JP2003034632A - 徐放性医薬組成物 - Google Patents
徐放性医薬組成物Info
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Abstract
やすさが改善されてなる1日1回の用時調製型の徐放性
医薬組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 服用時に水を加えて調製される用時調製
型医薬組成物であって、徐放性コーティング皮膜でコー
ティングされた薬物含有物とゲル化剤を含有することを
特徴とする1日1回の用時調製型の徐放性医薬組成物。
Description
えながらも、飲み易さが改善されてなる1日1回の用時
調製型の徐放性医薬組成物に関する。より詳細には、徐
放性製剤の薬物の溶出性及び徐放性を損なうことなく、
用時に水を加えることによって一定の粘稠性を有したゼ
リー状またはシロップ状となることによって飲み込みや
すい形態を備えた、1日1回型の用時調製型徐放性医薬
組成物に関する。又、本発明は、更に調製後長時間経過
しても所望の徐放性を保持する効果をも有している、1
日1回型の用時調製型徐放性医薬組成物に関する。
て調製するドライシロップは、処方量の柔軟性、服用の
しやすさから特に小児用剤形として汎用されている。か
かるドライシロップ剤には水を加えたときに溶液になる
ものと懸濁液となるものがあり、製剤化において、薬物
の溶解性等の物理化学的性質や徐放性などの製剤効果上
の目的からいずれかの形態が選択される。
シロップ剤を得る目的で、従来より、水不溶性基剤と水
易溶性薬物とを組み合わせて、薬物の溶出を抑制する方
法が各種提案されている。また、徐放性を付与するため
に、ドライシロップに配合する薬物の原体粒子を水不溶
性ポリマーでコーティングする方法も考えられるが、原
体粒子の粒子径は非常に小さく、表面積が大きいため、
通常の水不溶性ポリマーによるコーティングで所望の溶
出性をコントロールすることは非常に困難である。原体
を直接コーティングする方法としては、原体を造粒した
後、これを特定の割合の水不溶性ポリマーでコーティン
グする方法が報告されている(特開2000−2018
16号公報)。しかしながら、この方法では、コーティ
ングに多量の徐放性フィルムを要する反面、その溶出制
御効果は十分でなく、長時間にわたって溶出を制御でき
ず、1日1回の徐放性製剤処方を可能とすることはでき
ない。
ドライシロップ剤を得る場合、溶出抑制が過ぎると消化
管内での放出が遅延する結果、バイオアベイラビリティ
ーが低下するという問題がある。このため、良好なバイ
オアベイラビリティーを得るためにも、薬物の溶出が抑
制されながらも消化管内では良好に放出されるという溶
出挙動をバランスよく両立させることが重要な課題とな
る。
保が前提として求められるため、従来、徐放性製剤とし
ては1日2回までの製剤処方が一般的である。また、従
来の技術では溶出制御と良好な消化管放出の条件を併せ
持つ懸濁シロップ剤は、粒子が口中に残留しやすく服用
に違和感がある欠点がある。
して調製した後、飲み忘れ等により長時間経過してしま
う場合があり、これを誤って服用してしまうことも考え
られる。このような場合、当該製剤がもつ本来の徐放性
が失われてしまい、急激に溶出する結果、血中濃度の上
昇により予期せぬ事故が起こる可能性がある。特に安全
域の低い薬物を投与する場合、製剤の徐放性が喪失され
ると人体に対して多大なる影響が及ぼされることが予想
される。例えば、急性及び慢性気管支喘息の対症療法剤
として汎用されているテオフィリンは、その有効血中濃
度範囲が約5〜20μg/mlであり、この血中濃度を
超えると時には心血管系及び中枢神経系に対して重篤な
副作用が現れることが知られている。
製後長時間経過したものを万が一服用した場合であって
も血中薬物濃度が安全域を逸脱することのないように、
所望の徐放性が保持されている必要がある。特にテオフ
ィリン等の安全域の低い薬物を含有する用時調整型の徐
放性製剤の場合には、高い徐放性保持効果が要求され
る。また、製剤の徐放性は、その製剤の形態や投与対象
者の年齢や喫煙の有無によっても大きく影響されるた
め、より一層効果的に製剤の徐放性をコントロールでき
る技術の開発が望まれていた。
用時調製型徐放性製剤に関する問題を解決することを目
的とするものである。具体的には、所望の徐放性を備え
ながらも飲みやすさが改善されてなる1日1回の用時調
製型の徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
より詳細には、本発明は、薬物の溶出性及び徐放性を損
なうことなく、用時に水を加えることによって一定の粘
稠性を有したゼリー状またはシロップ状となることによ
って飲み込みやすい形態を備えた、1日1回型の用時調
製型徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
又、本発明は、更に調製後長時間経過しても所望の徐放
性を保持する効果をも有している、1日1回型の用時調
製型徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
を達成するため日夜鋭意研究を重ねていたところ、服用
時の投与形態が、徐放性薬物粒子が分散してなるゼリー
状またはシロップ状形態となるように処方を設計するこ
とにより、上記所望の目的が達成できることを見出し
た。そして、バイオアベイラビリティーを損なわない程
