JP3303602B2 - クロロガリウムフタロシアニン結晶、その製造方法及びその結晶を用いる電子写真感光体 - Google Patents

クロロガリウムフタロシアニン結晶、その製造方法及びその結晶を用いる電子写真感光体

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JP3303602B2 JP12752195A JP12752195A JP3303602B2 JP 3303602 B2 JP3303602 B2 JP 3303602B2 JP 12752195 A JP12752195 A JP 12752195A JP 12752195 A JP12752195 A JP 12752195A JP 3303602 B2 JP3303602 B2 JP 3303602B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロロガリウムフタロ
シアニン結晶、その製造方法及びその結晶を感光層中に
含有する電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体における光導電物
質としては、種々の無機系および有機系の光導電物質が
知られている。有機系の光導電物質は、電子写真感光体
に使用した場合、膜の透明性、良好な成膜性及び可撓性
を有するとともに、低コストである等の利点を有してい
るために、従来から種々のものが提案されている。近
年、従来の有機光導電物質の感光波長領域を、近赤外線
の半導体レーザの波長にまで伸ばし、レーザプリンタ等
のデジタル記録用の感光体として使用する要求が高まっ
ており、特にフタロシアニン化合物については、その結
晶型と電子写真特性について、多くの報告がなされてい
る。一般に、フタロシアニン化合物は、その製造方法又
は処理方法の違いにより、幾つかの結晶型を示し、この
結晶型の違いは、フタロシアニン化合物の光電変換特性
に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシア
ニン化合物の結晶型については、例えば、銅フタロシア
ニンについてみると、安定型のβ型以外に、α、ε、
π、x、ρ、γ、δ等の結晶型のものが知られており、
これらの結晶型は、機械的歪力、硫酸処理、有機溶剤処
理及び熱処理等により、相互に転移できることも知られ
ている(例えば、米国特許第2,770,629号、同
第3.160,635号、同第3,708,292号、
同第3,357,989号明細書)。また、無金属フタ
ロシアニンは、α、β、γ、τ及びχ等の結晶型のもの
が知られている。さらに、特開平1−221459号公
報には、特定のブラッグ角度に回折ピークを有するクロ
ロガリウムフタロシアニン及びそれを用いる電子写真感
光体が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のフタロシアニン
化合物において、780nm以上の長波長領域に主感度
を有する特定のフタロシアニン化合物が見いだされてき
ているが、これらはいずれも特定の凝集構造もしくは特
定の結晶構造を形成させることによって、主吸収を長波
長化させ、同時にキャリア発生能を向上させるものであ
る。しかしながら、これらのフタロシアニン化合物を電
子写真感光体として利用する場合、フタロシアニン化合
物中に含まれる有機不純物が、電気特性、画像品質にど
のような影響を及ぼすかについては殆んど知られていな
い。したがって、フタロシアニン化合物が含有する有機
不純物の最適な種類及び量について解明されていないた
めに、フタロシアニン化合物には、未だ、光感度及び繰
り返し特性等を改良する余地が残されている。
【0004】本発明は、従来の技術における上述のよう
な問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発
明の目的は、特に光感度に優れ、繰り返し使用しても電
気特性が安定している優れたクロロガリウムフタロシア
ニン結晶及びその結晶を用いる電子写真感光体を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電荷発生
材料として優れた性能を有するクロロガリウムフタロシ
アニン結晶に関して鋭意研究を重ねた結果、特定の化学
構造を有するフタルイミド化合物をクロロガリウムフタ
ロシアニン結晶中に含有させることにより、光感度に優
れ、繰り返し使用においても電気特性が安定している優
れた電子写真感光体が得られることを見いだし、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明のクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶は、原料クロロガリウムフタロシ
アニンの重量に対して、下記一般式(I)で示されるフ
タルイミド化合物の少なくとも1種を10〜10000
ppm含有してなることを特徴とする。また、原料クロ
ロガリウムフタロシアニンの粉砕処理によるクロロガリ
ウムフタロシアニン結晶の製造方法において、下記一般
式(I)で示されるフタルイミド化合物を添加し、粉砕
処理することを特徴とする。さらに、本発明の電子写真
感光体は、導電性支持体上に上記クロロガリウムフタロ
シアニン結晶を含有する感光層を設けてなることを特徴
とする。
【化2】 (式中、X1 、X2 、X3 及びX4 は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、水酸基、置換もしくは無置換のアル
キル基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アリ
ル基、アリール基又はアリールオキシ基を表わす。)
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
クロロガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα特性X
線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の少なくと
