JP3231053B2 - 電子写真平版印刷版処理方法 - Google Patents

電子写真平版印刷版処理方法

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JP3231053B2 JP19860691A JP19860691A JP3231053B2 JP 3231053 B2 JP3231053 B2 JP 3231053B2 JP 19860691 A JP19860691 A JP 19860691A JP 19860691 A JP19860691 A JP 19860691A JP 3231053 B2 JP3231053 B2 JP 3231053B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性支持体上に光導
電層を設けた平版印刷版原版に電子写真法によりトナ−
画像を形成させた後、トナ−画像部以外の非画像部光導
電層の溶出除去を行なって印刷版を作製するための電子
写真平版印刷版処理方法に関し、溶出による画線細りを
抑制しつつ溶出不良の発生がなく、長期に亙って安定し
た溶出処理が行なえ、更に液交換の頻度を大幅に減少さ
せる電子写真平版印刷版処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機械的画像処理技術や大容量デ−
タの保存及び送信技術の確立により、文字や図形等の画
像入力・補正・編集・割付け及び頁組み等を全てコンピ
ュ−タ制御し、高速通信網や衛星通信により瞬時に遠隔
地の末端プロッタに出力出来る電子編集システムが稼働
している。特に、即時性を信条とする新聞印刷分野に於
て、この電子編集システムの要求度は高い。
【0003】ところで、従来より新聞印刷分野に於ても
用いられているPS版と呼称される感光性平版印刷版
は、画像形成が少なくとも感光剤の活性線による化学構
造変化を伴うため総じて低感度であり、予め画像記録さ
れた銀塩写真フィルム原版を密着露光して製版を行なっ
ている。従って、電子編集システムの稼働している所で
も画像出力は一旦銀塩写真フィルムに行なわれ、これを
もとに間接的にPS版への密着露光により印刷版が作製
されているのが実状である。これは、出力プロッタの光
源(例えば、He-Neレ−ザ、半導体レ−ザ等)により
実用的な時間内に印刷版を作製出来るだけの高い感度を
有し、しかも従来型と同程度に取扱いが容易な直接型印
刷版の開発が困難であることによる。
【0004】そこで、直接型印刷版を提供し得る高い光
感度を有する感光材料として電子写真感光体が考えられ
る。従来、電子写真を利用した印刷版材料として、例え
ば特公昭47−47610号、同48−18325号、
同48−40002号、同51−15766号公報等に
記載の光導電性酸化亜鉛・樹脂分散系オフセット印刷版
材料及び特公昭37−17162号、同38−7758
号、同41−2426号、同46−39405号、特開
昭50−19509号、同52−2437号、同54−
134632号、同54−145538号、同55−1
53948号、同57−147656号公報等に記載さ
れている様な有機光導電性化合物・結着樹脂系印刷版材
料が知られている。
【0005】前者の光導電性酸化亜鉛・樹脂分散系オフ
セット印刷版材料は、耐水性と導電性を付与した紙を基
体として酸化亜鉛リッチな光導電層を有し、電子写真法
によるトナ−画像形成後、その非画像部を不感脂性にす
るために不感脂化処理液(例えば、ヘキサシアノ鉄塩や
イノシットヘキサリン酸塩を含有する酸性水溶液)で湿
潤させた後、印刷に供される。この様な処理をしたオフ
セット印刷版は、良好な印刷画像再現性の点から耐刷枚
数が多くとも1万枚程度であり、不感脂化を強化した組
成にすると画質が悪化するなどの欠点を有する。
【0006】一方、後者の有機光導電性化合物・結着樹
脂系印刷版材料は、これらの電子写真感光体が総じてア
ルミニウム基板上に設けられているため、アルミニウム
基板と光導電層との接着が強固であれば、本質的にPS
版と同等以上の耐刷性を有している。また、既に800
nm以上に実用感度を有する有機光導電性化合物が知ら
れており、これらの化合物を用いた上記印刷版の実用化
も進められている。
【0007】これら電子写真平版印刷版に於ける一般的
製版方法は、光導電性化合物を用いた電子写真印刷原版
を公知の電子写真画像形成法によってトナ−画像を形成
した後、トナ−画像部以外の非画像部をアルカリ剤等を
含有する処理液で処理し、更に洗液を供給して版面を洗
浄することにより、版上より非画像部光導電層を溶解
(所謂溶出)除去して製版される。
【0008】特に溶出工程はPS版に於けるアルカリ現
像工程と異なり、トナ−のアルカリ溶解性と光導電層の
それとの差を利用したものであるから、トナ−付着部光
導電層(画像部)はトナ−によるレジスト性のため溶出
が阻碍されるが、本質的にトナ−付着部の光導電層自体
がアルカリ不(或は難)溶性になる訳ではないので、溶
出が過度に促進されれば、サイドエッチと呼称される光
導電層側面からの溶出液の回込みによって画像部光導電
層をも浸蝕し、良好な細線再現性が得られない。一方溶
出をアンダ−気味に行なうと、見掛け上は非画像部支持
体上に光導電性顔料が残存せず溶出されている様に観え
ていても、残膜により印刷経時によって地汚れが発生す
る場合がある。
【0009】従って、アルカリ溶出型電子写真平版印刷
版に於ける溶出は、トナ−組成やその現像方式、溶出液
処方の選定、溶出処理機構や電子写真平版印刷版光導電
層と溶出液とのマッチング及び処理時間等の製版処理条
件等にも留意を払うことが肝要であり、PS版に於ける
アルカリ現像よりも厳格な処理が要求される。特に、自
動製版機にて多数枚の電子写真平版印刷版を断続的に処
理するのであれば、例えば溶出液に限っても溶出特性は
勿論のこと停機中の液供給系及びロ−ル間での液固着等
の処理方式や機構絡みの液物性にも考慮を払うことが肝
要である。
【0010】さて、従来自動製版機に於てPS版及びア
ルカリ溶出型電子写真印刷版等の平版印刷版を現像溶出
処理する方式としては、印刷版を水平搬送しながら循環
する処理液を直接或はロ−ル及び/または整流板を介し
て接触させる方式や、処理液槽中をガイドロール等によ
って印刷版を湾曲浸漬させ、液中シャワーにて処理液を
対流させると共に版面に供給して処理するディップ方式
(以上、処理液循環再利用方式)、或は処理液に起因す
る処理変動を防止するため、特開昭62−238564
号公報等に開示の如く処理液を版面に供給する前に必要
供給量を計量して一版毎に新液を供給し、処理終了後に
版上の処理液を廃棄する方式(前計量液使い捨て処理方
式)や、特開昭63−71855号公報等に開示の様な
これらを複合した処理方式も知られている。
【0011】また、特開昭62−59957号公報等に
開示の如く、アルカリ現像が進行しない時間内に処理液
を一定量に計量して余剰液は循環再使用、計量後の版上
の処理液は現像完了後に可溶化した感光層と共に廃棄す
る方法(後計量方式)や、特開昭63−16353号
公報に開示の如く、更に版先頭部の製版不良を改善する
ため、液計量後更に版先頭部に計量時に除去した処理液
を循環再供給する方法が知られている。その他、実開平
1−160443号公報等には、版上の処理液の置換を
速めて処理時間を短縮すると共に搬送方向の筋状処理ム
ラを防止するため、印刷版を傾斜保持して対向面に多数
の突起を有する一対のガイド板上方から処理液を供給し
ながら傾斜するガイド板間を搬送通過させる方法も開示
されている。
【0012】電子写真平版印刷版の処理関係では、特公
平1−60824号公報に記載の如くエッチング(本発
明で云う溶出)工程に於てエッチング液で膨潤された非
画像部光導電層の掻落とし部を有さず、次工程でリンス
液を供給して掻落とすことにより、少なくともエッチン
