JP3317444B2 - 不快な味が遮蔽された速放性製剤 - Google Patents

不快な味が遮蔽された速放性製剤

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JP3317444B2 JP18861790A JP18861790A JP3317444B2 JP 3317444 B2 JP3317444 B2 JP 3317444B2 JP 18861790 A JP18861790 A JP 18861790A JP 18861790 A JP18861790 A JP 18861790A JP 3317444 B2 JP3317444 B2 JP 3317444B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は不快な味が遮蔽された速放性製剤、特に散剤
や顆粒剤の如き粒状の形態をとる医薬製剤に関する。
従来技術と解決課題 薬物の不快な味が遮蔽された製剤としては、マトリッ
クス担体中に薬物が分散されたマトリックス製剤とフィ
ルムで被覆された被覆製剤とが主に知られている。
一般にマトリックス製剤では薬物の一部が製剤の表面
に露出しているため不快な味の強い薬物では所期の効果
を挙げることができないし、また、被覆製剤では不快な
味の遮蔽効果は優れているが、通常は速放性でない。
本発明は不快な味の遮蔽と速放化という相反する課題
を同時に解決するものである。
特開昭63−258809には内核粒に水溶性被膜剤を被覆
し、これを更にカルボキシメチルエチルセルロースの如
き唾液不溶性(すなわち腸溶性)の膜剤で被覆してなる
細粒剤が開示され、また、特開昭63−188621にはポリビ
ニルアセタールジエチルアミノアセテートの如き胃溶性
高分子化合物による被膜を形成させてなる矯味経口製剤
が記載されている。しかし、このような腸溶性や胃溶性
の被膜の溶解度はpHに依存し、胃液や腸液のpHの変動に
ともなって薬物の溶出も変動することが知られている。
そこで、エチルセルロースの如きその溶解性がpH非依
存性の水不溶性造膜性高分子物質による製剤の被覆が種
々の目的で行われる。
例えば、特開昭62−30709には薬物と十分な量の膨潤
剤とを含む核をエチルセルロースで被覆してなる持続性
製剤が開示されており、エチルセルロース層の厚みを変
化させることにより持続の時間(ラグタイム)を調節で
きるとしている。しかし、ここにおける製剤は持続性製
剤であり、速放性製剤ではない。しかも、この持続性製
剤は不快な味を遮蔽することを目的として開発されたも
のではない。エチルセルロース層の厚みを薄くすること
により持続時間(ラグタイム)を短かくすることができ
ても、不快な味を遮蔽することはできない。このこと
は、後記比較例6〜8に示すとおりである。更に、この
持続性製剤のひとつひとつの粒子におけるエチルセルロ
ース層の厚みは均一でなければ持続時間の制御はできな
い、と考えられる。従って、ここでは、均一なエチルセ
ルロース被膜の形成が可能な核、すなわち、核の形状は
球に近いものであって、ひずみがなく、ある程度大きい
粒子でなければならない、と推測される。ちなみに、こ
こではノンパレルの如き真球に近い物質を核の中心に用
いており、最終製剤の粒径は0.5〜20mmとされている。
後述するように本発明の速放性製剤は、ひずみのある細
かい散剤も包含するものであり、明らかにこの製剤とは
異なる。
また、特開昭57−58631にはエチルセルロースの如き
胃液および腸液に不溶性の高分子被覆剤と水溶性高分子
被覆剤とを含有してなる被覆用組成物が開示されてお
り、この組成物で被覆された製剤、例えば顆粒は苦味が
遮蔽され、かつ、速放性であるとされている。しかし、
この製剤は不快な味が弱い薬物に限って適用されるもの
であり、不快な味が強いエノキサシンの如き薬物にこの
方法を適用しても所期の目的は達成できない(後記、比
較例1および2参照)。
そこで、本発明者らは種々検討した結果、特定の製剤
化成分を特定の割合で用いることにより、薬物の不快な
味の強さの程度とは無関係に不快な味を遮蔽し、同時に
速放化を図った製剤の開発に成功し、本発明を完成し