も11.0°、13.5°、27.1°に強い回折ピー
クを有するか、少なくとも7.4°、16.6°、2
5.5°、28.3°に強い回折ピークを有するか、少
なくとも6.8°、17.3°、23.6°、26.9
°に強い回折ピークを有するか、又は少なくとも8.7
°〜9.2°、17.6°、27.4°、28.8°に
強い回折ピークを有する原料クロロガリウムフタロシア
ニンに、一般式(I)で示されるフタルイミド化合物を
添加することによって得ることができる。
【0007】本発明において使用するフタルイミド化合
物の具体例としては、以下に(F−1)ないし(F−1
1)として示すものを挙げることができる。
【化3】
【0008】上記のフタルイミド化合物は、例えば、以
下のようにして合成することができる。
【化4】 (式中、Xは一般式(I)におけるX1 の定義と同じ意
味である。)
【0009】本発明において、原料クロロガリウムフタ
ロシアニンにフタルイミド化合物を添加する方法として
は、有機溶剤にフタルイミド化合物を溶解させた溶液中
に、原料クロロガリウムフタロシアニンを分散させた
後、溶剤を除去することにより、フタルイミド化合物を
クロロガリウムフタロシアニンの表面に吸着させる方法
及び原料クロロガリウムフタロシアニンにフタルイミド
化合物を添加し、粉砕する方法等が挙げられる。これら
の方法を用いて添加されるフタルイミド化合物は、クロ
ロガリウムフタロシアニン結晶中の含有量が10〜10
000ppmの範囲にあることが必要であり、好ましく
は100〜5000ppmの範囲となるように適宜調整
することが好ましい。その含有量が、10ppmよりも
少ないと光感度の向上が見られないし、また、1000
0ppmよりも多いと帯電性の低下や、塗膜を形成する
ときの成膜性が悪化し、画像品質が低下する。クロロガ
リウムフタロシアニン結晶中のフタルイミド化合物は、
液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等を
用いて、簡単に検出及び定量を行うことができる。
【0010】本発明において使用するCuKα特性X線
に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の少なくとも
11.0°、13.5°、27.1°に強い回折ピーク
を有する原料クロロガリウムフタロシアニンは、従来公
知の方法で製造することができる。例えば、フタロニト
リルまたはジイミノイソインドリンと金属塩化物とを加
熱溶解させるかまたは有機溶剤の存在下で加熱するフタ
ロニトリル法、無水フタル酸を尿素及び金属塩化物と加
熱融解または有機溶媒の存在下で加熱するワイラー法、
シアノベンズアミドと金属塩とを高温で反応させる方
法、ジリチウムフタロシアニンと金属塩とを反応させる
方法等、公知のフタロシアニンの合成方法によって製造
することができる。これらの合成に使用する有機溶剤と
しては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレ
ン、メトキシナフタレン、ジフェニルエタン、エチレン
グリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラ
ン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、ジクロ
ロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶剤が望ましい。
【0011】本発明のクロロガリウムフタロシアニン結
晶は、その表面にフタルイミド化合物を吸着させる吸着
処理によって得る場合には、フタルイミド化合物の溶剤
溶液を作製し、この溶液に原料クロロガリウムフタロシ
アニンを混合、撹拌した後、溶剤を除去することによっ
て得ることができる。フタルイミド化合物の溶解に用い
る溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族
系溶剤、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン
等のアミド系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタ
ノール等の脂肪族アルコール系溶剤、グリセリン、ポリ
エチレングリコール等の脂肪族多価アルコール系溶剤、
シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶
剤、塩化メチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶
剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤及び水等が
挙げられる。この溶剤溶液中のフタルイミド化合物の溶
液濃度は、0.001〜10重量%の範囲にあることが
好ましい。また、その撹拌装置としては、メカニカルス
ターラー、ホモミキサー又はホモジナイザー等のほか、
超音波を印加する等の公知の方法を用いることができ
る。吸着処理は、上記乾式粉砕前、湿式粉砕前又は湿式
粉砕後のいずれの段階で行ってもよい。
【0012】また、本発明のクロロガリウムフタロシア
ニン結晶を粉砕処理することによって得る場合には、原
料クロロガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特
性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の少な
くとも11.0°、13.5°、27.1°に強い回折
ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンを使用
し、これにフタルイミド化合物を添加する。次に、自動
乳鉢、遊星ミル、振動ボールミル、CFミル、ローラー
ミル、サンドミル又はニーダー等の粉砕装置を用いて乾
式粉砕した後、溶剤中でこれらの粉砕装置を用いて湿式
粉砕することにより、CuKα特性X線に対するブラッ
