JPH10254187A - 電子写真反転現像用平版印刷版 - Google Patents

電子写真反転現像用平版印刷版

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JPH10254187A
JPH10254187A JP5490997A JP5490997A JPH10254187A JP H10254187 A JPH10254187 A JP H10254187A JP 5490997 A JP5490997 A JP 5490997A JP 5490997 A JP5490997 A JP 5490997A JP H10254187 A JPH10254187 A JP H10254187A
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JP
Japan
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printing plate
photoconductive layer
lithographic printing
acid
electrophotographic
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JP5490997A
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English (en)
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Hideaki Ishiguro
秀明 石黒
Yuji Takagami
裕二 高上
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反転現像の特徴であるカブリ及び線細りのない
良好な画像を損なうことなく、特に非画像部に発生する
微小な黒点欠陥を抑制できる電子写真反転現像用平版印
刷版を提供する。 【解決手段】光導電層塗液を導電性支持体上に塗布、乾
燥した平版印刷版であって、電子写真方式により露光部
に反転現像にてトナー画像を形成後、非画像部を溶出除
去して平版印刷版とする電子写真平版印刷版において、
該導電性支持体が、触針式表面粗さ計による表面形状の
測定で、触針径が1μmで測定した時に、中心線山高さ
Rpが1.0μm〜2.5μmであり、該光導電層塗液
の塗布直前の水分含有率が0.5%以下の塗液を塗布し
て作製された電子写真反転現像用平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導電層塗液を導
電性支持体上に塗布、乾燥した平版印刷版であって、電
子写真方式により露光部に反転現像にてトナー画像を形
成後、非画像部を溶出除去して平版印刷版とする電子写
真平版印刷版に関し、特に非画像部に発生する微小な黒
点欠陥を抑制した電子写真反転現像用平版印刷版に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に平版印刷版はジアゾ樹脂等を感光
層としてアルミ版上に塗布したPS版が知られており、
それはフィルム原稿を通して印刷版原版の表面感光層に
密着露光し、これにより原稿の画像部と非画像部に対応
する硬化部分と非硬化部分を形成し、非画像部をアルカ
リ等で溶出して製版されている。しかしながら、PS版
は感度が低く、コンピューターからの画像データをレー
ザーにより印刷版に、直接露光する製版には電子写真平
版印刷版が広く用いられるようになってきた。
【0003】電子写真平版印刷版は、アルミニウム等の
導電性支持体上に光導電性化合物を含む光導電層が被着
された電子写真感光体から作製される。この電子写真感
光体の光導電層を構成する材料としては、特公昭37−
17162号、同38−7758号、同46−3940
5号、特開昭52−2437号、同57−161863
号、同58−2854号、同58−28760号、同5
8−118658号、同59−12452号、同59−
49555号、同62−217256号、同63−22
6668号、特開平1−261659号公報等に記載さ
れている様な有機光導電性化合物・結着樹脂系材料が実
用感度、耐刷性等に優れている。
【0004】電子写真平版印刷版の製版工程に於ては、
上記電子写真感光体の光導電層上に、まず所定の帯電工
程が施され、一様な電荷がのせられる。次に露光によっ
て画像に対応する静電潜像が形成される。続いて電子写
真用現像剤を用いて現像そして定着処理が行われ、上記
静電潜像に対応したトナー画像が形成される。このトナ
ー画像以外の非画像部は、アルカリ剤等を含有する溶液
により溶解・除去(溶出)され、続いて水洗または酸性
のリンス液による版面表面の見かけ上のpHの調節、ま
た必要に応じて版面保護液(保護ガム液)の塗布等の処
理が施されて最終的な刷版が得られる。
【0005】ところで上記現像工程において、いわゆる
反転現像によりトナー画像を得ることとすると、その現
像特性からカブリ及び線細りのない良好な画像を得るこ
とが出来る。反転現像を行う場合には、まず露光工程に
おいてトナーの付着が行われるべき部分(画線部)に対
して光照射が行われ、その光照射部分の電位がほぼ0V
に減衰させられる。このとき光照射が行われない部分
(非画像部相当部分)は初期帯電電位がそのまま維持さ
れることとなる。一方、現像工程領域では、液体現像剤
で充満された電極を介して、電極と電子写真平版印刷版
の間に所定の現像バイアスを印加する。この場合現像剤
中のトナー粒子は、所定の方法によって帯電された光導
電層側と同極性の荷電を有している。このような状態
で、上記現像工程領域の現像電界中に静電潜像を有する
電子写真平版印刷版が搬入されると、トナー粒子が現像
電界により光導電層側に泳動されてゆき、光照射部分で
ある光導電層の0V部分にトナー粒子の付着が行われ
る。この時初期帯電電位が残留している非画像部相当部
分はトナー粒子と反発しあうこととなってトナー粒子の
付着は回避される。
【0006】しかしながら、反転現像によりトナー画像
を形成しその後、溶出により非画像部を除去し印刷版と
した場合、非画像部に微小な黒点欠陥が発生する場合が
あり、この欠陥を有する印刷版による印刷においては、
著しく印刷品質を損なう悪影響があった。電子写真法に
よって画像形成を行う印刷版における欠陥の改善につい
ては、特公平7−31424号公報に画像のベタ部やシ
ャドー部にピンホールが発生する問題についての解消手
段の記載があるが、本発明のような反転現像での非画像
部に発生する黒点欠陥については言及あるいは示唆され
ておらず、実際にも解消されていない。反転現像の場合
の非画像部の黒点欠陥については、同公報に記載されて
