JPH05165262A - 電子写真平版印刷版の処理方法 - Google Patents

電子写真平版印刷版の処理方法

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JPH05165262A
JPH05165262A JP35102991A JP35102991A JPH05165262A JP H05165262 A JPH05165262 A JP H05165262A JP 35102991 A JP35102991 A JP 35102991A JP 35102991 A JP35102991 A JP 35102991A JP H05165262 A JPH05165262 A JP H05165262A
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liquid
photoconductive layer
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eluate
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JP35102991A
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English (en)
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Yasuhiro Aizawa
泰洋 相澤
Sadao Kurio
貞夫 栗生
Takao Chiga
孝雄 千賀
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製版処理不良を防止して版全面を均質に溶出
出来ることは勿論、可溶化光導電層除去効率の経時的降
落や製版及び印刷品位の保持を図り、更に液交換頻度を
低下させることで廃液処理を含む保守管理の負担が軽減
される電子写真平版印刷版の処理方法を提供する。 【構成】 導電性支持体上に光導電性層を設けた平版印
刷版原版に電子写真法によりトナ−画像を形成させ、次
いでトナ−画像形成面に溶出液を供給し、その搬送後方
で可溶化した光導電層及び残存する溶出液を弾性部材の
押圧により除去した後にリンスする電子写真平版印刷版
の処理方法に於て、電子写真平版印刷版が弾性部材を通
過した後に、製版処理に使用した処理液で弾性部材を洗
浄することを特徴とする電子写真平版印刷版の処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性支持体上に光導
電層を設けた平版印刷版原版に電子写真法によりトナ−
画像を形成させた後、溶出液を供給して非画像部光導電
層の溶出除去し、続いてリンス処理を行なって印刷版を
作製するための電子写真平版印刷版の処理方法に関し、
製版不良の発生がなく長期に亙って安定した品位の処理
が行なえる電子写真平版印刷版の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真平版印刷版は導電性支持体上に
光導電層を設けてなり、電子写真方式により光導電層上
にトナ−画像を形成させ、次いでトナ−をレジストとし
てトナ−画像部以外の非画像部光導電層をアルカリ溶出
除去し、洗浄液(リンス液)を供給して版面を清浄した
後、通常保護ガム液処理される。これらの処理は通常自
動機を用いて製版されるが、従来感光性平版印刷版(所
謂PS版)を含む非画像部アルカリ除去型平版印刷版を
製版処理する装置に採用されている処理方式としては、
以下に記載の液循環再利用方式、新液使捨て処理方式、
及び処理過程計量残存液廃棄方式に大別される。
【0003】最初の液循環再利用方式は、版面に過剰量
の処理液を接触させた後、処理済み液を版上から全て除
去して循環再利用する方式であり、処理済み液の除去は
スクイズロ−ルによる絞液が一般的であるが、液供給方
法としてはロ−ル狭持して搬送する印刷版上にスプレ−
及びシャワ−等から処理液を直接或はロ−ル及び/また
は整流板を介して供給する方法の他、特開平2−256
9号公報等に開示の様に処理液槽中を液中ガイドロ−ル
等によって印刷版を湾曲浸漬(ディップ方式)させ、液
中シャワ−によって処理液を対流循環させると共に版面
に供給する方法や、実開平1−160443号公報に開
示の様に印刷版を対向面に多数の突起を有する斜傾保持
された一対のガイド板間を搬送し、ガイド板搬送方向上
方端面から液供給する方法等、多数枚製版による液性劣
化を防止抑制するための補充液補充方法と共に、従来か
ら種々の応用例が開示されている。
【0004】二番目の新液使捨て処理方式は、特開昭6
2−238564号公報等に開示の様に、液供給スリッ
トのギャップやワイヤバ−のワイヤ径等の調整によっ
て、版面に処理液を供給する前に必要最低量を前計量し
て一版毎に新液を供給し、場合に応じて処理促進手段を
処理過程で施した後、処理済みの疲労処理液は可溶化し
た非画像部と共に除去廃棄する方式である。
【0005】最後の処理過程計量残存液廃棄方式は、特
開昭62−59957号公報等に開示の様に、版面に一
旦過剰量の処理液を供給した後にアルカリ現像が進行し
ない時間内に処理液を一定量に計量して余剰液は循環再
塗布、計量後の版上の処理液は現像完了後に可溶化した
非画像部と共に廃棄する方式で、特開昭63−1635
3号公報には版先頭部の製版不良を改善するため、液計
量後更に版先頭部に液計量時に除去した処理液を循環再
供給する方式である。
【0006】電子写真平版印刷版の処理関係では、特公
平1−60824号公報に記載の如くエッチング(本発
明で云う溶出)工程に於てエッチング液で膨潤された非
画像部光導電層の掻落とし部を有さず、次工程でリンス
液を供給して掻落とすことにより、少なくともエッチン
グ液への光導電層組成の機械的強制流入を抑制する方法
や、特開平2−93474号公報記載の様に特開昭62
−59957号公報及び特開昭63−16353号公報
に開示の技術を改良或は応用した方法が開示されてい
る。
【0007】これらの方式の内、液循環再利用方式では
余剰液を循環再使用するので、見掛け上廃液量を減少さ
せることが出来るが、従来非画像部光導電層は処理液に
よる溶解除去工程中に殆ど全てが版上より処理液中に除
去されるため、例え処理液に液補充等を行なってそれ自
体は所期の処理特性を保持していても、流入した光導電
層を多く含有する処理液では槽内や液循環系、処理部搬
送部位等に液固着が起こり液供給量の低下や液供給方式
としてスプレ−を用いればその孔の目詰まり等種々の悪
影響を及ぼすばかりか、光導電層組成物の印刷版支持体
上への再付着による印刷汚れを誘引する残膜をもたらす
場合がある。また、溶出部に於て非画像部光導電層を機
械的に強制除去しなくても、溶出液処方や液供給方法、
溶出時間等によっては、光導電層が過剰の溶出液と共に
版上より流失したり、流失せずとも溶出処理中に過溶出
になる場合がある。
【0008】一方、新液使捨て処理方式では処理変動を
防止出来る反面、液循環再使用方式に比してより多量の
処理液を必要とするし、必然的に多量の廃液を出す結果
となる。また、必要最低量を供給しようとして液量を絞
ると、応々にして処理液が版全面を均一に被覆しないこ
とがあり、特にその傾向は版先頭部に強く発現し、結果
として処理欠陥となる。殊に電子写真平版印刷版の製版
処理に於ては、電子写真光導電層は一般的PS版感光層
に比して除去すべき層が厚く、しかもトナ−画像部光導
電層と雖もアルカリ難溶性ではないために、過処理では
サイドエッチと呼称される画像細りが誘発する等、処理
条件に厳格さが要求されるため、この処理方式はあまり
