JP3320787B2 - 電子写真平版印刷版の処理方法 - Google Patents

電子写真平版印刷版の処理方法

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JP3320787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性支持体上に光導
電層を設けた平版印刷原版に電子写真法によりトナー画
像を形成させた後、トナー画像部以外の非画像部光導電
層の溶出除去を行なって印刷版を作製するための電子写
真平版印刷版の処理方法に関し、溶出による画線細りを
抑制しつつ溶出不良の発生がなく、長期に亙って安定し
た溶出処理が行なえる電子写真平版印刷版の処理方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真平版印刷版は一般的には導電性
支持体上に光導電性化合物と水不溶性の結着樹脂とから
なる光導電層を設けてなり、電子写真方式により光導電
層上にトナー画像を形成させ、次いでトナーをレジスト
としてトナー画像部以外の非画像部光導電層をアルカリ
性溶出液により除去するか、不感脂化液により不感脂化
して印刷に供される。特に、前者のアルカリ溶出型電子
写真印刷版の製版処理はガム引きを含めて通常自動機を
用いて行なわれるが、従来感光性平版印刷版(所謂PS
版)を含む非画像部アルカリ除去型平版印刷版を製版処
理する装置に採用されている処理方式としては、以下に
記載する液循環再利用方式、新液使捨て処理方式、及び
処理過程計量残存液廃棄方式に大別される。
【0003】最初の液循環再利用方式は、版面に過剰量
の処理液を接触させた後、処理済み液を版上から全て除
去して循環再利用する方式であり、処理済み液の除去は
スクイズロールによる絞液が一般的である。液供給方法
としては、ロール狭持して搬送する印刷版上にスプレー
或はシャワー等から処理液を直接或はロール及び/また
は整流板を介して供給する方法の他、特開平2−256
9号公報等に開示の様に処理液槽中を液中ガイドロール
等によって印刷版を湾曲浸漬(ディップ方式)させ、液
中シャワーによって処理液を対流循環させると共に版面
に供給する方法や、実開平1−160443号公報に開
示の様に対向面に多数の突起を有する斜傾保持された一
対のガイド板間に印刷版を搬送し、ガイド板搬送方向上
方端面から液供給する方法等、多数枚製版による液性劣
化を防止抑制するための補充液補充方法と共に、従来か
ら種々の応用例が開示されている。
【0004】二番目の新液使捨て処理方式は、特開昭6
2−238564号公報等に開示の様に、液供給スリッ
トのギャップやワイヤバーのワイヤ径等の調整によっ
て、版面に処理液を供給する前に必要最低量を前計量し
て一版毎に新液を供給し、場合に応じて処理促進手段を
処理過程で施した後、処理済みの疲労処理液は可溶化し
た非画像部と共に除去廃棄する方式である。
【0005】最後の処理過程計量残存液廃棄方式は、特
開昭62−59957号公報等に開示の様に、版面に一
旦過剰量の処理液を供給した後、処理途中で処理液を一
定量に計量して余剰液は循環再塗布、計量後の版上の処
理液は現像完了後に可溶化した非画像部と共に廃棄する
方式で、特開昭63−163353号公報には本方式に
於ける版先頭部の製版不良を改善するため、液計量後更
に版先頭部に液計量時に除去した処理液を循環再供給す
る方式である。電子写真平版印刷版の処理関係では、特
開平2−93474号公報記載の様に、特開昭63−1
63353号公報に開示の技術を応用した方法も開示さ
れている。
【0006】これらの方式の内、液循環再利用方式では
余剰液を循環再使用するので見掛け上廃液量を減少させ
ることが出来るが、この方式で電子写真平版印刷版を処
理すると、非画像部光導電層は溶解除去工程中に殆ど全
てが版上より処理液中に流入するため、例え処理液に液
補充等を行なってそれ自体は所期の処理特性を保持して
いても、流入した光導電層を多く含有する処理液では槽
内や液循環系、処理部搬送部位等に液固着が起こり液供
給量の低下や液供給方式としてスプレーを用いればその
孔の目詰まり等種々の悪影響を及ぼすばかりか、光導電
層組成物の印刷版支持体上への再付着による印刷汚れを
もたらす場合がある。
【0007】一方、新液使捨て処理方式では処理変動を
防止出来る反面、液循環再使用方式に比してより多量の
処理液を必要とするし、必然的に多量の廃液を出す結果
となる。また、廃液量を低減するため必要最低量を供給
しようとして液量を絞ると、応々にしてアルカリ現像液
が版全面を均一に被覆しないことがあり、特にその傾向
は版先頭部に強く発現して、結果として処理欠陥とな
る。特に電子写真平版印刷版の製版処理に於ては、電子
写真光導電層は一般的PS版感光層に比して除去すべき
層が厚く、しかもトナー画像部光導電層と雖もアルカリ
難溶性でないために、過処理ではサイドエッチと呼称さ
れる光導電層側面からの溶出液の回込みによる画像細り
が誘発するなどから処理条件に厳格さが要求されるた
め、この処理方式は適さない。
【0008】これら両者の欠点を解消し尚且つ両者の長
所を合せ持つ処理方式が、上記の処理過程計量残存液廃
棄方式である。この方式は、アルカリ現像液を版に供給
後処理が完了しない間に処理を完遂するのに必要な液量
を残して計量するため、計量除去液には非画像部成分の
混入が殆どなく、更には処理に必要な最低量の供給消費
及びそれに見合った液補充によって、経時での空気中の
