JP3307409B2 - 木工用接着剤 - Google Patents

木工用接着剤

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JP3307409B2
JP3307409B2 JP16260391A JP16260391A JP3307409B2 JP 3307409 B2 JP3307409 B2 JP 3307409B2 JP 16260391 A JP16260391 A JP 16260391A JP 16260391 A JP16260391 A JP 16260391A JP 3307409 B2 JP3307409 B2 JP 3307409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接着剤に関し、詳しくは
耐水性や耐熱性に優れ、しかも初期接着性の良好な木工
用接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリ酢酸ビニル系(共)重合体エマルジ
ョンに代表されるビニルエステル系(共)重合体エマル
ジョンは、木工用等の接着剤として用いられているが、
耐水性等が不良であり、この点の向上が当該業界では強
く要望されている。また、近年、より高いレベルの品質
が要求されるようになり、それに対応するためにエマル
ジョンに各種の変性や改質を加える工夫が行われてきて
いる。例えば、接着剤として、耐水性や耐熱性、さらに
は初期接着性の向上要求があるが、これを実現するため
に、種々の手段がとられてきた。その代表例を挙げる
と、酢酸ビニル樹脂エマルジョンにイソシアネートを配
合する方法が知られている。この方法では、イソシアネ
ートがポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する
ことがある)を架橋することによって、皮膜の耐水性と
耐熱性を改善しようとするものである。
【0003】しかしながら、PVAの水酸基は2級であ
り、1級水酸基や1級アミノ基および2級アミノ基に比
べ反応性が劣るため、多量のイソシアネートが必要とな
る。その結果、副反応により多量の副生物が生じ、本来
の目的である皮膜の耐水性と耐熱性の改善効果が乏しく
なる。また、アリルアルコール・ビニルアルコール共重
合体を分散剤としたポリ酢酸ビニル系エマルジョンに架
橋剤を添加してなるエマルジョン組成物(特開平2−2
2353号公報)やN−メチルアクリルアミド系重合体
とPVAとのブロック共重合体を分散剤としたポリ酢酸
ビニル系エマルジョンに多価イソシアネートなどを添加
してなる組成物(特開平1−242651号公報)が知
られている。しかし、これらにあっても、耐水性,耐熱
性、更には初期接着性の向上の程度が未だ十分ではな
く、一層の向上が期待されている。
【0004】ところで、従来のビニルエステル系(共)
重合体エマルジョンを用いた接着剤が、耐水性に劣る理
由の一つは、樹脂自体が親水性であるため、かなり架橋
密度を上げても水に浸せば吸水してしまい、接着剤の弾
性率が顕著に低下し、接着力低下に繋がることにあるも
のと考えられる。このような観点から、樹脂自体の耐水
性を向上すべく、疎水性単量体を共重合することも試み
られている。例えば、特公昭51−12653号公報に
は、炭素数5〜12の高級カルボン酸ビニルエステルを
特定量共重合することが提案されている。また特開昭5
2−47833号公報にも、同様の共重合の提案がなさ
れている。これらはいずれも感圧接着剤用としての提案
である。さらに、本発明者らの研究グループは、上記高
級カルボン酸ビニルエステル共重合体エマルジョンにイ
ソシアネート化合物等を配合し、コンタクト型接着剤と
して用いることを提案している(特公昭62−3175
5号公報,同63−18634号公報)。
【0005】一方、水性高分子,水性エマルジョンおよ
びイソシアネート系化合物を主成分とする接着剤が、高
い耐水性を発現することは知られている(特公昭51−
30576号公報,同57−22959号公報等)。ま
た、同様の接着剤として、アリルアルコール,2−ヒド
ロキシエチルアクリレート,N−メチロール化アクリル
アミド等の水酸基含有単量体と酢酸ビニルなどとの共重
合体エマルジョンおよび2価イソシアネート化合物より
なる水性接着剤についても知られており(特開昭49−
26346号公報)、木材用接着剤として賞用されてい
る。ところが、このような接着剤についても、各用途に
