JP3302803B2 - ゴンドラ装置用ケージ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物の上部に設けら
れた吊り下げ装置から、ロープ部材を介して建築物の外
壁面に近接して吊り下げられ、ロープ部材を巻取又は巻
戻しする昇降装置によって建築物の外壁面に沿って昇降
駆動されるゴンドラ装置用ケージの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物における外壁面の清掃等の作業に
は、建築物の上部に設けられた吊り下げ装置からワイヤ
ーロープを介してケージを吊したゴンドラ装置を用い
る。

【０００３】このようなゴンドラ装置として、所謂本設
ゴンドラと呼ばれる常設のものが知られている。これ
は、屋上周辺に建築物の外壁周面に沿ってレールを敷設
し、そのレール上を走行する台車に建築物の外壁周面よ
り外側に突出するアームを備える吊り下げ装置を設ける
と共に、このアームを介してワイヤーロープでケージを
吊り下げて構成される。吊り下げ装置内にはワイヤーロ
ープを巻取・巻戻し可能な昇降装置が設けられており、
この昇降装置によるワイヤーロープの巻取又は巻戻しに
よってケージが昇降駆動されるようになっている。

【０００４】ところで、建築物の外壁面に対する作業
は、その内容によってケージ内に乗り込んだ作業者が手
作業で行わなければならない場合と、ケージに設けられ
た作業用ロボットによって自動的に行うことができる場
合とがあるが、上記従来の本設ゴンドラ装置では、建築
物の外壁面に対して異なる作業が必要な場合にはケージ
部分を交換することで対応している。例えば、作業者が
手作業で作業した後に自動清掃ユニット等の自動機械に
よる清掃に作業を切り換える場合では、ケージを作業用
ゴンドラから自動清掃ユニットに交換して作業を行うも
のである。ケージの交換は、ケージを昇降装置によって
屋上まで吊り上げ、台車をケージ保管場所まで移動させ
てケージを所定位置に降ろし、ワイヤーロープを外した
後ケージ保管場所に保管されている新たに使用する別の
ケージに結合し、このゲージを吊り上げて台車を作業位
置に戻すようにして行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ごときケージの交換は、台車を通常作業位置と異なるケ
ージ保管場所まで移動した後交換作業を行なうものであ
る為、時間を要し面倒であると共に、交換作業にミスが
発生する可能性があり、安全性にも問題を有するもので
あった。

【０００６】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであって、異なる壁面作業を行う際に、短時間
で簡単且つ安全に機能を変換することのできるゴンドラ
装置用ケージを提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決する為の手段】上記目的を達成する本発明
のゴンドラ装置用ケージは、建築物の上部に設けられた
吊り下げ装置から、ロープ部材を介して建築物の外壁面
に近接して吊り下げられ、ロープ部材を巻取または巻戻
しする昇降装置によって建築物の外壁面に沿って昇降駆
動されるゴンドラ用ケージであって、ロープ部材が結合
されるケージ基部に、機能の異なる複数の機能部を備え
た回転部が回転機構を介して回転可能に支持され、回転
部の回転によって複数の機能部の何れかが択一的に建築
物の外壁面と対向するように構成されている。

【０００８】

【作用】異なる作業に切り換える際には、回転機構によ
って回転部をケージ基部に対して回転させて、回転部に
設けられた複数の機能部の内の所望の機能部を建築物の
外壁面と対向する位置とする。これにより当該機能部に
よって壁面作業を行うことが可能となる。

【０００９】

【発明の実施例】以下添付図面を参照して本発明の一実
施例について説明する。図１は、本発明に係るゴンドラ
装置用ケージの一実施例を適用したゴンドラ装置全体を
模式的に示す側面図、図２はケージの斜視図、図３は図
２のＡ−Ａ断面図に相当する縦断面図、図４は機能変換
途中のケージの平面図である。

【００１０】図１に示すゴンドラ装置１は、建築物であ
る建物５０の屋上にその外壁面５１に沿って（図１中紙
面と直交する方向に）敷設されたレール５２の上に、台
車１０がレール５２に沿って走行可能に配設され、この
台車１０に先端が外壁面５１より外側に突出するように
設けられたアーム１１を介したロープ部材としてのワイ
ヤーロープ１２によってケージ２０が吊り下げられて構
成されている。アーム１１は図１には表れないが紙面と
直交する方向に平行に二本設けられており、夫々のアー
ム１１を介した二本のワイヤーロープ１２によってケー
ジ２０は水平かつ建物５０の外壁面５１と平行に安定的
に支持されているものである。ワイヤーロープ１２は台
車１０内に設けられた図示しない昇降装置に巻き取られ
るようになっており、この昇降装置によるワイヤーロー
プ１２の巻取又は巻戻しによってゲージ２０が昇降駆動
されるようになっている。そして、レール５２に沿った
台車１０の移動と昇降装置によるケージ２０の昇降によ
って、建物５０の外壁面５１の任意の場所にケージ２０
を位置させることができるようになっている。又、本実
施例における台車１０のアーム１１はその仰角が調整
（俯仰）可能であると共に伸縮可能に構成されており、
これによってケージ２０の外壁面５１からの距離（間
隔）を調節することができるようになっている。