いる支持体の表面形状の影響のみならず、支持体上に塗
設される光導電層の性状にも左右されるものと推測され
るが、具体的な手段についてはこれまで開示されていな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光導電層塗
液を導電性支持体上に塗布、乾燥した平版印刷版であっ
て、電子写真方式により露光部に反転現像にてトナー画
像を形成後、非画像部を溶出除去して平版印刷版とする
電子写真平版印刷版に関し、反転現像の特徴であるカブ
リ及び線細りのない良好な画像を損なうことなく、非画
像部に発生する微小な黒点欠陥が抑制された電子写真反
転現像用平版印刷版を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、光導電層塗
液を導電性支持体上に塗布、乾燥した平版印刷版であっ
て、電子写真方式により露光部に反転現像にてトナー画
像を形成後、非画像部を溶出除去して平版印刷版とする
電子写真反転現像用平版印刷版において、触針径が1μ
mで測定した時の触針式表面粗さ計による表面形状の測
定における該導電性支持体の中心線山高さ(Rp)が
1.0μm〜2.5μmの範囲にあって、該光導電層塗
液の水分含有率が、0.5%以下である塗液を塗布して
なる電子写真反転現像用平版印刷版によって達成され
る。
【0009】本発明者らの検討の結果、電子写真反転現
像用の印刷版の非画像部に発生する黒点欠陥の発生度合
いは光導電層塗設時の状況によって異なることが判明し
た。これは、支持体の表面形状によっても黒点欠陥の発
生度合いには変化が生じるが、さらに表面形状が同一で
あっても、光導電層塗液のロットによって出来上がった
電子写真平版印刷版を反転現像処理を行った後の非画像
部に発生する黒点欠陥の発生度合いに差異が生じてお
り、更に鋭意検討を行った結果、光導電層塗液の水分含
有率によって黒点欠陥の発生が抑制出来ることを見いだ
した。
【0010】光導電層を塗設する場合、一般的には有機
溶媒に溶解させたバインダー樹脂中に光導電性材料を分
散した塗液を作製するが、使用する有機溶媒のロットに
よっては含有する水分量が変化する場合がある。これは
季節により変動する傾向が見られる。塗液として作製し
た後にある一定の範囲を越えると、塗設時の光導電層の
膜面形成に悪影響を及ぼしたり、塗設後も残存した水分
によって、光導電層上に帯電される表面電荷が一様でな
くムラが発生し、その部分に黒点欠陥が発生するものと
考えている。
【0011】従って、黒点欠陥のない電子写真反転現像
用平版印刷版の作製において、光導電層塗設前の塗液中
の水分含有率及び導電性支持体の表面形状によって、非
画像部での黒点欠陥が発生しにくい領域が存在すること
を見いだした。すなわち、導電性支持体の中心線山高さ
は1.0μm〜2.5μmの範囲にあり、さらに光導電
層を塗設する際の光導電層塗液の水分含有率は0.5%
以下とすることで、表面電位のムラが緩和され黒点欠陥
の発生が抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係わる中心線山高さRp
について記載する。最大山高さRpは表面粗さパラメー
ターの一種であり、触針式の表面粗さ計によって求める
ことが出来る。触針式表面粗さ計の測定では、測定に使
用する触針径や走査速度によってパラメーター値に若干
の影響与える。本発明の表面形状の測定では触針径を1
μmに、走査速度が0.15mm/secなる条件を採
用する。
【0013】中心線山高さRpとは抽出曲線から基準長
さの部分を抜き取り、抽出曲線中心線と、それに平行で
最高の山の高さを通る直線との間隔を、抽出曲線の縦倍
率の方向に測定し、その値をμm単位で表したもので、
本発明ではドイツ規格DIN4762の規定を採用す
る。
【0014】中心線山高さRpは上述のように導電性支
持体の表面形状の凹凸の凸部に関するパラメーターであ
り、この値が2.5μmを越えると光導電層の表面電位
のムラが大きくなり、黒点欠陥が発生し易くなると推測
される。導電性支持体の中心線山高さRp値は低ければ
低いほど、黒点欠陥の発生する可能性が低くなるが、印
刷特性において特に保水性、耐刷性が劣ってしまうた
め、1.0〜2.5μmの範囲が好適で、更に1.5〜
2.0μmの範囲が好ましい。
【0015】本発明に係わる光導電層塗液の水分含有率
について記載する。本発明の水分含有率の測定にはカー
ルフィッシャー法を採用し、これに基づいたカールフィ
ッシャー水分測定器を用いて光導電層塗液の水分含有率
を求める。光導電層塗液中の水分含有率が、0.5%を
越えると、乾燥後の光導電層が同じ膜厚でも光導電層中
に残存する水分によって帯電時に表面電位の乗り方に差
異を生じ、結果として表面電位のムラとなり黒点欠陥の
発生が見られるものと推測される。塗設後の加熱乾燥に
おいて光導電層中の水分を排除することでも、表面電位
のムラを抑制することは可能であるが、例えば120℃
以上の高温加熱によっては支持体と光導電層との接着が
必要以上に強固となり、製版における溶出工程で溶出不
良が生じたり、見かけ上溶出されている場合でも印刷中
に非画像部の地汚れが発生するような悪影響が懸念され
る。従って光導電層塗液における水分量管理が好ましい
のである。光導電層塗液の水分含有率は低ければ低いほ
ど好ましく、0.5%以下が好適で、更に0%〜0.2
%の範囲が好ましい。
【0016】光導電層塗液の水分含有率の測定は、塗液
製造後直ちに行うのではなく、可能な限り塗布時の状態
の塗液を測定することが好ましく、塗布する直前の塗液
をサンプリングして行うか、サンプリングした塗液を密
閉した状態で保存した後、行うことが好ましい。
【0017】また光導電層塗液に含有される水分は、塗
液製造に用いられる有機溶媒から持ち込まれる場合が多
く、使用前に有機溶媒中の水分を除去する処理を行って
おくことで、塗液水分の調整を行うことが出来る。
【0018】本発明に用いられる導電性支持体として
は、導電性表面を有するプラスチックシート、不透過性
及び導電性にした紙、またはアルミニウム、亜鉛、銅−
アルミニウム、銅−ステンレス、クロム−銅等のバイメ
タル、クロム−銅−アルミニウム、クロム−鉛−鉄、ク
ロム−銅−ステンレス等のトライメタル等の金属板等の
親水性処理表面を有する導電性支持体が挙げられる。そ
れらの厚みは0.07〜2mm、より好ましくは0.1〜
0.5mmが良い。これらの支持体の中でもアルミニウ
ム板が好適に使用される。このアルミニウム板は、アル
ミニウムを主成分とし微量の異元素を含有しても良く、
従来公知・公用の素材を適宜使用することが出来る。
【0019】本発明に係わる導電性支持体は、必要によ
り少なくとも光導電層を設ける面を表面加工して、最終
的に支持体の光導電層側表面の中心線山高さRpを1.
