〕−11−ペン
タデセンなどのシクロアルカン、またそのアルキル置換
体を挙げることができる。共重合可能な共重合性単量体
を用い、一般式(I)で表される単量体との共重合体を
得る場合、ノルボルネン誘導体が少ないと、最終的に得
られる水添ノルボルネン系重合体は高い耐熱性を持つこ
とができないため、一般式(I)で表される単量体の割
合は、50モル%以上、好ましくは70モル%以上、よ
り好ましくは80モル%以上である。
【0009】また、一般式(I)で表される単量体の重
合を、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエ
ン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素
二重結合を含んだ不飽和炭化水素系重合体の存在下に行
うこともでき、この場合、得られる水添ノルボルネン系
重合体は、特に耐衝撃性が高い。これらの不飽和炭化水
素系重合体のうち、スチレン−ブタジエン共重合体、ス
チレン−イソプレン共重合体が、透明な成形品を得やす
いので好ましい。この場合、スチレンとジエンの共重合
体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体
であってもよい。不飽和炭化水素系重合体存在下の重合
の際、該重合体は、一般式(I)で表される単量体に対
し、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、さら
に好ましくは5〜30重量%使用される。
【0010】本発明に用いられる開環重合体は、ポリス
チレン換算の重量平均分子量で5,000〜1,00
0,000、好ましくは8,000〜200,000で
ある。開環重合体を得るためのメタセシス重合および該
重合体の水素添加方法は、特開平1−132626号公
報に記載されている方法と同様の方法が挙げられる。こ
のようにして得られる水添ノルボルネン系重合体の水添
率は、60MHzNMRで測定し、δ=4.5〜6.0
ppmの範囲のピークの水添反応による減少から計算し
て、通常、50%以上、好ましくは70%以上、さらに
好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であ
り、50%未満では、水添ノルボルネン系重合体の熱安
定性が低くなるのみでなく、その物性が変化して良好な
特性が確実に発現されなくなる。
【0011】なお、本発明に用いられる水添ノルボルネ
ン系重合体(A)のゲル含有量は1重量%以下、好まし
くは0.1重量%以下、水分含有量は300ppm以
下、好ましくは100ppm以下、ハロゲン含有量は5
0ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
【0012】また、本発明において、水添ノルボルネン
系重合体(A)には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂が
添加されていてもよい。この他の熱可塑性樹脂として
は、ガラス転移温度が25℃以上の重合体であり、非晶
質重合体、結晶性重合体、液晶重合体などが含まれる。
具体的な熱可塑性樹脂の例としては、スチレン系樹脂、
塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミ
ド樹脂などが挙げられる。水添ノルボルネン系重合体
(A)と他の熱可塑性樹脂との割合は、重量比で10〜
95:90〜5、好ましくは15〜90:85〜10、
さらに好ましくは20〜80:80〜20となる割合で
ある。さらに、水添ノルボルネン系重合体(A)脂と他
の熱可塑性樹脂をブレンドした樹脂組成物には、ゴム質
重合体およびゴム強化熱可塑性樹脂が、それぞれ単独あ
るいはこれらの両方が含有されているものであってもよ
い。ここで、ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が
0℃以下の重合体であって、通常のゴム状重合体および
熱可塑性エラストマーが含まれる。
【0013】本発明に使用される水添ノルボルネン系重
合体(A)は、種々の公知の成形加工法、例えば射出成
形法、圧縮成形法、押し出し成形法などを適用して成形
品となされる。ここで、水添ノルボルネン系重合体
(A)の成形品の形態は、どのような形態であってもよ
い。例えば、水添ノルボルネン系重合体(A)を最終成
形品にする前の中間成形品の形態や、最終成形品のいず
れであってもよい。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂成形品は、前記のよ
うな水添ノルボルネン系重合体(A)主体とする熱可塑
性樹脂成形品の表面に、上記プライマー(B)を塗布
し、重合硬化しプライマー層を形成し、さらにその上に
上記シリコンハードコート液(C)を塗布し硬化した有
機ポリシロキサンを主体とするハードコート層を形成さ
せてなるものである。
【0015】本発明に使用されるプライマー(B)は、
脂環式(メタ)アクリル化合物(B−ア)0.1〜9
9.9重量%、分子中に重合性二重結合を2個以上含む
化合物(B−イ)を0.1〜99重量%、および分子中
に重合性二重結合を1個を有する化合物(B−ウ)0〜
99.8重量%〔ただし、(B−ア)+(B−イ)+
(B−ウ)=100重量%〕を含む混合物である。
【0016】ここで、脂環式(メタ)アクリル化合物
(B−ア)としては、分子中に(メタ)アクリル基を1
個以上含む脂肪族環状構造を持った化合物である。この
脂環式(メタ)アクリル化合物(B−ア)としては、シ
クロヘキサン環を持った化合物、ビシクロ〔2.2.