二酸化炭素等の酸性気体の吸収溶解によるアルカリ度の
低下に起因する経時疲労劣化を抑制し、実質的に液使い
捨て方式と同様に常にほぼ新液状態で製版を継続するこ
とが出来、処理液循環再利用方式の様な経時的影響を受
け難い。また、例え現像液が結果として版上に供給され
ない部分が発生したとしても、液計量具によって現像液
の延展がなされるため、処理ムラが軽減される。
【0009】そこで、上記処理過程計量残存液廃棄方式
を単純にアルカリ溶出型電子写真平版印刷版に適用して
も、画像部そのものがアルカリ現像液に難溶解性のPS
版と光導電層上のトナーによってのみ画像部のレジスト
性が保持されるアルカリ溶出型電子写真平版印刷版との
差異により、溶出液処方を含む溶出条件によっては版端
部特に版先頭部に液供給不足による溶出不良を起こし易
く、或は見掛け上溶出不良にならずとも版中央部と端部
とではサイドエッチの程度に差が生ずる。逆に版端部の
溶出不良を完全に防止しようとすると、版には必要量よ
りも多くの溶出液を計量するか、溶出時間の延長が必要
となり、結果として廃液が増加するか、処理時間が長く
なる。またこの場合、版中央部は溶出過剰ぎみになり、
サイドエッチが助長されると云った問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性支持
体上に光導電性層を設けた平版印刷原版に、電子写真法
によりトナー画像を形成させ、次いで印刷版光導電層面
に過剰に溶出液を供給した後に液計量具により版上の溶
出液を一定量に計量し、その搬送後方で残存溶出液と可
溶化した光導電層とを除去する電子写真平版印刷版の処
理方法に関し、溶出による画線細りを抑制しつつ残膜等
の溶出不良を防止して、版全面を均質に溶出させるばか
りでなく、計量除去溶出液の循環使用に於ける光導電層
成分の混入等に起因する液性劣化を抑制して、長期に亙
って安定した溶出処理を可能にする電子写真平版印刷版
の処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
検討を重ねた結果、導電性支持体上に光導電層を設けた
平版印刷原版に、電子写真法によりトナー画像を形成さ
せ、次いで印刷版光導電層面に過剰に溶出液を供給し
トナー画像部以外の非画像部光導電層を略膨潤可溶化さ
せた後、液計量具により版上の溶出液を一定量に計量
し、その搬送後方でかつ洗浄処理に先だって残存溶出液
と可溶化した光導電層とを除去する電子写真平版印刷版
の処理方法に於て、少なくとも一般式SiO2/M2O(M
はアルカリ金属を表す)で表現される珪酸アルカリ金属
塩を含有し、かつSiO2濃度が2〜6重量%であってグ
ラム原子換算で[Si]/[M]が0.6〜0.9なる溶出液を
用いて処理することにより達成された。
【0012】アルカリ溶出型電子写真平版印刷版に於け
る溶出性は、電子写真平版印刷版光導電層組成、例えば
カルボキシル基等の溶出液可溶化基を含有する溶出液可
溶性モノマ成分の構成比、溶出液中のアルカリ剤と珪酸
塩等の緩衝剤との混合比やアルカリ強度を主変動要因と
する溶出液組成等の溶出能、及び溶出液と光導電層との
接触時間や液温等の装置的溶出条件等で規定されるが、
光導電層関係はトナー画像形成に到る電子写真特性によ
り溶出に先立って特定されるから、結果として溶出性は
上記溶出能及び溶出条件によって優位に表現される。ま
た、溶出液による光導電層の溶解は、溶出液成分中の少
なくとも光導電層可溶化種の光導電層への浸透、光導電
層の膨潤、及び光導電層と接する溶出液中への光導電層
成分の溶解拡散の各過程を経て進行し、その進行過程は
溶出液処方等の選定制御により容易に段階的にも競争的
にも設計することが出来る。
【0013】本発明に係わる溶出処理方式は、電子写真
平版印刷版光導電層面に過剰に溶出液を供給した後に液
計量具により版上の溶出液を一定量に計量し、その搬送
後方で更に残存溶出液及び可溶化した光導電層を除去す
る溶出方式である。この溶出方式では、溶出は液計量後
の可溶化光導電層除去工程直前に於て完了することが最
適であるから、液計量工程・可溶化光導電層除去工程間
に於て溶出が進行するのであれば、液計量直後には完全
には光導電層の可溶化が終了していないことになり、こ
れにより版上に残存した溶出液は溶出を完了させる能力
を保持していなければならない。更に、溶出液計量工程
前に流下した溶出液及びこの計量除去液を再循環して使
用することが望ましいため、液計量前に版上の溶出液に
光導電層成分が溶解拡散しない様にすることが重要であ
る。
【0014】溶出途中で可溶化した光導電層成分を溶出
液中に溶解拡散し難くするには、一般式SiO2/M2
(Mはアルカリ金属を表す)で表現される珪酸アルカリ
金属塩系溶出液では、珪酸濃度(本発明で云う珪酸とは
含水珪素酸化物を意味し、その濃度は珪素源を無水二酸
化珪素;SiO2に換算した重量%を示す。)を高めるこ
とで向上する。溶出液中の珪酸の高濃度化は、その緩衝
能によって計量余剰液としての繰返し使用に於ける水分
等の蒸発や二酸化炭素等の酸性気体の吸収による溶出液
組成等の経時的変動等を抑制し、経時処理安定性を向上
させる。
【0015】しかしその一方で、溶出液緩衝能の向上は
溶出液の光導電層への浸透速度を抑制させるため、可溶
化光導電層除去時点で溶出が完了する様に溶出条件を設
定して見掛けの溶出程度を揃えると、低珪酸濃度の溶出
液よりも印刷時の地汚れ発生の頻度が高くなる。また、
本発明に係わる処理過程計量残存液廃棄方式では、計量