グ角度(2θ±0.2°)の少なくとも7.4°、1
6.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを
有するクロロガリウムフタロシアニン結晶を得ることが
できる。上記の溶剤としては、トルエン、クロロベンゼ
ン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、N−メチ
ルピロリドン等のアミド系溶剤、メタノール、エタノー
ル、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、グリ
セリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコ
ール系溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等
のケトン系溶剤、塩化メチレン等の脂肪族ハロゲン化炭
化水素系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤
又は水等が使用される。また、この溶剤の使用量は、ク
ロロガリウムフタロシアニン結晶1部に対して1〜20
0部の範囲であり、好ましくは10〜100部である。
また、湿式粉砕の処理時間は4時間以上が好ましく、処
理温度は0℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは10〜60
℃の範囲である。この溶剤処理は、必要に応じてガラス
ビーズ、スチールビーズ、アルミナビーズ等のメディア
を用いて粉砕しながら行ってもよい。本発明において、
フタルイミド化合物の添加は乾式粉砕した後、すなわち
湿式粉砕する前に行ってもよい。また、乾式粉砕後の湿
式粉砕は適宜省略することができる。
【0013】次に、本発明の電子写真感光体について説
明する。本発明の電子写真感光体は、単層型の感光層を
有する電子写真感光体(以下、「単層型感光体」とい
う)及び電荷発生層と電荷輸送層との二種の層に機能分
離させた積層構造の感光層を有する電子写真感光体(以
下、「積層型感光体」という)を包含する。また、積層
型感光体の場合には、電荷発生層と電荷輸送層との積層
順序は、いずれが上層であってもよい。図1は、本発明
の積層型の電子写真感光体の模式的断面図である。本発
明の電子写真感光体は、積層型感光体の場合、図1に示
すような層構成とすることができる。図1において、1
は導電性基体、2は下引き層、3は電荷発生層、4は電
荷輸送層である。また、図2は、本発明の単層型の電子
写真感光体の他の模式的断面図である。単層型感光体の
場合、図2に示すような層構成とすることができる。図
2において、1は導電性基体、2は下引き層、5は光導
電層である。本発明の導電性基体には、電子写真感光体
として用いられる如何なる材料も使用することができ
る。具体的には、アルミニウム、ニッケル、クロム、ス
テンレス鋼、金、バナジウム、酸化スズ、酸化インジウ
ム、ITO等の薄膜を被覆したプラスチックフィルム
等、あるいは導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、プ
ラスチックフィルム等があげられる。これらの導電性基
体は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状
のものとして使用されるが、これらに限定されるもので
はない。さらにまた、導電性基体の表面は、画質に影響
のない範囲で必要に応じて、各種の処理を行ってもよ
く、例えば、表面の酸化処理や薬品処理及び着色処理等
又はサンドブラスト等の乱反射処理等を行うことができ
る。
【0014】本発明においては、単層型感光体の導電性
基体と光導電層との間及び積層型感光体の導電性基体と
電荷発生層との間に、必要に応じて下引き層を設けても
よい。下引き層は、帯電時において、一体的に接着保持
させる接着層としての作用及び場合によっては導電性基
体からの光の反射を防止する作用等を有するものであ
る。下引き層に用いる樹脂としては、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレ
タン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ
ビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹
脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグル
タミン酸樹脂、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱
粉、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等の
結着樹脂の他に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコ
ニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合
物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化
合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等
の公知の材料が挙げられる。下引き層を設けるための塗
布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバ
ーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コー
ティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコー
ティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が
用いられる。下引き層の膜厚は、0.01〜10μmの
範囲であり、好ましくは0.05〜2μmに設定され
る。
【0015】本発明の電子写真用感光体は、電荷発生材