適さない。
【0009】そこで、両者欠点を解消し長所を合せ持つ
処理方式が上記の処理過程計量残存液廃棄方式である。
この方式は、アルカリ現像液は版に供給してから直ちに
現像に必要な液量を残して計量するため、計量除去液に
は非画像部光導電層成分の混入が殆どなく、更にはアル
カリ現像に必要な最低量の供給消費及びそれに見合った
液補充によって、経時での空気中の炭酸ガスの吸収溶解
によるアルカリ度の低下に起因する経時疲労劣化を抑制
し、実質的に液使い捨て方式と同様に常にほぼ新液状態
で製版が出来、処理液循環再利用方式の様な経時的影響
を受け難い。また、例え現像液が結果として版上に供給
されない部分が発生したとしても、現像開始前に液計量
具によって液の延展がなされるため、処理ムラが軽減さ
れる。
【0010】従って、上記溶出(アルカリ現像)方式を
採れば、少なくとも溶出処理は少量の溶出液の消費で比
較的長期に亙って安定して行なえるが、新液使捨て処理
方式にも共通する問題として、溶出後に除去廃棄する可
溶化した光導電層成分及び版上に残存する溶出液の除去
手段及び除去効率如何では、次工程のリンス処理に多大
な影響を及ぼすばかりか、経時的要因を加味すれば製版
及び印刷品位の降落を招く恐れさえある。則ち、除去手
段に関係なく除去効率の低下は次工程以降の処理液への
除去物の混入量の増大を意味し、液pHの上昇によるサ
イドエッチの悪化や除去物中の処理液不溶物による循環
系の機能低下をもたらす。また、除去手段により差異が
生ずるとしても、処理装置の経時的断続使用は処理手段
への除去物の固着が、除去物除去時のトナ−レジストの
剥離や印刷版非画像部親水性層の機械的破壊(則ち、イ
ンク受理部の形成)を招く結果となる。
【0011】そこで上記事項を考慮して除去手段を選定
すると、従来エアナイフ等による非接触方式やブラシロ
−ル、モルトンロ−ル、及びスクイズロ−ル等の回転接
触方式、掻取りブレ−ド等の擦拭方式等が知られている
が、除去手段としてエアナイフやブラシロ−ルを用いれ
ば除去物の飛散及び周辺部からの除去物落下による再付
着の可能性があり、モルトンロ−ルを用いればその表面
特性から周接部に強固な固着皮膜を生成して除去効率の
低下を招き、ロ−ルの保守(交換)が煩雑になる。スク
イズロ−ル及び掻取りブレ−ドは、上記三種の除去手段
に比較すれば除去効率の経時的降落や飛散による周辺部
の汚染を抑制或は防止出来るが、それでもそれらの下部
版搬送補助手段との接触部での除去物の蓄積は時間上の
問題であり、何らかの除去物除去手段を講ずる必要があ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性支持
体上に光導電層を設けた電子写真平版印刷版原版に電子
写真法によりトナ−画像を形成させた後、トナ−画像部
以外の非画像部光導電層の溶出除去を行なって印刷版を
作製するための電子写真平版印刷版の処理方法に於て、
サイドエッチを抑制しつつ残膜等の溶出不良を防止し
て、版全面を均質に溶出することは勿論、液循環再使用
による可溶化光導電層の混入に起因する液性劣化を抑制
して長期に亙って安定した溶出及びリンス処理が行な
え、各処理液の交換頻度を大幅に低下させることで廃液
と保守管理の負担を軽減する処理方法を提供することに
ある。更に詳しくは、非画像部光導電層の溶出除去に用
いる除去手段に付着する除去物を除去して、除去効率の
経時的降落や製版及び印刷品位の保持を図る電子写真平
版印刷版の処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
検討を重ねた結果、トナ−画像が形成された電子写真平
版印刷版原版の光導電層面に溶出液を供給し、弾性部材
の押圧により可溶化した光導電層及び版上に残存する溶
出液を除去した後にリンス処理する電子写真平版印刷版
の処理方法に於て、電子写真平版印刷版が弾性部材を通
過した後に、処理に使用した処理液で弾性部材を洗浄す
ることにより達成された。
【0014】則ち本発明は、導電性支持体上に光導電層
を設けてなる電子写真平版印刷版原版に、電子写真方式
によりトナ−画像を形成させ、次いで該平版印刷原版を
搬送しながらトナ−画像形成面に溶出液を供給し、その
搬送後方で弾性部材の押圧により可溶化した光導電層及
び版上に残存する溶出液を除去した後、リンス処理する
電子写真平版印刷版の処理方法に於て、処理中に弾性部
材に蓄積する除去物の製版及び印刷への影響及び除去効
率低下に起因する保守管理負担の増加を抑制或は防止す
ることを意図し、電子写真平版印刷版が弾性部材を通過
した後に、処理に於て使用した処理液を弾性部材に供給
して洗浄することを特徴としている。
【0015】以下、本発明の処理方法を処理工程に順じ
て詳細に説明する。本発明の処理方法に於ける処理工程
は、少なくとも溶出液供給工程、可溶化光導電層除去工
程、及びリンス処理工程からなり、更に処理工程に於て
使用された少なくとも1種類の処理液を可溶化光導電層
除去工程に於て使用している除去手段に供給して洗浄し
得る洗浄手段を付帯する。
【0016】溶出液供給工程では、電子写真方式により
トナ−画像が形成された電子写真平版印刷版の光導電層
面に溶出液を供給する。溶出液供給方式は従来公知の機
構、例えばシャワ−、スライドホッパ、カ−テンコ−
タ、ディップ方式等が使用出来るが、特にシャワ−を用
いる場合には管から吐出した液を別の部材、例えば整流
板や版搬送上ロ−ル等、を介して溶出液を整流して光導
電層面に均一に供給する方式が好適である。また全ての
方式に於て、液供給不良を防止すると共により溶出時間
を短縮するために、可溶化光導電層除去工程に到る間に
流動促進機構を設けて版上に供給された溶出液の置換を
図ることや、溶出液を複数回に亙って供給することが望
ましい。
【0017】溶出液の最低供給量は、可溶化光導電層除
去工程に到る搬送中に版端部から溶出液が流下する量で
あることが肝要である。これにより、一部は非画像部光
導電層を膨潤可溶化させ、余剰分は版上を流動して被溶
出部に於て既にある溶出液と一部置換しながら版端部よ
り流下する。従って、版端部では液置換が頻繁に起こ
り、光導電層界面近傍の溶出液流動速度が上昇すること
によって、溶出度の版内変動が抑制される。より具体的
な溶出液供給量は、液計量工程通過後に版上に残す溶出
液量(液計量残液量)にもよるが、その2〜100倍が
良く、より好ましくは5〜30倍が良い。
【0018】溶出液が供給された電子写真平版印刷版
は、可溶化光導電層除去工程に搬送されるが、版上の溶
出液はその全てが光導電層の可溶化に消費されず、しか
も可溶化光導電層除去工程では版上の全ての液状物を除
去するため、非画像部光導電層の可溶化が終了し可溶化
光導電層除去工程に到る間に、溶出液計量工程にて液計
量手段により少なくとも版上にある溶出液を一定量残し
て計量除去することが好ましい。液計量を行なうのであ
れば、液計量時に可溶化した光導電層の混入を抑制防止
しながら、実質的に光導電層の可溶化に関与しなかった
溶出液を最大限版上から除去することが重要である。従
って、液計量後の版上に残す溶出液量(液計量残液量)
は、多いと必然的に溶出液消費量が増加して単位溶出液
量当たりの溶出効率が低下するし、液計量後可溶化光導
電層除去に到る迄に更に可溶化が進行してサイドエッチ
の悪化を招くため、液計量残液量は少ない方が望まし
い。
【0019】しかしながら、溶出液持出し量が少なすぎ
ると、結果として除去液の粘性が著しく上昇し、応々に
して連続製版では可溶化光導電層除去部(部材)に除去
液が蓄積して除去効果が低減するし、液計量部で可溶化
した光導電層が剥離する可能性が高くなって好ましくな
い。まして、液循環方式の様にアルカリ処理工程で版上