度に薬物の溶出性が制御された徐放性薬物粒子と、水を
加えると速やかに増粘してゼリー状若しくはシロップ状
になるゲル化剤とを組み合わせて調製された医薬組成物
によれば、用時に上記の所望の投与形態に調製できるこ
とを確認した。本発明はかかる知見に基づいて開発され
たものである。すなわち、本発明は下記に掲げる医薬組
成物である。 (1)服用時に水を加えて調製される用時調製型医薬組
成物であって、徐放性コーティング皮膜でコーティング
された薬物含有物とゲル化剤を含有することを特徴とす
る1日1回の用時調製型の徐放性医薬組成物。 (2)徐放性コーティング皮膜でコーティングされた薬
物含有物とゲル化剤成分とを併せて造粒されてなるか、
或いは徐放性コーティング皮膜でコーティングされた薬
物含有物を核としてゲル化剤でコーティングされてなる
ものである、(1)記載の徐放性医薬組成物。 (3)徐放性コーティング皮膜でコーティングされた薬
物含有物がゲル化剤で更に被覆されてなることを特徴と
する、(1)記載の徐放性医薬組成物。 (4)薬物がテオフィリンであり、調製後長時間経過し
ても徐放性が保持されていることを特徴とする、(1)
乃至(3)のいずれかに記載の徐放性医薬組成物。 (5)ゲル化剤がアルギン酸塩である、(1)乃至
(4)のいずれかに記載の徐放性医薬組成物。 (6)(A)徐放性コーティング皮膜がエチルセルロー
スを50〜100重量%及びメチルセルロース又はヒド
ロキプロピルセルロースの少なくとも1種を0〜50重
量%の割合で含有し、(B)該皮膜でコーティングされ
た薬物含有物が薬物を0.01〜90重量%含有するも
のであり、(C)ゲル化剤がアルギン酸ナトリウムであ
る、(1)乃至(5)のいずれかに記載の徐放性医薬組
成物。
は「徐放性保持」とは、血中薬物濃度が安全域を逸脱し
ないことを限度として、徐放性を保持していることを意
味し、具体的には、用時調製型徐放性製剤に水を添加し
て調製後長時間経過したものを服用した場合であって
も、血中薬物濃度が安全域の範囲内から逸脱しないよう
に当該製剤の徐放性が保持されることをいう。
子が分散したゼリー状またはシロップ状となるように調
製することにより、従来技術による懸濁シロップの形態
では達成できなかった服用しやすさと持続的な溶出制御
性とを実現可能にしたものである。本発明の医薬用組成
物は、用時に水を配合することによってゼリー状または
シロップ状といった飲み込み易い形態に調製でき、pH
依存性のない溶出挙動を示すため、特に嚥下力の弱い乳
幼児や嚥下困難な患者、さらに高齢者への経口投与剤形
として有効である。また、本発明の用時調製型徐放性医
薬組成物は、持続的な溶出挙動によって徐放性を備えて
いるため、1日の投与回数を1回に低減することがで
き、これによって服用の煩わしさを解消することができ
る。更に、本発明の用時調製型徐放性医薬組成物は、徐
放性保持効果が高く、調製後長時間経過したものを誤っ
て服用したとしても所望の徐放効果が奏されるので、テ
オフィリン等の安全域の低い薬物を用時調製型の徐放性
製剤として調製する場合に有用である。
水を加えてゲル状またはシロップ状に調製して服用され
る1日1回の用時調製型の医薬組成物であって、徐放性
コーティング皮膜でコーティングされた薬物含有物とゲ
ル化剤を含有することを特徴とする。
経口投与可能なものであれば、その薬効やその種類によ
って何等制限されるものではない。本発明に用いられる
薬物の一例として、呼吸器官用製剤、消化器官用製剤、
循環器官用製剤、中枢神経用製剤、末梢神経用製剤、抗
生物質製剤、化学療法剤、抗腫瘍剤、血小板凝集抑制
剤、抗アレルギー剤、ビタミン剤などの各種製剤に配合
される通常の薬物を挙げることができる。その具体例と
しては、例えばテオフィリン、グレパフロキサシン、カ
ルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプ
ラゾール、シロスタゾールなどが挙げられる。好ましい
ものとして、水易溶性の薬物を挙げることができる。
使用される手法で徐放化してなるものであり、かかる徐
放化手段としては、特に、薬物含有組成物を造粒した
後、徐放性皮膜でコーティングする方法が採用される。
ングされた薬物含有物の製造方法としては、具体的に
は、まず対象とする薬物を含む組成物を押し出し造粒
法、破砕造粒法、流動層造粒法、遠心流動造粒法、転動
造粒法または高速攪拌造粒法等により造粒し、得られた
粒子に、スプレーコーティング法等の方法によって徐放
性コーティング皮膜でコーティングする方法を例示する
ことができる。なお、コーティングには流動層、遠心流
動、通気式コーティングパン、高速攪拌或いはこれらの
複合型の装置が、調製する薬物含有物の形状、大きさ、
製造方法等に応じて適宜使用できる。
が、最終的にはゼリーに包まれた状態またはシロップ状
態で服用されるため、2mm程度までであれば無理なく
服用できる。好ましくは50〜1000μm、より好ま
しくは75〜750μmである。
が、例えば粒子径を50〜1000μm、好ましくは7
5〜750μmに調製する場合には、まずコーティング
前の薬物含有物を押し出しマルメ粒子とすることが望ま
しい。この場合、薬物含量は0.01〜90重量%の範
囲で任意に設定することができる。好ましくは0.01
〜70重量%である。
成分となる所望の薬物に加えて、当業界で慣用の製剤担
体を配合して調製される。かかる製剤担体としては、当
該分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば、乳