0μm〜2.5μmにしたものである。また表面粗さパ
ラメータである中心線平均粗さRaは0.1〜1.5μ
m、特に0.3〜1.0μm程度のものが好ましい。
【0020】表面加工の方法は、公知の方法、例えば砂
目立て、陽極酸化法を用いることが出来る。砂目立て処
理に先立って、所望により界面活性剤またはアルカリ水
溶液による脱脂処理する。砂目立て処理方法には、機械
的粗面化法、電気化学的粗面化法、化学的表面選択溶解
法等がある。機械的粗面化法には、ボール研磨法、ブラ
シ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法
を用いることが出来る。また電気化学的粗面化法には、
塩酸或は硝酸電解液中で、交流か直流により行なう方法
がある。また、特開昭54−63902号公報に開示の
如く、両者を組合わせた方法等も利用出来る。
【0021】本発明に於ては、支持体表面の保水性を向
上させ、ある程度以上に深くち密で均一な砂目を作る方
法である、特に鉱酸を主体とした電解液による電気化学
的粗面化法が好ましい。
【0022】砂目の深さは、例えば特公昭55−342
40号公報に開示の様に電解条件等の制御により特定の
範囲内で任意に設定出来る。この様に粗面化されたアル
ミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及
び中和処理して用いる。
【0023】上記処理を施されたアルミニウム板は、陽
極酸化処理される。陽極酸化処理に用いられる電解質と
しては、硫酸、リン酸、しゅう酸等、或はそれらの混酸
が用いられ、それらの電解質やその濃度は電解質の種類
によって適宜決定される。陽極酸化処理条件は、用いる
電解質により大幅に変化するため一概に特定し得ない
が、一般的に電解質濃度は1.0〜80重量%、液温は
5.0〜70℃、電流密度は5.0〜60A/dm2、電
圧は1.0〜100v、電解時間は10〜3000秒の
範囲にあれば良い。この様にして得られた陽極酸化皮膜
量は0.10〜10g/m2が良く、更には1.0〜6.0
g/m2の範囲が好適である。
【0024】更に、特公昭47−5125号公報に記載
の如く、陽極酸化処理後にアルカリ金属珪酸塩水溶液で
処理したものも好適である。また、米国特許第3658
662号明細書に記載のシリケート電着も有効である。
西独公開特許第1621478号公報記載のポリビニル
スルホン酸による処理も適当である。
【0025】導電性支持体と光導電層との間には、密着
性や電子写真特性等の向上のため、必要に応じカゼイ
ン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノ
ール樹脂、スチレン/無水マレイン酸共重合体、マレイ
ン酸/アクリル酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸
共重合体、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ−α
−ヒドロキシアクリル酸、ポリイタコン酸、及びこれら
高分子電解質のアルカリ金属及び/またはアンモニウム
塩、エタノールアミン等のアミノアルコール及びエチレ
ンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミ
ン等のアミン類及びそれらの塩酸塩、リン酸塩、しゅう
酸塩等の有機アンモニウム塩、イノシットヘキサリン酸
エステル等のリン酸エステル及びその塩、リンゴ酸、ク
エン酸、及び酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、及びそ
れらの塩、或はグリシン、アラニン、等のモノアミノカ
ルボン酸、セリン、スレオニン、ジヒドロキシエチルグ
リシン等のオキシアミノ酸、システイン、シスチン等の
含Sアミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノ
アミノジカルボン酸、リシン等のジアミノモノカルボン
酸、p−ヒドロキシフェニルグリシン、フェニルアラニ
ン、アントラニル酸等の芳香族アミノ酸、トリプトファ
ン、プロリン等の複素環を有するアミノ酸、スルファミ
ン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等の脂肪族アミノ
スルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢
酸、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン
三酢酸、ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン二酢
酸、エチレンジアミン二酢酸、ジエチレントリアミン五
酢酸、トリエチレンンテトラミン六酢酸等の(ポリ)ア
ミノポリ酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン)酸、1
−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチ
レンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメ
チレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチ
レントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の(ポ
リ)アミノポリ(メチレンホスホン酸)及びその類似
物、及びこれら化合物の酸基の少なくとも一部がアルカ
リ金属塩或はアンモニウム塩等から成る中間層を設けて
も良い。
【0026】この様にして得られた導電性支持体上に公
知の電子写真光導電層を設けて、電子写真感光体を得る
ことが出来る。
【0027】本発明の電子写真反転現像用平版印刷版は
前述の導電性支持体上に常法に従って光導電層を形成す
る光導電性塗液を塗布して得られるが、塗布直前の光導
電性塗液の水分含有率は0.5%以下のものを用いる。
光導電性塗液は少なくとも有機光導電性化合物及び結着
樹脂及び溶媒から構成されている。
【0028】本発明に係わる光導電性材料としては、公
知の有機化合物を使用出来る。有機光導電性材料として
は、 a)米国特許第3112197号明細書等に記載のトリ