残存液は可溶化した光導電層成分と共に除去して廃棄す
るが、可溶化した光導電層の剥離を最小限に押えながら
版上の溶出液だけを除去し、しかもその搬送後方でこれ
らの液状物を最大限除去するには一定度溶出液を版上に
残しておくことになり、残存液中に光導電層成分を溶解
し得る溶出液成分が多く残存する様であれば、当然効率
の良い処理とは云えず、廃棄物処理の点からも好ましく
ない。
【0016】そこで、本発明に係わる上記処理方式に於
ける珪酸塩(SiO2/M2O)系溶出液では、珪酸濃度が
2〜6重量%の範囲が好ましい。珪酸濃度が2重量%よ
り低いと、溶出過程が競争的になって溶出が完了しない
内に表層の光導電層成分が溶出液中に溶解する結果、循
環再使用する計量除去溶出液の性能低下を促進するばか
りか、サイドエッチばかりが助長される一方で非画像部
光導電層の溶出が完了しない可能性が高くなる。更に、
溶出液の経時安定性の点からも実用的でない。それとは
逆に、珪酸濃度が6重量%を越えると、溶出過程はかな
り段階的となって緩衝能は向上するものの、それ以上の
高濃度化は大きな溶出能の向上に繋がらないばかりか、
液供給手段であるスプレー等の目詰まりを誘発し易くな
る。本発明に係わる溶出液中の珪酸のより好ましい濃度
は、3〜5重量%である。
【0017】また、珪酸塩系溶出液では、液中の珪酸と
アルカリ金属との含有比をグラム原子換算比で表現した
[Si]/[M]で、溶出速度を優位に規定出来る。本発明の
珪酸濃度の範囲に於ては、アルカリ剤含有率が低く[S
i]/[M](以下、溶出液中の珪素化合物及びアルカリ金
属夫々のグラム原子換算比を[Si]/[M]と記載する。)
が0.6未満では、溶出が速くなりすぎて溶出の寛容性
が損なわれると共に液計量前に可溶化した光導電層成分
が溶出液中に溶解拡散する可能性が高くなり、更に計量
除去した余剰溶出液が循環再使用中に二酸化炭素をより
多く吸収して溶出能が低下し易くなる。逆にアルカリ剤
含有率が高く[Si]/[M]が0.9を越えると溶出が緩慢
になり、見掛けは溶出が完了した様であっても印刷する
と地汚れが発生する可能性が高くなる。本発明に係わる
溶出方式に於ける溶出液のより好ましい[Si]/[M]は
0.65〜0.80である。
【0018】本発明の処理方法に係わる溶出液には珪酸
アルカリ金属塩の他に、特開昭55−25100号公報
記載のイオン性化合物、特開昭55−95946号公報
記載の水溶性カチオニックポリマ、特開昭56−142
528号公報記載の水溶性両性高分子電解質、特開昭5
8−75152号公報記載の中性塩、特開昭58−19
0952号公報記載のキレート剤、特開平1−1775
41号公報記載の液粘度調整剤、特開昭63−2266
57号公報記載の防腐剤や殺菌剤、及び各種界面活性
剤、水溶性ポリマ等の公知の成分を必要に応じ含有させ
ることが出来る。また、上記成分をより安定的に混合分
散させるため、実質的に溶出が起こらない量で溶出液有
効成分と共に最小限度の有機溶剤を添加含有させても良
い。
【0019】本発明に係わる溶出液のpHは、珪酸濃度
と[Si]/[M]とによって優位に決定されるが、更には1
2.4〜13.2が好適である。溶出時間、則ち溶出液が
光導電層と接触してから除去されるまでの時間は、短か
ければ溶出不良や印刷経時に於ける地汚れを招き、長け
れば画線細りや溶出液中への光導電層の過度の流入を招
く。溶出時間は溶出液処方等によって特定されるが、3
〜12秒の範囲、より好ましくは4〜8秒の範囲で実施
される。以上の条件を最適化することにより、短時間に
溶出が完了して印刷地汚れの発生がなく、過溶出による
過度な画線細りを防止すると共に、可溶化した光導電層
成分の溶出液への溶解を抑制して、長期に亙って安定し
た溶出処理が可能になる。
【0020】次に、本発明の処理方法を処理工程に順じ
て詳細に説明する。本発明に於ける処理工程は、少なく
とも溶出液供給工程、溶出液計量工程、及び可溶化光導
電層除去工程からなる。溶出液供給工程では、電子写真
方式によりトナー画像が形成された印刷版の光導電層面
に溶出液を過剰に供給する。溶出液供給方式は従来公知
の機構、例えばシャワー管、スライドホッパ、カーテン
コータ、ディップ方式等が使用出来るが、特にシャワー
管を用いる場合には管から吐出した溶出液を別の部材で
ある整流板や版搬送上ロール等を介して光導電層面に均
一に供給する方式が好適である。また全ての方式に於
て、より溶出時間を短縮し液供給不良を防止するため
に、液計量工程に到る間に液延展・流動促進機構を設け
て版上に供給された溶出液の置換を図ることが望まし
い。
【0021】溶出液は過剰に供給する必要があり、その
量は液計量工程通過後に版上に残る溶出液量より多くす
ることは勿論、液計量工程に到る搬送中版端部から溶出
液が流下する量であることが肝要である。これにより、
一部は非画像部光導電層を膨潤可溶化させ、余剰分は版
上を流動して被溶出部に於て既にある溶出液と一部置換
しながら版端部より流下する。従って、版端部では液置
換が頻繁に起こり、光導電層界面近傍の溶出液流動速度
が上昇することによって、版内溶出変動が抑制される。
より具体的な溶出液供給量は、0.5〜20dm3/m2
ある。
【0022】溶出液計量工程搬入直前では非画像部光導
電層をほぼ可溶化させて、次に溶出液計量工程にて液計
量手段により少なくとも版上にある溶出液を一定量残し
て余剰液を計量除去する。本発明に係わる液計量に於て
は、可溶化した光導電層を除去する直前に溶出が完了す