おいてより高いレベルの品質が要求されるようになって
来ている。このような観点から考えると、例えばPVA
を分散剤(保護コロイド)とした酢酸ビニル系樹脂の水
性エマルジョンを多用すると、初期接着性が向上するが
耐水性が十分でないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、PV
Aを分散剤とした酢酸ビニル系樹脂エマルジョンの本来
の特性である初期接着性等を維持しながら、主として耐
水性,耐熱性を確実に向上させた木工用接着剤を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の下に鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、級アミノ基および2級アミノ
基より選ばれた少なくとも1種の官能基を1〜30モル
%有する重合度200〜8000のポリビニルアルコー
ルを分散剤とし、酢酸ビニル単位5〜80重量%ならび
にアクリル酸エステル単位およびメタクリル酸エステル
単位より選ばれた少なくとも1種の単量体単位95〜2
0重量%からなる共重合体エマルジョンを主成分とする
主剤に架橋剤を配合してなる木工用接着剤を提供するも
のである。また、本発明は、1級水酸基、1級アミノ基
および2級アミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能
基ならびにポリビニルアルコールの水酸基と反応しうる
官能基を分子内に有する化合物とポリビニルアルコール
とを反応させて得られる、1級水酸基、1級アミノ基お
よび2級アミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基
を1〜30モル%有する重合度200〜8000のポリ
ビニルアルコールを分散剤とし、酢酸ビニル単位5〜8
0重量%ならびにアクリル酸エステル単位およびメタク
リル酸エステル単位より選ばれた少なくとも1種の単量
体単位95〜20重量%からなる共重合体エマルジョン
を主成分とする主剤に架橋剤を配合してなる木工用接着
剤を提供するものである。さらに、本発明は、メルカプ
ト基を有するポリビニルアルコールの存在下で1級水酸
基、1級アミノ基および2級アミノ基より選ばれた少な
くとも1種の官能基を有するオレフィン性不飽和単量体
を重合してなる、1級水酸基、1級アミノ基および2級
アミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基を1〜3
0モル%有する重合度200〜8000のポリビニルア
ルコールを分散剤とし、酢酸ビニル単位5〜80重量%
ならびにアクリル酸エステル単位およびメタクリル酸エ
ステル単位より選ばれた少なくとも1種の単量体単位9
5〜20重量%からなる共重合体エマルジョンを主成分
とする主剤に架橋剤を配合してなる木工用接着剤を提供
するものである。
【0008】本発明に係る接着剤において、分散剤(保
護コロイド)には、1級水酸基,1級アミノ基および2
級アミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
るPVAが用いられる。この官能基を有するPVAは、
様々な方法により得ることができるが、例えば級ア
ミノ基または2級アミノ基を有するオレフィン性不飽和
単量体、または加水分解等により級アミノ基または2
級アミノ基を生成しうる置換基を有するオレフィン性不
飽和単量体と、酢酸ビニルとを共重合させた後、けん化
する方法や、1級水酸基,1級アミノ基または2級ア
ミノ基とPVAの水酸基と反応しうる官能基を分子内に
有する化合物と、PVAを反応させる方法等によって得
られる。また、メルカプト基を有するPVAの存在下
で、1級水酸基,1級アミノ基または2級アミノ基を有
するオレフィン性不飽和単量体を重合する方法もあり、
この方法ではPVA系ブロックポリマーが得られる。
【0009】該PVA中の1級水酸基,1級アミノ基お
よび2級アミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基
の含有量は、該官能基を含有する単量体単位として1〜
30モル%である。該官能基が1モル%未満では、官能
基を導入したことによる効果が十分に発現しない場合が
あり、一方、30モル%を超えるとPVAとしての特性
が十分に発現しなくなるおそれがある。また、この官能
基を有するPVAの重合度は、200〜8000であ