た。
本発明の構成 本発明は、核と、膜成分を含有する被覆用液剤を該核
に噴霧することにより形成される膜層から構成され、該
核中には不快な味の薬物および水膨潤性物質が少なくと
も含有され、該膜層中にはエチルセルロースおよび水溶
性物質が少なくとも含有されてなる製剤であって、該薬
物の含有量が40重量%(最終製剤に対する重量%を意味
し、以下、単に%という)以下であり、該水膨潤性物質
の含有量が35〜70%であり、該エチルセルロースの含有
量が3〜11%であり、該水溶性物質の含有量が該エチル
セルロース含有量の0.1〜0.8倍であり、好ましくは該核
が最終製剤の75〜95%を占め、そして、薬物量として50
mg相当量の本製剤を口に含むとき不快な味の遮蔽時間が
20秒以上であり、日本薬局方第11版記載のパドル法また
はこれに準じる方法により測定した10分後の溶出率が50
%以上であり、30分後の溶出率が80%以上であることを
特徴とする薬物の不快な味が遮蔽された速放性製剤に関
する。
ここにおいて、核中には、少なくとも不快な味の薬物
と水膨潤性物質を含み、更にそのほかの製剤化成分を含
有していてもよい。不快な味とは苦味、収斂味、刺激性
などの不愉快な味覚を意味する。本発明は不快な味の程
度や種類とは関係なくいずれの薬物にも適用できる点に
おいて、前出の特開昭57−58631の発明とは異なる。
本発明における薬物としては、不快の程度が最も強い
とされる5−アミノ−1−シクロプロピル−6,8−ジフ
ルオロ−7−(3,5−ジメチル−1−ピペラジニル)−
1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン
酸、エノキサシン、ピペミド酸、シプロフロキサシン、
オフロキサシン、ペフロキサシンなどのピリドンカルボ
ン酸系抗菌剤をはじめゾニサミドの如き抗てんかん剤、
エリスロマイシンの如きマクロライド系抗生物質、ペニ
シリン誘導体やセファロスポリン誘導体の如きβ−ラク
タム系抗生物質、クロルプロマジンの如き向精神剤、ジ
ギトキシンの如き強心剤、スルピリンの如き解熱剤、シ
メチジンの如き抗潰瘍剤などが挙げられる。本発明の製
剤は、不快な味の遮蔽効果が優れていることから、不快
な味の程度が最も強いとされるピリドンカルボン酸系抗
菌剤に有利に適用できる。不快な味の薬物の含有量は最
終製剤の約40%以下、好ましくは5〜35%、特に好まし
くは10〜30%の範囲から選択される。
前記の薬物とともに、本発明の製剤における核を構成
する水膨潤性物質としては、水と接触したとき膨潤する
ものであればいずれでもよく、好ましくは低置換度ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチ
ナトリウム、カルボキシメチルセルロースまたはその
塩、内部架橋されたカルボキシメチルセルロース、ポリ
ビニルポリピロリドンなどが挙げられ、特に低置換度ヒ
ドロキシプロピルセルロースが好ましく用いられる。水
膨潤性物質の使用量は膜を破裂せしめるに足る量であ
り、その膨潤機能の強さの程度やエチルセルロース層の
厚みによって変動するが、最終製剤の約35〜約70%、好
ましくは40〜60%、特に好ましくは45〜55%の範囲内か
ら選ばれる。水膨潤性物質の使用量が約35%以下の場合
は最終製剤の速放性が保持されない。なお、本発明で使
用される水膨潤性物質は、従来、崩壊剤として知られた
ものであるが、崩壊剤としての使用量は、せいぜい約2
〜20%であり、本発明における使用量とは大きくかけ離
れている。
核には、造粒性を改善し、製剤収率を向上させる約3
%以上の乳糖、結合剤たる約3〜約10%のヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロー
スなどが更に含まれていてもよい。
核は通常の細粒剤を調製する方法により製造される。
例えば核は、高速撹拌造粒機;バーチカルミキサー(パ
ウレック社)に全核成分を仕込み、撹拌しながらエタノ
ールついで所望により水を注加し、練合し造粒し乾燥す
ることにより製造され、更に例えば、ツインローターな
どで整粒してもよい。かくして核は薬物および水膨潤性