糖、白糖、マンニトール、塩化ナトリウム、ブドウ糖、
でんぷん、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロー
ス、ケイ酸塩等の賦形剤、水、エタノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、セ
ラック、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキ
ストリン、プルラン等の結合剤;クエン酸、無水クエン
酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和
物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナ
トリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナ
トリウム等のpH調整剤;カルメロースカルシウム、低
置換度ヒドロキシプロピセルロース、カルメロース、ク
ロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプ
ン、乾燥デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、クロスポビドン、ポリソルベート80等の崩壊剤;
第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の
吸収促進剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレ
ングリコール、コロイド状ケイ酸等の滑沢剤等が例示で
きる。
好ましくは上記粒子径を有する粒子が得られる手法であ
る。例えば、薬物を含有する混合物を練合機で造粒し、
得られる造粒物を押し出し造粒機に通過させ、引き続い
てマルメライザーで球形化する方法が挙げられる。
らに徐放性粒子として調製される。具体的には、徐放性
粒子は前述で調製された薬物含有物を核として、これを
徐放性コーティング皮膜で被覆することによって調製す
ることができる。
来公知のものを使用することができ、例えば水分散エチ
ルセルロース、エチルセルロース、アミノアルキルメタ
アクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマー
L、メタアクリル酸コポリマーS,メタアクリル酸コポ
リマーLD,アミノアルキルメタアクリレートコポリマ
ーLD,アミノアルキルメタアクリレートコポリマーR
S、アクリル酸エチルメタクリル酸メチルコポリマー、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート200731、メチルセルロース、
D−マンニトール、グリセリン脂肪酸エステル、ジオク
チルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、
クエン酸トリエチル、アセチル化モノグリセリド、ヒマ
シ油、水、エタノール等のフィルムコーティング基剤が
例示される。これらは、1種単独で使用してもよく、又
2種以上を組み合わせて使用してもよい。通常これらの
コーティング基剤を、核粒子100重量部に対して10
〜100部の割合で噴霧塗布することによって、徐放性
粒子を調製することができる。
しくは低級アルキルセルロース、またはそれと水溶性被
覆剤との混合物である。具体的には、低級アルキルセル
ロースと水溶性被覆剤の混合割合としては、低級アルキ
ルセルロース:水溶性被覆剤の重量割合で100〜5
0:0〜50、或いは100〜60:0〜40の範囲を
挙げることができる。
れる低級アルキルセルロースとしては、代表的にはエチ
ルセルロースを例示できる。該エチルセルロースとして
は、エチルセルロースそのものを使用してもよく、又エ
チルセルロースがセタノールやラウリル硫酸ナトリウム
等の存在下で水中に分散されている水分散エチルセルロ
ースを使用してもよい。エチルセルロースの市販品とし
ては、例えば、「AQUACOAT」(水分散エチルセ
ルロース)(旭化成社製)、「エトセル」(エチルセル
ロース)(日新化成社製)が知られている。また、他方
のコーティング剤成分としての水溶性被覆剤には、D−
マンニトール、ヒドロキシ低級アルキルセルロース誘導
体及びポリアルキレングリコールが含有される。上記ヒ
ドロキシ低級アルキルセルロース誘導体としては、具体
的には例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(HPMC)等のヒドロキシ低級アルキル低級アルキル
セルロース類や、例えばヒドロキシプロピルセルロース
(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等
のヒドロキシ低級アルキルセルロース類およびメチルセ
ルロース等の低級セルロースを例示できる。また、ポリ
アルキレングリコールとしては、特に分子量が約400
0〜8000のものが好ましい。
から、徐放性コーティング皮膜基剤として、好ましく
は、該皮膜基材100重量%中にエチルセルロースを5
0〜100重量%、並びにメチルセルロース又はヒドロ
キプロピルセルロースの少なくとも1種を0〜50重量
%の割合で含んでなるものである。更に好ましくは、エ
チルセルロースを70〜100重量%、並びにメチルセ
ルロース又はヒドロキプロピルセルロースの少なくとも
1種を0〜30重量%の割合で含んでなるものである。
セルロースを約1〜30重量%の割合で含む溶液または