る。また、このPVAのけん化度についても制限はない
が、50モル%以上が好ましく、特に80〜99モル%
がより好ましい。
【0010】本発明における共重合体エマルジョンは、
上述の官能基を有するPVAを分散剤とするとともに、
酢酸ビニル単位とアクリル酸エステル単位および/また
はメタクリル酸エステル単位からなる共重合体の分散質
から構成される。この共重合体における酢酸ビニル単位
の含量は、5〜80重量%、好ましくは10〜70重量
%である。また、アクリル酸エステル単位およびメタク
リル酸エステル単位の合計含量は、95〜20重量%、
好ましくは90〜30重量%である。酢酸ビニル単位の
含量が5重量%未満で、アクリル酸エステル単位および
メタクリル酸エステル単位の合計含量が95重量%を超
えると、上記PVA中での乳化安定性が低下し、また、
酢酸ビニル単位の含量が80重量%を超えて、アクリル
酸エステル単位およびメタクリル酸エステル単位の合計
含量が20重量%未満では、架橋剤を添加しても本発明
の目的である耐水性の向上が十分に達成できない。な
お、上記共重合体エマルジョンは、所期の性能を損なわ
ない範囲で酢酸ビニル単位,アクリル酸エステル単位,
メタクリル酸エステル単位以外のビニル単量体単位を1
種あるいは2種以上含有していてもよい。このようなビ
ニル単量体単位を与える単量体としては、各種オレフィ
ン,ハロゲン化オレフィン,ビニルエステル,(メタ)
アクリルアミド系単量体,スチレン系単量体,N−ビニ
ルピロリドン等が挙げられる。
【0011】本発明の共重合体エマルジョンにおいて、
酢酸ビニル単位とアクリル酸エステル単位および/また
はメタクリル酸エステル単位からなる共重合体の分散質
と、分散剤である1級水酸基,1級アミノ基および2級
アミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基を有する
PVAとの比率は、特に制限はないが、安定なエマルジ
ョンを得るという観点と、そのエマルジョンの1級水酸
基,1級アミノ基,2級アミノ基等の官能基を利用する
という観点から選定すべきである。まず、安定なエマル
ジョンを得るためには、該PVAの使用量は、上記共重
合体の分散質100重量部に対して0.5重量部以上、好
ましくは2重量部以上の範囲で選定すべきである。該P
VAの使用量が0.5重量部未満では、実用的な高固形分
濃度のエマルジョンを安定して得ることが難しい。他
方、エマルジョン中の1級水酸基,1級アミノ基あるい
は2級アミノ基を利用するという観点からは、該PVA
を多量に利用することが好ましいが、あまり多すぎる
と、たとえ該官能基と反応する架橋剤を後添加しても、
耐水性が低下するという問題を生じる。以上のことよ
り、1級水酸基,1級アミノ基および2級アミノ基から
選ばれた少なくとも1種以上の官能基を有するPVAの
使用量は、上記共重合体の分散質100重量部に対して
0.5〜300重量部、好ましくは2〜200重量部の範
囲である。
【0012】なお上記官能基を有するPVAの一部を、
上記官能基を有さないPVAで代替することも可能てあ
る。また、初期接着性、その他の性能を損なわない範囲
で従来公知のPVA以外の乳化安定剤を併用することも
できる。以上のようにして得られる共重合体エマルジョ
ンは、放置安定性が良好であり、機械的安定性にも優
れ、初期接着力が大きい等のPVA保護コロイドエマル
ジョンの特徴を有しており、かつ該エマルジョン中に
は、1級水酸基,1級アミノ基あるいは2級アミノ基が
保有されている。
【0013】この共重合体エマルジョンは、様々な手法
により製造することができるが、好ましくは前記官能基
を有するPVAの存在下、酢酸ビニルとアクリル酸エス
テルおよび/またはメタクリル酸エステルを主体とする
単量体を、乳化共重合して得られるものである。この乳
化共重合において用いる酢酸ビニル,アクリル酸エステ
ル,メタクリル酸エステルの各使用割合は、上記共重合
体エマルジョンの構成単位に対応するように選定すれば
よい。また、使用する単量体と前記官能基を有するPV
Aの割合についても、前述した共重合体の分散質と官能
基を有するPVAの比率に対応するように定めればよ
い。なお、上記乳化共重合にあたっては、上述したよう
な酢酸ビニル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エス
テル以外のビニル単量体を必要に応じて加えることもで
きる。