アゾール誘導体、 b)米国特許第3189447号明細書等に記載のオキ
サジアゾール誘導体、 c)特公昭37−16096号公報等に記載のイミダゾ
ール誘導体、 d)米国特許第3542544号、同3615402
号、同3820989号明細書、特公昭45−555
号、同51−10983号、特開昭51−93224
号、同55−108667号、同55−156953
号、同56−36636号公報等に記載のポリアリール
アルカン誘導体、 e)米国特許第3180729号、同4278746号
明細書、特開昭55−88064号、同55−8806
5号、同49−105537号、同55−51086
号、同56−80051号、同56−88141号、同
57−45545号、同54−112637号、同55
−74546号公報等に記載のピラゾリン誘導体及びピ
ラゾロン誘導体、 f)米国特許第3615404号明細書、特公昭51−
10105号、同46−3712号、同47−2833
6号、特開昭54−83435号、同54−11083
6号、同54−119925号公報等に記載のフェニレ
ンジアミン誘導体、 g)米国特許第3567450号、同3180703
号、同3240597号、同3658520号、同42
32103号、同4175961号、同4012376
号、西独国特許(DAS)1110518号明細書、特
公昭49−35702号、同39−27577号、特開
昭55−144250号、同56−119132号、同
56−22437号公報等に記載のアリールアミン誘導
体、 h)米国特許第3526501号明細書記載のアミノ置
換カルコン誘導体、 i)米国特許第3542546号明細書等に記載のN,
N−ビカルバジル誘導体、 j)米国特許第3257203号明細書等に記載のオキ
サゾール誘導体、 k)特開昭56−46234号公報等に記載のスチリル
アントラセン誘導体、 l)特開昭54−110837号公報等に記載のフルオ
レノン誘導体、 m)米国特許第3717462号明細書、特開昭54−
59143号(米国特許第4150987号に対応)、
同55−52063号、同55−52064号、同55
−46760号、同55−85495号、同57−11
350号、同57−148749号、同57−1041
44号公報等に記載のヒドラゾン誘導体、 n)米国特許第4047948号、同4047949
号、同4265990号、同4273846号、同42
99897号、同4306008号明細書等に記載のベ
ンジジン誘導体、 o)特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号公報等に記載のスチルベン誘導
体、 p)特公昭34−10966号公報に記載のポリビニル
カルバゾール及びその誘導体、 q)特公昭43−18674号、同43−19192号
公報に記載のポリビニルビレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリ−2−ビニル−4−(4′−ジメチルアミノフ
ェニル)−5−フェニルオキサゾール、ポリ−3−ビニ
ル−N−エチルカルバゾール等のビニル重合体、 r)特公昭43−19193号公報に記載のポリアセナ
フチレン、ポリインデン、アセナフチレン/スチレン共
重合体等の重合体、 s)特公昭56−13940号公報等に記載のピレン/
ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール/ホルムア
ルデヒド樹脂等の縮合樹脂、 t)特開昭56−90883号、同56−161550
号公報等に記載の各種トリフェニルメタンポリマ、 u)米国特許第3397086号、同4666802号
明細書、特公昭44−121671号、同46−300
35号、同49−17535号、特開昭49−1113
6号、同57−148745号、同64−2061号、
同64−4389号公報等に記載の無金属或は金属(酸
化物)フタロシアニン及びナフタロシアニン、及びその
誘導体等がある。
【0029】尚、本発明に係わる有機光導電性化合物
は、a)〜u)に挙げられた化合物に限定されず、これ
まで公知の有機光導電性化合物を用いることが出来、ま
たこれらの有機光導電性化合物は、所望により2種類以
上を併用することが可能であるが、本発明に於てはフタ
ロシアニンが有利に用いられる。
【0030】フタロシアニンとしては、α、β、γ、
π、χ、τ、η、X、及びε型無金属フタロシアニン、
または銅、コバルト、鉛、亜鉛、インジウム、ガリウ
ム、ゲルマニウム、バナジウム等の金属フタロシアニ
ン、或いはチタニルフタロシアニンが好ましい。殊に、
感度及び暗減衰等の電子写真特性から、電子写真平版印
刷版用光導電性化合物として最も好適なフタロシアニン
は、χ型無金属フタロシアニンである。
【0031】また、光導電層の感度の向上や所望の波長
域に感度を持たせるためなどの目的で、各種の顔料、染
料等を併用することが出来る。
【0032】これらの例としては、 1)米国特許第4436800号、同4439506号
明細書、特開昭47−37543号、同58−1235
41号、同58−192042号、同58−21926
3号、同59−78356号、同60−179746
号、同61−148453号、同61−238063
号、特公昭60−5941号、同60−45664号公
報等に記載のモノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ顔料、 2)米国特許第3397086号、同4666802号
明細書等に記載の金属フタロシアニン或は無金属フタロ
シアニン等のフタロシアニン顔料、 3)米国特許第3371884号明細書等に記載のペリ
レン系顔料、 4)英国特許第2237680号明細書等に記載のイン
ジゴ、チオインジゴ誘導体、 5)英国特許第2237679号明細書等に記載のキナ
クリドン系顔料、 6)英国特許第2237678号明細書、特開昭59−
184348号、同62−28738号公報等に記載の
多環キノン系顔料、 7)特開昭47−30331号公報等に記載のビスベン
ズイミダゾール系顔料、 8)米国特許第4396610号、同4644082号
明細書等に記載のスクアリウム塩系顔料、 9)特開昭59−53850号、同61−212542
号公報等に記載のアズレニウム塩系顔料。
【0033】また、増感染料としては、「電子写真」
9 (1973)、「有機合成化学」 24 No.