1〕ヘプタン環を持った化合物、トリシクロ〔5.2.
1.02,6 〕デカン環、テトラシクロ〔6.2.1.0
2,7 .13,6 〕ドデカン環を持った化合物などが挙げら
れる。これらの脂環式(メタ)アクリル化合物(B−
ア)は、水添ノルボルネン系重合体(A)とプライマー
(B)の相溶性を向上させ、それにより強固な密着性を
確保するのに不可欠である。この脂環式(メタ)アクリ
ル化合物(B−ア)は、メチルメタクリレートやスチレ
ンなどの一般の重合性二重結合を持つ化合物に較べて重
合時の収縮が小さく、かつ揮発性が小さいという長所が
ある。
【0017】この脂環式(メタ)アクリル化合物(B−
ア)の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジ
シクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イ
ソボニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイ
ルジメタジ(メタ)アクリレートや、それぞれのエチレ
ングリコールもしくはプロピレングリコールで変性した
(メタ)アクリレートなどの重合性モノマーなどが挙げ
られる。また、環状ポリオレフィン系樹脂のオリゴマ
ー、その水素添加前の不飽和二重結合を有する中間体も
しくはモノマーを前記ジシクロペンタニル(メタ)アク
リレートなどの脂環式(メタ)アクリル化合物同様の合
成方法により変性して(メタ)アクリロイル基を導入し
た光重合性オリゴマーであってもよい。脂環式(メタ)
アクリル化合物(B−ア)として好ましいものは、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロメンタニル
(メタ)アクリレートなどである。脂環式(メタ)アク
リル化合物(B−ア)の配合量は、(B)成分中に0.
1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、さら
に好ましくは2〜98重量%である。0.1重量%未満
では、塗膜の密着性が不充分であるという問題点があ
り、一方99.9重量%を超えると、シリコンハードコ
ート液(C)の塗布時に、耐溶剤性が不充分であるとい
う問題点がある。
【0018】また、分子中に重合性二重結合を2個以上
含む化合物(B−イ)は、脂環式構造を有さず、(メ
タ)アクリレート基またはビニル基などの重合性二重結
合を2個以上含有する化合物であり、具体的には、1,
4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−
ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレートなどの鎖状脂肪族多価アルコ
ールと(メタ)アクリル酸とのエステルや、ジビニルベ
ンゼン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート
などのジビニル化合物や、エポキシ(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メ
タ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレー
ト、シリコン(メタ)アクリレートなどを縮合して得ら
れるオリゴマーなどが挙げられ、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレートなどの鎖状脂肪族多価アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステルが好ましい。分子中に重合
性二重結合を2個以上含む化合物(B−イ)の配合量
は、(B)成分中に0.1〜99.9重量%、好ましく
は1〜99重量%、さらに好ましくは2〜98重量%で
ある。0.1重量%未満では、ハードコート層となるシ
リコンハードコート液の塗布時の耐溶剤性が不充分であ
るという問題点があり、一方99.9重量%を超える
と、塗膜の密着性が不充分であるという問題点がある。
【0019】分子中に重合性二重結合を1個を有する化
合物(B−ウ)は、脂環式構造を有さず、(メタ)アク
リレート基またはビニル基などの重合性二重結合を1個
有する化合物であり、その具体例としては、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、ペンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリ
レート、2(2−エトキシエチル)エチル(メタ)アク
リレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリ
メトキシシリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)ア
クリル酸エステル化合物や、N−ビニルピロリドン、N
−ビニルカプロラクタム、スチレン、アクリロニトリル
などが挙げられ、N−ビニルピロリドン、グリシジルメ
タクリレート、トリメトキシシリルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、メチルメタクリレートなどが好ま
しい。分子中に重合性二重結合を1個を有する化合物
(B−ウ)の配合量は、(B)成分中に0〜99.8重
量%、好ましくは10〜98重量%、さらに好ましくは
20〜96重量%である。99.8重量%を超えると、
シリコンハードコート液(C)塗布時の耐溶剤性や塗膜
の密着性が不充分であるという問題点がある。
【0020】さらに、(B)成分と(C)成分の硬化物
間の一段と優れた密着性を確保するためには、(B−
ウ)成分として、グリシジル(メタ)アクリレートおよ
び/またはメトキシシリル(メタ)アクリレートを、
(B)成分中に、それぞれ好ましくは0.1〜50重量
%、さらに好ましくは1〜20重量%用いるとよい。こ
れらの化合物(B−ウ)に含まれるグリシジル基やメト
キシシリル基は、(C)成分の硬化時に反応し、(C)
成分と共有結合を作ることで、一段と優れた密着性を確
保する。
【0021】プライマー(B)を重合硬化させ、プライ
マー層を形成させるには、通常用いられる熱風、赤外線
ランプなどによる加熱硬化、さらには紫外線、電子線な
どの照射による硬化などの当業界で知られている各種の
方法が適用される。
【0022】プライマー(B)からなるプライマー層の
厚みは、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ま
しくは0.1〜10μmである。0.01μm未満では
プライマー層の効果に乏しく、一方100μmを超える
と均一な厚みでの硬化が困難となり、実用性が無くな
る。
【0023】なお、本発明の(B)成分には、重合開始
剤を併用し、より安定した硬化を得ることができる。こ
の重合開始剤は、熱(70〜250℃)、紫外線(波長
180nm〜400nm)を吸収して励起し、イオンま
たは活性ラジカルを発生し、本発明の(B)成分と反応
して重合を開始させるか、あるいは熱または光により励
起され、脂環式(メタ)アクリル化合物(B−ア)を含
む本発明の(B)成分を活性化して重合を開始させるよ
うな物質であればどのようなものでもよい。
【0024】熱重合開始剤の具体例としては、クメンヒ
ドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラ
ウロイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられ
る。
【0025】また、光重合開始剤としては、例えばベン
ゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイ
ンイソブチルエーテル、α−メチルベンゾインなどのア
シロインとその誘導体、2−エチルアントラセン、シク
ロヘキサノンなどのカルボニル化合物、ベンジル、ジア
セチルなどのジケトン類、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン、プロピオフェノン、フェニルヒドロキシメチルプ
ロパノン、ジエトキシフェニルアセトフェノン、4,
4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4−テトラ
メチルジメチルジアミノベンゾフェノン、4,4′−テ
トラエチルジアミノベンゾフェノン、ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトンなどのフェノン類が挙げられ
る。以上の重合開始剤の使用量は、本発明の(B)成分
100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量
部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
【0026】また、本発明のプライマー(B)には、酸
素による重合禁止作用を排除するために、N,N−ジメ
チルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノ
ールアミンなどのアミンを重合開始助剤として添加する
ことができる。その使用量は、本発明の(B)成分10
0重量部に対し、好ましくは10重量部以下、さらに好
ましくは5重量部以下である。
【0027】さらに、本発明のプライマー(B)には、
保存時に熱重合してゲル化するのを防止するために、p
