JP3311323B2 - 柱無しの建物ユニット及びユニット建物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は柱無しの建物ユニッ
ト及びユニット建物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ユニット建物は、特公昭62-13456号公報
に記載の如く、工場で製造した建物ユニットを建築現場
に輸送し、複数個の建物ユニットを左右上下に隣接設置
することにて構築されている。そして、各建物ユニット
は、構造材としての柱と床梁と天井梁とを箱形に接合し
た骨組構造体にて構成されている。

【０００３】尚、建物ユニットは、工場での生産ライン
において、予め設定されている仕様に従って床、天井、
間仕切り、各種の設備機器を取付けられて内部仕上げさ
れ、また外壁、屋根等の外部仕上げもなされる。

【０００４】然るに、ユニット建物を構築するに際して
は、三方に広く開口するバルコニーや大空間の部屋など
の広く開放的な住空間を構成したり、隣接する建物ユニ
ットの柱や壁の重複による構造上の無駄を省くため、骨
組構造体の少なくとも 1つのコーナー部にて、柱の少な
くとも中間部を除去した柱無しの建物ユニットを用いる
ことが考えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述の如
くの柱無しの建物ユニットにあっては、柱が除去されて
いるため、製造ラインにおける製造過程から建築現場で
の据付け完了に至るまでの間、剛性、耐力が確保でき
ず、現実には生産できていない。

【０００６】本発明は、柱無しの建物ユニットでも生産
可能とし、広い空間が取れ、構造上の無駄のない建物ユ
ニット及びユニット建物を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、構造材を接合して構成される箱形骨組構造体の少な
くとも 1つのコーナー部にて、柱の少なくとも中間部が
除去され、柱の少なくとも中間部を除去したコーナー部
の床梁同士、天井梁同士はコーナー柱部材を介して接合
され、該骨組構造体の柱を除去したコーナー部の柱が存
在しない個所の上下の間に仮柱が仮止めされることを特
徴とする柱無しの建物ユニットである。

【０００８】請求項２に記載の本発明は、前記仮柱が、
前記骨組構造体の柱除去部に位置する上下のコーナー柱
部材間に差し込まれ、該仮柱の上下両端部に設けた上下
の蓋材を上下のコーナー柱部材に締結することにて仮止
めされる請求項１記載の柱無しの建物ユニットである。

【０００９】請求項３に記載の本発明は、前記請求項１
又は２記載の柱無しの建物ユニットが、前記骨組構造体
の少なくとも 1つのコーナー部に柱を有しており、これ
らの柱無しの建物ユニットが複数隣接配置されているこ
とを特徴とするユニット建物である。

【００１０】請求項４に記載の本発明は、前記請求項１
又は２記載の柱無しの建物ユニットが、床梁構造部と天
井梁構造部からなり、全てのコーナー部に柱を有しない
ものとされており、左右に互いに間隔をおいて配置され
た建物ユニット間に、設置されていることを特徴とする
ユニット建物である。

【００１１】

【作用】本発明によれば、下記（ａ）〜（ｄ）の作用が
ある。

【００１２】（ａ）柱無しの建物ユニットでありなが
ら、柱の少なくとも中間部を除去したコーナー部の床梁
同士、天井梁同士はコーナー柱部材を介して接合され、
柱を除去したコーナー部の柱が存在しない個所の上下の
間に仮柱を仮止めしているから、柱を除去されない標準
建物ユニットと同じ規格の梁を使え、また、製造ライン
における製造過程、工場から建築現場への運搬、それか
ら建築現場での据付け完了に至るまでの間、剛性、耐力
が確保されて、柱を除去されない標準建物ユニットと同
様に生産、建築が可能となる。

【００１３】（ｂ）仮柱の上下両端部に設けた上下の蓋
材を、柱無しの建物ユニットのコーナー柱部材に締結す
ることにて仮止めしているから、仮柱が確実かつ容易に
着脱できて、仮止め作業性、製造、建築作業性を向上で
きるともに寸法精度を向上できる。