11 1010 (1966)等に記載の公知の化合物を
使用することが出来る。
【0034】その例としては、 10)Applied Optics Supplement 50 (196
9)、特開昭50−39548号公報等に記載のトリア
リールメタン系染料、 11)米国特許第3597196号明細書等に記載のシ
アニン系染料、 12)特開昭59−164588号、60−16304
7号、同60−252517号公報等に記載のスチリル
系染料等である。
【0035】これらの増感色素は1種でも、また2種以
上を併用しても良い。
【0036】本発明に係わる光導電層には感度向上等の
ため、トリニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシ
アノエチレン等の化合物、特開昭58−65439号、
同58−102239号、同58−129439号、同
60−71965号公報等に記載の化合物等を併用する
ことが出来る。
【0037】本発明に係わる光導電層に於ては、少なく
とも有機光導電性化合物及び結着樹脂からなる。この光
導電層は、最終的に非画像部光導電層を除去する必要が
あるが、この工程は光導電層の溶出液に対する溶解性と
トナー画像の溶出液に対するレジスト性との相対的関係
によって決定され、一概に表現出来ないが、少なくとも
結着樹脂としては、前述の溶出液に可溶或は分散可能な
高分子化合物が好ましい。
【0038】具体例としては、スチレン/無水マレイン
酸共重合体、スチレン/マレイン酸モノエステル共重合
体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ス
チレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合
体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチ
レン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、酢
酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン
酸/メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン、メタ
クリル酸エステル、アクリル酸エステル、酢酸ビニル、
安息香酸ビニル等とアクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸等のカルボン酸含有モノマ或は酸無水物基含有モノ
マとの共重合体やメタクリル酸アミド、ビニルピロリド
ン、アクリロイルモルフォリン、フェノール性水酸基、
スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基を
有するモノマを含有する共重合体、フェノール樹脂、部
分ケン化酢酸ビニル樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブ
チラール等のビニルアセタール樹脂を挙げることが出来
る。
【0039】酸無水物基或はカルボン酸基を有するモノ
マ含有共重合体及びフェノール樹脂は、電子写真印刷版
用感光体とした場合の電荷保持力が高く、従って有利に
使用することが出来る。
【0040】酸無水物基を有するモノマ含有共重合体と
しては、スチレンと無水マレイン酸との共重合体が好ま
しい。カルボン酸基を有するモノマ含有共重合体として
は、スチレンとマレイン酸モノエステルとの共重合体、
アクリル酸或はメタクリル酸とそれらのアルキルエステ
ル、アリールエステルまたはアラルキルエステルとの二
元以上の共重合体が好ましい。また、酢酸ビニルとクロ
トン酸も良い。フェノール樹脂中特に好ましいものとし
ては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、
或はp−クレゾールとメタナールまたはエタナールとを
酸性条件下で縮合させたノボラック樹脂を挙げることが
出来る。結着樹脂は単独でも、或は2種以上を混合して
用いても良い。
【0041】光導電性化合物と結着樹脂とのみを用いる
場合には、光導電性化合物の含有量が少ないと低感度と
なるため、結着樹脂(B)に対して光導電性化合物
(P)がP/B(重量換算)で1/20以上、より好ま
しくは1/6以上を混合して使用することが好適であ
る。しかしながら、結着樹脂に対して光導電性化合物の
含有量が多すぎても、含量増加に比して感度向上が期待
出来ないばかりか、他の電子写真特性等とのバランスが
とれなくなるので、結着樹脂と光導電性化合物との混合
比(P/B)は1/6〜1/3の範囲が望ましい。
【0042】光導電性塗液の溶媒としては、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭
化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール等のアルコール類、アセトン、2−
ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、2−メトキ
シエタノール、2−メトキシエチルアセテート等のグリ
コールエーテル類、オキソラン、オキサン、ジオキサン
等の環状エーテル類、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエ
ステル類等が挙げられるが、本発明に係わる電子写真平
版印刷版の光導電層用溶媒(分散媒)として特に好まし
いものは、溶媒分子中に窒素及び酸素原子の少なくとも
何れかを二原子以上有し、かつ比重(25℃)が0.9
5以上なる性状を有する溶媒である。この様な溶媒の例
としては、2−メトキシエタノール、蟻酸メチル、2−
エトキシエチルアセテート、2−(2−エトキシエトキ
シ)エタノール、アセトアミド、モルホリン、N−メチ
ルホルムミド、2−(2−エトキシエトキシ)エチルア
セテート、2−メトキシエチルアセテート、1,3−ブ
タンジオール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノー
ル、乳酸エチル、1−メチル−2−ピロリジノン、1,
4−ジオキサン、1,2−プロパンジオール、2−オキ
ソランメタノール、1,3−プロパンジオール、シアノ
酢酸エチル、メチルアセトアセテート、エチレングリコ
ールジアセテート、2−ピロリジノン、1,2−エタン
ジオール、ジエチレングリコール、γ−ブチロラクト
ン、2−フランメタナール等が挙げられる。これらは含
有される水分量を排除するために、使用前に蒸留処理あ
るいはぼう硝やモレキュラシーブスなど有機溶媒用の一
般吸水材による処理を行うことが好ましい。
【0043】本発明に係わる光導電層には必要に応じ、
光導電性化合物及び結着樹脂の他に光導電層の柔軟性、
塗布面状等の膜物性を改良する目的で、可塑剤、界面活
性剤、その他の添加物を添加できる。可塑剤としては、
ビフェニル、塩化ビフェニル、o−テルフェニル、p−
テルフェニル、ジブチルフタレート、ジメチルグリコー
ルフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニルリ
ン酸等が挙げられる。
【0044】光導電性塗液は、光導電層を構成する各成
分を前述の溶媒に溶解して作製するが、顔料等の溶媒に
不溶な成分を用いる時は、ボールミル、ペイントシェィ
カー、ダイノミル、アトライター等の分散機を用いて平
均粒径0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜0.