−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
p−t−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルカテコー
ル、モノ−t−ブチルハイドロキノン、α−ナフトー
ル、ピロガロールなどの重合禁止剤を、(B)成分10
0重量部に対し、1重量部以下、好ましくは0.1重量
部以下添加することもできる。
【0028】さらに、本発明のプライマー(B)には、
塗液の粘度調整により硬化層であるプライマー層の厚み
を調整すべく、沸点が50〜250℃、常温での粘度が
10センチポアズ以下の揮発性有機溶媒を希釈剤として
添加してもよい。これらの希釈剤を用いた場合には、塗
液の硬化に先立って、好ましくは50〜100℃の範囲
でこれらの希釈剤を蒸発させて取り除く必要がある。希
釈剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、sec−プロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸sec−
プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸se
c−ブチル、酢酸メチルアミル、酢酸アミル、乳酸エチ
ル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢
酸ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、イソプロピルエーテル、ヘキ
サン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メチレンジクロライド、トリクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、パークロロプロパン、ジクロ
ライドプロパン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サンなどが挙げられる。これらの希釈剤は、1種単独で
あるいは2種以上併用される。
【0029】さらに、本発明のプライマー(B)を塗布
し硬化したプライマー層は、アルカリ処理により、表面
を活性化することが好ましい。このアルカリ処理とは、
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強塩基を0.
01〜50重量%水溶液としたアルカリ液中に、上記プ
ライマー層を有する成形品を浸漬し、表面を加水分解す
るものである。このようなアルカリ処理により、シリコ
ンハードコート液(C)を構成する有機シロキサンの縮
合硬化の際に、プライマー(B)からなるプライマー層
と、シリコンハードコート液(C)からなるハードコー
ト層の密着性をより強固なものとすることができる。
【0030】次に、ハードコート層は、有機シロキサン
を主成分とするシリコンハードコート液(C)を塗布し
硬化した有機ポリシロキサンを主体とし、本発明の熱可
塑性成形品の最外層を形成するものである。ここで、シ
リコンハードコート液(C)は、下記一般式(II) で表
される有機シロキサンを主成分とするものであり、その
一部または全部が加水分解していてもよい。 Ra 7 b 8 Si(OR9 4-(a+b) ・・・(II) (式中、R7 、R8 は、同一または異なり、炭素数10
以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、または
ハロゲン原子、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、
メタクリルオキシ基もしくはシアノ基を有する炭化水素
基、R9 は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、
アルコキシアルキル基、またはアシル基であり、aおよ
びbは0、1または2、かつa+bは0、1または2で
ある。)
【0031】一般式(II) で表される有機シロキサンの
具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケー
ト、n−プロピルシリケート、i−プロピルシリケー
ト、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケー
ト、t−ブチルシリケート、テトラアセトシランなどの
シラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチ
ルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,
3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメ
トキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリ
シドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチ
ルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメ
トキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β
−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリ
シドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
ブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルト
リメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−
グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−
エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピ
ルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランな
どのトリアルコキシ、トリアシルオキシまたはトリフェ
ノキシシラン類、またはその加水分解物、およびジメチ
ルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
メチルジメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシ
ラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジ
エトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルジエトキシシラン、α−グリシ
ドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキ
シエチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメ
チルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチル
ジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ンなどのアルコキシシランまたはジアシルオキシシラン
類、またはその加水分解物などが挙げられる。これらの
有機シロキサンは、1種単独であるいは2種以上を併用
することができる。これらの有機シロキサンのうちで
は、得られる成形品を染色する場合の染色性の点から、
アルコキシ基およびエポキシ基を有するものが好まし
く、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランなどである。
【0032】これらの有機シロキサンは、シリコンハー
ドコート液(C)として、上記プライマー層上に塗布
し、硬化させてハードコート層を形成させるが、硬化温
度を下げて硬化をより促進させるために、加水分解して
使用することが好ましい。加水分解は、純水または塩
酸、酢酸あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、攪拌す
ることによって、製造される。さらに、純水、あるいは
酸性水溶液の添加量を調節することによって、加水分解
の度合いをコントロールすることも可能である。加水分
解に際しては、アルコキシ基と等モル〜3倍モルの純水
または酸性水溶液の添加が硬化促進の点で好ましい。加
水分解に際しては、アルコールなどが生成してくるの
で、無溶媒で加水分解することも可能であるが、加水分
解をさらに均一に行う目的で有機シロキサンと溶媒を混
合したのち、加水分解を行うことも可能である。このよ
うな溶媒としては、アルコール、エーテル、エステル、
ケトン、ハロゲン化炭化水素、キシレン、トルエンなど
が挙げられる。
【0033】このシリコンハードコート液(C)の硬化
に際しては、硬化剤を併用してもよい。この硬化剤とし
ては、例えばエポキシ樹脂硬化剤、有機ケイ素樹脂硬化
剤などが使用される。本発明のハードコート層の膜厚
は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましく
は0.1〜10μmであり、0.01μm未満では充分
な硬度が得られず、耐摩耗性が劣るようになり、一方1
00μmを超えると均一な硬化が困難となり割れなどを
生じる。