る様に溶出液を残す。液計量残液量は、多いと必然的に
溶出液消費量が増加して溶出効率が低下するし、液計量
後にも可溶化が進行してサイドエッチの悪化を招く。逆
に液計量残液量が少なすぎると、結果として除去液の粘
性が著しく上昇し、応々にして連続製版では可溶化光導
電層除去手段に除去液が蓄積して除去効果が低減する
し、液計量部で可溶化した光導電層が剥離する可能性が
高くなって好ましくない。好ましい液計量残液量は30
〜120g/m2が良く、更には40〜100g/m2が好
適である。
【0023】本発明に係わる液計量工程に於ける液計量
具としては、版搬送方向に対し何等かの駆動伝達により
回転可能であって、少なくとも版表面に対し回転方向全
てに計量幅方向に対し均一に接触し、液計量時は可溶化
した光導電層の剥離を抑制防止する形状を有することが
肝要である。本発明に用いることの出来る液計量具とし
ては、軸回りに一定直径の細いワイヤを螺旋状に巻付け
たワイヤバー、溝付きロール、プレーンバー、軽量のゴ
ムロール等が挙げられるが、計量液量の調整の簡便さや
可溶化した光導電層成分の剥離流失の抑制等の観点か
ら、回転軸にワイヤを巻付けたワイヤバーが本発明に好
適に使用される。液計量具は、回転軸をある周速で順方
向或は逆方向に強制的に回転させても、また少なくとも
版通過時にのみ回転する様にしても良い。
【0024】液計量工程を経た印刷版は可溶化光導電層
除去工程に入り、除去手段により非画像部に残る可溶化
した光導電層を除去し、更に次工程へ搬送される。液計
量工程で液計量が好適に行われれば、更なる可溶化の進
行はかなり抑制されるが、とは云えサイドエッチの悪化
を防止するため、液計量後可溶化光導電層除去時間はよ
り短時間、好ましくは1秒以下で除去工程にて可溶化し
た光導電層を除去することが望ましい。可溶化光導電層
除去工程で除去された液は、その殆どが可溶化した光導
電層及び疲労溶出液なので、廃棄処分とすることが望ま
しい。また、少なくとも廃液に含まれる溶出液量分は補
充液を補充して、循環液量の確保と溶出活性度の保持に
努めることが望ましい。
【0025】本発明に係わる除去手段としては、エアナ
イフ、ゴムブレード、弾性ロール、回転及び非回転(固
定或は摺動等)ブラシ、及びモルトンロール等を用いた
方法等が挙げられる。弾性ロールは、ロール対の間に印
刷版を通してそのニップ圧によって版面の溶出液を除去
出来、ゴムブレードは少なくとも版との接触面が滑らか
な弾性材を印刷版の搬送路に沿わせた状態で配置し、版
面と摺接させることにより版面の溶出液を取除くことが
可能である。これらに用いられる弾性材としては、シリ
コーンゴム、ネオプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプ
ロピレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、及びテフロン
コートゴム等が挙げられ、その硬度は20〜75度、よ
り好ましくは25〜50度が良い。ゴム硬度は、弾性ロ
ールに用いる場合は低目の方が良く、ブレードに用いる
場合には高目の方が良い。
【0026】ゴムブレードの設置に当たっては、その下
に搬送速度以上の周速で回転するバックアップロールを
設けたり、版先頭部がゴムブレード通過した直後に加
圧する様、搬送不良の誘発を防止するための何等かの機
構を設けることが望ましい。また、モルトンロール及び
ブラシによる除去では、可溶化した光導電層の剥離除去
を促進するために、少なくとも除去時に少量の処理液を
供給しても良い。本発明に於ては、機構上の保守管理負
担の軽減、廃液量の低下、除去効率、及び溶出品質の低
下防止等の総合的理由から、ゴムブレードが好適に用い
られる。
【0027】最後に本発明に於て処理する電子写真平版
印刷版の構成及びその製版工程を説明する。本発明に於
て処理する電子写真平版印刷版は、導電性支持体上に光
導電層を設けてなり、通常の電子写真現像方式によりト
ナー画像を形成し得るものである。電子写真平版印刷版
に用いられる導電性支持体としては、導電性表面を有す
るプラスチックシート、またはアルミニウム、亜鉛、銅
−アルミニウム、銅−ステンレス、クロム−銅等のバイ
メタル、クロム−銅−アルミニウム、クロム−銅−ステ
ンレス等のトライメタル等の金属板等を基体とし、少な
くとも光導電層を設ける面は親水化処理が施された導電
性支持体が挙げられる。また、それらの厚みは0.07
〜2.0mm、より好ましくは0.1〜0.5mmが良
い。これらの基体中でもアルミニウム板が好適に使用さ
れる。このアルミニウム板は、アルミニウムを主成分と
し微量の異元素を含有しても良く、従来公知・公用の素
材を適宜使用することが出来る。
【0028】所望の表面性状を光導電層を設ける支持体
面に持たせるため、公知の方法で砂目立て、陽極酸化す
ることが好ましい。砂目立て処理に先立って、所望によ
り界面活性剤またはアルカリ水溶液による脱脂処理を施
しても良い。砂目立て処理方法には、機械的粗面化法、
電気化学的粗面化法、及び化学的表面選択溶解法等があ
る。粗面化された基体は、必要に応じてアルカリエッチ
ング処理及び中和処理して用いる。処理された基体は、
その表面に酸化皮膜を形成させるために陽極酸化処理す
る。陽極酸化皮膜量は0.1〜10g/m2が良く、更に
は1〜6g/m2が好適である。
【0029】この様にして得られた支持体表面処理面に
所望の電子写真光導電層を設けて電子写真平版印刷を得