【００１１】ケージ２０は、図２及び図３に示す如く、
ケージ基部としての支持枠２１の内側に、回転部として
のケージ本体２２が回転機構３０（図２には示さず）を
介して水平方向に回転可能に設けられて構成されてい
る。

【００１２】支持枠２１は、平面形状が長方形の基板２
１ａの長手方向端部に夫々所定高さの支持側板２１ｂが
立設された正面形状略Ｕ字状を呈し、両支持側板２１ｂ
の上面部に夫々台車１０から吊り下げられたワイヤーロ
ープ１２が結合されている。二本のワイヤーロープ１２
は建物５０の外壁面５１から等しい距離にあり、支持枠
２１はこのワイヤーロープ１２によってその基板２１ａ
の長手方向が建物５０の外壁面５１と平行かつ水平に支
持されている。両支持側板２１ｂの対向する内面は、後
述するケージ本体２２の長手方向両端の円弧状側面外面
と所定の間隔を有する円弧状となっている。

【００１３】ケージ本体２２は、支持枠２１の左右の側
板２１ｂの間に収まる略直方体状であって、長手方向両
端の側面は後述する回転軸Ｖを中心とする円弧状に形成
されている。その内部は、前後（短辺方向）に二分割さ
れており、この分割された夫々の領域に異なる機能のケ
ージが構成されている。本実施例では、図２中手前側に
示す一方の領域は作業者が乗り込むことのできる有人用
ケージ２２ａとされ、他方の領域には窓清掃用ロボット
２２ｂが設けられている。

【００１４】回転機構３０は、支持枠２１の基板２１ａ
とケージ本体２２の間に介設されたベアリング３１と、
駆動モータ３２及び該駆動モータ３２の出力軸に固定さ
れたピニオンギア３３とにより構成されている。

【００１５】ベアリング３１は、ケージ本体２２の重量
を回転自在に支持し得る耐荷重の軸受けであって、その
外輪３１ａがケージ本体２２の下面に固定されると共
に、内輪３１ｂが支持枠２１の基板２１ａの上面に固定
されている。その回転中心軸ｖは、支持枠２１及びケー
ジ本体２２の中央を鉛直に貫くように設定されている。
これにより、ケージ本体２２は外枠２２に鉛直軸回りに
回転可能として支持されているものである。又、外輪３
１ａの外周にはギア３１ｃが形成されている。

【００１６】駆動モータ３２は、モータの出力軸に減速
機が直結された所謂ギアモータであって、支持枠２１の
基板２１ａ上の一方の側板２１ｂ寄りの所定位置に、回
転軸を鉛直とすると共に出力軸を上側に向けて設けられ
ている。その出力軸には、ピニオンギア３３が水平に固
定されている。

【００１７】ピニオンギア３３は、ケージ本体２２に固
定されたベアリング３１の外輪３１ａの外周のギア３１
ｃと噛合しており、これにより、駆動モータ３２の回転
によってピニオンギア３３を介してベアリング３１の外
輪３１ａが回転駆動され、その結果、ケージ本体２２が
支持枠２１に対して回転するようになっている。

【００１８】上記回転機構３０を介して支持枠２１に支
持されたケージ本体２２は、台車１０からワイヤーロー
プ１２で水平に吊り下げられる支持枠２１に対して鉛直
の回転軸ｖを中心として水平平面内で回転し、外枠２１
とその長手方向が一致した状態で夫々の機能部（有人用
ケージ２２ａ又は窓清掃用ロボット２２ｂ）が支持枠２
１の側板２１ｂの間の開放部と対応する。この時、ケー
ジ本体２２の一方の機能部が建物５０の外壁面５１と対
向し、他方の機能部は外側に向いて位置することとな
る。そして、この状態から図４の回転途中の平面図に示
すように駆動モータ３２によってケージ本体２２を半回
転（１８０°）回転駆動することにより、機能部の位置
が入れ替わり、外側に位置していた機能部が建物５０の
外壁面５１と対向するようになる。尚、ケージ本体２２
は支持枠２１に対して平行な状態で図示しないロック機
構によって固定可能となっており、このロック機構の操
作及び駆動モータ３２の駆動制御（即ちケージ本体２２
の回転制御）は、ケージ２０又は台車１０側に設けられ
たコントロールパネルを介して行うようになっている。