物質、必要に応じて更に他の製剤化成分がほぼ均質に分
散されたものである。核は最終製剤の約75〜約95%、好
ましくは80〜93%、特に好ましくは85〜90%を占めるの
が有利である。核は、真球に近いものから、いびつにゆ
がんだものまでいずれの形状でもよく、また、その大き
さは特に限定されない。例えば、核は粒径が約0.5mm以
上の粒子含有量が約5%以下の散剤の形に仕上げるのが
好ましいが、粒径が約1.4mm以上の粒子含有量が約5%
以下の顆粒の形に仕上げることもできる。
次に核は膜成分を含有する被覆用液剤を核に噴霧する
ことにより被覆される。膜成分は少なくともエチルセル
ロースおよび水溶性物質から構成され、更に他の製剤化
成分を含んでいてもよい。
エチルセルロースは最終製剤の約3〜約11%、好まし
くは4〜8%、特に好ましくは4.2〜6%を占める。約
3%以下では不快な味の遮蔽が十分でなく、約11%以上
では最終製剤からの薬物の放出が遅れる。エチルセルロ
ースは当分野で使用されるものがいずれも使用できる
が、日本薬局方外医薬品成分規格に従うもの、すなわち
エトキシル含有量が46.5〜51%であり、5%エチルセル
ロース/トルエン−エタノール溶液(25℃)における粘
度が約7〜約100cpsのもの、具体的にはダウケミカル社
の各種のエトセルが好ましく用いられる。
膜層のもうひとつの成分である水溶性物質としては、
水にある程度溶解するものであればいずれでもよいが、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドンの如き水溶性の造膜性高分子物質、特にヒドロキシ
プロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロ
ースが好ましく用いられる。水溶性物質の使用量は、エ
チルセルロースの使用量の増減に応じて変動し、エチル
セルロース重量の約0.1〜約0.8、好ましくは0.2〜0.7、
特に好ましくは0.3〜0.5倍の範囲から選択される。
膜層中には、このほかに最終製剤の凝集や付着を防止
する約1〜約5%の酸化チタン、凝集や付着の防止のみ
ならず不快な味の遮蔽ならびに速放性を更に向上せしめ
る約0.5〜約2%のショ糖脂肪酸エステルなどの製剤化
成分を更に含有せしめることができる。ショ糖脂肪酸エ
ステルとしては、脂肪酸部分がステアリン酸であるエス
テルが好ましく用いられる。
核の被覆は、膜成分を含有する被覆用液剤を核に噴霧
することにより実施できる。より具体的には上記の膜成
分をジクロルメタンの如き有機溶媒に分散せしめた被覆
用懸濁液を、例えばコーティング装置;スパイラフロー
(フロイント産業)で噴霧すると同時に有機溶媒を除去
することにより有利に実施される。被覆用懸濁液中の膜
成分含有量は5重量%前後である。膜層は最終製剤の約
5〜約25%、好ましくは7〜20%を占める。膜層中にシ
ョ糖脂肪酸エステルを含むときは被覆された製剤を60〜
75℃で10〜20時間加熱処理をすれば、凝集や付着の防止
のみならず不快な味の遮蔽ならびに速放性が更に改善さ
れる。
膜層の厚さは、不均一であってもよいし、均一であっ
てもよい。均一な厚さが要求される前出の特開昭62−30
709の持続性製剤とはこの点において異なる。
かくして得られる本発明の製剤は、散剤や顆粒剤の如
き粒状剤の形態をとるのが適当である。その平均粒子径
は約0.5mm以下であるのが一般的であり、好ましくは0.1
〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。本発明で
は、不快な味が比較的弱い薬物(例えばゾニサミド)は
勿論のこと強い薬物、例えばピリドンカルボン酸系抗菌
剤を主薬とする場合にもその不快な味が遮蔽され、同時
に製剤からの薬物の放出が速やかに行われる。本発明の
製剤は、経口投与されたとき、製剤が口の中に存在する
であろう時間薬物の不快な味が遮蔽されており、製剤が
飲み込まれて胃に達すると速やかに薬物を放出するので
ある。ちなみに後述する方法に従って測定された不快な
味の遮蔽時間は少なくとも約20秒以上、好ましくは約20
〜60秒であり、後に定義する30分後の放出率は少なくと