2μmに分散して用いる。光導電層に使用する結着樹
脂、その他の添加剤は顔料等の分散時或は分散後に添加
することが出来る。
【0045】本発明の電子写真反転現像用平版印刷版
は、常法に従って光導電層を導電性支持体上に塗布して
得られる。光導電層の作製に当たっては、光導電層を構
成する成分を同一層中に含有させる方法、或は二層以上
の層に分離して含有させる方法、例えば電荷担体発生物
質と電荷担体輸送物質を異なる層に分離して用いる方法
等が知られており、何れの方法にても作製することが出
来る。光導電層に使用する結着樹脂、その他の添加剤は
顔料等の分散時或は分散後に添加することが出来る。こ
の様にして作製した塗布液を回転塗布、ブレード塗布、
ナイフ塗布、リバースロール塗布、ディップ塗布、ロッ
ドバー塗布、スプレー塗布、エクストルージョン塗布の
様な公知の方法で支持体上に塗布乾燥して電子写真反転
現像用平版印刷版を得ることが出来る。
【0046】また光導電層膜厚は、薄すぎるとトナー現
像に必要な電荷が帯電出来ず、逆に厚すぎると溶出液の
劣化を促進するばかりか溶出の際にサイドエッチを誘引
して良好な画像が得られないため、0.10〜30μm
が、より好ましくは0.50〜10μmが良い。
【0047】本発明の電子写真反転現像用平版印刷版
は、公知の操作によって製版することが出来る。則ち、
暗所で実質的に一様に帯電し、画像露光により静電潜像
を形成する。露光方法としては、キセノンランプ、タン
グステンランプ、蛍光灯等を光源として反射画像露光、
透明陽画フィルムを通した密着露光や、レーザー光、発
光ダイオード等による走査露光が挙げられる。走査露光
を行なう場合は、He−Neレーザー、He−Cdレー
ザー、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレー
ザー、ルビーレーザー、YAGレーザー、窒素レーザ
ー、色素レーザー、エキサイマーレーザー、GaAs/
GaAlAs、InGaAsPの様な半導体レーザー、
アレキサンドライトレーザー、銅蒸気レーザー等のレー
ザー光源による走査露光、或は発光ダイオード、液晶シ
ャッタを利用した走査露光(発光ダイオードアレイ、液
晶シャッタアレイ等を用いたラインプリンタ型の光源も
含む)によって露光することが出来る。
【0048】次に、上記静電潜像をトナーによって反転
現像する。反転現像方法としては、乾式現像法(カスケ
ード現像、磁気ブラシ現像、パウダクラウド現像)、液
体現像の何れも使用出来る。殊に液体現像法は微細なト
ナー画像が形成出来、再現性良い印刷版を作製するのに
好適である。形成されたトナー画像は公知の定着法、例
えば加熱定着、圧力定着、溶剤定着等により定着出来
る。この様に形成したトナー画像をレジストとして、非
画像部光導電層を溶出液により除去して印刷版が作製出
来る。
【0049】本発明に係わるトナーは、前記溶出液に対
してレジスト性を有する樹脂成分を含有していることが
必要である。樹脂成分としては、例えばメタクリル酸、
アクリル酸、及びこれらのエステル等から成るアクリル
樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとエチレンまたは塩
化ビニル等との共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリ
デン樹脂、ポリビニルブチラールの様なビニルアセター
ル樹脂、ポリスチレン、スチレンとブタジエン、メタク
リル酸エステル等との共重合物、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン及びその塩化物、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、及びビスフェノール
Aのポリカーボナート等のポリエステル樹脂、ポリカプ
ラミドやポリヘキサメチレンアジポアミド等のポリアミ
ド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹
脂、ビニル変性アルキッド樹脂、ゼラチン、カルボキシ
メチルセルロース等のセルロースエステル誘導体、その
他ワックス、蝋等が挙げられる。また、トナーには現像
・定着等に悪影響を及ぼさない範囲で、色素や電荷制御
剤を含有させることも出来る。
【0050】トナー現像を終えた電子写真反転現像用平
版印刷版は、トナー画像をレジストとして作用させ、非
画像部の光導電層を製版処理液によって処理して印刷版
が作製出来る。
【0051】以下に本発明に係わる製版処理液及び処理
方法等について記載する。
【0052】本発明に係わる非画像部光導電層を溶解除
去する溶出液としては、少なくとも結着樹脂を可溶化さ
せる任意の溶液が使用出来、特に限定されるものではな
いが、好ましくはアルカリ剤を含有し緩衝能を有するも
のが望ましい。アルカリ剤としては、一般式SiO2/M
2O(M=Na、K)で表現される珪酸塩、アルカリ金属
水酸化物、リン酸及び炭酸のアルカリ金属及びアンモニ
ウム塩等の無機アルカリ剤、エタノールアミン、プロパ
ンジアミン等のアミン類を代表とする有機アルカリ剤、
及びこれらの混合物が挙げられるが、特に上記珪酸塩は
強い緩衝能を示すため、有利に用いられる。処方上はこ
れにアルカリ金属水酸化物を添加したものが望ましい。
【0053】アルカリ剤に於て特に上記珪酸塩を用いる
際には、SiO2/M2O=0.5〜8.5(モル換算)が
好ましい。溶出液のpHは11.5〜14.0が、より好
ましくは12.0〜13.5が良く、多数枚通版や液経時
に於けるpH変動に際しては、所望の補充液を適時添加
して溶出活性度の向上を図ることが望ましい。
【0054】本発明に係わる溶出液には、溶出液の光導
電層表面への湿潤性の向上と、それに伴う溶出能の向
上、溶出処理条件の拡大化のため、界面活性剤を含有す
るのが好ましい。好ましい界面活性剤の例としては、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩類(該アルキル基の炭素数
は8〜18、より好ましくは12〜16)、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩類(該アルキル基の炭素数は3〜
10)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ジア
ルキルスルホこはく酸塩類(該アルキル基の炭素数は2
〜18)、ジアルキルアミドスルホン酸塩類(該アルキ
ル基の炭素数は11〜17)等のアニオン系界面活性
剤、イミダゾリン誘導体、カルボキシベタイン類、アミ
ノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステ
ル類、イミダゾリン類等の両性界面活性剤が挙げられ
る。
【0055】溶出液には更に特開昭55−25100号
公報記載のイオン性化合物、特開昭55−95946号
公報記載の水溶性カチオニックポリマ、特開昭56−1
42528号公報記載の水溶性両性高分子電解質、特開
昭58−75152号公報記載の中性塩、特開昭58−
190952号公報記載のキレート剤、特開平1−17
7541号公報記載の液粘度調整剤、特開昭63−22
6657号公報記載の防腐剤や殺菌剤、米国特許第32
50727号、同3545970号、英国特許第138
2901号、同1387713号明細書等に記載の消泡
剤、及び天然及び合成水溶性ポリマ等の公知の成分を必
要に応じ含有させることが出来る。溶出液に於ける溶媒
は、上記成分を安定して分散溶解し得るものであれば特
に限定されないが、水が、更に好ましくはイオン交換し
た水が有利に用いられる。また、上記成分をより安定化
するため、或は溶出速度の調整のために適当量の有機溶
剤を含有しても良い。
【0056】本発明に用いることの出来る水洗液は、余
剰の溶出液と可溶化した光導電層とが速やかに液中に拡
散溶解出来る性能を有するものである。その水洗液に
は、少なくとも7.0〜10.5に酸解離指数(pKa)を有
する化合物を最終的に含有させて、そのpHを10.5
以下に保持することが望ましい。この化合物(以下、特
に断わらない限り、水洗液に添加する、少なくとも7.