これと水溶性被覆剤とを含む溶液に調製されて使用され
るのが好ましく、さらに該溶液には必要に応じて着色
剤、隠蔽剤、可塑剤、矯味剤等の添加剤を適宜添加する
ことができる。
ーティングは、通常の方法、例えば、流動層コーティン
グ法、遠心流動型コーティング法によるスプレーコーテ
ィング法等に従って、行うことができる。
は、水を加えた時に常温で速やかにゲル化する性質を有
することが重要である。したがって、ゲル化剤の成分と
してはゼラチンや寒天等のようなゲル化に加熱や冷却を
必要とするものは適当でない。本発明において好適なゲ
ル化剤としては、多価金属イオンまたは多価金属の塩を
配合することによって架橋ゲル化する高分子、または水
に溶解若しくは水によって膨潤することによってゲル化
する高分子を例示することができる。
することによってゲル化する高分子としては、キサンタ
ンガム等の各種のガム類、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース等を例示することができ
る。
る高分子とは、例えばアルギン酸塩、ペクチン酸塩等が
挙げられる。なお塩としては、ナトリウムやカリウムな
どのアルカリ金属との塩、カルシウムやマグネシウムな
どのアルカリ土類金属との塩を例示することができる。
また、多価金属イオンとしては、アルミニウム、鉄、
銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオン
が挙げられるが、医薬品の添加物としてはカルシウムイ
オンが望ましい。
となく飲みやすい形態を備えさせるだけでなく、用時調
製型徐放性製剤において水を添加して調製後長時間経過
した場合であっても徐放性を保持する効果をも付与する
ことができるので、特に血中濃度の安全域の狭いテオフ
ィリン等薬物を用時調整型徐放性製剤として調製する場
合に好適に使用することができる。
リウム塩、カルシウム塩、あるいはそれらの部分エステ
ル化物等が使用可能であるが、なかでもアルギン酸ナト
リウムは食品分野で粘稠剤やゲル化剤として広く使用さ
れており、種々の分子量のものが市販されているため、
本発明においても利用価値は大きい。
液としたときの粘度として規格化される。本発明の医薬
組成物において適用可能なアルギン酸ナトリウムの粘度
は、20℃における1%水溶液の粘度として20cP〜
1000cP、望ましくは50cP〜800cPであ
る。アルギン酸ナトリウムは10%水溶液の粘度として
規格化される超低粘度品も市販されているが、あまり低
粘度のものは強いゲル強度が得られにくく、逆に高粘度
のものは水を加えた時に溶解しにくくなり、いずれの場
合も薬物のマスキングに不都合となる。また、アルギン
酸ナトリウムは、ポリマーの構成単位であるマンヌロン
酸とグルロン酸の構成比(M/G比)によっても各種グ
レードに分類されている。アルギン酸の金属イオンによ
るゲル化は、グルロン酸部分におけるキレート架橋に基
づくため、M/G比が大きい、すなわちマンヌロン酸含
有量の大きいものでは柔らかいゲルが得られ、M/G比
が小さい、すなわちグルロン酸含量の大きいものは固い
ゲルが得られる。市販のアルギン酸ナトリウムのM/G
比は0.5から2.0の間であり、本発明においては、
この範囲のいずれのアルギン酸ナトリウムを用いても目
的にかなう固さのゲルが調製できる。
イオンの供給成分としては、無機及び有機酸のカルシウ
ム塩、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコ
ン酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウ
ム、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム等があげ
られる。ただし、このうち硫酸カルシウム、クエン酸カ
ルシウム、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム等
の中性で水に不溶の塩を使用の場合は、水を加えただけ
ではイオンを放出しないので、溶解させるために酸の添
加が必須となる。本発明では、クエン酸、アジピン酸、
グルコノデルタラクトン等の有機酸が添加可能である。
限り速やかに、かつ均一なゼリーを形成することがきわ
めて重要である。例えばゲル化剤としてアルギン酸ナト
リウムを用いる場合、そのゲル化は、(1)アルギン酸
ナトリウムの水和、(2)カルシウムイオンとの塩形成
の2段階で生じる。よって、アルギン酸ナトリウムが高
粘度品であって、水和に時間を要する場合や、カルシウ
ム塩の解離が早すぎる場合はアルギン酸の部分ゲル化が
おこり、不均一となりやすい。特に塩化カルシウムや乳
酸カルシウム等の中性で水に可溶の多価金属塩を使用す
ると、多価金属イオンの放出は早いが、アルギン酸の部
分ゲル化に集中するため、最終的に固いゲルと液部分の
二相に分かれ、かえって薬物の溶出を早める結果となる
ことが多い。このような不都合に対しては、多価金属イ
オン、特にカルシウムイオンに対してキレート作用を持
つ、クエン酸ナトリウムやピロリン酸ナトリウム等の添
加によりゲル化反応を遅延させることができる。
ーの固さは、服用感および薬物粒子の分散状態を左右す
る。ある程度の弾性があり、容易に型くずれしない、例
えばゼリーデザート食品に見られる程度の固さが望まし
い。ゼリーの固さは、その主体であるゲル化剤の種類お
よび添加量と、水の添加量に依存する。例えばゲル化剤
としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合、適度な固さ
のゼリーを得るためのその量は、その規格粘度、および
M/G比によって変動するが、加える水の重量に対して、
0.2〜5重量%、望ましくは0.5〜3重量%である。
ただし、本発明の医薬組成物は固体状態で提供され、水
を加えるのは使用者であるため、製剤化においては、あ
らかじめ服用時の水の添加量を規定した上で分量が設定
される。
価金属イオンの量は、少なすぎるとゲル化が不十分とな
り、多すぎても過剰分が味の変化をもたらす。例えば、
アルギン酸ナトリウム(カルボキシル基1個あたりの分
子量:198.1)に対するカルシウム塩の配合量は、
0.01〜1モル、0.1〜1モル、0.2〜0.7モル
の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜
0.5モルの範囲を挙げることができる。また、不溶性
カルシウム塩を用いる場合は、その解離に必要な有機酸
の選択、および添加量は、ゲル化速度のコントロールの
他に、ゼリーの味に影響するため慎重に設定する必要が
ある。
に応じて有機酸、キレート剤、さらに精製白糖、D−ソ
ルビトール、D−マンニトール、キシリトール、サッカ
リンナトリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の甘味
料やクエン酸、クエン酸ナトリウム等のpH調整剤、チェ
リー、ストロベリー、オレンジ、バニラ、ヨーグルト等
の香料を加えてもよい。
物含有物とゲル化剤の組成比は、服用時に水を加えるこ
とにより形成されるゼリーの体積と、その中に分散する
薬物粒子の量を勘案し、主として服用感(飲みやすさ)
の観点から総合的に評価し設定される。薬物粒子が多す
ぎる場合、ゼリーとなってもざらつき感が多く、粒子が
舌に触れる確率が増すため、好ましくない。逆にゲル化
剤の量が多すぎる場合は、水の必要量が増え、服用しず
らくなる。本発明の医薬組成物の服用一回分あたりの処
方量に水を1〜5mL加えることを想定した場合、徐放
性薬物含有物とゲル化剤(特にアルギン酸ナトリウム)
の適当な重量比は1:0.01〜1:0.5であり、よ
り好ましくは1:0.02〜1:0.2である。
本的には徐放性の薬物含有物とゲル化剤の2つの組成を
備えるものであればよく、本発明の効果を奏することを
限度としてその組成の存在態様は特に制限されない。具
体的には、製剤化において、これらを全く別個に調製し
た後、最後に混合して合剤としてもよいし、徐放性の薬
物含有物とゲル化剤成分とを合わせて造粒するか、ある
いは徐放性の薬物含有物を核としてゲル化剤でコーティ
ングして製剤化してもよい。又、ゲル化剤で更に被覆さ
れてなる徐放性の薬物含有物とゲル化剤とを混合した合
剤であってもよい。
実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。なお、ここで「Aqua
coat」は旭化成(株)より販売されている水分散エチル
セルロース、「エトセル」は日新化成(株)より販売さ
れているエチルセルロース、「SM−4」は信越化学工
業(株)販売されているメチルセルロース、「TC−5
R」は信越化学工業(株)販売されているヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、「マンニトール」は協和発酵
(株)より販売されているマンニトール、HPC−SL
は「日本曹達」より販売されているヒドロキシプロピル
セルロース、「シトロフレックス2(SC−60)」は
カルターフードサイエンス(株)より販売されているク
エン酸トリエチル、「Myvacet9−45」は光洋
商会(株)より販売されているアセチル化モノグリセリ
ド、「アルギン酸Na(I−7)」はキミカ(株)より
販売されているアルギン酸ナトリウム、「フジカリン」
は富士化学工業(株)より販売されている無水りん酸1
水素カルシウム、「キサンタンガム」は三栄源エフエフ
アイ(株)より販売されているキサンタンガム、クエン
酸3ナトリウム2水和物、無水クエン酸は和光純薬
(株)製である。
糖680g、微結晶セルロース(アビセル、旭化成社
製)1000g、及びコーンスターチ200gからなる
混合物3880gをバーチカルグラニュレーター(FM
−VG25P)に入れ、2%Tween80水溶液16
00gで造粒した。得られた造粒物を押し出し造粒機
(TWIN DOME GRAN MODEL TDG
−80)(口径0.3mm)に通過させ、引き続いてマ
ルメライザー(MARUMERIZER MODEL
QJ−400)で球形化する。得られた球状粒子は送風
乾燥機(TABAI SAFETYOVEN MODEL
SPHH−200)80℃で乾燥後、篩別して0.15
〜0.5mmの球状粒子を得た。
を含む核粒子)で得られた核粒子300gを流動造粒コ
ーティング装置(NQ−125:不二パウダル)に入
れ、吸気温度50℃、品温35〜40℃にコントロール
し、Aquacoat500gとSM−4 18.75g、クエ
ン酸トリエチル(「シトロフレックス2(SC−6
0)」、カルターフードサイエンス)50.0g及び水
525gの混合フィルム溶液1093.75gを、微小
球形粒子に対して10〜50%噴霧した。続いて送風乾
燥機(TABAI SAFETYOVEN MODEL S
PHH−200)70℃で5時間、流動造粒コーティン
グ装置(NQ−125:不二パウダル)で、吸気温度8
0℃で2時間キュアリングした。その後、篩別して0.