【００１４】（ｃ）柱無しの建物ユニットが少なくとも
１つのコーナー部に柱を有し、これらの柱無しの建物ユ
ニットが複数隣接配置されているから、これらの柱無し
のコーナー部の存在によって広く開放的な住空間を形成
できる。また、生産、建築時にその骨組構造体の接合精
度や強度が向上して、全体的に強度の優れたユニット建
物になる。

【００１５】（ｄ）柱無しの建物ユニットが全てのコー
ナー部に柱を有さず、左右の互いに間隔をおいて配置さ
れる他の建物ユニット間に設置されることにより、隣接
する他の建物ユニットの柱や壁との重複による構造上の
無駄を省くことができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の柱無しの建物ユニ
ットの要部の一例を示す模式図、図２は柱無しの建物ユ
ニットのコーナー柱部材と仮柱との締結構造を示す模式
図、図３は本発明の柱無しの建物ユニットの第１実施例
を示す模式図、図４は第２実施例を示す模式図である。

【００１７】（第１実施例） 柱無しの建物ユニット１０は、図３（Ａ）に示す如く、
構造材としての柱１１、床梁１２、及び天井梁１３を箱
形に接合した骨組構造体において、該骨組構造体の隣り
合う２つのコーナー部で、柱１１を除去したものであ
る。柱１１は、４枚の長尺の鋼板と、各１枚の上板及び
下板とを溶接して形成した長尺６面体や、４角鋼管と、
各１枚の上板及び下板とを溶接して形成した長尺６面体
などからなる。床梁１２と天井梁１３は、溝形鋼の長尺
材などからなる。柱１１と、床梁１２及び天井梁１３と
は、連結片を介して溶接により剛接合されている。

【００１８】ここで、柱無しの建物ユニット１０におい
て、骨組構造体の柱除去部には、相交差する天井梁１３
を接合する上コーナー柱部材１４と、相交差する床梁１
２を接合する下コーナー柱部材１５とが設けられる。
尚、各コーナー柱部材１４、１５は、図１に示す如く、
４枚の鋼製の側板１６と、各１枚の鋼製の上板１７、及
び下板１８とを溶接した６面体であり、上板１７と下板
１８とはボルト挿通孔１９を備え、かつ上板１７と下板
１８の裏面にはナット２０が溶接されている。

【００１９】然るに、柱無しの建物ユニット１０は、骨
組構造体の柱除去部に仮柱２１を仮止めして生産され
る。尚、仮柱２１は長尺の溝形鋼からなり、仮柱２１の
上下両端部には鋼製の上下の蓋材２２、２３が溶接さ
れ、上蓋材２２と下蓋材２３とはボルト挿通孔２４を備
えている。これにより、仮柱２１は、柱無しの建物ユニ
ット１０の柱除去部に位置する上下のコーナー柱部材１
４、１５間に差し込まれ、仮柱２１の上下の蓋材２２、
２３をボルト２５により、上下のコーナー柱部材１４、
１５に締結することにて仮止めされる（図２、図３
（Ｂ）参照）。

【００２０】この２本の仮柱２１を仮止めした柱無しの
建物ユニット１０に、工場の製造、生産ラインにおい
て、床、天井、間仕切り、各種の設備機器を取付けて内
部仕上をし、また外壁等の外部仕上をしてから、建築現
場に運搬する。

【００２１】建築現場においては、この建物ユニット１
０を複数隣接配置してユニット建物が構築される。建物
ユニット１０、１０の柱無しコーナー部同士を向き合う
ように隣接配置して連結すれば、建物ユニット２個分の
柱無しの広い住空間が構築される。建物ユニット１０、
１０をその柱無しコーナー部と柱有りコーナー部を向き
合うように隣接配置して連結すれば、柱の重複の無駄が
ない住空間と、三方が開放したバルコニー等になる住空
間が構築される。