の液状物を最大限除去すると、疲労溶出液及び光導電層
成分まで混入して本発明の処理方法の意図と異なってし
まう。従って、液計量残液量は如何なる液計量手段を用
いるかにもよるが、30〜120g/m2が良く、更に好
ましくは40〜100g/m2が良い。溶出液計量工程前
に流下した溶出液は勿論、この計量除去液も殆ど溶出処
理疲労を被っていないため、これらを再循環して使用す
ることも出来る。
【0020】液計量工程で使用する液計量具としては、
版搬送方向に対し何等かの駆動伝達により回転可能であ
って、少なくとも版表面に対し回転方向全てに計量幅方
向に対し均一に接触し、液計量時は可溶化した光導電層
の剥離を抑制防止する形状を有することが肝要である。
液計量具としては、軸回りに一定直径の細いワイヤを螺
旋状に巻付けたワイヤバ−、溝付きロ−ル、プレ−ンバ
−、軽量のゴムロ−ル等が使用出来る。液計量具の回転
は、回転軸をある周速で順方向或は逆方向に強制的に回
転させても、或は少なくとも版通過時にのみ回転する様
にしても良い。また、液計量具の重量は計量精度の向上
からはある程度重い方が良いが、液計量具によっては可
溶化した光導電層の剥離が発現するため、0.2〜6.0
kgが好ましい。版への押付け重量は液計量具のみの重
量で充分にその範囲をカバ−出来るが、所望により加圧
ロ−ル等で液計量具全体を加圧しても、或はその両端に
ニップ圧をかけて実質的な押付け重量を増加させても良
い。
【0021】本発明の処理方法に好適に利用される液計
量具としては、計量液量の調整の簡便さや可溶化した光
導電層成分の剥離流失の抑制等の観点から、比較的軽量
な回転軸(バ−)にワイヤを巻付けたワイヤバ−が挙げ
られる。バ−は永久変形を受け難く軽量で断面形状の均
一な円形の円筒状物または円柱状物が望ましく、その直
径は5〜40mmが、より好ましくは10〜25mmが
良いが、単位長さ当たりの重量が重要であり、所望の重
量に調整するために肉厚と径とを考慮して部材を選定す
る必要がある。また、ワイヤは充分な強度を有し、溶出
液に侵されず巻上がりが均質になる様な各種の素材を使
用出来るが、特にステンレスワイヤが好適である。ワイ
ヤ径は0.12〜0.70mmが、より好ましくは0.1
5〜0.53mmが良い。巻付けは所望により稠密でも
一定間隔をあけて巻いても良い。
【0022】光導電層が可溶化された印刷版は、可溶化
光導電層除去工程に入り弾性部材の押圧により非画像部
に残る可溶化した光導電層と版上に残存する溶出液とを
除去し、更に次工程へ搬送される。可溶化光導電層除去
工程で除去された除去物は、その殆どが可溶化した光導
電層及び疲労溶出液なので、廃棄処分とする。また、循
環溶出液には少なくとも廃液に含まれる溶出液量に相当
する溶出補充液を補充して、循環液量の確保と溶出活性
度の保持に努めることが必要である。
【0023】可溶化光導電層除去工程に於ける除去手段
としては、弾性部材の押圧による方式を採る。本発明で
云う弾性部材とは、シリコ−ンゴム、ネオプレンゴム、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルブタジ
エンゴム、及びテフロンコ−トゴム等のゴム材であり、
これらを除去部位に使用した具体的除去具としてはスク
イズロ−ル及び掻取りブレ−ドが挙げられる。
【0024】スクイズロ−ルは、ロ−ル対の間に印刷版
を通してそのニップ圧(押圧)によって版面の除去物を
除去出来、掻取りブレ−ドは少なくとも版との接触面が
滑らかな弾性材を印刷版の搬送路に沿わせた状態で配置
し、弾性材を反面方向に彎曲させて版面と摺接させるこ
とにより、版面の除去物を取除くことが可能である。加
圧を向上させるために、掻取りブレ−ドの版接触面と反
対側に金属板等の加圧補助部材及び手段を併用しても良
い。掻取りブレ−ドの設置に当たっては、ブレ−ド下に
搬送速度以上の周速で回転する搬送ガイドロ−ルを設け
たり、版先頭部が掻取りブレ−ドを通過した直後に加圧
する様、搬送不良の誘発を防止する何等かの機構を設け
ることが望ましい。
【0025】可溶化光導電層除去工程から搬出された印
刷版は、リンス処理工程に於てリンス液を供給して僅か
ながら残存する除去物を完全に版上から除去する。リン
ス処理工程に於けるリンス液供給方式は、溶出液のそれ
と同様に従来公知の液供給機構、例えばシャワ−、高圧
スプレ−、ディップ方式等が使用出来るが、溶出処理と
異なってリンス処理はリンス液で速やかに版上に残存す
る液状物を完全に除去し得なければならない。従って、
給液は飛散が抑制出来る機構であれば版面に直接供給し
ても良いし、処理液を圧縮して或は圧縮空気と共に供給
しても良い。また、特に液流、液圧、或は液量が低い場
合には、特公平3−27038号公報記載の溶出促進部
材をリンス処理機構に利用しても良い。本発明に係わる
リンス処理で用いる処理方式は、使い捨て方式でも循環
再使用方式でも良く、或は所望によりその他の方式も利
用出来る。
【0026】リンス処理が終了した印刷版は、所望によ
り保護ガム液で処理されるが、可溶化光導電層除去工程
にて除去物を除去された印刷版は、処理に使用した1種
以上の処理液を可溶化光導電層除去工程の弾性部材除去
物蓄積部位に供給して、付着した除去物を除去する。本
発明で云う処理液とは、従来電子写真平版印刷版の製版
処理で用いられる、溶出液、溶出停止液、リンス液、水
洗液、保護ガム液等の他、処理装置の洗浄を主目的とし
た洗浄液等の一群の液を指す。弾性部材に供給して洗浄
する処理液は、本発明に於ては少なくとも1回は版面及
び/またはその反対面に供給した使用済みの液、及び/
または処理装置の洗浄に使用した洗浄液等を含有する液
を使用する。従って、例えば循環再使用する処理液であ
れば、使用済みの液が未使用液に混入した時点で、本発
明で云う処理に使用した処理液と見做すものとする。
【0027】処理に使用した処理液は所望により一旦貯
留槽に貯留した後に送液されて、弾性部材に付着した溶
出液及び光導電層成分の洗浄除去に供する。洗浄除去液
が処理工程に於て循環再使用されていた処理液であれ
ば、特に別個の貯留槽を設ける必要はなく、循環槽から
直接供給しても良い。また、弾性部材洗浄除去液専用貯
留槽を設けるのであれば、所望により使用の有無に関係
なく他の液、例えば製版処理液、希釈液、各種洗浄剤或
は光導電層成分分散剤含有液等と、少なくとも1種類の
処理使用済み処理液とを貯留槽で混合した混合液を供給
しても良い。
【0028】洗浄除去液の供給は、印刷版が弾性部材通
過中以外の任意の時間に行なっても良いが、可溶化光導
電層除去工程弾性部材を印刷版が通過した直後から一定
時間後内に行なうことが望ましい。また、弾性部材に付
着した除去物が以降の製版品質等に悪影響を及ぼさない
範囲に於ては、連続製版中には洗浄を行なわなくても良
いし、設定した洗浄時間内に次の製版物が可溶化光導電
層除去工程に搬入される場合は、洗浄途中で洗浄除去液
の供給を中断させる様にしておいても良い。洗浄除去液
供給時間及び1回の総供給液量は、液供給方式、製版条
件、及び除去物付着程度等によって裁定されれば良く、
供給(吐出)速度に変化を持たせたり断続供給しても良
い。また、異なる洗浄除去液或はタイミングで複数個の
洗浄除去液供給手段から洗浄除去液を供給しても良い。
【0029】可溶化光導電層除去工程弾性部材の洗浄に
使用された処理液は、可溶化光導電層除去工程で弾性部
材の押圧により印刷版上から除去された除去物と共に廃
棄する。除去物は粘性が高く、廃棄系に於て固着する可
能性があるから、洗浄使用済み処理液はこの固着を抑制
する効果をも有する。洗浄除去液として使用された処理
液で、本来循環再使用する処理液があれば、少なくとも