も約80%以上、好ましくは約83〜約98%である。このよ
うな本発明の製剤は、不快な味の遮蔽に主として関係す
るエチルセルロースの使用量や薬物の放出性に関与する
と考えられる核中の水膨潤性物質と膜層中の水溶性物質
の使用量をそれぞれ上記した範囲から適宜選択すること
により製造できる。
具体例 次に実施例ならびに比較例を挙げて本発明を更に詳細
に説明する。
以下では薬物として次のものを使用した。
薬物A(エノキサシン;抗菌剤) 1−エチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オ
キソ−7−(1−ピペラジニル)−1,8−ナフチリジン
−3−カルボン酸3/2水和物 薬物B(抗菌剤) 5−アミノ−1−シクロプロピル−6,8−ジフルオロ
−7−(シス−3,5−ジメチル−1−ピペラジニル)−
1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸 薬物C(ゾニサミド;抗てんかん剤) 1,2−ベンツイソキサゾール−3−メタンスルホンア
ミド また、以下の実施例ならびの比較例では次の製剤化成
分を用いた。
エチルセルロース;ダウケミカル社のエトセル(10cp
s)を使用但し、実施例15は100cpsのものを使用した L−HPC;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース (信越化学工業(株)のL−HPC LH31を使用した) HPMC;ヒドロキシプロピルメチルセルロース (核成分の場合は信越化学工業(株)のTC−5Rを、膜成
分の場合は同社のTC−5Eをそれぞれ使用した) HPMCP;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート (信越化学工業(株)のHP−55を用いた) SSエステル;ショ糖ステアリン酸エステル (三菱化成食品(株)のリョート−シュガーエステルS
−770を使用した) MC;メチルセルロース (信越化学工業(株)のメトローズSM−15を使用した) PVP;ポリビニルピロリドン (ガフ社のPVP K30を使用した) PVPP;ポリビニルポリピロリドン (ガフ社のポリプラスドンXLを使用した) HPC;ヒドロキシプロピルセルロース (核および膜とも日本曹達(株)のHPC−Lを用いた) CMS−Na;カルボキシメチルスターチナトリウム (アベベ社のプリモジェルを使用した) CMC−Ca;カルボキシメチルセルロースカルシウム (ニチリン化学工業(株)のECG505を使用した) 架橋CMC;内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム (旭化成工業(株)のAc−Di−So1を使用した) 酸化チタン;石原産業(株)のタイペーク酸化チタンA
−100を使用 乳糖;HMS社の乳糖を使用 以下の実施例ならびに比較例では、次の方法により、
いずれも散剤(平均粒子径0.2〜0.3mm)を製造した。
核の製造 総ての核成分3kgを高速撹拌造粒機;バーチカルミキ
サー(パウレック社)に仕込み、1分間混合し、750〜1
200mのエタノールを注加(薬物がB以外であって、結
合剤がHPMCであるときは更に210〜450mの水を注加)
し、練合造粒する。これを乾燥後、整粒機ツインロータ
ー(スクリーン;32メッシュ、畑鉄工所)にかけて整粒
(粒径0.5mm以上の粒子含有量は5%以下)する。
被覆 総ての膜成分をジクロルメタンに5重量%になるよう
に分散して被覆用懸濁液を調製する。コーティング装
置;スパイラフロー(フロイント産業)に0.5kgの核を
仕込み、被覆用懸濁液を噴霧し、乾燥する。実施例21お
よび23については、更に70℃で15時間加熱処理をする。
得られた散剤について、次の簡易溶出試験、官能試験
および溶出試験を行った。
簡易溶出試験(D30sec) 薬物量として50mg相当量の散剤を10m容の注射筒に
とり、水10mを加えて30秒間にわたって注射筒を上下1
0回反転する。その後、直ちにメンブランフィルター
(孔径0.45μm)で濾過し、濾液中の薬物濃度(D30se
c)を測定する。不快な味の発現閾値(D30sec;μg/m
