JP3308627B2 - 耐衝撃性スチレン系樹脂の製造方法 - Google Patents
耐衝撃性スチレン系樹脂の製造方法Info
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Description
の良好なバランスを有する耐衝撃性スチレン系樹脂の製
造方法に関する。さらに詳しくは、ゴム粒子が特定の構
造である耐衝撃性スチレン系樹脂を製造するのにあた
り、高シスブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンブ
ロックゴムを特定の割合でスチレン系単量体に溶解して
重合する際に、特定のスチレン系単量体重合率に達する
迄の期間に有機過酸化物を添加して重合することによ
り、耐衝撃性と表面光沢性とのバランスに優れた耐衝撃
性スチレン系樹脂を製造する方法に関する。
ため、その改良はゴム状弾性体とスチレン系樹脂をブレ
ンドしたり、或いはゴム状弾性体の存在下でスチレン系
単量体を重合して耐衝撃性スチレン系樹脂とする方法な
どにより行われている。
器、事務用機器、雑貨等の産業分野、具体的にはテレ
ビ、ラジオ、クリーナー、エアコン等のハウジング類に
使用されている。近年、大型成形品の分野では、耐衝撃
性スチレン系樹脂に対し、高い耐衝撃性と共に表面光沢
性等、高度の物性バランスがますます要求されている。
性質の改善について色々提案されているが、これらはい
ずれも物性間のバランスの良い耐衝撃性スチレン系樹脂
を得る方法としては、必ずしも満足できるものではなか
った。
は、スチレン系樹脂中に存在するゴム状弾性体の含有量
の増加やマトリックス樹脂の分子量の増加等により得ら
れる。しかし、ゴム状弾性体の含有量が増大すると表面
光沢性も同時に失われ、またマトリックス樹脂の分子量
が増大すると成形加工性が失われ、いずれも物性のバラ
ンス上好ましくないスチレン系樹脂が得られる。
は、周知のように樹脂中に分散しているゴム粒子の粒子
径を小さくすることにより得られる。ゴム粒子径を小さ
くする手法としては、ゴム状弾性体の存在下でスチレン
系単量体を重合する際に、重合中に強い剪断力を加える
方法や、特公昭60−57443号に記載されている様
にゴム状弾性体としてスチレン−ブタジエンブロックゴ
ムを用いる方法等が知られている。しかし、ゴム粒子径
を小さくすると表面光沢性が向上する反面耐衝撃性が低
下し、物性のバランス上好ましくない樹脂が得られる。
また、特開平2−34611号等にはゴム状弾性体にス
チレン−ブタジエンブロックゴムとブタジエンゴムの混
合物を用いた耐衝撃性スチレン系樹脂が記載されている
が、これらも物性のバランス上充分なものではなかっ
た。
点、すなわち耐衝撃性と表面光沢性の物性バランスの欠
けている課題を解決する為に種々検討した結果、ゴム粒
子が特定の構造で分散してなる耐衝撃性スチレン系樹脂
を製造するのにあたり、高シスブタジエンゴム及びスチ
レン−ブタジエンブロックゴムを特定の割合でスチレン
系単量体に溶解して重合する際、特定のスチレン系単量
体重合率に達する迄の期間に有機過酸化物を添加して重
合することにより、高衝撃性でかつ表面光沢性が良好な
優れた耐衝撃性スチレン系樹脂の製造できる方法を完成
させたものである。
スブタジエンゴム(A) 及びスチレン−ブタジエンブロッ
クゴム(B) を重量比が(A)/(B)=10/90 〜70/30 の割合で
スチレン系単量体に溶解して重合する際に、スチレン系
単量体の重合率が25%に達する迄の期間に有機過酸化
物を添加して重合することを特徴とするゴム粒子がカプ
セル構造である耐衝撃性スチレン系樹脂の製造方法であ
る。
使用するゴム状弾性体は、高シスブタジエンゴム(A) 及
びスチレン−ブタジエンブロッムゴム(B) である。(以
下(A),(B) ゴムの混合物をゴム状弾性体と称する。)高
シスブタジエンゴム(A) は、1.3ブタジエンを有機ア
ルミニウム化合物とコバルトまたはニッケル化合物を含
む触媒等を用いて重合することにより製造され、通常
1,4シス結合が90モル%以上のミクロ構造を有する
ブタジエンゴムである。
(B) はスチレン含有量が25〜55重量%のスチレン−
ブタジエンブロック共重合体であり、この様なゴムは、
例えば、Bayer AG社製Buna BLとして入
手できる。
チレン−ブタジエンブロックゴム(B) を重量比(A)/(B)=