洗浄消費分に相当する補充液を補充することが望まし
い。
【0030】以上の様に、本発明の各工程の作用は、溶
出液供給工程で過剰の溶出液を版面に供給することで、
溶出液は版上を流動し更に一部は版端面より流下して溶
出の促進と液供給不良による溶出不良の抑制とを促し、
可溶化光導電層除去工程では弾性部材の押圧により版上
の溶出液と可溶化した光導電層成分とを除去することに
ある。除去工程を経た印刷版にはリンス液を版面に供給
してリンスするが、製版処理に使用した処理液の少なく
とも1種類は可溶化光導電層除去工程の弾性部材に供給
してそれに付着した除去物の洗浄に当てて、除去効率及
び製版・印刷品質の維持に努める。また、溶出液は持出
し分に相当する量の溶出補充液を補充すると共に溶出に
関与しなかった液を循環再使用し、疲労液は可溶化した
光導電層と共に除去して廃棄するので、必要最少限に近
い溶出液の消費で液交換の頻度を大幅に低下させ、もっ
て廃液と保守管理の負担を軽減する電子写真平版印刷版
の処理方法を提供することが出来る。
【0031】本発明に於て処理する電子写真平版印刷版
は、導電性支持体上に光導電層を設けてなり、通常の電
子写真現像方式によりトナ−画像を形成し得るものであ
る。電子写真平版印刷版に用いられる導電性支持体とし
ては、導電性表面を有するプラスチックシ−ト、溶剤不
透過性及び導電性にした紙、またはアルミニウム、亜
鉛、銅−アルミニウム、銅−ステンレス、クロム−銅等
のバイメタル、クロム−銅−アルミニウム、クロム−鉛
−鉄、クロム−銅−ステンレス等のトライメタル等の金
属板等を基体とし、少なくとも光導電層を設ける面は親
水化処理が施された導電性支持体が挙げられる。また、
それらの厚みは0.07〜2.0mm、より好ましくは
0.1〜0.5mmが良い。これらの基体中でもアルミニ
ウム板が好適に使用される。このアルミニウム板は、ア
ルミニウムを主成分とし微量の異元素を含有しても良
く、従来公知・公用の素材を適宜使用することが出来
る。
【0032】これら所望の表面性状を光導電層を設ける
支持体面に持せるため、公知の方法で砂目立て、陽極酸
化しても良い。砂目立て処理に先立って、所望により界
面活性剤またはアルカリ水溶液による脱脂処理する。砂
目立て処理方法には、機械的粗面化法、電気化学的粗面
化法、化学的表面選択溶解法等がある。機械的粗面化法
には、ボ−ル研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、
バフ研磨法等の公知の方法を用いることが出来る。また
電気化学的粗面化法には、塩酸或は硝酸電解液中で、交
流か直流により行なう方法がある。また、特開昭54−
63902号公報に開示の如く、両者を組合わせた方法
等も利用出来る。この様に粗面化された基体は、必要に
応じてアルカリエッチング処理及び中和処理して用い
る。
【0033】上記処理を施された基体は、その表面に酸
化皮膜を形成させるため陽極酸化処理される。陽極酸化
処理に用いられる電解質としては、硫酸、リン酸、しゅ
う酸等、或はそれらの混酸等が用いられ、その濃度は電
解質の種類によって適宜決定される。陽極酸化処理条件
は、用いる電解質により大幅に変化するため一概に特定
し得ないが、陽極酸化皮膜量は0.10〜10g/m2
良く、更には1.0〜6.0g/m2の範囲が好適である。
【0034】この様にして得られた導電性支持体上に所
望の電子写真光導電層を設けて、電子写真平版印刷版原
版を得ることが出来る。本発明に於て処理する電子写真
平版印刷版の光導電層には、少なくとも光導電性化合物
を含有するが、以下に例示する公知の光導電性化合物を
使用出来る。 a)米国特許第3112197号明細書等に記載のトリ
アゾ−ル誘導体、 b)米国特許第3189447号明細書等に記載のオキ
サジアゾ−ル誘導体、 c)特公昭37−16096号公報等に記載のイミダゾ
−ル誘導体、 d)米国特許第3542544号、同3615402
号、同3820989号明細書、特公昭45−555
号、同51−10983号、特開昭51−93224
号、同55−108667号、同55−156953
号、同56−36656号公報等に記載のポリアリ−ル
アルカン誘導体、 e)米国特許第3180729号、同4278746号
明細書、特開昭55−88064号、同55−8806
5号、同49−105537号、同55−51086
号、同56−80051号、同56−88141号、同
57−45545号公報等に記載のピラゾリン誘導体及
びピラゾロン誘導体、 f)米国特許第3615404号明細書、特公昭46−
3712号、同47−28336号、特開昭54−83
435号、同54−110836号、同54−1199
25号公報等に記載のフェニレンジアミン誘導体、 g)米国特許第3567450号、同3180703
号、同3240597号、同3658520号、同42
32103号、同4175961号、同4012376
号明細書、西独国特許(DAS)1110518号、特
公昭49−35702号、同39−27577号、特開
昭55−144250号、同56−119132号、同
56−22437号公報等に記載のアリ−ルアミン誘導
体、 h)米国特許第3526501号明細書記載のアミノ置
換カルコン誘導体、 i)米国特許第3542546号明細書等に記載のN、
N-ビカルバジル誘導体、 j)米国特許第3257203号明細書等に記載のオキ
サゾ−ル誘導体、 k)特開昭56−46234号公報等に記載のスチリル
アントラセン誘導体、 l)特開昭54−110837号公報等に記載のフルオ
レノン誘導体、 m)米国特許第3717462号明細書、特開昭54−
59143号(米国特許第4150987号に対応)、
同55−52063号、同55−52064号、同55
−46760号、同55−85495号、同57−11
350号、同57−148749号、同57−1041
44号公報等に記載のヒドラゾン誘導体、 n)米国特許第4047948号、同4047949
号、同4265990号、同4273846号、同42
99897号、同4306008号明細書等に記載のベ
ンジジン誘導体、 o)特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号公報等に記載のスチルベン誘導
体、 p)特公昭34−10966号公報に記載のポリビニル
カルバゾ−ル及びその誘導体、 q)特公昭43−18674号、同43−19192号
公報に記載のポリビニルビレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリ-2-ビニル-4-(4'-ジメチルアミノフェニ
ル)-5-フェニルオキサゾ−ル、ポリ-3-ビニル-N-エ
チルカルバゾ−ル等のビニル重合体、 r)特公昭43−19193号公報等に記載のポリアセ
ナフチレン、ポリインデン、アセナフチレン/スチレン
共重合体等の重合体、 s)特公昭56−13940号公報等に記載のピレン/
ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾ−ル/ホルムア
ルデヒド樹脂等の縮合樹脂、 t)特開昭56−90883号、同56−161550
号公報等に記載の各種トリフェニルメタンポリマ、 u)米国特許第3397086号、同4666802
号、特公昭49−4338号、同49−17535号、
特開昭64−2061号、同64−4389号、特開平
1−144057号、同1−153757号、同1−2
17362号、同1−221459号、同1−2529
67号、同1−285952号、同1−312551
号、同2−8256号、同2−16570号公報等に記
載の無金属或は金属フタロシアニン及びナフタロシアニ