【００２２】次に、上記第１実施例の作用について説明
する。

【００２３】（ａ）柱無しの建物ユニット１０でありな
がら、柱を除去したコーナー部の柱が存在しない個所の
床梁１２同士と天井梁１３同士はコーナー柱部材１４、
１５を介して接合され、柱除去部に仮柱２１を仮止めし
ているから、製造ラインにおける製造過程、工場から建
築現場への運搬、それから建築現場での据付け完了に至
るまでの間、剛性、耐力が確保されて、柱１１を除去さ
れない標準建物ユニットと同様に生産、建築可能とな
る。

【００２４】（ｂ）仮柱２１の上下両端部に設けた上下
の蓋材２２、２３を、柱無しの建物ユニット１０のコー
ナー柱部材１４、１５に締結することにて仮止めしてい
るから、仮柱２１が確実かつ容易に着脱できて、仮止め
作業性及び製造、建築作業性を向上できるとともに、柱
無しの建物ユニットの寸法精度を向上できる。

【００２５】（ｃ）柱無しの建物ユニット１０が２つの
コーナー部に柱１１を有し、これらの柱無しの建物ユニ
ット１０が複数隣接配置されてユニット建物が構築され
ているから、これらの柱無しのコーナー部の存在によっ
て広く開放的な住空間を形成できる。また、生産、建築
時にその骨組構造体の接合精度や強度が向上して、全体
的に強度の優れたユニット建物になる。

【００２６】（第２実施例） 柱無しの建物ユニット３０は、図４（Ａ）、（Ｃ）に示
す如く、左右の互いに間隔をおいて配置された標準建物
ユニット３１、３１間に設置されるものであり、床梁構
造部３２と天井梁構造部３３からなり、４つのコーナー
部の全てに柱１１を有しない。

【００２７】ここで、柱無しの建物ユニット３０におい
て、天井梁構造部３３の各コーナー部には、上記第１実
施例におけると同一の上コーナー柱部材１４を設け、床
梁構造部３２の各コーナー部には、前記第１実施例にお
けると同一の下コーナー柱部材１５を設けている。

【００２８】そして、柱無しの建物ユニット３０は、４
つの各コーナー部の柱除去部に、前記第１実施例におけ
ると同一の仮柱２１を仮止めして生産される（図４
（Ｂ）参照）。即ち、仮柱２１は、柱無しの建物ユニッ
ト３０の柱除去部に位置する上下のコーナー柱部材１
４、１５間に差し込まれ、仮柱２１の上下の蓋材２２、
２３をボルト２５により、上下のコーナー柱部材１４、
１５に締結することにて仮止めされる。

【００２９】この４本の仮柱２１を仮止めした柱無しの
建物ユニット３０に、工場の製造、生産ラインにおい
て、床、天井、間仕切り、各種の設備機器を取付けて内
部仕上をしてから、建築現場に運搬する。建築現場で
は、図４（Ｃ）に示すように、左右の互いに間隔をおい
て配置される標準建物ユニット３１、３１間に、この柱
無しの建物ユニット３０を設置して、その床梁構造部３
２と天井梁構造部３３を両側の標準建物ユニット３１、
３１に連結する。それから、仮柱２１を取り外して、ユ
ニット建物を完成するのである。

【００３０】従って、上記第２実施例によれば、柱無し
の建物ユニット３０が全てのコーナー部に柱１１を有さ
ず、左右の互いに間隔をおいて配置される標準建物ユニ
ット３１、３１間に設置されることにより、隣接する標
準建物ユニット３１の柱や壁の重複による構造上の無駄
を省くことができる。

【００３１】また、柱無しの建物ユニット３０の、左右
に互いに間隔をおいて配置される建物ユニットを、実施
例１の柱無しの建物ユニット１０にして、この柱無しの
コーナー部を内側にして連結してユニット建物を構築す
ると、建物ユニット１０、３０、１０の３個分の中間に
柱の無い広い開放的な住空間が得られる。

【００３２】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更
等があっても本発明に含まれる。例えば、コーナー柱部
材は、４角鋼管や溝形鋼の上下に鋼製の上板と下板を溶
接したもの等でもよい。また、柱無しの建物ユニットは
１つのコーナー部に柱を有しないものでもよい。この１
つのコーナー部に柱を有しない建物ユニットを４個用
い、柱を有しないコーナー部が中央に集合するように、
田の字状に配置して連結すれば、部屋の中に柱のない建
物ユニット４個分の広い住空間を構築できる。