ることが出来る。本発明に係わる電子写真平版印刷版の
光導電層には、公知の光導電性化合物を、単独または2
種類以上混合して用いることが出来るが、本発明に係わ
る電子写真平版印刷版の光導電層に於ては少量で所望の
電子写真特性が得られる光導電性フタロシアニン系顔料
が有利に用いられる。特に、レーザ等の光源の対応して
長波長領域に於いても優れた実用光感度を有するχ型無
金属フタロシアニン及びチタニルフタロシアニンが好適
である。
【0030】本発明に係わる電子写真平版印刷版の光導
電層には、更に少なくとも結着樹脂を併用する。本発明
に係わる結着樹脂の具体例としては、スチレン/マレイ
ン酸モノエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル
酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタク
リル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸
エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、
及び酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共
重合体等の、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、
酢酸ビニル、及び安息香酸ビニルモノマ等と(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等、若
しくは無水マレイン酸及びフマル酸のモノエステル等の
カルボキシル基含有モノマとの共重合体が挙げられる。
【0031】本発明に係わる電子写真平版印刷版の光導
電層に於ける光導電性化合物と結着樹脂との混合比は、
所望の電子写真特性及び製版特性等の諸特性を満足する
様に決定すれば良い。一般的には光導電性化合物の含有
量が少ないと低感度となり、逆に多いと塗布性等の液特
性及びより一層の電子写真特性の向上を期待出来ないこ
となどから、結着樹脂100重量部に対して光導電性化
合物は5〜40重量部の範囲で使用することが望まし
い。また、光導電層膜厚は、薄いとトナー現像に必要な
電荷が帯電出来ず、トナー画像が掠れたりリークによる
被りを誘発し、逆に厚いと溶出液の劣化を促進するばか
りか溶出の際にサイドエッチを誘引して良好な画像再現
性が得られないため、好ましくは0.8〜6μmが良
い。
【0032】本発明に係わる電子写真平版印刷版は、常
法に従って光導電層を導電性支持体上に塗布して得られ
る。塗布液は、光導電層を構成する各成分を適当な溶媒
に溶解分散して調製するが、光導電性化合物がフタロシ
アニン等の様に溶媒に不溶な成分である場合は、ボール
ミル、ダイノミル、或はペイントシェィカー等の分散機
により平均粒径0.4μm以下、より好ましくは0.2μ
m以下に分散して用いる。また、光導電層には必要に応
じ、光導電性化合物及び結着樹脂の他に光導電層の柔軟
性、塗布表面状態等の膜物性を改良する目的で、可塑
剤、界面活性剤、その他の添加物を添加することが出来
る。光導電層に使用する添加剤は、光導電性化合物の分
散時或は分散後に添加することが出来る。
【0033】本発明に係わる電子写真平版印刷版は、公
知の操作によってトナー画像を形成させる。則ち、暗所
で実質的に一様に帯電させ、画像露光により静電潜像を
形成させ、しかる後にトナー現像する。露光方法として
は、キセノンランプ、タングステンランプ、蛍光灯等を
光源とした反射画像露光、透明陽画フィルムを通した密
着露光や、レーザ光、発光ダイオード等による走査露光
が挙げられる。次に静電潜像をトナーによって現像す
る。現像方法としては、乾式現像法及び液体現像法の何
れも使用出来るが、微細なトナー画像が形成出来、再現
性良い印刷版を作製するためには液体現像法が好適であ
る。特に、レーザ光による走査露光を行なうのであれ
ば、非画像部にトナー被りの発生の少ない反転現像が有
利である。形成されたトナー画像は公知の定着法により
定着する。
【0034】トナー現像を完了した電子写真平版印刷版
は、次に本発明に係わる溶出液により非画像部光導電層
を溶出し、続いて水洗液で処理して版面を洗浄する。水
洗処理は、水洗液で速やかに版上に残存する可溶化した
光導電層と溶出液とを完全に除去し得なければならな
い。給液は飛散が抑制出来る機構であれば可溶化した光
導電層に直接供給しても良いし、特公平3−27038
号公報記載の溶出促進部材を水洗機構に応用しても良
い。本発明の処理方法で用いる水洗液は、使捨て方式で
も循環再使用方式でも良く、或は所望によりその他の方
式も利用出来る。
【0035】非画像部光導電層を除去した電子写真平版
印刷版は、版面の耐傷強度の向上及び非画像部不感脂化
等の目的で、保護ガム処理される。本発明に用いること
の出来る保護ガム液には、高分子化合物、親油性物質、
及び界面活性剤等を含み、これらの試剤は全て公知のも
のが利用出来る。
【0036】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその目的を逸脱しない限り下記の実施例に
限定されるものではない。また、本発明の実施例に係わ
る溶出液中の珪酸濃度はSiO2換算量をもって表し、同
様に珪酸化合物及びアルカリ金属(Mで表わす)夫々の
グラム原子換算比を[Si]/[M]と記載する。