ン、及びその誘導体等がある。
【0035】本発明の処理に係わる電子写真平版印刷版
に用いる光導電性化合物は、a)〜u)に挙げた化合物
に限定されず、これまで公知の光導電性化合物を、また
所望により2種類以上を混合して用いることが出来る
が、本発明に用いる電子写真平版印刷版光導電層に於て
は光導電性を有する無金属或は金属フタロシアニン系顔
料が有利に用いられる。
【0036】金属フタロシアニンとしては、フタロシア
ニン環の中心金属がリシウム、ベリリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウ
ム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、
錫、アンチモン、バリウム、ハフニウム、オスミウム、
白金、水銀、及び鉛等、及びそれら金属に酸素或はハロ
ゲンが軸配位した錯塩が知られており、無金属フタロシ
アニンはそれらの金属の換わりに水素の入ったものであ
る。また、電子写真特性や分散性の改善を目的として、
フタロシアニン分子中のベンゼン環の水素がハロゲン、
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、
アルコキシ基、アリキルアミノ基、アルキルアミド基、
置換若しくは未置換の脂肪族或は芳香族基等で置換され
た誘導体も知られている。更にこれらのフタロシアニン
のX線結晶回折の測定により、種々の異なった結晶形の
存在が知られている。
【0037】本発明に用いる電子写真平版印刷版光導電
層には、これらの内でα型、β型、γ型、π型、τ型、
χ型、及びε型等の無金属フタロシアニン、α型、β
型、γ型、ε型、及びη型等の銅フタロシアニン、α
型、β型等のチタニルフタロシアニン、及びハロゲノア
ルミニウムフタロシアニン等の金属フタロシアニンが好
ましく、He-Neレ−ザ、半導体レ−ザ等の光源に対
応して長波長領域に於いても優れた光感度を有するχ型
無金属フタロシアニン、及びチタニルフタロシアニンが
更に好適である。
【0038】本発明の処理に用いる電子写真印刷版の光
導電層には、更に結着樹脂を併用する。印刷版として用
いる際は、最終的に画像部以外の光導電層を除去する必
要があり、この工程は光導電層の溶出液に対する溶解性
とトナ−の溶出液に対するレジスト性との相対的関係に
よって決定されるため一概に表現出来ないが、結着樹脂
としては、後述の溶出液に可溶或は分散可能な高分子化
合物が好ましい。
【0039】結着樹脂の具体例としては、スチレン/無
水マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸モノアル
キルエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル
酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エス
テル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸
ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体等
のスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等とアクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、フマル酸等のカルボン酸含有モノマ或は酸
無水物基含有モノマとの共重合体やメタクリル酸アミ
ド、ビニルピロリドン、フェノ−ル性水酸基、スルホン
酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基を有するモ
ノマを含有する共重合体、フェノ−ル樹脂、部分ケン化
酢酸ビニル樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラ−ル
等のビニルアセタ−ル樹脂を挙げることが出来る。
【0040】これらの結着樹脂のなかで、酸無水物基或
はカルボキシル基を有するモノマ含有共重合体及びフェ
ノ−ル樹脂は、電子写真印刷版用光導電層とした場合の
電荷保持力が高く、従って有利に使用することが出来
る。酸無水物基を有するモノマ含有共重合体としては、
スチレンと無水マレイン酸との共重合体が好ましい。カ
ルボキシル基を有するモノマ含有共重合体としては、ス
チレンとマレイン酸モノエステルとの共重合体、アクリ
ル酸或はメタクリル酸とそれらのアルキルエステル、ア
リ−ルエステルまたはアラルキルエステルとの二元以上
の共重合体が好ましい。また、酢酸ビニルとクロトン酸
も良い。フェノ−ル樹脂中特に好ましいものとしては、
フェノ−ル、o-クレゾ−ル、m-クレゾ−ル、或はp-クレ
ゾ−ルとメタナ−ルまたはエタナ−ルとを酸性条件下で
縮合させたノボラック樹脂を挙げることが出来る。結着
樹脂は単独でも、或は2種以上を混合して用いても良
い。
【0041】本発明の処理に用いる電子写真平版印刷版
の光導電層に於ける光導電性化合物と結着樹脂との混合
比は、所望の電子写真特性及び製版特性等の諸特性を満
足する様に決定すれば良いが、一般的に光導電性化合物
の含有量が少ないと低感度となるため、結着樹脂100
重量部に対してそれが5重量部以上、より好ましくは1
5重量部以上を混合して使用することが好適である。し
かしながら、分散性、塗液安定性、塗布性等の液特性及
びより一層の電子写真特性の向上を期待出来ないこと等
から、通常40重量部以上の使用は望ましくない。光導
電層膜厚は、薄いとトナ−現像に必要な電荷が帯電出来
ずにリ−クによる被りを誘発し、逆に厚いと溶出液の劣
化を促進するばかりか溶出の際にサイドエッチを誘引し
て良好な画像再現性が得られないため、0.10〜30
μmが、より好ましくは0.50〜10μmが、更に好
ましくは1.5〜6.0μmが良い。
【0042】本発明の処理に用いる電子写真平版印刷版
は、常法に従って光導電層を導電性支持体上に塗布して
得られる。光導電層の作製に当たっては、光導電層を構
成する成分を同一層中に含有させる方法、或は二層以上
の層に分離して含有させる方法、例えば下層(支持体
側)に易溶出性、強接着性の結着樹脂を配置し、上層に
良帯電性、易インク受理性の樹脂を配置したり、或は有
機光導電性化合物の含量を増加させる等、異なる層に分
離して用いる方法等が知られており、何れの方法にても
作製することが出来る。塗布液は、光導電層を構成する
各成分を適当な溶媒に溶解分散して作製するが、有機光
導電性化合物がフタロシアニン等の様に溶媒に不溶な成
分を用いる場合は、ボ−ルミル、ダイノミル、アトライ
タ−、ペイントシェィカ−等の分散機により平均粒径
0.4μm以下、より好ましくは0.2μm以下に分散し
て用いる。また、光導電層には必要に応じ、有機光導電
性化合物及び結着樹脂の他に光導電層の柔軟性、塗布表
面状態等の膜物性を改良する目的で、可塑剤、界面活性
剤、その他の添加物を添加できる。光導電層に使用する
添加剤は、有機光導電性化合物の分散時或は分散後に添
加することが出来る。
【0043】この様にして作製した塗布液を回転塗布、
ブレ−ド塗布、ナイフ塗布、リバ−スロ−ル塗布、ディ
ップ塗布、ロッドバ−塗布、スプレ−塗布、エクストル
−ジョン塗布等公知の方法で支持体上に塗布乾燥して電
子写真平版印刷版を得ることが出来る。塗布液の溶媒と
しては、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン
化炭化水素類、メタノ−ル、エタノ−ル、2-プロパノ
−ル、1-ブタノ−ル、プロパンジオ−ル等のアルコ−