【００３３】

【発明の効果】請求項１に記載の本発明の柱無しの建物
ユニットは、柱の少なくとも中間部を除去したコーナー
部の床梁同士、天井梁同士はコーナー柱部材を介して接
合され、柱を除去したコーナー部の柱が存在しない個所
の上下の間に仮柱を仮止めしているから、柱を除去され
ない標準建物ユニットと同じ規格の梁を使え、また、製
造ラインにおける製造過程、工場から建築現場への運
搬、それから建築現場での据付け完了に至るまでの間、
剛性、耐力が確保されて、柱を除去されない標準建物ユ
ニットと同様に生産、建築ができる。

【００３４】請求項２に記載の本発明の柱無しの建物ユ
ニットは、仮柱の上下両端部に設けた上下の蓋材を、柱
無しの建物ユニットのコーナー柱部材に締結することに
て仮止めしているから、仮柱が確実かつ容易に着脱でき
て、仮止めの作業性、製造、建築の作業性を向上できる
とともに寸法精度を向上できる。

【００３５】請求項３に記載の本発明のユニット建物
は、柱無しの建物ユニットが少なくとも１つのコーナー
部に柱を有し、これらの柱無しの建物ユニットが複数隣
接配置されているから、これらの柱無しのコーナー部の
存在によって広く開放的な住空間を形成できるととも
に、生産、建築時にその骨組構造体の接合精度や強度が
向上して、全体的に強度の優れたユニット建物になる。

【００３６】請求項４に記載の本発明のユニット建物
は、柱無しの建物ユニットが全てのコーナー部に柱を有
さず、左右の互いに間隔をおいて配置される他の建物ユ
ニット間に設置されることにより、隣接する他の建物ユ
ニットの柱や壁との重複による構造上の無駄を省くこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の柱無しの建物ユニットの要部の
一例を示す模式図である。

【図２】図２は柱無しの建物ユニットのコーナー柱部材
と仮柱との締結構造を示す模式図である。

【図３】図３は本発明の柱無しの建物ユニットの第１実
施例を示す模式図である。

【図４】図４は第２実施例を示す模式図である。

【符号の説明】

１０、３０ 柱無しの建物ユニット １１ 柱 １２ 床梁 １３ 天井梁 １４、１５ コーナー柱部材 ２１ 仮柱 ２２、２３ 蓋材 ３２ 床梁構造部 ３３ 天井梁構造部 ３１ 標準建物ユニット

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造材を接合して構成される箱形骨組構
   造体の少なくとも 1つのコーナー部にて、柱の少なくと
   も中間部が除去され、柱の少なくとも中間部を除去した
   コーナー部の床梁同士、天井梁同士はコーナー柱部材を
   介して接合され、該骨組構造体の柱を除去したコーナー
   部の柱が存在しない個所の上下の間に仮柱が仮止めされ
   ることを特徴とする柱無しの建物ユニット。
2. 【請求項２】 前記仮柱が、前記骨組構造体の柱除去部
   に位置する上下のコーナー柱部材間に差し込まれ、該仮
   柱の上下両端部に設けた上下の蓋材を上下のコーナー柱
   部材に締結することにて仮止めされる請求項１記載の柱
   無しの建物ユニット。
3. 【請求項３】 前記請求項１又は２記載の柱無しの建物
   ユニットが、前記骨組構造体の少なくとも 1つのコーナ
   ー部に柱を有しており、これらの柱無しの建物ユニット
   が複数隣接配置されていることを特徴とするユニット建
   物。
4. 【請求項４】 前記請求項１又は２記載の柱無しの建物
   ユニットが、床梁構造部と天井梁構造部からなり、全て
   のコーナー部に柱を有しないものとされており、左右に
   互いに間隔をおいて配置された建物ユニット間に、設置
   されていることを特徴とするユニット建物。