【００１９】次に、上記のごとく構成されたケージ２０
の作用を説明する。ケージ２０は、機能の異なる二つの
機能部（有人用ケージ２２ａ及び窓清掃用ロボット２２
ｂ）を有しており、機能部を変換する（機能部の位置を
入れ替える）ことで、夫々の機能部で異なる作業を行う
ことができる。例えば、作業者が手作業で作業を行いた
い場合には、ケージ本体２２の回転位置を有人用ケージ
２２ａが建物５０の外壁面５１と対向するようにし、そ
の有人用ケージ２２ａに作業者が乗り込んで作業を行
う。当該作業が終了し、次いで窓清掃ロボット２２ｂに
よる窓清掃を行う場合には、駆動モータ３２によってケ
ージ本体２２を１８０°回転駆動する。これにより、窓
清掃ロボット２２ｂが建物５０の外壁面５１と対向し、
当該窓清掃ロボット２２ｂによって窓清掃を行うことが
可能となる。尚、ケージ本体２２を回転させる際にケー
ジ本体２２が建物５０の外壁面５１と干渉するような場
合には、アーム１１を伸ばしたり角度を変更したりして
ケージ２０を外壁面から離せば良く、又、ケージ２０を
外壁面５１と干渉しない屋上に吊り上げた後行っても良
い。

【００２０】

【変更例】上記実施例では、回転部であるケージ本体２
０に二組の機能の異なる機能部を設けて構成したが、こ
れに限るものではなく、三組以上設けて構成しても良
く、例えばケージ本体２０の平面形状を正方形状として
各辺に対応させて四組の機能部を設け、９０°回転する
毎に各機能部が建物５０の外壁面５１と対向するように
構成することも考えられる。又、ケージ本体２０を回転
駆動する回転機構も、上記実施例に限るものではなく、
その駆動方法もモータにより直接回転駆動したりチェー
ン等の駆動力伝達部材を利用する等適宜変更可能なもの
である。更に、上記実施例はケージ基部（支持枠２１）
に対して回転部（ケージ本体２２）が鉛直な回転軸を回
転中心として水平平面内で回転するものであるが、水平
で建築物の外壁面と平行な回転軸を回転中心として、鉛
直かつ壁面と直交する平面内で回転するように構成して
もよいものである。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明に係るゴンド
ラ装置用ケージによれば、ロープ部材が結合されるケー
ジ基部に、機能の異なる複数の機能部が設けられた回転
部が回転機構を介して回転可能に支持され、この回転部
の回転によって複数の機能部の何れかが択一的に建築物
の外壁面と対向して位置し得るように構成されている
為、回転部を所定角度回転させることによって作業機能
を変換することができる。これにより、作業機能を変換
する際に、従来のようなゲージの交換作業は全く不要と
なり、台車を屋上のケージ保管場所まで移動させる不便
もなく、ケージ交換に要する時間が大幅に短縮されて作
業効率が向上する。又、ケージ交換作業の際にミスが発
生するおそれもないので作業の安全性も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るゴンドラ装置用ケージの一実施
例を適用したゴンドラ装置を模式的に示す側面図であ
る。

【図２】 ケージの斜視図である。

【図３】 図２のＡ−Ａ断面図に相当するケージの縦断
面図である。

【図４】 機能変換途中のケージの平面図である。

【符号の説明】

１…ゴンドラ装置 １０…台車（吊り下げ装置） １１…アーム（吊り下げ装置） １２…ワイヤーロープ（ロープ部材） ２１…支持枠（ケージ基部） ２２…ケージ本体（回転部） ２２ａ…有人用ケージ（機能部） ２２ｂ…窓清掃用ロボット（機能部） ３０…回転機構 ５０…建物（建築物） ５１…外壁面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66B 9/00 - 9/193 E04G 3/10

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築物の上部に設けられた吊り下げ装置
   から、ロープ部材を介して前記建築物の外壁面に近接し
   て吊り下げられ、前記ロープ部材を巻取又は巻戻しする
   昇降装置によって前記建築物の外壁面に沿って昇降駆動
   されるゴンドラ装置用ケージであって、 前記ワイヤーロープが結合されるケージ基部に、機能の
   異なる複数の機能部を備えた回転部が回転機構を介して
   回転可能に支持され、前記回転部の回転によって前記複
   数の機能部の何れかが択一的に前記建築物の外壁面と対
   向するように構成されていること、を特徴とするゴンド
   ラ装置用ケージ。
2. 【請求項２】 上記複数の機能部は上記回転部に水平方
   向に並んで配設されており、前記回転部は鉛直方向の回
   転軸を中心として水平平面内で回転し、前記複数の機能
   部の何れかが択一的に建築物の外壁面と対向するように
   構成されていること、を特徴とする請求項１に記載のゴ
   ンドラ装置用ケージ。