ル類、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類、2-メトキシエタノ−ル、酢
酸2-メトキシエチル、2-(2-エトキシエトキシ)エ
タノ−ル等のグリコ−ルエ−テル類、オキソラン、オキ
サン、ジオキサン等の環状エ−テル類、蟻酸メチル、酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等の
エステル類等が挙げられる。塗液濃度(或は粘度)及び
使用する溶媒やその混合比は、塗布方式及び乾燥条件等
から適宜選択される。
【0044】光導電層上には、静電特性、トナ−現像時
の現像特性、或は画像特性を改良する目的で、アルカリ
溶出除去時に溶解し得る上塗り層を設けても良い。この
上塗り層は、機械的にマット化されたもの、或はマット
剤を含有する樹脂層であっても良い。マット剤として
は、公知の無機及び有機微粒子が使用出来る。
【0045】本発明に於て使用する電子写真平版印刷版
は、公知の操作によってトナ−画像を形成させることが
出来る。則ち、暗所で実質的に一様に帯電させ、画像露
光により静電潜像を形成させ、しかる後にトナ−現像す
る。露光方法としては、キセノンランプ、タングステン
ランプ、蛍光灯等を光源とした反射画像露光、透明陽画
フィルムを通した密着露光や、レ−ザ光、発光ダイオ−
ド等による走査露光が挙げられる。走査露光に於ける光
源は、He-Neレ−ザ、アルゴンイオンレ−ザ、クリ
プトンイオンレ−ザ、ルビ−レ−ザ、YAGレ−ザ、窒
素レ−ザ、色素レ−ザ、エキサイマ−レ−ザ、GaAs
/GaAlAs、InGaAsPの様な半導体レ−ザ等
のレ−ザ光源を利用出来、または発光ダイオ−ド、液晶
シャッタを利用した走査露光(発光ダイオ−ドアレイ、
液晶シャッタアレイ等を用いたラインプリンタ型の光源
も含む)を行なっても良い。
【0046】次に、上記静電潜像をトナ−によって現像
する。現像方法としては、乾式現像法(カスケ−ド現
像、磁気ブラシ現像、パウダクラウド現像)、液体現像
の何れも使用出来る。殊に液体現像法はトナ−微細な画
像を形成出来、再現性良い印刷版を作製するのに好適で
ある。更に、正現像によるポジ/ポジ現像や、適当なバ
イアス電圧の印加の下反転現像によるネガ/ポジ現像も
可能であるが、本発明に於ては走査露光の利点を活かす
ため、画像露光部に反転現像にてトナ−現像を行なう。
形成されたトナ−画像は公知の定着法、例えば加熱定
着、圧力定着、溶剤定着等により定着出来る。この様に
形成したトナ−画像をレジストとして、非画像部光導電
層を溶出液により除去して印刷版が作製出来る。
【0047】電子写真平版印刷版の現像に用いるトナ−
は、少なくとも下記溶出液に対してレジスト性を有する
樹脂成分を含有している必要がある。樹脂成分として
は、例えばメタクリル酸やメタクリル酸等のエステル等
から成るアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルと
エチレンまたは塩化ビニル等との共重合体、塩化ビニリ
デン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラ−ル等の
ビニルアセタ−ル樹脂、ポリスチレン、スチレンとブタ
ジエン、メタクリル酸エステル等との共重合物、ポリエ
チレン、ポリプロピレン及びその塩化物、ポリエチレン
テレフタレ−ト等のポリエステル樹脂、ポリカプラミド
等のポリアミド樹脂、フェノ−ル樹脂、キシレン樹脂、
アルキッド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、その他ワ
ックス等が挙げられる。また、トナ−には現像或は定着
等に悪影響を及ぼさない範囲で、色素や電荷制御剤を含
有させることも出来る。
【0048】トナ−現像を完了した電子写真平版印刷版
は、次にアルカリ性溶出液により非画像部光導電層を溶
出し、続いて水洗液で処理して版面を洗浄した後、通常
保護ガム処理される。本発明に係わる溶出液としては、
アルカリ剤を含有し溶出液調製後の液pH付近に緩衝能
を有する水溶液が望ましい。含有させるアルカリ剤とし
ては、一般式SiO2/M2O(Mはアルカリ金属原子を表
わす)で表現される珪酸塩、アルカリ金属水酸化物、リ
ン酸や炭酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩等の無機
アルカリ剤、エタノ−ルアミン類、エチレンジアミン、
プロパンジアミン類、トリエチレンテトラミン、モルホ
リン等の有機アルカリ剤、及びこれらの混合物を用いる
ことが出来るが、特に上記珪酸塩は、適当なアルカリ強
度と高pHで強い緩衝能とを示すため、珪酸塩が有利に
使用される。
【0049】本発明に係わる溶出液には更に、特開昭5
5−25100号公報記載のイオン性化合物、特開昭5
5−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリ
マ、特開昭56−142528号公報記載の水溶性両性
高分子電解質、特開昭58−75152号公報記載の中
性塩、特開昭58−190952号公報記載のキレ−ト
剤、特開平1−177541号公報記載の液粘度調整
剤、特開昭63−226657号公報記載の防腐剤や殺
菌剤、及び各種界面活性剤、天然及び合成水溶性ポリマ
等の公知の成分を必要に応じ含有させることが出来る。
また、溶出液に用いられる溶媒は、上記成分を安定して
分散溶解し得るものであれば特に限定されないが、軟水
が更に好ましくはイオン交換した水が有利に用いられ
る。更に上記アルカリ剤を除いた溶出液組成を含有する
溶液に於て、実質的に溶出が起こらない量で、上記成分
をより安定的に混合分散させるため、溶出液有効成分と
共に最小限度の有機溶剤を添加含有させても良い。
【0050】本発明に係わる溶出液調製に用いる珪酸塩
の好ましい性状は、SiO2/M2O=0.5〜4.0(モル
換算)が良く、更には1.0〜3.0の範囲が好ましい。
溶出液調製時には、更にアルカリ金属水酸化物を適量添
加して液pHを適宜調整することが望ましい。溶出液中
の珪酸(SiO2)に対するアルカリ金属酸化物(M
2O)の総量の最終的なモル比は、SiO2/M2O=1.0
〜2.6の範囲が良く、更には1.3〜2.2が好適であ
る。また、溶出液中のアルカリ剤濃度は溶出速度を決定
する主要因の一つであるが、本発明に於ては1〜20重
量%、より好ましくは2〜10重量%が、更に好ましく
は3〜8重量%が良い。溶出液のpHは、11.8〜1
3.5、より好ましくは12.0〜13.0が良く、多数
枚通版等に際しては所望の補充液を適時添加して、溶出
活性度の向上を図ることが望ましい。
【0051】溶出時間、則ち溶出液が光導電層と接触し
てから除去されるまでの時間は、短かければ溶出不良や
印刷経時に於ける地汚れを招き、長ければ画線細りや溶
出液中への光導電層の過度の流入を招く。溶出時間は溶
出液処方等によって特定されるが、2〜15秒の範囲、
より好ましくは3〜10秒の範囲で実施される。
【0052】本発明に用いることの出来るリンス液は、
製版処理される電子写真平版印刷版光導電層中の結着樹
脂等が再凝集しない様に液pHが調整されたものであっ
て、少なくとも溶出液と可溶化した光導電層とが速やか
に液中に拡散溶解出来る性能を有するものが望ましい。
また、特に自動機にて多数枚の電子写真平版印刷版をよ
り安定的に処理するためには、少なくとも各々の処理液
が多数枚製版中に液pHの変動しないことが望ましいか
ら、酸及び緩衝剤としての水溶性塩の少なくとも何れか
を含有させておくことが望ましい。これにより、処理液
を電子写真平版印刷版に施した場合に、版上に残留する
溶出液等に起因する塩基性成分が中和されて、非画像部