【0034】なお、シリコンハードコート液(C)を構
成する上記有機シロキサンおよびその加水分解物には、
(C)成分と併用可能な他の材料を配合することができ
る。この併用可能な他の材料材料としては、各種有機材
料および無機材料が使用される。特に、表面硬度、染色
性、屈折率、塗膜の厚さの調整などの観点から、コロイ
ド状に分散されたコロイダルシリカ、コロイダルアルミ
ナ、コロイダルチタニア、コロイダル酸化アンチモンな
どの1種以上の無機微粒子が好ましく用いられる。ま
た、帯電防止性、防曇性の観点から、ポリオキシエチレ
ンアルコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアル
キルセルロースなどが好ましく用いられる。
【0035】なお、本発明の(B)成分や(C)成分に
は、種々の目的で塗料あるいは印刷インクなどに添加さ
れるシリコーンの消泡剤、レベリング剤、擦傷防止剤、
ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾー
ル系などの紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やヒ
ンダードアミン系の老化防止剤、アルミニウムオクトエ
ート、アルミナ、シリカゲルなどの増粘剤、沈澱防止
剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機の顔料・染料の各
種添加剤および添加助剤を、硬化を阻害せずに硬化物の
透明性を保つ範囲内で添加することができる。
【0036】また、本発明の(B)成分や(C)成分
は、以上述べた種々の成分を混合するだけで調製するこ
とができる。また、混合は、一般に室温で行うが、必要
に応じて加熱して行うこともできる。
【0037】さらに、本発明の(B)成分や(C)成分
を、水添ノルボルネン系重合体(A)を主体とする熱可
塑性樹脂成形品に塗布するに際しては、例えば刷毛塗
り、アプリケーター、バーコーター、ローラーブラシ、
ロールコーターなどによる塗布法、スプレー塗布法、シ
ャワーコーターまたはカーテンフローコーターなどによ
る流し塗り法(フローコート)、浸漬法、キャスティン
グ法、スピンコーティング法、スクリーン印刷などの方
法を用いることができ、基板の材質、形状、用途などに
応じ、粘度を揮発性有機溶媒により調整して適宜使い分
けることが望ましい。特に、眼鏡レンズなどに本発明の
(B)成分や(C)成分を塗布する場合、浸漬法が望ま
しい。
【0038】さらに、(B)成分や(C)成分の塗布に
際しては、塗布時に塗液を剥がさずに塗れるように、ア
ルカリ水溶液による浸漬処理や、イソプロピルアルコー
ル、界面活性剤水溶液による脱脂処理をすることが望ま
しい。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らな
いかぎり重量基準である。また、実施例中の各種の測定
は、次のとおりである。耐摩傷性試験 スチールウール#0000で500gの荷重をかけ、成
形品表面を摩擦し、傷の付きにくさを調べた。判定は、
次のようにして行った。 ○;強く摩擦しても傷が付かない。 ×;強く摩擦すると、傷が付く。耐水・密着性試験 成形品を、90℃の熱水に30分間浸漬したのち、塗膜
面に粘着テープ〔ニチバン(株)製、セロテープ〕を強
く貼りつけ、90度方向に急激に剥がし、塗膜剥離の有
無を調べた。判定は、次のようにして行った。 ○;全く剥離がなかった。 ×;剥離があった。
【0040】染色性試験 染色性テストとしては、分散染料(青・赤・黄3色混
合)からなる染浴に、眼鏡レンズを浸漬し、90℃で3
0分間浸漬染色処理した。結果は、目視で染色性を判断
し、全光線透過率を測定した。なお、染色浴の染料濃度
は5%であり、分散媒として非イオン系界面活性剤を
1.4%添加した。また、染料は、繊維などの染料とし
て周知の分散染料を用い、青、赤、黄の染料を5:3:
2の重量割合で添加して調製した。判定は、次のように
して行った。 ○;ムラなく染色でき、全光線透過率が10%以下であ
った。 ×;染色にムラがあるか、全光線透過率が10%を超え
た。FDA眼鏡レンズテスト 耐衝撃性レンズに関する米国連邦政府規制21CFR
Part801.410(d)(2)に記述される耐衝
撃テストを行った。判定は、次のようにして行った。 ○;該規則の基準を満たした。 ×;該規則の基準を満たさなかった。光学歪み 成形品(厚さ1.5mmの円板状)の中心から半径2c
m以内の部分の複屈折による光学歪みを、白色光源の上
に直交ニコルの置かれた偏光板の間に成形品を置き、こ
れらの上から目視で観察し、判定した。判定は、次のよ
うに行った。 ○;全体に黒〜灰色で、色は付かず光学歪みは充分小さ
い ×;色の付いた縞文様があり、光学歪みが大きい。