料として、前記のように原料クロロガリウムフタロシア
ニンの重量に対して、一般式(I)で示されるフタルイ
ミド化合物の少なくとも一種を10〜10000ppm
含有するクロロガリウムフタロシアニン結晶を使用す
る。また、電荷発生材料としては、本発明のクロロガリ
ウムフタロシアニン結晶とその他の電荷発生材料を併用
してもよい。その併用できる電荷発生材料の具体例とし
ては、無金属フタロシアニン及び銅、チタン、インジウ
ム、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、スズ、ケ
イ素等を中心金属として有するフタロシアニン系化合物
等を挙げることができる。電荷発生層に用いる樹脂とし
ては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、メタクリル
酸エステル共重合体、酢酸ビニル重合体又はその共重合
体、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹
脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキ
シ樹脂等が挙げられる。また、電荷発生層を形成する際
の溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等の通常の有機溶剤又はこれ
らの混合溶剤が挙げられる。
【0016】本発明において、電荷発生材料と結着樹脂
の配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好
ましい。また、上記成分を分散させる装置としては、ボ
ールミル、アトライター、サンドミル、ダイノーミル、
ボールミル等を採用することができる。電荷発生層を形
成するための塗布方法としては、ブレードコーティング
法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティン
グ法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エ
アーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等
の通常の方法で行うことができる。電荷発生層の膜厚
は、0.1〜5μmの範囲であり、好ましくは0.2〜
2μmが適当である。電荷輸送層は、電荷輸送材料を適
当な結着樹脂中に含有させて形成する。電荷輸送材料と
しては、アミノ系化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリ
ン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアオール化合
物、スチルベン化合物、カルバゾール化合物、ベンジジ
ン化合物等の公知の材料を用いることができる。また、
これら電荷輸送材料は、単独又は2種以上を混合して用
いることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、合成例及び実施例における「部」は、「重量部」を
意味する。 合成例 1,3−ジイミノイソインドリン30部及び三塩化ガリ
ウム9.1部をキノリン230部中に入れ、窒素気流下
200℃において3時間反応させた後、生成物を濾過
し、N,N−ジメチルホルムアミドおよびメタノールで
洗浄し、次いで湿ケーキを乾燥して、原料クロロガリウ
ムフタロシアニン28部を得た。得られた原料クロロガ
リウムフタロシアニンの粉末X線回折図を図3に示す。
【0018】実施例1 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン4部と前記フタルイミド化合物(F−1)0.01部
を、エタノール100部中でメカニカルスターラーを用
いて2時間混合し、撹拌した後、乾燥させることによ
り、クロロガリウムフタロシアニン結晶3.8部を得
た。得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末
X線回折図は、図3と同様なブラッグ角度に強い回折ピ
ークを示した。 一方、40mmφ×319mmのアル
ミパイプに、8−ナイロン樹脂(商品名:ラッカマイド
5003、大日本インキ化学工業社製)のメタノール/
n−ブタノール混合溶液を用いて浸漬塗布法により塗布
し、135℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.5
μmの下引き層を形成させた。形成された下引き層の上
に、上記方法で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶
3部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック
BM−1、積水化学工業社製)3部を、予めn−ブタノ
ール100部に溶解させた溶液と混合し、20時間サン
ドミルで分散させた後、n−ブタノールで希釈して得た
固形分濃度3.5重量%の塗布液をリング塗布機により
塗布し、100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.2μ
mの電荷発生層を形成させた。さらに、N,N′−ジフ
ェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)[1,
1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン4部をポリカー
ボネートZ樹脂6部と共に、モノクロロベンゼン40部
に溶解させ、得られた溶液を浸漬塗布法により、上記電
荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、115℃に
おいて60分間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層
を形成させることにより、電子写真感光体を作製した。
【0019】実施例2 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン4部と前記フタルイミド化合物(F−1)0.000