支持体表面がより親水性となる。リンス液を循環再使用
してリンスに供す場合は、経時で空気中の細菌等が混入
し、リンス効果を低下させるばかりか異臭等を発して好
ましくないので、処理液には更に防腐剤及び/または殺
菌剤を含有させることが望ましい。
【0053】リンス処理が終了した印刷版は、版面の耐
傷強度の向上及び非画像部不感脂化等の目的で、保護ガ
ム液処理される。本発明に用いることの出来る保護ガム
液には、高分子化合物、親水性物質、或は界面活性剤等
を含有し、これらの試剤は全て公知のものが利用でき
る。
【0054】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に
限定されるものではない。
【0055】実施例1 [電子写真平版印刷版原版の作製]JIS1050アル
ミニウム(0.3mm厚)を60℃、10%水酸化ナトリ
ウム水溶液に浸漬し、アルミニウム溶解量が6g/m2
なる様にエッチングした。水洗後、30%硝酸水溶液に
1分間浸漬して中和し、充分水洗した。次に、3.0%塩
酸水溶液中で35A/dm2、50秒間電解粗面化を行な
い、50℃、20%硫酸水溶液中に浸漬して表面を洗浄
した後、水洗した。更に、20%硫酸水溶液中で陽極酸
化処理を施して、表面にアルミニウム酸化物皮膜を形成
させ、水洗後乾燥することにより印刷版用支持体を作製
した。この支持体表面処理面に、ペイントシェィカ−に
て1時間分散させた表1記載の光導電性組成物をエクス
トル−ジョンコ−タで固形分塗布量4.4g/m2となる
様塗布後、90℃、3分間乾燥して電子写真平版印刷版
原版を作製した。
【0056】
【表1】 ─────────────────────────────────── 光導電層塗液組成 成分 重量部 ─────────────────────────────────── ブチルメタクリレ−ト/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体 (単量体重量比1:1:1、分子量1.5万) 6.5 χ型無金属フタロシアニン (大日本インキ(株)製、商品名Fastogen Blue 8120) 1.5 1,4-ジオキサン 70 酢酸1-ブチル 12 2-プロパノ−ル 10 ───────────────────────────────────
【0057】[トナ−現像]得られた印刷版原版を暗所
にてコロトロンにより表面電位が約+280Vになる様
帯電させた後、半導体レ−ザ(780nm)を用いて走
査画像露光し、直ちに正電荷トナ−(三菱製紙(株)製、
LOM-ED III)を用いて液体反転現像を行ない、冷
風乾燥してトナ−分散媒を除去後、更にトナ−を熱定着
して光導電層上にトナ−画像を形成させた。
【0058】以上のトナ−現像済み印刷版について、下
記に示す様な処理装置及び処理液を用いて製版処理を行
なった。尚、溶出時間は版搬送速度と可溶化光導電層除
去部搬入直前の光導電層の可溶化との関係から調整し
た。
【0059】[電子写真平版印刷版処理装置]図1に本
実施例で用いた電子写真平版印刷版処理装置を示す。本
処理装置の基本構成は、溶出液塗布ゾ−ンA、可溶化光
導電層除去廃棄ゾ−ンB、リンス処理ゾ−ンC、及び保
護ガム液塗布ゾ−ンDの4ゾ−ンからなり、印刷版はロ
−ル挟持されて自動搬送される。
【0060】溶出液塗布ゾ−ンAは更に、溶出液供給管
27、整流板28、及び給液ロ−ル11aからなる溶出
液供給部と、液計量具47及びガイドロ−ル13からな
る溶出液計量部とで構成される。液計量具47には、回
転軸51として直径12mmの表面研磨したSUS30
4丸棒を用い、それに直径200μmのステンレスワイ
ヤ50を螺旋状に稠密に巻付けたワイヤバ−を使用し
た。ワイヤバ−の版への加圧は自重のみで調整し、また
回転軸51へ強制駆動伝達は行なわず、液計量時には並
進する版との接触によって回転が伝達される様になって
いる。溶出液計量部で計量された溶出液は、循環溶出液
貯液槽3上方に設置された液誘導板75上を流動して液
落下孔78より循環溶出液貯液槽3に回収され、補充液
貯液槽7から補充ポンプ94、配管122、及び補充液
供給管54を経て補充される液計量部溶出液持出し量に
相当する溶出補充液19と共に循環に供する。
【0061】可溶化光導電層除去廃棄ゾ−ンBは、掻取
りブレ−ド22、金属ガイドロ−ル20、及びガイドロ
−ル清浄ブレ−ド23からなる可溶化光導電層除去部、
掻取りブレ−ドに使用済みリンス液を供給する洗浄除去
液供給管55を含む洗浄除去液供給手段、及び除去廃液
一次貯留槽4で構成される。掻取りブレ−ド22によっ
て掻落とされた液は、除去廃液一次貯留槽4に一時的に
貯留されるが、連結管90の下方に配置されたバルブ1
04を解放することにより、配管114を経て除去廃液
二次貯留槽9に廃棄される。掻取りブレ−ド22のゴム
材には、ゴム硬度65度、5mmのニトリルブタジエン
ゴムを使用し、金属ガイドロ−ル20との接触幅1mm
になる様加圧調整されている。
【0062】リンス処理ゾ−ンCは、2本のリンス液供
給管37及び38からリンス液貯液槽5に貯留された循
環リンス液36を直接に版面に供給する循環リンス液供
給部と、搬送ロ−ル対31及び32に並列して配置さ
れ、圧搾空気と共に未使用リンス液を5組の高圧スプレ
−ガン33から供給する未使用リンス液供給部とからな
る。また、保護ガム液塗布ゾ−ンDは、保護ガム液供給
管45、表面粗面化液計量ロ−ル43、給液ロ−ル4
0、及びガイドロ−ル41からなる保護ガム液供給部、
保護ガム液供給部を洗浄する洗浄液供給管60を含む洗
浄手段、保護ガム液46を貯留する保護ガム液貯液槽8
と、余剰の保護ガム液を受液する保護ガム液一次貯留槽
6とからなる。保護ガム液一次貯留槽6に貯留された使
用済み保護ガム液は、バルブ107及び108の開閉に
より洗浄除去液貯液槽2へ排出することも、保護ガム液
貯液槽8へと循環することも出来る様になっている。
【0063】[製版用処理液]
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】 これに水酸化ナトリウムを添加して液pHを4.3とし
た後、純水で100重量部に調製。
【0068】[製版処理及び評価]以上の処理装置及び
各処理液を用いて、搬送速度4m/分、及び複版速度4
0秒/版なる処理条件で100版連続製版し、掻取りブ
レ−ド洗浄後6時間製版を中断してから更に100版同
条件で製版した。
【0069】掻取りブレ−ドの洗浄は、バルブ126及
び127を閉じ、バルブ125を開けておき、初期設定
の連続製版最後(則ち、日毎100版目及び200版
目)の印刷版後端部が掻取りブレ−ド22を通過してか
ら2秒後に、送液ポンプ95の作動及びバルブ123の
開閉により循環リンス液貯液槽5から洗浄除去液供給管
55を経て、循環リンス液36を実質的に15秒間掻取
りブレ−ドの除去物付着面に供給して行なった。
【0070】以上のブレ−ド洗浄条件を含む製版条件
で、10日間計2000版連続製版したところ、全ての
製版物に付き溶出不良及び可溶化光導電層掻取り不良は
発生しなかった。また、製版開始10版目、500版
目、1000版目、及び2000版目の製版物のトナ−
剥離性及びサイドエッチを測定したところ、4枚の製版
物でトナ−剥離は発生しておらず、サイドエッチについ
ても同一版内(版中央部及び両端部)での変動は勿論、
各製版物間のそれも殆ど変化なかった。更に、これらの
印刷版を用いて印刷を行なったところ、印刷地汚れの発
生はなく全ての印刷版に於て良好な印刷物が得られた。
【0071】2000版製版後に掻取りブレ−ド22を
外して版との接触部に該当する部分を観察したところ、