【0041】実施例1〜4、比較例1〜10基材成形品の調製 以下の要領で、厚み1.5mm、直径70mmの円板成
形品A−1〜A−4を調製した。 成形品A−1(本発明の範囲内);下記の方法によって
製造された水添ノルボルネン系重合体A−1を、40m
m押出機を用いて280℃でペレット化し、それを射出
成形機(東芝IS−80A)を用いて280℃で試験片
を作製した。すなわち、チッ素ガスで置換した反応容器
内に、下記構造式(I)で表される特定単量体、すなわ
ち8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン500
gと、1,2−ジクロロエタン2,000mlと、分子
量調節剤である1−ヘキセン3.8gと、触媒として六
塩化タングステンの濃度0.05モル/lのクロロベン
ゼン溶液91.6mlと、パラアルデヒドの濃度0.1
モル/lの1,2−ジクロロエタン溶液68.7ml
と、トリイソブチルアルミニウムの濃度0.5モル/l
のトルエン溶液37mlとを加え、60℃で10時間反
応させることにより、固有粘度〔η〕inh が0.78d
l/g(クロロホルム中、30℃、濃度0.5g/d
l)の開環重合体450gを得た。この開環重合体を
9,000mlのテトラヒドロフランに溶解し、高圧反
応器に仕込み、水添触媒としてパラジウム濃度が5%の
パラジウム−アルミナ触媒45gを加え、水素ガスを圧
力が100kg/cm2 になるように仕込んで、150
℃で5時間水添反応させた。水添反応後、触媒をろ別
し、溶液を塩酸酸性の大過剰量のメタノール中に注い
で、水添ノルボルネン系重合体A−1を得た。この水添
ノルボルネン系重合体A−1の水添率(60MHz N
MRで測定)は、実質上100%であった。
【0042】
【化3】
【0043】成形品A−2(本発明の範囲内);下記の
方法によって製造された水添ノルボルネン系重合体A−
2を、成形品A−1と同一条件で試験片を作製した。す
なわち、下記構造式(II) で表される特定単量体、すな
わち8−エチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン500gを用い、A−1と同様
に反応させることにより、固有粘度〔η〕inh が0.8
2dl/g(クロロホルム中、30℃、濃度0.5g/
dl)の開環重合体450gを得た。この開環重合体を
A−1と同様にして水素添加反応させた。水添反応後、
触媒をろ別し、溶液を塩酸酸性の大過剰量のメタノール
中に注いで、水添ノルボルネン系重合体A−2を得た。
この水添ノルボルネン系重合体A−2の水添率(60M
Hz NMRで測定)は、実質上100%であった。
【0044】
【化4】
【0045】成形品A−3(本発明の範囲外);ポリカ
ーボネート樹脂〔帝人化成(株)製、パンライトAD5
503〕の射出成形品 成形品A−4(本発明の範囲外);プラスチックレンズ
用モノマー(CR−39)(ジエチレングリコールビス
アリルカーボネート)100部に、t−ブチルパーオキ
シネオジカート1.5部を加え混合攪拌した。次いで、
この混合液の不溶物をフィルターで除去し、ろ液を軟質
ポリ塩化ビニルで成形されたガスケットと2枚のガラス
板で作られる空間内に注入した。次に、30℃で4時
間、30℃から50℃まで直線的に10時間、50℃か
ら70℃まで直線的に2時間、70℃で1時間、80℃
で2時間加熱を行ったのち、ガスケットとガラス板を分
離した。さらに、得られた成形品を110℃で2時間、
アニーリングを行い、レンズ内部の歪みをとった。
【0046】プライマー(B)の調製 表1に示すような配合のプライマー液B−1〜B−4を
調製した。
【0047】
【表1】
【0048】シリコンハードコート液の調製 シリコーンハードコート液C−1;回転子を備えた反応
器中に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
236部を仕込み、マグネティックスターラーを用いて
激しく攪拌しながら、0.01規定の塩酸水溶液72部
を一度に添加した。添加直後は、不透明な不均一溶液で
あったが、添加後、数分以内で発熱反応を伴いながら均
一で無色透明の溶液になった。さらに、攪拌を1時間継
続し、その後、攪拌を停止して1昼夜放置、熟成した。
得られた加水分解物の固形分(90℃の熱風乾燥機中で
2時間放置後の残存物)は60%であった。この加水分
解物100gに、n−プロピルアルコール100gおよ
びシリコーン系界面活性剤0.3gを添加し、さらに硬
化剤として無水トリメリット酸0.1gとジ−n−ブト
キシチタニウムビスアセチルアセトネートのn−ブタノ
ール72.5%溶液0.1gを加え、充分に攪拌混合し
てコート液C−1とした。 シリコーンハードコート液C−2;コート液C−2とし
て、信越化学工業(株)製、シリコーンハードコート材