)は、薬物Aでは25μg/m、薬物Bでは90μg/mで
あり、薬物Cでは250μg/mであるとした。以下の実施
例ならびに比較例では、D30sec値が、薬物Aでは17μg/
m以下、薬物Bでは60μg/m以下、薬物Cでは200μg
/m以下の場合を不快な味が遮蔽されたものと評価し
た。
官能試験(不快な味の遮蔽時間) 薬物量として50mg相当量の散剤を口に含むとき不快な
味を感知するまでの時間(すなわち遮蔽時間)を測定し
た。以下の実施例ならびに比較例では少くとも約20秒間
にわたって不快な味を感知しない場合を不快な味が遮蔽
されたと評価した。
溶出試験(D10min、D30min) 日本薬局方(11版)記載のパドル法(溶媒;1.8gの塩
化ナトリウムを溶解する900mの水、回転数;50rpm、温
度;37℃、散剤量;薬物50mg相当量)に準じて行った。1
0分後の溶出率(D10min)が50%以上であり、30分後の
溶出率(D30min)が80%以上の場合を速放性であると評
価した。
実施例 1〜5 薬物AまたはBについて、薬物含有量ならびに水膨潤
性物質含有量を種々変化させた散剤を調製し、次表の結
果を得た。
前表に示すように、薬物の含有量が5〜40%で水膨潤
性物質(すなわち、L−HPC)の含有量が35〜70%の散
剤は、いずれも不快な味が遮蔽されていて、かつ、速放
性であった。
実施例 6〜10 薬物Aについて、エチルセルロース含量を種々変化さ
せた散剤を調製し、次表の結果を得た。
前表に示すように、エチルセルロースが4〜10%であ
り、膜層中の水溶性物質たるHPMC含有量が0.4〜8%で
ある実施例6〜10の散剤は、不快な味の遮蔽ならびに速
放性のいずれにおいても適合するものであった。
実施例 11〜14 種々の水膨潤性物質を用いた散剤を調製し、次表の結
果を得た。
前表に示すように、いずれの水膨潤性物質(すなわ
ち、L−HPC、CMS−Na、CMC−Ca、内部架橋CMC)を用い
ても望ましい製剤特性を有する散剤が得られた。また、
同量のPVPPを水膨潤性物質として用いても同程度の結果
を得た。
実施例 15〜20 種々の水溶性物質を用いた散剤を調製し、次表の結果
を得た。
前表に示すように、いずれの水溶性物質(すなわち、
HPMC、MC、HPC、PVP)を用いても望ましい散剤が得られ
た。
実施例 21〜24 乳糖やショ糖脂肪酸エステル(SSエステル)の存在ま
たは不存在、ショ糖脂肪酸エステル(SSエステル)の存
在の場合には最後の加熱工程の実施または不実施のと
き、どのような散剤となるかをみるために、次表の散剤
を調製した。なお、次表には、比較のために実施例16の
場合も併記した。
前表に示すように、いずれの散剤も不快な味の遮蔽な
らびに速放性において適合するものであった。ショ糖脂
肪酸エステル(SSエステル)存在系で、加熱処理工程を
施した実施例21および23の散剤は不快な味の遮蔽効果な
らびに速放性が最も優れていた。
比較例 1〜4 次表の散剤を調製し、その製剤特性を調べた。なお、
次表には比較のために実施例11の場合も併記した。
前表に示すように比較例1および2は水膨潤性物質た
るL−HPCを含まない点およびエチルセルロース含有量
が同一である点が共通しており、そして比較例1は膜層
中の水溶性物質(HPMC)含有量が比較例2の1/3以下で
ある点において異なる。水膨潤性物質を含まない比較例
1の散剤は薬物A(エノキサシン)の強い不快な味を遮
蔽するが速放性を欠く。膜層中の水溶性物質含量を比較
例1の場合よりも増量した比較例2の散剤は、放出性が
不十分ながらも改善されたが、逆に不快な味の遮蔽が達
成できなかった。
また、比較例3および4は核中の水膨潤性物質(L−
HPC)含有量が20%にすぎない散剤である。比較例3の
散剤では薬物A(エノキサシン)の不快な味は遮蔽され
ているが、放出性を欠き、水溶性物質(HPMC)の含有量
を比較例3の場合よりも増加した比較例4の散剤では放
出性がやや改善されるが、不快な味の遮蔽がなされてい
ない。
比較例 5〜8 次表の比較散剤を調製し、その製剤特性を調べた。な
お、次表には比較のために実施例11の場合も併記した。