【0037】実施例1 JIS1050アルミニウム(0.3mm厚)を60℃、
10%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、アルミニウム
溶解量が6g/m2になる様にエッチングした。水洗後、
30%硝酸水溶液に1分間浸漬して中和し、充分水洗し
た。次に、3.0%塩酸水溶液中で35A/dm2、50秒
間電解粗面化を行ない、50℃、20%硫酸水溶液中に
浸漬して表面を洗浄した後、水洗した。更に、20%硫
酸水溶液中で陽極酸化処理を施して、表面にアルミニウ
ム酸化物皮膜を形成させ、水洗後乾燥することにより印
刷版用支持体を作製した。この支持体表面処理面に、ペ
イントシェィカーにて1時間分散させた表1記載の組成
の光導電層形成用塗液を固形分塗布量4.2g/m2とな
る様塗布後、90℃、3分間乾燥して電子写真平版印刷
原版を作製した。
【0038】
【表1】
【0039】得られた電子写真平版印刷原版を遮光して
50℃で2時間加温後室温まで放冷した。この印刷原版
を、暗所にて表面電位が約+280Vになる様帯電さ
せ、半導体レーザ(780nm)を用いて走査画像露光
し、直ちに正電荷液体トナー(三菱製紙(株)製、LOM-
ED III)にて反転現像を行ない、冷風乾燥してトナー
分散媒を除去後、トナーを熱定着して光導電層上にトナ
ー画像を形成させた。以上で得られたトナー現像済み印
刷版について、下記に示す様な処理装置を用いて製版処
理を行なった。
【0040】図1に本実施例で用いた電子写真平版印刷
版の処理装置を示す。本処理装置の基本構成は、溶出液
塗布ゾーンA、可溶化光導電層除去廃棄ゾーンB、リン
ス処理ゾーンC、及び保護ガム塗布ゾーンDの4ゾー
ンからなり、印刷版は矢印の方向から印刷版搬送ライン
1に挿入することによりロール対に挟持されて自動搬送
されると共に製版処理に供される様になっている。
【0041】溶出液塗布ゾーンAは更に、溶出液供給管
27、整流板28、及び給液ロール11aからなる溶出
液供給部と、液計量具47及びガイドロール13からな
る溶出液計量部とで構成される。液計量具47は、回転
軸51に線径250μmのステンレスワイヤ50を螺旋
状に稠密に巻付けたワイヤバーを使用した。ワイヤバー
の回転軸51への強制駆動伝達は行なわず、液計量時に
は並進する印刷版との自重による接触によって回転が伝
達される様になっている。循環溶出液16は溶出液供給
管27より吐出され整流板28で整流されて、給液ロー
ル11aを介して版面に供給される様になっている。ま
た、溶出液計量部で計量された溶出液は、循環溶出液貯
液槽3上方に設置された液誘導板75上を流動して液落
下孔78より再び循環溶出液貯液槽3に回収される。
【0042】循環溶出液貯液層3には液計量残液量に相
当する分を溶出補充液にて補充される。溶出補充液19
の補充は、循環溶出液16が一定量減量した後であっ
て、印刷版が液計量具47を通過直後、補充液貯液槽7
から補充ポンプ94、配管122、及び補充液供給管5
4を経て液計量具47に供給され、液計量具47を洗浄
しながら循環溶出液16と共に溶出液循環に供する。
【0043】可溶化光導電層除去廃棄ゾーンBは、可溶
化光導電層除去手段であるゴムブレード22、バックア
ップロール20、及びバックアップロール清浄ブレード
23からなる可溶化光導電層除去部、ゴムブレード22
に循環処理液を供給する洗浄除去液供給管52を含む洗
浄除去液供給手段、及び除去廃液一次貯留槽4で構成さ
れる。ゴムブレード22の加圧は、可溶化した光導電層
の除去が最適に実施される範囲でバックアップロール2
0との接触幅が最低になる様調整した。ゴムブレード2
2によって掻落とされた液は、除去廃液一次貯留槽4に
一時的に貯留されるが、バルブ104を解放すること
で、配管114を経て除去廃液二次貯留槽9に廃棄され
る様になっている。
【0044】リンス処理ゾーンCは、2本の循環処理液
供給管37及び38から循環リンス液貯液槽5に貯留さ
れた循環リンス液36を直接版面に供給する循環リンス
液供給部、及び搬送ロール対31及び32に並列して配
置され、圧搾空気と共に未使用リンス液をスプレーガン
33から吐出させて供給する未使用リンス液供給部から
構成されている。未使用リンス液39の供給は、図示し
ない未使用リンス液供給制御手段により印刷版先頭部が
搬送ロール対31に到達してから、印刷版後端部が搬送
ロール対32を通過するまで吐出する様に設定されてい
る。
【0045】保護ガム液塗布ゾーンDは、保護ガム液供
給管45、表面粗面化液計量ロール43、給液ロール4
0、及び下部ガイドロール41からなる保護ガム液供給
部、保護ガム液46を貯留する保護ガム液貯液槽8、及
び余剰の保護ガム液を受液する保護ガム液一次貯留槽6
からなる。保護ガム液供給管45から供給された保護ガ
ム液は、表面粗面化液計量ロール43によって計量され
て印刷版に塗布され、ロール対40及び41によって延
展され絞液される。絞液された余剰液は、最終的に除去
廃液二次貯留槽9に廃棄される様にしてある。
【0046】製版処理には、表2から表6に記載の組成
を有する処理液を用いた。また、溶出補充液、未使用リ
ンス液、及び保護ガム液は、使用減量に応じて適宜夫々
の貯液槽び補充した。尚、溶出時間は版搬送速度と可溶
化光導電層除去部搬入直前の光導電層の可溶化との関係
から調整した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】以上の処理装置及び各処理液を用いて製版