【0014】乳化共重合の反応は、通常は水系媒体中、
ラジカル重合開始剤の存在下で実施される。重合開始剤
として過酸化水素水,ベンゾイルパーオキシド,ジクミ
ルパーオキシド,キュメンハイドロパーオキシド,t−
ブチルハイドロパーオキシド,アゾビスイソブチロニト
リル,過硫酸塩(カリウム,ナトリウムあるいはアンモ
ニウム塩),過酢酸t−ブチル,過安息香酸t−ブチル
などを単独あるいは亜硫酸ナトリウム,トリエタノール
アミン,ロンガリット,L−アスコルビン酸,酒石酸な
どとのレドックス系を形成させて用いられる。
【0015】共重合の方法は、1級水酸基,1級アミ
ノ基および2級アミノ基から選ばれた少なくとも1種の
官能基を有するPVAならびに酢酸ビニル,アクリル酸
エステル,メタクリル酸エステルを主体とする単量体、
および水を一括して仕込み共重合する方法、該単量体
の一部を仕込んで共重合を開始し、次いで残りを重合系
に逐次添加する方法、水,該PVA,該単量体を予め
混合しておき、この一部を仕込んで共重合を開始し、残
りを重合系に逐次添加する方法や、2種以上の単量体
組成の異なる酢酸ビニル,アクリル酸エステル,メタク
リル酸エステルを主体とする単量体を2段階以上に分け
て重合系に逐次添加する多段階共重合法も可能である。
なお、この乳化共重合において、上記官能基を有するP
VAの使用量の一部を、上記官能基を有さないPVAで
代替することも可能てある。また、初期接着性、その他
の性能を損なわない範囲で従来公知のPVA以外の乳化
安定剤を併用することもできる。更に、製造した共重合
体エマルジョンに対し、上記官能基を有するPVAの水
溶液を追加添加することもできる。
【0016】本発明の接着剤は、上述の共重合体エマル
ジョンを主成分とする主剤に架橋剤を配合してなるもの
であるが、ここで架橋剤としては、多価イソシアネート
化合物,金属塩,多価アルデヒド,ポリアミドエピクロ
ルヒドリンなどが適当であり、これらは単独で使用する
ことは勿論、2種以上を併用することもできる。まず、
多価イソシアネート化合物としては、例えば、トリレン
ジイソシアネート(TDI);水素化TDI;トリメチ
ロールプロパン−TDIアダクト(例えばバイエル社
製,商品名:Desmodur L);トリフェニルメ
タントリイソシアネート;メチレンビスジフェニルイソ
シアネート(MDI);水素化MDI;重合MDI;ヘ
キサメチレンジイソシアネート;キシリレンジイソシア
ネート;4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート;イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート
又はそのブロック化物があげられる。その他、ポリオー
ルに過剰のポリイソシアネートで予めポリマー化した末
端基がイソシアネート基を持つプレポリマーを用いても
よい。また、フェノール,オキシム,エチレンイミン等
で遮蔽した所謂ブロックイソシアネートを使用すること
もできる。金属塩としては、原子量26以上の金属の
塩、例えばアルミニウム,クロム,鉄,ジルコニウム,
スズなどの塩化物や硝酸塩などが好ましい。次に、多価
アルデヒドとしては、グリオキザールやアジピンジアル
デヒド等に代表されるものが好ましい。ポリアミドエピ
クロルヒドリンとしては、アジピン酸とジエチレントリ
アミンとから合成したポリアミドを、エピクロルヒドリ
ンで第4級化した水溶性樹脂が好ましい。
【0017】本発明の接着剤における架橋剤の割合は、
特に制限はなく、各種の状況に応じて定めればよいが、
通常は上述した共重合体エマルジョンを主成分とする主
剤100重量部に対して、0.2〜150重合部、好まし
くは1〜100重量部の範囲で選定すべきである。本発
明の接着剤には、エマルジョンを製造する際に使用した
1級水酸基,1級アミノ基および2級アミノ基から選ば
れた少なくとも1種の官能基を有するPVA、あるいは
該官能基を有さないPVAが含まれるが、さらに適宜、
追加添加してもよい。さらに、本発明の接着剤には、ク
レー,カオリン,タルク,炭酸カルシウム,木粉等の充
填剤や小麦粉、澱粉類等の増量剤やホウ酸、硫酸アルミ
ニウム等の反応促進剤や酸化チタン等の顔料やその他、
防腐剤,防錆剤等の各種添加剤を必要に応じて添加する
ことができる。
【0018】本発明の接着剤は、上記官能基を有するP
VAを保護コロイドとして製造した酢酸ビニル−アクリ
ル酸エステル−メタクリル酸エステル系共重合体エマル