15〜0.5mmの徐放性粒子を得た。
薬物を含む徐放性粒子)で得られた徐放性粒子250g
を遠心流動型コーティング造粒機(CF−360:フロ
イント)に入れ、アルギン酸Na (I−7)20g、
フジカリン2.0g、ストロベリー香料 1.0g、サ
ッカリンナトリウム2.0g、マンニトール207.0
gの混合粉末を散布しながら、クエン酸3ナトリウム2
水和物1.0g及び無水クエン酸2.0gを水137g
に溶解して調製した水溶液140gを結合剤として造粒
して、球状ゼリー用徐放性組成物を得た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)60℃で乾燥後、篩別して0.15〜1.0mm
の球状粒子を得た。
(A:薬物を含む核粒子)核粒子300gを流動造粒コ
ーティング装置(NQ−125:不二パウダル)に入
れ、吸気温度50℃、品温35〜30℃にコントロール
し、エトセル107.6g、HPC−SL32.4g、
Myvacet9−45 14.0g、無水エタノール
1646.0g及び水200.0gの混合フィルム溶液
2000.0gを微小球形粒子に対して10〜35%噴
霧し、送風乾燥機(TABAI SAFETY OVEN
MODEL SPHH−200)を用いて60℃で乾燥
後、0.15〜0.5mmの徐放性粒子を得た。
1の(C:球状ゼリー用徐放性組成物)に記載の方法に
従って、球状ゼリー用徐放性組成物を得た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)60℃で乾燥後、篩別して0.15〜1.0mm
の球状粒子を得た。
(A:薬物を含む核粒子)核粒子400gを流動造粒コ
ーティング装置(NQ−125:不二パウダル)に入
れ、吸気温度50℃、品温35〜40℃にコントロール
し、Aquacoat500gとマンニトール37.5g、クエ
ン酸トリエチル(「シトロフレックス2(SC−6
0)」、カルターフードサイエンス)50.0g及び水
362.5gの混合フィルム溶液950.0gを、微小
球形粒子に対して10〜50%噴霧し、送風乾燥機(TA
BAI SAFETYOVEN MODEL SPHH−
200)を用いて60℃で乾燥後、0.15〜0.5m
mの徐放性粒子を得た。
1の(C:球状ゼリー用徐放性組成物)に記載の方法に
従って、球状ゼリー用徐放性組成物を得た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)60℃で乾燥後、篩別して0.15〜1.0mm
の球状粒子を得た。
含む徐放性粒子)の項に記載の方法に従って、薬物を含
む徐放性粒子を得た。
粒子250gを遠心流動型コーティング造粒機(CF−
360)に入れ、キサンタンガム20g、ストロベリー
香料1.0g、サッカリンナトリウム2.0g、マンニ
トール220.0gの混合粉末を散布しながら、クエン
酸3ナトリウム2水和物1.0g及び無水クエン酸2.
0gを水137gに溶解して調製した水溶液140gを
結合剤として造粒して、球状ゼリー用徐放性組成物を得
た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)を用いて、60℃で乾燥後、篩別して0.15〜
1.0mmの球状粒子を得た。
(A:薬物を含む核粒子)核粒子300gを流動造粒コ
ーティング装置(NQ−125:不二パウダル)に入
れ、吸気温度50℃、品温35〜40℃にコントロール
し、Aquacoat500gとSM−4 15.0g、クエン
酸トリエチル(「シトロフレックス2(SC−6
0)」、カルターフードサイエンス)50.0g及び水
510gの混合フィルム溶液1075.0gを、微小球
形粒子に対して10〜50%噴霧した。続いて送風乾燥
機(TABAI SAFETY OVEN MODEL S
PHH−200)を用いて70℃で5時間、流動造粒コ
ーティング装置(NQ−125:不二パウダル)で、吸
気温度80℃で2時間キュアリングした。その後、篩別
して0.15〜0.5mmの徐放性粒子を得た。
(C:球状ゼリー用徐放性組成物)に記載の方法に従っ
て、球状ゼリー用徐放性組成物を得た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)を用いて、60℃で乾燥後、篩別して0.15〜
1.0mmの球状粒子を得た。
含む徐放性粒子)に記載の方法に従って、薬物を含む徐
放性粒子を得た。
(C:球状ゼリー用徐放性組成物)に記載の方法に従っ
て、球状ゼリー用徐放性組成物を得た。
SAFETY OVEN MODEL SPHH−2
00)を用いて、60℃で乾燥後、篩別して0.15〜
1.0mmの球状粒子を得た。
260g、微結晶セルロース(アビセル、旭化成(株)
製)260g、及びコーンスターチ72gからなる混合
物992gをバーチカルグラニュレーター(FM−VG
10M)に入れ、2%Tween80溶液400gで造
粒する。得られる造粒物を押し出し造粒機(DOME
GRANMODEL DG−L)(口径0.3mm)に
通過させ、引き続いてマルメライザー(MARUMER
IZER MODEL QJ−400)で球形化する。
得られた球状粒子は送風乾燥機(TABAI SAFE
TY OVEN MODEL SPHH−200)50
℃で乾燥後、篩別して0.15〜0.5mmの球状粒子
を得た。
を含む核粒子)で得られた微小球形粒子400gを流動