グ液への光導電層組成の機械的強制流入を抑制する方法
や、特開平2−93474号公報記載の様に特開昭63
−16353号公報に開示の技術を応用した方法が開
示されている。
【0013】これらの方式の内、液使い捨て処理方式で
は処理液に起因する処理変動を防止出来る反面、液循環
再使用方式に比してより多量の処理液を必要とするし、
必然的に多量の廃液を出す結果となる。また、必要最低
量を供給しようとして液量を絞ると、応々にして処理液
が版全面に均一に被覆しない場合があり、特に版先頭部
にその傾向が強く、結果として処理欠陥を誘発する。特
に電子写真平版印刷版の製版処理に於ては、電子写真光
導電層は一般的PS版感光層に比して除去すべき層が厚
く、しかも処理条件に厳格さが要求されるため、液使い
捨て処理方式は適さない。
【0014】一方、処理液循環再利用方式では余剰液を
循環再使用するので見掛け上廃液量を減少させることが
出来るが、従来非画像部光導電層は処理液による溶解除
去工程中に殆ど全てが版上より処理液中に除去されるた
め、例え処理液に液補充等を行なってそれ自体は所期の
処理特性を保持していても、流入した光導電層を多く含
有する処理液では槽内や液循環系、処理部搬送部位等に
液固着が起こり液供給量の低下や液供給方式としてスプ
レ−を用いればその孔の目詰まり等種々の悪影響を及ぼ
すばかりか、光導電層組成物の印刷版支持体上への再付
着による印刷汚れを誘引する残膜をもたらす場合があっ
た。また、溶出部に於て非画像部光導電層を機械的に強
制除去しなくても、溶出液処方や液供給方法、溶出時間
によっては、光導電層が過剰の溶出液と共に版上より流
失したり、流失せずとも溶出処理中にサイドエッチが進
行して溶出オ−バ−になる場合があった。
【0015】そこで、両者欠点を解消し長所を合せ持つ
処理方式として上記の後計量方式がある。この方式は、
アルカリ現像液を版に供給してから直ちに現像に必要な
液量を残して計量するため、計量時除去液は非画像部感
光層成分の混入が殆どなく、更にはアルカリ現像に必要
な最低量の供給消費及びそれに見合った液補充によっ
て、経時での空気中の炭酸ガスの吸収溶解によるアルカ
リ度の低下に起因する経時疲労劣化を抑制し、実質的に
液使い捨て方式と同様に常にほぼ新液状態で製版を出
来、処理液循環再利用方式の様な経時的影響を受け難
い。また、例え現像液が結果として版上に供給されない
部分が発生したとしても、現像開始前に液計量具によっ
て液の延展がなされるため、処理ムラが軽減される。
【0016】しかしながら、上記処理方式を液供給後溶
出液による光導電層膨潤可溶化が開始する前に計量する
こととして単純にアルカリ溶出型電子写真平版印刷版に
適用すると、版端部特に版先頭部に於て液供給不足によ
る溶出不良を起こし易く、或は見掛け上溶出不良になら
ずとも版中央部と端部とではサイドエッチの程度に差が
生ずる。そこで版端部の溶出不良を完全に防止しようと
すると、版には必要量よりも多くの溶出液を計量する
か、溶出時間の延長が必要となり、結果として廃液が増
加するか、処理時間が長くなる。また、この場合版中央
部は溶出過剰ぎみになり、サイドエッチが助長される。
【0017】この溶出不良の原因は、アルカリ溶出型電
子写真平版印刷版光導電層が初期帯電電位、感度、及び
暗減衰等の電子写真特性及び耐刷性等の印刷特性等から
一般的なPS版感光層よりも2〜3倍厚く、結着樹脂は
より高分子量であって可溶化に与る官能基の導入率は抑
制され、またサイドエッチを抑制する関係上溶出液のア
ルカリ強度を高められないためか、光導電層の膨潤可溶
化が開始する前に溶出液を計量してしまうと、残液量に
もよるが膨潤可溶化を促進するだけのアルカリで代表さ
れる光導電層可溶化種が充分に被可溶化部にないために
可溶化が緩慢となるか、或はそれが不足して可溶化が中
途で終了して残膜をもたらす。また、光導電層結着樹脂
はインキ受理性を高める結果撥水性となるから、水性の
溶出液では供給時に見掛け上液が版面全体を被覆してい
ても、計量前の液膜厚が均一でなかった場合、特に版搬
送先頭部及び側端部は、計量後に液弾きを誘発して溶出
不良となる。
【0018】これがため、電子写真平版印刷版に於ける
この版搬送先頭部溶出不良に対しては、特開平2−93
474号公報に液計量後更に版先頭部に対し処理液を供
給する処理方法が開示されているが、この方法に於ても
上記溶出欠陥を完全に払拭しきれず、従って上記方式で
溶出不良を防止するためには、計量後の残液量をかなり
多目にしなければならないため、結果として液使い捨て
方式と同様多量の廃液をもたらすと云った問題点があ
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性支持
体上に光導電層を設けた平版印刷版原版に電子写真法に
よりトナ−画像を形成させた後、トナ−画像部以外の非
画像部光導電層の溶出除去を行なって印刷版を作製する
ための電子写真平版印刷版の処理方法に於て、 a)溶出による画線細りを抑制しつつ残膜等の溶出不良
を防止して、版全面が均質に溶出され、 b)液循環再使用によるガス吸収や可溶化光導電層の混
入に起因する液性劣化を抑制し、長期に亙って安定した
溶出処理が行なえ、 c)液計量後の残液量及び液交換の頻度を大幅に低下さ
せ、もって廃液と保守管理の負担を軽減する、処理方法
を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
検討を重ねた結果、電子写真平版印刷版非画像部を溶出
除去するに際し、溶出液による非画像部光導電層の膨潤
可溶化が開始する前に版上の溶出液を計量するのではな
く、膨潤可溶化させた後一定量に液計量し、その搬送後
方で可溶化した光導電層と残存する溶出液とを除去する
ことによりその目的を達成した。
【0021】則ち本発明は、導電性支持体表面に少なく
とも有機光導電性化合物と結着樹脂とを含有する光導電
層を設けてなる平版印刷版原版に、電子写真法によりト
ナー画像を形成させ、次いでアルカリ性溶出液によりト
ナー画像部以外の非画像部光導電層を溶出除去して得ら
れるアルカリ溶出型電子写真平版印刷版の処理方法に於
て、該平版印刷版原版を略直線状に搬送しながらトナー
画像形成面に溶出液を版端部から溶出液が流下する過剰
供給して非画像部光導電層を膨潤可溶化させた後に版
上の溶出液を一定量に計量し、その搬送後方で可溶化し
た光導電層及び残存する溶出液を除去する電子写真平版
印刷版の処理方法である。
【0022】以下、本発明の処理方法を処理工程に順じ
て詳細に説明する。
【0023】本発明の処理方法に於ける処理工程は、少
なくとも溶出液供給工程、光導電層膨潤可溶化工程、溶
出液計量工程、及び可溶化光導電層除去工程からなる。
溶出液供給工程では、電子写真方式によりトナ−画像が
形成された平版印刷版の光導電層面に溶出液を過剰に供
給する。溶出液供給方式は従来公知の機構、例えば液吐
出シャワ−管、スライドホッパ、カ−テンコ−タ、ディ
ップ方式等が使用出来るが、特にシャワ−管を用いる場
合には管から吐出した液を別の部品、例えば整流板、版
搬送上ロ−ル等、を介して光導電層面に均一に供給する
方式が好適である。また全ての方式に於て、より溶出時
間を短縮し液供給不良を防止するために、液計量工程に
到る間に流動促進機構を設けて版上に供給された溶出液
の置換を図ることや、溶出液を複数回に亙って供給する
ことが望ましい。
【0024】溶出液は過剰に供給する必要があり、その
量は液計量工程通過後に版上に残る溶出液量より多くす
ることは勿論、液計量工程に到る搬送中版端部から溶出
液が流下する量であることが肝要である。これにより、
一部は非画像部光導電層を膨潤可溶化させ、余剰分は版
上を流動して被溶出部に於て既にある溶出液と一部置換
しながら版端部より流下する。従って、版端部では液置
換が頻繁に起こり、光導電層界面近傍の溶出液流動速度
が上昇することによって、版部位による溶出度の変動が