10/90 〜70/30 の割合でスチレン系単量体に溶解して使
用する。(A) の重量比が10より少ないと耐衝撃性の改
良効果が少なく、70を越えるとカプセル構造になりに
くく表面光沢性に劣る。
ブタジエンゴム(A) とスチレン−ブタジエンブロックゴ
ム(B) は、2〜30重量部をスチレン系単量体に溶解し
てその合計が100重量部となるように配分して重合原
料とする。更に好ましいゴム状弾性体は5〜20重量部
である。ゴム状弾性体が2重量部未満では実用的に満足
できる耐衝撃性は得られず、また30重量部を越えると
表面光沢性に劣る。
れるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−
ブチルスチレン等の単独または混合物が用いられる。ま
た、スチレン系単量体以外の共重合可能な不飽和化合
物、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸メチル等も
スチレン系単量体100重量部に対して5重量部以内な
ら含有させることもできる。
ベンゾイルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド等
を用いることができるが、開裂してt−ブトキシラジカ
ルを発生するものが好ましい。この様な有機過酸化物の
例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチル
ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ
−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等があげられる。
有機過酸化物の添加量は特に制限はないが、スチレン系
単量体100重量部に対して0.01〜0.5重量部添
加することが好ましい。
体の重合率が25%に達する迄の期間に有機過酸化物を
添加して重合することを特徴とする製造方法で、スチレ
ン系単量体重合率が25%に達する迄の期間ならいかな
る時期に添加しても差し支えないが、25%を過ぎた時
点で添加すると耐衝撃性及び表面光沢性ともに劣る等の
問題点が生じる。
法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法等の公知の重合方法
に適用することができる。重合温度は、60〜160℃
の範囲が好ましく、60℃未満では重合時間が長くなる
ため生産性が悪く、160℃を越えると反応速度が過大
となり円滑な重合制御が困難となる。またゴム粒子のカ
プセル構造を得るには重合時の攪拌数も調整する。
重合率が25%に達するまでの期間に有機過酸化物を添
加して重合するならば、その他の重合開始剤、連鎖移動
剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて、適
時使用することができる。
脂のゴム粒子は、カプセル構造(単一オクル−ジョン構
造あるいはコア/シェル構造とも呼ばれる。)であり、
ゴム平均粒子径としては0.1〜0.8μm の範囲が好
ましい。さらにカプセル構造以外のゴム粒子、例えばサ
ラミ構造のゴム粒子もカプセル構造のゴム粒子数の個数
の10%より少なければ含有することもできる。なおゴ
ム粒子の観察は、超薄切片法による透過型電子顕微鏡写
真等により行うことができる。
は必要に応じて、可塑剤、滑剤、離型剤、熱安定剤、酸
化防止剤、帯電防止剤、強度補強材等の公知の添加剤等
を加えることもできる。
が、本発明はこれらの例によって制限されるものではな
い。なお、実施例及び比較例における物性測定は、以下
の方法で行った。 (1) 光沢 :JIS Z−8741に基づいて測
定した。 (2) Izod衝撃強度:JIS K−7710(ノッチ付)
基づいて測定した。 (3) ゴム粒子径 :超薄切片法による透過型電子顕微鏡
写真により、写真中の1000個のゴム粒子径を測定
し、次式より算出した。 (ここでDiはゴム粒子径、niは粒子径Diのゴム粒
子数)
ム(商品名:宇部興産社製13HB、1,4シス結合が
96モル%)1.0kg及びスチレン−ブタジエンブロ
ックゴム(商品名:Bayer AG社製Buna B
L6533、スチレン含有量40%)4.0kgをスチ
レン35.0kg、ジ−t−ブチルパーオキサイド1
7.5g、t−ドデシルメルカプタン35.0gを加