造粒コーティング装置(NQ−125:不二パウダル)
に入れ、吸気温度50℃、品温35〜40℃にコントロ
ールし、Aquacoat 500gとマンニトール(協和発酵
(株)製)22.5g、クエン酸トリエチル(「シトロ
フレックス2(SC−60)」、カルターフードサイエ
ンス)50g及び水317.5gの混合フィルム溶液8
90gを、微小球形粒子に対して10〜100%噴霧
し、送風乾燥機(TABAI SAFETY OVEN
MODEL SPHH−200)60℃で3時間キュ
アリング後、篩別して0.15〜0.5mmの徐放性粒
子を得た。
a 20g、フジカリン2.1g、クエン酸3ナトリウ
ム3.9g、アジピン酸12.5g、ストロベリー香料
1.0g、ソーマチン2.0g、粉糖158.5gを流
動層造粒装置(FL-10)に入れ、吸気温度60℃、品温
35〜40℃にコントロールし、ヒドロキシプロピルセ
ルロース(HPC-L)の3%溶液を結合剤として造粒・乾
燥して、ゲル化剤含有組成物を得た。
成物を得た。
含む核粒子)で得られた微小球形粒子200gを流動造
粒コーティング装置(MP−01:不二パウダル)に入
れ、吸気温度55℃、排気温度35〜40℃にコントロ
ールし、Aquacoat 250g、マンニトール(協和発酵
(株)製)18.75g、クエン酸トリエチル(「シト
ロフレックス2(SC−60)」、カルターフードサイ
エンス)25g及び水181.8gの混合フィルム溶液
475.6gを用いて、微小球形粒子に対して10〜1
00%噴霧し、送風乾燥機(TABAI SAFETY
OVEN MODEL SPHH−200)60℃で
3時間キュアリング後、0.15〜0.5mmの徐放性
粒子を得た。
(C:ゲル化剤含有組成物)の項に記載の方法に従っ
て、ゲル化剤含有組成物を得た。
成物を得た。実施例9 (B:薬物を含む徐放性粒子)マンニトール22.5g
及び水317.5gに代えて、メチルセルロース(「S
M−4」、信越化学工業(株)製)15g及び水510
gを用いて調製した混合フィルム溶液1075gを用いる
以外は、実施例7と同様にして、実施例7の(A:薬物
を含む核粒子)で得られた微小球形粒子400gをコー
ティングして、0.15〜0.5mmの徐放性粒子を得
た。
チルセルロースナトリウム 20g、ストロベリー香料
1.0g、ソーマチン2.0g、粉糖177.0gを流
動層造粒装置(FL-10)に入れ、吸気温度60℃、品温
35〜40℃にコントロールし、ヒドロキシプロピルセ
ルロース(HPC-L)の3%溶液を結合剤として造粒・乾
燥して、ゲル化剤含有組成物を得た。
成物を得た。
び水317.5gに代えて、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース(「TC−5R」、信越化学工業(株)製)
15g及び水510gを用いて調製した混合フィルム溶
液1075gを用いる以外は、実施例7と同様にして、
実施例7の(A:薬物を含む核粒子)で得られた微小球
形粒子400gをコーティングして、0.15〜0.5
mmの徐放性粒子を得た。
ム 20g、ストロベリー香料 1.0g、ソーマチン
2.0g、粉糖177.0gを流動層造粒装置(FL-1
0)に入れ、吸気温度60℃、品温35〜40℃にコン
トロールし、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)
の3%溶液を結合剤として造粒・乾燥して、ゲル化剤含
有組成物を得た。
成物を得た。実施例11 実施例1で得られた球状粒子100gと実施例7の
(C:ゲル化剤含有組成物)で得られたゲル化剤含有組
成物10gを混合して、球状ゼリー用徐放性組成物11
0gを得た。
0mgを含有)を、4匹のビーグル犬に経口投与し、投与
後、血中テオフィリン濃度の推移を測定観察した。上記
血中濃度は、カフェインを内部標準物質とした高速液体
クロマトグラフィー(東ソー製)により定量した。定量
条件として逆相系のカラム(YMC AM-303、ワイエムシィ
製、直径4.6mm×25cm長さ)を用い、移動相は
0.01M酢酸ナトリウム:アセトニトリル(10:
1)を用いた。また検出はUV=273nmで行った。
清中テオフィリン濃度(μg/mL)を示す。また、比較
の為、市販のテオドールドライシロップ製剤〔テオフィ
リン100mgを含有、平均粒子径:約100μm、「テ
オドールドライシロップ20%」(テオフィリン徐放性
製剤:三菱東京製薬(株)製造、日研化学(株)販売)
及び市販のユニフィル100mg錠〔テオフィリン100
mgを含有、徐放性製剤:大塚製薬(株)販売〕を、4匹
のビーグル犬に経口投与し、投与後、血中濃度推移を同
様に測定した結果も併せて示す。
のテオドールドライシロップ製剤の平均Tmaxが3.3時
間であったのに対して、本発明の医薬組成物の平均Tmax
は8.0時間と有意に徐放性に優れていた。また、本発
明の医薬組成物の平均Tmaxは、1日1回投与の用法であ
るユニフィル100mg錠の平均Tmax(7.0時間)と同程
度であり,本発明の医薬組成物のユニフィル100mg錠
に対する相対的生物学的利用率は87%であったことか
ら,本発明の医薬組成物は,ユニフィル100mg錠と
同じ用法が可能であることが示唆された。また、テオド
ールドライシロップ製剤は有効成分粒子が水に分散した
形態であるため口腔内に残りやすいのに対し、本発明の
医薬組成物は有効成分粒子がゲル中に分散した形態を有