抑制される。より具体的な溶出液供給量は、液計量工程
通過後に版上に残す溶出液量(溶出液持出し量)にもよ
るが、その2〜100倍が良く、より好ましくは5〜3
0倍が良い。
【0025】印刷版上に過剰に供給された溶出液は、光
導電層膨潤可溶化工程に於て、光導電層を膨潤可溶化さ
せる。光導電層膨潤可溶化工程に於ける溶出液による光
導電層の溶解は、溶出液成分中の少なくとも光導電層可
溶化種の光導電層への浸透、光導電層の膨潤、及び光導
電層成分の光導電層と接する溶出液中への溶解拡散の各
過程を経て進行し、その進行過程は溶出液処方等の選定
制御により容易に段階的にも競争的にも設計することが
出来る。本発明に於ける光導電層の「可溶化」とは、少
なくとも除去すべき光導電層が溶出液で膨潤して粘稠性
液状層となり、版上から光導電層を容易に除去出来る溶
出の状態を意味する。
【0026】本発明に於て、光導電層膨潤可溶化工程、
則ち溶出液計量工程搬入直前、では非画像部光導電層を
ほぼ完全に可溶化させて、次に溶出液計量工程にて液計
量手段により少なくとも版上に残存する余剰の溶出液を
極限まで除去するのではなく一定量残して計量除去す
る。溶出液計量工程前に流下した溶出液及びこの計量除
去液は殆ど溶出処理疲労を被っていないため、これを再
循環して使用することが出来る。
【0027】本発明に係わる液計量に於ては、液計量に
可溶化した光導電層の混入を抑制防止しながら、実質的
に光導電層の可溶化に関与しなかった溶出液を最大限版
上から除去することが重要である。従って、液計量後の
版上に残す溶出液量(溶出液持出し量)は、多いと必然
的に溶出液消費量が増加して単位溶出液量当たりの溶出
効率が低下するし、液計量後可溶化光導電層除去に到る
迄に更に可溶化が進行してサイドエッチの悪化を招くた
め、溶出液持出し量は少ない方が望ましい。
【0028】しかしながら、溶出液持出し量が少なすぎ
ると、結果として除去液の粘性が著しく上昇し、応々に
して連続製版では可溶化光導電層除去部(部材)に除去
液が蓄積して除去効果が低減するし、液計量部で可溶化
した光導電層が剥離する可能性が高くなって好ましくな
い。まして、液循環方式の様にアルカリ処理工程で版上
の液状物を最大限除去すると、疲労溶出液及び光導電層
成分まで混入して本発明の処理方法の意図と異なってし
まう。従って、本発明に於ける液計量後の溶出液持出し
量は、如何なる液計量手段を用いるかにもよるが、30
〜120g/m2が良く、更に好ましくは40〜100g
/m2が良い。
【0029】本発明に係わる液計量工程に於ける液計量
具としては、軸回りに一定直径の細いワイヤを螺旋状に
巻付けたワイヤバ−、溝付きロ−ル、ブレ−ド、プレ−
ンバ−、軽量のゴムロ−ル等の各種を用いることが可能
である。ワイヤバ−や上記ロ−ルの様に液計量具が回転
体であれば、回転軸をある周速で強制的に回転させても
良いし、或は少なくとも液計量時には自由回転にしても
良い。本発明に於ては、計量液量の調整の簡便さや可溶
化した光導電層成分の剥離流失の抑制等の観点から、比
較的軽量な回転軸(バ−)にワイヤを巻付けたワイヤバ
−が好適に使用される。
【0030】ワイヤバ−は、少なくとも版表面に対し回
転方向全てに計量幅方向均一に接触し、液計量時は可溶
化した光導電層の剥離を抑制防止する形状を有すること
が望ましい。液計量具の版への加圧がその重量によって
決定される場合、軽すぎると応々にして溶出液によりス
リップして計量精度が低下するし、逆に重すぎると可溶
化した光導電層の剥離が誘発し易くなるので、版に加わ
る重量は0.5〜4.0kgの範囲が、より好ましくは
0.8〜2.5kgが良い。バ−は永久変形を受け難く軽
量で断面形状の均一な円筒状物が望ましく、その直径は
5〜40mmが良い。ワイヤは充分な機械的強度を有
し、溶出液に侵されず巻上がりが均質になるようであれ
ば各種の素材を使用することが出来、ワイヤ径は0.0
5〜1.0mmが、より好ましくは0.15〜0.7mm
が良い。巻付けは所望により稠密でも一定間隔をあけて
巻いても良い。
【0031】液計量工程を経た印刷版は可溶化光導電層
除去工程に入り、除去手段により非画像部に残る可溶化
した光導電層を除去し、更に次工程へ搬送される。液計
量工程で液計量が好適に行なわれれば、更なる可溶化の
進行はかなり抑制されるが、サイドエッチの進行を防止
するため、液計量後直ちに可溶化光導電層を除去するこ
とが望ましい。具体的には長くとも3秒以下、より好ま
しくは1秒以下で可溶化した光導電層を除去することが
望ましい。可溶化光導電層除去工程で除去された液は、
その殆どが可溶化した光導電層及び疲労溶出液なので、
廃棄処分とすることが望ましい。また、少なくとも廃液
に含まれる溶出液量分は新液を補充して、循環液量の確
保と溶出活性度の保持に努めることが望ましい。
【0032】本発明に係わる除去手段としては、エアナ
イフ、ゴムブレ−ド、弾性ロ−ル、回転及び非回転(固
定或は摺動等)ブラシ、及びモルトンロ−ル等による方
法等が挙げられる。弾性ロ−ルは、ロ−ル対の間に印刷
版を通してそのニップ圧によって版面の溶出液を除去出
来、ゴムブレ−ドは少なくとも版との接触面が滑らかな
弾性材を印刷版の搬送路に沿わせた状態で配置し、版面
と摺接させることにより版面の溶出液を取除くことが可
能である。ここに用いられる弾性材としては、シリコ−
ンゴム、ネオプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピ
レンゴム、ニトリルブタジエンゴム、及びテフロンコ−
トゴム等が挙げられ、その硬度は50度以下、より好ま
しくは35度以下が良い。ゴムブレ−ドの設置に際して
は、ゴムブレ−ド下に搬送速度と同等若しくはそれ以上
の周速で回転するガイドロ−ルを設けたり、版先頭部が
ゴムブレ−ド通過直後に加圧する様、搬送不良の誘発を
防止するための何等かの機構を設けることが望ましい。
また、モルトンロ−ル及びブラシによる除去では、可溶
化した光導電層の剥離除去を促進するために、少なくと
も除去時に少量の処理液を供給しても良い。本発明に於
ては、機構上の保守管理負担の軽減、廃液量の低下、除
去効率、及び溶出品質の低下防止等の総合的理由から、
ゴムブレ−ドが好適に用いられる。
【0033】以上の様に、本発明の各工程の作用は、溶
出液供給工程で過剰の溶出液を版面に供給し、光導電層
膨潤可溶化工程に於て溶出液は版上を流動し更に一部は
版端面より流下して、溶出の促進と液供給不良による溶
出不良の抑制とを促し、溶出液計量工程では液計量手段
により版上に残存する溶出液を計量除去し、可溶化光導
電層除去工程では疲労溶出液と可溶化した光導電層を除
去することにある。また、溶出液は液計量後の持出し分
に相当する補充液を補充すると共に溶出に関与しなかっ
た余剰分を循環再使用し、疲労溶出液は可溶化した光導
電層と共に除去して廃棄するので、必要最少限に近い溶
出液の消費で溶出液交換の頻度を大幅に低下させ、もっ
て廃液処理と保守管理の負担を軽減する電子写真平版印
刷版処理方法を提供することが出来る。
【0034】本発明に於て処理する電子写真平版印刷版
は、導電性支持体上に少なくとも有機光導電性化合物及
び結着樹脂を含有する光導電層を設けてなり、通常の電
子写真現像方式によりトナ−画像を形成し得るものであ
る。電子写真平版印刷版に用いられる導電性支持体とし
ては、導電性表面を有するプラスチックシ−ト、溶剤不
透過性及び導電性にした紙、またはアルミニウム、亜
鉛、銅−アルミニウム、銅−ステンレス、クロム−銅等
のバイメタル、クロム−銅−アルミニウム、クロム−鉛
−鉄、クロム−銅−ステンレス等のトライメタル等の金
属板等を基体とし、少なくとも光導電層を設ける面は親
水化処理が施され、中心線平均粗さが0.3〜0.8μm
なる表面を有する導電性支持体が挙げられる。また、そ
れらの厚みは0.07〜2.0mm、より好ましくは0.