え、250rpmで攪拌した。オートクレーブ内を窒素
ガスで置換してから密閉して昇温し、115℃で4時間
重合した後、冷却し、予備重合を終えた。このときのス
チレンの重合率は30%であった。
に、純水50kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.5g、第3リン酸カルシウム400gを加え、
110rpmで攪拌している中に、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート40gを加えた前記予備重合液を入れ、
125℃で5時間、140℃で2時間重合を行った。そ
の後、常法に従い、中和、脱水、乾燥した後、押出機に
より通常のペレット形状として耐衝撃性スチレン系樹脂
を得た。第1表に物性を示す。
ンゴムを2.1kg、スチレン−ブタジエンブロックゴ
ムを2.1kgとした以外は実施例1と同様に行った。
予備重合を終えたときのスチレンの重合率は30%であ
った。第1表に物性を示す。
キサイドのかわりにベンゾイルパーオキサイドを17.
5g仕込み、重合温度を90℃、重合時間を5時間とし
た以外は実施例1と同様に行った。予備重合を終えたと
きのスチレンの重合率は28%であった。第1表に物性
を示す。
ム(商品名:宇部興産社製13HB、1,4シス結合が
96モル%)1.0kg及びスチレン−ブタジエンブロ
ックゴム(商品名:Bayer AG社製Buna B
L6533、スチレン含有量40%)4.0kgをスチ
レン35.0kg、t−ドデシルメルカプタン35.0
gを加え、250rpmで攪拌した。オートクレーブ内
を窒素ガスで置換してから密閉して昇温し、115℃で
2時間重合した。このときのスチレンの重合率は13%
であった。ついでジ−t−ブチルパーオキサイド17.
5g添加し、115℃で2時間重合して予備重合を終了
した。このときのスチレンの重合率は29%であった。
この後は実施例1と同様に行った。第1表に物性を示
す。
を仕込まず、スチレン−ブタジエンブロックゴムを5.
8kg仕込んだ以外は実施例1と同様に行った。予備重
合を終えたときのスチレンの重合率は30%であった。
第2表に物性を示す。
のかわりに低シスブタジエンゴム(商品名:旭化成社製
ジエン35AS)を1.0kg仕込んだ以外は実施例1
と同様に行った。予備重合を終えたときのスチレンの重
合率は30%であった。第2表に物性を示す。
オキサイドを仕込まず、重合時間を115℃で5時間と
した以外は実施例1と同様に行った。予備重合を終えた
ときのスチレンの重合率は29%であった。第2表に物
性を示す。
撃性スチレン系樹脂は、従来の公知の方法によって得ら
れる耐衝撃性スチレン系樹脂に比較して、表面光沢性と
耐衝撃強度の物性バランスに優れており、弱電機器、事
務用機器、雑貨等の産業分野できわめて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】高シスブタジエンゴム(A) 及びスチレン−
ブタジエンブロックゴム(B) を重量比が(A)/(B)=10/90
〜70/30 の割合でスチレン系単量体に溶解して重合する
際に、スチレン系単量体の重合率が25%に達する迄の
期間に、有機過酸化物を添加して重合することを特徴と
するゴム粒子がカプセル構造である耐衝撃性スチレン系
樹脂の製造方法。 - 【請求項2】有機過酸化物がt−ブトキシラジカルを発
生するものであることを特徴とする請求項1記載の耐衝
撃性スチレン系樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04497493A JP3308627B2 (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | 耐衝撃性スチレン系樹脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06256435A JPH06256435A (ja) | 1994-09-13 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP (1) | JP3308627B2 (ja) |
-
1993
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