ジョンを主成分とする主剤に、前述した如き架橋剤を配
合してあるため、該接着剤から水が蒸発することによっ
て形成される接着剤皮膜は、耐水性,耐熱性に富み、1
級水酸基,1級アミノ基や2級アミノ基を含有しない従
来のPVAを保護コロイドに用いて製造したエマルジョ
ンを主成分とする主剤に架橋剤を添加して得られるもの
に比べて著しく優れたものである。
【0019】
【実施例】以下、実施例と比較例を挙げて本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定され
るものではない。なお、実施例中、部及び%はいずれも
重量基準を意味する。 製造例1 1級水酸基含有PVA(アリルアルコール変性,重合度
1050,けん化度88.2モル%,変性度5.1モル%)
5部に水90部を加え、95℃でPVAを加熱溶解し
た。該PVA水溶液に50部の酢酸ビニル,25部のア
クリル酸n−ブチルおよび25部のメタクリル酸メチル
を添加し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.5部を水
5部に溶解させた水溶液を添加し、70℃で共重合を開
始させた。2時間で共重合は完了し、固形分濃度51.5
%,粘度1150cpの安定な酢酸ビニル−アクリル酸
n−ブチル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョン
(エマルジョン(I))を得た。
【0020】製造例2 アミノ基含有PVA(アリルアミン変性,重合度99
0,けん化度88.0モル%,変性度4.9モル%)を用
い、製造例1と同様の方法により酢酸ビニル−アクリル
酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョン
(エマルジョン(II))を得た。該エマルジョンは、固
形分濃度50.8%,粘度1030cpの安定なものであ
った。
【0021】製造例3 ビニルアセトアミドと酢酸ビニルを共重合した後、けん
化することによって得られたアミノ基含有PVA(重合
度890,けん化度89.0%,変性度8.0モル%)を用
い、以下製造例1と同様の方法により酢酸ビニル−アク
リル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョ
ン(エマルジョン(III))を得た。該エマルジョンは、
固形分濃度51.2%,粘度900cpの安定なものであ
った。
【0022】製造例4 1級水酸基含有PVA(製造例1で用いたものと同じ)
2.5部とアミノ基含有PVA(製造例3で用いたものと
同じ)2.5部に水90部を加え、PVAを95℃で加熱
溶解した。得られたPVA水溶液に、40部の酢酸ビニ
ル,20部のアクリル酸2−エチルヘキシルおよび40
部のメタクリル酸メチルを混合したもの(混合モノマ
ー)のうち20%を添加し、窒素置換後、過硫酸アンモ
ニウム0.5部を水5部に溶解させた水溶液を添加し、7
0℃で共重合を開始した。その後、残りの混合モノマー
を2時間で均一に逐次添加した。共重合は3時間で完了
し、固形分濃度50.5%,粘度1100cpの安定な酢
酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル
酸メチル共重合体エマルジョン(エマルジョン(IV))
を得た。
【0023】製造例5 アミノ基含有PVA(製造例2で用いたものと同じ)3
部に水90部を加え、95℃で加熱溶解した。得られた
PVA水溶液を耐圧オートクレーブに仕込み、酢酸ビニ
ル60部,アクリル酸2−エチルヘキシル20部および
メタクリル酸メチル20部を添加して、窒素置換後、エ
チレンを40kg/cm2 まで圧入した。次いで、内温
を60℃に上げ、ロンガリット5%水溶液4部と1%過
酸化水素水3部を逐次添加して共重合を行った。共重合
は3時間で完了し、固形分濃度52.5%,粘度600c
pの安定な酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル
−メタクリル酸メチル−エチレン共重合体エマルジョン
(エマルジョン(V))を得た。
【0024】製造例6 末端にメルカプト基を有するPVA(重合度1010,
けん化度98.5モル%,メルカプト基含量1.46×10
-5当量/g)10部を水100部に添加し、95℃で加
熱溶解した。これに、0.5規定硫酸を加えてpH3に調
整した後、予め窒素置換したアクリル酸2−ヒドロキシ