KP−64を用いた。
【0049】塗装および試験結果 上記成形品A−1〜A−4を、イソプロピルアルコール
に1分間浸漬し、80℃で1時間熱風乾燥し、冷却し
た。これらを、プライマー液B−1〜B−4に浸漬し、
引上げ速度10cm/分で引上げ、80℃で1時間熱風
乾燥し、プライマーを塗布した。プライマーの硬化条件
が、紫外線(UV)の場合、メタルハライド管を用いた
紫外線照射装置を用い、2mJ/cm2 の量の紫外線を
照射し硬化させた。プライマーの硬化条件が、熱硬化の
場合、120℃の熱を2時間与えて硬化させた。プライ
マーの硬化した成形品は、5%水酸化ナトリウム水溶液
に1分間浸漬し、水洗し、さらにイソプロピルアルコー
ルに1分間浸漬し、80℃で1時間熱風乾燥、冷却し
た。これらをハードコート液C−1〜C−2に浸漬し、
引上げ速度10cm/分で引上げ、120℃の熱を2時
間与えて硬化させた。このようにして得られた成形品の
性能試験を上記の測定項目について行った。結果を表2
に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、ノルボルネン誘導体か
ら構成された水添ノルボルネン系重合体を主体とする熱
可塑性樹脂成形品に、特定のプライマーを塗布、重合硬
化しプライマー層を形成させ、さらに有機ポリシロキサ
ンを主成分とするハードコート液を塗布、硬化しハード
コート層を形成させることにより、透明で、光学歪みが
なく、衝撃強度に優れ、耐摩傷性、耐熱水性、密着性に
優れた熱可塑性成形品を与えることができる。このよう
に、ノルボルネン単量体を構成成分とする水添ノルボル
ネン系重合体の優れた光学的性質や耐熱性を損なわずに
耐摩傷性を大幅に向上させることは、該水添ノルボルネ
ン系重合体のより過酷な条件下での利用を可能とし、そ
の産業利用の有用性を飛躍的に向上させ、新規の利用範
囲を広げるものである。
【0052】本発明により得られる成形品は、光学レン
ズ、光ディスクなどの光学部品;自動車のウインドガラ
ス、天井材、ヘッドランプレンズ、フォッグランプレン
ズ、ストップランプレンズ、ターンランプレンズ、リア
コンビネーションレンズ、ルームランプレンズ、ミラ
ー、ヒューズカバー、パネルメーターカバー、ホイール
キャップおよび一般内装・外装部材などの自動車部品;
レンズ鏡筒、鏡枠、そのほかカメラ部品;蛍光灯カバー
やランプシェードなどの照明機器部材;ディスプレー部
材;電子レンジ蓋、洗濯機ランドリー蓋などの電気部
品;発光ダイオード封止材などの電子部品;OA機器部
品;カセットケースやカセットハーフなどの音響機器部
品;ラーメンカップ、深しぼりカップ、クリスタルカッ
プ、折箱、弁当箱、蒸し容器、冷凍食品容器、ドライ食
品容器、電子レンジ食品用容器、トレイなどの容器;建
材、土木部材;造船部材;農業用資材;物流資材;注射
器、シャーレなどの医療機器;各種銘板;日用雑貨;フ
ィルム、OHPフィルム;シート;パイプ;ボトル;そ
の他多くの用途分野に有用に使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−122137(JP,A) 特開 昭55−148160(JP,A) 特開 昭56−100674(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される少なくとも
    1種のノルボルネン誘導体よりなる単量体、またはこの
    単量体およびこれと共重合可能な共重合性単量体とを開
    環重合させて得られる開環重合体を、さらに水素添加し
    て得られる水添ノルボルネン系重合体(A)を主体とす
    る熱可塑性樹脂成形品の表面に、脂環式(メタ)アクリ
    ル化合物(B−ア)0.1〜99.9重量%、分子中に
    重合性二重結合を2個以上含む化合物(B−イ)0.1
    〜99重量%、および分子中に重合性二重結合を1個を
    有する化合物(B−ウ)0〜99.8重量%〔ただし、
    (B−ア)+(B−イ)+(B−ウ)=100重量%〕
    を含む混合物を主成分とするプライマー(B)を塗布
    し、重合硬化しプライマー層を形成し、さらにその上に
    有機シロキサンを主成分とするシリコンハードコート液
    (C)を塗布し硬化した有機ポリシロキサンを主体とす
    るハードコート層を形成したことを特徴とする熱可塑性
    樹脂成形品。 【化1】 (式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
    炭化水素基であり、XおよびYは水素原子または1価の
    有機基を示し、mは0または1である。)
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