1〜0.5mmが良い。これらの基体中でもアルミニウ
ム板が好適に使用される。このアルミニウム板は、アル
ミニウムを主成分とし微量の異元素を含有しても良く、
従来公知・公用の素材を適宜使用することが出来る。
【0035】上記中心線平均粗さは通常Raと表記さ
れ、中心線の方向に測定長さLmの部分を抜取り、その抜
取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をZ軸とし、抽
出曲線をZ=f(x) で表した時に以下の式で与えられ、
μm単位で表示される。
【0036】
【数1】
【0037】則ち、Raは抽出曲線と中心線とにより囲
まれる部分の面積を測定長さで割った標準偏差を表す。
本発明に係わる中心線平均粗さRaは上記の式に準拠
し、カットオフ値0.25mm、表面粗さ算出上の測定
長さ0.5mmの条件で測定されたものであり、本発明
に係わる導電性支持体表面のRaは、0.3〜0.8μm
なる範囲の表面形状を有する。Raが0.3μmより小
さいと、光導電層との接着が脆弱となるし、前記溶出剥
離を誘引し易くなる。またRaが0.8μmより大きい
と、均質な光導電層の形成が困難となり、電子写真特性
及び溶出性にムラが発生し易くなる。
【0038】より好ましい導電性支持体表面形状は、R
a=0.45〜0.70μm、粗面ピット間隔30〜10
0μm、ISO 4287/1に規定されるベアリング
レングス(Rtp)が70〜85%なる粗面を有している
ことである。
【0039】これら所望の表面形状を光導電層を設ける
支持体面に形成させるため、公知の方法で砂目立て、陽
極酸化しても良い。砂目立て処理に先立って、所望によ
り界面活性剤またはアルカリ水溶液による脱脂処理す
る。砂目立て処理方法には、機械的粗面化法、電気化学
的粗面化法、化学的表面選択溶解法等がある。機械的粗
面化法には、ボ−ル研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研
磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることが出来
る。また電気化学的粗面化法には、塩酸或は硝酸電解液
中で、交流か直流により行なう方法がある。また、特開
昭54−63902号公報に開示の如く、両者を組合わ
せた方法等も利用出来る。この様に粗面化された基体
は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理
して用いる。
【0040】上記処理を施された基体は、その表面に酸
化皮膜を形成させるため陽極酸化処理される。陽極酸化
処理に用いられる電解質としては、硫酸、リン酸、しゅ
う酸等、或はそれらの混酸が用いられ、その濃度は電解
質の種類によって適宜決定される。陽極酸化処理条件
は、用いる電解質により大幅に変化するため一概に特定
し得ないが、陽極酸化皮膜量は0.10〜10g/m2
良く、更には1.0〜6.0g/m2の範囲が好適である。
【0041】導電性支持体と光導電層との間には、接着
性、印刷性、及び電子写真特性等の向上のため、必要に
応じ中間層を設けても良い。この様にして得られた導電
性支持体上に所望の電子写真光導電層を設けて、電子写
真平版印刷版原版を得ることが出来る。
【0042】本発明に於て処理する電子写真平版印刷版
の光導電層に用いる有機光導電性化合物としては、以下
に例示する公知の有機化合物を使用出来る。 a)米国特許第3112197号明細書等に記載のトリ
アゾ−ル誘導体、 b)米国特許第3189447号明細書等に記載のオキ
サジアゾ−ル誘導体、 c)特公昭37−16096号公報等に記載のイミダゾ
−ル誘導体、 d)米国特許第3542544号、同3615402
号、同3820989号明細書、特公昭45−555
号、同51−10983号、特開昭51−93224
号、同55−108667号、同55−156953
号、同56−36656号公報等に記載のポリアリ−ル
アルカン誘導体、 e)米国特許第3180729号、同4278746号
明細書、特開昭55−88064号、同55−8806
5号、同49−105537号、同55−51086
号、同56−80051号、同56−88141号、同
57−45545号、同54−112637号、同55
−74546号公報等に記載のピラゾリン誘導体及びピ
ラゾロン誘導体、 f)米国特許第3615404号明細書、特公昭51−
10105号、同46−3712号、同47−2833
6号、特開昭54−83435号、同54−11083
6号、同54−119925号公報等に記載のフェニレ
ンジアミン誘導体、 g)米国特許第3567450号、同3180703
号、同3240597号、同3658520号、同42
32103号、同4175961号、同4012376
号明細書、西独国特許(DAS)1110518号、特
公昭49−35702号、同39−27577号、特開
昭55−144250号、同56−119132号、同
56−22437号公報等に記載のアリ−ルアミン誘導
体、 h)米国特許第3526501号明細書記載のアミノ置
換カルコン誘導体、 i)米国特許第3542546号明細書等に記載のN、
N-ビカルバジル誘導体、 j)米国特許第3257203号明細書等に記載のオキ
サゾ−ル誘導体、 k)特開昭56−46234号公報等に記載のスチリル
アントラセン誘導体、 l)特開昭54−110837号公報等に記載のフルオ
レノン誘導体、 m)米国特許第3717462号明細書、特開昭54−
59143号(米国特許第4150987号に対応)、
同55−52063号、同55−52064号、同55
−46760号、同55−85495号、同57−11
350号、同57−148749号、同57−1041
44号公報等に記載のヒドラゾン誘導体、 n)米国特許第4047948号、同4047949
号、同4265990号、同4273846号、同42
99897号、同4306008号明細書等に記載のベ
ンジジン誘導体、 o)特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号公報等に記載のスチルベン誘導
体、 p)特公昭34−10966号公報に記載のポリビニル
カルバゾ−ル及びその誘導体、 q)特公昭43−18674号、同43−19192号
公報に記載のポリビニルビレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリ-2-ビニル-4-(4'-ジメチルアミノフェニ
ル)-5-フェニルオキサゾ−ル、ポリ-3-ビニル-N-エ
チルカルバゾ−ル等のビニル重合体、 r)特公昭43−19193号公報に記載のポリアセナ
フチレン、ポリインデン、アセナフチレン/スチレン共
重合体等の重合体、 s)特公昭56−13940号公報等に記載のピレン/
ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾ−ル/ホルムア
ルデヒド樹脂等の縮合樹脂、 t)特開昭56−90883号、同56−161550
号公報等に記載の各種トリフェニルメタンポリマ、 u)米国特許第3397086号、同4666802
号、特開昭51−90827号、同52−655643
号、特開昭64−2061号、同64−4389号、特
開平1−144057号、同1−153757号、同1
−217362号、同1−221459号、同1−25
2967号、同1−285952号、同1−31255
1号、同2−8256号、同2−16570号公報等に
記載の無金属或は金属フタロシアニン及びナフタロシア
ニン、及びその誘導体等がある。
【0043】本発明に係わる有機光導電性化合物は、
a)〜u)に挙げた化合物に限定されず、これまで公知