2部を、エタノール100部中でメカニカルスターラー
を用いて2時間混合し、撹拌した後、乾燥させることに
より、クロロガリウムフタロシアニン結晶3.8部を得
た。得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末
X線回折図は、図3と同様なブラッグ角度に強い回折ピ
ークを示した。ここで得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶を実施例1のクロロガリウムフタロシアニン
結晶に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして電
子写真感光体を作製した。
【0020】実施例3 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン4部と前記フタルイミド化合物(F−1)0.04部
を、エタノール100部中でメカニカルスターラーを用
いて2時間混合し、撹拌した後、乾燥させることによ
り、クロロガリウムフタロシアニン結晶3.8部を得
た。得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末
X線回折図は、図3と同様なブラッグ角度に強い回折ピ
ークを示した。ここで得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶を実施例1のクロロガリウムフタロシアニン
結晶に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして電
子写真感光体を作製した。
【0021】比較例1 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ンを実施例1のクロロガリウムフタロシアニン結晶に代
えて使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感
光体を作製した。 比較例2 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン4部と前記フタルイミド化合物(F−1)0.07部
を、エタノール100部中でメカニカルスターラーを用
いて2時間混合し、撹拌した後、乾燥させることによ
り、クロロガリウムフタロシアニン結晶3.8部を得
た。得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末
X線回折図は、図3と同様なブラッグ角度に強い回折ピ
ークを示した。ここで得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶を実施例1のクロロガリウムフタロシアニン
結晶に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして電
子写真感光体を作製した。
【0022】実施例4 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン10部と前記フタルイミド化合物(F−2)0.05
部を振動ミルで150時間乾式粉砕し、クロロガリウム
フタロシアニン結晶9.5部を得た。得られたクロロガ
リウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図4に示
す。ここで得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶
を実施例1のクロロガリウムフタロシアニン結晶に代え
て使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光
体を作製した。
【0023】実施例5 実施例4で得られた原料クロロガリウムフタロシアニン
4部を、5mmΦガラスビーズ60部と共にベンジルア
ルコール100部中で室温において24時間ボールミリ
ングした後、濾別し、これをイオン交換水1000部で
洗浄することにより、クロロガリウムフタロシアニン結
晶3.7部を得た。得られたクロロガリウムフタロシア
ニン結晶の粉末X線回折図を図5に示す。ここで得られ
たクロロガリウムフタロシアニン結晶を実施例1のクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶に代えて使用した以外
は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0024】比較例3 上記合成例で得られた原料クロロガリウムフタロシアニ
ン10部と前記フタルイミド化合物(F−2)0.2部
を振動ミルで150時間乾式粉砕し、クロロガリウムフ
タロシアニン結晶9.5部を得た。得られたクロロガリ
ウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図は、図4と同
様な回折スペクトルを示した。ここで得られたクロロガ
リウムフタロシアニン結晶を実施例1のクロロガリウム
フタロシアニン結晶に代えて使用した以外は、実施例1
と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0025】上記実施例1〜5及び比較例1〜3におい
て、それぞれ作製された電子写真感光体の性能を評価す
るために、電子写真感光体をレーザープリンター改造ス
キャナー(XP−15改造機:富士ゼロックス社製)に
使用し、20℃、50%RHの環境下において、グリッ
ド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で帯電させ
た(A)。次に、780nmの半導体レーザーを用い
て、1秒後に7.0erg/cm2 の光を照射して放電
を行い(B)、さらに、3秒後に50erg/cm2
赤色LED光を照射して除電を行う(C)というプロセ
スによって、各部の電位を測定した。(A)の電位VH
は高い程、感光体の受容電位が高いことから、コントラ
ストを高くすることができ、(B)の電位VL は低い
程、高感度であり、また、(C)の電位VRPは低い程、