エチル10部を加え60℃に昇温し、次いで、過硫酸カ
リウム0.05部を水5部に溶解した水溶液を全量添加し
て共重合を開始した。共重合は2時間で完了し、重合率
100%,固形分濃度16.0%のPVAとアクリル酸2
−ヒドロキシエチルのブロックポリマー水溶液を得た。
該ブロックポリマー水溶液31部に水64部を加え、5
0部の酢酸ビニル,25部のアクリル酸2−エチルヘキ
シルおよび25部のメタクリル酸メチルを添加し、窒素
置換後、過硫酸アンモニウム0.5部を水5部に溶解させ
た水溶液を添加し、70℃で共重合を開始させた。2時
間で共重合は完了し、固形分濃度50.0%,粘度130
0cpの安定な酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキ
シル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョン(エマ
ルジョン(VI))を得た。
【0025】参考例1〜4、実施例1〜 製造例1〜3で得られたエマルジョン(I)〜(III)の
固形分100部に対し、それぞれ架橋剤としてジフェニ
ルメタンジイソシアネート,塩化アルミニウム,グリオ
キザール,アジピン酸−ジエチレントリアミンエピクロ
ルヒドリン樹脂1部を混合して4種の試料を調製した。
これらの試料をそれぞれガラス板上に流し、50℃で乾
燥して厚さ約0.5mmの皮膜を形成した。そしてその皮
膜の耐水性,耐熱水性および耐熱性を下記の要領で測定
し、順に参考例1〜4および実施例1〜として第1表
に示した。
【0026】比較例1〜3 製造例1〜3で得られたエマルジョン(I)〜(III)を
架橋剤を添加することなく、そのままガラス板に流し、
50℃で乾燥して厚さ0.5mmの皮膜を形成した。そし
て、参考例1〜4および実施例1〜と同様にして皮膜
の耐水性,耐熱水性および耐熱性を測定し、順に比較例
1〜3とした。結果を第1表に示す。
【0027】比較例4〜7 1級水酸基,1級アミノ基および2級アミノ基を含有し
ない無変性のPVA(重合度1100,けん化度88.3
%)を用いて、製造例1と同様にして酢酸ビニル−アク
リル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル共重合体エマル
ジョン(エマルジョン(VII))を製造した。該エマルジ
ョンは固形分濃度50.5%,粘度1100cpの安定し
たものであった。該エマルジョンを用いて参考例1〜4
および実施例1〜と同様に各種架橋剤を添加して皮膜
を形成し、耐水性,耐熱水性および耐熱性を測定して、
順に比較例4〜7とした。結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】 *1 アリルアルコール由来 *2 アリルアミン由来 *3 ビニルアセトアミド由来のものでけん化によりア
ミノ化 *4 アジピン酸−ジエチレントリアミンエピクロルヒ
ドリン樹脂
【0030】
【表2】
【0031】なお、耐水性,耐熱水性および耐熱性の測
定法は、それぞれ次のとおりである。耐水性の測定法:
皮膜を30℃の水中に24時間浸漬し、それを引上げて
から表面の水を濾紙で拭い、重量変化を求めた。 (浸漬後の重量−初めの重量)/(初めの重量)を膨潤
度とした。 耐熱水性の測定法:皮膜を100℃の熱水中に1時間浸
漬し、変化を肉眼で調べた。 耐熱性の測定法:皮膜の先端に断面1mm2 あたり10
gのおもりをつけ、外気を1分間に5℃つづ昇温させ、
皮膜が軟化して、おもりが落下する温度を測定した。
【0032】参考例5、実施例9〜13 製造例1〜6で得られたエマルジョン(I)〜(VI)1
00部に対して、炭酸カルシウム(東洋ファインケミカ
ル製,商品名:P−30)50部を配合し、該配合物1
00部に対して10部のジフェニルメタンジイソシアネ
ートを架橋剤として添加して試料を調製し、下記の接着
試験を実施した。結果を第2表に示す。
【0033】接着試験 (接着条件) 被着材:カバ/カバ(マサ目)含水率8% 塗付量:250g/m2 (両面塗付) 堆積時間:1分 圧締条件:温度 20℃ 時間 20時間 圧力 8kg/cm2 養生時間:20℃,7日間
【0034】(試験条件) JIS K 6852による圧縮剪断接着強度を測定 常態:20℃で7日間養生後、そのままの状態で測定 煮沸繰り返し:20℃で7日間養生後、沸騰水中に4時
間浸漬した後、60℃±3℃の空気中で20時間乾燥
し、再び沸騰中に4時間浸漬後、室温の水中に冷めるま