の有機光導電性化合物を、また所望により2種類以上を
混合して用いることが出来るが、本発明に用いる電子写
真平版印刷版光導電層に於ては光導電性を有する無金属
或は金属フタロシアニン系顔料が有利に用いられる。
【0044】金属フタロシアニンとしては、フタロシア
ニン環の中心金属がリシウム、ベリリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウ
ム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、
錫、アンチモン、バリウム、ハフニウム、オスミウム、
白金、水銀、及び鉛等、及びそれら金属に酸素或はハロ
ゲンが軸配位した錯塩が知られており、無金属フタロシ
アニンはそれらの金属の換わりに水素の入ったものであ
る。また、電子写真特性や分散性の改善を目的として、
フタロシアニン分子中のベンゼン環の水素がハロゲン、
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、
アルコキシ基、アリキルアミノ基、アルキルアミド基、
置換若しくは未置換の脂肪族或は芳香族基等で置換され
た誘導体も知られている。更にこれらのフタロシアニン
のX線結晶回折の測定により、種々の異なった結晶形の
存在が知られている。
【0045】本発明に用いる電子写真平版印刷版光導電
層には、これらの内でα型、β型、γ型、π型、τ型、
χ型、及びε型等の無金属フタロシアニン、α型、β
型、γ型、ε型、及びη型等の銅フタロシアニン、α
型、β型等のチタニルフタロシアニン、及びハロゲノア
ルミニウムフタロシアニン等の金属フタロシアニンが好
ましく、He-Neレ−ザ、半導体レ−ザ等の光源の対
応して長波長領域に於いても優れた光感度を有するχ型
無金属フタロシアニン、及びチタニルフタロシアニンが
更に好適である。
【0046】本発明に係わる電子写真印刷版用光導電層
には、更に結着樹脂を併用する。印刷版に用いる際は、
最終的に画像部以外の光導電層を除去する必要があり、
この工程は光導電層の溶出液に対する溶解性とトナ−の
溶出液に対するレジスト性との相対的関係によって決定
されるため、一概に表現出来ないが、少なくとも結着樹
脂としては、後述の溶出液に可溶或は分散可能な高分子
化合物が好ましい。結着樹脂の具体例としては、スチレ
ン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸モ
ノアルキルエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタ
クリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸
エステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル
酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合
体、酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共
重合体等のスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル
酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等とアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボン酸含有モノ
マ或は酸無水物基含有モノマとの共重合体やメタクリル
酸アミド、ビニルピロリドン、フェノ−ル性水酸基、ス
ルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基を有
するモノマを含有する共重合体、フェノ−ル樹脂、部分
ケン化酢酸ビニル樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチ
ラ−ル等のビニルアセタ−ル樹脂を挙げることが出来
る。
【0047】これらの結着樹脂のなかで、酸無水物基或
はカルボン酸基を有するモノマ含有共重合体及びフェノ
−ル樹脂は、電子写真印刷版用光導電層とした場合の電
荷保持力が高く、従って有利に使用することが出来る。
酸無水物基を有するモノマ含有共重合体としては、スチ
レンと無水マレイン酸との共重合体が好ましい。カルボ
ン酸基を有するモノマ含有共重合体としては、スチレン
とマレイン酸モノエステルとの共重合体、アクリル酸或
はメタクリル酸とそれらのアルキルエステル、アリ−ル
エステルまたはアラルキルエステルとの二元以上の共重
合体が好ましい。また、酢酸ビニルとクロトン酸も良
い。フェノ−ル樹脂中特に好ましいものとしては、フェ
ノ−ル、o-クレゾ−ル、m-クレゾ−ル、或はp-クレゾ−
ルとメタナ−ルまたはエタナ−ルとを酸性条件下で縮合
させたノボラック樹脂を挙げることが出来る。結着樹脂
は単独でも、或は2種以上を混合して用いても良い。
【0048】本発明に用いる電子写真平版印刷版光導電
層中の光導電性化合物と結着樹脂と混合比は、所望の電
子写真特性及び製版特性等の特性を満足する様に決定す
れば良いが、一般的に光導電性化合物の含有量が少ない
と低感度となるため、結着樹脂100重量部に対してそ
れが5重量部以上、より好ましくは15重量部以上を混
合して使用することが好適である。しかしながら、分散
性、塗液安定性、塗布性等の液特性及びより一層の電子
写真特性の向上を期待出来ないこと等から、通常40重
量部以上の使用は望ましくない。光導電層膜厚は、薄い
とトナ−現像に必要な電荷が帯電出来ずにリ−クによる
被りを誘発し、逆に厚いと溶出液の劣化を促進するばか
りか溶出の際にサイドエッチを誘引して良好な画像再現
性が得られないため、0.10〜30μmが、より好ま
しくは0.50〜10μmが、更に好ましくは1.5〜
6.0μmが良い。
【0049】本発明に用いる電子写真平版印刷版は、常
法に従って光導電層を導電性支持体上に塗布して得られ
る。光導電層の作製に当たっては、光導電層を構成する
成分を同一層中に含有させる方法、或は二層以上の層に
分離して含有させる方法、例えば下層(支持体側)に易
溶出性、強接着性の結着樹脂を配置し、上層に良帯電
性、易インク受理性の樹脂を配置したり、或は有機光導
電性化合物の含量を増加させる等、異なる層に分離して
用いる方法等が知られており、何れの方法にても作製す
ることが出来る。塗布液は、光導電層を構成する各成分
を適当な溶媒に溶解分散して作製するが、有機光導電性
化合物がフタロシアニン等の様に溶媒に不溶な成分を用
いる場合は、ボ−ルミル、ペイントシェィカ−、ダイノ
ミル、アトライタ−等の分散機により平均粒径0.4μ
m以下、より好ましくは0.2μm以下に分散して用い
る。また、光導電層には必要に応じ、有機光導電性化合
物及び結着樹脂の他に光導電層の柔軟性、塗布面状等の
膜物性を改良する目的で、可塑剤、界面活性剤、その他
の添加物を添加できる。光導電層に使用する添加剤は、
有機光導電性化合物の分散時或は分散後に添加すること
が出来る。
【0050】この様にして作製した塗布液を回転塗布、
ブレ−ド塗布、ナイフ塗布、リバ−スロ−ル塗布、ディ
ップ塗布、ロッドバ−塗布、スプレ−塗布、エクストル
−ジョン塗布等公知の方法で支持体上に塗布乾燥して電
子写真平版印刷版を得ることが出来る。塗布液の溶媒と
しては、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン
化炭化水素類、メタノ−ル、エタノ−ル、2-プロパノ
−ル、1-ブタノ−ル、プロパンジオ−ル、ブタンジオ
−ル等のアルコ−ル類、アセトン、2-ブタノン、シク