残留電位が少なく、画像メモリーやカブリが少ない感光
体であると評価することができる。また、5000回の
繰り返し帯電・露光後の各部の電位の測定も行った。さ
らに、これらの電子写真感光体をレーザープリンタ(商
品名:4108、富士ゼロックス社製)に装着し、各種
プリント画像について評価した。また、作製したクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶が含有するフタルイミド化
合物量(ppm)についても測定した。以上の結果を表
1に示す。なお、クロロガリウムフタロシアニン結晶中
に含まれるフタルイミド化合物量(ppm)は、クロロ
ガリウムフタロシアニン結晶中の不純物をメタノールで
抽出した試料を、高速液体クロマトグラフィー(HP1
050、HEWLETTPACKARD社製、カラムは
Excelpak SIL−C18/5Bを使用)を用
いて測定した。
【0026】
【表1】
【0027】(評価結果)表1から明らかなように、実
施例1〜5において作製された電子写真感光体は、原料
クロロガリウムフタロシアニンの重量に対して、フタル
イミド化合物を10〜10000ppmの範囲で含有し
ているクロロガリウムフタロシアニン結晶を電荷発生層
に使用するものであり、電気特性、画像品質とも良好で
ある。また、これらは5000回の繰り返し複写後の電
気特性も安定している。一方、比較例1は、フタルイミ
ド化合物の含有量が10ppm以下であって、実施例1
〜3に比べて低感度であることを示している。また、比
較例2及び3は、フタルイミド化合物の含有量が100
00ppm以上であって、画像品質が不良であり、繰り
返し複写後の電気特性も不安定であることを示してい
る。
【0028】
【発明の効果】本発明は、上記したとおり、原料クロロ
ガリウムフタロシアニンの重量に対して、フタルイミド
化合物を10〜10000ppm含有させることによ
り、光感度が高く、しかも耐久性に優れていることか
ら、半導体レーザーを利用するプリンター等の電子写真
感光体用電荷発生材料として極めて有用なクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶を供給することができる。また、
本発明のクロロガリウムフタロシアニン結晶を用いて作
製される電子写真感光体は、高感度で残留電位が低く耐
久性に優れたものであり、高画質の画像を有するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の層構成を示す模式
的断面図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の他の層構成を示す
模式的断面図である。
【図3】 合成例で得られた原料クロロガリウムフタロ
シアニンの粉末X線回折図である。
【図4】 実施例4で得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶の粉末X線回折図である。
【図5】 実施例5で得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶の粉末X線回折図である。
【符号の説明】
1…導電性基体、2…下引き層、3…電荷発生層、4…
電荷輸送層、5…光導電層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−73303(JP,A) 特開 平5−194523(JP,A) 特開 平3−35247(JP,A) 特開 平7−271067(JP,A) 特開 平6−324502(JP,A) 特開 平7−175231(JP,A) 特開 平8−202055(JP,A) 特開 平7−179423(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 67/50 C07D 487/22 C09B 67/20 G03G 5/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料クロロガリウムフタロシアニンの重
    量に対して、下記一般式(I)で示されるフタルイミド
    化合物の少なくとも1種を10〜10000ppm含有
    してなることを特徴とするクロロガリウムフタロシアニ
    ン結晶。 【化1】 (式中、X1 、X2 、X3 及びX4 は、それぞれ水素原
    子、ハロゲン原子、水酸基、置換もしくは無置換のアル
    キル基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アリ
    ル基、アリール基又はアリールオキシ基を表わす。)
  2. 【請求項2】 クロロガリウムフタロシアニン結晶が、
    CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2
    °)の少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、
    28.3°に強い回折ピークを有する請求項1記載のク
    ロロガリウムフタロシアニン結晶。
  3. 【請求項3】 原料クロロガリウムフタロシアニンの粉
    砕処理によるクロロガリウムフタロシアニン結晶の製造
    方法において、上記一般式(I)で示されるフタルイミ
    ド化合物を添加し、粉砕処理することを特徴とする請求
    項1記載のクロロガリウムフタロシアニン結晶の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 基体上に感光層を形成してなる電子写真
    感光体において、感光層が電荷発生材料として請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のクロロガリウムフタロシア
    ニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体。
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