で浸し、濡れたままの状態で測定
【0035】比較例8〜13 製造例1〜6で得られたエマルジョン(I)〜(VI)1
00部に対して、炭酸カルシウム(東洋ファインケミカ
ル製,商品名:P−30)50部を配合し、参考例5、
実施例9〜13と同様に接着試験を実施した。結果を第
2表に示す。
【0036】比較例14 比較例4〜7で製造したエマルジョン(VII)100部に
対して、炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル製,商
品名:P−30)50部を配合し、該配合物100部に
対して10部のジフェニルメタンジイソシアネートを架
橋剤として添加して試料を調製し、参考例5、実施例
〜13と同様に接着試験を実施した。結果を第2表に示
す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】以上の如く、本発明の接着剤は、耐水
性、耐熱水性、耐熱性が飛躍的に向上している。したが
って、本発明の接着剤は、木工用接着剤として好適に使
用できる。また、木材同士の接着の他、木材と紙,繊維
製品類,無機質板,フィルム等との接着にも使用可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 辰昭 東京都中央区日本橋3丁目8番2号 株 式会社クラレ内 (56)参考文献 特開 平2−22353(JP,A) 特開 平3−33178(JP,A) 特開 昭61−197649(JP,A) 特開 昭61−211368(JP,A) 長野浩一他著,「ポバール」改訂新 版,高分子刊行会,1981年 4月 1 日,第363−364頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 129/02 - 129/08 C09J 131/04 C09J 133/06 - 133/12 C09J 139/00 - 139/02 C09J 151/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 級アミノ基および2級アミノ基より選
    ばれた少なくとも1種の官能基を1〜30モル%有する
    重合度200〜8000のポリビニルアルコールを分散
    剤とし、酢酸ビニル単位5〜80重量%ならびにアクリ
    ル酸エステル単位およびメタクリル酸エステル単位より
    選ばれた少なくとも1種の単量体単位95〜20重量%
    からなる共重合体エマルジョンを主成分とする主剤に架
    橋剤を配合してなる木工用接着剤。
  2. 【請求項2】 1級水酸基、1級アミノ基および2級ア
    ミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基ならびにポ
    リビニルアルコールの水酸基と反応しうる官能基を分子
    内に有する化合物とポリビニルアルコールとを反応させ
    て得られる、1級水酸基、1級アミノ基および2級アミ
    ノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基を1〜30モ
    ル%有する重合度200〜8000のポリビニルアルコ
    ールを分散剤とし、酢酸ビニル単位5〜80重量%なら
    びにアクリル酸エステル単位およびメタクリル酸エステ
    ル単位より選ばれた少なくとも1種の単量体単位95〜
    20重量%からなる共重合体エマルジョンを主成分とす
    る主剤に架橋剤を配合してなる木工用接着剤。
  3. 【請求項3】 メルカプト基を有するポリビニルアルコ
    ールの存在下で1級水酸基、1級アミノ基および2級ア
    ミノ基より選ばれた少なくとも1種の官能基を有するオ
    レフィン性不飽和単量体を重合してなる、1級水酸基、
    1級アミノ基および2級アミノ基より選ばれた少なくと
    も1種の官能基を1〜30モル%有する重合度200〜
    8000のポリビニルアルコールを分散剤とし、酢酸ビ
    ニル単位5〜80重量%ならびにアクリル酸エステル単
    位およびメタクリル酸エステル単位より選ばれた少なく
    とも1種の単量体単位95〜20重量%からなる共重合
    体エマルジョンを主成分とする主剤に架橋剤を配合して
    なる木工用接着剤。
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