0〜10.5に酸解離指数(pKa)を有する化合物を単に化
合物と記載する。)は、少なくとも化合物を含有しない
水であっても最初のうちは充分に水洗処理が行なえるた
め、水洗液として最初は化合物を含有しない液を用い、
後添加して「最終的に」水洗液に含有させても良いし、
製版に先立って水洗液に添加しておいても良い。前者
(後添加)の場合、添加開始は水洗液のpHが8.5〜
10.5、より好ましくは9.5〜10.0の範囲が望ま
しい。また、特に版サイズが一定であれば、非画像部
(被溶出部)面積が大きく異ならない限り、水洗液のp
H上昇は通版量(枚数)にほぼ比例するため、一定枚数
毎に本発明に係わる化合物を添加することが出来る。後
者(先添加)の場合に於ても、多数枚通版中に水洗液の
pH上昇に応じて更に添加出来る。また、製版に先だっ
て化合物を添加しておく時は、化合物単独で添加しても
良いし、予め水に分散或は溶解させたものを用いても良
い。水溶液とする際には、少量の有機溶剤をもって溶解
を促進させても良い。特に化合物が水溶性の固体であれ
ばそれを水洗槽中に浸漬させておき、通版中の液流動や
pH変動によって漸次溶解する様にしておいても良い。
水洗液のpHは、常に10.5以下にしておく必要があ
るが、少なくとも化合物含有水洗液に於ては7.5〜1
0.5の範囲、より好ましくは8.0〜10.0の範囲に
保持することが望ましい。
【0057】水洗液に添加する化合物は7.0〜10.5
に酸解離指数(pKa)を有するもので、化合物により複数
の解離段を有するものに於ては、少なくとも酸解離指数
(pKa)の一つが7.0〜10.5に有れば良い。7.0〜1
0.5に酸解離指数(pKa)を有する化合物の例としては、
例えば「化学便覧.基礎編II」日本化学会編、昭和59
年改訂3版、丸善株式会社発行、II−339〜II−34
2頁に記載されており、これらのうち本発明に規定され
るpKaを有する化合物は全て使用出来る。これらのうち
特にアスパラギン酸、アラニン、グリシン、グルタミン
酸等のアミノ酸及びそれらの塩が好適である。これらの
化合物は2種以上を混合して添加しても良いし、先添加
と後添加で異なる化合物を用いても良い。また、これら
の化合物は適当な酸或は塩基性化合物との混合物(塩)
を用いても良いし、pH調整や溶解促進のため、水溶液
(水分散液)にするに当たって、適当な酸或は塩基性化
合物を併用しても良い。特に化合物含有溶液を後添加す
る場合は、そのpHを6.0〜9.5、より好ましくは
7.0〜8.0に調整して添加することが望ましい。化合
物の水洗液への添加量は、0.040〜10重量%が、
より好ましくは0.10〜5.0重量%が好適である。
【0058】水洗液を循環再使用して水洗に供す場合
は、経時で空気中の細菌等が混入し、水洗効果を低下さ
せるばかりか異臭等を発して好ましくないので、水洗液
には更に防腐剤及び/または殺菌剤を含有させることが
望ましい。
【0059】本発明の電子写真反転現像用平版印刷版を
製版するには自動溶出機が好ましく、更に少なくとも溶
出部及び水洗部を有し、更に版面保護剤塗布部を有する
構造のものが好ましいが、平版印刷版を自動搬送して少
なくとも溶出及びリンス(水洗)処理出来れば良く、各
部仕様については特に限定されない。しかしながら、溶
出液の経時劣化を考慮した場合、光導電層面への溶出液
の供給は方法によっては可溶化した光導電層が溶出部に
て多量に版上から溶出液へと流入して劣化を促進する可
能性があるので、溶出液は出来るだけソフトに供給する
ことが望ましい。溶出部をソフトに供給する方法として
は、溶出液供給管から吐出した液を別の部材、例えば整
流板、版搬送上ロール等、を通じて光導電層に均一に供
給する方式が好適である。その際の溶出液の吐出量は、
印刷版に一様に供給し得る最低量で良いが、水洗部へ搬
送される時に印刷版が持出す液量の1.5〜100倍、
より好ましくは5.0〜50倍が良い。また、溶出液持
出し量は出来るだけ少ない方が良く、10g/m2以下
になる様機械的に調整することが望ましい。
【0060】水洗部では、水洗液を版上に供給して速や
かに可溶化した光導電層と余剰の溶出液とを完全に除去
し得る機構でなければならない。液は飛散が抑制出来る
機構であれば可溶化した光導電層に直接供給しても良い
し、特開昭60−76395号公報記載の溶出促進部材
を水洗機構に応用しても良い。また、水洗部に於ては、
回転するブラシを直接光導電層に接触させて可溶化した
光導電層を掻落とすことも出来るが、通常可溶化した光
導電層は機械的掻落しなしに容易に除去出来ること、及
びサイドエッチの悪化を促進することがあること等か
ら、その使用は望ましくない。
【0061】水洗処理された電子写真反転現像用平版印
刷版は、必要に応じ酸性物質を含有するリンス液で処理
する。
【0062】本発明に用いることの出来るリンス液は、
製版処理される電子写真反転現像用平版印刷版光導電層
中の結着樹脂が再凝集しない様に液pHが調整されたも
のが望ましい。則ち、リンス液の初期pHが最低限結着
樹脂の不溶化を促進しなければ、少なくとも液循環通版
中には中性以上の液pHを有する水洗液と共に流入する
結着樹脂は可溶化状態を保持し、従って結着樹脂の再不
溶化による上記トラブルを防止出来る。しかしながら、
リンス液は僅かながらでもこの後通常行なわれる版面保
護処理用の保護ガム液に流入するため、リンス液のpH
が高ければ、保護ガム液のpHも必然的に早期に上昇
し、版面保護効果も減衰するため、リンス液のpHは7
以下に保持することが望ましい。
【0063】このリンス液には、液pHを調整するため
に種々の試材を添加することが出来る。特に自動溶出機
等で多数枚の電子写真反転現像用平版印刷版をより安定
的に処理するためには、少なくともリンス液に於ても多
数枚製版中に液pHが変動しないことが望ましいから、
酸及び緩衝剤としての水溶性塩の少なくとも何れかを含
有させておくことが望ましい。これにより、リンス液を
電子写真反転現像用平版印刷版に施した場合に、版上に
残留する溶出液等に起因する塩基性成分が中和され、非
画像部がより親水性となる。非画像部光導電層を除去し
た電子写真平版印刷版は、版面の耐傷強度の向上及び非
画像部不感脂化等の目的で、保護ガム処理される。
【0064】本発明に用いることの出来る保護ガム液に
は、高分子化合物、親油性物質、及び界面活性剤等を含
み、これらの試剤は全て公知のものが利用出来る。
【0065】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に
限定されるものではない。
【0066】*導電性支持体の作製 JIS1050アルミニウムシートを60℃、10%N
aOH水溶液に浸漬し、アルミニウム溶解量が6g/m
2になる様にエッチングした。水洗後、30%硝酸水溶
液に1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後、ホ