ロヘキサノン等のケトン類、2-メトキシエタノ−ル、
2-メトキシエチルアセテ−ト、2-エトキシエチルアセ
テ−ト、2-(2-エトキシエトキシ)エタノ−ル等のグ
リコ−ルエ−テル類、オキソラン、オキサン、ジオキサ
ン等の環状エ−テル類、蟻酸メチル、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル類等が
挙げられる。塗液濃度(或は粘度)及び使用する溶媒や
その混合比は、塗布方式及び乾燥条件等から適宜選択さ
れる。
【0051】光導電層上には、静電特性、トナ−現像時
の現像特性、或は画像特性を改良する目的で、アルカリ
溶出除去時に溶解し得る上塗り層を設けても良い。この
上塗り層は、機械的にマット化されたもの、或はマット
剤を含有する樹脂層であっても良い。マット剤として
は、公知の無機及び有機微粒子が使用出来る。
【0052】本発明に於て使用する電子写真平版印刷版
は、公知の操作によってトナ−画像を形成させることが
出来る。則ち、暗所で一様に帯電させ、画像露光により
静電潜像を形成させ、しかる後にトナ−現像する。露光
方法としては、キセノンランプ、タングステンランプ、
蛍光灯等を光源とした反射画像露光、透明陽画フィルム
を通した密着露光や、レ−ザ光、発光ダイオ−ド等によ
る走査露光が挙げられる。走査露光の光源は、He-N
eレ−ザ、アルゴンイオンレ−ザ、クリプトンイオンレ
−ザ、ルビ−レ−ザ、YAGレ−ザ、窒素レ−ザ、色素
レ−ザ、エキサイマ−レ−ザ、GaAs/GaAlA
s、InGaAsPの様な半導体レ−ザ等のレ−ザ光源
を利用出来、その他発光ダイオ−ド、液晶シャッタを利
用した走査露光(発光ダイオ−ドアレイ、液晶シャッタ
アレイ等を用いたラインプリンタ型の光源も含む)を行
なっても良い。
【0053】次に、上記静電潜像をトナ−によって現像
する。現像方法としては、乾式現像法(カスケ−ド現
像、磁気ブラシ現像、パウダクラウド現像)、液体現像
の何れも使用出来る。殊に液体現像法はトナ−微細な画
像を形成出来、再現性良い印刷版を作製するのに好適で
ある。更に、正現像によるポジ/ポジ現像や、適当なバ
イアス電圧の印加の下反転現像によるネガ/ポジ現像も
可能であるが、本発明に於ては走査露光の利点を活かす
ため、画像露光部に反転現像にてトナ−現像を行なう。
形成されたトナ−画像は公知の定着法、例えば加熱定
着、圧力定着、溶剤定着等により定着出来る。この様に
形成したトナ−画像をレジストとして、非画像部光導電
層を溶出液により除去して印刷版が作製出来る。
【0054】電子写真平版印刷版を現像するためのトナ
−は、下記溶出液に対してレジスト性を有する樹脂成分
を含有していることが必要である。樹脂成分としては、
例えばメタクリル酸、メタクリル酸エステル等から成る
アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとエチレン
または塩化ビニル等との共重合体、塩化ビニル樹脂、塩
化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラ−ル等のビニルア
セタ−ル樹脂、ポリスチレン、スチレンとブタジエン、
メタクリル酸エステル等との共重合物、ポリエチレン、
ポリプロピレン及びその塩化物、ポリカプラミド等のポ
リアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノ−ル樹脂、キ
シレン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル変性アルキッド樹
脂、その他ワックス等が挙げられる。また、トナ−には
現像或は定着等に悪影響を及ぼさない範囲で、色素や電
荷制御剤を含有させることも出来る。
【0055】トナ−現像を終了した電子写真平版印刷版
は、次にアルカリ性溶出液により非画像部光導電層を溶
出し、続いて水洗液で処理して版面を清浄にした後、通
常保護ガム処理される。
【0056】本発明に係わる溶出液としては、アルカリ
剤を含有し液調製pH付近に緩衝能を有する水溶液が望
ましい。含有させるアルカリ剤としては、一般式SiO2
/M2O(Mはアルカリ金属原子を表わす)で表現される
珪酸塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸や炭酸のアルカ
リ金属及びアンモニウム塩等の無機アルカリ剤、エタノ
−ルアミン類、エチレンジアミン、プロパンジアミン
類、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機アル
カリ剤、及びこれらの混合物を用いることが出来るが、
特に上記珪酸塩は適当なアルカリ強度と高pHで強い緩
衝能とを示すため、珪酸塩が有利に使用される。
【0057】本発明に係わる溶出液には更に、特開昭5
5−25100号公報記載のイオン性化合物、特開昭5
5−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリ
マ、特開昭56−142528号公報記載の水溶性両性
高分子電解質、特開昭58−75152号公報記載の中
性塩、特開昭58−190952号公報記載のキレ−ト
剤、特開平1−177541号公報記載の液粘度調整
剤、特開昭63−226657号公報記載の防腐剤や殺
菌剤、及び各種界面活性剤、天然及び合成水溶性ポリマ
等の公知の成分を必要に応じ含有させることが出来る。
【0058】溶出液に於ける溶媒は、上記成分を安定し
て分散溶解し得るものであれば特に限定されないが、軟
水が更に好ましくはイオン交換した水が有利に用いられ
る。また、上記アルカリ剤を除いた溶出液組成を含有す
る溶液に於て、実質的に溶出が起こらない量で、上記成
分をより安定的に混合分散するため、溶出液有効成分と
共に最小限度の有機溶剤を添加含有しても良い。
【0059】本発明に係わる溶出液調製に用いる珪酸塩
の好ましい性状は、SiO2/M2O=0.5〜4.0(モル
換算)が良く、更には1.0〜3.0の範囲が好ましい。
溶出液調製時には、更にアルカリ金属水酸化物を適量添
加して液pHを適宜調整することが望ましい。溶出液中
のアルカリ金属酸化物(M2O)の総量に対する珪酸
(SiO2)の最終的なモル比は、SiO2/M2O=1.0
〜2.6の範囲が良く、更には1.3〜2.2が好適であ
る。また、溶出液中のアルカリ剤濃度は溶出速度を決定
する主要因の一つであるが、本発明に於ては1〜20重
量%、より好ましくは2〜10重量%が、更に好ましく
は3〜8重量%が良い。溶出液のpHは、11.8〜1
3.5、より好ましくは12.0〜13.0が良く、多数
枚通版等に際しては所望の補充液を適時添加して、溶出
活性度の向上を図ることが望ましい。
【0060】溶出時間、則ち溶出液が光導電層と接触し
てから除去されるまでの時間は、短かければ溶出不良や
印刷経時に於ける地汚れを招き、長ければ画線細りや溶
出液中への光導電層の過度の流入を招く。溶出時間は溶
出液処方等によって特定されるが、2〜15秒の範囲、
より好ましくは3〜10秒の範囲が良い。
【0061】水洗処理は、水洗液と共に速やかに版上に
残存する可溶化した光導電層と溶出液とを完全に除去し
得なければならない。給液は飛散が抑制出来る機構であ
れば可溶化した光導電層に直接供給しても良いし、特公
平3−27038号公報記載の溶出促進具を水洗機構に
応用しても良い。また、水洗処理に於ては、回転するブ
ラシを直接光導電層に接触させて可溶化した光導電層を
掻落とすことも出来るが、通常可溶化した光導電層は機
械的掻落しなしに容易に除去出来ること、及びサイドエ
ッチの悪化を招く恐れがあることから、その使用は望ま
しくない。本発明の処理方法で用いる水洗液は、使い捨