した。ワイヤバー液計量前の印刷版上に滞留する溶出液
には、見掛け上光導電層成分(フタロシアニン)が溶解
拡散しなかった。同条件で1000版製版したところ、
これら全ての製版物に溶出不良は観られなかった。ま
た、製版開始10版目、200版目、500版目、及び
1000版目の製版物のサイドエッチを測定したとこ
ろ、各製版物間の変動も殆どなく測定した全てが片側3
〜6μmの範囲にあった。次に、これらの印刷版をオフ
セット印刷機(リョービ 3200 MCD)にて各1万
枚印刷したところ、全てに印刷地汚れの発生はなく、良
好な印刷物が得られた。
【0053】1000版製版後の循環溶出液貯液槽3内
の溶出液は、蒼変したものの溶出液或は混入した光導電
層成分に由来する不溶物の生成も極く僅かであり、液p
Hの降下も0.1程度であった。そこで、溶出性及び印
刷性を観ながら各処理液を交換することなく同条件で更
に製版を続行して計2000版製版したが、何等問題な
く製版出来た。
【0054】実施例2 実施例1で用いた溶出液及び溶出補充液に換えて表7及
び8記載の処理液を用いた他は、実施例1と同一の製版
装置及び処理液を用いて製版処理した。
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】以上の処理装置及び各処理液を用いて実施
例1と同一条件で処理したところ、液計量前の印刷版上
に滞留する溶出液に可溶化した光導電層成分は殆ど拡散
して来なかった。同条件で1000版連続製版したとこ
ろ、全ての製版物に溶出不良は発生しなかった。また、
製版物200版毎のサイドエッチはどれも片側3〜6μ
mの範囲にあった。更にこれら製版物の印刷汚れを検討
したところ、実施例1と同様地汚れのない良好な印刷物
が得られた。処理液を交換せずに更に1000版製版し
たが、何等問題なく製版出来た。
【0058】実施例3 珪酸源として実施例2で用いた珪酸ナトリウムを用い、
アルカリ剤として水酸化カリウムを用いて、珪酸濃度を
変えつつ実施例1と同条件(搬送速度)で処理が行える
様に[Si]/[M]を裁定し、表9記載の組成を有する溶出
液を調製した。得られた溶出液以外は実施例1と同様の
製版装置及び処理液で夫々500版製版して溶出液特性
を評価した。尚、溶出補充液は未使用の溶出液を充て
た。
【0059】
【表9】
【0060】処理及び製版物の評価を(1)〜(3)の項目
について以下の内容で行なった。則ち、「溶出過程」は
液計量前印刷版上を流動する溶出液及び計量除去された
余剰液中への光導電層成分の混入を循環溶出液の着色程
度から評価し、「印刷性」は製版して得られた印刷版を
一般的印刷条件で5000枚印刷後更にガム引きせずに
室温で半日放置(置き版)して再印刷した場合の非画像
部に対応する部分の地汚れの程度を評価し、「目詰ま
り」は溶出液供給管27の経時での吐出孔の目詰まりの
程度を評価した。
【0061】製版の結果、珪酸濃度が1.5重量%なる
溶出液(溶出液C;本発明外)を用いて処理すると、計
量除去時にワイヤバーによって可溶化した光導電層成分
が剥離され、余剰溶出液中へ混入するばかりか、計量前
印刷版上に流動する溶出液へも可溶化光導電層成分が拡
散し、比較的初期製版段階から循環溶出液の透明性は損
なわれた。液計量前の印刷版上に流動する溶出液への可
溶化光導電層成分の拡散は、珪酸濃度が2重量%以上に
なるとかなり抑制される様になり、少なくとも珪酸濃度
2.5重量%以上の溶出液(溶出液E〜I)を用いて処
理すれば、循環分溶出液は珪酸濃度に応じて相当の透明
度が得られた。
【0062】また、緩衝能をもたらす珪酸含有量が少な
いと、製版装置中に貯留するだけで液pHが下降し、溶
出液へ可溶化光導電層成分が混入することで更にpHが
降落するため、溶出液Cは経時で見掛け上サイドエッチ
幅は狭くなるものの、500版製版する以前に溶出不良
が誘発した。更に少なくとも300版製版時点では通常
印刷に於て地汚れが発生し、良好な印刷物は得られなか
った。珪酸濃度が2重量%である溶出液Dを用いて処理
すると、実施例2では印刷地汚れが発生しなかったもの
の、補充液として未使用の溶出液を補充したこともあ
り、置き版に於て若干地汚れが発生した。その他の溶出
液を用いて処理すれば、通常印刷は勿論置き版に於ても
地汚れは発生せず、良好な印刷物が得られた。
【0063】溶出過程や印刷性は珪酸塩濃度を高めるこ
とで改善される一方、溶出液の乾燥による白粉の発生は
珪酸塩高濃度化により悪化する。溶出液中の珪酸濃度が
6重量%辺りから溶出液供給管の目詰まりが目立ち始
め、溶出液中の珪酸濃度が少なくとも6.5重量%(溶
出液I;本発明外)では、製版間が長くしかも溶出液を
循環させないでおくと、溶出液供給開始直後は目詰まり
が解消されず、特に版搬送先端部に部分的に給液不良に
起因する溶出不良が発生する場合があった。
【0064】実施例4 珪酸源として実施例2溶出補充液Bの調製に用いた珪酸
ナトリウムを用い、アルカリ剤として水酸化カリウム及
び水酸化ナトリウム等量混合物を用いて、表10記載の
組成を有する溶出液を調製した。得られた溶出液以外は
実施例1と同様の製版装置及び処理液を用い、版搬送速
度は可溶化光導電層除去部搬入直前の光導電層の可溶化
との関係から最適化して、実施例3と同様に夫々500
版製版して溶出液特性を評価した。得られた結果も表1
0に記載する。
【0065】
【表10】
【0066】製版の結果、溶出液の[Si]/[M]が低く