ウ酸を含む2.0%硝酸水溶液中で、電解時間、電圧を
変化させて、電解粗面化を行ない、50℃、20%硫酸
水溶液中に浸漬して表面を洗浄した後、水洗した。更
に、20%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を施して、水
洗、乾燥することにより、表1に示す3種類の導電性支
持体を作製した。表面粗さ測定には東京精密製のサーフ
コム570Aの触針式表面粗さ計を用いた。
【0067】
【表1】
【0068】*光導電層塗液の調製及び塗布 光導電層塗液組成を下表に示す。
【0069】光導電層塗液組成 ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (メタクリル酸40モル%) 18 重量部 χ型無金属フタロシアニン 4 重量部 1,4−ジオキサン 60 重量部 2−プロパノール 18 重量部
【0070】上記の光導電層組成物を1,4−ジオキサ
ンのロットを変えてペイントシェィカーにて1時間分散
させ3種類の塗液を作製した。前述の導電性支持体に塗
布する直前に塗液を少量、密閉容器にサンプリングし、
三菱化学(株)製のカールフィッシャー水分測定装置C
A−06型を用いて塗液の水分含有率を測定したとこ
ろ、表2に示す塗液が得られた。
【0071】
【表2】
【0072】実施例1 表1に示される支持体Aの表面処理面に、表2で示され
る光導電層塗液Aをバーコーターで塗布後、90℃5分
間乾燥して電子写真反転現像用平版印刷版を作製した。
この時、光導電層の塗布量は4.0g/m2とした。得
られた印刷版原版を暗所にてコロナ放電を与えて表面電
位(V0)が約+230Vとなる様に帯電させた後、直
ちに正電荷トナー(三菱製紙(株)製、ODP−TW)
で液体反転現像を行ないトナーを熱定着し、版全面を非
画像部とした。次に、溶出液(三菱製紙(株)製、OD
P−DW)を用いて光導電層を溶出し、水道水で水洗
し、全面が非画像部の印刷版を得た。得られた版面上を
目視にて確認したが、黒点欠陥は発生していなかった。
【0073】実施例2 表1に示される支持体Aと表2で示される光導電性塗液
Bを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真反転現
像用平版印刷版を作製、処理し全面が非画像部の印刷版
を得た。得られた版面上を目視にて黒点欠陥の発生数を
確認した。結果を表3に示す。黒点欠陥数は5cm×5
cmの範囲での個数を示す。
【0074】実施例3〜4 表1に示される支持体Bと表2で示される光導電性塗液
A、Bを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真反
転現像用平版印刷版を作製、処理し全面が非画像部の印
刷版を得た。得られた版面上を目視にて黒点欠陥の発生
数を確認した。結果を表3に示す。黒点欠陥数は5cm
×5cmの範囲での個数を示す。
【0075】比較例1〜2 表1に示される支持体A、Bと表2で示される光導電性
塗液Cを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真反
転現像用平版印刷版を作製、処理し全面が非画像部の印
刷版を得た。得られた版面上を目視にて黒点欠陥の発生
数を確認した。結果を表3に示す。黒点欠陥数は5cm
×5cmの範囲での個数を示す。
【0076】比較例3〜4 表1に示される支持体Cと表2で示される光導電性塗液
Aを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真反転現
像用平版印刷版を作製、処理し全面が非画像部の印刷版
を得た。得られた版面上を目視にて黒点欠陥の発生数を
確認した。結果を表3に示す。黒点欠陥数は5cm×5
cmの範囲での個数を示す。
【0077】
【表3】
【0078】表3から、中心線山高さRpが少なくとも
2.5μm以下の導電性支持体と水分含有率が0.5%
以下の光導電層塗液を用いることにより、黒点欠陥の発
生が抑制されることが明らかである。
【0079】
【発明の効果】本発明により、光導電層塗液を導電性支
持体上に塗布、乾燥した平版印刷版であって、電子写真
方式により露光部に反転現像にてトナー画像を形成後、
非画像部を溶出除去して平版印刷版とする電子写真反転
現像用平版印刷版において、特に非画像部に発生する黒
点欠陥が抑制された電子写真反転現像用平版印刷版が得
られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導電層塗液を導電性支持体上に塗布、
    乾燥した平版印刷版であって、電子写真方式により露光
    部に反転現像にてトナー画像を形成後、非画像部を溶出
    除去して平版印刷版とする電子写真反転現像用平版印刷
    版において、触針径が1μmで測定した時の触針式表面
    粗さ計による表面形状の測定における該導電性支持体の
    中心線山高さ(Rp)が1.0μm〜2.5μmの範囲
    にあって、該光導電層塗液の水分含有率が、0.5%以
    下である塗液を塗布してなる電子写真反転現像用平版印
    刷版。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6855206B2 (en) * 2002-08-22 2005-02-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Coating film layer moisture adjusting device and planographic printing plate producing method
US11058271B2 (en) 2010-02-16 2021-07-13 Irobot Corporation Vacuum brush

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6855206B2 (en) * 2002-08-22 2005-02-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Coating film layer moisture adjusting device and planographic printing plate producing method
US7047882B2 (en) 2002-08-22 2006-05-23 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic plate producing method including adjusting moisture content of coating film layer
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