前表に示すように、比較例5はエチルセルロースの代
りに腸溶性のHPMCPを等量用いた散剤である。この散剤
は速放性であるが、不快な味が全く遮蔽されていない。
比較例6〜8の散剤は水溶性物質を膜層を含有しない散
剤である。これらの散剤は、そのエチルセルロース含有
量が少ないときは速放性であるが不快な味の遮蔽が全く
なされず、エチルセルロース含有量が増加するにつれて
不快な味は遮蔽されるが、その反面、徐放性になる。こ
のことから不快な味が遮蔽され、かつ、速放性であるよ
うなエチルセルロース含有量の設定は困難と考えられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 康彦 兵庫県宝塚市中山桜台2丁目5番7号 (72)発明者 藤岡 弘 大阪府茨木市白川2丁目17番19号 (72)発明者 牧田 浩和 奈良県奈良市右京5丁目5番4号 (56)参考文献 特開 昭58−58146(JP,A) 特開 昭58−58145(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核と、膜成分を含有する被覆用液剤を該核
    に噴霧することにより形成される膜層から構成され、該
    核中には不快な味の薬物および水膨潤性物質が少なくと
    も含有され、該膜層中にはエチルセルロースおよび水溶
    性物質が少なくとも含有されてなる製剤であって、該薬
    物の含有量が40%以下であり、該水膨潤性物質の含有量
    が35〜70%であり、該エチルセルロースの含有量が3〜
    11%であり、該水溶性物質はヒドロキシプロピルメチル
    セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
    ルロースおよびポリビニルピロリドンから選択され、そ
    の含有量が該エチルセルロース含有量の0.1〜0.8倍であ
    り、該核が最終製剤の75〜95%を占め、そして、薬物量
    として50mg相当量の本製剤を口に含むとき不快な味の遮
    蔽時間が20秒以上であり、日本薬局方第11版記載のパド
    ル法またはこれに準じる方法により測定した10分後の溶
    出率が50%以上であり、30分後の溶出率が80%以上であ
    ることを特徴とする薬物の不快な味が遮蔽された速放性
    製剤。
  2. 【請求項2】薬物の含有量が5〜35%であり、水膨潤性
    物質の含有量が40〜60%であり、エチルセルロースの含
    有量が4〜8%であり、水溶性物質の含有量がエチルセ
    ルロースの含有量の0.2〜0.7倍である請求項1記載の不
    快な味が遮蔽された速放性製剤。
  3. 【請求項3】薬物の含有量が10〜30%であり、水膨潤性
    物質の含有量が45〜55%であり、エチルセルロースの含
    有量が4.2〜6%であり、水溶性物質の含有量がエチル
    セルロースの含有量の0.3〜0.5倍である請求項1記載の
    不快な味が遮蔽された速放性製剤。
  4. 【請求項4】不快な味の薬物がピリドンカルボン酸系抗
    菌剤または抗てんかん剤である請求項1記載の不快な味
    が遮蔽された速放性製剤。
  5. 【請求項5】ピリドンカルボン酸系抗菌剤が5−アミノ
    −1−シクロプロピル−6,8−ジフルオロ−7−(3,5−
    ジメチル−1−ピペラジニル)−1,4−ジヒドロ−4−
    オキソキノリン−3−カルボン酸またはエノキサシンで
    あり、抗てんかん剤がゾニサミドである請求項4記載の
    不快な味が遮蔽された速放性製剤。
  6. 【請求項6】水膨潤性物質が低置換度ヒドロキシプロピ
    ルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、
    カルボキシメチルセルロースまたはその塩、内部架橋さ
    れたカルボキシメチルセルロースまたはポリビニルポリ
    ピロリドンである請求項1記載の不快な味が遮蔽された
    速放性製剤。
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