て方式でも循環再使用方式でも良く、或は所望によりそ
の他の方式も利用出来る。
【0062】非画像部光導電層を除去した電子写真平版
印刷版は、版面の耐傷強度の向上及び非画像部不感脂化
等の目的で、保護ガム処理される。本発明に用いること
の出来る保護ガム液には、高分子親水性化合物、親油性
物質、及び界面活性剤等を含み、これらの試剤は全て公
知のものが利用出来る。
【0063】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に
限定されるものではない。また、溶出液供給位置から液
計量具中心及び液計量具中心から可溶化光導電層除去具
中心までの夫々の搬送面上搬送方向の距離を液計量距離
及び除去距離とし、除去距離と搬送速度とで表現され
溶出液が計量されてから除去されるまでの時間を除
去時間と記載する。
【0064】実施例1 [電子写真平版印刷版原版の作製]JIS1050アル
ミニウムシ−トを60℃、10%NaOH水溶液に浸漬
し、アルミニウム溶解量が6g/m2になる様にエッチン
グした。水洗後、30%硝酸水溶液に1分間浸漬して中
和し、充分水洗した。次に、3.0%塩酸水溶液中で35
A/dm2、50秒間電解粗面化を行ない、50℃、20
%硫酸水溶液中に浸漬して表面を洗浄した後、水洗し
た。更に、20%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を施し
て、表面にアルミニウム酸化物皮膜を形成させ、水洗後
乾燥することにより印刷版用支持体を作製した。この
時、支持体表面処理面の中心線平均粗さRaは、0.5
7μmであった。
【0065】この支持体表面処理面に、ペイントシェィ
カ−にて1時間分散させた下記光導電性組成物をエクス
トル−ジョンコ−タで固形分塗布量4.3g/m2となる
様塗布後、90℃、3分間乾燥して電子写真平版印刷版
原版を作製した。製版にはこれをA2サイズに裁断して
使用した。
【0066】 光導電層塗液組成 ブチルメタクリレ−ト/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体 (単量体重量比1:1:1、分子量1.5万) 6.5 重量部 χ型無金属フタロシアニン (大日本インキ(株)製、商品名Fastogen Blue 8120) 1.5 重量部 1,4-ジオキサン 70 重量部 キシレン 13 重量部 2-プロパノ−ル 9 重量部
【0067】[トナ−現像]得られた印刷版原版を暗所
にてコロトロンにより表面電位が約+300Vになる様
帯電させた後、半導体レ−ザ(780nm)を用いて走
査画像露光し、直ちに正電荷トナ−(三菱製紙(株)製、
LOM-ED III)で液体反転現像を行ない、風乾して
トナ−分散媒を除去後、トナ−を熱定着して光導電層上
にトナ−画像を形成させた。
【0068】以上のトナ−現像済み印刷版について、下
記に示す様な処理装置及び溶出液、水洗液、及び保護ガ
ム液を用いて製版処理を行なった。尚、溶出時間は版搬
送速度と液計量部搬出直後の光導電層の可溶化との関係
から調整した。
【0069】[電子写真平版印刷版処理装置]図1に本
実施例で用いた電子写真平版印刷版処理装置を示す。本
処理装置の基本構成は、溶出液塗布ゾ−ンA、可溶化光
導電層除去廃棄ゾ−ンB、水洗ゾ−ンC、及び保護ガム
液塗布ゾ−ンDの4ゾ−ンからなり、印刷版はロ−ル挟
持されて自動搬送される。
【0070】溶出液塗布ゾ−ンAは更に、溶出液供給管
27、液整流板28、及び給液ロ−ル11からなる溶出
液供給部、光導電層膨潤可溶化部E、及び液計量具47
及びガイドロ−ル13からなる溶出液計量部で構成され
る。液計量距離(溶出液供給部液計量部間距離)Eは3
00mmである。液計量具47には、外径25mm、肉
厚1mmのSUS430化粧管51に、直径0.37m
mナイロンワイヤ50を螺旋状に稠密に巻付けたワイヤ
バ−を使用した。加圧は自重のみで、駆動系に接続して
強制回転させず、ガイドロ−ル13によって回転が伝達
される。溶出液計量部で計量除去された余剰の溶出液
は、循環溶出液貯液槽3上方に設置されたトレ−75上
を流動して孔78より循環溶出液貯液槽3に回収され、
補充液貯液槽7から補充ポンプ94、バルブ100、及
び溶出補充液供給管54を経て補充された液計量部溶出
液持出し量に相当する溶出補充液と共に循環して再使用
する。
【0071】可溶化光導電層除去廃棄ゾ−ンBは、ゴム
ブレ−ド22、金属ガイドロ−ル20、及びガイドロ−
ル清浄ブレ−ド23で構成される。除去距離(液計量部
からゴムブレ−ド金属ガイドロ−ル接触部までの距離)
Fは70mmである。ゴムブレ−ド22によって掻落と
された液は、除去廃液一次貯留槽4に一時的に貯留さ
れ、連結管90の下方に配置されたバルブ104を解放
することにより、配管114を経て廃棄される。ゴムブ
レ−ド22のゴム材には、ゴム硬度30度、4mm厚の
ニトリルブタジエンゴムを使用し、有効弾性長15m
m、金属ガイドロ−ル20との接触幅2mmになる様加
圧調整されている。
【0072】[製版用処理液] 1)溶出液組成(循環溶出液貯液槽3投入分:30dm3) 珪酸ナトリウム水溶液(SiO2分30重量%、SiO2/Na2Oモル比3.0) 10.0 重量部 水酸化カリウム 1.0 重量部 純水 89.0 重量部
【0073】 2)溶出補充液組成(溶出補充液貯液槽7投入分:20dm3) 珪酸ナトリウム水溶液(SiO2分30重量%、SiO2/Na2Oモル比3.0) 10.0 重量部 水酸化カリウム 1.8 重量部 純水 88.2 重量部
【0074】 3)水洗液組成(循環水洗液貯液槽5投入分:30dm3) 炭酸水素アンモニウム 0.35 重量部 ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム 0.10 重部部 2-メチル-3-イソチアゾロン 0.01 重量部 純水 99.54 重量部
【0075】 4)保護ガム液組成(ガム液貯液槽8投入分:10dm3) アラビアガム 5 重量部 リン酸(85%水溶液) 1 重量部 硝酸ナトリウム 1 重量部 エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) 0.5 重量部 くえん酸 0.25 重量部 デカグリセリルモノラウレ−ト 0.1 重量部 2-メチル-3-イソチアゾロン 0.01 重量部 これに水酸化ナトリウムを添加して液pHを4.3とし
た後、純水で100重量部に調製。
【0076】[製版処理及び印刷]以上の処理装置及び
各処理液を用いて、溶出液吐出量7.0dm3、搬送速度
4m/分なる処理条件(除去時間1.05秒)で1000
版連続製版したところ、全ての製版物に付き溶出不良は
観られなかった。また、製版開始10版目、200版
目、500版目、及び1000版目の製版物のサイドエ
ッチを測定したところ、同一版内の部位(版中央部及び
両端部)による変動は勿論、各製版物間のそれも殆ど変
化なかった。次に、これらの印刷版を用いてオフセット
印刷機(リョ−ビ 3200 MCD)にて印刷を行なっ
たところ、印刷地汚れの発生はなく良好な印刷物が得ら
れた。1000版製版後の溶出液は、僅かに蒼変したも
のの相当の等明度を有しており、pHの降下も僅かであ
った。また、1000版製版後の可溶化光導電層除去部
での廃液量は、凡そ18dm3であった。溶出性及び印
刷性を観ながら同条件で更に製版を続行し、処理液を交
換せずに計2000版迄製版したが、全てに問題なく製
版出来た。
【0077】比較例1 実施例1で使用した処理装置に於て、ワイヤバ−をガイ
ドロ−ル13上から搬送ガイドロ−ル17上に移動させ
た(これにより液計量距離は75mmとなる)他は、実