0.58(溶出液J;本発明外)であると、液pHが高い
ために溶出時間がかなり短縮されるが、その結果搬送速
度を速めなければならず、印刷に悪影響しないもののリ
ンス処理で版面を完全に洗浄することが出来なかった。
また、アルカリ剤を多く含有するため二酸化炭素を吸収
し易く、かつ搬送が速いことでワイヤバーが可溶化した
光導電層を剥離させ易くなって溶出液へ可溶化光導電層
成分が多く混入することにより、液pHとこれに付帯す
るサイドエッチの変動は最も大きかった。これらの欠点
は[Si]/[M]を高めることで改善の方向に向い、[Si]/
[M]が0.65(溶出液L;本発明)であれば、まだ若干
可溶化した光導電層を剥離させるものの、実用的処理機
能を一応満足する製版が行なえる様になった。
【0067】更に[Si]/[M]が高く(則ち、アルカリ剤
含有量が低く)なるに連れ溶出速度は緩慢となるが処理
は安定化し、循環分溶出液は[Si]/[M]に応じて相当の
透明性が得られた。また、サイドエッチの変動も[Si]/
[M]の上昇に伴って安定化した。一方、このことは光導
電層への可溶化剤の浸透が抑制されることを意味してお
り、光導電層の支持体側界面近傍が最もその影響を受け
るため、[Si]/[M]が最も高く0.92なる溶出液(溶
出液O;本発明外)で製版処理した印刷版は、フタロシ
アニンの蒼味は取れて見掛けは溶出が完了している様で
あっても、地汚れが発生して良好な印刷物が得られなか
った。
【0068】また、[Si]/[M]が高くなるとアルカリ剤
含有量が低下するために保水性が悪化し、溶出液は乾燥
固化し易かった。そのため、溶出液N及びOでは溶出液
供給開始直後は目詰まりが解消し難くなり、特に溶出液
Oに於ては版搬送先端部に部分的に給液不良に起因する
溶出不良が発生する場合があった。
【0069】実施例5 実施例1で用いた処理装置に於て、液計量具47に用い
たワイヤバーの換わりにゴム硬度30度のニトリルブタ
ジエンゴムスクイズロールを装着した。スクイズロール
は軸に直接駆動を伝達させたり加圧したりせず、ガイド
ロール13とロールの自重で接触して回転する様になっ
ている。また、溶出液及び溶出補充液を以下に示す処方
の液に夫々交換し、その他の処理液はそのまま用いた。
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】以上の処理装置及び各処理液を用いて製版
したところ、実施例1と同様液計量前の印刷版上に滞留
する溶出液は勿論、スクイズロールによって計量除去さ
れた余剰の溶出液中にも殆ど光導電層成分の混入は観ら
れなかった。同条件で1000版連続製版したところ、
全ての製版物に溶出不良は発生せず、また製版開始10
版目、200版目、500版目、及び1000版目の製
版物のサイドエッチを観たところ、殆どが5μm以下で
あった。更に印刷汚れを検討したところ、実施例1と同
様地汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0073】1000版製版後の循環溶出液貯液槽3内
の溶出液は殆ど蒼染せずに相当な透明性を有し、製版期
間中の溶出液pHの変動(最大値と最小値との差)も
0.23であった。2000版製版後に循環リンス液3
6を未使用液に交換した以外は同条件で更に製版を続行
し、その他の処理液は交換せずに計3000版まで製版
したが、実施例1と同様に溶出性及び印刷性等全てに問
題なく製版出来た。
【0074】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の電子写真平
版印刷版の処理方法によって電子写真平版印刷版を処理
すれば、版全面を均質に溶出出来るばかりでなく、溶出
液の循環再使用による可溶化光導電層の混入等に起因す
る液性劣化を抑制して多数枚に亙って安定した溶出処理
が可能となる、秀逸なる効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真平版印刷版の処理方法を実施
する際に用いた処理装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
A 溶出液塗布ゾーン B 可溶化光導電層除去廃棄ゾーン C リンス処理ゾーン D 保護ガム液塗布ゾーン 3 循環溶出液貯液槽 7 補充液貯液槽 13 ガイドロール 16 循環溶出液 19 溶出補充液 20 金属ガイドロール 22 ゴムブレード 47 液計量具

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に光導電層を設けた平版
    印刷原版に、電子写真法によりトナー画像を形成させ、
    次いで印刷版光導電層面に過剰に溶出液を供給してトナ
    ー画像部以外の非画像部光導電層を略膨潤可溶化させた
    後、液計量具により版上の溶出液を一定量に計量し、そ
    の搬送後方でかつ洗浄処理に先だって残存溶出液と可溶
    化した光導電層とを除去する電子写真平版印刷版の処理
    方法に於て、少なくとも一般式SiO2/M2O(Mはアル
    カリ金属を表す)で表現される珪酸アルカリ金属塩を含
    有し、かつSiO2濃度が2〜6重量%であってグラム原
    子換算で[Si]/[M]が0.6〜0.9なる溶出液を用いて
    処理することを特徴とする電子写真平版印刷版の処理方
    法。
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