ブレ−ド先端付近は僅かに蒼染しているものの、掻取り
効果に影響を及ぼさない部分の付着を除き、溶出液及び
光導電層成分の固着はなかった。また、金属ガイドロ−
ル20についても同様であった。
【0072】また、この時の循環リンス液のpHは約
9.1で、この液に未現像の電子写真平版印刷版原版を
30秒間浸漬したところ、印刷版表面の光沢度が僅かに
変化するだけで、光導電層は殆ど溶解されなかった。
【0073】循環溶出液貯液槽3に貯留されている循環
溶出液16だけを同量の未使用液に交換して、同条件で
更に製版を続行し計4000版製版したところ、ブレ−
ド汚染及び循環リンス液特性共に問題なく製版出来た。
【0074】比較例1 実施例1の製版条件に於て、100版連続製版後毎に掻
取りブレ−ドに供給していた循環リンス液の供給を行な
わなかった他は、実施例1と同様の処理装置及び各処理
液を用いて製版した。
【0075】10日間計2000版製版した結果、全て
の製版物に付き溶出不良は観られなかったが、途中から
版搬送方向に時に数本の一定しない掻取り不良が発生
し、金属ガイドロ−ル20周面にも掻き傷が出来た。製
版開始10版目、500版目、1000版目、及び20
00版目の製版物のトナ−剥離性及びサイドエッチを測
定したところ、1000版目及び2000版目の製版物
には筋状トナ−剥離が発生しており、一部は光導電層ま
で削られていた。トナ−剥離は特に連続製版中断後に再
開した場合に多く観られた。また、サイドエッチは製版
枚数が増加するにつれ、僅かずつ悪化する傾向にあっ
た。
【0076】2日目以降、掻取りブレ−ド22と金属ガ
イドロ−ル20との接触部にはブレ−ド除去物が乾燥固
着したため、始動時にはより大きなトルクを要し、また
金属ガイドロ−ル20回転軸方向に固着した除去物が掻
取り時には印刷版を周期的に押上げ、横段掻取り不良が
発生した。
【0077】2000版製版後に掻取りブレ−ド22を
外して版との接触部に該当する部分を観察したところ、
付着物表面は湿潤していて容易に払拭可能であったが、
ブレ−ド表面には強固に付着した固着物が堆積してお
り、除去し難かった。
【0078】一方、循環リンス液のpHは約10.0
で、この液に未現像の電子写真平版印刷版原版を30秒
間浸漬したところ、印刷版光導電層表面が溶解して蒼味
がかなり薄れるにまでなり、少なくとも循環リンス液で
は溶出を完全に停止することが出来なくなったので、循
環リンス液を交換せざるを余儀なくされた。
【0079】実施例2 実施例1で用いた処理装置に於て、弾性部材として用い
ていた掻取りブレ−ド22の替わりにゴム硬度35度N
BRスクイズロ−ル(回転軸には直接駆動が伝達されな
い)を装着してロ−ル両端を加圧した他は、実施例1と
同様の処理液を用い、同様の溶出条件で製版した。
【0080】スクイズロ−ルの洗浄は、5版製版毎に印
刷版後端部がロ−ルを通過した直後に、実施例1と同様
循環リンス液貯液槽5から循環リンス液36を実質的に
5秒間スクイズロ−ル金属ガイドロ−ル接触部に供給し
て行なった。
【0081】以上の製版条件で2000版製版したとこ
ろ、溶出性、(掻取りブレ−ドにはやや劣るものの)可
溶化光導電層掻取り能、トナ−剥離防止能、及び印刷性
共満足する結果が得られた。また、製版終了後のスクイ
ズロ−ルには除去物の固着は観られなかった。
【0082】また、製版終了後の循環リンス液のpHは
約9.4で、この液に未現像の電子写真平版印刷版原版
を30秒間浸漬したところ、実施例1と同様に印刷版光
導電層は殆ど溶解されなかった。
【0083】比較例2 実施例2で実施したスクイズロ−ルの洗浄を行なわなか
った他は、実施例2で用いた処理装置及び処理液を用
い、実施例2と同様の製版条件で製版した。
【0084】断続製版ではスクイズロ−ル周上に除去物
が固着して行くのと並行して、印刷版が通過する際にス
クイズロ−ルが可溶化した光導電層表面をすべって回転
を停止することがあり、可溶化光導電層掻取り能が低下
した。
【0085】その結果、循環リンス液のpHは約10.
9まで上昇して製版物のサイドエッチは悪化し、またこ
の液に未現像の電子写真平版印刷版原版を30秒間浸漬
したところ、印刷版光導電層表面が溶解して支持体陽極
酸化面が露出するにまでなり、もはや循環リンス液では
溶出を停止することが出来なくなったので、循環リンス
液を交換せざるを余儀なくされた。
【0086】実施例3 実施例1で実施した掻取りブレ−ド洗浄条件を以下の様
に変更した以外は、実施例1と同様の処理装置及び各処
理液を用い、同様の溶出条件で製版した。
【0087】掻取りブレ−ドの洗浄除去液は、バルブ1
25を閉じ、バルブ127を開け、洗浄除去液貯液槽2
から送液ポンプ95の作動及びバルブ123の開閉によ
り洗浄除去液供給管55に供給する。洗浄除去液貯液槽
2には、初期設定の連続製版後に行なった保護ガム液供
給部洗浄済み洗浄液(洗浄には軟水を使用)、及びバル
ブ126によって液量調整される循環リンス液の混合液
が貯留されている。また、掻取りブレ−ドの洗浄条件
は、夫々印刷版後端部が掻取りブレ−ド22を通過して
から1秒後に、10版製版毎に10秒及び初期設定の連
続製版最後に15秒間掻取りブレ−ドの除去物付着面に
供給して行なった。
【0088】その結果、実施例1と全く同様に良好な製
版性を示した。
【0089】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の電子写真平
版印刷版の処理方法によって電子写真平版印刷版を処理
すれば、製版処理不良を防止して版全面を均質に溶出出
来ることは勿論、可溶化光導電層除去効率の経時的降落
や製版及び印刷品位の保持を図り、処理液の液性劣化を
抑制して長期に亙って安定した処理が可能となるばかり
でなく、更に各処理液の交換頻度を大幅に低下させ、も
って廃液処理と保守管理の負担が軽減される等、秀逸な
る効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真平版印刷版の処理方法を実施
するに用いた電子写真平版印刷版処理装置の縦断面略
図。
【符号の説明】
A 溶出液塗布ゾ−ン B 可溶化光導電層除去廃棄ゾ−ン C リンス処理ゾ−ン D 保護ガム液塗布ゾ−ン 1 電子写真平版印刷版 2 洗浄除去液貯液槽 3 循環溶出液貯液槽 5 循環リンス液貯液槽 7 補充液貯液槽 20 金属ガイドロ−ル 22 掻取りブレ−ド 36 循環リンス液 55 洗浄除去液供給管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に光導電性層を設けた平
    版印刷版原版に電子写真法によりトナ−画像を形成さ
    せ、次いで該印刷版原版を搬送しながらトナ−画像形成
    面に溶出液を供給し、可溶化した光導電層及び版上に残
    存する溶出液を弾性部材の押圧により除去した後にリン
    スする電子写真平版印刷版の処理方法に於て、電子写真
    平版印刷版が弾性部材を通過した後に、処理に使用した
    処理液で弾性部材を洗浄することを特徴とする電子写真
    平版印刷版の処理方法。
  2. 【請求項2】 光導電性層上にトナ−画像が形成された
    電子写真平版印刷版に過剰量の溶出液を供給した後に版
    上の溶出液を一定量に計量し、その搬送後方で可溶化し
    た光導電層及び版上に残存する溶出液を掻取りブレ−ド
    により除去した後、リンスに使用した処理液で掻取りブ
    レ−ドを洗浄する請求項1記載の電子写真平版印刷版の
    処理方法。
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