施例1と同様の処理装置、処理液、及び処理条件(製版
速度)で、実施例1で作製したトナ−現像済み印刷版を
製版した。その結果、ワイヤバ−液計量直後に版上の液
状物を除去すると、非画像部光導電層は殆ど可溶化して
いなかったが、この条件で製版を続行したところ、非画
像部全面、特に搬送方向両端に溶出不良が発生した。ま
た、この印刷版を用いて印刷したところ、地汚れのない
印刷物は得られなかった。
【0078】比較例2 実施例1で使用した処理装置に於てワイヤバ−をスクイ
ズロ−ル(ゴム硬度30度)に交換してロ−ル両端を加
圧し、可溶化した光導電層をロ−ルで掻取る様にした他
は、実施例1と同様の処理液及び処理条件(製版速度)
で、実施例1で作製したトナ−現像済み印刷版を製版し
た。その結果、溶出液と共に可溶化した光導電層も剥離
して循環溶出液中に混入してしまい、液粘性が上昇する
と共に700版目程から溶出不良ぎみとなり、少なくと
も溶出液の交換を余儀なくされた。また、製版物を選択
して印刷したところ、遅くとも500版目では印刷地汚
れが発生し、700版目製版物では顕著であった。
【0079】比較例3 実施例1で用いた処理装置及び処理液を用い、版上には
全面に溶出液が供給されるが、液計量部に搬入されるま
で版上から溶出液が流下しない様に溶出液供給量を調整
した他は、実施例1と同様の製版条件で製版した。その
結果、版中央部は溶出不良は観られなかったが、搬送方
向両端に溶出不良が発生した。また、この印刷版を用い
て印刷したところ、版両端部は勿論印刷経時で版中央部
に於ても地汚れが発生した。
【0080】実施例2 実施例1で用いた処理装置に於て、ワイヤバ−をガイド
ロ−ル13上から搬送ガイドロ−ル18上に移動させ
(これにより液計量距離は225mmとなる)、製版速
度を3m/分に変更した他は、実施例1と同様の処理条
件(除去時間約4.4秒)及び処理液で、実施例1で作
製したトナ−現像済み印刷版を製版した。製版物のサイ
ドエチは実施例1よりやや悪化したが、実施例1同様の
製版及び印刷結果を得た。
【0081】実施例3 実施例1で用いた処理装置及び処理液を用い、ゴムブレ
−ド22の替わりに比較例2で用いたスクイズロ−ルを
装着してロ−ル両端を加圧した他は、実施例1と同様の
製版条件で製版した。1000版連続して製版した結
果、溶出性の変動は殆どなく印刷性も実施例1と同様に
何等問題なかった。水洗液を交換し溶出液は交換せずに
更に1000版迄製版したが、全てに問題なく製版出来
た。
【0082】実施例4 実施例1で用いた処理装置に於て、液計量具47に用い
たワイヤバ−の替わりにゴム硬度30度のニトリルブタ
ジエンゴムスクイズロ−ルを装着した。スクイズロ−ル
は軸に直接駆動を伝達させたり加圧したりせず、ガイド
ロ−ル13とロ−ルの自重で接触して回転する様になっ
ている。
【0083】また、溶出液及び溶出補充液は以下に示す
処方の液に夫々交換して使用した。 1)溶出液組成(循環溶出液貯液槽3投入分:30dm3) 珪酸ナトリウム水溶液(SiO2分30重量%、SiO2/Na2Oモル比3.0) 28.0 重量部 水酸化カリウム 1.5 重量部 純水 70.5 重量部
【0084】 2)溶出補充液組成(溶出補充液貯液槽7投入分:20dm3) 珪酸ナトリウム水溶液(SiO2分30重量%、SiO2/Na2Oモル比3.0) 28.0 重量部 水酸化カリウム 2.0 重量部 純水 70.0 重量部
【0085】[製版処理及び印刷]以上の処理装置及び
各処理液を用いて、溶出液吐出量5.5dm3、搬送速度
2m/分なる処理条件(除去時間2.1秒)で1000版
連続製版したところ、全ての製版物に付き溶出不良は観
られなかった。また、製版開始10版目、200版目、
500版目、及び1000版目の製版物のサイドエッチ
を測定したところ、同一版内の部位(版中央部及び両端
部)による変動は勿論、各製版物間のそれも殆ど変化な
かった。次に、これらの印刷版を用いてオフセット印刷
機(リョ−ビ 3200MCD)にて印刷を行なったと
ころ、印刷地汚れの発生はなく良好な印刷物が得られ
た。1000版製版後の溶出液は殆ど染着しておらず、
不溶物の発生もなく、pHの降下も僅かであった。ま
た、1000版製版後の可溶化光導電層除去部での廃液
量は、凡そ5dm3であった。2000版製版後に溶出
補充液を貯液槽7に補充した以外は同条件で更に製版を
続行し、処理液は全て交換せずに計3000版迄製版し
たが、溶出性及び印刷性等全てに問題なく製版出来た。
【0086】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の電子写真平
版印刷版処理方法によって電子写真平版印刷版を処理す
れば、溶出時の画線細りの抑制しつつ残膜等の溶出不良
を防止して版全面を均質に溶出出来るばかりでなく、溶
出液の循環再使用によるガス吸収や可溶化光導電層の混
入に起因する液性劣化を抑制して長期に亙って安定した
溶出処理が可能となり、更に液計量後の残液量及び液交
換の頻度を大幅に低下させ、もって廃液と保守管理の負
担が軽減される等、秀逸なる効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真平版印刷版処理方法を実施す
るに用いた処理装置の縦断面略図。
【符号の説明】
A 溶出液塗布ゾ−ン B 可溶化光導電層除去廃棄ゾ−ン C 水洗ゾ−ン D 保護ガム液塗布ゾ−ン E 光導電層膨潤可溶化部 1 電子写真平版印刷版原版 3 循環溶出液貯液槽 7 補充液貯液槽 13 ガイドロ−ル 12、17、18 搬送ガイドロ−ル 20 金属ガイドロ−ル 22 ゴムブレ−ド 47 液計量具
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/26 - 13/32 G03F 7/00 G03F 7/30 - 7/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも有機光導電
    性化合物と結着樹脂とを含有する光導電層を設けてなる
    平版印刷版原版に、電子写真法によりトナー画像を形成
    させ、次いでアルカリ性溶出液によりトナー画像部以外
    の非画像部光導電層を溶出除去して得られるアルカリ溶
    出型電子写真平版印刷版の処理方法に於て、該平版印刷
    版原版を略直線状に搬送しながらトナー画像形成面に溶
    出液を版端部から溶出液が流下する過剰量供給して非画
    像部光導電層を膨潤可溶化させた後に版上の溶出液を一
    定量に計量し、その搬送後方で可溶化した光導電層及び
    残存する溶出液を除去することを特徴とする電子写真平
    版印刷版処理方法。
  2. 【請求項2】 トナー画像形成面に供給された溶出液が
    計量されてから除去されるまでの時間が3秒以下である
    請求項1記載の電子写真平版印刷版処理方法。
  3. 【請求項3】 計量後の溶出液量が30〜120g/m
    2になるように計量する請求項1記載の電子写真平版印
    刷版処理方法。
  4. 【請求項4】 液計量具の有効計量幅に対する版に加わ
    る重量が0.5〜4.0kg/mである請求項1記載の
    電子写真平版印刷版処理方法。
  5. 【請求項5】 計量により除去された溶出液は循環再使
    用し、可溶化した光導電層及び残存する溶出液は除去し
    て廃棄する請求項1記載の電子写真平版印刷版処理方
    法。
  6. 【請求項6】 溶出液をゴムブレードで除去する請求項
    1記載の電子写真平版印刷版処理方法。
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