するため、口腔内に残りにくく、飲み込み易い製剤であ
った。
水2mlでゼリー化した直後及び24時間経過後のもの
について、日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に
準じて、12時間にわたって溶出試験を行った。
物(薬物量として100mg相当:ゲル化剤としてアル
ギン酸Na使用)及び実施例4で調製した医薬組成物
(薬物量として100mg相当:ゲル化剤としてキサン
タンガム使用)各々を水2mlでゼリー化した直後及び
24時間経過後のものについて、日本薬局方崩壊試験法
の水900mlに投入し、温度37℃、パドル回転数毎
分75回転の条件で、規定時間毎に薬物溶出率を測定し
た(n=2)。
には実施例1の医薬組成物をゼリー化した直後のもの及
び24時間経過後のものの溶出曲線を、図3には実施例
4の医薬組成物をゼリー化した直後のもの及び24時間
経過後のものの溶出曲線を示す。図2及び3から明らか
なように、実施例1の医薬組成物をゼリー化した直後及
び24時間経過後のもの、並びに実施例4の医薬組成物
をゼリー化した直後及び24時間経過後のものを比較す
ると、アルギン酸でゼリー化した実施例1では、薬物溶
出速度の上昇がキサンタンガムでゼリー化した実施例4
ほど、認められないことが確認された。
有)をゼリー化した直後のもの及びゼリー化して24時
間経過後のものについて、4匹のビーグル犬に経口投与
し、投与後、血中濃度推移を測定観察した。上記血中濃
度は、カフェインを内部標準物質とした高速液体クロマ
トグラフィー(東ソー製)により定量した。定量条件と
して逆相系のカラム(YMC AM-303、ワイエムシィ製、直
径4.6mm×25cm長さ)を用い、移動相は0.0
1M酢酸ナトリウム:アセトニトリル(10:1)を用
いた。また検出はUV=273nmで行った。
清中濃度(μg/mL)を示す。この結果、ゼリー化後2
4時間経過のものは,平均Tmaxが5.5時間と短くなる
ものの、Cmaxの上昇は小さなものであった。従って、実
施例1の医薬組成物は、たとえ調整後長時間経過したと
しても、調製直後のものと比べて同程度の徐放性が保持
されていることが確認された。
mgを含有)をゼリー化した直後及び1時間経過後のもの
について、4匹のビーグル犬に経口投与し、投与後、血
中濃度推移を測定観察した。上記血中濃度は、カフェイ
ンを内部標準物質とした高速液体クロマトグラフィー
(東ソー製)により定量した。定量条件として逆相系の
カラム(YMC AM-303、ワイエムシィ製、直径4.6mm
×25cm長さ)を用い、移動相は0.01M酢酸ナト
リウム:アセトニトリル(10:1)を用いた。また検
出はUV=273nmで行った。
清中濃度(μg/mL)を示す。この結果、実施例5の医
薬組成物をゼリー化した直後のものでは優れた徐放性を
備えていることが確認された。
して含有する、実施例1の医薬組成物(―□―)、及び
市販のテオドールドライシロップ(―▲―)、ユニフィ
ル100mg錠(―○―)を犬に経口投与したときの血中
テオフィリン濃度の推移を示す図である。
リー化した直後のもの(―○―)及び24時間後のもの
(―×―)についての溶出曲線を示す図である。
リー化した直後のもの(―○―)及び24時間後のもの
(―×―)についての溶出曲線を示す図である。
リー化した直後のもの(―□―)、及びゼリー化後24
時間経過のもの(―△―)について、犬に経口投与した
ときの血中テオフィリン濃度推移を示す図である。
リー化した直後のもの(―○―)及びゼリー化後1時間
経過のもの(―□―)について、犬に経口投与したとき
の血中テオフィリン濃度推移を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】服用時に水を加えて調製される用時調製型
医薬組成物であって、徐放性コーティング皮膜でコーテ
ィングされた薬物含有物とゲル化剤を含有することを特
徴とする1日1回の用時調製型の徐放性医薬組成物。 - 【請求項2】徐放性コーティング皮膜でコーティングさ
れた薬物含有物とゲル化剤成分とを併せて造粒されてな
るか、或いは徐放性コーティング皮膜でコーティングさ
れた薬物含有物を核としてゲル化剤でコーティングされ
てなるものである、請求項1記載の徐放性医薬組成物。 - 【請求項3】徐放性コーティング皮膜でコーティングさ
れた薬物含有物がゲル化剤で更に被覆されてなることを
特徴とする、請求項1記載の徐放性医薬組成物。 - 【請求項4】薬物がテオフィリンであり、調製後長時間
経過しても徐放性が保持されていることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の徐放性医薬組成物。 - 【請求項5】ゲル化剤がアルギン酸塩である、請求項1
乃至4のいずれかに記載の徐放性医薬組成物。 - 【請求項6】 (A)徐放性コーティング皮膜がエチル
セルロースを50〜100重量%及びメチルセルロース
又はヒドロキプロピルセルロースの少なくとも1種を0
〜50重量%の割合で含有し、(B)該皮膜でコーティ
ングされた薬物含有物が薬物を0.01〜90重量%含
有するものであり、(C)ゲル化剤がアルギン酸ナトリ
ウムである、請求項1乃至5のいずれかに記載の徐放性
医薬組成物。
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